JP5206169B2 - 電子制御液圧ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子制御液圧ブレーキ装置、特に、マスターシリンダなど制動操作ユニットからの液圧を、ホイールシリンダなどのブレーキ作動ユニットへ導く一般的なブレーキ液圧系に対し、ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を制動操作ユニットからの制動操作液圧と切り離して制御可能なブレーキアクチュエータを付加した電子制御液圧ブレーキ装置に関するものである。
この種の電子制御液圧ブレーキ装置としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
この電子制御液圧ブレーキ装置は、マスターシリンダなど制動操作ユニットからの制動操作液圧を、ホイールなどのブレーキ作動ユニットへ導くブレーキ配管中に挿置した差圧制御弁と、
該差圧制御弁の上流側からブレーキ液を吸入して、このブレーキ液を差圧制御弁の下流側へ吐出するポンプとで上記のブレーキアクチュエータを構成し、
上記した差圧制御弁とポンプとの共働により、差圧制御弁の上流側および下流側間における差圧を制御して、ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにしたものである。
特開2006−096218号公報
本発明は、ブレーキ作動液圧制御用の差圧制御による制動操作液圧の変動によっても目標制動力が変動されることのないようにして、運転者が制動操作により希望している本来の目標減速度を正確に発生させ得るようにした電子制御液圧ブレーキ装置を提案することを目的とする。
この目的のため本発明による電子制御液圧ブレーキ装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず前提となる電子制御液圧ブレーキ装置を説明するに、これは、
制動操作ユニットからの制動操作液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、前記制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにしたものである。
本発明は、かかる電子制御液圧ブレーキ装置に対し、
前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算する制動操作液圧変動量演算手段と、
該手段で求めた制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う前記目標制動力の変化量を演算する目標制動力変化量演算手段と、
該手段で求めた目標制動力変化量だけ前記目標制動力を、前記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正する目標制動力補正手段とを設けた構成に特徴づけられる。
かかる本発明の電子制御液圧ブレーキ装置によれば、
ブレーキ作動液圧制御用の差圧制御による制動操作液圧の変動量を演算し、この制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う目標制動力の変化量を演算し、この目標制動力変化量だけ目標制動力を、上記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正するため、
ブレーキ作動液圧制御用の差圧制御による制動操作液圧の変動によっても目標制動力が変動されることがなく、この目標制動力を達成するよう行われる上記の差圧制御は、運転者が制動操作により希望している本来の目標減速度を正確に発生させることができる

以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のー実施例になる電子制御液圧ブレーキ装置のシステム図で、
本実施例においては、図示しなかったが交流同期モータを用いた回生ブレーキと併用して目標減速度(目標制動力)を達成するようブレーキ液圧を電子制御することで、回生エネルギを効率的に回収するようにした「回生協調ブレーキ制御システム」に応用するのに有利な電子制御液圧ブレーキ装置として構成する。
図1において1は、運転者が希望する車両の目標減速度(目標制動力)に応じて踏み込むブレーキペダルで、
該ブレーキペダル1の踏力がバキュームブースタ2により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ3の図示せざるピストンカップが押し込まれることによりマスターシリンダ3は、
ブレーキペダル1の踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcを、X配管における一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bに出力するものとする。
従って、バキュームブースタ2およびマスターシリンダ3は、本発明における制動操作ユニットに相当する。
一方のブレーキ配管4aは、ブレーキ作動ユニットである右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RL用のブレーキ液圧系を構成し、他方のブレーキ配管4bは、ブレーキ作動ユニットである左前輪ホイールシリンダ5FLおよび右後輪ホイールシリンダ5RR用のブレーキ液圧系を構成する。
このため、一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bはそれぞれ、以下のようなブレーキアクチュエータ6を介して、右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLと、左前輪ホイールシリンダ5FLおよび右後輪ホイールシリンダ5RRとに接続する。
ブレーキアクチュエータ6は、差圧制御弁11a,11bと、増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRと、減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRと、リザーバ14a,14bと、ポンプ15a,15bと、逆止弁16a,16bとで構成する。
差圧制御弁11a,11bはそれぞれ常開式の比例電磁弁とし、詳しくは後述するが、ソレノイドへの制御電流が大きくなるにつれて全開状態から開度を低下されるものとする。
増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRはそれぞれ常開電磁弁とし、ソレノイドへの通電により閉じるものとする。
減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRはそれぞれ常閉電磁弁とし、ソレノイドへの通電により開くものとする。
差圧制御弁11aの入力ポートに、マスターシリンダ3から延在する一方のブレーキ配管4aを接続する。
差圧制御弁11aの出力ポートから延在する配管17aは、配管18FRにより増圧弁12FRの入力ポートに接続すると共に、配管18RLにより増圧弁12RLの入力ポートに接続する。
増圧弁12FRの出力ポートは配管19FRにより右前輪ホイールシリンダ5FRに接続し、増圧弁12RLの出力ポートは配管19RLにより左後輪ホイールシリンダ5RLに接続する。
配管19FR,19RLの途中はそれぞれ、減圧弁13FR,13RLを介して共通な配管20aに接続し、この配管20aを、リザーバ14aの出力ポートおよびポンプ15aの吸入ポート間における配管21aに接続する。
リザーバ14aの入力ポートは、配管22aを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4aに通じさせる。
ポンプ15aの吐出ポートは、配管23aにより配管17aに接続し、配管23a中に逆止弁16aを挿置する。
なお逆止弁16aは、ポンプ15aの吐出ポートから配管17aへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
差圧制御弁11bの入力ポートに、マスターシリンダ3から延在する他方のブレーキ配管4bを接続する。
差圧制御弁11bの出力ポートから延在する配管17bは、配管18FLにより増圧弁12FLの入力ポートに接続すると共に、配管18RRにより増圧弁12RRの入力ポートに接続する。
増圧弁12FLの出力ポートは配管19FLにより左前輪ホイールシリンダ5FLに接続し、増圧弁12RRの出力ポートは配管19RRにより右後輪ホイールシリンダ5RRに接続する。
配管19FL,19RRの途中はそれぞれ、減圧弁13FL,13RRを介して共通な配管20bに接続し、この配管20bを、リザーバ14bの出力ポートおよびポンプ15bの吸入ポート間における配管21bに接続する。
リザーバ14bの入力ポートは、配管22bを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4bに通じさせる。
ポンプ15bの吐出ポートは、配管23bにより配管17bに接続し、配管23b中に逆止弁16bを挿置する。
なお逆止弁16bは、ポンプ15bの吐出ポートから配管17bへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
図1につき上述した液圧ブレーキ系は、図2にブロック線図で示すブレーキコントローラ31により制御する。
このブレーキコントローラ31は、目標減速度算出部32および回生協調ブレーキ制御部33により構成する。
目標減速度算出部32には、図1に示すごとくに設けてブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcをそれぞれ検出するペダルストロークセンサ34および圧力センサ35からの信号と、
ホイールシリンダ5FR,5RL,5FL,5RRにより制動される車輪個々の制動力制御によって車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置(以下、VDCと略称する)の作動信号(VDC用に指令するホイールシリンダ液圧Pwcの上昇量に係わる信号を含む)と、
車輪個々の制動ロックを防止するアンチスキッド制御装置(以下、ABSと略称する)の作動信号(ABS用に指令するホイールシリンダ液圧Pwcの低下量に係わる信号を含む)とを入力する。
目標減速度算出部32は、これら入力情報、つまり、センサ34,35で検出したブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcや、VDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)およびABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)を基に、運転者が希望している車両の目標減速度を演算し、この目標減速度を実現するための目標制動力Tboを求める。
具体的には目標減速度算出部32は、ブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから、運転者による制動操作力(ブレーキペダル踏力)Fを推定し、この制動操作力Fから運転者が希望している車両の目標減速度を算出し、この目標減速度を実現するための目標制動力Tboを求める。
しかし、車両挙動制御装置(VDC)の作動時や、アンチスキッド制御装置(ABS)の作動時は、後で詳述するが目標減速度算出部32は前記した本発明の目的を達成するために、上記の目標減速度(目標制動力Tbo)をそのまま用いず、これをVDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)や、ABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)に応じ補正して用いる。
なお目標減速度(目標制動力Tbo)の算出に際し上記のごとく、ブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcの双方を用いる理由は、
制動操作初期においてはマスターシリンダ液圧Pmcの変化が小さくてペダルストローク量Stを重視して制動操作力Fを推定する必要があり、
制動操作後期においてはペダルストローク量Stの変化が小さくてマスターシリンダ液圧Pmcを重視して制動操作力Fを推定する必要があるためである。
回生協調ブレーキ制御部33には、上記目標減速度算出部32で求めた目標制動力Tboと、センサ35で検出したマスターシリンダ液圧Pmcと、車速VSPを検出する車速センサ36からの信号と、ハイブリッド車両からの実行回生制動力などの信号とを入力する。
回生協調ブレーキ制御部33は、これら入力情報をもとに可能最大回生制動力を求め、これと、マスターシリンダ液圧Pmcにより発生し得る制動力Tmcとで(Tmcが零の場合は、可能最大回生制動力のみで)目標制動力Tboを賄い得る場合、目標制動力Tboからマスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmcを差し引いた差値を回生制動力指令値Tmgとしてハイブリッド車両へ指令する。
この場合、ポンプ15a,15bおよび差圧制御弁11a,11bとの共働による差圧制御、つまり、差圧制御弁11a,11bから対応するホイールシリンダに至る下流側ブレーキ配管部分の増圧制御が不要であるから、
回生協調ブレーキ制御部33は、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「OFF」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを零にする。
この時における図1の液圧ブレーキ系の作用は以下の通りである。
マスターシリンダ液圧配管4a,4bからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用は共に同じであるため、ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用についてのみ代表的に説明する。
差圧制御弁11aへの差圧制御弁制御電流Iが上記の通り零であるため、差圧制御弁11aは全開状態を保つ。
よって、配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcは、差圧制御弁11aおよび配管17aを経て配管18FR,18RLに達する。
配管18FRへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、右前輪を制動することができる。
配管18RLへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、左後輪を制動することができる。
ちなみに、バキュームブースタ2およびマスターシリンダ3より成る制動操作ユニットは、前記のように推定した制動操作力Fに対し図3にTmcで例示するごとき制動力を発生するようなマスターシリンダ液圧Pmcを発生する構成とする。
これにより、マスターシリンダ液圧Pmcが上記のごとく、そのままホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLに供給された時の制動力Tmcを、制動操作力Fに対応した目標制動力(目標減速度)よりも小さくして、できるだけ回生制動力を用いるようにすることで、エネルギー回収効率を高める。
図2の回生協調ブレーキ制御部33は、可能最大回生制動力と、マスターシリンダ液圧Pmcにより発生し得る制動力Tmcとで(Tmcが零の場合は、可能最大回生制動力のみで)目標制動力Tboを賄い得ない場合、可能最大回生制動力を回生制動力指令値Tmgとしてハイブリッド車両へ指令する。
更に回生協調ブレーキ制御部33は、図3にシーン1およびシーン2の場合につき例示するごとく、目標制動力Tboから、マスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmc、および上記の回生制動力指令値Tmgを差し引いて得られる制動力不足分Tupを求め、
この制動力不足分Tupを、差圧制御弁11aおよびポンプ15aの共働による差圧制御、つまり、差圧制御弁11a,11bから対応するホイールシリンダに至る下流側ブレーキ配管部分の増圧制御により補足するため、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「ON」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを以下のように決定する。
差圧制御弁制御電流Iの決定に際して回生協調ブレーキ制御部33は、制動力不足分Tupを補償するのに必要なホイールシリンダ液圧Pwcの増圧分、つまり、上流側液圧であるマスターシリンダ液圧Pmcと、下流側液圧であるホイールシリンダ液圧Pwcとの間における目標差圧ΔPを求め、
図4に例示する差圧制御弁11a,11bの動作特性をもとに、目標差圧ΔPを発生させるのに必要な制御電流Iを検索し、これを指令値として差圧制御弁11a,11bに供給する。
図4の差圧制御弁特性は、差圧制御弁11a,11bに供給する制御電流Iと、この電流Iを供給されたとき差圧制御弁11a,11bが、ホイールシリンダ液圧Pwcをマスターシリンダ液圧Pmcに対し如何様な差圧ΔPで上昇させるかを示すものである。
ところで、制動操作中における目標減速度(目標制動力Tbo)の変化割合が小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なり、それにもかかわらずリニヤな制御が可能となるよう差圧制御弁11a,11bは、制御電流Iの変化に対する差圧ΔPの変化割合が図4に例示するごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なるよう構成されている。
従って、差圧制御弁11a,11bの制御電流Iと差圧ΔPとの関係を表した差圧制御弁特性は図4に示すごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域との境界において、制御電流変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点Zを有する。
以下、図1の液圧ブレーキ系において行われる差圧制御作用を詳述する。
マスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用、および、マスターシリンダ液圧配管4bに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用は共に同じであるため、
ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用についてのみ代表的に説明する。
ポンプ15aが上記の「ON」指令により作動され、このポンプ15aは、管路4a,22aからリザーバ14aおよび配管21aを経てブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、逆止弁16aが挿置された配管23aを経て配管17aに吐出し、配管17aへのブレーキ液は配管18FR,18RLに達する。
配管18FRへのブレーキ液は、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを経て右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができ、
配管18RLへのブレーキ液は、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを経て左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができる。
右前輪および左後輪ホイールシリンダ液圧Pwcの増圧程度はそれぞれ、制御電流Iに応動する差圧制御弁11aの開度で決まり、
従って、これらホイールシリンダ液圧Pwcをマスターシリンダ液圧Pmcに対し前記の目標差圧ΔPだけ上昇させることができる。
これにより右前輪および左後輪の制動力が、図3の制動力不足分Tpuだけ増大され、前記した回生協調ブレーキ制御と相まって、目標制動力Tbo(目標減速度)を実現することができる。
上記の制動中に車両挙動が、運転状態に応じた目標挙動からずれた場合、前記の車両挙動制御装置(VDC)が作動して、車両挙動を目標挙動に一致させるべくVDC対象側(左側または右側)車輪の制動力を、対応するホイールシリンダ液圧Pwcの所定量の上昇により増大させる。
かかるホイールシリンダ液圧Pwcの所定量の上昇は、差圧制御弁11aおよび12bの開度低下(制御電流Iの増大)により実現するが、かかる差圧制御弁11aおよび12bの開度低下はVDC非対象側(右側または左側)車輪の制動力を、対応するホイールシリンダ液圧Pwcの同量の上昇により同量だけ増大させてしまうことになる。
かかるVDC非対象側(右側または左側)車輪の制動力の不要な増大は、対応するホイールシリンダ液圧Pwcを対応する増圧弁12FR,12RRまたは12RL,12FLの閉弁により、対応する減圧弁13FR,13RRまたは13RL,13FLの閉弁状態と相まって保圧することにより防止する。
また、上記の制動中に車輪がロック傾向になる場合、前記のアンチスキッド制御装置(ABS)が作動して、ロック傾向の車輪のスリップ率が理想スリップ率(路面との摩擦係数が最大となる15%程度のスリップ率)となるよう、ABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを所定量だけ低下させる。
アンチスキッド制御装置(ABS)は、ABS対象車輪に係わる増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRをONにより閉じてABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを保圧したり、ABS対象車輪に係わる減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRをONにより開いてABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを減圧することで車輪の上記ロック傾向を解消する。
かようにABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを減圧させるときは、これに合わせて、対応する差圧制御弁11a,11bを開度増大させ、これにより差圧制御弁11a,11bの下流側液圧も低下させる。
上記ロック傾向の解消によりABS対象車輪の回転が復活すると、ABS対象車輪に係わる減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRをOFFにより閉じると共に、BS対象車輪に係わる増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRをOFFにより開いてホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させる。
かようにABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させるときは、これに合わせて、対応する差圧制御弁11a,11bを開度低下させ、これにより差圧制御弁11a,11bの下流側液圧も上昇させる。
上記したアンチスキッドサイクルの繰り返しにより、ロック傾向となったABS対象車輪のスリップ率を理想スリップ率に保ち、制動距離が最短となるようにするアンチスキッド制御を遂行する。
ちなみに、上記したVDC作動中や、ABS作動中におけるごとく、ホイールシリンダ5FR, 5RL,5FL,5RRはホイールシリンダ液圧Pwcを個別に制御されることから、それぞれのホイールシリンダ液圧Pwcは相互に異なるが、図1では全輪のホイールシリンダ液圧Pwcを便宜上同じ符号で示した。
ところで、上記した車両挙動制御装置(VDC)の作動時や、アンチスキッド制御装置(ABS)の作動時であるにもかかわらず、図2の目標減速度算出部32が、ブレーキペダル踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから前記したごとくに求めた車両の目標減速度(目標制動力Tbo)を、VDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)や、ABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)に応じて補正することなく、そのまま用いる場合、図5,6につき以下に説明するような問題を生ずる。
図5は、瞬時t1以降ブレーキペダル踏力(制動操作力)を一定に保っての制動中、瞬時t2にVDCが作動を開始し、瞬時t3にVDCが作動を終了した、VDCの作動時における動作タイムチャートである。
瞬時t2にVDCが作動を開始すると、VDC対象車輪の制動力を大きくするためにホイールシリンダ液圧Pwcが図示のごとく、車両挙動を目標挙動に一致させるのに必要なΔPwc1だけ上昇させる。
VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇ΔPwc1は、対応する側における差圧制御弁11aまたは11bの開度低下により生起される。
かかる差圧制御弁11aまたは11bの開度低下により、対応するポンプ15aまたは15bが差圧制御弁11aまたは11bの上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を多量に吸引することとなり、結果として上流側液圧であるマスターシリンダ液圧PmcをΔPmc1で示すように低下させる。
かかるマスターシリンダ液圧Pmcの低下ΔPmc1は、このマスターシリンダ液圧Pmcから前記したごとくに求めている目標制動力Tbo(目標減速度)を、ブレーキペダル踏力(制動操作力)が瞬時t1以降一定に保たれているにもかかわらず、これとは関係なくΔTbo1で示すように低下させてしまう。
ところで非VDC対象車輪においてはホイールシリンダ液圧Pwcが、目標制動力Tbo(目標減速度)の上記低下ΔTbo1を実現するために、ΔPwc2で示すように低下され、これにより、上記のごとくΔTbo1だけ低下された目標制動力Tbo(目標減速度)を実現することから、
運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図5の場合、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1〜t2間および瞬時t3以降におけると同じ減速度)を発生させることができないという問題を生ずる。
図6は、ブレーキペダル踏力(制動操作力)を一定に保っての制動中、瞬時t1に第1車輪が制動ロックしてアンチスキッド制御装置(ABS)が作動を開始した場合の動作タイムチャートである。
第1車輪の制動ロックに呼応して瞬時t1に当該車輪のABSが開始されると、第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが図示のごとく、車輪の回転回復に必要な所定量ΔPwc3だけ低下される。
かかる第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下ΔPwc3は、対応する差圧制御弁11aおよび/または11bの開度増大により生起される。
かかる差圧制御弁11aおよび/または11bの開度増大により、差圧制御弁11aおよび/または11bの下流側ブレーキ配管から上流側ブレーキ配管部分へ多量のブレーキ液を向かわせることとなり、結果として上流側液圧であるマスターシリンダ液圧PmcをΔPmc2で示すように上昇させる。
当該マスターシリンダ液圧Pmcの上昇ΔPmc2は、このマスターシリンダ液圧Pmcから前記したごとくに求めている目標制動力Tbo(目標減速度)を、ブレーキペダル踏力(制動操作力)が前記のごとく一定に保たれているにもかかわらず、これとは関係なくΔTbo2で示すように増大させてしまう。
ところで、第1のABS対象車輪以外の車輪においては、第2のABS対象車輪につき図6に示すように、そのホイールシリンダ液圧Pwcが、目標制動力Tbo(目標減速度)の上記増大ΔTbo2を実現するために、ΔPwc4で示すように上昇され、これにより、上記のごとくΔTbo2だけ増大された目標制動力Tbo(目標減速度)を実現することから、
運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図6の場合、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1以前におけると同じ減速度)を発生させることができないという問題を生ずる。
更に加えて上記第2のABS対象車輪に係わるホイールシリンダ液圧Pwcの上昇ΔPwc4は、本来なら生ずることのなかった当該車輪の制動ロックを瞬時t2に生じさせ、この瞬時t2に当該第2のABS対象車輪に対するアンチスキッド制御が余分に必要になるという問題をも生ずる。
しかも、第1のABS対象車輪がABSを終了された瞬時t3に、目標制動力Tbo(目標減速度)が大きいままであるため、当該車輪がABSの終了に呼応してそのホイールシリンダ液圧Pwcが上昇復帰される時の上昇量ΔPwc5が、大きな目標制動力Tbo(目標減速度)に対応した大きなホイールシリンダ液圧上昇量となる。
このため第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始され、瞬時t1〜t4におけると同様なサイクルを繰り返すという問題をも生ずる。
本実施例においては、上記諸々の問題を解消するため、図2における目標減速度算出部32がVDCの作動時、およびABSの作動時に、図7の制御プログラムを実行して、図5に対応する図8(VDC作動時)、および、図6に対応する図9(ABS作動時)に示すように、目標減速度(目標制動力Tbo)を補正するようになす。
図7において、ステップS11ではVDC作動時か否かを、また、ステップS12ではABS作動時か否かをチェックする。
ステップS11でVDC作動時に非ずと判定し、且つ、ステップS12でABS作動時に非ずと判定するとき、つまりVDC作動時でもなく、ABS作動時でもないときは、図5,6につき上記した問題を生じないから、制御をそのまま終了する。
このとき目標減速度算出部32は、ブレーキペダル踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから求めた車両の目標減速度(目標制動力Tbo)をそのまま用い、VDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)や、ABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)に応じた当該目標減速度(目標制動力Tbo)の補正を行わない。
ステップS11でVDC作動時と判定するとき、ステップS13〜ステップS18において、図8に示すように目標減速度(目標制動力Tbo)の補正を行う。
ステップS13においては、VDC介入時の(図8の瞬時t2における)マスターシリンダ液圧Pmcを、図8のごとくPmcoとしてメモリする。
ステップS14においては、VDC制御量であるVDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1(図5と同じ)を読み込む。
ステップS15においては、当該VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc1(図5と同じ)を推定する。
従ってステップS14およびステップS15は、本発明における制動操作液圧変動量演算手段に相当する。
なお、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc1(図5と同じ)を推定するに際し、ステップS15におけるごとく、VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから当該推定を行う場合、この推定を新たな手段の追加なしに安価に行うことができて有利である。
ステップS16においては、ステップS13でメモリしたVDC介入時マスターシリンダ液圧Pmcoから、ステップS14で読み込んだVDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1を差し引いて、VDC対象車輪のVDC後ホイールシリンダ液圧Pmco'(=Pmco−ΔPwc1)を求め、このPmco'に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)を演算する。
ステップS17においては、ステップS13でメモリしたVDC介入時マスターシリンダ液圧Pmcoに対応する目標減速度(目標制動力Tbo2)を演算する。
ステップS18においては、ステップS17で求めたVDC介入時マスターシリンダ液圧Pmco対応の目標減速度(目標制動力Tbo2)と、ステップS16で求めたVDC対象車輪のVDC後ホイールシリンダ液圧Pmco'に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)との偏差ΔTbo1(図5と同じ)を目標減速度(目標制動力Tbo)の補正量とし、目標減速度(目標制動力Tbo)を図8に実線で示すごとくΔTbo1だけ嵩上げして補正する。
従ってステップS16、ステップS17およびステップS18は、本発明における目標制動力変化量演算手段および目標制動力補正手段に相当する。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)のVDC時嵩上げ補正によれば、従来は図5につき前述した通り、そして図8に破線で示すように、目標減速度(目標制動力Tbo)がVDC時にマスターシリンダ液圧Pmcの低下ΔPmc1に引き摺られて低下していたのに、当該目標減速度(目標制動力Tbo)を、低下されることなくVDC介入時t2における値に保つことができる。
そして、かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の保持により、非VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧PwcもVDC介入時t2の値を保つことができ、運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図8の場合も図5の場合と同様に、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1〜t2間および瞬時t3以降におけると同じ減速度)を発生させることができる。
なお、図7では図示を省略したが、上記したVDC時における目標減速度(目標制動力Tbo)の補正は、
VDCの作動中、制動操作力の増大でマスターシリンダ液圧PmcがVDCの作動開始時t2(図8参照)における液圧値Pmcoよりも高くなったとき、または、制動操作力の低下で制動操作量およびマスターシリンダ液圧Pmcがともに低下するときに終了させるものとする。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の補正要領によれば、VDC実施後において目標減速度(目標制動力Tbo)をより運転者の希望する値に近づけることができて有利である。
ステップS12でABS作動時と判定するとき、ステップS23〜ステップS28において、図9に示すように目標減速度(目標制動力Tbo)の補正を行う。
ステップS23においては、ABS介入時の(図9の瞬時t1における)マスターシリンダ液圧Pmcを、図9のごとくPmcoとしてメモリする。
ステップS24においては、ABS制御量である第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下量ΔPwc3(図6と同じ)を読み込む。
ステップS25においては、当該第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下量ΔPwc3と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc2(図6と同じ)を推定する。
従ってステップS24およびステップS25は、本発明における制動操作液圧変動量演算手段に相当する。
ステップS26においては、ステップS23でメモリしたABS介入時マスターシリンダ液圧Pmcoに、ステップS24で読み込んだ第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下量ΔPwc3を加算して、第1のABS対象車輪のABS後ホイールシリンダ液圧Pmco"(=Pmco+ΔPwc3)を求め、このPmco"に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)を演算する。
ステップS27においては、ステップS23でメモリしたABS介入時マスターシリンダ液圧Pmcoに対応する目標減速度(目標制動力Tbo2)を演算する。
ステップS28においては、ステップS27で求めたABS介入時マスターシリンダ液圧Pmco対応の目標減速度(目標制動力Tbo2)と、ステップS26で求めた第1のABS対象車輪のABS後ホイールシリンダ液圧Pmco"に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)との偏差ΔTbo2(図6と同じ)を目標減速度(目標制動力Tbo)の補正量とし、目標減速度(目標制動力Tbo)を図9に実線で示すごとくΔTbo2だけ低下補正する。
従ってステップS26、ステップS27およびステップS28は、本発明における目標制動力変化量演算手段および目標制動力補正手段に相当する。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)のABS時低下補正によれば、従来は図6につき前述した通り、そして図9に破線で示すように、目標減速度(目標制動力Tbo)がABS時にマスターシリンダ液圧Pmcの上昇ΔPmc2に引き摺られて増大していたのに、当該目標減速度(目標制動力Tbo)を、増大されることなくABS介入時t1における値に保つことができる。
そして、かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の保持により、第1のABS対象車輪がABSを開始された瞬時t1には未だ非ABS対象車輪であった第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcも、実線で示すごとくABS介入時t1の値を保つことができ、運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図9の場合も図6の場合と同様に、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1までにおけると同じ減速度)を発生させることができる。
また、上記したように第2のABS対象車輪がホイールシリンダ液圧PwcをABS介入時t1の値を保たれることで以下の作用効果をも奏し得る。
つまり従来は第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが、図6につき前述した通り、そして図9に破線で示すように、目標制動力Tbo(目標減速度)の不要な増大ΔTbo2に呼応してΔPwc4のごとく上昇され、本来なら生ずることのなかった当該車輪の制動ロックを瞬時t2に生じさせるという問題を生ずる。
しかるに本実施例によれば、第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが実線で示す通り、ABS介入時t1の値を保つことから、当該車輪の不要な制動ロックを回避して、制動距離を短縮することができる。
また従来は、第1のABS対象車輪がABSを終了された瞬時t3に、目標制動力Tbo(目標減速度)が図6につき前述した通り、そして図9に破線で示すように、大きいままであるため、当該車輪がABSの終了に呼応してそのホイールシリンダ液圧Pwcが上昇復帰される時の上昇量ΔPwc5が、大きな目標制動力Tbo(目標減速度)に対応した大きなホイールシリンダ液圧上昇量となることから、
第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始されるという問題も生ずる。
しかし本実施例によれば、第1のABS対象車輪がABSを終了された瞬時t3に、目標制動力Tbo(目標減速度)が図9に実線で示すように正規の値に低下補正されているため、当該車輪がABSの終了に呼応してそのホイールシリンダ液圧Pwcが上昇復帰される時の上昇量が、本来の小さな目標制動力Tbo(目標減速度)に対応した小さなホイールシリンダ液圧上昇量となる。
従って第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始されるという問題を生ずることがない。
なお、図7では図示を省略したが、上記したABS時における目標減速度(目標制動力Tbo)の補正は、
ABSの作動中、制動操作力の低下で制動操作量およびマスターシリンダ液圧Pmcがともに低下し、マスターシリンダ液圧PmcがABSの作動開始時t1(図9参照)における液圧値Pmcoよりも低くなったときに終了させるものとする。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の補正要領によれば、ABS実施後において目標減速度(目標制動力Tbo)をより運転者の希望する値に近づけることができて有利である。
本発明の一実施例になる電子制御液圧ブレーキ装置のシステム図である。 同電子制御液圧ブレーキ装置におけるブレーキコントローラの機能別ブロック線図である。 図1に示す液圧ブレーキシステムの制動力変化特性図である。 図1に示す液圧ブレーキシステムにおける差圧制御弁の動作特性図である。 車両挙動制御装置の作動時における従来の電子制御液圧ブレーキ装置の不具合を示す動作タイムチャートである。 アンチスキッド制御装置の作動時における従来の電子制御液圧ブレーキ装置の不具合を示す動作タイムチャートである。 図5,6に示す不具合を解消するために図2のブレーキコントローラが実行する目標減速度補正プログラムを示すフローチャートである。 図7の目標減速度補正プログラムにより、図5に示す不具合が解消される状態を示す動作タイムチャートである。 図7の目標減速度補正プログラムにより、図6に示す不具合が解消される状態を示す動作タイムチャートである。
符号の説明
1 ブレーキペダル
2 バキュームブースタ(制動操作ユニット)
3 マスターシリンダ(制動操作ユニット)
4a 一方のマスターシリンダ液圧配管
4b 他方のマスターシリンダ液圧配管
5FL,5FR 左右前輪ホイールシリンダ
5RL,5RR 左右後輪ホイールシリンダ
6 ブレーキアクチュエータ
11a,11b 差圧制御弁
12FL,12FR 左右前輪ホイールシリンダ用増圧弁
12RL,12RR 左右後輪ホイールシリンダ用増圧弁
13FL,13FR 左右前輪ホイールシリンダ用減圧弁
13RL,13RR 左右後輪ホイールシリンダ用減圧弁
14a,14b リザーバ
15a,15b ポンプ
16a,16b 逆止弁
31 ブレーキコントローラ
32 目標減速度算出部
33 回生協調ブレーキ制御部
34 ペダルストロークセンサ
35 圧力センサ
36 車速センサ

Claims (6)

  1. 制動操作ユニットからの制動操作液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
    該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
    これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、前記制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにした電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算する制動操作液圧変動量演算手段と、
    該手段で求めた制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う前記目標制動力の変化量を演算する目標制動力変化量演算手段と、
    該手段で求めた目標制動力変化量だけ前記目標制動力を、前記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正する目標制動力補正手段とを具備してなることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記制動操作液圧変動量演算手段は、前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算するに際し、該差圧制御による前記ブレーキ作動液圧の変動量を推定し、このブレーキ作動液圧変動量から制動操作液圧変動量を演算するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
  3. 請求項2に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記制動操作液圧変動量演算手段は、前記ブレーキ作動ユニットにより制動される車輪の制動力制御によって車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置の作動中、該車両挙動制御装置が指令するブレーキ作動液圧の増大量を前記ブレーキ作動液圧変動量として用いるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
  4. 請求項3に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記目標制動力補正手段は、前記車両挙動制御装置の作動中、制動操作力の増大で制動操作液圧が前記車両挙動制御装置の作動開始時における液圧値よりも高くなったとき、または、制動操作力の低下で制動操作量および制動操作液圧がともに低下するとき、前記目標制動力の補正を終了するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記制動操作液圧変動量演算手段は、車輪の制動ロックを防止するアンチスキッド制御装置の作動中、該アンチスキッド制御装置が指令するブレーキ作動液圧の低下量を前記ブレーキ作動液圧変動量として用いるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
  6. 請求項5に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
    前記目標制動力補正手段は、前記アンチスキッド制御装置の作動中、制動操作力の低下で制動操作量および制動操作液圧がともに低下し、制動操作液圧が前記アンチスキッド制御装置の作動開始時における液圧値よりも低くなったとき、前記目標制動力の補正を終了するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
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