JP5206169B2 - 電子制御液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
この電子制御液圧ブレーキ装置は、マスターシリンダなど制動操作ユニットからの制動操作液圧を、ホイールなどのブレーキ作動ユニットへ導くブレーキ配管中に挿置した差圧制御弁と、
該差圧制御弁の上流側からブレーキ液を吸入して、このブレーキ液を差圧制御弁の下流側へ吐出するポンプとで上記のブレーキアクチュエータを構成し、
上記した差圧制御弁とポンプとの共働により、差圧制御弁の上流側および下流側間における差圧を制御して、ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにしたものである。
先ず前提となる電子制御液圧ブレーキ装置を説明するに、これは、
制動操作ユニットからの制動操作液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、前記制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにしたものである。
前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算する制動操作液圧変動量演算手段と、
該手段で求めた制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う前記目標制動力の変化量を演算する目標制動力変化量演算手段と、
該手段で求めた目標制動力変化量だけ前記目標制動力を、前記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正する目標制動力補正手段とを設けた構成に特徴づけられる。
ブレーキ作動液圧制御用の差圧制御による制動操作液圧の変動量を演算し、この制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う目標制動力の変化量を演算し、この目標制動力変化量だけ目標制動力を、上記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正するため、
ブレーキ作動液圧制御用の差圧制御による制動操作液圧の変動によっても目標制動力が変動されることがなく、この目標制動力を達成するよう行われる上記の差圧制御は、運転者が制動操作により希望している本来の目標減速度を正確に発生させることができる。
図1は、本発明のー実施例になる電子制御液圧ブレーキ装置のシステム図で、
本実施例においては、図示しなかったが交流同期モータを用いた回生ブレーキと併用して目標減速度(目標制動力)を達成するようブレーキ液圧を電子制御することで、回生エネルギを効率的に回収するようにした「回生協調ブレーキ制御システム」に応用するのに有利な電子制御液圧ブレーキ装置として構成する。
該ブレーキペダル1の踏力がバキュームブースタ2により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ3の図示せざるピストンカップが押し込まれることによりマスターシリンダ3は、
ブレーキペダル1の踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcを、X配管における一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bに出力するものとする。
従って、バキュームブースタ2およびマスターシリンダ3は、本発明における制動操作ユニットに相当する。
このため、一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bはそれぞれ、以下のようなブレーキアクチュエータ6を介して、右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLと、左前輪ホイールシリンダ5FLおよび右後輪ホイールシリンダ5RRとに接続する。
差圧制御弁11a,11bはそれぞれ常開式の比例電磁弁とし、詳しくは後述するが、ソレノイドへの制御電流が大きくなるにつれて全開状態から開度を低下されるものとする。
増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRはそれぞれ常開電磁弁とし、ソレノイドへの通電により閉じるものとする。
減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRはそれぞれ常閉電磁弁とし、ソレノイドへの通電により開くものとする。
差圧制御弁11aの出力ポートから延在する配管17aは、配管18FRにより増圧弁12FRの入力ポートに接続すると共に、配管18RLにより増圧弁12RLの入力ポートに接続する。
増圧弁12FRの出力ポートは配管19FRにより右前輪ホイールシリンダ5FRに接続し、増圧弁12RLの出力ポートは配管19RLにより左後輪ホイールシリンダ5RLに接続する。
リザーバ14aの入力ポートは、配管22aを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4aに通じさせる。
ポンプ15aの吐出ポートは、配管23aにより配管17aに接続し、配管23a中に逆止弁16aを挿置する。
なお逆止弁16aは、ポンプ15aの吐出ポートから配管17aへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
差圧制御弁11bの出力ポートから延在する配管17bは、配管18FLにより増圧弁12FLの入力ポートに接続すると共に、配管18RRにより増圧弁12RRの入力ポートに接続する。
増圧弁12FLの出力ポートは配管19FLにより左前輪ホイールシリンダ5FLに接続し、増圧弁12RRの出力ポートは配管19RRにより右後輪ホイールシリンダ5RRに接続する。
リザーバ14bの入力ポートは、配管22bを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4bに通じさせる。
ポンプ15bの吐出ポートは、配管23bにより配管17bに接続し、配管23b中に逆止弁16bを挿置する。
なお逆止弁16bは、ポンプ15bの吐出ポートから配管17bへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
このブレーキコントローラ31は、目標減速度算出部32および回生協調ブレーキ制御部33により構成する。
目標減速度算出部32には、図1に示すごとくに設けてブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcをそれぞれ検出するペダルストロークセンサ34および圧力センサ35からの信号と、
ホイールシリンダ5FR,5RL,5FL,5RRにより制動される車輪個々の制動力制御によって車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置(以下、VDCと略称する)の作動信号(VDC用に指令するホイールシリンダ液圧Pwcの上昇量に係わる信号を含む)と、
車輪個々の制動ロックを防止するアンチスキッド制御装置(以下、ABSと略称する)の作動信号(ABS用に指令するホイールシリンダ液圧Pwcの低下量に係わる信号を含む)とを入力する。
具体的には目標減速度算出部32は、ブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから、運転者による制動操作力(ブレーキペダル踏力)Fを推定し、この制動操作力Fから運転者が希望している車両の目標減速度を算出し、この目標減速度を実現するための目標制動力Tboを求める。
しかし、車両挙動制御装置(VDC)の作動時や、アンチスキッド制御装置(ABS)の作動時は、後で詳述するが目標減速度算出部32は前記した本発明の目的を達成するために、上記の目標減速度(目標制動力Tbo)をそのまま用いず、これをVDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)や、ABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)に応じ補正して用いる。
制動操作初期においてはマスターシリンダ液圧Pmcの変化が小さくてペダルストローク量Stを重視して制動操作力Fを推定する必要があり、
制動操作後期においてはペダルストローク量Stの変化が小さくてマスターシリンダ液圧Pmcを重視して制動操作力Fを推定する必要があるためである。
回生協調ブレーキ制御部33は、これら入力情報をもとに可能最大回生制動力を求め、これと、マスターシリンダ液圧Pmcにより発生し得る制動力Tmcとで(Tmcが零の場合は、可能最大回生制動力のみで)目標制動力Tboを賄い得る場合、目標制動力Tboからマスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmcを差し引いた差値を回生制動力指令値Tmgとしてハイブリッド車両へ指令する。
この場合、ポンプ15a,15bおよび差圧制御弁11a,11bとの共働による差圧制御、つまり、差圧制御弁11a,11bから対応するホイールシリンダに至る下流側ブレーキ配管部分の増圧制御が不要であるから、
回生協調ブレーキ制御部33は、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「OFF」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを零にする。
マスターシリンダ液圧配管4a,4bからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用は共に同じであるため、ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用についてのみ代表的に説明する。
よって、配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcは、差圧制御弁11aおよび配管17aを経て配管18FR,18RLに達する。
配管18FRへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、右前輪を制動することができる。
配管18RLへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、左後輪を制動することができる。
これにより、マスターシリンダ液圧Pmcが上記のごとく、そのままホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLに供給された時の制動力Tmcを、制動操作力Fに対応した目標制動力(目標減速度)よりも小さくして、できるだけ回生制動力を用いるようにすることで、エネルギー回収効率を高める。
更に回生協調ブレーキ制御部33は、図3にシーン1およびシーン2の場合につき例示するごとく、目標制動力Tboから、マスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmc、および上記の回生制動力指令値Tmgを差し引いて得られる制動力不足分Tupを求め、
この制動力不足分Tupを、差圧制御弁11aおよびポンプ15aの共働による差圧制御、つまり、差圧制御弁11a,11bから対応するホイールシリンダに至る下流側ブレーキ配管部分の増圧制御により補足するため、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「ON」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを以下のように決定する。
図4に例示する差圧制御弁11a,11bの動作特性をもとに、目標差圧ΔPを発生させるのに必要な制御電流Iを検索し、これを指令値として差圧制御弁11a,11bに供給する。
ところで、制動操作中における目標減速度(目標制動力Tbo)の変化割合が小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なり、それにもかかわらずリニヤな制御が可能となるよう差圧制御弁11a,11bは、制御電流Iの変化に対する差圧ΔPの変化割合が図4に例示するごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なるよう構成されている。
従って、差圧制御弁11a,11bの制御電流Iと差圧ΔPとの関係を表した差圧制御弁特性は図4に示すごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域との境界において、制御電流変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点Zを有する。
マスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用、および、マスターシリンダ液圧配管4bに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用は共に同じであるため、
ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用についてのみ代表的に説明する。
配管18FRへのブレーキ液は、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを経て右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができ、
配管18RLへのブレーキ液は、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを経て左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができる。
従って、これらホイールシリンダ液圧Pwcをマスターシリンダ液圧Pmcに対し前記の目標差圧ΔPだけ上昇させることができる。
これにより右前輪および左後輪の制動力が、図3の制動力不足分Tpuだけ増大され、前記した回生協調ブレーキ制御と相まって、目標制動力Tbo(目標減速度)を実現することができる。
かかるホイールシリンダ液圧Pwcの所定量の上昇は、差圧制御弁11aおよび12bの開度低下(制御電流Iの増大)により実現するが、かかる差圧制御弁11aおよび12bの開度低下はVDC非対象側(右側または左側)車輪の制動力を、対応するホイールシリンダ液圧Pwcの同量の上昇により同量だけ増大させてしまうことになる。
かかるVDC非対象側(右側または左側)車輪の制動力の不要な増大は、対応するホイールシリンダ液圧Pwcを対応する増圧弁12FR,12RRまたは12RL,12FLの閉弁により、対応する減圧弁13FR,13RRまたは13RL,13FLの閉弁状態と相まって保圧することにより防止する。
アンチスキッド制御装置(ABS)は、ABS対象車輪に係わる増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRをONにより閉じてABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを保圧したり、ABS対象車輪に係わる減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRをONにより開いてABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを減圧することで車輪の上記ロック傾向を解消する。
上記ロック傾向の解消によりABS対象車輪の回転が復活すると、ABS対象車輪に係わる減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRをOFFにより閉じると共に、BS対象車輪に係わる増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRをOFFにより開いてホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させる。
かようにABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させるときは、これに合わせて、対応する差圧制御弁11a,11bを開度低下させ、これにより差圧制御弁11a,11bの下流側液圧も上昇させる。
上記したアンチスキッドサイクルの繰り返しにより、ロック傾向となったABS対象車輪のスリップ率を理想スリップ率に保ち、制動距離が最短となるようにするアンチスキッド制御を遂行する。
瞬時t2にVDCが作動を開始すると、VDC対象車輪の制動力を大きくするためにホイールシリンダ液圧Pwcが図示のごとく、車両挙動を目標挙動に一致させるのに必要なΔPwc1だけ上昇させる。
かかる差圧制御弁11aまたは11bの開度低下により、対応するポンプ15aまたは15bが差圧制御弁11aまたは11bの上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を多量に吸引することとなり、結果として上流側液圧であるマスターシリンダ液圧PmcをΔPmc1で示すように低下させる。
運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図5の場合、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1〜t2間および瞬時t3以降におけると同じ減速度)を発生させることができないという問題を生ずる。
第1車輪の制動ロックに呼応して瞬時t1に当該車輪のABSが開始されると、第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが図示のごとく、車輪の回転回復に必要な所定量ΔPwc3だけ低下される。
かかる差圧制御弁11aおよび/または11bの開度増大により、差圧制御弁11aおよび/または11bの下流側ブレーキ配管から上流側ブレーキ配管部分へ多量のブレーキ液を向かわせることとなり、結果として上流側液圧であるマスターシリンダ液圧PmcをΔPmc2で示すように上昇させる。
運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図6の場合、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1以前におけると同じ減速度)を発生させることができないという問題を生ずる。
このため第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始され、瞬時t1〜t4におけると同様なサイクルを繰り返すという問題をも生ずる。
図7において、ステップS11ではVDC作動時か否かを、また、ステップS12ではABS作動時か否かをチェックする。
このとき目標減速度算出部32は、ブレーキペダル踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから求めた車両の目標減速度(目標制動力Tbo)をそのまま用い、VDC作動信号(VDC用ホイールシリンダ液圧上昇量)や、ABS作動信号(ABS用ホイールシリンダ液圧低下量)に応じた当該目標減速度(目標制動力Tbo)の補正を行わない。
ステップS13においては、VDC介入時の(図8の瞬時t2における)マスターシリンダ液圧Pmcを、図8のごとくPmcoとしてメモリする。
ステップS14においては、VDC制御量であるVDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1(図5と同じ)を読み込む。
ステップS15においては、当該VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc1(図5と同じ)を推定する。
従ってステップS14およびステップS15は、本発明における制動操作液圧変動量演算手段に相当する。
なお、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc1(図5と同じ)を推定するに際し、ステップS15におけるごとく、VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧上昇量ΔPwc1と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから当該推定を行う場合、この推定を新たな手段の追加なしに安価に行うことができて有利である。
ステップS17においては、ステップS13でメモリしたVDC介入時マスターシリンダ液圧Pmcoに対応する目標減速度(目標制動力Tbo2)を演算する。
ステップS18においては、ステップS17で求めたVDC介入時マスターシリンダ液圧Pmco対応の目標減速度(目標制動力Tbo2)と、ステップS16で求めたVDC対象車輪のVDC後ホイールシリンダ液圧Pmco'に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)との偏差ΔTbo1(図5と同じ)を目標減速度(目標制動力Tbo)の補正量とし、目標減速度(目標制動力Tbo)を図8に実線で示すごとくΔTbo1だけ嵩上げして補正する。
従ってステップS16、ステップS17およびステップS18は、本発明における目標制動力変化量演算手段および目標制動力補正手段に相当する。
そして、かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の保持により、非VDC対象車輪のホイールシリンダ液圧PwcもVDC介入時t2の値を保つことができ、運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図8の場合も図5の場合と同様に、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1〜t2間および瞬時t3以降におけると同じ減速度)を発生させることができる。
VDCの作動中、制動操作力の増大でマスターシリンダ液圧PmcがVDCの作動開始時t2(図8参照)における液圧値Pmcoよりも高くなったとき、または、制動操作力の低下で制動操作量およびマスターシリンダ液圧Pmcがともに低下するときに終了させるものとする。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の補正要領によれば、VDC実施後において目標減速度(目標制動力Tbo)をより運転者の希望する値に近づけることができて有利である。
ステップS23においては、ABS介入時の(図9の瞬時t1における)マスターシリンダ液圧Pmcを、図9のごとくPmcoとしてメモリする。
ステップS24においては、ABS制御量である第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下量ΔPwc3(図6と同じ)を読み込む。
ステップS25においては、当該第1のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧低下量ΔPwc3と、対応するブレーキ配管内における液圧剛性とから、マスターシリンダ液圧変動量ΔPmc2(図6と同じ)を推定する。
従ってステップS24およびステップS25は、本発明における制動操作液圧変動量演算手段に相当する。
ステップS27においては、ステップS23でメモリしたABS介入時マスターシリンダ液圧Pmcoに対応する目標減速度(目標制動力Tbo2)を演算する。
ステップS28においては、ステップS27で求めたABS介入時マスターシリンダ液圧Pmco対応の目標減速度(目標制動力Tbo2)と、ステップS26で求めた第1のABS対象車輪のABS後ホイールシリンダ液圧Pmco"に対応する目標減速度(目標制動力Tbo1)との偏差ΔTbo2(図6と同じ)を目標減速度(目標制動力Tbo)の補正量とし、目標減速度(目標制動力Tbo)を図9に実線で示すごとくΔTbo2だけ低下補正する。
従ってステップS26、ステップS27およびステップS28は、本発明における目標制動力変化量演算手段および目標制動力補正手段に相当する。
そして、かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の保持により、第1のABS対象車輪がABSを開始された瞬時t1には未だ非ABS対象車輪であった第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcも、実線で示すごとくABS介入時t1の値を保つことができ、運転者が制動操作によって希望している本来の目標減速度(図9の場合も図6の場合と同様に、ブレーキペダル踏力を一定に保っているから、瞬時t1までにおけると同じ減速度)を発生させることができる。
つまり従来は第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが、図6につき前述した通り、そして図9に破線で示すように、目標制動力Tbo(目標減速度)の不要な増大ΔTbo2に呼応してΔPwc4のごとく上昇され、本来なら生ずることのなかった当該車輪の制動ロックを瞬時t2に生じさせるという問題を生ずる。
しかるに本実施例によれば、第2のABS対象車輪のホイールシリンダ液圧Pwcが実線で示す通り、ABS介入時t1の値を保つことから、当該車輪の不要な制動ロックを回避して、制動距離を短縮することができる。
第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始されるという問題も生ずる。
従って第1のABS対象車輪が、ABSを終了された瞬時t3の直後における瞬時t4に、再び制動ロックを生じてABSを再開始されるという問題を生ずることがない。
ABSの作動中、制動操作力の低下で制動操作量およびマスターシリンダ液圧Pmcがともに低下し、マスターシリンダ液圧PmcがABSの作動開始時t1(図9参照)における液圧値Pmcoよりも低くなったときに終了させるものとする。
かかる目標減速度(目標制動力Tbo)の補正要領によれば、ABS実施後において目標減速度(目標制動力Tbo)をより運転者の希望する値に近づけることができて有利である。
2 バキュームブースタ(制動操作ユニット)
3 マスターシリンダ(制動操作ユニット)
4a 一方のマスターシリンダ液圧配管
4b 他方のマスターシリンダ液圧配管
5FL,5FR 左右前輪ホイールシリンダ
5RL,5RR 左右後輪ホイールシリンダ
6 ブレーキアクチュエータ
11a,11b 差圧制御弁
12FL,12FR 左右前輪ホイールシリンダ用増圧弁
12RL,12RR 左右後輪ホイールシリンダ用増圧弁
13FL,13FR 左右前輪ホイールシリンダ用減圧弁
13RL,13RR 左右後輪ホイールシリンダ用減圧弁
14a,14b リザーバ
15a,15b ポンプ
16a,16b 逆止弁
31 ブレーキコントローラ
32 目標減速度算出部
33 回生協調ブレーキ制御部
34 ペダルストロークセンサ
35 圧力センサ
36 車速センサ
Claims (6)
- 制動操作ユニットからの制動操作液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットへのブレーキ作動液圧を、前記制動操作液圧から求めた目標制動力が達成される液圧値となすようにした電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算する制動操作液圧変動量演算手段と、
該手段で求めた制動操作液圧変動量から、該制動操作液圧変動に伴う前記目標制動力の変化量を演算する目標制動力変化量演算手段と、
該手段で求めた目標制動力変化量だけ前記目標制動力を、前記制動操作液圧変動量による影響を受けることのないよう補正する目標制動力補正手段とを具備してなることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記制動操作液圧変動量演算手段は、前記差圧制御による前記制動操作液圧の変動量を演算するに際し、該差圧制御による前記ブレーキ作動液圧の変動量を推定し、このブレーキ作動液圧変動量から制動操作液圧変動量を演算するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項2に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記制動操作液圧変動量演算手段は、前記ブレーキ作動ユニットにより制動される車輪の制動力制御によって車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置の作動中、該車両挙動制御装置が指令するブレーキ作動液圧の増大量を前記ブレーキ作動液圧変動量として用いるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項3に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記目標制動力補正手段は、前記車両挙動制御装置の作動中、制動操作力の増大で制動操作液圧が前記車両挙動制御装置の作動開始時における液圧値よりも高くなったとき、または、制動操作力の低下で制動操作量および制動操作液圧がともに低下するとき、前記目標制動力の補正を終了するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記制動操作液圧変動量演算手段は、車輪の制動ロックを防止するアンチスキッド制御装置の作動中、該アンチスキッド制御装置が指令するブレーキ作動液圧の低下量を前記ブレーキ作動液圧変動量として用いるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項5に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記目標制動力補正手段は、前記アンチスキッド制御装置の作動中、制動操作力の低下で制動操作量および制動操作液圧がともに低下し、制動操作液圧が前記アンチスキッド制御装置の作動開始時における液圧値よりも低くなったとき、前記目標制動力の補正を終了するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
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