JP5206052B2 - 化粧シートおよび化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、住設機器や家電製品などの表面化粧等に使用するための化粧シートおよび化粧材に関するものであり、さらに詳しくは、植物由来材料比率(バイオマス度)の高い樹脂を基材シート原料とし、焼却時にも有毒ガスを発生せず、地球環境と人体に優しい化粧シートおよび化粧材に関するものである。
係る樹脂系の化粧シートとしては、絵柄の印刷を熱可塑性樹脂シート基材の表面側又は裏面側に施した単相構造の化粧シートと、絵柄層をその裏面側の熱可塑性樹脂シート基材と表面側の透明樹脂層との間に挟持した複相構造の化粧シートとがある。前者は構造が単純なので安価かつ簡便に製造可能である利点があり、後者は製造面や価格面からはやや不利ではあるが、絵柄が表裏両面から保護されているので、絵柄の耐磨耗性や耐溶剤性、耐候性等の表面物性と、被貼着基材への接着時に使用する接着剤に対する耐性とを兼ね備え、また意匠面からも、基材シートの着色による高隠蔽化と、透明樹脂層へのエンボス加工による高意匠化とを両立できる等、性能面では多くの利点がある。係る関係により、両者は用途により要求される性能や価格に応じて使い分けられている。
従来この種の化粧シートに使用される熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル共重合体樹脂などが該化粧シートの基材シート又はその基材シート表面の透明樹脂層などとして使用される。なかでも塩化ビニル樹脂を用いた化粧シートは、印刷適正、高意匠性、下地基材との接着性の点などに優れ広く用いられてきたが、焼却時の発生ガス等の環境問題から、ポリオレフィン樹脂による化粧シートが開発され、提案されている(特許文献1参照)。
例えばポリ乳酸のように、バイオマス原料から生産されるバイオマス材料を用いることに関して、日本バイオプラスチック協会(JBPA)が有機資源(植物等)由来物質を、プラスチック構成成分として所定量以上含む、バイオマスプラスチック製品を地球温暖化防止の観点と、化石資源消費縮減の重要性をかんがみ、バイオマスプラの識別表示制度を制定し、一般消費者が、バイオマスプラスチック製品を容易に識別できるよう、当協会が定める基準に適合する製品を「バイオマスプラ」として認証し、シンボルマークの使用を許可している。バイオマスプラ識別認定のためには、製品中のバイオマスプラスチック度(原材料、製品に含まれるバイオマスプラスチック組成中のバイオマス由来成分の全体量に対する割合)が、25wt%以上のプラスチック製品である必要があり、化粧シートにおけるバイオマス材料比率をできるだけ高く(最低でも25wt%以上)することは、地球環境への負荷を考えても非常に重要であり、バイオマスプラスチック認定マークを取得することで、消費者に対して付加価値として認識されることを考えると、今後必要な検討項目である。
ポリ乳酸は、とうもろこしなどのバイオマス原料から大量生産可能なバイオマス材料として注目されており、昨今の環境問題への関心の高まりを受け、生産プラントの整備などによりコスト的にも従来の石油由来プラスチックへの代替として期待されている。ポリ乳酸の特徴として、融点が約170℃と比較的高く、また、高い透明性や高い弾性率などの長所を持つが、ガラス転移温度以上の環境下での軟質化に起因する耐熱性、加水分解による物性低下、耐溶剤性などの短所を併せ持つ材料である。
環境負荷低減のため、ポリ乳酸の化粧シート材料としての検討が進められてきたが、上記問題点によりポリ乳酸単体での検討は困難である。例えば、特許文献2にはポリ乳酸系樹脂からなる樹脂基材シートに装飾処理を施した化粧シートが開示されているが、これらの処方を用いた場合では、絵柄印刷のためのインキとの密着性、木質系材料などの下地材との接着性改善のためのプライマー層との密着性、脆性的な物性による耐衝撃性、化粧シートとして求められる耐湿、耐熱などの各種耐候性などを満たすことができない。
特開2001−353828号公報 特開平11−129426号公報
本発明は、従来の技術における以上の様な問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、環境負荷低減のため、バイオマス度の高い化粧シートを開発するにあたり、化粧シートのバイオマス比率を上げ、かつ、従来の石油系プラスチックによる化粧シートと同程度の性能を付与した化粧シートを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含み、該ポリ乳酸系樹脂が分散相、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることを特徴とする化粧シートである。
請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性樹脂層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含み、該ポリ乳酸系樹脂が分散相、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることを特徴とする化粧シートである。
請求項3に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂シート基材において、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリ乳酸系樹脂が5重量部以上、150重量部以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シートである。
請求項4に記載の発明は、前記表面保護層が紫外線吸収剤および光安定剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の化粧シートである。
請求項5に記載の発明は、前記化粧シートにおいて、化粧シート全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の化粧シートである。
請求項6に記載の発明は、少なくとも請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シートを木質基材に貼合してなることを特徴とする化粧材である。
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂を含むことを特徴とする化粧シートある。汎用的なポリエステル樹脂である、ポリエチレンテレフタレート(PET)は酸成分がテレフタル酸、グリコール成分がエチレングリコールであるのに対して、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)はグリコール成分を1,3−プロパンジオールとする飽和ポリエステル樹脂である。近年、この1,3−プロパンジオールをトウモロコシの糖を醗酵させて生産する技術が確立され、バイオベースの1,3−プロパンジオールを用いたPTTが生産されている。このPTTを製膜した熱可塑性樹脂シート基材を化粧シートに用いることで、バイオマス度の高い化粧シートを得ることができる。PTTはポリ乳酸と比較すると、耐溶剤性、耐湿性に優れた樹脂であり、十分な物性の化粧シートを得ることが可能となる。
請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性樹脂層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂を含むことを特徴とする化粧シートである。透明熱可塑性樹脂層が積層されていることにより、耐磨耗性、耐傷性、柔軟性、折り曲げや切削等の加工適正などを化粧シートに付与することができる。
また、請求項1および請求項2に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含み、該ポリ乳酸系樹脂が分散相、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることを特徴とする化粧シートである。ポリトリメチレンテレフタレートとポリ乳酸とのポリマーアロイを用い、かつ、ポリ乳酸が分散相、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることが特徴であり、これにより化粧シートのバイオマス度を高くすることが可能となる。また、ポリ乳酸が分散相の相構造となっていることにより、前記ポリ乳酸単独で用いた化粧シートにおける問題点を改善することができる。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂シート基材において、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリ乳酸系樹脂が5重量部以上、150重量部以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シートである。ポリ乳酸系樹脂が150重量部以上である場合には、ポリ乳酸系樹脂が連続相となる相構造となり、化粧シートとしての必要物性を得ることができない。また、ポリ乳酸系樹脂が5重量部より少ない場合には、化粧シートのバイオマス度を高くする効果が少ない。
請求項に記載の発明は、前記表面保護層が紫外線吸収剤および光安定剤を含有することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の化粧シートである。請求項に記載の発明により、紫外線照射下にて長期間にわたり紫外線などの影響を受ける事による化粧シート樹脂層の劣化が抑制され、また、表面保護層の密着力の経時変化を抑制することが出来る。これにより耐候性に優れた化粧シートを提供することが可能となる。
請求項に記載の発明は、前記化粧シートにおいて、化粧シート全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の化粧シートである。前記化粧シートにおいて、化粧シート全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることにより日本バイオプラスチック協会(JBPA)による、バイオマスプラスチック認定マークを取得すること可能となり、化粧シートに環境負荷の小さい商材としての、付加価値を付与することができる。
請求項に記載の発明は、少なくとも請求項1からのいずれか1項に記載の化粧シートを木質基材に貼合してなることを特徴とする化粧材である。少なくとも請求項1からのいずれか1項に記載の化粧シートを木質基材に貼合されてなることが特徴であり、本発明の化粧シートを用いることで化粧材としてのバイオマス比率も高いものとなる。
以下に本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。図1に示す例では、本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂シート基材1はポリトリメチレンテレフタレート樹脂あるいはポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂のポリマーアロイからなり、ポリマーアロイの場合にはポリ乳酸系樹脂が分散相、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相の海島構造を有している。熱可塑性樹脂シート基材上に絵柄インキ層2、透明熱可塑性樹脂層5および表面保護層6が順次積層されて構成されるものである。
本発明でいうポリトリメチレンテレフタレート(PTT)は酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分として1,3−プロパンジオールから構成されるポリエステル系樹脂である。本発明におけるPTT樹脂としては、全繰り返し単位の90モル%がトリメチレンテレフタレート単位であれば、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸など、ジオール成分として、エチレングリコール、ブタンジオールなどが挙げられる。
本発明における化粧シートにおいて、バイオマス度25wt%が必要であるため、PTT単体を前記熱可塑性樹脂シート基材として用いる場合には、PTTの1,3−プロパンジオールはバイオベースである必要がある。
PTT樹脂の製造方法に関しては特に制限するものではなく、テレフタル酸を1,3−プロパンジオールと直接エステル化させた後に、減圧、加熱下で重合させる方法や、テレフタル酸のエステル形成性誘導体を1,3−プロパンジオールとエステル交換反応させた後に、減圧、加熱下で重合させる方法などを用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいても構わない。他の共重合成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、テレフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、プロピオラクトンなどのラクトン類が挙げられる。
ポリ乳酸の製造方法に関しては特に制限するものではなく、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法など公知の重合方法を用いることができる。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂に関しては、本発明の目的を損なわない範囲において、ポリ乳酸系樹脂の末端封鎖による耐加水分解処理を行うことができる。耐加水分解処理をすることにより、化粧シートとしての耐湿性を向上させることが可能となる。末端封鎖剤としては、ポリ乳酸のカルボキシル末端基を封鎖することのできる化合物であれば特に限定されるものではなく、一般的なポリマーのカルボキシル末端の封鎖剤として用いられているものを用いることができる。
このようなカルボキシル基反応性末端封鎖剤としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ化合物、N、N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2´,6´−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物、2,2´−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのオキサゾリン化合物、オキサジン化合物から選ばれる少なくとも一種または二種以上の化合物を任意に選択して使用することができる。
PTT樹脂とポリ乳酸系樹脂とのアロイに関しては、特に限定されるものではなく、1軸または2軸の押出機を用い、溶融混練する方法を用いることが出来るが、ポリマーアロイにおける良好な分散性を考えると、2軸押出機を用いた溶融混練がより好ましい。
PTTとポリ乳酸のポリマーアロイを熱可塑性樹脂シート基材として用いる場合には、PTTが連続相、ポリ乳酸が分散相の相構造をとることが本発明において必要であり、特徴である。前述のようにポリ乳酸は耐熱性、耐湿性、耐溶剤性等に劣る材料であり、化粧シートとしての必要物性を満たすことができない。これに対し、PTT樹脂はポリ乳酸と比較すると、耐熱性、耐湿性、耐溶剤性等に優れた樹脂であり、十分な物性の化粧シートを得ることが可能である。PTTを連続相とすることで、熱可塑性樹脂シート基材に十分な物性を付与させつつ、ポリ乳酸を分散相としてアロイすることで、熱可塑性樹脂シート基材のバイオマス度を上げることが可能となる。ポリ乳酸が連続相の場合には、熱可塑性樹脂シート基材の基礎物性はポリ乳酸に依存することとなり、PTT樹脂とのアロイ化によっても十分な物性を得ることが困難である。
バイオベースの1,3−プロパンジオールからなるPTTの場合、PTTにおけるバイオマス度としては、繰り返し単位量などによるがおおよそ30wt%〜40wt%となる。本発明において、「バイオマスプラ」認定の観点から、化粧シート全体としてのバイオマス度として25wt%以上が必要である。例えば図1に示すような透明熱可塑性樹脂との積層構造の場合、PTT樹脂単体で熱可塑性樹脂シート基材を構成すると、熱可塑性樹脂シート基材と透明熱可塑性樹脂層との厚み比は限定されたものとなる。つまり、バイオマス度25wt%以上の化粧シートとするために、透明熱可塑性樹脂層の厚みを熱可塑性樹脂シート基材の厚みに対して薄い構成にする必要がある。化粧シートとしての必要物性を満たすために、化粧シートの各層の構成や厚み比を幅広く検討することが可能である点からは、熱可塑性樹脂シート基材としてPTTとポリ乳酸のポリマーアロイを用い、熱可塑性樹脂シート基材のバイオマス度をなるべく高く設定することが特に好ましい。
熱可塑性樹脂シート基材として,ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して,ポリ乳酸系樹脂が5重量部以上,150重量部以下であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂が150重量部以上である場合には、ポリ乳酸系樹脂が連続相となる相構造となり、化粧シートとしての必要物性を得ることができない。また、ポリ乳酸系樹脂が5重量部より少ない場合には、化粧シートのバイオマス度を高くする効果が少ない。
熱可塑性樹脂シート基材1の製造方法には特に制限はなく、Tダイ押出法、インフレーション成形法およびカレンダー成形法などの公知の方法で製膜することができる。また、熱可塑性樹脂シート基材1の厚さには特に制限はなく、従来の一般の化粧シートの基材シートと同様の厚さのものを使用することができる。具体的には、化粧シートの用途や樹脂の種類にもよるが、50〜200μm程度の範囲から選ばれるのが一般的である。
熱可塑性樹脂シート基材には、目的の化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。これらの添加剤として具体的には、以下に示す添加剤を使用することができる。
酸化防止剤としては例えばフェノール系、硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダードフェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤としては樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ系、ポリエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アルコール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えばカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸カルシウム、滑石、蝋石、カオリン等から選ばれる1種又は2種以上の混合系で使用することができる。
上記の他、熱可塑性樹脂シート基材1を構成する熱可塑性樹脂に、適宜の有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤を添加することによって、熱可塑性樹脂シート基材1を着色することもできる。特に、用途により化粧シートが隠蔽性を必要とする場合には、隠蔽性顔料を使用して熱可塑性樹脂シート基材1を隠蔽性とすることが好ましい。隠蔽性顔料とは、分散媒たる熱可塑性樹脂と比較して高屈折率の顔料であり、屈折率の高さや耐候性、耐薬品性等の面から、例えば酸化チタン系顔料や酸化鉄系顔料等の無機顔料を少なくとも使用することが好ましい。勿論、熱可塑性樹脂シート基材1自体を隠蔽性とする替わりに、隠蔽性顔料等を含有する印刷インキ又はコーティング剤等からなる隠蔽ベタ層を設けても良いし、両者を併用することもできる。
また、熱可塑性樹脂シート基材には、木質系基材などの下地材と接着させる面に必要に応じてプライマー層8が設けられる。プライマー層8としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等、従来公知の易接着性プライマー剤から任意に選択して使用すれば良い。また、プライマー層8に例えばシリカ等の無機質微粉末を添加して粗面化しておくと、化粧シートの巻取保存中のブロッキングの防止や、投錨効果による接着性の向上などに有効である。
絵柄インキ層2は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものであって、その絵柄の種類には特に制限はなく、例えば木目柄、石目柄、抽象柄、単色無地等、従来の化粧シートの場合と同様の各種の絵柄を採用することができる。絵柄インキ層2の構成材料や形成方法にも特に制限はなく、例えば有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる、印刷インキ又はコーティング剤等を、適宜の印刷方法又はコーティング方法によって印刷又は塗工して設けることができる。
前記着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。
また、前記結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
また、前記溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤等の各種有機溶剤や、水等の無機溶剤、又はそれらの2種以上の混合溶剤等を使用することができる。
絵柄インキ層2の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
本発明において、熱可塑性樹脂シート基材/絵柄インキ層に、透明熱可塑性樹脂層5が積層されていてもよく、透明熱可塑性樹脂層が積層されることで、耐磨耗性、耐傷性、柔軟性、折り曲げや切削等の加工適正などを化粧シートに付与することができる。ここでの「透明」であるとは、必ずしも厳密な意味での透明に限定されるものではなく、半透明や着色透明等であっても良い。
透明熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等の公知の熱可塑性樹脂が使用できるが、中でもポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂とは、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体や、これらを接着性の向上の目的で酸変性したもの、あるいはアイオノマー等から適宜選択が可能で、単一でも複数種の混合でも構わない。中でも、化粧シートとして要求される適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、後加工性等を備え、なおかつ安価で提供される点から、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂が最も適している。
透明熱可塑性樹脂層5の厚みには特に制限はなく、従来の一般的な化粧シートの場合と同等に設定することができる。具体的には、図1に示す様な複層構造の化粧シートの透明樹脂層として使用する場合には20〜150μm程度の範囲とされる場合が多い。ただし、化粧シート全体としてもバイオマス度を25wt%以上にするために、熱可塑性樹脂シート基材のバイオマス度によって、透明熱可塑性樹脂層の厚みを設定する必要がある。
なお、図1に示す様な複層構造の化粧シートにおいては、絵柄インキ層2は熱可塑性樹脂シート基材1と透明熱可塑性樹脂層5との積層前に透明熱可塑性樹脂層5側に設けておいても良いが、熱可塑性樹脂シート基材1側に設けておいても良い。また、絵柄インキ層2の形成に先立ち必要に応じて、透明熱可塑性樹脂層5又は熱可塑性樹脂シート基材1の被印刷面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー処理又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、透明熱可塑性樹脂層5又は熱可塑性樹脂シート基材1と絵柄インキ層2との密着性の向上を図ることもできる。また、本発明における熱可塑性樹脂シート基材はポリトリメチレンテレフタレート樹脂もしくは、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相の相構造となっているポリマーアロイであることが特徴であり、これにより、ポリ乳酸系樹脂単体を用いた場合では困難であった、従来の化粧シートと同等のインキ密着性を得ることが可能である。
本発明においては透明熱可塑性樹脂層5と熱可塑性樹脂シート基材1との積層方法にも特に制限はなく、従来公知の任意の方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、予めフィルム状乃至シート状に成形された透明熱可塑性樹脂層5をドライラミネート接着剤、感熱接着剤、感圧接着剤又は電離放射線硬化型接着剤等の適宜の接着剤5を介して熱可塑性樹脂シート基材1の表面上に接着する方法、或いは接着剤を介さずに熱圧着又は超音波溶着等の手段によって直接接着する方法や、透明熱可塑性樹脂を加熱溶融しフィルム乃至シート状に押し出し成形すると同時に熱可塑性樹脂シート基材1の表面上に積層し接着させる方法等、従来公知の各種の方法の中から、樹脂の特性に合致した方法を適宜選択して使用することができる。
なお、上記積層に先立ち、透明熱可塑性樹脂層5及び/又は熱可塑性樹脂シート基材1に絵柄インキ層2を施しておいても良いことは勿論であるが、その他、接着性の向上を目的として、透明熱可塑性樹脂層5及び/又は熱可塑性樹脂シート基材1の接着面に、コロナ処理又はオゾン処理等の適宜の表面活性化処理や、適宜の接着性樹脂組成物からなるアンカーを施しておくこともできる。また押し出しラミネート法の場合には、透明熱可塑性樹脂と共に接着性樹脂4を熱可塑性樹脂シート基材1との間に挟持する様に共押し出し積層することにより、接着性の向上を図ることもできる。
透明熱可塑性樹脂層5の表面には、従来公知の如く、必要に応じて所望の適宜の模様のエンボス7を設けることもできる。エンボス7の模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、和紙調、布目調、幾何学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であっても良い。また、これらのエンボス7の模様を絵柄インキ層2の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることも出来るが、その必要がなければ非同調であっても良く、また絵柄インキ層2の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボス7を設けることもできる。
エンボス7の形成方法にも特に制限はないが、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最も一般的である。またエンボス7の形成はどの工程で行っても特に制限はなく、熱可塑性樹脂シート基材1との積層前、積層と同時又は積層後などの任意の工程でよく、またこれらの中から選ばれる複数の工程で同一又は異なる模様のエンボス7を複数回に亘って施すこともできる。なお、エンボス7の凹陥部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤を充填しても良く、これによって表面の凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
また、化粧シートの表面に更に優れた表面物性を付与する目的で、透明熱可塑性樹脂層5の表面に表面保護層6を設ける。表面保護層6は、先ず表面の保護としての役割を持っており、表面硬度維持向上や耐汚染性向上、表面の艶を調節する層である。使用される材料としては、ポリウレタン系、アクリルシリコン系、フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系等から適宜選択することができる。形態も水性、エマルジョン、溶剤系等いずれも使用可能で、かつ硬化も一液タイプでも硬化剤を用いた二液タイプでも良い。中でもイソシアネートを用いたウレタン系の保護層は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
前述したイソシアネートには、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等から適宜選択できるが、耐候性を考慮すると二重結合を持つタイプよりも直鎖状の構造を持つタイプ、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が最適である。
また、本発明における表面保護層6には耐候性を向上させる役割があり、紫外線吸収剤および光安定剤を適宜添加する必要がある。紫外線吸収剤としてはトリアジン系紫外線吸収剤、光安定剤としてはヒンダードアミン系光安定剤を好適に用いることができる。
保護層に用いられるトリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2、4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が等を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
保護層に用いられるヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ)−4−ピペリジニル]エステルなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を例示でき、これらを単独で又は複数を混合して使用できる。
表面保護層は最表面に存在するためシートの耐候性に寄与する部分が大きい。そのため耐候性を十分考慮する必要があり、紫外線吸収剤および光安定剤それぞれの添加量は樹脂や溶剤中への溶解度にもより、その要求物性や多量添加による弊害も考慮して、各々、保護層塗液の固形分100重量部に対し、0.1重量部から10重量部程度添加される。
表面保護層を塗工形成させる際の塗液は、溶剤系、無溶剤系、水系、エマルジョン系、ホットメルト系等、乾燥性とシートの耐熱性、乾燥後のブロッキング性、またシートとの密着性等々を考慮して適宜選択すると良い。また塗工方法も、例えばグラビアコート法、ロールコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、キスコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、フローコート法等の従来公知の任意のコーティング法を適宜適用することができる。また、表面保護層の膜厚としては1〜20μmであることが好ましい。
なお、透明熱可塑性樹脂層5と表面保護層6との密着性が不十分である場合には、表面保護層6の塗工形成に先立ち、透明熱可塑性樹脂層5の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、透明熱可塑性樹脂層5と表面保護層6との間の密着性を向上することができる。
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
熱可塑性樹脂シート基材として、バイオベースの1,3−プロパンジオールを用いたPTT樹脂(デュポン(株)製:ソロナ)に対しフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加し、二軸押出機を用いて成形温度190℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練した。押出機先端にとりつけたTダイからシートを押出、900mm幅、厚さ100μmの熱可塑性樹脂シート基材を製膜した。得られた熱可塑性樹脂シート基材の表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造(株)製:ラミスター)を使用して木目模様を施し、絵柄インキ層とした。さらに木目模様の絵柄インキ層上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤[主剤として東洋インキ製造(株)製:EL510(ポリエステルポリオール)を50重量%、三井武田ケミカル(株)製:A520(ウレタン変成ポリエステルポリオール)を50重量%の混合物]を使用し、また、イソシアネートとして4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを5重量%、イソホロンジイソシアネートを50重量%、ヘキサメチレンジイソシアネートを45重量%の混合物を使用し、前記主剤とイソシアネートを5:1の割合で混合し2液硬化型ウレタン系アンカーコート剤とした。これをグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層を形成した。
ホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した透明熱可塑性樹脂層構成用の樹脂と、無水マレイン酸でグラフト重合した変性ランダムポリプロピレン樹脂(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量)とを、Tダイから共押し出しすると共に、前記熱可塑性樹脂シート基材と一体化させて導管エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に通すことにより、ラミネートとエンボス付与とを同時に行い、絵柄インキ層の施された熱可塑性樹脂シート基材上のアンカーコート層面に、接着性樹脂層を介して、表面に凹陥模様のエンボスされた透明熱可塑性樹脂層をラミネートした。透明熱可塑性樹脂層の厚みとしては、40μmとなるように、押し出し吐出量およびラインスピードを調整した。熱可塑性樹脂シート基材とのラミネートに際しては、その直前に、前記接着性樹脂層として働く、接着性樹脂層にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付けてラミネート強度を一段と向上させるようにした。
さらに、その透明熱可塑性樹脂側に表面保護層として、トリアジン系紫外線吸収剤(2−〔4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2、4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)とヒンダードアミン系光安定剤(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートの混合物)を含有する二液硬化型ウレタン系トップコートを、乾燥硬化後の厚みが9μmとなるようグラビアコーティングにて塗工して化粧シートを作成した。
熱可塑性樹脂シート基材として,バイオベースの1,3−プロパンジオールを用いたPTT樹脂(デュポン製:ソロナ)100重量部に対して、ポリ乳酸樹脂(ユニチカ製:TP−4000)を65重量部にて配合した熱可塑性樹脂材料に対し、フェノール系酸化防止剤を0.1重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.2重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加し、二軸押出機を用いて成形温度2300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練した。押出機先端にとりつけたTダイからシートを押出、900mm幅、厚さ60μmの基材シートを製膜し、その他の材料および製造方法は実施例1同じ化粧シートを作成したが、透明性熱可塑性樹脂層の厚みは60μmとした。
<比較例1>
熱可塑性樹脂シート基材として、二軸延伸ポリ乳酸フィルム(三菱化学製:エコロージュ)を用い、その他の材料および製造方法は実施例1同じ化粧シートを作成した。
<比較例2>
熱可塑性樹脂シート基材として、バイオベースの1,3−プロパンジオールを用いたPTT樹脂(デュポン製:ソロナ)100重量部に対して,ポリ乳酸樹脂(ユニチカ製:TP−4000)を200重量部にて配合した熱可塑性樹脂材料に対し、フェノール系酸化防止剤を0.1重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.2重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加し、二軸押出機を用いて成形温度2300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練した。押出機先端にとりつけたTダイからシートを押出、900mm幅、厚さ60μmの基材シートを製膜し、その他の材料および製造方法は実施例1同じ化粧シートを作成した。
(バイオマス度測定)
バイオマス度の定義としては、商品の乾燥重量に対する使用したバイオマス材料の乾燥重量の割合であるが、ASTM D6866法に基づき、加速機質量分光計(AMS)等により放射性炭素の濃度を求めることで,放射性炭素(C14)年代測定の原理に基づいて、石油起源の炭素と生物起源の炭素の含有量を、試料の形態にかかわらず決定することができる。
(基材シート相構造観察)
ミクロトームを用いて超薄切片を切り出しTEM観察で基材シート断面における、連続相および分散相の様子を観察した。実施例1の化粧シートにおいて、熱可塑性樹脂シート基材の観察を実施した結果、本発明の特徴である、ポリ乳酸系樹脂が分散相、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造が確認できた。これに対し、比較例2の化粧シートにおいては、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が分散相、ポリ乳酸樹脂が連続相の相構造となっていた。
下記項目についての評価結果を表1に示す。
(耐候性評価)
得られた化粧シートに関して、耐候性評価をするために耐候促進試験(メタルハライドランプ方式試験機 JTM G 01 2000日本試験機工業会規格)を行った。試験機は、ダイプラ・メタルウェザー(KU−R5CI−A:ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用いた。
耐候促進試験条件は、
1.光源ランプ:MW−60W、フィルター:KF−1(照射範囲295nmから780nm)照度65±3mW/cm(測定域 330nmから390nm)Light(照射)(53℃、50%RH)20.00時間
2.Dew(暗黒結露)(30℃、98%RH)4.00時間
3.Rest(休止)(30℃、98%RH)0.01時間
以上の24.01時間を1サイクルとして、216時間試験した。なお、シャワーはDewの前後に30秒おこなった。試験後の化粧シートの外観、ラミネート強度を測定し評価した。
また、得られた化粧シートを60℃90%RHの恒温恒湿層に500時間保持した後、化粧シートの外観、ラミネート強度を測定し耐湿、耐熱試験として評価した。
なお、ラミネート強度の測定は以下の方法による。得られた化粧シートを2.5cm幅に切り取り、剥離試験機(株式会社オリエンテック製 TENSILON RTC−1250)にセットし、剥離速度50cm/min、T型剥離で測定した。
表1の結果から分かるように、今回の発明によって得られた実施例1、2は、本発明の特徴である化粧シート全体としてのバイオマス度が25wt%の条件を満たし、比較例1に示すようなポリ乳酸系樹脂単体のフィルムで構成された化粧シートや熱可塑性樹脂シート基材においてポリ乳酸樹脂が連続相となっている比較例2に比べ、耐候性、耐熱性、耐湿性に優れた化粧シートを得ることができた。以上の結果から、本発明により、環境負荷低減のため、バイオマス度の高い材料を用いた化粧シートを開発するにあたり、十分な化粧シートのバイオマス度を有し、かつ、従来の石油系プラスチックによる化粧シートと同程度の性能を付与した化粧シートを提供することができた。
本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂シート基材
2 絵柄インキ層
3 アンカーコート層
4 接着性樹脂層
5 透明熱可塑性樹脂層
6 表面保護層
7 エンボス
8 プライマー層

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含み、該ポリ乳酸系樹脂が分散相、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることを特徴とする化粧シート。
  2. 熱可塑性樹脂シート基材上に、少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性樹脂層と表面保護層がこの順に積層されてなる化粧シートにおいて、該熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリトリメチレンテレフタレート樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含み、該ポリ乳酸系樹脂が分散相、該ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が連続相となる相構造であることを特徴とする化粧シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂シート基材において、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、ポリ乳酸系樹脂が5重量部以上、150重量部以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層が紫外線吸収剤および光安定剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記化粧シートにおいて、化粧シート全体としてのバイオマス度が25wt%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 少なくとも請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シートを木質基材に貼合してなることを特徴とする化粧材。
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