JP5205509B2 - 血管留置デバイス、これを用いた血管狭窄モデルおよびその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、動物における血管狭窄モデル作製のための血管留置デバイス、これを用いた動物における血管の狭窄あるいは完全閉塞モデルおよびその作製方法に関する。
さらに本発明は、血管での狭窄または完全閉塞を伴う疾患の診断または治療のための、さらには治療方法の開発のための上記モデルの使用に関する。
厚生労働省平成18年人口動態統計によれば、循環器系の主たる疾病である心疾患による死亡は国内における死因の第2位であり、特に心筋梗塞を主とする虚血性心疾患が高い割合を占めている。この虚血性心疾患の治療法として血管狭窄部にガイドワイヤーを通過させた後、血管の狭窄部を拡張するPCI術(Percutaneous Coronary Intervention)が広く行われている。このPCI術は、医療機器の進歩や、治療技術の向上により成功率を高めており、完全に閉塞していない病変での成功率は現在95%を超えている。しかしながら、完全に閉塞された病変いわゆる慢性完全閉塞(Chronic Total Occlusion:CTO)では、組織が石灰化もしくは高度に線維化されており、ガイドワイヤーの通過が困難であることが多く、その成功率は70%程度であり、1990年以降僅かしか改善されていないのが現状である(非特許文献1〜3)。このため、慢性完全閉塞病変における治療法の開発や手技のトレーニング、特にガイドワイヤー手技のトレーニングに有用な心疾患モデルが必要とされている。
また、臨床データの蓄積によって、心筋梗塞の発症には、動脈硬化病変部位に生ずる新生内膜の増殖や血栓等による冠状動脈の狭窄・閉塞が重要な役割を果していることが指摘されている。このような循環器系疾患や臓器移植等について、治療法の研究および確立、さらには医薬品、医療機器などの開発を進めていくには、他の疾病と同様、実験動物や動物モデルを用いた検証が必要である。
従来、げっ歯類(ラット、マウス、ウサギ)、イヌ、ブタあるいは霊長類などの各種動物における心疾患モデルが提案されている。これらは、擦過による内皮剥離(非特許文献4)、血管の過拡張(非特許文献4〜5)や、電気刺激(非特許文献6)、熱(非特許文献7)、空気への暴露(非特許文献8)、コレステロール負荷(特許文献1、非特許文献9)などにより作製されており、これら文献に示される従来の作製方法では、狭窄率のコントロールが難しいばかりでなく安定したモデルが得られにくい。特にコレステロール負荷モデルは、出来上がるまでに長期間を要し、費用的にも負荷が多い等の課題を有する。
また、完全閉塞モデルの作製方法もいくつか報告されている。たとえば外科的手法により血管内へ血液凝固塊や凝固因子を挿入し塞栓させる技術が示されるが、このような外科的手法は動物に対する侵襲性が大きいという問題がある(特許文献2〜3)。
Suzukiらはインターベンションにて骨片とゼラチンスポンジを混合して冠状動脈に挿入する手法を用いた完全閉塞モデルを報告している(非特許文献10)。この方法では、外科的侵襲は押さえられるものの、生存率は60%と低く、完全閉塞形成率も50%と実用には不十分である。
銅イオンが溶出するステントを冠状動脈内に留置すると新生内膜の増殖が認められることが報告されている(非特許文献11〜13)。急性期には銅の電気的凝固血栓(electro-thrombosis)作用(非特許文献14)や銅自体による化学的な毒性による内膜損傷(非特許文献15〜16)が惹起されるために急速に血栓を形成することから、冠状動脈への銅ステントの留置は極めて短時間で死に至る可能性が非常に高い。
特開2004−89148号公報 特表2005−503820 WO2006/030737
J Eur Heart J 2005;26:2630−6 J Am Coll Cardio1 2001;38:409−14 J Am Coll Cardiol 2007;49:1611−8 Circulation 2000;101:812−8 Arterioscler Thiomb Vasc Biol 1994;14:395−400 Am J Pathol 1997;150:761−76 Circulation 1992;86:1249−56 J Vasc Res 1996;33:308−14 J Card Surg 2008;23:312−20 J Invasive Cardio1 2008;20:296−301 日本医放会誌 1991;51:1195−20 J Invasive Cardiol 1997;10:61−9 J Invasive Cardiol 2005;17:452−4 J Neurosurg 1975;42:76−85 J Neurosurg 1989;70:751−4 臨床眼科 1989;43:1349−52
上記のとおり、血管内の狭窄あるいは完全閉塞の治療にむけた手技トレーニングおよび新たな治療デバイス開発に有効な血管狭窄および完全閉塞モデルが求められる状況に鑑み、本発明では、狭窄の程度のバラツキが少ない、安定した病態の冠状動脈狭窄あるいは完全閉塞モデルを提供することを目的とする。さらには、そのようなモデルを、右冠状動脈でも、左前下降枝、左回旋枝など使用する血管も限定なく、低い致死率で、かつ完全閉塞モデルであっても短期間で得ることができる作製方法およびそのためのデバイスを提供することを目的とする。また、特に、本発明では、ヒトに近い血管走行や血管のサイズを有する動物における生存率の高い上記血管狭窄および完全閉塞病態モデルの提供を目的としている。
本発明者は、上記課題について鋭意検討したところ、電気的凝固血栓作用および化学的な毒性を有する毒性金属イオンを溶出しうる材料を含む血管留置デバイスの表面を、該金属イオンの溶出を適切に制御する高分子膜で被覆すれば、狭窄程度の制御された血管狭窄モデルを高い生存率で作製することができることを見出した。特に、上記高分子膜を設けたデバイスを留置した動物は、1週間程度で完全閉塞病態モデルとなり、少なくとも4週間生存することを確認した。一方、上記高分子膜がなく、該金属イオンを自由に溶出し得るデバイスを留置した動物の場合は短時間で死亡した。薄い該高分子膜を設けたデバイスと該高分子膜のないデバイスのJIS T0304による該金属イオンの総溶出量(1週間)は、該高分子膜の有無によらずほぼ同等であった。さらに、薄い該高分子膜を設けたデバイスと該高分子膜のないデバイスの短時間(0〜168時間)での該金属イオン総溶出量を比較して見ると、該高分子膜を設けたデバイスの初期溶出量は、明らかに少なくなっていることが分かった。従って、該高分子膜を設けたデバイスでは、初期血栓の形成が抑制され、緩慢に閉塞を生じることで動物への負担も緩和されること、さらに生体組織と銅自体との直接的な接触が回避され、銅自体による化学的な毒性による内膜損傷も緩和されるため、死亡せずに完全閉塞病態モデルが作製できたと推測される。
また、上記高分子膜をある程度の厚みの範囲で設けたデバイスの場合、膜厚と銅イオン溶出量とは逆相関関係にあり、さらに血管狭窄率と逆相関関係にあることが確かめられ、留置期間が一定とすれば膜厚によって、完全閉塞(100%DS:% Diameter Stenosis)を含む狭窄率を制御しうることが分かった。一方、膜厚を一定として留置期間を可変すれば狭窄率を制御しうることも分かった。従って、これら知見に基づいて以下のような本発明を提供する。
本発明に係る血管留置デバイスは、少なくとも表面から毒性金属イオンとして溶出可能な金属および/または金属化合物(以下、金属類と表記する)を含有する、血管に留置した直後において血流を確保できる構造のデバイス基体と、該基体の少なくとも該金属類を含有する表面の高分子被膜層とを有する。
上記デバイスの基体は、基体表面から毒性金属イオンとして溶出可能であればよく、従ってたとえば基体自体が上記金属類であってもよく、後述するようにめっきなどの表面部分に金属類を有する構造であってもよい。
上記高分子は、好ましくはパラキシリレンおよび/またはその誘導体(これらをパリレンとも称す)から導かれる単位を含む。
高分子被膜層の膜厚は、高分子の種類によっても、また所望する狭窄率などによっても異なるが、通常、少なくとも0.001μmであり、好ましくは0.01μm以上である。一方、あまり厚いと毒性金属イオンの溶出が完全に阻害されるため、最大でも10μmである。たとえば、パリレン膜では3μm以下であれば狭窄作用を示す。
毒性金属イオンとしては、具体的に銅イオンが挙げられる。
本発明に係るデバイスのJIS T0304の測定による銅の溶出量は、通常、1デバイスあたり4〜1500μgである。
上記デバイスは、血管留置する構造のデバイスであればよく特に限定されないが、好ましくはステントである。
本発明に係る血管狭窄モデルの作製方法は、上記のようなデバイスを非ヒト健常動物の血管内に留置する。
この方法において、デバイスの高分子被膜層の膜厚により狭窄率を制御することができ、完全閉塞モデルを作製することもできる。
また特に、右冠状動脈でも、左前下降枝、左回旋枝など使用する血管を限定せず、1〜2週間の短期間で作製できる。完全閉塞モデルでも同様である。さらには、たとえばブタなどのよりヒトに近い動物でもそのようなモデル作製を実現することができる。
本発明では、上記のようなデバイスが血管内に留置された非ヒト動物を提供する。
具体的に、該非ヒト動物は血管狭窄モデルである。このモデルにおける狭窄率は制御可能であり、完全閉塞モデルも提供しうる。
完全閉塞は血管狭窄率が100%の病態でもあり、本明細書では、完全閉塞と狭窄とを併記することも、上記のように完全閉塞を血管狭窄の一態様として表記することもある。
また、デバイスが留置されている血管も特に制限されないが、具体的な態様例は冠状動脈である。
動物も特に制限されないが、好ましくはブタである。
また本発明は、血管での狭窄、完全閉塞を伴う疾患の診断、治療および治療方法の開発のための、非ヒト動物の血管の狭窄あるいは完全閉塞モデルとしての使用を提案することである。すなわち、上記非ヒト動物は、狭窄もしくは完全閉塞の病態となっても生存していることから、狭窄もしくは完全閉塞の病態の観察・研究、治療にむけた手技トレーニング、さらには新しい治療デバイス・治療法の開発、その有効性確認などの種々の目的での利用が可能である。たとえば、ガイドワイヤー手技、特に冠状動脈における手技トレーニングモデルとして有用である。また、特に生存モデルであることから、血管狭窄もしくは完全閉塞の病態における該病態に関連する心肺機能評価もしくは心肺観察モデルとして有用である。さらには、心筋梗塞の再生治療モデルとしても有用であり、たとえば再生シートの適用による治療の有効性を確認することができる。
本発明に係る血管留置デバイスは、簡素な構造であり、安価に提供でき、かつ動物への侵襲性も少ない。該デバイスは、従来のステントなどと同様に留置することができるため、留置のための特別な技術を要さず、血管狭窄モデルとなる非ヒト動物を容易に得ることができる。さらに、該デバイスを用いれば、所望の狭窄率でのバラツキが少なく、低い致死率で、安定した病態の完全閉塞もしくは狭窄モデルを1〜2週間の短期間で再現性よく作製することができる。
本発明に係る血管狭窄モデルの非ヒト動物は、血管内の完全閉塞や狭窄の治療にむけた手技、特に冠状動脈のトレーニングおよび治療デバイス開発に応用可能である。
本発明で提供される完全閉塞モデルおよび狭窄モデルは、初期の血栓形成による急性動脈閉塞を発症しないため、急性心筋梗塞すなわち虚血による致死を免れるので、慢性完全閉塞の治療に対するトレーニングや治療デバイスの研究開発のための生存する動物モデルとして極めて有用である。
パリレンの蒸着プロセスを模式的に示す。 パリレン蒸着前後のデバイス表面の電子顕微鏡撮像図である。 パリレン蒸着膜の各厚みにおける表面の電子顕微鏡撮像図である。 パリレン膜厚に対する銅イオン溶出量(1週間)を示すグラフである。 パリレン膜による銅イオンの経時的溶出量を示すグラフである。 留置2週間後の血管造影像および病理像を示す。 パリレン膜厚に対する狭窄率を示すグラフである(留置2週間)。 パリレン膜厚に対する狭窄率を示すグラフである(留置4週間)。 完全閉塞した血管のHE染色病理像である。 留置2週間後の血管造影を示す。 留置4週間後の血管造影を示す。 慢性完全閉塞の治療を模した手技モデル血管造影を示す。 留置部位が異なる場合の梗塞部位断面図である。 心筋梗塞部位の病理像を示す。 SUS316Lステント留置2週間後の血管造影を示す。 銅めっきステント留置における病理像である。 銅めっきステント留置における病理像である。
本発明に係る血管留置デバイスの基体は、血管内の目的部位に留まることができ、血管に留置した直後において血流を確保できる構造を有していれば、いかなる構造体であっても構わない。好適には、臨床的に既に治療方法、手技が確立しており、現在虚血性心疾患用のデバイスとして顕著な成績とその有用性が確認されているステントが挙げられる。
基体は、少なくともその表面から毒性金属イオンとして溶出可能な金属類を含有する。毒性金属イオンとしては、銅イオン、鉛イオン、カドミウムイオンなど、生体、特に血流中に存在すれば毒性を示す金属イオンであればよいが、典型的には銅イオンである。金属類は、血流中で該金属イオンを溶出しうる金属または金属化合物であればよいが、通常、金属または該金属の合金である。溶出される金属イオンが銅イオンの場合には、銅または黄銅、青銅、白銅、洋白などの銅合金が挙げられる。
基体は、それ自体がこのような金属類製であってもよく、表面部分に金属類を有する構造であってもよい。
本発明において、デバイスの基体が表面部分に金属類を有する構造であれば、通常のステントを上記金属類で被覆することで容易にかつ安価に得ることができるので好ましい。この態様で用いられるステントは、造影性の大きい材質でも小さい材質でも構わない。造影性の大きい材質としては、具体的に、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトペース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が挙げられる。ステンレス鋼としては、耐腐食性のSUS316Lが好適である。
また、生分解性を有するステントなどの造影性の小さい材質のステントの場合には、狭窄部位の判明がより困難になることから、狭窄部位の判明も含めた手技のトレーニングとなり、血管狭窄モデルとしての適用範囲がより広められる可能性があり、血管狭窄モデルとしての質がより高度になるため、熟練したドクターに対しても血管狭窄モデルあるいは完全閉塞モデルとなり得る。具体的には、高分子重合体であれば、ポリ乳酸単体、ポリグリコール酸単体、およびこれらの共重合体等が挙げられ、金属であればマグネシウムを主成分とした物が挙げられる。
これらステントの骨格構造および製造方法は、公知技術に適宜したがえばよく、特に限定されないが、たとえばステントの成形は、管状体(具体的には、金属パイプ)よりフレーム構造体となる部分以外を除去することにより行われる。具体的には、金属パイプを、例えば、フォトファブリケーションと呼ばれるマスキングと化学薬品を使用したエッチング方法、型による放電加工法、切削加工(例えば、機械研磨、レーザー切削加工)などにより不要部分を除去することによりステントが形成される。また、フレーム構造体を作製した後に、化学研磨あるいは電解研磨を用いて、構造体のエッジを研磨することが好ましい。
上記ステントの表面部分に金属類を存在させるには、通常、無電解めっき、電解めっき、乾式めっき、溶融金属めっき、物理蒸着、化学蒸着、ウエットプロセス、化成処理、陽極酸化処理、イオン注入などの方法により、該金属類の層を形成する。これらのうちでも、無電解めっきは、費用も適正であり、操作も容易で精度も高く好ましい。この無電解めっきとして一般的に行われている工程の一例を挙げれば、通常、(1)脱脂工程、(2)酸溶液中に被めっき物を浸漬する酸化被膜除去工程、(3)無電解めっき工程、(4)乾燥工程からなる。
上記金属類を表面部分にのみ有する場合、該表面の厚みは特に限定されないが、通常、1μm以上あればよい。
本発明に係るデバイスは、上記のような金属類を含有するデバイス基体の少なくとも該金属類を含有する表面、好ましくは基体表面全体に高分子被膜層を有する。該被膜層は、デバイス基体からの金属イオンの溶出を適切に制御する高分子膜である。このような機能を発揮し、かつデバイス基体の構造および機能を損なわない生体に適用しうる高分子材料であればどれでもよく、また被覆方法も使用する高分子原料に応じて適宜に公知の方法から選択することができる。好ましくは、上記高分子被膜層は、基体表面全体に均質な被膜を形成できる化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)で形成される。特に、蒸着室内の温度が室温程度で、熱に弱い基体に対しても適用可能な材料が好ましい。このような好ましい材料は、たとえばパリレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド・ポリ尿素共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリペプチドなどである。
パリレンは、パラキシリレンあるいはその誘導体の総称であり、芳香族環に官能基の無いパリレンN(パラキシリレン)、その芳香族環水素の1つが、塩素に置換されたパリレンC、メチル基に1つ置換されたパリレンM、メチレン基の一方がフッ素化されたパリレンF等が挙げられる。これらから導かれる各単位を以下に示す。
Figure 0005205509
上記以外にも、耐熱性を向上させた誘導体、蛍光特性を有する誘導体などが知られており、本発明で使用することができる。パリレンと他の化合物との共重合体であってもよい。上記のうちでも、パリレンNおよびCは、ISO10993やUSP分析IVプラスチックの生物学的要件を満たしており、さらにFDAのDevice Master FileおよびDrug Master Fileに登録済みであり、医療分野でも適用可能である。
上記パリレンから高分子被膜層を形成するには、通常、CVD法が適用される。パリレンのCVD法そのものは公知であり、それら方法にしたがえばよいが、通常図1に示すプロセスによって行われる。具体的には、まず、真空ポンプで装置系内を約1〜4Paの減圧状態にし、1)気化炉中に入れてあるダイマーを100−180℃の温度に加熱し昇華させ、2)650−700℃の分解炉管内を通過することで、ダイマーをモノマーガスに変え、3)蒸着室で高分子重合し、基体表面にパリレンを堆積して被覆層を形成する。上記1)〜3)の各段階におけるパリレンダイマー体、モノマー体、ポリマー体の化学構造をパリレンNについて以下に示す。
Figure 0005205509
本発明において、上記のようなパリレンによる高分子被膜層がたとえばSUS製基体の銅めっき表面に設けられる態様では、図2に示すように、銅がSUS表面に析出し(図2(A)参照)、その上にパリレンが積層した構造(図2(B)参照)が観察される。本発明のデバイスは、このような高分子被膜層により、血管内に留置された際に基体表面から溶出する毒性金属イオンの量を制御することができる。この金属イオンの溶出量は、先に説明したとおり、通常の金属系生体材料の溶出試験JIS T0304の測定値(1週間の累積値)が必ずしも目安にならない場合もあるが、一定期間における高分子被膜層の溶出量制御の目安となる。従って、特に、JIS T0304による溶出量が制限されるものではないが、たとえば銅イオンの場合には、好ましくはJIS T0304による溶出量が、1デバイスあたり4μg〜1500μg、さらには4μg〜1000μgであることが望ましい。本発明では、銅イオンの溶出量をこのように制御することにより、精度よくかつ短期間で部分的な狭窄から完全な閉塞まで制御可能となることが確かめられている。この溶出量が4μg未満の場合は、銅の電気的凝固血栓作用や銅自体による化学的な毒性による内膜損傷があまり見られず、完全閉塞はもちろんのこと非ヒト健常動物の個体差にもよるが、狭窄が見られるのは極僅かであり、狭窄が見られた場合においても長期間を要し、精度よく狭窄を制御することが難しくなり費用負荷が増大する。一方、1500μgを超えると電気的凝固血栓作用が急激に見られ、場合によっては急性期の血栓性完全閉塞による死亡がおこり、生存率の低下、費用負荷の増大等から、狭窄あるいは完全閉塞モデルとしての使用が提供しにくくなる。
上記高分子被膜層の膜厚は、上記JIS T0304の溶出量と逆相関の関係にあり、狭窄率とも逆相関の関係にある。従って、高分子被膜層の膜厚により狭窄率を制御することができる。本発明における高分子被膜層の好ましい膜厚は、高分子の種類によっても、また所望する狭窄率によっても異なるが、通常、少なくとも0.001μmであり、好ましくは0.01μm以上である。一方、あまり厚いと毒性金属イオンの溶出が完全に阻害されるため、最大でも10μmであり、さらに好ましくは5μm以下である。たとえば、パリレン膜では3μm以下であれば狭窄作用を示すことが確かめられている。
パリレンは、市販されており、たとえばパリレンN、パリレンCは、ともに第三化成株式会社から入手することができる。
高分子被膜層の膜厚は、光干渉式膜厚計等により測定することができる。
また、膜厚は、モノマー原料の使用量に対する厚み測定値の検量線を予め求めることにより、制御することができる。
本発明では、上記のようなデバイスを非ヒト健常動物の血管内に留置する。非ヒト動物は、実験動物であればいかなる動物種においても適応可能であり、具体的にはブタ、ミニブタ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、イヌ、サル等が挙げられる。これらのうちでも、生理学的、解剖学的見地、さらには食性から消化吸収に関する生理、さらに血管とりわけ冠状動脈の走行、内皮構造等においてヒトに類似した点が数多く存在し、昨今の動物愛護の観点からも本発明に好適な実験動物であるブタが好ましい。
この方法において、デバイスの高分子被膜層の膜厚により狭窄率を制御することができ、完全閉塞モデルを作製することもできる。また特に、右冠状動脈でも、左前下降枝、左回旋枝など使用する血管を限定せず、1〜2週間の短期間で作製できる。完全閉塞モデルでも同様である。さらには、たとえばブタなどのよりヒトに近い動物でもそのようなモデル作製を実現することができる。
また、上記デバイスを留置後の動物は血管狭窄もしくは完全閉塞モデルが作出されてからも充分な生存期間が確保される。実施例では、少なくとも4週間(剖検により死亡)の生存が確認されている。
本発明では、上記のようなデバイスが血管内に留置された非ヒト動物を提供する。具体的に、該非ヒト動物は血管狭窄モデル、完全閉塞モデルとして提供しうる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ここに記載した実施例は、本発明の範囲の代表例に過ぎず、これに限定されるものではない。
(実施例1)デバイスの製造
SUS316Lからなる冠状動脈ステント(φ3.0mm×長さ15mm)に、5μmの厚さになるように無電解めっき法により銅めっきを施した。これに、CVD装置を用いて、予め作成した検量線(パリレン各重量でn=5)に基づくパリレン量を用いて、パリレンC(第三化成株式会社製)を0.1、0.5、1.0、3.0μmの各厚みになるように、各3例ずつ蒸着した。各蒸着膜表面の電子顕微鏡撮像(×2000)を図3に示す。図3の(A):0.1μm、(B):0.5μm、(C):1.1μm、(D):3.1μm。
上記蒸着膜につい て、JIS T0304による銅イオン溶出量を測定した。簡略的に説明すれば、各ステントを1%乳酸溶液に1週間浸漬した。膜厚に対する銅イオン溶出量の関係を図4に示す。両者は逆相関である。また、0.1μmの厚さのパリレン膜およびパリレン膜なしのステントについて、同様な溶液に浸漬して0時間〜168時間までの経時的な銅イオンの溶出量(累積)を測定した結果を図5に示す。パリレン膜のあるステントの溶出量はパリレン膜なしに比較して24時間〜72時間で特に少なくなっている。
(実施例2)ポリパラキシリレン膜厚とブタ冠状動脈狭窄度
実施例1の蒸着膜被覆ステントを、PTCAバルーンにクリンプ後、エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これを麻酔下にてブタ(35〜45kg)の左冠状動脈前下降枝に拡張率1.3倍になるように留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)とベータ遮断薬(塩酸プロプラノロール10mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。
上記の処置を行ってから2週間目に血管造影を行った。図6(A)〜(D)に造影像、(a)〜(d)に病理像を示す。パリレンC蒸着膜の各膜厚について、膜厚0.1μmのステントを留置した冠状動脈は完全閉塞しており(図6(A),(a))、膜厚0.5μmのステントを留置した冠状動脈では、%Diameter Stenosis(%DS)は80%(図6(B),(b))、膜厚1.1μmのステントを留置した血管の%DSは36%(図6(C),(c))、膜厚3.1μmのステントを留置した血管の%DSは0%であった(図6(D),(d))。図7に、これらパリレン膜厚に対する狭窄率をグラフで示す。また、4週間目におけるパリレン膜厚に対する狭窄率を図8に示す。
以上の結果から、パリレンの膜厚を変化させることで、狭窄率の制御が可龍であること、また留置期間を調整することによっても狭窄率の制御が可能であることが検証された。
安楽死処理後、完全閉塞した該当血管(図6(A),(a))を取り出し、樹脂包埋切片を作成しHE染色を施した。HE染色病理像を図9に示す。ステント周囲には多くの炎症系細胞と、平滑筋および線維芽細胞が認められた(図9の(A)〜(B))。血管中央部は平滑筋および線維芽細胞は少なく線維質が豊富であった(図9の(C))。
(実施例3)完全閉塞部部位の狭窄物の硬さ制御
実施例1で作製した0.1μm厚のパリレンC蒸着膜で被覆したステントをPTCAバルーンにクリンプ後、エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これを麻酔下にてブタ(35〜45kg)の左冠状動脈前下降枝に拡張率1.3倍になるように留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)とベータ遮断薬(塩酸プロプラノロール10mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。
上記処置を行ってから2週間あるいは4週間目に血管造影をおこない対象血管が完全閉塞であることを確認した。
左冠状動脈開口部に位置させたガイティングカテーテルから左前下降枝にガイドワイヤーを挿入し、ガイドワイヤーの先端を完全閉塞部の手前に位置させた。次に、ガイドワイヤーに沿ってマイクロカテーテルを先端方向へ進め、マイクロカテーテルの先端をガイドワイヤーの先端部に按近させた。ガイドワイヤーの先端を、完全閉塞部の窪みに位置させ、ガイドワイヤーを回転させながら、究全閉塞部内をゆっくりと進めた。その結果、留置後2週間のものではやや抵抗感があったもののガイドワイヤーは完全閉塞部に侵入したが(図10)、留置後4週間のものでは完全閉塞部にガイドワイヤーを進めることができなかった(図11)。
以上の結果から、完全閉塞後の時間経過を制御することにより狭窄物の硬さをコントロールできることが検証された。
(実施例4)臨床の慢性完全閉塞の治療を模した手技モデルの検証
パリレンCをパリレンN(第三化成株式会社製)に代え、膜厚を0.01μmに代えた以外は、実施例1と同様にして、ステントをパリレンN蒸着膜で被覆した。
このステントを、PTCAバルーンにクリンプ後、エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これを麻酔下にてブタ(35〜45kg)の左冠状動脈前下降枝に拡張率1.3倍になるように留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)とベータ遮断薬(塩酸プロプラノロール10mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。上記処置を行ってから12日目に血管造影を行い、対象血管が完全閉塞であることを確認した(図12(A))。
臨床のCTOの治療を模した以下の手技を実施した。まず、左冠動脈開口部に位置させたガイティングカテーテルから左冠状動脈前下降枝にガイドワイヤーを挿入し、ガイドワイヤーの先端を完全閉塞部の手前に位置させた。次に、ガイドワイヤーに沿ってマイクロカテーテルを先端方向へ進め、マイクロカテーテルの先端をガイドワイヤーの先端部に接近させた。ガイドワイヤーの先端を、完全閉塞部の窪みに位置させ、ガイドワイヤーを回転させながら、完全閉塞部内をゆっくりと進めてゆき、完全閉塞部を通過させた。ガイドワイヤーを留置したまま、マイクロカテーテルを抜き取り、それに代えてガイドワイヤーの基端側からバルーンカテーテルを押入し、該バルーンカテーテルの先端バルーンを完全閉塞部内に位置させたところで停止した(図12(B))。
さらにバルーンを拡張させ完全閉塞部を拡張した。以上の操作により、完全閉塞していた対象血管の血流再開を確認した(図12(C))。
以上の結果から、臨床の慢性完全閉塞の治療を模した手技モデルとして成立することが検証された。
(実施例5)心筋梗塞モデル
実施例1で作製した0.1μm厚のパリレンC蒸着膜で被覆したステントをPTCAバルーンにクリンプ後、エチレンオキサイドガスにて滅菌し、これを麻酔下にてブタ(35〜40Kg)の左冠動脈前下降枝の第1対角枝の上流側あるいは下流側に拡張率1.3倍になるように留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)とベータ遮断薬(塩酸プロプラノール10mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。上記処置を行ってから14日目に血管造影を行い、対象血管が完全閉塞であることを確認した。
心エコー検査では、左室駆出率(EF)が22〜25%、左室内腔面積変化率(FAC)が30〜36%に低下しており、心機能の顕著な低下が認められた。
梗塞部位の断面観察像を図13に、病理像を図14に示す。安楽死処理後の肉眼観察では、第1対角枝上流(図13(B))にステント留置した場合には心前壁を中心に、第1対角枝下流(図13(A))にステント留置した場合は心前壁から心室中隔にかけて梗塞が認められた。また梗塞部位の心筋を切り出し、パラフィン包埋切片を作製しHE染色(図14(A))およびマッソントリクローム染色(図14(B))を施した。血管周囲から心筋の壊死と好中球の浸潤および線維化が認められ、また変性領域が広範囲に及ぶことや炎症が顕著ではないことから金属イオンの溶出によって直接的に変化したものではなく冠動脈閉塞によって血流が遮断された領域が梗塞に陥ったことが検証された。
以上のことから本発明による血管留置デバイスによって虚血性心筋モデルが作製でき、また梗塞巣の部位もコントロールできることが検証された。
(比較例1)SUS316Lステントによる狭窄
SUS316Lのみからなる冠状動脈ステント(φ3.0mm×長さ15mm)をPTCAバルーンにクリンプ後エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これを麻酔下にてブタ(35〜40kg)の左冠状動脈前下降枝あるいは右冠状動脈に拡張率1.3倍になるように6症例留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。
上記の処置を行ってから4週間目に血管造影をおこなった結果%DSは2.1%であった(図15)。
以上の結果から、溶出可能な銅イオンが存在しない場合において狭窄は進まないことはもちろんのこと、完全閉塞には至らないことが検証された。
(比較例2)パリレン膜を有さない銅めっきステントの適応
比較例1記載のSUS316Lからなる冠状動脈ステント(φ3.0mm×長さ10mm)に5μmの厚さになるように銅めっきを施し、PTCAバルーンにクリンプ後エチレンオキサイドガスにて滅菌した。これを麻酔下にて、5頭のブタ(40〜45kg)の左冠状動脈前下降枝に拡張率1.3倍になるように留置した。ブタには抗血小板薬(アスピリン330mgおよびチクロピジン200mg)とベータ遮断薬(塩酸プロプラノロール10mg)を留置3日前より剖検前日まで経口投与した。
留置3時間後に1頭が、翌日までにさらに2頭が死亡した。これら死亡例についてただちに剖検をおこなった結果ステント留置部位の血栓に起因する急性冠閉塞による死亡と判断した(図16)。残る2匹については2週間後まで生存した(生存率40%)。血管造影では完全閉塞が確認でき、安楽死させた動物より取り出した該当血管の病理学的観察では多くの炎症系細胞と、平滑筋および線維芽細胞が認められた(図17)。
以上のようにパリレン膜を有さない場合、急性の血栓症が惹起され致死率は60%と高いことから、モデルとして供するのは費用負荷が大きく汎用的でないばかりでなく、客観的でかつ安定的、さらには正確な評価が不可能であり、パリレンの効果が検証された。

Claims (17)

  1. 少なくとも表面から毒性金属イオンとして溶出可能な金属および/または金属化合物を含有する、血管に留置した直後において血流を確保できる構造のデバイス基体と、該デバイス基体の少なくとも該金属および/または金属化合物を含有する表面の高分子被膜層とを有する血管留置デバイス。
  2. 前記金属および/または金属化合物を前記基体の表面部分に含有する請求項1に記載の血管留置デバイス。
  3. 前記高分子がパラキシリレンおよび/またはその誘導体から導かれる単位を含む請求項1または2に記載の血管留置デバイス。
  4. 前記高分子被膜層の膜厚が0.01μm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の血管留置デバイス。
  5. 前記高分子被膜層の膜厚が3μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の血管留置デバイス。
  6. 前記毒性金属イオンが銅イオンである請求項1〜5のいずれかに記載の血管留置デバイス。
  7. JIS T0304の測定による1デバイスあたりの銅の溶出量が4〜1500μgである請求項6に記載の血管留置デバイス。
  8. 前記デバイスがステントである請求項1〜7のいずれかに記載の血管留置デバイス。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の血管留置デバイスを非ヒト健常動物の血管内に留置する血管狭窄モデルの作製方法。
  10. 前記血管留置デバイスの前記高分子被膜層の膜厚により狭窄率を制御する請求項9に記載の血管狭窄モデルの作製方法。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の血管留置デバイスが血管内に留置された非ヒト動物血管狭窄モデル。
  12. 前記血管留置デバイスを留置された血管が完全閉塞である請求項11に記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
  13. 前記血管留置デバイスを留置された血管が冠状動脈である請求項11または12に記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
  14. 前記血管留置デバイスを留置された動物がブタである請求項11〜13のいずれかに記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
  15. 血管狭窄もしくは完全閉塞の病態における心肺機能評価もしくは心肺観察モデルである請求項11〜14いずれかに記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
  16. ガイドワイヤー手技のトレーニングモデルである請求項11〜14のいずれかに記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
  17. 心筋梗塞の再生治療モデルである請求項11〜14のいずれかに記載の非ヒト動物血管狭窄モデル。
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