JP5205484B2 - ガラス基板のスクライブ方法 - Google Patents
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Description
をスクライブするガラス基板のスクライブ方法に関する。
成する方法がある。この場合は、スクライブ予定ラインに沿ってレーザ光を照射して基板
の一部を溶解、蒸発させることにより、スクライブ溝が形成される。しかし、この方法で
は、溶解、蒸発された基板の一部が基板表面に付着し、品質の劣化を伴う場合がある。ま
た、溶解、蒸発された部分で形成した疵痕は基板端面強度が低下する原因になる。
ある。ここでは、ガラス基板のスクライブ溝の起点となる場所に初期亀裂が形成され、こ
の初期亀裂にレーザ光が照射される。これにより、レーザ照射部分に熱応力が生じ、亀裂
が進展してスクライブ溝が形成される。
めのレーザスクライブ方法が示されている。ここでは、スクライブ予定ラインに沿って基
板にスクライブ溝を形成する際に、スクライブ予定ラインの終端近傍に、スクライブ溝を
形成しない領域を形成するようにしたものである。
要視されるために、ガラス基板として、表面に強化層が形成された化学強化ガラスが主に
用いられている。この化学強化ガラスは、イオン交換処理によって表面に圧縮応力を持た
せた層(強化層)を有しており、最近では、特に端面強度が要求されるタッチパネル等の
カバーガラスに用いられている。
いる。このため、強化ガラスに対して、従来の方法でレーザ光を照射し、スクライブ溝を
形成すると、主にレーザ光の走査開始側における基板端面に形成されたスクライブ溝(亀
裂)を起点として、厚み方向の全体にわたって亀裂が進展する場合が多い。このように基
板の全深さにわたって亀裂が形成されると、スクライブラインに沿って基板が自然に分離
されてしまう(以下、スクライブによって基板が完全に分断されることを「フルカット」
という)。このような状況では、クロススクライブ工程、すなわち、先のスクライブライ
ンと直交するスクライブラインに沿ってスクライブ溝を形成する工程が非常に困難になる
。
フルカットを防止して、ガラス基板を容易に所望の形状に分断できるようにすることにあ
る。
する強化ガラスをスクライブする方法であり、第1工程と、第2工程と、を含む。第1工
程は、スクライブ予定ラインの走査開始側のガラス基板端面から所定距離内側における強
化ガラスの表面に初期亀裂を形成する。第2工程は、走査開始側の端部領域を除いて、初
期亀裂からスクライブ予定ラインに沿って、レーザ光を照射して加熱するとともに、加熱
された領域を冷却し、スクライブ予定ラインに沿って亀裂を進展させる。
射されて加熱され、さらに加熱された領域が冷却される。これにより初期亀裂がスクライ
ブ予定ラインに沿って進展する。このとき、スクライブ予定ラインの走査開始側のガラス
基板端面から所定距離内側における強化ガラスの表面に初期亀裂が形成され、この初期亀
裂からレーザ光の照射が開始される。すなわち、レーザ光の走査開始側のガラス端面から
初期亀裂までの端部領域には、レーザ光による加熱及び加熱領域の冷却処理はなされない
。
来方法を用いて強化ガラスをスクライブした場合に発生していた基板の自然分離を避ける
ことができる。したがって、例えばクロススクライブ等の後の加工工程が容易になる。
強化ガラスの表面において、スクライブ予定ラインの走査開始側の端部領域にはレーザ光
を反射する反射膜が形成されている。そして、第2工程は、反射膜が形成された強化ガラ
スの表面に対して処理を実行する。
移動に同期させることによって形成することが可能である。しかし、本発明のように、レ
ーザ光を照射しない領域に反射膜を形成することにより、より容易に第2工程を実施する
ことができる。なお、反射膜としては、レーザ光を反射する金属パターン膜、ITO膜等が
考えられる。
おいて、第2工程では、スクライブ予定ラインの走査終了側のガラス基板端面から所定距
離内側までの端部領域において、レーザ光照射による加熱及び加熱領域の冷却を停止する
。
は照射されない。このため、より確実に基板の自然分離を避けることができる。
第2工程は、スクライブ予定ラインの走査開始側及び走査終了側の端部領域に、レーザ光
を反射する反射膜を形成することにより実施する。
り容易に第2工程を実施することができる。
イブ方法において、第1工程では、初期亀裂の深さは強化ガラスの強化層の厚みの1.14倍
以上1.67倍以下である。
層が除去されずに残っており、後工程でのレーザ光照射による加熱処理及び冷却処理を行
っても亀裂は進展せず、スクライブ溝を形成することは困難である。一方で、初期亀裂の
深さが強化層の厚みの1.67倍を超える場合は、後工程での加熱及び冷却によって、亀裂が
意図せずに、またスクライブ予定ラインに沿わずに進展し、所望のスクライブ溝を形成す
ることが困難になる。
第1工程では、初期亀裂は強化ガラスの全厚みの5.4%を越えない深さである。
する際に、フルカットを防止して、ガラス基板を容易に所望の形状に分断することができ
る。
図1は、本発明の一実施形態による方法を実施するためのスクライブ装置の概略構成を
示す図である。スクライブ装置1は、例えば、マザーガラス基板を、FPD(フラットパネ
ルディスプレイ)に使用される複数のガラス基板に分断するための装置である。ここでの
ガラス基板は、表面に強化層が形成された化学強化ガラスが主に用いられている。前述の
ように、この化学強化ガラスは、イオン交換処理によって表面に圧縮応力を持たせた強化
層を有している。
部3と、図示しない移動部と、を備えている。冷却部3は、図示しない冷媒源から供給さ
れる冷媒を、ノズル4を介して噴射して冷却スポットCPを形成する。移動部は、照射部2
及び冷却部3のノズル4を、ガラス基板Gに設定されたスクライブ予定ラインSL1〜SL5に
沿って、ガラス基板Gとの間で相対移動させる。
このレーザビームLBを、光学系を介してガラス基板G上にビームスポットLSとして照射す
る。
亀裂を形成するための初期亀裂形成手段が設けられている。初期亀裂形成手段としては、
圧子やカッターホイール等の機械的ツールが用いられるが、レーザアブレーション加工によって初期亀裂を形成することも可能である。
まず、図1に示すように、4辺端部領域にレーザ光を反射する反射膜RC1〜RC4が形成さ
れたガラス基板Gを用意する。反射膜RC1は、スクライブ予定ラインSL1,SL2に沿ってスク
ライブ溝を形成する処理(以下、スクライブ処理と記す)を実行する際に、レーザ光の照
射の走査開始側の端部領域に形成されている。反射膜RC2は、スクライブ予定ラインSL1,S
L2に沿ってスクライブ処理を実行する際に、レーザ光の照射の走査終了側の端部領域に形
成されている。また、反射膜RC3は、スクライブ予定ラインSL3,SL4,SL5に沿ってスクライ
ブ処理を実行する際の、レーザ光の照射の走査開始側の端部領域に形成され、反射膜RC4
、はスクライブ予定ラインSL3,SL4,SL5に沿ってスクライブ処理を実行する際の、レーザ
光の照射の走査終了側の端部領域に形成されている。なお、走査開始側の端部領域に形成
される反射膜RC1,RC3は、3mm〜5mmの幅が好ましい。また、走査終了側の端部領域に形成
される反射膜RC2,RC4は、8mm〜20mmの幅が好ましい。
ブの起点となる初期亀裂TRを形成する。このとき、初期亀裂の位置は、反射膜に隣接して
その内側である。また、初期亀裂の深さは、強化ガラスの表面に形成された圧縮応力を有
する強化層が除去される程度の深さにする。具体的には、初期亀裂の深さを、強化層の厚
みの1.14倍以上1.67倍以下の深さにする。
ザビームLBはビームスポットLSとしてガラス基板G上に照射される。そして、照射部1か
ら出射されるレーザビームLBが、各スクライブ予定ラインSL1〜SL5に沿ってガラス基板G
と相対的に移動させられる。
るので、これらの端部領域ではレーザビームLBは反射されてガラス基板Gには照射されな
い。したがって、これらの反射膜RC1〜RC4が形成された領域では、ガラス基板Gは加熱さ
れない。
てガラス基板Gの軟化点よりも低い温度に加熱される。また、冷却スポットCPをビームス
ポットLSの移動方向後方において追従させることにより、加熱された領域が冷却される。
には圧縮応力が生じるが、その直後に冷媒の噴射によって冷却スポットCPが形成されるの
で、垂直クラックの形成に有効な引張応力が生じる。この引張応力により、ガラス基板G
の端部に形成された初期亀裂TRを起点としてスクライブ予定ラインSLに沿った垂直クラッ
クが形成され、所望のスクライブ溝が形成される。そして、レーザビームLBが照射されな
い端部領域では、亀裂が進展しないか、あるいは亀裂が進展するとしても浅い領域のみで
ある。
ることはなく、基板が自然に分断されるのを防止することができる。
<従来例による実験例>
図2に、従来の方法、すなわち反射膜を形成することなく、スクライブ予定ラインの開
始端から終了端までレーザ加熱及び冷却を行った場合の例を示している。基板は、全体厚
みが0.7mmで、強化層の厚みが18μmの強化ガラスである。また、レーザビームの条件は、
レーザ出力が200W、走査速度は200mm/secである。なお、図2では、ガラス基板の端部領
域は表れていない。
溝)は、基板の全深さにわたって進展していない状態(以下、この状態を「ハーフカット
」と記す)であり、図では薄いラインで表れている。
側(図の右側)から図の中央付近までスクライブラインがフルカット(図では濃いライン
で表れている)されている。
べての部分で、スクライブラインがフルカット(図では濃いラインで表れている)されて
いる。
加熱及び冷却を行った場合は、基板が自然に分断される(フルカットされる)。
図3に、本発明の一実施形態によるスクライブ方法でスクラブ処理をした例を含む検証
結果を示している。ここでは、対象とするガラス基板は図2で示した比較例と同様である
。また、レーザビームの条件も図2で示した比較例と同様である。
「基板Edge End」はスクライブ(走査)終了側の基板端部を意味している。また、「遮蔽
」は反射膜を意味している。さらに、「n/5」は、スクライブ処理を5回行って、フルカ
ットにならずにハーフカットのスクライブ処理がn回達成できたことを示している。
に入った位置に形成した。
しないように、スクライブ(走査)開始側の基板端面から5mmの範囲を遮蔽した。
なお、終了側の遮蔽については、幅が5mm程度の場合、亀裂が自然に端面部まで進展しま
い、そこからフルカットになってしまう場合がある。そこで、フルカットにならないスク
ライブ(走査)の終了側の遮蔽幅は、8mm以上が好ましい。
した。
を照射した。
図3の検証から明らかなように、少なくともスクライブ開始側の端部領域に対してレー
ザビームが照射されないようにした(レーザビームを反射するようにした)場合は、40%
の確率でハーフカットのスクライブが実現できた。そして、スクライブ開始側に加えてス
クライブ終了側をも遮蔽した場合は、100%の確率でハーフカットのスクライブが実現でき
た。
カットのスクライブが実現できる確率は20%に減少する。また、両方の端部領域において
遮蔽しない場合は、図2でも示したが、ハーフカットのスクライブはできず、フルカット
になってしまう。
次に、初期亀裂の深さに関する実験例を以下に示す。
図4に、全体厚みが0.55mmで、強化層の厚みが18μmの強化ガラスに対してスクライブ
溝を形成した実験例1を示している。具体的には、図4は、初期亀裂形成時の工具(圧子)のガラスに対する押圧荷重とそのときの溝深さとの関係を示すととも
に、その後のレーザ加熱及び冷却処理によるスクライブ結果を示している。
冷却条件は、ビーム後端において高さ4mmの位置に冷却ノズルを配置し、冷却水及びエア
をビームスポットで加熱された部分に吐出している。
あれば、スクライブ予定ラインに沿って所望のスクライブ溝が形成されることがわかる。
そして、溝深さが19μm未満では亀裂が確実に進展せず(不安定である)、また30μmを越
えると割れが発生してスクライブ予定ライン以外に亀裂が形成されることがわかる。
が確保されている最も深い部分までの深さを「溝深さ」としており、一部先鋭的に深部ま
で到達している亀裂については無視している。
図6に、全体厚みが0.7mmで、強化層の厚みが21μmの強化ガラスに対してスクライブ溝
を形成した実験例2を示している。図の横軸と縦軸の関係は図4と同様である。また、こ
の場合の加熱処理のためのレーザ出力は200W、加工速度は170mm/secである。また、冷却
条件は実験例1と同様である。
であれば、スクライブ予定ラインに沿って所望のスクライブ溝が形成されることがわかる
。そして、溝深さが24μm未満では亀裂が確実に進展せず(不安定である)、また50μmを
越えると割れが発生してスクライブ予定ライン以外に亀裂が形成されることがわかる。な
お、押付荷重が約6〜24Nであれば、溝深さが50μmを越えても所望のスクライブ溝が形成
されるが、溝深さのみに着目すると、初期亀裂の溝深さは約24〜50μmが妥当である。
図7に、全体厚みが1.1mmで、強化層の厚みが34μmの強化ガラスに対してスクライブ溝
を形成した実験例3を示している。図の横軸と縦軸の関係は図4と同様である。また、こ
の場合の加熱処理のためのレーザ出力は200W、加工速度は170mm/secである。また、冷却
条件は実験例1と同様である。
であれば、スクライブ予定ラインに沿って所望のスクライブ溝が形成されることがわかる
。そして、溝深さ浅すぎる場合は亀裂が進展せず、また60μmを越えると亀裂進展が不安
定であることがわかる。なお、実験例2と同様に、押付荷重が約6N〜24Nであれば、溝深
さが60μmを越えても所望のスクライブ溝が形成されるが、溝深さのみに着目すると、初
期亀裂の溝深さは約24〜60μmが妥当である
[まとめ]
以上から、スクライブ予定ラインに沿って所望のスクライブ溝を形成するためには、初
期亀裂の深さは強化ガラスの強化層の厚みの1.14倍以上1.67倍以下であることが望ましい
ことがわかる。また、初期亀裂の深さは、ガラス板厚が0.55mmでは30μm(5.5%)以下
であること、ガラス板厚が0.7mmでは50μm(7.1%)以下であること、ガラス板厚が1.1mm
では60μm(5.4%)以下であることが望ましいことがわかる。このことは、初期亀裂の深
さは、ガラスの板厚の5.4%以下であることが望ましいことを示している。
(1)スクライブラインの走査開始側及び走査終了側の端部領域に対してレーザ光が照
射されないようにしているので、基板のハーフカットが実現でき、基板の自然分離を避け
ることができる。したがって、クロススクライブ等の後の加工工程が容易になる。
反射膜を形成しているので、レーザビームの非照射領域を容易に形成することができる。
以上1.67倍以下にしているので、安定して所望のスクライブ溝を形成することができる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱するこ
となく種々の変形又は修正が可能である。
各端部領域においてレーザ発振をオフにしてレーザビームの非照射領域を形成するように
してもよい。
G ガラス基板
LB レーザビーム
LS ビームスポット
SL1〜SL5 スクライブ予定ライン
CP 冷却スポット
RC1〜RC4 反射膜
Claims (6)
- 圧縮応力を持たせた強化層を表面に有する強化ガラスをスクライブするガラス基板のス
クライブ方法であって、
スクライブ予定ラインの走査開始側のガラス基板端面から所定距離内側における強化ガ
ラスの表面に初期亀裂を形成する第1工程と、
前記走査開始側の端部領域を除いて、前記初期亀裂からスクライブ予定ラインに沿って
、レーザ光を照射して加熱するとともに、加熱された領域を冷却し、スクライブ予定ライ
ンに沿って亀裂を進展させる第2工程と、
を含むガラス基板のスクライブ方法。 - 前記強化ガラスの表面において、スクライブ予定ラインの走査開始側の端部領域にはレ
ーザ光を反射する反射膜が形成されており、
前記第2工程は、前記反射膜が形成された強化ガラスの表面に対して処理を実行する、
請求項1に記載のガラス基板のスクライブ方法。 - 前記第2工程では、スクライブ予定ラインの走査終了側のガラス基板端面から所定距離
内側までの端部領域において、レーザ光照射による加熱及び加熱領域の冷却を停止する、
請求項1又は2に記載のガラス基板のスクライブ方法。 - 前記強化ガラスの表面において、スクライブ予定ラインの走査開始側及び走査終了側の
端部領域にはそれぞれレーザ光を反射する反射膜が形成されており、
前記第2工程は、前記反射膜が形成された強化ガラスの表面に対して処理を実行する、
請求項3に記載のガラス基板のスクライブ方法。 - 前記第1工程における初期亀裂の深さは強化ガラスの強化層の厚みの1.14倍以上1.67倍
以下である、請求項1から4のいずれかに記載のガラス基板のスクライブ方法。 - 前記第1工程では、初期亀裂は強化ガラスの全厚みの5.4%を越えない深さである、請求項5に記載のガラス基板のスクライブ方法。
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