JP5205055B2 - オレフィン回収トレインへの異常事象検知技術の適用 - Google Patents

オレフィン回収トレインへの異常事象検知技術の適用 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン工場の操業に関する。特に、本発明はエチレン工場が通常操業から逸脱している場合の判定に関する。
石油化学産業において、オレフィン回収トレイン(ORT)はエチレン工場にとって極めて重要なプロセスである。ORTは、エチレンおよびプロピレンを精製し、且つオレフィン生産工場の副生物を回収する。ORTの複雑な動的性質および低温区画が原因となって、多くの根本的問題による異常プロセス動作が生じ易く、ORTの動作が正常動作から逸脱してしまう場合がある。ORTの異常動作は、経済活動に重大な影響を及ぼし、多くの場合、生産を停止させる恐れがある。これらの異常な状況により、生産の停止、設備の損傷、環境汚染、死傷事故を引き起こす恐れがある。コンソールのオペレータの主要な仕事は、異常な状況の原因を突き止めて、適時的且つ効率的に補償または修復処置を行なうことである。
現在実用化されている方式では、軽微なプロセス障害に対しては高機能のプロセス制御アプリケーションを用いて自動的にプロセスを調整している。中程度〜重大な異常動作の場合、現在の方式では、人間によるプロセスへの介入に依存している。また、極めて重大な異常動作の場合、現在の方式では、自動緊急停止(ESD)システムを用いるが、これはプロセス設備に深刻な経済的影響を及ぼす恐れがある。
現在、コンソールのオペレータはプロセス警報を介して異常状態を通知される。これらの警報は、主要なプロセス測定値(温度、圧力、流量、レベル、組成、バルブの位置等)が予め設定された動作範囲を超えた場合に起動される。これらの動作範囲は多くの場合、初期設計からの固定値であるか、または重要な動作範囲を包含すべくコンソールのオペレータにより頻繁に調整される値である。ORT等の高度に一体化されたプロセスの場合、警報システムの有効性は、正常動作中は適時的に警報を提供すること(早期警戒)と、異常動作中は「警報洪水」(優先度の高い情報が欠落するリスク)を防止することの間でバランスを取ることが往々にして困難である。このように、現在の通知技術は、虚偽の通知に発生を受容可能な割合(ほぼゼロ)に抑えつつ、重大な異常動作の最中でも警報システムが有効であることを保証すべく充分に早い通知を提供することが困難である。
典型的なORTの動作に対応できる数千通りのプロセス測定値があり、そのうち数百は正常動作の主要な要素であると考えられる。また、各々のプロセス測定値は、構成されている最大15通りの異なる警報を備えることができる。ハネウェル(Honeywell)のTDC3000等の従来型分散制御システム(DCS)配下で、オペレータはセンサーのリストおよびその傾向を調べ、正常ORT動作について記憶している知識と比較して、重大な障害が発生する前に介入できる程度に充分早く潜在的な問題を発見しなければならない。動作中のORTには極めて多くセンサーがあるため、異常を見過ごしやすい場合がある。現在のDCSに基づく監視技術では、オペレータが有する唯一の自動化された検知支援機能は、所定の限度を超えた場合に各センサーに警報を発することに基づくDCS警報システムである。ORTが複雑なために、この種の通知は往々にして到着が遅過ぎるため、オペレータが問題を抑制すべく防止的措置を講じるための充分な時間が取れない。早期発見用の警報システムを濫用すれば更に悪い結果が生じかねない。正常動作している間はオペレータにとり警報は不快であり、オペレータは警報システムを無視する。異常状態の間、オペレータは相次ぐ警報に振り回されて重大な情報を見逃してしまう。本発明は、ORTのオペレータにより効果的に通知を提供する。
米国特許第5,859,964号明細書 米国特許第5,949,678号明細書 米国特許第6,522,978号明細書 米国特許第6,368,975号明細書 米国特許第6,466,877号明細書 米国特許第6,521,080号明細書 米国特許第6,564,119号明細書 米国特許第6,636,842号明細書 Cardoso,J.ら著「Fuzzy Petri Nets:An Overview」(13th Word Congress of IFAC、Vol.1:Identification II、Discrete Event Systems、San Francisco、CA、USA、1996年6月30日〜7月5日、443〜448ページ) Jackson,E.著「A User’s Guide to Principal Component Analysis」(John Wiley & Sons、1991) Kourti,T.著「Process Analysis and Abnormal Situation Detection:From Theory to Practice」(IEEE Control Systems Magazine、2002年10月、10〜25ページ) Ku,W.著「Disturbance Detection and Isolation for Statistical Process Control in Chemical Processes」(PhD論文、Lehigh University、1994年8月17日) Martens,H.およびNaes,T.著「Multivariate Calibration」(John Wiley & Sons、1989) Piovoso,M.J.ら著「Process Data Chemometrics」(IEEE Trans on Instrumentation and Measurement、Vol.41、No.2、1992年4月、262〜268ページ)
本発明は、エチレン処理システムのいくつかの処理ユニット向けに異常事象を検知する方法である。本システムは、多くの処理ユニットを含んでいる。本方法は、いくつかの処理ユニットの現在の動作を、それらの装置の正常動作のモデルと比較する。ユニットの現在の動作と正常動作の差違が、処理ユニットにおける異常状態を示す場合、異常状態の原因を判定して是正置を講じることができる。
本発明は、エチレン工場の区画が適切に機能していない旨の異常事象検知(AED)をオペレータに提供する方法である。本発明について、例示目的のみで本発明の成功したアプリケーションを個別に参照しつつ記述するが、これらに限定されない。
本方法は、動作上の問題に寄与する異常な状況を示す多数の証拠を組み合わせるファジー論理(付録1:区画配備PCAモデルおよびAED向けの簡単な工学モデルを参照)を用いて、その確率をリアルタイムで推定する。確率は、工場のプロセス領域の一つの傾向を用いてオペレータに警告する連続フォーマットで提示される。本方法は、オペレータが注意を集中すべく課題の根本原因まで深堀りできるように一組のツールを含んでいる。この方式は、オペレータに対し、警報システムより数分〜数時間早く出せる異常動作の高機能の警告を提供できることが示されている。この高機能の警告により、オペレータがより早く修正処置を行なうことができ、事象が拡大するのを防止する。本方法はオレフィン回収トレイン(ORT)に巧みに応用されている。
ORTアプリケーションは、図4に示すように、ORT動作に関する特定の動作上の知識を用いて主成分分析法および工学モデルからの示唆と、関連するセンサー表示を組み合わせてファジー論理ネットワークとする。このファジー論理ネットワークは、証拠を集めて、潜在的な問題の信頼度を示す。従って、当該ネットワークはその初期段階において、より高い信頼度を以って問題を検知することができ、ORT動作における問題を回避すべく補償または修正処置を実行するための貴重な時間をオペレータに与えることができる。これは、現在実用化されている、DCSシステムからの単一のセンサー警報に基づくORT監視では警報の到着が遅過ぎてORTを動作させる際の複雑な動的および低温特性に起因する動作上の問題をオペレータが抑制できない場合が多いため、現在実用化されているORT監視と比べた主な利点である。
エチレン回収トレインは、設備グループ(主要な機能区画または動作区画と称する)に分けられている。これらの設備グループは、設計に応じて異なるエチレン回収トレイン毎に異なっていてよい。エチレン回収トレインの特定の処理ユニットを含む設備グループを選択する手順を付録1に記述している。
図30に、本発明の記述に用いる典型的エチレン工場の模式図を示す。この工場の好適な実施形態において、本発明は、ORT動作を主要な動作区画(付録1、「AED用PCAモデル構築」節参照)に分ける。例示的なエチレン工場は、以下のように11の区画に分けられている。
1.充填ガス圧縮機
2.乾燥機、コールドボックス、およびメタン・ブースター
3.エチレンおよびプロピレン冷凍
4.脱メタン装置
5.脱エタン装置
6.アセチレン・コンバータ
7.C2スプリッタ
8.メタン化炉およびH2O乾燥機
9.脱プロパン装置
10.MAPDハイドロファイナ
11.C3リランおよびプロピレン精留装置
主要な動作領域を監視する他に、本発明はまた、一組の主要な制御バルブについて制御バルブ位置と流量の間の整合性を監視する(付録1、「AED用の簡単な工学モデル」の節参照)。本発明はまた、特殊原因による動作における偽陽性を除去すべくモデル計算の抑制を提供して、センサーが故障中の場合にオペレータが選択的にセンサーをモデルから除去できるようにする。
A.オペレータインタフェース
この表示は、オペレータに処理ユニットに影響を及ぼす異常事象がある確率を提示することを目的とする。
図23に、ORT動作を11種の主要な動作区画に分割した様子、および制御バルブ位置対流量モニタのオペレータ表示を示す。確率が0.6に達した場合、問題インジケータが黄色(注意)に変わり、確率が0.9に達するときに、インジケータは赤色(警告)に変わる(付録1、「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデル配備」節参照)。
本発明の例は、ORTの全動作に対応すべく11種の主成分分析(PCA)モデルを含んでいる(付録1、「AED用のPCAモデル構築」節、サブセクションI参照)。プロセスに関する知識に基づいて、PCAモデル内で相互作用する区画に影響を受ける主要センサーを重ね合わせる(付録1、「AED用PCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節、サブセクションIII参照)。蒸留塔について、供給速度の変化の影響を最小限にすべく速度に依存する変数を割合に変換した(付録1、「AED用PCAモデルの構築」節、サブセクションIV参照)。
ORT動作には多くの特殊原因動作、例えば、分解炉における気水デコーキングおよびコールドボックスの乾燥機再生がある。これらの動作は、高機能の制御アプリケーションの動きに比べて頻度が少ないルーチン動作であって、動作の正常性に重要な時間的影響を及ぼす。これらの特殊原因動作は、いくつかのPCAモデルにおいて影響を受けたいくつかのセンサーに、高レベルの残留物をもたらす。発明者らは、ORTに関する動作知識を利用してこれら特殊原因動作の開始を検知し、その通知を除去する抑制方法論を考案した(付録1、「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節、サブセクションI参照)。
往々にして、ORTのルーチン動作で、ORTを好適な状態に向けるためにオペレータがいくつかの主要なコントローラに設定ポイント変更を行なう場合がある。また、発明者はこれらのセットポイント変更の影響について抑制方法論を構築した(付録1、「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデルeの配備」節、サブセクションI参照)。
オペレータが図24の黄色の三角形が示す注意・警告等の異常状態の表示を受け取ったならば、本新規方法はオペレータに、問題の主要なインジケータへ深堀りする機能を提供する(付録1、「AED用PCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節、サブセクションIV参照)。図24に、メタン化炉およびHO乾燥機が注意・警告を有することを示す。これは、オペレータが補償または補正措置を講じることができるよう、状態の根本原因の分離および診断を支援する。図25は、図24において黄色の三角形をクリックした結果である。図25に、センサーSP125で残留物が許容範囲外にあって、警報・注意の主な理由であることを示すパレート図を示す。
この深堀りツールは、オペレータのための問題領域を分離する。問題センサーの傾向を呼び出すような追加ツールもまた本出願のオペレータが利用できる。例えば図26に、図25のパレート図におけるセンサーの値の傾向およびモデル予測を示す。
本出願はまた、バルブ対流量の工学モデルをランク付けするパレート図を提供する。図27に、正規化された射影偏差誤りに基づくバルブ流量モデルのパレート・ランキングを示す。パレート図の棒をクリックすれば図28に示すようなバルブ対流量モデルの詳細まで深堀りした内容をオペレータに提示する。
ORTの動作に関する発明者の知識に基づいて、本出願は、炉の気水デコーキング等の特殊原因動作の開始を検知して、この動作に影響を受けるセンサーを抑制する。図29に、分解炉における気水デコーキング用のファジー論理ネットワークを示す。
要約すれば、本発明の利点には以下のものが含まれる。
1.ORT全体の動作を主要な動作領域に分解することにより、数千もの個々の測定値および警報を少数の監視が容易な傾向に減らせる。
2.ORT全体の動作上の問題が、例示的な工場での11種の単一警報に集約される。
3.本PCAモデルは、例示的なORTにおける1300超のセンサーの予測を提供する。
4.これら1300超のセンサーの異常な偏差は、11種のPCAモデルの2乗誤差の和に基づいて11種の警報により集約される。
5.特殊原因動作から生じる事象が抑制されて偽陽性を除去する。これは明らかに、次元の縮退がほぼ2桁、即ち1300超のセンサーから11個のインジケータに減ることを示す。この大幅な次元の縮退の他に、単一センサー警報の高い偽陽性率がPCAモデリングにより解決される。
B.ORTの異常事象検知モデルの構築
異常事象を検知する方法論を付録1に一般的に記述している。エチレン工場モデルを構築する工程は、例として成功したORTアプリケーションを用いて以下に述べる。
エチレン工場におけるアプリケーションは、プロセス動作の広範な部分(オペレータのコンソール領域の約80%)を監視して、想定外の異常事象を早期に注意喚起して、最初に行なわれた測定上に関する情報を提供することを目的とする。オペレータまたは技術者は次いで、自身のプロセス知識に頼って原因を診断する。各々の事象は、唯一または稀であって、主に計器やバルブに関する問題の結果であると思われる。
異常事象検知の問題を選択する際に、以下の問題含みの特性を考慮しなければならない。異常が稀(3〜4ヶ月毎)であるため、異常事象検知器を作成する努力が無駄に思えるかもしれない。また、特定の異常が3又は4ヶ月毎にしか発生しない場合、個々のオペレータは数年間にわたり当該事象を見ない可能性もある。その結果、一旦事象が起きた際に、オペレータはどう対処すべきかわからない恐れがある。従って問題の識別を充分広範に行なって、オペレータが定期的にアプリケーションと対話するようにしなければならない。
問題を特定しようとする場合に、異常事象検知のアプリケーションを正当化するのに充分な数の異常事象が存在しないとの誤った印象を現場担当者から受けるのが一般的である。一般に、異常事象がプロセスに対して影響を及ぼす頻度が過小評価されがちである。その理由は以下の通りである。
往々にして、異常事象の記録および解析が行なわれない。重大な損失を与えたものだけが追跡および解析される。
オペレータは毎日これらを取扱うため、異常事象も正常動作の一部と見なしがちである。
定期的に繰り返し生じる異常事象が存在しない限り、本アプリケーションは異常事象を定期的に(例えば週5回を超えて)「見る」ためにプロセスの充分広範な部分を包含していなければならない。異常事象検知器は、好適な代替方式であり得る解決策を代替するものではない(付録1、「AED用PCAモデルの構築」節、サブセクションI.C参照)。
AEDアプリケーションは警報システムを代替するものではない
プロセス問題が急に生じる場合は常に、警報システムが異常事象検知アプリケーションと同程度に速く問題を識別する。オペレータが原因を診断するのを支援するために、事象のシーケンス(例:測定頻度の降順)が警報の順序よりも有用な。アプリケーションがオンラインである場合、この可能性を調査しなければならない。
しかし、異常事象検知のアプリケーションは、異常事象が緩慢に(15分以上)発達する場合、オペレータに高機能の注意喚起を与えることができる。これらのアプリケーションはプロセスデータのパターンの変化に感応するものであり、単一の変数の大きな変動を必要としない。従って、警報を回避することができる。警報システムが、プロセスが狭い動作領域から逸脱した場合にオペレータに対して警告する(真の安全警報ではない)ように構成されている場合、本アプリケーションはこれらの警報を代替することが可能である。
C.エチレン工場向けのAEDモデルの構築の例
事前アプリケーション設計
アプリケーション設計は二通りの判定を必要とする。即ち、アプリケーションがどの処理ユニットを対象とすべきか、およびどの測定値をモデルに含めるべきか、である。本例では、データの次元縮退を最大限に行なうべく、エチレン工場のいくつかの処理ユニットを組み込んだ一つのモデルを構築する。
含まれる特定の処理ユニットは、プロセスの統合/相互作用の理解を必要とする。多変数拘束制御(DMC等のMVCC)アプリケーションの設計と同様に、アプリケーションの境界は、あらゆる重要なプロセス相互作用、およびプロセスの変動や撹乱を上流で把握する主要な表示を含んでいるべきである。図30に、このエチレン工場アプリケーションに含まれる主要な処理ユニットを示す。これらのユニットは、典型的なORTにおいて高度にエネルギーが集中する部分を包含している。これらの同一処理ユニットは、1又は2個のMVCCコントローラの下でグループ化されている場合が多い。
これらの選択された処理ユニット内には膨大な数のプロセス測定値がある。事前設計のために以下を行なう。
・全てのコントローラPV、SPおよびこれらの装置の出力(全ての中間カスケード・コントローラを含む)を選択する
・プロセスを監視すべくコンソールのオペレータが用いる主要な測定値を選択する
・プロセスの性能を測定すべく担当技術者が用いる何らかの測定値を選択する
・供給速度、供給温度、または供給品質の変化の何らかの上流測定値を選択する
・重要と思われる測定のための予備の冗長な測定値を選択する
・非線形変換の計算に必要となる測定値を選択する
・撹乱(例:周囲温度)の何らかの外部測定値を選択する
・プロセスの専門家がプロセス状態の重要な尺度であると見なす他の何らかの測定値を選択する
このリストから既知の不規則な、または問題のある測定値は全て除外する。
上記リストに従い、利用可能なプロセス測定値の約1/2をアプリケーションのため事前に考慮する。これらは後で、データ解析を通じて絞り込まれる。
初期モデルの構築
モデル構築の戦略は、極めて粗いモデル(疑わしい訓練データ集合の結果)から出発し、次いでこのモデルを用いて高品質の訓練データを収集することである。このデータは次いでモデルを改良するために用いられ、次いでより高い品質の訓練データを収集し続けるために用いる。このプロセスは、モデルが満足すべきものになるまで繰り返される(付録1、「AED用のPCAモデル構築」節参照)。
履歴データ収集
正常動作の良いモデルを構築するには正常動作の訓練データ集合が必要である。このデータ集合は以下のようでなければならない。
・正常動作範囲にわたる
・正常動作データだけを含む
ある拠点で異常事象の履歴の完全な記録を持っていることは極めて稀であるため、履歴データは訓練データ集合を生成する出発点としてしか利用できない。オペレータログ、オペレータ変更ジャーナル、警報ジャーナル、計器保守記録等の操作記録は、異常プロセス履歴の部分的な記録を提供する。
構築担当者は当該拠点のプロセス履歴管理機能を用いて数ヶ月分のプロセスデータを集めて、好適には1分間隔のスポット値を得る必要がある。これが利用できない場合、極力平均が少ない最高解像度のデータを使わなければならない。この期間の各種の操作ジャーナルもまた集めなければならない。往々にして、セットポイントおよび出力は工場の履歴管理機能にとり履歴が取られていないが、その短所は後のデータ収集を通じて克服される。
データおよびプロセス解析
初期の粗いデータ解析
動作ログを用いて、履歴データを既知の異常動作があった期間および異常動作が識別されなかった期間に分類する。異常動作が識別されなかったデータは、事前訓練データ集合とある。
ここで各々の測定値を履歴にわたって調べて、それが訓練データ集合の候補になるか否かを判定する。除外すべき測定値は以下の通りである。
・「BAD PV」としての長い期間を多く含むもの
・EUHighまたはEULow値に固定された期間が長いもの
・殆ど変動性を示さない(セットポイントに緊密の制御されるもの除く)もの
・動作範囲に比べて極めて大きい変動性を連続的に示すもの
・データ集合内の他のどの測定値とも殆ど相互相関を示さないもの
・信号対ノイズ比が低いもの
データを調べる際に、測定値が簡単に「BAD PV」を示すかまたは簡単に自身のEUHighまたはEULow限度に固定されている期間もまた除外しなければならない。
これらの除外がなされたならば、付録1に述べるように第1の粗いPCAモデルは構築しなければならない。これが極めて粗いモデルになるため、保持される主成分の正確な数は重要ではない。
訓練データ集合はここで、データがモデルに合致しない期間を識別するために、この事前モデルを経由して処理される必要がある。これらの期間は、異常事象がその時点で生じていたか否かを判定すべく調べる必要がある。そうであると判断されたならば、これらの期間はまた、既知の異常事象が生起している期間としてフラグを立てられなければならない。これらの期間は訓練データ集合から除外されて、修正されたデータによりモデルを再構築しなければならない。
動的変換の必要性を調べる
構築担当者は、本モデルで用いられる変数同士に顕著な動的分離が存在する場合は常に、この技術の必要性を考慮しなければならない。これは特に、オペレータにより大きな刻みで変えられる可能性があるセットポイント等の独立変数に当てはまる。また、モデル化されている主処理ユニットの上流の測定を動的に調整することが必要な場合もある。
動作点の変化を除去する
プロセス動作には継続的な動作点変化がある。これらは、オペレータが主要なセットポイントを変更した場合のように意図的であるか、或いは熱交換器の汚染や触媒非活性化等のプロセス変動による場合もある。これらの変化が異常事象として現われるのを防止すべく、これらの変化に影響を受けるそのようなプロセス測定値を、偏差変数に変換しなければならない(付録1、「AED用PCAモデル構築」節、サブセクションIV,F参照)。
測定値の指数的にフィルタリングされた値を未加工値から減算し、モデルにおけるこの差違を用いることにより、動作点の除去が達成される。指数フィルタの時定数は、プロセスの主要な時定数とほぼ同じ大きさを有しなければならない。エチレン工場の場合、これは約45分の時定数であった。
D.初期PCAモデルの構築
特定の測定値が選択されて、訓練データ集合が生成されたならば、標準ツールを用いてPCAモデルを迅速に構築することができる。
主成分の正確な個数を選択するための工学的手法は、主成分の一次寄与分である変数のグループが工学的に無意味になった時点で停止することである。これは、付録1、「AED用PCAモデルの構築」節、サブセクションV,Bにおいて議論されている。現在のケースで、付録2は各々のPCAモデルについて挙げられた主成分のリストを示しており、主成分の個数は各々のPCAモデルについて4〜15の範囲にわたる。
追加的な工学モデル
バルブ流量整合性モニタは、測定された流量(バルブ全体にわたる圧力降下を補償済み)と流量のモデル推定値とを比較して導かれている。流量のモデル推定値は、バルブ曲線方程式(線形または放物線状と仮定)に係数をフィッティングさせることにより履歴データから得られる。最初のアプリケーションにおいて、27バルブ流量整合性モデルが構築された。この種のモデルは、主要プロセス操作点を監視すべく構築されたものである。従来は性能の信頼性が低かった制御ループについても、いくつかのモデルが構築された。
長期センサー・ドリフトを補償すべく、時間依存性のドリフト項がモデル推定値に加えられた。オペレータはまた、センサー較正の後、または手動バイパス弁が変えられた際に、ドリフト項のリセットを要求することができる。長期のセンサー・ドリフトを補償すべく、モデル推定に時間依存性のドリフト項が追加された。オペレータは位置の変更が可能であって、変更してきた。流量推定器に対するこの変更により、オンライン検知アルゴリズムにおける実装の堅牢性が大幅に向上した。バルブ流量整合性モニタはまた、制御バルブが完全に開閉された場合もオペレータにこれを通知する。
付録1
様々な規模の事象や撹乱が常にプロセス動作に影響を及ぼしている。ほとんどの場合、これらの事象や撹乱はプロセス制御システムにより処置される。しかし、プロセス制御システムがプロセス事象を適切に処置できない場合は常にオペレータがプロセス動作へ想定外の介入をする必要がある。発明者は、この状況を異常動作と定義し、その原因を異常事象と定義する。
異常動作を検知して、オペレータが根本原因の箇所を切り離すのを支援するために用いるモデルの組を生成してオンライン配備するための方法論およびシステムが開発されている。好適な実施形態において、モデルは主成分分析(PCA)を用いる。これらのモデルの組は、既知の工学関係を表わす簡単なモデルおよび履歴データベースに存在する正常データパターンを表わす主成分分析法(PCA)モデルの両方で構成されている。これら多くのモデル計算の結果が組み合わされて、プロセスが異常動作に入りつつあるか否かをプロセスオペレータが容易に監視できるようにする少数の要約時間傾向となる。
図1に、オンライン・システム内の情報が各種の変換、モデル計算、ファジー・ペトリネット、および圧密処理を経由して流れ、プロセス領域の正常性/異常性を示す概略傾向に到る様子を示す。本システムの核心は、プロセス動作の正常性を監視すべく用いる各種のモデルである。
本発明に記載するPCAモデルは、連続的な精製および化学プロセスを広範に監視し、設備およびプロセスにおいて生じつつある問題を迅速に検知することを目的とする。その意図は、特定のコンソールのオペレータ・ポストの責任権限の下で、全てのプロセス設備およびプロセス動作の包括的な監視機能を提供することである。これには、数百〜数千のプロセス測定値を有する多くの大規模な精製または化学プロセス動作ユニット(例:蒸留塔、反応炉、圧縮機、熱交換トレイン等)が含まれていてよい。監視機能は、長期にわたる性能低下ではなく、数分〜数時間の時間尺度で広がる問題を検知するように設計されている。プロセスおよび設備の問題は事前に特定されている必要がない。これは、文献に引用されている、特定の重要なプロセス問題を検知してプロセス動作のはるかに小さい部分を包含すべく構築されたPCAモデルを利用するのとは対照的である。
この目的を達成すべく、PCAモデルを構築して配備する方法は、以下を含む連続的な精製および化学プロセスへのそれらのアプリケーションのために必要とされる多くの新規な機能拡張を含んでいる。
・測定値入力を選択、解析、変換するためのPCAモデル基準および方法の設備範囲を確立するための基準
・主成分モデル、PCAの変動に基づく多変数統計モデルの開発
・付随する統計指標を再構成する簡単な工学関係に基づくモデルの構築
・例外計算および連続的なオンラインモデル更新を提供するオンラインデータの前処理
・ファジー・ペトリネットを用いた、モデル指標が正常か異常かの解釈
・ファジー・ペトリネットを用いた、多数のモデル出力の、プロセス領域の正常性/異常性を示す単一の連続的な概略傾向への組合せ
・操作および保守作業を反映させるため、モデルおよびファジー・ペトリネットとのオペレータの対話環境設計。
これらの拡張は、PCAおよび簡単な工学モデルを効果的に用いることができるたよう、連続的な精製および化学工場の操業の特徴、および対応するデータ特徴を扱うために必要である。これらの拡張は、第1種および第2種の誤りの多くを防止し、且つ異常事象をより速く示すという利点をもたらす。
本節ではPCAに一般的背景を記述しない。そのためには、非特許文献2などの標準的な教科書を参照されたい。
古典的なPCA技術では、以下の統計的な仮定をするが、その多くは正常連続的な精製および化学工場のプロセス動作から発生するデータによりある程度破られる。
1.プロセスは静的、即ちその平均および分散は時間に対して不変である。
2.変数同士の相互相関は、正常プロセス動作にわたり線形である
3.プロセスノイズ確率変数は相互に独立している。
4.プロセス変数の共分散行列は縮退していない(即ち半正定値)。
5.データは、「適切に」スケーリングされる(標準的な統計手法は単位分散へのスケーリング)。
6.(未補償)プロセス・ダイナミクス(このための標準的な部分補償は当該モデルの遅延変数の包含すること)が存在しない。
7.全ての変数がある程度の相互相関を有する。
8.データは多変数正規分布を示す。
その結果、PCAモデルを構築する際の入力および後続段階の選択、解析および変換において、違反の程度を評価して補償するため各種の調整が実行される。
これらのPCAモデルがオンライン配備されたならば、モデル計算は、既知の動作の効果および保守作業の影響を除去し、故障したかまたは「不正な動作をしている」入力を無効にし、プロセスを通じた事象の伝播をオペレータが観察して承認することを可能にし、プロセスが正常に戻ったならば自動的に計算を再開すべく、特定の例外処理を必要とする。
PCAモデルの利用は、正常動作の間は真でなければならない既知の工学関係に基づく単純な冗長性検査により補われる。これらは、物理的に冗長な測定値を検査するような単純なものであってもよく、或いは物質収支と工学収支を検査するような複雑なものであってもよい。
冗長性検査の最も簡単な形式は、例えば以下のような簡単な2×2検査である。
・温度1=温度2
・流量1=バルブ特性曲線1(バルブ1の位置)
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量
これらは、図2のバルブ流量プロット等の簡単なx−yプロットとしてオペレータに提示される。各々のプロットには正常動作の領域があり、このプロット線では灰色の部分で示す。この領域の外側の動作は異常であるとして信号が送られる。
多重冗長性もまた、単一の多次元モデルにより調べることができる。多次元冗長性の例として以下のものがある。
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量=...=処理ユニット2への物質流量
多次元検査は、「PCA的」モデルにより表わされる。図3において、3種の独立且つ冗長な尺度X1、X2、およびX3がある。X3が1ずつ変化する都度、X1はa13ずつ変化し、またX2はa23ずつ変化する。この関係の組は、単一の主成分方向(P)を有するPCAモデルとして表わされる。この種のモデルは、広範なPCAモデルと同様の方法でオペレータに提示される。2次元の冗長性検査と同様に、灰色の部分は正常動作の領域を示す。Pの主成分負荷量は、変動性が最大の方向からPを判定する従来の方法ではなく、工学方程式から直接計算される。
プロセス動作の特徴は、例外動作がこれらの関係を、プロセス動作の正常な範囲、正常領域での装置の変化、および保守作業を通じて正確に保つことを必要とする。例外動作の例として以下のものがある。
・流量計周辺のバイパス弁の開口
・上流の補償/下流の圧力変化
・領域測定値の再カリブレーション
・動作モードに基づくプロセス流の方向変換
ファジー・ペトリネットを用いてPCAモデルおよび工学冗長性検査を組み合わせて、プロセスオペレータに対し、自分の制御下にあるプロセス動作が正常であることを連続的に要約提示する(図4)。
各々のPCAモデルから複数の統計指標が作成され、これら指標をプロセスオペレータが扱うプロセス装置の構成および階層に対応付ける。従来の2乗予測誤差SPEの和による指標の感度は、PCAモデルが対応する完全なプロセス領域の指定された部分からの入力に対するSPE指標への寄与分だけを含むサブセット指標を生成することにより向上する。PCAモデルからの各々の統計指標はファジー・ペトリネットへ送られて当該指標を0〜1の縮尺に変換され、正常動作(値ゼロ)から異常動作(値1)までの範囲を連続的に示す。
各々の冗長性検査もまた、ファジー・ネットを用いて、連続的な正常−異常指標に変換される。これらのモデルが異常性を表示すべく用いる2種の異なる指標がある。即ちモデルからの偏差および動作範囲外の偏差である(図3に示す)。これらの偏差は、誤差の2乗とPCAモデルのホテリングT2乗指標との和に等しい。2より大きい次元を検査する場合、どの入力に問題があるかを識別することが可能である。図3において、X3−X2関係が依然として正常エンベロープ内に含まれるため、問題は入力X1にある。各々の偏差尺度は、ファジー・ペトリネットにより0〜1の縮尺に変換されて、正常動作(値ゼロ)から異常動作(値1)までの範囲を連続的に示す。
オペレータの権限下にある各々のプロセス領域の場合、適用可能な正常−異常指標の組を単一の正常−異常指標に組み合わせる。これは、ファジーペトリ論理を用いて異常動作の最悪ケースの表示を選択して行なわれる。このようにして、オペレータはプロセス領域内の全ての検査の高水準な要約を得られる。本節はファジー・ペトリネットの一般的背景を記述しない。そのためには、非特許文献1を参照されたい。
異常事象へのアプリケーションを構築するための全体プロセスを図5に示す。基本的な構築戦略は反復的であり、構築担当者は粗いモデルから出発し、次いで、正常動作および異常動作の両方の間、当該モデルがどの程度実際のプロセス動作を表わすかの観察に基づいて、当該モデルの能力を逐次向上させる。次いで、モデルはこれらの観察に基づいて再構築および再訓練される。
異常事象検知用のPCAモデルの構築
I.概念的PCAモデル設計
全体的な設計目的は以下の通りである。
・コンソールのオペレータが自分の操作権限下にある全ての処理ユニットについてプロセス動作の連続的な状態(正常対異常)を把握できるようにする。
・オペレータが自身の操作権限内で急速(数分から数時間)に拡大しつつある異常事象の早期発見できるようにする。
・オペレータに対し、異常事象の根本原因を診断するために必要な主要プロセスの情報だけを提供する。
実際の根本原因診断は本発明の範囲外である。コンソールのオペレータは、自身のプロセス知識および訓練に基づいてプロセス問題が診断することが求められる。
広範なプロセス範囲を有することが、異常動作監視の全体的な成功にとって重要である。オペレータがシステムを学んで自身の技術を維持するために、定期的にシステムを用いることが必要である。特定の異常事象が稀にしか生じないため、プロセスの小さい部分の異常動作監視は稀にしかオペレータが使わず、恐らくは遂に異常事象を検知した際にオペレータにシステムを無視させる。この広範な範囲は、相当に経済的な関心事である特定のプロセス問題の検知に基づいてモデルを設計する、公開されているモデリングの目的とは対照的である(非特許文献3を参照)。
数千のプロセス測定値が、単一コンソールのオペレータの操作権限下の処理ユニット内にある。連続的な精製および化学プロセスは、これらの測定値中に顕著な時間ダイナミクスを示し、データ同士の相互相関を破る。このことは、相互相関を維持できる個別のPCAモデルにプロセス装置を分割することを必要とする。
概念上のモデル設計は、以下の4種の主な決定からなる。
・プロセス装置を、対応するPCAモデルを有する設備グループに再分割する。
・プロセス動作期間を、異なるPCAモデルを必要とするプロセス動作モードに再分割する。
・設備グループ内のどの測定値を各PCAモデルへの入力として指定すべきかを識別する。
・設備グループ内のどの測定値が既知の事象または他の例外動作を抑制するフラグとして機能すべきかを識別する。
A.処理ユニットの対応範囲
最初の意思決定は、単一PCAモデルで対応する設備のグループを形成することである。これに含まれる特定の処理ユニットは、プロセス統合/相互作用を理解している必要がある。多変数拘束コントローラの設計と同様に、PCAモデルの境界は、全ての重要なプロセス相互作用およびプロセスの変動や撹乱の主要な上流および下流における兆候を包含していなければならない。
以下の規則を用いてこれらの設備グループを判定する。
設備グループは、同一設備グループ内で全ての主要な物質とエネルギーの融合、およびの迅速な再循環を含むことにより定義される。プロセスが多変数拘束コントローラを用いる場合、制御モデルは処理ユニット同士の相互作用位置を明示的に識別する。さもなければ、相互作用は当該プロセスの工学解析を通じて識別する必要がある。
プロセスグループは、プロセス装置グループ同士の相互作用が最小である点で分割されなければならない。最も明確な分割点が生じるのは、相互作用が次の下流ユニットへの供給を含む単一のパイプを介してのみ生じる場合である。この場合、温度、圧力、流量、および供給の組成が下流の設備グループに対する一次影響であり、直ぐ下流にあるユニットの圧力は上流の設備グループへの一次影響である。これらの一次影響の測定値は、上流および下流の両方の設備グループのPCAモデルに含まれているべきである。
上流と下流の設備グループの間にプロセス制御アプリケーションの影響を含める。プロセス制御アプリケーションは、上流で下流の設備グループの間に追加的な影響経路を提供する。フィードフォワードおよびフィードバック経路の両方が存在し得る。このような経路が存在する場合、これらの経路を駆動する測定値は両方の設備グループに含まれていなければならない。プロセス制御アプリケーションの解析により、処理ユニット同士の主要な相互作用が示される。
長時間動特製(significant time dynamics)が存在する場所(例:貯蔵タンク、長いパイプライン等)は設備グループを分割する。PCAモデルは基本的に、急速なプロセス変動(例:数分〜数時間の期間にわたり生じるもの)を扱う。プロセスに影響を及ぼすのに数時間、数日、ま数週間もかかる影響はPCAモデルに適していない。これらの影響が正常なデータパターンにとって重要な場合、これらの影響の測定値を動的に補償して、それらの有効時間を他のプロセス測定値と同期化させる必要がある(動的補償についての説明を参照)。
B.プロセス動作モード
プロセス動作モードは、プロセスの挙動が大幅に異なる特定の期間として定義される。これらの例として、異なる等級の製品(例:ポリマー生産)の生産、顕著なプロセス遷移(例:始動、停止、原料の交換)、激変した原料(例:オレフィン生産においてエタンに代えてナフサを分解)の処理、または異なる構成のプロセス設備(異なる組の処理ユニットが稼動)がある。
これらの顕著な動作モードが存在する場合、各々の主要動作モードに対して個別のPCAモデルが構築すれ必要があり得る。必要とされるモデルが少ない方が良い。構築担当者は、特定のPCAモデルが類似の動作モードに対応可能であると仮定すべきである。この仮定は、各動作モードからの新規データをモデルに通して当該モデルが正しく動作するか否かを確認することにより検証されなければならない。
C.履歴的プロセス問題
異常事象検知システムの構築に組織的な関心が持たれるのは、従来から経済的に重大な影響を及ぼすプロセス問題が存在しているためである。しかし、これらの重要な問題を分析して、当該問題に取り組む最適なアプローチを識別する必要がある。特に、構築担当者は、異常事象検知アプリケーションの構築を試みる前に以下の点を確認しなければならない。
1.問題を恒久的に解決することが可能か。往々にして、現場担当者が問題を調査して恒久的に解決する充分な時間が無かったために問題が存在する。当該問題に組織的な関心が向けられたならば恒久的な解決策が見つかる場合が多い。これが最善のアプローチである。
2.問題を直接測定することが可能か。問題を検知するためのより信頼性が高い方法は、当該プロセスにおける問題を直接測定できるセンサーを設置することである。これを用いて、プロセス制御アプリケーションを介して問題を防止することも可能である。これが次善のアプローチである。
3.異常動作に対するアプローチを測定する推論的測定法を構築することが可能か。推論的測定法は通常、部分最小二乗法、PLS、PCA異常事象モデルに極めて近いモデルを用いて構築される。推論的測定法を構築する他の一般的な代替案として、ニューラルネットワークおよび線形回帰モデルが含まれる。信頼性を以って問題状態へのアプローチを測定するために利用可能なデータ(例:デルタ圧力を用いるタワーフラッディング)が存在する場合、これを状態の存在を検知するためだけでなく、状態が生じるのを防止する制御アプリケーションの基礎ベースとしても用いることができる。これが三番目に良いアプローチである。
問題状態の直接測定、およびこれらの状態の推論的測定値は、異常検知モデルの全体的なネットワークに容易に一体化することが可能である。
II.入力データおよび動作範囲の選択
設備グループ内に何千ものプロセス測定値がある。予備設計では以下を行なう。
・全てのカスケード2次コントローラ測定値、および特にこれらのユニットへの最終2次出力(フィールド制御バルブへの信号)を選択する
・コンソールのオペレータがプロセスを監視するのに用いる主要な測定値(例:自身の操作系統に現われるもの)を選択する
・担当技術者がプロセスの性能を測定するために用いる何らかの測定値を選択する
・供給速度、供給温度、または供給品質の何らかの上流測定値を選択する
・プロセスの動作領域、特に圧力に影響を及ぼす下流状態の測定値を選択する
・重要な測定のために追加的な冗長測定値を選択する
・非線形変換の計算に必要となるかもしれない測定値を選択する
・撹乱(例:周囲温度)の何らかの外部測定値を選択する
・プロセス状態の重要な尺度であるとプロセスの専門家が考える他のあらゆる測定値を選択する
上記のリストから以下の特性を有する測定値のみを含める。
・測定値に誤りまたは問題がある性能の履歴が含まれていない
・測定値は満足すべき信号対ノイズ比を有する
・測定値はデータ集合内の他の測定値と相互相関を求められている
・測定値は正常動作期間の10%を超えて飽和していない
・測定値は、稀にしか変化しない固定セットポイントに密接には制御されていない(制御階層の最終一次側)
・測定値は、長期にわたる「不良値」動作、またはトランスミッタの限界まで飽和していない
・測定値は、極めて非線形であることが知られている値の範囲を超えない
・測定値は未加工測定値からの冗長計算ではない
・フィールド制御バルブへの信号は、時間の10%を超えて飽和していない
A.モデル入力を選択するための評価
PCA異常検知モデル、信号対ノイズ比、および相互相関への潜在的入力に優先順位付けを行なうための2種の統計的な基準がある。
1)信号対ノイズテスト
信号対ノイズ比は、入力信号における情報内容の尺度である。
信号対ノイズ比は、以下のように計算される。
1.未加工信号は、プロセスのものに等しい近似動的時定数を有する指数フィルタを用いてフィルタリングされる。連続的な精製および化学プロセスの場合、この時定数は通常、30分〜2時間の範囲にある。他の低域通過フィルタを用いてもよい。指数フィルタの場合の式は以下の通りである。
=P*Yn−1+(1−P)*X 指標フィルタの式 式1
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式2
ここで、
現在フィルタリングされる値
n−1 以前にフィルタリングされた値
現在の未加工値
P 指数フィルタ定数
測定値のサンプル時間
フィルタ時定数
2.残留信号は、未加工信号からフィルタリングされた信号を減算することにより得られる。
=X−Y 式3
3.信号対ノイズ比は、フィルタリングされた信号の標準偏差を残留信号の標準偏差で除算した比である。
S/N=σ/σ 式4
全ての入力が、所定の最小値(例:4)より大きいS/Nを示すことが好ましい。S/Nが当該最小値を下回る入力については、モデルに含めるべきか否かを判定するために個別に調べる必要がある。
S/Nを計算するために用いるデータ集合は、ノイズ内容の推定を極端に長引かせるため、長期間にわたる定常状態動作は全て除外しなければならない。
2)相互相関テスト
相互相関は、入力データ組の情報冗長性の尺度である。任意の2つの信号間の相互相関は次式により計算される。
1.各入力組i、k間の共分散Sikを計算する。
Figure 0005205055
2.共分散からの入力の各組について相関係数を計算する。
CCik=Sik/(Sii*Skk1/2 式6
入力がモデルに含まれていてはならないことをフラグする二つの状況がある。第1の状況は生じるのは、特定の入力と残りの入力データ組との間に顕著な相互相関が存在しない場合である。各々の入力に対して、当該データ組において有意な相関係数、例えば0.4、を有する少なくとも1個の他の入力が存在しなければならない。
第2の状況が生じるのは、異なる識別器を有する何らかの計算に際して同一入力情報が(偶然に)2回含まれた場合である。1に近い(例えば0.95超)相関係数を示す一対の入力は全て、両方の入力をモデルに含めるべきか否か判定すべく個別の検査が必要である。入力が物理的には独立しているが論理的には冗長である(即ち、2個の独立熱電対が別々に同じプロセス温度を測定している)場合、これら両方の入力はモデルに含まれるべきである。
2つの入力がお互いの変換(即ち、温度および圧力補償された温度)である場合、これらの測定値の1個と残りのデータ組との間で顕著に向上した相互相関が存在しない限り、オペレータが馴染んでいる測定値を含めることが好ましい。次いで、より高い相互相関を有する方を含めるべきである。
3)飽和した変数の識別および扱い
精製および化学プロセスは往々にして厳しいか緩い拘束に遭遇して、結果的にモデル入力に対する飽和値および「不良値」が生じる。一般的な拘束は、計器トランスミッタの上下範囲、アナライザ範囲、最大および最小制御バルブ位置、およびプロセス制御アプリケーション出力限度である。入力は、モデル構築およびこれらのモデルのオンライン利用の両方において入力を事前処理する際に特別な扱いを要する飽和に関していくつかのカテゴリに分類することができる。
不良値
標準的なアナログ計器(例:4〜20ミリアンペアの電子トランスミッタ)において、不良値は以下の2種の別々の原因で生じる恐れがある。
・実際のプロセス状態がフィールドトランスミッタの範囲外にある
・フィールドとの接続が絶たれた
これらの状況のいずれかが生じた場合、プロセス制御システムを個々の測定値に基づいて設定して、当該測定値が不良値であることを示す特別のコードを当該測定値に割り当てるか、或いは測定の最終良好値を維持する。これらの値は次いで、プロセス制御システムに対して実行されるあらゆる計算全体にわたり伝播する。「最終良好値」オプションが設定された場合、これは検知および除外が困難な誤った計算に至る恐れがある。「不良値」コードがシステム全体に伝播した場合に典型的に、不良測定値に依存する全ての計算も同様に不良としてフラグが立てられる。
プロセス制御システムに設定されたオプションとは無関係に、不良値を含むそれらの期間は、訓練またはテストデータ集合に含まれてはならない。構築担当者は、プロセス制御システムにおいてどのオプションが設定されたかを識別し、次いで、不良値であるサンプルを除外するためのデータフィルタを設定する必要がある。オンライン実装の場合、プロセス制御システムでどのオプションが選択されたかとは無関係に、入力は事前処理して不良値を欠落値としてフラグ付けしなければならない。
通常は長期間にわたり不良値であるこれらの入力をモデルから除外すべきである。
拘束変数
拘束変数とは、測定値がある限界にあって、当該測定値が実際のプロセス状態(値がトランスミッタ範囲の最大または最小限にデフォルト化されている場合とは逆。「不良値」節で記述)に一致する。このプロセス状況は、以下のいくつかの理由により生じる。
・プロセスの各部分は、特に優先的な状況、例えばフレアシステムへの圧力解放流がない限り、通常は不活性である。これらの優先的状況が有効である時間は、データフィルタを設定することにより訓練および検証データ集合から除外しなければならない。オンライン実装の場合、これらの優先事象は、選択されたモデル統計量を自動抑制するトリガ事象である
・プロセス制御システムは、プロセス動作制限、例えば製品仕様限界、に反してプロセスを駆動すべく設計されている。これらの拘束は通常、2種のカテゴリに分類される。即ち時々飽和するものと、通常は飽和しているものである。通常は飽和している入力はモデルから除外しなければならない。稀に(例えば全時間の10%未満)飽和するだけの入力はモデルに含まれてよいが、飽和していない場合には期間に基づいてスケーリングしなければならない。
B.プロセス制御アプリケーションからの入力
プロセス制御アプリケーションは、プロセスデータの相互相関構造に極めて重大な影響を及ぼす。特に以下の通りである。
・被制御変数の変動が大幅に減少するため、プロセスに顕著なプロセス撹乱が出現したか、または、オペレータが主要なセットポイントを変えて意図的に動作点を動かした場合の短期間を除いて、被制御変数内の動きは基本的にノイズである。
・被制御変数における通常の変動は、制御システムにより被操作変数(最終的にはフィールド内の制御バルブへ送られた信号)へ転送される。
精製および化学プロセスの正常動作は通常、2種類の異なる制御機構により制御される。即ち古典的制御カスケード(図6に示す)および、より最近の多変数拘束コントローラMVCC(図7に示す)である。
1)カスケード構造からモデル入力を選択
図6に、典型的な「カスケード」プロセス制御アプリケーションを示す。これは精製および化学プロセス用に極めて一般的な制御機構である。そのようなアプリケーションからの多くの潜在的なモデル入力が存在するが、当該モデルの候補である唯一のものは未加工プロセス測定値(本図の「PV」)およびフィールドバルブへの最終出力である。
カスケード制御機構の最終一次側のPVは、極めて重要な測定値であるにもかかわらず、当該モデルへ含めるには適していない候補である。この測定値は通常、制御機構の目的がこの測定値をセットポイントに保つことであるため、動きが極めて限られる。自身のセットポイントが変えられた場合に最終一次側のPV内に動きがあってもよいが、通常これは稀である。一次セットポイントの不定期的移動から生じるデータパターンは通常、モデルがデータパターンを特徴付けるに足る影響力を訓練データパターンに有していない。
最終一次側のセットポイントの変化から生じるデータパターンを特徴付けることがこのように困難なため、オペレータが当該セットポイントを動かしたならば、当該モデルの指標である二乗予測誤差SPEの和が顕著に増加しそうである。従って、最終一次側のセットポイントがわずかに変化しても「既知事象抑制」を起こす候補トリガである。オペレータが最終一次側セットポイントを変える都度、「既知事象抑制」論理がSPE計算からその影響を自動的に除去する。
構築担当者が最終一次側のPVをモデルに含めるのであれば、当該測定値は、オペレータがセットポイントを変えた時点からプロセスが新規セットポイントの値の近くへ移動するまでの短い期間に基づいてスケーリングすべきである(例えば、セットポイントが10から11まで変化した場合、PVが10.95に達したときに新規セットポイントの95%以内に)。
最終一次側のPVと極めて強い相関(例えば相関係数が.95を超える)を有する測定値もまたあり得る。例えば、最終一次側のPVとして用いられる、温度測定の近傍に置かれた冗長な熱電対である。これらの冗長な測定値は、最終一次側のPV用に選択されたのと同じ方法で扱われなければならない。
カスケード構造は、各々の二次側に設定ポイント制限を持つことができ、フィールド制御バルブへの信号に対して出力制限を設けることができる。これらの潜在的に拘束された動作の状態を調べることは、セットポイントに関連付けられた測定値が拘束された方法で操作されたか否か、または、フィールドバルブに対する信号が拘束されたか否か見るために重要である。これらの拘束された動作の間の日付を用いてはならない。
2)多変数拘束コントローラ(MVCC)からのモデル入力の選択/計算
図7に、精製および化学プロセス向けの極めて一般的な制御機構である典型的MVCCプロセス制御アプリケーションを示す。MVCCは動的数学モデルを用いて、被操作変数MV(通常は調整制御ループのバルブ位置またはセットポイント)の変化がどのように制御変数CV(プロセス状態を測定する従属温度、圧力、組成および流量)を変えるかを予測する。MVCCは、プロセス動作を動作限度まで押し上げようと試みる。これらの限度は、MV限度またはCV限度のいずれかであってよく、外部オプティマイザにより決定される。プロセス動作の限度の数は、コントローラが操作可能なMVの数から、制御されている物質収支の数を差し引いたものに等しい。従って、MVCCが12個のMV、30個のCV、および2個のレベルを有する場合、プロセスは10個の限度に向けて動作される。MVCCはまた、プロセスに対する測定された負荷変動の影響を予測して、これらの負荷変動(フィードフォワード変数FFとして知られる)を補償する。
未加工MVまたはCVが、PCAモデルに含めるべき良い候補であるか否かは、MVまたはCVがMVCCによる動作限度に対して保持されている時間の割合に依存する。「拘束変数」の節で議論したように、時間の10%を超えて拘束される未加工変数は、PCAモデルへ含める候補としては適していない。通常、非拘束変数は「拘束変数」節の議論に従って扱われなければならない。
無拘束MVが調整制御ループに対するセットポイントである場合、セットポイントを含めるべきではなく、代わりに当該調整制御ループの測定値を含めるべきである。また、当該調整制御ループからのフィールドバルブに対する信号も含めるべきである。
無拘束MVがフィールドバルブ位置に対する信号である場合、これをモデルに含めるべきである。
C.冗長測定値
プロセス制御システムデータベースは、PCAモデルへの候補入力の中で顕著な冗長性を有する可能性がある。冗長性の一種として「物理的冗長性」があり、これはプロセス設備内で互いに物理的に近接して配置された多数のセンサー(熱電対等)が存在する場合である。別の種類の冗長性として「計算的冗長性」があり、これは未加工センサーが新たな変数(例:圧力補償された温度、または容積測定流量測定値から計算されて質量流量)に数学的に組み合わされた場合である。
一般的なルールとして、未加工測定値および当該測定値から計算された入力は共に当該モデルに含まれてはならない。一般に好適なのは、プロセスオペレータが最も馴染んでいる測定値のバージョンを含めることである。このルールにおける例外は、当該モデル用にデータの相互相関構造を向上させるために未加工入力を数学的に変換しなければならない場合である。その場合、未加工測定ではなく、変換された変数を当該モデルに含めるべきである。
物理的冗長性は、モデルの相互検証情報を提供するために極めて重要である。一般的なルールとして、物理的に冗長な未加工測定値はモデルに含めるべきである。多数の物理的に冗長な測定値が存在する場合、これらの測定値は、主成分(可変スケーリングに関する節を参照)の選択を阻害するのを防止すべく特別にスケーリングされなければならない。一般的なプロセスの例は、原子炉暴走を捕捉すべく原子炉に設置された多数の熱電対から生じる。
極めて巨大なデータベースをマイニングする場合、構築担当者は全ての候補入力の中で相互相関計算を行なうことにより冗長な測定値を識別することができる。相互相関が極めて高い(例えば.95超)測定値ペアを個別に調べて各々の組を物理的に冗長または計算的に冗長のいずれかに分類しなければならない。
III.履歴データの収集
構築に要する努力の多くは、正常なプロセス動作の全てのモードを含むことがわかっている良好な訓練データ集合の生成にある。このデータ集合は以下を満たさなければならない。
正常動作範囲にわたること。動作範囲の小さい部分にわたるデータ集合は殆どがノイズからなる。定常状態動作の間のデータの範囲に比べたデータの範囲は、データ集合の情報の品質を良く示している。
全ての正常動作モード(季節的なモード変動を含む)を含んでいること。各々の動作モードは、異なる相互相関構造を有していてよい。動作モードを特徴付けるパターンがモデルにより捕捉されない限り、これらの非モデル化動作モードは異常動作として現われる。
正常動作データだけを含んでいること。強い異常動作データが訓練データに含まれている場合、モデルは誤ってこれらの異常動作を正常動作としてモデル化してしまう。その結果、後で当該モデルを異常動作と比較した際に、異常動作を検知することができない。
履歴は、オンライン・システムで用いるデータになるべく類似しているべきである。オンライン・システムは、異常事象を検知するのに充分速い周期でスポット値を提供する。連続的な精製および化学的操作の場合、このサンプリング周期は約1分である。データ履歴管理機能の限度内で、訓練データは可能な限り1分のスポット値に等価でなければならない。
データ収集の戦略は、長期間(通常9〜18ヶ月間の範囲)の動作履歴から開始し、これらの期間から明白な、または文書化された異常事象を除外すべく試みることである。そのような長期間を用いることにより以下が実現する。
・比較的小さい異常事象は、モデルパラメータに大きく影響する程度には充分な強さを以って訓練データ集合に現われない
・大部分の動作モードが発生して、データ内に現われているはずである。
A.履歴データ収集に関する事項
1)データ圧縮
多くの履歴データベースはデータ圧縮を用いて、必要なデータ記憶容量を最小化する。不都合なことに、これを実行すればデータの相互相関構造を乱す恐れがある。プロジェクトの開始時点において、データベースのデータ圧縮を無効にしてデータのスポット値の履歴を取っておくべきである。可能な場合は常に非圧縮データを用いて最終的なモデルを構築しなければならない。平均化された値は、それらが利用できる唯一のデータであって、利用できる最短のデータ平均でない限り、用いるべきではない。
2)データ履歴の長さ
モデルが正常なプロセスパターンを適切に表わすために、訓練データ集合は、全ての正常動作モード、正常な動作変動、およびプロセスに生じる変化や正常な微小攪乱の例を含んでいなければならない。これは、長期間(例:9〜18ヶ月)にわたるプロセス動作のデータを用いることにより実現される。特に、精製および化学プロセスにおいて季節的(春夏秋冬)な動作の違いは極めて重要であり得る。
時折、これらの長い範囲のデータが未だ利用できない場合(例:プロセス設備の切り替えその他の重要な再構成の後)がある。これらの場合、モデルは訓練データの短い(例:6週間)初期集合から始めて、更なるデータが収集されるにつれて訓練データ集合が拡張されて、モデルが安定するまで当該モデルが毎月更新される(例:モデル係数は新規データを追加しても変化しない)。
3)補助履歴データ
この期間に対する各種の操作ジャーナルもまた収集しなければならない。これを用いて、動作期間を異常とみなすが、または訓練データ集合から除外する必要がある何らかの特別なモードにおいて動作している。特に、重要な履歴的異常事象をこれらのログから選択してモデル用のテストケースとすることができる。
4)特定の測定履歴の欠如
往々にして、セットポイントおよびコントローラ出力は、工場プロセスデータの履歴管理機能で履歴化されないことが多い。これらの値の履歴化は、プロジェクトの開始時点で直ちに開始しなければならない。
5)動作モード
もはや適切に現在のプロセス動作を表わさない旧データは、訓練データ集合から削除しなければならない。大規模なプロセス変更の後で、訓練データおよびPCAモデルを最初から作り直すことが必要な場合がある。特定の種類の動作がもはや実行されていない場合、当該動作からの全てのデータを訓練データ集合から削除しなければならない。
動作ログを用いて、異なる動作モードの下でいつプロセスが稼動したかを識別しなければならない。これらの異なるモードは別々のモデルを必要とする場合がある。モデルがいくつかの動作モードに対応することを意図している場合、各々の動作モデルからの訓練データ集合内のサンプルの数はほぼ等しくなければならない。
6)サンプリングレート
構築担当者は、拠点のプロセス履歴管理機能を使用して数ヶ月分のプロセスデータ、好ましくは1分間隔のスポット値、を収集しなければならない。これが入手可能でない場合、なるべく平均化されておらず、且つ解像度が最も高いデータを使用すべきである。
7)稀にサンプリングされる測定値
品質測定値(アナライザおよび研究室サンプル)は他のプロセス測定値よりも極めて長いサンプリング周期を有し、数十分毎〜1日1回の範囲である。これらの測定値をモデルに含めるには、これらの品質測定値の連続的な推定値を生成する必要がある。図8に、連続的な品質推定値のオンライン計算を示す。これと同じモデル構造を構築して履歴データに適用しなければならない。この品質推定値は次いで、PCAモデルへの入力になる。
8)モデルにより起動されるデータ注釈
極めて明らかな異常を除いて、履歴データの品質を判定するのは困難である。異常動作データを含めることによりモデルが偏る恐れがある。大量の履歴データを用いる戦略は、訓練データ集合における異常な動作により生じるモデルのバイアスをある程度補償する。プロジェクトの開始に先立って履歴データから構築されたモデルは、品質に関しては疑いを持たなければならない。初期訓練データ集合は、プロジェクトが継続している間に生じるプロセス状況の高い品質注釈を含むデータ集合により代替されなければならない。
モデル構築の戦略は、初期の「粗い」モデル(疑わしい訓練データ集合の結果)から出発し、次いでモデルを用いて高品質訓練データ集合の収集を起動することである。モデルを用いてプロセスを監視するに従い、正常動作、特別動作、および異常動作に関する注釈およびデータが集められる。モデルが異常動作のフラグを立てるか、または異常事象をモデルが見逃した都度、事象の原因および持続期間に注釈が付けられる。このように、プロセス動作を監視するモデルの能力に対するフィードバックを訓練データに取り込むことができる。次いでこのデータを用いてモデルを改良し、次いで当該モデルを用いて品質が向上した訓練データを収集し続ける。このプロセスは、モデルが満足すべき状態になるまで繰り返される。
IV.データ及びプロセス解析
A.初期の粗いデータ解析
動作ログを用いて、プロセスの主要な性能指標を調べることにより、履歴データを、異常動作の存在が判明している期間と、識別された異常動作が存在しない期間に分ける。識別された異常動作が存在しないデータが訓練データ集合となる。
ここで、各測定値は、訓練データ集合の候補であるか否かを判定すべく、自身の全履歴を調べられる必要がある。除外しなければならない測定値は以下の通りである。
・「不良値」である期間が長いもの
・自身のトランスミッタの上限または下限に固定された期間が長いもの
・極めて僅かな変動性しか示さないもの(自身のセットポイントに密に制御されているものを除く)
・自身の動作範囲に関して極めて大きい変動性を連続的に示すもの
・データ集合内の他のどの測定値とも殆ど相互相関を示さないもの
・信号対ノイズ比が低いもの
データを調べる間、測定値が短期的に「不良値」を示すか、或いは自身のトランスミッタ上限または下限に短期的に固定されている期間もまた除外されなければならない。
これらの除外がなされたならば、第1の粗いPCAモデルが構築される筈である。これは極めて粗いモデルになるため、保持される主成分の正確な個数は重要でない。これは通常、モデルに含まれる測定値の個数の約5%である。PCの数は最終的に、プロセス内の自由度の個数に合致する筈であるが、これはプロセス撹乱の全ての異なる発生源を含んでいるため、通常は未知である。含めるべき主成分の個数を判定するいくつかの標準的な方法がある。また、この段階では、可変スケーリングへの統計的アプローチを用いるべきである。即ち全ての変数を単位分散にスケーリングする。
X’=(X−Xavg)/σ 式7
ここで訓練データ集合をこの事前モデルに通して、データがモデルに合致しない期間を識別しなければならない。これらの期間を調べて、その時点で異常事象が生じていたか否かを判定しなければならない。そうであると判定されたならば、これらの期間はまた、既知の異常事象が生じている時間としてフラグを立てられなければならない。これらの期間を訓練データ集合から除外し、修正されたデータによりモデルを再構築しなければならない。
B.外れ値および異常動作期間の除外
以下を通じて、明らかな異常事象を除去する。
文書化された事象の除外。拠点において異常事象の履歴の完全な記録が残されていることは極めて珍しい。しかし、顕著な動作問題は、オペレータのログ、オペレータの変更ジャーナル、警報ジャーナル、および計器保守記録等の動作記録に文書化されなければならない。これらは、異常事象の履歴の部分的な記録しか提供しない。
主要性能指標KPIが異常である期間の除外。供給レート、製品レート、製品品質等の測定値が共通の主要性能指標である。各々のプロセス動作には、装置に固有の追加的なKPIがあってよい。この限られた測定値の集合を注意深く調べることにより、異常動作の期間が明確に示される。図9に、KPIのヒストグラムを示す。このKPIの動作目的はこれを最大化することであるため、このKPIが低い場合の動作期間は異常動作である可能性がある。プロセス品質は、最適動作が仕様限界以内であって、正常な供給速度の変動に対する感度が低いため、往々にして最も解析が容易なKPIである。
C.ノイズの補償
ノイズとは、プロセスに関して有用な情報を含んでいない測定信号の高周波内容を指す。ノイズは、オリフィス・プレートを横断する二相流またはレベルの撹乱等の特定のプロセス状況により生じ得る。ノイズは、電気インダクタンスにより生じ得る。しかし、恐らくはプロセス撹乱により生じた顕著なプロセス変動性は有用な情報にあって、フィルタリングで除去してはならない。
精製および化学的プロセスの測定で生じる2種の一次ノイズがある。即ち測定スパイクおよび指数相関を有する連続ノイズである。測定スパイクにより、信号は、自身の以前の値に近い値に戻る前に、サンプル数が少ない割に不合理なほど大幅に飛ぶ。ノイズ・スパイクは、ユニオン・フィルタ等の従来型スパイク除外フィルタを用いて除外される。
信号におけるノイズの量は、信号対ノイズ比として知られる尺度により定量化できる(図10参照)。これは、高周波ノイズに起因する信号変動性の程度に対するプロセス変動に起因する信号変動性の程度の比として定義される。4未満の値が、信号が顕著なノイズを含んでいてモデルの効果を阻害し得ることを示す典型的な値である。
構築担当者が顕著なノイズを含む信号に遭遇するたびに、三種の選択の一つを行なう必要がある。好ましい順に以下の通りである。
・ノイズの発生源を除去することにより信号を固定する(最良の対応策)
・フィルタリング技術を用いてノイズを除去/最小化する
・信号を当該モデルから除去する
信号対ノイズ比が2〜4の間にある信号では通常、指数相関を有する連続ノイズは、指数フィルタ等の従来型低域通過フィルタにより除去することができる。指数フィルタの式は以下の通りである・
=P*Yn−1+(1−P)*X 指数フィルタの式 式8
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式9
は現在のフィルタリングされた値
n−1は以前にフィルタリングされた値
は現在の未加工値
Pは指数フィルタ定数
は測定値のサンプル時間
フィルタが時定数
信号対ノイズ比が極めて低い(例えば2未満の)信号は、直接モデルに含まれる程度にはフィルタリング技術によっても充分に改善できないであろう。入力が重要と見なされる場合、変数のスケーリングはスケーリング係数のサイズを大幅に増す(通常は2〜10の範囲)ことにより、モデルの感度を下げるべく設定されなければならない。
D.変換された変数
変換された変数は、二つの異なる理由によりモデルに含まれなければならない。
第一に、特定の設備およびプロセス化学の工学的解析に基づいて、プロセス内で既知の非線形性を変換して当該モデルに含めなければならない。PCAの仮定の一つが、モデルの変数が線形に相関していることであるため、プロセスまたは設備の顕著な非線形性はこの相互相関構造を壊して、モデルからの偏差として現われる。これは、モデルの使用可能範囲に影響を及ぼす。
既知の非線形変換の例として以下のものがある。
・蒸留塔における還流対供給比
・高純度蒸留の組成のログ
・圧力補償された温度測定
・副流の生成
・バルブ位置への流れ(図2)
・指標的温度変化への反応率
第二に、過去に生じたプロセス問題からのデータもまた、これらの問題が当該プロセスの測定値にどのように現われるかを理解するために調べなければならない。例えば、装置のデルタ圧力と供給速度の関係は、フラッディング点に達するまでは比較的線形であるが、そこからデルタ圧力は指数的に増加する。タワーフラッディングは、この線形相関が破れたことで検出されるため、デルタ圧力および供給速度の両方が含まれなければならない。別の例として、触媒流問題が移送ラインのデルタ圧力にしばしば見られる。従って、絶対圧力測定値をモデルに含めるのではなく、デルタ圧力を計算して含めなければならない。
E.動的変換
図11に、プロセス・ダイナミクスが2個の測定値の現在値同士の相互相関をどのように乱すかを示す。遷移時間中、一方の値は常に変化しているが他方はそうでなく、従って遷移時間中は現在値同士の相互相関は存在しない。しかし、これら2個の測定値は、動的伝達関数を用いて主要な変数を変換することにより、時間同期に戻すことができる。データの時間同期化には通常、無駄時間動的モデル(式9にラプラス変換形式で示す)を有する第1オーダーで充分である。
Figure 0005205055
Y:未加工データ
Y’:時間同期化データ
T:時定数
Θ:無駄時間
S:ラプラス変換パラメータ
この技術が必要とされるのは、モデルで用いる変数同士に顕著な動的分離がある場合のみである。通常、変数の1〜2%だけがこの処理を必要とする。これは、オペレータによりしばしば大きな刻みで変えられるセットポイント等の独立変数、およびモデル化されている主処理ユニットのかなり上流にある測定値に当てはまる。
F.平均的な動作点の除去
連続的な精製および化学プロセスは、ある動作点から別の動作点へ常に移動されている。これらは、オペレータまたは最適化プログラムが主要なセットポイントを変更した意図的なものであったてもよく、或いは、熱交換器の汚れや触媒の非活性化等の遅いプロセス変動により生じる場合がある。その結果、未加工データは静止していない。これらの動作点の変更は、静止データを生成するために除去する必要がある。さもなければ、これらの変更は異常事象として誤って現われる。
プロセスの測定値は偏差変数、即ち移動平均動作点からの偏差に変換される。異常事象検知用のPCAモデルを生成する際に、平均動作点を除去する当該変換が必要である。これは、自身の未加工値から測定値の指数的にフィルタリングされた値(指数フィルタ式については式8、9を参照)を減算し、当該モデルでこの差を用いることにより行なわれる。
X’=X−Xfiltered 式10
X’:動作点変化を除去すべく変換された測定値
X:元の未加工測定値
filtered:指標的にフィルタリングされた未加工測定値
指数フィルタ用の時定数は、プロセスの主要な時定数とほぼ同じサイズでなければならない。多くの場合、時定数は約40分で充分である。この変換の結果、PCAモデルへの入力が、移動平均動作点からのプロセスの最近の変化の測定値となる。
この変換を正確に実行すべく、多くの場合毎分またはそれ以上速くオンライン・システムと合致するサンプリング周期でデータを集めなければならない。これは結果的に、1年分の動作データに対応すべく各々の測定について525,600個のサンプルを集めることになる。この変換を計算したならば、データ集合を再サンプリングして、より管理しやすいサンプル数、通常は30,000〜50,000サンプルの範囲内に減らす。
V.モデル構築
特定の測定値が選択されて、訓練データ集合が構築されたならば、標準的なツールを用いてモデルは素早く構築することができる。
A.モデル入力のスケーリング
PCAモデルの性能は、入力のスケーリングに依存している。スケーリングへの従来型のアプローチは、訓練データ集合内で各々の入力を自身の標準偏差σで分割することである。
’=X/σ 式11
多数のほぼ同一の測定値(固定された触媒反応床の多数の温度測定値)を含む入力集合の場合、このアプローチは更に、測定値をほぼ同一の測定値の個数の二乗根で除算することで修正される。
冗長なデータ群の場合
’=X/(σ*sqrt(N)) 式12
ここで、N=冗長なデータ群における入力の個数
これらの従来方式のアプローチは、連続的な精製および化学プロセスからの測定値に対しては不適当である。プロセスは通常、指定された動作点でうまく制御されているため、データの分布は定常状態動作からのデータと、「乱された」および動作点が変化した動作からのデータとの組合せである。これらのデータは、優位な定常状態動作データからの過度に小さい標準偏差を有する。その結果生じるPCAモデルは、プロセス測定値における微小又は適度な偏差に極端に影響される。
連続的な精製および化学プロセスの場合、スケーリングは、正常プロセス撹乱の最中、または連続定常状態動作中に生じる変動性の程度に含まれない動作点変化の最中に生じる変動性の程度に基づくべきである。通常の無拘束変数の場合、スケーリング係数を決定する二つの異なる方式がある。
第一の方式は、プロセスが定常状態で動作しておらず、且つ顕著な異常事象が生じていない期間を識別するものである。限られた個数の測定値が定常状態動作の主要な指標の役割を果たす。これらは典型的なプロセスの主要性能指標であって、通常はプロセスの供給速度、製品生産速度、および製品品質を含んでいる。これらの主要な尺度を用いて、動作を正常な定常状態動作、正常な撹乱された動作、および異常動作の期間に区分する。正常な撹乱された動作期間からの標準偏差が大部分の測定値に対する良好なスケーリング係数を与える。
撹乱された動作に基づいてスケーリングを明示的に計算する代替的な方式は、以下のように訓練データ集合全体を用いるものである。スケーリング係数は、平均から3標準偏差外れたデータ分布に注目することにより近似することができる。例えば、データの99.7%が平均の3標準偏差以内に存在し、データの99.99%が平均の4標準偏差以内に存在する筈である。平均から99.7%と99.99%の間にあるデータ値の拡がりは、データ集合内の「撹乱された」データの標準偏差の近似としての役割を果たすことができる。図12を参照されたい。
最後に、測定値がしばしば拘束される(飽和変数に関する議論を参照)場合、スケーリング係数として用いる標準偏差の計算には変数が拘束されない期間だけを用いるべきである。
B.主成分の個数を選択する
PCAは実際のプロセス変数を主成分PCと呼ばれる一組の独立変数に変換する。これは、元の変数の線形結合である(式13)。
PC=Ai,1*X+Ai,2*X+Ai,3*X+... 式13
プロセスには、プロセスに影響を及ぼす特定の独立した事象を表わす多くの自由度がある。これらの異なる独立した事象は、プロセス変動とし当該プロセスのデータに出現する。プロセス変動は、供給速度の変更等の意図的な変更、または周囲温度の変化等の意図しない撹乱に起因する場合がある。
各々の主成分は、プロセスに対するこれらの異なる独立した効果により生じるプロセスの変動性の一部をモデル化する。主成分は、データ集合における変動が減少する方向で抽出され、後続する各々の主成分は、次第にプロセス変動性をモデル化しなくなっていく。顕著な主成分はプロセス変動の顕著な発生源を表わす。例えば、供給速度の変更が最も大きいプロセス変動の発生源であるため、第1の主成分は通常、供給速度変更の効果を表わす。ある時点で構築担当者は、主成分によりモデル化されたプロセス変動が、いつ独立発生源を表わさなくなったかを決定しなければならない。
主成分の正確な個数を選択する工学的アプローチは、主成分の一次寄与分である変数のグループがもはや工学的に意味を持たなくなった時点で止めることである。PCによりモデル化されたプロセス変動の一次要因は、元の変数(それは、負荷呼ばれる)の係数Ai,nに着目することにより識別される。規模が比較的大きいそれらの係数は、特定のPCの主要な寄与分である。プロセスを良く理解する者であれば、PCの主要な寄与分である変数の群に着目し、当該PCに名前(例:供給速度効果)を割り当てることができる筈である。次第に多くのPCがデータから抽出されるにつれて、係数のサイズが更に等しくなる。この時点で、特定のPCによりモデル化されている変動は基本的にノイズである。
いつPCが単にノイズをモデル化しているかを判定する従来の統計的方法は、各々の新規PCによりモデル化されているプロセス変動がいつ一定になるかを識別することである。これはPRESS統計で測定され、各々の連続するPC(図13)によりモデル化された変化の量をプロットする。不都合なことに、このテストは、精製および化学プロセス用に構築されたPCAモデルには往々にして曖昧である。
VI.モデルのテスト及びチューニング
プロセスデータは、ガウス即ち正規分布を示さない。その結果、残留誤りの3標準偏差における異常事象を検知するトリガを設定する標準的な統計的方法を用いてはならない。その代わり、トリガ位置は、モデルを用いて経験に基づいて経験的に設定されなければならない。
最初に、拠点技術者が受容できる頻度、通常は毎日5、6回異常事象が通知されるようにトリガ・レベルを設定しなければならない。これは、訓練データ集合のSPE(これはQ統計またはDMOD統計とも呼ばれる)統計に着目して決定することができる。このレベルは、実際の異常事象を見逃すことなく、しかも誤警報に拠点技術者が振り回されないように設定されている。
A.モデルの強化
初期モデルが生成されたならば、新たな訓練データ集合を生成することにより強化する必要がある。これはモデルを用いてプロセスを監視することにより行なわれる。モデルが潜在的に異常な状況を示す場合、技術者はプロセス状況を調べて分類しなければならない。技術者は以下の3種の異なる状況を見出す。即ち何らかの特殊なプロセス動作が生じている、実際に異常な状況が生じている、或いは、プロセスは正常であって異常は虚偽の通知である。
新たな訓練データ集合は、特殊動作および正常動作からのデータで構成されている。初期モデルを生成するために実行されたのと同じ分析をデータに対して実行氏、且つモデルを再計算することが必要である。この新たなモデルでは、依然としてトリガレバーが経験的に設定されるが、今回はより良い注釈が付けられたデータを伴うため、このトリガ点を調整して、真の異常事象が生じた場合のみ通知を与えるようにすることができる。
異常事象検知のための単純な工学モデル
プロセス設備の物理的、化学的および機械的の設計、並びに多くの類似測定の挿入により、連続的な精製および化学プロセスからのデータにかなりの程度の冗長性をもたらす。この冗長性は、同一の測定が存在する場合は物理的冗長性と呼ばれ、物理的、化学的または機械的関係を用いてプロセス状態の独立であるが等価な推定を実行する場合は計算的冗長性と呼ばれる。このクラスのモデルを工学的冗長性モデルと呼ぶ。
I.2次元工学的冗長性モデル
これはモデルの最も簡単な形式であり、以下のような一般形式を有する。
F(y)=G(x)+フィルタリング済みバイアス+オペレータ・バイアス+誤差 式14
未加工バイアス=F(y)−{G(x)+フィルタリング済みバイアス+オペレータ・バイアス}=誤差 式15
フィルタリング済みバイアス=フィルタリング済みバイアスi−1+N*未加工バイアスi−1 式16
N−収束係数(例:.0001)
正常動作範囲:xmin<x<xmax
正常モデル偏差:−(最大誤差)<誤差<(最大誤差)
オペレータが、モデルのシフトを必要とする何らかのフィールド事象(例:バイパスフロー)があったと判定する都度、「オペレータ・バイアス」項は更新される。オペレータの命令があれば、式14が正確に満足される(誤差=0)ように、オペレータ・バイアス項が更新される。
工学的冗長性モデルにバイアスを与える持続的な未測定プロセス変動に対処すべく「フィルタリングされたバイアス」項は連続的に更新される。収束係数「N」は、ユーザーが指定した、通常は数日間にわたる期間の後で、あらゆる持続的な変化を除去すべく設定される。
「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」は、工学的冗長性モデルの履歴データから決定される。大多数の場合、最大誤差の値は単一の値であるが、これはまた、x軸位置に依存する値のベクトルであり得る。
物質収支、エネルギー収支、推定アナライザ表示対実際のアナライザ表示、圧縮機曲線等、任意の2次元方程式をこのように表わすことができる。図14に、2次元のエネルギー収支を示す。
適用例として、流量対バルブ位置モデルについてより詳細に述べる。
A.流量対バルブ位置モデル
特に有益な工学的冗長性モデルは、流量対バルブ位置モデルである。図2にこのモデルをグラフ的に示す。このモデルの特定の形式は以下の通りである。
Figure 0005205055
ここで、
Flow:制御バルブを通る測定された流量
Delta_Pressurereference=測定された最も近い上流圧力−測定された最も近い下流圧力
Delta_Pressurereference:正常動作の間の平均デルタ圧力
a:履歴データにフィッティングされたモデルパラメータ
Cv:履歴データから経験的に決定されたバルブ特性曲線
VP:制御バルブへの信号(実際の制御バルブ位置でない)
このモデルの目的は以下の通りである。
・詰まりつつある/詰まった制御バルブの検知
・凍結/故障した流量測定の検知
・制御システムが流量の制御を喪失した箇所の制御バルブ動作の検知
この流量対バルブ式の特定の構成は、人的要因の理由で選択されている。この形式で方程式をx−yプロットするのがオペレータにとって最も容易に理解される。これらのモデルのいずれも、オペレータが最も理解しやすそうな方法で構成することが重要である。
B.流量対バルブ位置モデルの構築
連続的な精製および化学プロセスが受ける長い期間にわたる定常状態動作ため、制御バルブの動作全体にわたる充分なデータを得るには長い履歴記録(1〜2年)が必要である。図15に、定常動作が長期間にわたる流量、バルブ位置、およびデルタ圧力データの典型的な範囲を示す。最初の段階は、図に示すように、動作に何らかの重要な変動がある所で短い期間を切り離すことである。これは次いで、履歴内で様々な期間から取り出された正常動作の期間と混合されなければならない。
往々にして、上流圧力(多くの場合ポンプ吐出)または下流圧力を利用できない。そのような場合、欠落している測定値が当該モデルにおける固定されたモデルパラメータになる。両方の圧力が欠落している場合、当該モデルに圧力効果を含めることは不可能である。
バルブ特性曲線は、線形バルブ曲線、二次バルブ曲線、または区分的線形関数のいずれかにフィットする。区分的線形関数は、最も柔軟であって、任意の形状のバルブ特性曲線にもフィットする。
バルブを直接横断して測定値が得られた場合、「a」の理論値は1/2である。測定値はそこには配置されない。「a」は、圧力測定値の実際の位置決めに対応すべく経験的に決定されたパラメータとなる。
往々にして、デルタ圧力が変化する期間がほとんど無い場合もある。正常動作期間中のデルタ圧力のノイズがモデルフィッティング・プログラムを混乱させる恐れがある。これを克服するために、モデルを二相で構築する。即ち、最初は、デルタ圧力が変化する期間だけを含む小さいデータ集合を用いてモデルのフィッティングを行なう。次いで、決定された値で圧力従属パラメータ(「a」と、恐らくは欠落している上流または下流圧力)を固定して、大きい方のデータを用いてモデルを再構築する。
C.流量対バルブ異常表示のファジー・ネット処理
任意の2次元工学的冗長性モデルと同様に、二種の異常性の尺度、即ち「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」がある。「正常モデル偏差」は、正規化された指標即ち誤差/最大誤差に基づいている。これは、4型ファジー識別器(図16)へ送られる。構築担当者は、正規化された指標を用いて、標準的な方法で正常(値ゼロ)から異常(値1)への遷移を検出することができる。
「正常動作範囲」指標は、正常領域からのバルブ位置の距離である。これは通常、バルブ位置の変化の結果バルブ内の流量が殆どまたは全く変化しないバルブの動作の領域を表わす。構築担当者は再度、4型ファジー識別器を用いて、正常動作範囲の上下端、および正常動作から異常動作への遷移の両方をカバーすることができる。
D.複数の流量/バルブモデルのグループ化
オペレータが好む流量/バルブモデルのグループ化の一般的な方法は、これらのモデルの全てを単一のファジー・ネットワークに入れて、傾向インジケータがオペレータに対し、それらの重要な流量コントローラの全てが機能していることを教える。その場合、ファジー・ネットワーク(図4)へのモデル表示は、各々の流量/バルブモデルに対して「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」の表示を含んでいる。この傾向は、最悪モデル表示からの識別器の結果を含んでいよう。
共通の設備タイプがグループ化された場合、このグループに注目するオペレータが好む別の方法として、流量/バルブのパレート図を用いるものがある(図17)。このチャートにおいて、上位10個の異常なバルブは、左端の最も異常なものから右端の最異常でないものまで動的に配置されている。各々のパレート・バーもまた、正常範囲内にあるモデル異常性表示の変化の程度を示す参照ボックスを備えている。図17の図は、「バルブ10」が実質的に正常ボックスの外側にあるが、他のものは全て正常に振舞っていることを示す。オペレータは次に、図2と同様に「バルブ10」用のプロットを調べて、流量制御ループに関する問題を診断する。
II.多次元工学的冗長性モデル
次元が2より大きくなったならば、高次元工学的冗長性検査を扱うべく単一の「PCA状」モデルが構築される。
多次元冗長性の例として以下のものがある。
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1へ入る物質流量=処理ユニット1から出る物質流量=...処理ユニット2へ入る物質流量
測定値の較正誤差のため、これらの式は各々で係数を補償する必要がある。従って、最初に構築すべきモデル集合は以下の通りである。
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアス1、i+オペレータ・バイアス+誤差1、i
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアス2、i+オペレータ・バイアス+誤差2、i
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアスn、i+オペレータ・バイアス+誤差n、i 式18
これらのモデルは、2次元の工学的冗長性モデルが構築されたのと同一の方法で構築される。
この組の多次元検査はここで「PCA状」モデルに変換される。この変換は、PCAモデルにおける主成分を、主成分係数(負荷)が、この独立した効果に起因する測定値の比例的変化を表わす、プロセスに対する独立した効果のモデルとしての解釈に依存する。図3において、3個の独立且つ冗長な処置、X1、X2、およびX3がある。X3が1ずつ変化する都度、X1はaだけ変化し、またX2はaだけ変化する。この関係の組は、係数がスケーリングされてない工学単位である、単一の主成分モデル(P)として表わされる。
P=aX1+aX2+aX3 式19
ここにa=1
当該モデルのこの工学単位のバージョンは、以下のように標準的なPCAモデル形式に変換することができる。
標準的な統計概念との類似性を示すならば、各次元Xの変換係数は、正常動作範囲に基づいていてよい。例えば、平均の周囲の3σを用いて正常動作範囲を定義すれば、スケーリングされた変数は以下のように定義される。
scale=Xnormal operating range/6σ 式20
(正常動作データの99.7%は平均から3σ以内に入る筈である)
mid=Xmid point of operating range 式21
(「平均」を正常動作範囲の中点として明示的に定義)
X’=(X−Xmid)/Xscale 式22
(平均とσが決定された際の標準的なPCAスケーリング)
用のP’負荷は以下の通りである。
Figure 0005205055
(負荷ベクトルを正規化する旨の要件)
これはPを以下のように変換する
P’=b*X1+b*X2+・・・+b*XN 式24
P’「標準偏差」=b+b+・・・+b 式25
この変換により、多次元工学的冗長性モデルはここで、標準的なPCA構造を計算、例外処理、オペレータへの提示および対話に用いて取り扱うことができる。
異常事象検知のためにPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備
I.オペレータおよび既知の事象抑制
抑制論理は、以下の目的に必要とされる。
・測定可能な異常事象から虚偽の表示を除外する方法を提供する
・オペレータが調べた異常な表示を消去する方法を提供する
・保守のため一時的にモデルまたは測定値を無効にする方法を提供する
・不良動作するモデルを、それらが再調整されるまで使用不可にする方法を提供する
・不良動作する計器を永久に使用不可にする方法を提供する
抑制には2種類ある。即ち外部の測定可能な事象により自動的に起動される抑制と、オペレータにより起動される抑制である。これらの2種類の抑制の背後にある論理を図18、19に示す。これらの図はファジー化モデル指標に生じている抑制を示しているが、抑制は、特定の測定値に対して、特定のモデル指標に対して、モデル全体に対して、或いはプロセス領域内のモデルの組合せに対しても生じ得る。
オペレータが起動した抑制には、抑制が終了した時点を判定する2個のタイマーがある。第1のタイマーは、抑制された情報が正常状態を戻ってそのままであることを確かめる。このタイマーの典型的な値は15〜30分である。第2のタイマーは、正常状態に戻ったか否かに拘らず、異常事象の検査を再起動させる。このタイマーの典型的な値は、オペレータの勤務シフト(8〜12時間)に等しいか、または半永久的な抑制の場合には極めて長時間となる。
事象に基づく抑制の場合、測定可能なトリガが必要である。これは、オペレータによるセットポイントの変更、突然の測定値変化、またはデジタル信号であり得る。この信号は、図20に示すタイミング信号に変換される。このタイミング信号は、以下の式を用いてトリガ信号から生成される。
=P*Yn−1+(1−P)*X 指数フィルタの式 式26
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式27
=X−Y タイミング信号の計算 式28
ここで、
トリガ信号の現在のフィルタリング済み値
n−1 トリガ信号の以前のフィルタリング済み値
トリガ信号の現在の値
図20に示すタイミング信号
P 指数フィルタ定数
測定値のサンプル時間
フィルタ時定数
タイミング信号が閾値(図20に.05として示す)を超える限り、事象は抑制されたままである。構築担当者は、フィルタ時定数Tを変えることにより抑制の長さを設定する。この機能のために簡単なタイマーを用いてもよいが、このタイミング信号は異なるサイズのトリガ信号に対応しており、変化が大きい場合には抑制をより長く、変化が小さい場合には抑制をより短く生成する。
図21に事象抑制とオペレータ抑制がPCAモデル内の所定の入力組を無効にする様子を示す。自動的に抑制される入力組がオンラインモデル性能から決定される。オペレータが見たくない表示をPCAモデルが出す場合は常に、この表示を誤差の2乗和指標に対する少数の個々の寄与分まで辿ることができる。これらの個々の寄与分を抑制すべく、この指標の計算は以下のように修正される。
Figure 0005205055
:入力i(通常は1に等しい)に対する寄与分の重み
:入力iからの2乗和誤差の寄与分
トリガ事象が生じた場合、抑制対象である入力の各々について寄与分の重みがゼロに設定される。これらの入力が再有効化される場合、寄与分の重みは段階的に値1に戻される。
II.PCAモデル分解
PCAモデルは広範なプロセス設備範囲を用いて構築されているが、モデル指標を分離して、オペレータのプロセスに対する認識によりよく合致して、異常事象の兆候に対する感度を向上させるグループに分けることができる。
再び式29を参照すると、誤差の2乗和のいくつかのグループ分けが可能である。
Figure 0005205055
通常、これらのグループ分けは設備(例:装置の再沸器区画)のより小さいサブユニット周辺、または設備の機能に関連する(例:製品の品質)サブグループ分けに基づいている。
各々の寄与分eがプロセスノイズに基づいて常に誤差の2乗和に追加されるため、ノイズに起因する指標のサイズは当該指標に寄与する入力の個数に線形に増加する。誤差の2乗和計算への寄与がより小さいため、当該指標の信号対ノイズ比が向上して、異常事象に対する指標の応答性が向上する。
同様の方法で、各々の主成分を設備のグループ分けに一致するように再分割することができ、各々のサブグループ用にホテリングT指標に類似した指標を生成することができる。
Figure 0005205055
これらの指標の閾値は、テストデータをモデルに通して、テストデータに対するそれらの性能に基づいて閾値の感度を設定することにより計算される。
これらの新たな指標は、通常のPCAモデルが扱われるのと同一の方法でオペレータ向けに解釈される。元の入力に基づくパレート図を、誤差の2乗和の指標への最大寄与分、およびT計算における最大Pへの最大寄与分について示す。
III.重なり合うPCAモデル
入力がいくつかのPCAモデルに現われることにより、モデルに影響を及ぼす全ての相互作用がモデルの範囲内で含まれるようになる。これにより、これらの入力が誤差の2乗和指標の主要な寄与分である場合、オペレータ向けに複数の表示を与えることがあり得る。
この問題を回避するために、複数のPCAモデルに現われるあらゆる入力の対し、それらのPCAモデルの1個をその一次モデルとして割り当てる。一次PCAモデル向けの式29における寄与分の重みは1に保持される一方、非一次PCAモデルの重みはゼロに設定される。
IV.オペレータ対話環境およびインタフェース設計
オペレータインタフェースの一次目的は以下の通りである。
・オペレータの権限下にある主要プロセス領域が正常である旨の表示を連続的に提供する
・背景にあるモデル情報への迅速な(マウス・クリック1、2回)ナビゲーションを提供する
・オペレータに対し、モデルを使用可能にする制御を提供する
図22は、オペレータが用いる一次インタフェースにおいてこれらの設計目的がでどのように表わされるかを示す。
ファジー・ペトリネットからの最終出力は、図4に示すように正常性傾向である。この傾向は、ファジー識別関数に定義された異常の最大尤度を示すモデル指標を表わす。要約に示される傾向の個数には自由度があり、オペレータとの議論で決定される。この傾向の上に、オペレータが処置を講じるべき時にヘルプ信号への2本の基準線があり、黄色の線は通常は0.6の値で設定され、赤色の線は通常は0.9の値で設定される。これらの線は、オペレータに対し、いつ処置を講じるべきであるかの指針を与える。傾向が黄色の線を越えた場合、図4における緑色の三角形が黄色に変わり、傾向が赤色の線を越えた場合、緑色の三角形は赤色になる。当該三角形にはまた、最も異常な表示を与えているモデルに関連付けられたディスプレイにオペレータを案内する機能を備えている。
当該モデルがPCAモデルであるか、または設備グループ(例:全ての制御バルブ)の一部である場合、緑色の三角形を選択することによりパレート図が作成される。PCAモデルの場合、これはモデル指標への多数の最大寄与分のうち、これは最も異常(左側)から最も異常でない(右側)までを示す。大抵は、主要な異常事象インジケータは最初の2、3個の測定値の中にある。パレート図は、異常の兆候であると見なされる前にどの程度測定が通常とは異なるかをオペレータに示すべく各バーの周辺に赤い囲み枠を含んでいる。
PCAモデルの場合、オペレータには、棒グラフパレート内における順序に合致する傾向パレートが与えられる。傾向パレートにより、各プロットは2個の傾向、即ち実際の測定(シアンで)および、すべてが正常(褐色)な場合に測定値が取るべきであった値のPCAモデルからの推定を有する。
バルブ/流量モデルの場合、パレートの下での詳細は、2次元の流量対バルブ位置モデル・プロットである。このプロットから、オペレータはモデルに対しオペレータ・バイアスを適用することができる。
設備がグループ分けされていない場合、緑色の三角形を選択することにより、オペレータは概略傾向の下での最悪2次元モデルへ直接誘導する。
各々の棒の下でオン/オフ動作のボタンを選択することにより、オペレータによる抑制をパレート図レベルで行なうことができる。
Figure 0005205055
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オンライン・システムの情報が、各種の変換、モデル計算、ファジー・ペトリネット、および圧密処理を経由して流れ、プロセス領域の正常性/異常性を示す概略傾向に到達する様子を示す。 オペレータにバルブ流量のプロットを簡単なx−yプロット図として示す。 PCAモデルとして表わされた3次元冗長性を示す。 ファジー・ネットワーク機構の模式図を示す。 異常事象アプリケーション構築の全体的なプロセスの模式図を示す。 プロセス制御カスケードの内部構造の模式図を示す。 多変数拘束コントローラMVCCの解剖の模式図を示す。 現在の品質のオンライン推論的評価の模式図を示す。 履歴データのKPI解析を示す。 信号対ノイズ比を示す。 プロセス・ダイナミクスが2種の測定値の現在値同士の相互相関を乱し得る様子を示す。 プロセスデータの確率分布を示す。 押圧統計量を示す。 2次元エネルギー収支モデルを示す。 長期間定常動作した場合の流量、バルブ位置、およびデルタ圧力データの典型的な動きを示す。 第4種のファジー識別器を示す。 流量対バルブのパレート図を示す。 オペレータ抑制ロジックの模式図を示す。 事象抑制ロジックの模式図を示す。 事象抑制の持続期間の設定を示す。 PCAモデルにおいて所定の組の入力を無効にする事象抑制およびオペレータ抑制を示す。 オペレータが用いて一次インタフェースで設計目的がどのように表わされるかを示す。 オペレータから見たORT動作の概要を12台の個々モニタ、11個の主要動作区画、および流量対バルブモニタに分解して示す。 注意喚起表示を備えたメタン化炉およびHO乾燥機域モニタを示す。 図24における黄色の三角形をクリックして結果を示す。センサーSP125で残りを示すパレート図は許容限界から外れている。 マルチトレンド・ボタンをクリックしたことにより、図25のパレート図における値のトレンド(シアン)およびセンサーのモデル予測(黄褐色)を表わす様子を示す。 正規化された射影偏差誤りに基づくバルブ流量モデルのパレート・ランキングを示す。 図27の棒グラフの任意の棒をクリックすることにより得られるバルブ流量モデルの詳細を示す。 手続き的に誘発されたいくつかの異常状態に対するファジー論理ネットワークを示す。 典型的エチレン工場の模式図を示す。

Claims (30)

  1. エチレン処理システムの何らかの処理ユニット用の異常事象検知(AED)方法であって、
    (a)前記処理ユニットからのオンライン測定値を、対応する処理ユニットの正常動作を表わす、主成分分析モデルを含むモデルの組と比較する工程であって、
    前記エチレン処理システムは、2つ以上の設備グループおよび2つ以上のプロセス動作モードに分割されており、
    前記設備グループの間の相互作用は最小であり、
    前記主成分分析モデルは、前記設備グループおよび前記プロセス動作モードに対応する工程;
    (b)前記各設備グループに関して履歴データを収集し、前記履歴データを、既知の異常動作を伴う期間についてのデータと、異常動作が確認されない期間についてのデータに分割する工程;
    (c)既知の異常動作を伴う期間についての前記データを放棄し、異常動作が確認されない期間についての前記データを訓練データとして用いる工程;
    )現在の動作が期待正常動作と異なるか否かを判定して、前記処理ユニット内に異常状態が存在することを示す工程;および
    前記異常状態の根本原因を判定する工程
    含み、
    前記訓練データへの入力は、信号対ノイズ(S/N)比が4より大きく、
    前記信号対ノイズ比は、下記工程:
    (a)近似動的時定数が30分〜2時間の範囲にある指数フィルタを用いて、未加工信号をフィルタリングする工程であって、
    前記指数フィルタは、下記式:
    =P*Y n−1 +(1−P)*X (指標フィルタの式)
    P=Exp(−T /T ) (フィルタ定数の計算)
    (式中、
    現在フィルタリングされる値
    n−1 以前にフィルタリングされた値
    現在の未加工値
    P 指数フィルタ定数
    測定値のサンプル時間
    フィルタ時定数
    である)
    で表される工程;
    (b)下記式:
    =X −Y
    により、未加工信号からフィルタリングされた信号を減算することにより、残留信号を得る工程;および
    (c)下記式:
    S/N=σ /σ
    により、フィルタリングされた信号の標準偏差を残留信号の標準偏差で除算することにより、信号対ノイズ比を決定する工程
    を含む方法により計算されることを特徴とする方法。
  2. 前記訓練データへの入力は、下記の特性を有する測定値のみを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
    (1)測定値に誤りまたは問題がある性能の履歴が含まれていない
    (2)測定値は満足すべき信号対ノイズ比を有する
    (3)測定値はデータ集合内の他の測定値と相互相関を求められている
    (4)測定値は正常動作期間の10%を超えて飽和していない
    (5)測定値は、稀にしか変化しない固定セットポイントに密接には制御されていない(制御階層の最終一次側)
    (6)測定値は、長期にわたる「不良値」動作、またはトランスミッタの限界まで飽和していない
    (7)測定値は、極めて非線形であることが知られている値の範囲を超えない
    (8)測定値は未加工測定値からの冗長計算ではない
    (9)フィールド制御バルブへの信号は、時間の10%を超えて飽和していない
  3. 前記訓練データへの入力の間の相関係数は、下記工程:
    (a)下記式:
    Figure 0005205055
    により、各入力組i、k間の共分散S ik を計算する工程;および
    (b)下記式:
    CC ik =S ik /(S ii *S kk 1/2
    により、前記共分散から、入力の各組について相関係数を計算する工程
    を含む方法により計算され、
    前記訓練データに含まれるべき各々の入力に対して、当該データ組において、相関係数が0.4以上となる少なくとも1個の他の入力が必ず存在する
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記モデルの組は、前記設備グループおよび前記プロセス動作モードに対応しており、1個の前記モデルは、前記各設備グループについてのものであり、前記各設備グループは、1個以上の前記プロセス動作モードを含み得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記モデルの組は、前記設備グループおよび前記プロセス動作モードに対応しており、1個の前記モデルは、前記各設備グループおよび前記各プロセス動作モードについてのものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記設備グループは、同一グループ内の全ての主要な物質とエネルギーの相互作用を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  7. 前記設備グループは、同一グループ内の高速再循環を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  8. 正常動作の前記モデルの組は、工学モデルを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記エチレン処理システムは、動作区画に分割されていて、各々の区画に主成分分析モデルを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 11個の動作区画があることを特徴とする請求項に記載の方法。
  11. 前記主成分分析モデルは、センサーで測定されるプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  12. 異なる処理ユニットに対する前記主成分分析モデルは、同一センサーで測定されたいくつかのプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  13. 前記エチレン処理システムの11個の動作区画は、充填ガス圧縮機、乾燥機、コールドボックス、およびメタン・ブースター、エチレンおよびプロピレン冷凍、脱メタン装置、脱エタン装置、アセチレン・コンバータ、C2スプリッタ、メタン化炉およびH2乾燥機、脱プロパン装置、MAPD水素化精製装置、プロピレンリランおよび分別装置を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  14. 前記工学モデルは、いくつかの制御バルブと流量計の間の整合性を判定する工程を更に含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  15. 前記各モデルは、特殊原因による動作における偽陽性を除去すべくモデル計算を抑制する工程を更に含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  16. (a)疑わしいデータに基づく粗いモデルから出発する、前記各モデルを決定する工程、
    (b)前記粗いモデルを用いて高品質の訓練データを収集してモデルを改良する工程、および
    (c)前記工程(b)を繰り返して更にモデルを改良する工程
    を更に含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  17. 前記訓練データは、前記処理ユニットのモデルの履歴データを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記モデルは、変換された変数を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記変換された変数は、蒸留塔における還流対供給速度、高純度蒸留における組成の対数、圧力補償された温度測定値、副流歩留まり、流量対バルブ位置および反応率対対数温度変化を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 2個の変数の測定値の対は、1個の変数により、動的伝達関数を用いて時間同期化されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. プロセス動作における動作点の変化に影響を受けるプロセス測定値の変数は、偏差変数に換算されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  22. 前記モデルの入力値は、ノイズについて補正されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  23. 前記モデルの入力値は、変数のノイズが多い測定値のフィルタリングかまたは除去により補正されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
  24. 変数の測定値は、スケーリングされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  25. 前記測定値は、当該変数の期待正常範囲にスケーリングされることを特徴とする請求項24に記載の方法。
  26. 主成分の個数は、主成分の係数同士の大きさがほぼ等しくなるように選択されていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  27. 主成分は、オンライン測定値により提供されるプロセス変数を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  28. 主成分は、動的フィルタを用いて前記変数の1個と時間同期化されたいくつかの測定値の対を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. プロセス動作の動作点変化に影響を受けるプロセス変数は、偏差変数に変換されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  30. 主成分の個数は、連続する成分により表わされる全体プロセス変動の大きさにより選択されることを特徴とする請求項に記載の方法。
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