JP5204019B2 - 覆工コンクリートの養生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、覆工コンクリートの養生装置に関するものである。
山岳トンネルやシールドトンネル等のトンネルの内壁面を覆う覆工コンクリートは、スライドセントルなどと呼ばれる移動型の型枠を設置し、この型枠長のスパンで打設・脱型・移動・設置を繰り返し、仕上げている。
従来、コンクリート打設後の脱型は、初期強度の得られる約20時間後に行われ、その後は、何ら養生が行われず、トンネル坑内の雰囲気に解放されていた。しかしながら、トンネル坑内は、換気が行われるため、外気温によってはコンクリートの養生に適さない15℃以下になることもある。また、覆工コンクリートの表面(内壁面)部は、風速0.3〜0.5m/sの乾燥空気に曝露されるため、水分が蒸発し易い。したがって、コンクリートの水和反応に伴う発熱が、表面部では生じにくく、表面部と内部との温度差が大きくなり、加えて、表面部の乾燥収縮、水分の蒸発逸失による不完全な硬化反応などにより、クラックが発生し、さらには、強度不足、表面剥離、強度ムラなどが生じ、覆工コンクリートの品質が不十分なものになっていた。特に、近年では、トンネルの内壁面を覆う覆工コンクリートの剥離、剥落などの事故が発生しており、覆工コンクリートの耐久性が大きな問題になっている。
そこで、現在では、覆工コンクリート打設後に養生装置を用いて養生を行い、もって覆工コンクリートの品質向上を図っている。この養生の際に用いる養生装置は、「密閉方式」と「密着方式」とに、主に分類される。なお、スライドセントルの長さ(型枠長)は、トンネルの断面寸法等にもよるが、標準的には、10.5mであり、このスパンでコンクリートの打設が行われ、また、養生は、3スパン(スパン間の乖離を防止するために、型枠長の3倍よりも若干長く、例えば、33mとされる。)、脱型後3日にわたって行われる。
密閉方式は、覆工コンクリート表面(内壁面)から一定の間隔(例えば、30〜50cm)をおいて断熱性・気密性を有する膜を保持し、この膜と覆工コンクリート表面とで囲まれる空間を密閉化し、この密閉空間を、超音波加湿器等の加湿器や加温器を用いて、積極的に加湿・加温する方法である(例えば、特許文献1等参照。)。しかしながら、この密閉方式には、実用上、以下のような問題がある。
すなわち、(1)トンネルによっては、天部と底部との高低差が約10mにもなるが、このように高低差が大きいと、天部に位置する覆工コンクリートと底部に位置する覆工コンクリートとで温度差が10℃以上にもなり、積極的に加湿・加温しても、密閉空間内の湿度・温度を均一化することができない。(2)底部に位置する密閉空間の密閉性保持が困難で密閉空間内に外気が流入すること、膜の断熱性が劣化することなどによって、覆工コンクリート表面に結露が生じる。結果、覆工コンクリート表面を大量のドレンが流下することになり、覆工コンクリート表面の温度ムラが大きくなる。(3)断熱性・気密性を有する密閉空間を作るために、大がかりな膜構造を構築する必要があり、しかも加湿器や加温器を懸架するために、大がかりで丈夫な専用の鋼製架台が必要になる。結果、設置(組立)・解体・移動・再設置に時間がかかり、また、コストが嵩む。(4)トンネルの断面プロフィール寸法は施工現場ごとに異なるが、密閉方式は、転用性が乏しいため、コストが嵩む。例えば、トンネルの断面積が65m2の場合、スパン33mで2000万円程度にもなる。(5)加湿・加温し続けるため、電力(通常、15kW〜22kW。)などのランニングコストが嵩む。
そこで、現在では、密着方式が注目されている。この密着方式は、断熱性・気密性を有する密着シートを、例えば、アーチ状に膨らむバルーンによって、覆工コンクリート表面に密着させ、覆工コンクリートの自己保有水・反応熱を逃さないようにして、覆工コンクリートの硬化反応を促進する方式である(例えば、特許文献2等参照。)。この密着方式において、特にバルーンを使用する形態は、覆工コンクリート表面の起伏がバルーンによって吸収されるため、密着シートの密着性に優れ、結果、養生性能にも優れる。しかしながら、現在の密着方式には、実用上、以下のような問題がある。
すなわち、(1)トンネルの断面曲率が一定ではない場合(多芯円形状)は、覆工コンクリートの内壁面とアーチ状バルーンの外周面との曲率が一致しなくなるため、例えば、天部において、密着シートを覆工コンクリートに密着させることができない。(2)アーチ状バルーンは、トンネル延長方向に関して、適宜の間隔をおいて支持されるところ、この支持をされない部分においては、特に天部に位置する部分が下方に垂れ下がり易いため、密着シートを覆工コンクリート表面に隙間なく密着させるには、バルーンの天部に位置する部分が下方に垂れ下がらないようバルーン内の空気圧を100Pa以上にする必要がある。そして、このバルーンからの反力(荷重)は、例えば、空気圧100Pa×周長20m×スパン(養生長)33mm÷9.8で6734kgfにもなる。したがって、この反力に、バルーン自体や密着シートの荷重を加えた大きな荷重を、坑内側から鋼製架台で受けることになり、密閉方式ほどではないが、大がかりな鋼製架台が必要になる。結果、設置(組立)・解体・移動・再設置に時間がかかり、また、コストが嵩む。(3)密着シート、バルーン、鋼製架台等は、他の施工現場への転用が困難で、トンネル断面プロフィールごと(施工現場ごと)に製作する必要があるため、密閉方式ほどではないが、コストが嵩む。例えば、トンネルの断面積が65m2の場合、スパン33mで1200万円程度になる。(4)養生装置の移動は、バルーンの圧力を解放し、覆工コンクリート表面からのクリアランスを確保してから行う。そして、このクリアランスの確保にあたっては、バルーンが自然排気収縮するのを待つ必要があるため、かなりの時間を要する。例えば、バルーンの収縮、移動、再密着には、2〜3時間かかり、この間、覆工コンクリート表面が坑内環境に曝露されるため、覆工コンクリートの品質に影響が生じる。(5)停電等によってバルーンに空気を注入するブロワ等が停止するとバルーンが収縮してしまい、密着性が損なわれる。(6)1つの養生長33mを1つの養生装置(鋼製架台長も33m)で施工すると施工コストが削減されるが、バルーンを収縮させても覆工コンクリート表面からのクリアランスが大きなものとはならないため、急曲線トンネル等では、1つの養生長33mを1つの養生装置で施工することができない場合が多い。
そこで、本発明者は、バルーンの改良を中心に、さまざまな検討を行った。
その結果、円筒状のバルーンをトンネルアーチ方向に並列配置(各バルーンはトンネル延長方向に延びる。)し、かつ相互に隣接するバルーン同士を連結した形態を、着想するに至った。また、その後、この思想は、特許文献3においても提案されていることを知見した。
しかしながら、この形態によると、相互に隣接するバルーン同士の連結部分において、密着シートを覆工コンクリート表面に密着させる力が弱くなり、全体として密着性が不均一になるため、コンクリートの品質が不均一になる(養生性能の低下)。しかも、複数のバルーンを連結させるために、面ファスナー、スライドファスナー等の連結手段を設ける必要があり(特許文献3の段落0017参照)、加えて連結のための労力も必要になるため、コストが嵩む。このコストを抑えるために、各バルーンの径を大きくすることも考えられるが、各バルーンの径を大きくすると、前記密着性がますます不均一になる。
また、特許文献3に開示される形態は、装置の移動を容易にすることなどを趣旨として、バルーン(エアーセル)内にヘリウム等の空気よりも軽い気体を充填し、当該バルーンを浮かせるとしている。しかしながら、ヘリウム等でバルーンを浮かせるには、バルーンの素材を極端に薄くするか、バルーンの径を大きくして、バルーンを極端に軽くする必要がある。そして、バルーンの素材を極端に薄くするとコストが嵩み、バルーンの径を大きくすると前記密着性の問題が生じる。しかも、バルーンは、ゴム、ビニール等の安価な素材で形成されていると、その内部に充填されたヘリウム等が漏れてしまうため、ヘリウム等が漏れないような特殊素材で形成する必要があり、この点でもコストが嵩む。
特開2000−73696号公報 特開2005−299323号公報 特開2007−205055号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、養生性能に優れ、しかもコストの増加が抑えられた覆工コンクリートの養生装置を提供することにある。また、好ましくは容易に移動することができる覆工コンクリートの養生装置を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
トンネルの覆工コンクリートに密着させる密着体を有する、覆工コンクリートの養生装置であって、
前記密着体は、前記覆工コンクリート側に配置される外側シートと、この外側シートの坑内側に配置される内側シートと、を有し、
これら外側シート及び内側シートは、トンネル延長方向に沿う複数の接合部において、接合されており、
相互に隣接する前記接合部間のシート長が、前記外側シートよりも前記内側シートの方が長くなるようにされて、前記外側シートと前記内側シートとの間に流体を注入すると、当該内側シートが膨らむ構成とされている、
ことを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
〔請求項2記載の発明〕
前記外側シート及び前記内側シートの少なくともいずれか一方の両側端部に連結可能とされ、かつ、当該連結状態において連結部から前記トンネルの床面に向かって垂れ下がる側部シートを有する、
請求項1記載の覆工コンクリートの養生装置。
〔請求項3記載の発明〕
トンネル周長方向に延び、かつ前記密着体を坑内側から支持する周長ロッドと、
上下方向に延び、かつ前記周長ロッドの上下方向の支持をする、トンネル幅方向に離間して配置された一対の縦ロッドと、
トンネル幅方向に延び、かつ前記周長ロッドのトンネル幅方向の支持をする横ロッドと、
前記縦ロッドに連結され、かつこの連結部から内上方に延びる部位が前記横ロッドに連結される斜ロッドと、
上下方向に伸縮して前記縦ロッドを上下に移動させる伸縮機構と、を有する、
請求項1又は請求項2記載の覆工コンクリートの養生装置。
〔請求項4記載の発明〕
前記周長ロッドは、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置され、
この複数の周長ロッドの少なくとも一方の端部は、それぞれトンネル延長方向に延びる延長ロッドに連結され、
この延長ロッドが、前記トンネルの坑内側に引寄せ可能とされている、
請求項記載の覆工コンクリートの養生装置。
本発明によると、養生性能に優れ、しかもコストの増加が抑えられた覆工コンクリートの養生装置となる。
養生装置の設置例を示す横断面説明図である。 養生装置の設置例を示す縦断面説明図である。 養生装置の部分拡大図である(天部)。 養生装置の部分拡大図である(側部)。 伸縮機構の説明図である。 養生バルーンの平面模式図である。 養生バルーンの断面模式図である。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本形態の養生装置10は、トンネルの内壁面を覆う覆工コンクリート2を養生する際に使用する。
この覆工コンクリートが打設されたトンネル自体の種類は、特に限定されず、例えば、山岳トンネル、シールドトンネル、TBMトンネル等を対象にすることができる。そして、本形態の養生装置10は、さまざまな断面プロフィール(例えば、断面積など。)、周長方向プロフィール(例えば、曲率など。)、延長方向プロフィール(例えば、曲率など。)を有するトンネルに、設計変更等することなく適応(フィット)させることができ、以上で列記したトンネルの種類ごとに装置を使い分け、あるいは設計変更をする必要がない。以下、詳細に説明する。なお、本形態では、図1に示すように、トンネル断面に関して、覆工コンクリート2の内壁面(表面)に沿う方向(アーチ方向)を「トンネル周長方向」といい、トンネル断面に関して、例えば、走行レール4等が敷設されるトンネル床面3に沿う方向を「トンネル幅方向」という。また、図2に示すように、トンネルの進行方向(延びる方向)を「トンネル延長方向」という。
本形態の養生装置10は、覆工コンクリート2に密着させる密着体20を有する。この密着体20は、図3に示すように、養生バルーン50、養生シート21及び湿潤シート22、から主になる。
本形態の養生シート21は、断熱性及び気密性(及び遮湿性)を有し、養生バルーン50によって坑内側から支持されて、覆工コンクリート2の内壁面に密着させられる。このように、養生シート21によって、覆工コンクリート2の自己保有水・反応熱が逃げないようにされるため、覆工コンクリート2の養生(硬化反応等)が促進される。
本形態において使用することができる養生シート21の種類は、特に限定されず、例えば、アルミ蒸着ポリエステル、ポリプロピレン不織布、ガラスフエルト等を使用することができる。ただし、軽量、安価で、しかも断熱性、気密性に優れる気泡緩衝材(bubble wrap)を使用するのが好ましい。
本形態においては、この養生シート21を省略し、養生バルーン50を覆工コンクリート2の内壁面に直接密着させることもできるが、養生シート21及び養生バルーン50をそれぞれの役割に適した別素材とできる点で、養生シート21を使用する方が好ましい。ただし、養生シート21は、養生バルーン50の覆工コンクリート2側の面に、例えば、部分接着、全面接着等によって、接合しておくのが好ましい。このように接合しておくと、密着体20としての剛性が増す。また、養生シート21は、特にその素材として気泡緩衝材等の軽量素材を使用した場合は、支持が容易になるという点で好ましいが、反面、取回し性能に劣るとの欠点を有している。しかしながら、養生シート21を養生バルーン50に接合しておくことにより、当該取回しの問題がなくなる。しかも、気泡緩衝材等の軽量・安価な素材は、通常、引裂き強度、引張り強度等が弱いが、養生バルーン50に接合しておくことにより、当該強度の問題もなくなる。
本形態の養生バルーン50は、図6及び図7に示すように、養生にあたり、覆工コンクリート2側に配置される外側シート51と、この外側シート51の坑内側(トンネル床面3側)に配置される内側シート52とを有する。これら両シート(外側シート51及び内側シート52)は、養生時においてトンネル延長方向に沿う(トンネル延長方向に向けられる)複数の接合部50Xにおいて接合されている。
この接合部50Xは、例えば、直線状、点線状、二重線状等の線状とされ、この接合部50X形成のための接合は、例えば、接着剤による全面又は部分接着、熱融着、熱圧着などによって行うことができる。
この接合部50Xは、養生時においてトンネル周長方向に離間するように複数設けられている。そして、相互に隣接する接合部50X間のシート長は、外側シート51よりも内側シート52の方が長くなっており、これにより外側シート51と内側シート52との間50Aに空気(気体)等の流体を注入すると、内側シート52が膨らむ構成とされている。したがって、養生バルーン50を、直接、又は本形態のように養生シート21を介する等して間接的に、覆工コンクリート2の内壁面に密着させるとともに、内側シート52を膨らませると、覆工コンクリート2の内壁面に沿う外側シート51と、例えば、半円状の内側シート52とで構成される半円筒状(断面が半円形状。図3参照)の筒体50Tが、トンネル周長方向に並列配置された状態になる。このように本形態の養生バルーン50においては、外側シート51が覆工コンクリート2の内壁面に沿い、相互に隣接する筒体50T間における凹みが存在しないため、覆工コンクリート2の内壁面に対する密着力が均一になり、養生性能に優れる。また、覆工コンクリート2内壁面の起伏は、筒体50Tによって吸収されるため、密着性に劣ることもない。さらに、本形態の養生バルーン50においては、複数の筒体50Tを連結させるための連結手段や労力が必要にならないため、コストの増加が抑えられる。しかも、複数の筒体50Tは、トンネル延長方向に沿う(延びる)ため、トンネル延長方向の剛性に優れる。結果、養生バルーン50が、例えば、後述する周長ロッド31等によって、トンネル延長方向に間隔をおいて支持されるとしても、この支持をされていない部分が、下方に垂れるとの問題が生じない。結果、筒体50T内の空気圧を、従来の養生バルーンのように高くする必要がない。例えば、養生バルーン50を、トンネル周長方向の長さを18m、トンネル延長方向の長さを33m+1mとし、直径600mmの筒体50Tがトンネル周長方向に30本並ぶように形成した場合、約50Paの空気圧で内側シート52を膨張させれば、十分な密着性を確保することができる。
本形態においては、複数の筒体50Tが半円筒体である場合を例示したが、これに限定する趣旨ではなく、例えば、相互に隣接する接合部50X間の外側シート51と内側シート52との長さの差(シート差)を適宜変更することなどにより、筒体50Tの断面形状を変形することができる。また、本形態においては、複数の筒体50Tの断面形状が全て同一である場合を例示したが、これに限定する趣旨ではなく、例えば、前記シート差を、トンネル天部においては大きく、トンネル底部においては小さくするなどして、各トンネル部位に応じた断面形状の筒体50Tが形成されるようにすることなどもできる。なお、これらの設計変更を行うに際しては、一般に、シート差を大きくすれば、トンネル延長方向の剛性は増すが、反面、内側シート52の重量が増し、他方、シート差を小さくすれば、トンネル延長方向の剛性は落ちるが、反面、内側シート52の重量が減るため、養生バルーン50に必要な剛性や許される重量等を考慮して、適宜決定するとよい。
一方、本形態において、接合部50Xは、前述したように直線状、点線状、二重線状等にすることができるが、図示例のように直線状等にする場合においても、トンネル延長方向に連続せず、接合されていない連通部50Zが設けられているのが好ましい。この連通部50Zの存在により、相互に隣接する筒体50Tが連通するため、流体注入口50Cを一箇所のみと、この一箇所の流体注入口50Cから空気等の流体を注入し、又は排出することにより、複数の筒体50Tを膨張し、又は収縮することができる。
本形態において、流通部50Zは、トンネル延長方向の中央部に設けているが、これに限定する趣旨ではなく、トンネル延長方向前端部や後端部等の適宜の位置に設けることができる。また、図示例では、流体注入口50Cを1つとしているが、これに限定する趣旨ではなく、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の複数とすることもできる。さらに、流体注入口50Cから注入する流体も、空気等に限定されず、例えば、ヘリウム、水素、酸素等を注入することもできるが、安全性やコストの面からは、酸素による方が好ましい。
なお、接合部50Xについて、図7では、外側シート51と内側シート52との間に当該接合部50Xが介在されるかのような状態を示しているが、接合部50Xの介在を意味するものではない。接合部50Xは、あくまで養生バルーン50の一部位であり、接着剤等を用いて外側シート51と内側シート52とを接合した場合は、外側シート51と内側シート52との間の符号50Xで示す部分に接着剤等が介在されることになるが、熱融着や熱圧着等によって外側シート51と内側シート52とを接合した場合は、外側シート51と内側シート52との間に何も介在されない。
本形態においては、図2に示すように、小型軸流ファン93を用いて、流体注入口50Cから空気を注入し、又は排気するようにしている。小型軸流ファン93は、ブロワに比較して、大風量、低風圧で空気を注入することができ、また、逆転運転で排気することもできるため、複数の筒体50Tの膨張及び収縮に要する時間を短くすることができる。また、本形態においては、筒体50Tの内圧を10〜100Pa、好ましくは20〜50Paとすれば足りるため、ブロワ等ではなく小型軸流ファン93によっても、十分に筒体50Tを膨らませることができる。なお、符号92は、小型軸流ファン93を正転運転、逆転運転、停止等させる操作盤である。
さらに、養生装置10は、たとえ停電等が生じた場合でも、養生性能を発揮し続ける(維持する)ことが期待される。したがって、筒体50Tの膨張状態は、小型軸流ファン93の正転運転で維持するのではなく、例えば、ダンパー等を使用して筒体50Tを気密(密閉)状態とし、もって筒体50Tの膨張状態を維持するのが好ましい。
本形態においては、外側シート51及び内側シート52を別体としたため、トンネル延長方向前後端縁接合部50Yにおいても、外側シート51及び内側シート52を接合している。ただし、この接合は必須のものではなく、例えば、1のシートを折り返し、この折り返し線から一方を外側シート51、他方を内側シート52とした場合は、前後端縁接合部50Yの一方を省略することができる。また、例えば、封筒状のシートの相互に重なる一方のシートを外側シート51とし、他方のシートを内側シート52とした場合は、前後端縁接合部50Yの両方を省略することができる。
また、以上いずれの場合においても、外側シート51及び内側シート52は、1枚である必要はなく、2枚、3枚、4枚又はそれ以上の複数枚のシートが積層された積層シートであってもよい。この積層シートとするか否かは、外側シート51及び内側シート52の重量、強度等を考慮して、適宜決定することができる。
本形態においては、接合部50Xが直線状である場合のみを説明したが、直線状である場合に限定する趣旨ではなく、例えば、曲線状、ジグザク線状等であってもよい。要は、内側シート52が膨らみ、円筒50Tが形成されればよい。
本形態において、外側シート51及び内側シート52の素材は、特に限定されず、例えば、塩ビシート、ポリエチレンシート、綿帆布などとすることができる。ただし、強度、重量などの観点からは、強化繊維をターポリン等の材料でサントイッチした素材を用いるのが好ましい。この素材を用いたとしても、ヘリウム等を注入可能な特殊素材を用いる場合と比べて、100分の1程度のコストに抑えることができる。
ところで、本形態においては必須ではないが、前述養生シート21と覆工コンクリート2の内壁面との間に、ポリエステル、綿布等からなる(素材とする)湿潤シート22が介在されている。この湿潤シート22は、覆工コンクリート2内壁面のトンネル周長方向中央部(つまり、天部。)おいてのみ当接するように介在されており、この湿潤シート22の覆工コンクリート2側、かつトンネル周長方向中央部に、管、可撓性ホース等からなる湿潤水チューブ23が通されている。この湿潤水チューブ23の周壁等には、水を吐出する孔(図示せず)が形成されており、この孔から水が吐出されると、湿潤シート22が湿り、もって覆工コンクリート2内壁面の加湿が図られる。湿潤シート22が吸収した水は、養生シート21の表面に沿って下方に流れるため、湿潤シート22は、素材コストや重量などの観点から、天部だけに設けるのが好ましい。
さらに、本形態においては、図4に示すように、養生バルーン50の両側端部に連結可能とされ、かつ、当該連結状態において連結部からトンネル床面3に向かって垂れ下がる側部シート24を有する。この側部シート24によって、側部に位置する覆工コンクリート2Aの自己保有水・反応熱が逃げないようになり、側部に位置する覆工コンクリート2Aの硬化反応が促進される。また、本形態の養生装置10を用いて、例えば、断面プロフィールの大きい、つまりトンネル周長の長いトンネルの養生を行う場合においては、養生バルーン50に側部シート24を連結して養生を行い、他方、断面プロフィールの小さい、つまりトンネル周長の短いトンネルの養生を行う場合においては、養生バルーン50に側部シート24を連結しないで養生を行うことができ、本形態の養生装置10によると、断面プロフィールの異なるさまざまなトンネルを、設計変更等することなく養生することができる。
本形態において、側部シート24は、外側シート51に連結されるものであっても、内側シート52に連結されるものであっても、両方のシート51,52に連結される積層シートであってもよい。また、側部シート24の素材は、特に限定されず、例えば、外側シート51や内側シート52と同様の素材とすることができる。さらに、側部シート24と養生バルーン50との連結方法も、特に限定されず、例えば、面ファスナー(パイルアンドフック)による連結や、図6に示すようなファスナー53等によって、連結することができる。
また、図4に示すように、養生シート21の両側部には、側部シート24の覆工コンクリート2側において垂れ下がる側部補助シート25を連結し、養生性能の向上を図ることができる。この側部補助シート25の素材としては、例えば、養生シート21と同様のものを例示することができ、また、側部補助シート25と養生シート21との連結方法は、例えば、側部シート24と養生バルーン50との連結方法と同様の方法を例示することができる。
また、図示はしないが、側部シート24や側部補助シート25の下端部は、ビニールテープ等の接着手段を利用して、側部に位置する覆工コンクリート2Aの内壁面に貼り付け、もって養生性能の向上を図ることができる。
さらに、図示はしないが、側部シート24や側部補助シート25をトンネル床面3まで垂れ下がる長さとしておき、このトンネル床面3上に位置する側部シート24や側部補助シート25の端部上に、トンネル延長方向に沿う(延びる)パイプ等の棒材を載せ、もって養生性能の向上を図ることもできる。
〔支持構造〕
次に、着体20の支持構造について、説明する。
(周長ロッド)
図1に示すように、本形態の支持構造30は、トンネル周長方向に延び(沿い)、かつ密着体20を坑内側から支持する周長ロッド31を有する。この周長ロッド31によって、着体20の覆工コンクリート2への圧着が図られる。
この周長ロッド31は、はじめからトンネル周長方向に延びる形状であってもよいが、多芯円形状等のさまざまな周長方向プロフィールのトンネルにフィットさせることができるよう可とう(撓)性を有する直線状の部材を、トンネル周長方向に沿うようたわませて使用するのが好ましい。
本形態において、この周長ロッド31は、図2に示すように、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置される。この配置間隔は、例えば、1〜2m、好ましくは1.2〜1.5mとされる。この配置間隔が短過ぎ、周長ロッド31の本数が増えると、支持構造30の設置(組立)・解体・移動・再設置に時間がかかり、また、装置コストが嵩む。他方、本形態においては、前述したように、複数の筒体50Tがトンネル延長方向に沿う(延びる)ため、着体20のトンネル延長方向に関する剛性に優れるが、周長ロッド31の配置間隔が長すぎると、周長ロッド31に支持をされていない部分が下方に垂れ下がり易くなるため、筒体50Tの空気圧を高くする必要が生じる。
本形態の周長ロッド31は、その素材が特に限定されず、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)、塩ビパイプ、架橋ポリエチレンパイプ等を使用することができるが、前述たわませるという観点や強度の観点などからは、FRPを使用するのが好ましい。
また、周長ロッド31の断面形状は、例えば、真円形状、楕円形状等の円形状、長方形状、正方形状等の四角形状などとすることができる。特に、周長ロッド31を真円形状とする場合、その直径は、好ましくは13〜34mm、より好ましくは22〜27mmである。もちろん、周長ロッド31は、中空状のパイプ構造等であってもよい。
(縦ロッド)
本形態の支持構造30は、図1に示すように、上下方向に延び、かつ周長ロッド31の上下方向の支持をする、トンネル幅方向に離間して配置された一対の縦ロッド32を有する。この一対の縦ロッド32のトンネル幅方向の配置間隔(離間距離)は、特に限定されず、トンネルの断面プロフィール等によって適宜決定することができる。ただし、本形態においては、トンネル床面3上にトンネル延長方向に延びる(沿う)一対のレール4が敷設されており、このレール4上に後述する伸縮機構40を介して縦ロッド32が配置されている。このトンネル幅方向の配置間隔は、トンネルの断面プロフィール等にもよるが、できる限り長い方が好ましい。これは、養生装置10の組立や解体は、騒音対策などのために、防音扉等を設置した後、トンネル坑内で施工することもあり、各種機材等の運搬搬入や、組立、解体を容易とするためである。当該トンネル幅方向の配置間隔は、例えば、3〜5mとすることができる。
また、縦ロッド32による周長ロッド31の上下支持構造は、特に限定されないが、本形態では、図4に示すように、縦ロッド32の上端部32Xが周長ロッド31と固定クランプ等によって連結され、もって周長ロッド31の上下(縦)方向への移動が抑制されている。
本形態において、この縦ロッド32は、図2に示すように、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置される。この配置間隔は、例えば、2.5〜6m、好ましくは5〜6mとされる。特に図示例では、トンネル幅方向の一方側に7本、他方側に7本の合計14本を配置している。本形態においては、養生バルーン50等が軽量化されているため、この14本の縦ロッド32によって、密着体20等の全荷重を支えることができる。この縦ロッド32の配置間隔が短過ぎ、縦ロッド32の本数が増えると、支持構造30の設置(組立)・解体・移動・再設置に時間がかかり、また、装置コストが嵩む。他方、この縦ロッド32の配置間隔が長すぎると、密着体20等の全荷重を支えることができず、あるいは安定性に欠けるおそれがある。
本形態の縦ロッド32も、その素材は特に限定されないが、周長ロッド31のようにたわむ必要はなく、逆に、密着体20等の全荷重を支えることができるよう丈夫な素材である方が好ましい(もちろん、丈夫な素材であれば、たわむ素材であってもよい。)。具体的には、例えば、鋼、アルミ、FRP等を使用することができる。また、縦ロッド32の断面形状は、例えば、真円形状、楕円形状等の円形状、長方形状、正方形状等の四角形状などとすることができる。特に、縦ロッド32を真円形状又は正方形状とする場合、その直径又は一辺は、好ましくは30〜60mm、より好ましくは40〜50mmである。もちろん、縦ロッド32も、中空状のパイプ構造等であってもよい。
(横ロッド)
さらに、本形態の支持構造30は、図1に示すように、トンネル幅方向に延び、かつ周長ロッド31のトンネル幅方向の支持をする横ロッド33を有する。この横ロッド33による周長ロッド31の幅方向支持構造は、特に限定されないが、本形態では、図4に示すように、横ロッド33の両端部33Xが周長ロッド31とパイプクランプ等によって連結され、もって周長ロッド31のトンネル幅方向への移動が抑制されている。
本形態において、この横ロッド33は、図2に示すように、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置される。この配置間隔は、前述縦ロッド32と同様とされる。
本形態の横ロッド33も、その素材は特に限定されず、周長ロッド31のように、たわむ素材であっても、縦ロッド32のように、丈夫な素材であってもよい。具体的には、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)、アルミ、鋼等を使用することができる。また、横ロッド33の断面形状は、例えば、真円形状、楕円形状等の円形状、長方形状、正方形状等の四角形状などとすることができる。特に、横ロッド33を真円形状とする場合、その直径は、好ましくは20〜50mm、より好ましくは25〜43mmである。もちろん、横ロッド33も、中空状のパイプ構造等であってもよい。
(斜ロッド)
さらに、本形態の支持構造30は、図4に示すように、縦ロッド32に直交クランプ等によって連結され、かつこの連結部34Xから内上方に延びる部位が連結部34Yにおいて横ロッド33に直交クランプ等によって連結される斜ロッド34を有する。
この点、前述したように縦ロッド32は、伸縮機構40を介してレール4上に配置されるが、このレール4は、トンネル床面3上に敷設されるため、トンネル幅方向に、あるいはトンネル延長方向に傾いている場合がある。したがって、縦ロッド32は、レール4と同方向に傾き、例えば、レール4がトンネル幅方向に関して外方に傾いていると、縦ロッド32も同方向に傾き、周長ロッド31の上下方向への移動を抑制できなくなるおそれがある。そこで、本形態においては、斜ロッド34を設け、この斜ロッド34が連結部34Yにおいて横ロッド33に連結され、この横ロッド33によって縦ロッド32のトンネル幅方向への傾きが抑制されるようにしている。この縦ロッド32のトンネル幅方向への傾きは、横ロッド33と直接連結することによって抑制することもできそうであるが、一対の縦ロッド32が同一方向に傾いていると、横ロッド33によって一対の縦ロッド32の配置間隔は保たれるものの、当該縦ロッド32の傾き自体は抑制されないので、本形態のように斜ロッド34を利用するのが好ましい。
なお、このように、縦ロッド32の傾きは、斜ロッド34介して間接的に横ロッド33によって抑制されることになるので、縦ロッド32と横ロッド33とが、図1に示すように、当接している必要はなく、図4に示すように、離間していてもよい。また、斜ロッド34は、以上の機能を発揮するものであるため、斜ロッド34の連結部34Xから内上方に延びる部位の先端部が、図1に示すように、周長ロッド31に当接している必然性はない。
本形態において、この斜ロッド34は、図2に示すように、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置される。この配置間隔は、前述縦ロッド32や横ロッド33と同様とされる。
本形態の斜ロッド34も、その素材は特に限定されず、周長ロッド31のように、たわむ素材であっても、縦ロッド32のように、丈夫な素材であってもよい。具体的には、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)、アルミ、鋼等を使用することができる。また、斜ロッド34の断面形状は、例えば、真円形状、楕円形状等の円形状、長方形状、正方形状等の四角形状などとすることができる。特に、横ロッド33を真円形状とする場合、その直径は、好ましくは20〜50mm、より好ましくは25〜30mmである。もちろん、横ロッド33も、中空状のパイプ構造等であってもよい。
(伸縮機構)
本形態の養生装置10は、図1に示すように、上下方向に伸縮して縦ロッド32を上下に移動させるエアジャッキ等が備わる伸縮機構40を有する。この伸縮機構40は、図5に示すように、縦ロッド32の下端部が出し入れされる本体44と、この本体44内に配置され、かつ上面に縦ロッド32の下端部32Yが載せられるエアジャッキ41と、このエアジャッキ41にコンプレッサー94(図2参照)から送られてきたエアを供給するためのエア供給チューブ42と、本体44の下端面に取り付けられ、H型鋼、I型鋼等からなるレール4上を転がるキャスター43と、から主になる。
本形態においては、本体44内にエアジャッキ41が配置され、これらエアジャッキ41及び本体44が相対的に上下方向に昇降するため、本体44の内面は、フッ素樹脂等で覆うのが好ましい。
また、本形態においては、伸縮機構40に備わるキャスター43がレール4上を転がるため、支持構造30やこれに支持される着体20、つまり養生装置10は、トンネル延長方向に容易に移動することができる。もっとも、特にトンネル床面3が不整地である場合は、養生装置10の上下方向に関する位置が定まらず、養生装置10をトンネル延長方向に移動したとしても、密着体20の密着性に影響が及ぶ可能性がある。この影響を取り除くためには、例えば、トンネル床面3を整地し、レール4の敷設精度を高めることで対応できるが、トンネル床面3の整地は、コストがかかる。しかしながら、本形態においては、エアジャッキ41にエアを送り、又はエアジャッキ41からエアを排出することにより、伸縮機構40が伸縮し、もって縦ロッド32が上下に移動(昇降)するため、この移動によって上下方向に関するトンネル床面3の起伏を吸収することができ、トンネル床面3が不整地であっても、密着体20を覆工コンクリート2の内壁面に完全に密着させることができる。
また、この伸縮機構40による縦ロッド32の上下方向に関する移動は、養生装置10を移動する際にも利用することができる。
すなわち、伸縮機構40を収縮させ、縦ロッド32を降下させることにより、密着体20の覆工コンクリート2内壁面からのクリアランスを大きくとることができるため、養生装置10の移動に際して、密着体20が覆工コンクリート2内壁面と接触し破損するといったおそれを防止することができる。また、このようにクリアランスを大きくとることができるため、急曲線トンネルや高低差のあるトンネル等であっても、1つの養生長33mを1つの養生装置10で施工することができる。
このような観点からは、伸縮機構40の伸縮(昇降)長は、好ましくは200〜500mm、より好ましくは300〜400mmである。また、この伸縮機構40の収縮と同時に、前述したように、養生バルーン50も収縮することができるため、極めて短時間で覆工コンクリート2内壁面から密着体20を離間させることができ、養生装置10の移動を極めて迅速に行うことができる。この点、本発明が試験したところによると、養生装置の移動には、従来、3時間〜半日程度の時間かかっていたが、本養生装置10によると、10分程度で足り、スケジュール等に余裕をみたとしても、30分もあれば十分であることが分かった。
本形態において、エアジャッキ41のロッド径40X(図5参照)は、特に限定されないが、好ましくは直径100〜300mm、より好ましくは150〜200mmである。
本形態においては、前述したように停電等に備えて、養生中においてはダンパー等を使用して筒体50Tを気密(密閉)状態とし、もって筒体50Tの膨張状態を維持するが、同様にエアジャッキ41も養生中はバルブを閉じる等して空気圧を保持し、しかも破損等を考慮して縦ロッド32の下降防止ストッパーを設け、伸縮機構40が収縮しないようにするのが好ましい。
なお、前述したように図示例では、14本の縦ロッド32で密着体20を支持しており、伸縮機構40も14台配置することになるが、本形態の密着体20及び支持構造30は極めて軽量であるため、1台の伸縮機構40にかかる荷重は約300kgfに抑えることができる。
(延長ロッド)
本形態の支持構造30においては、前述したように周長ロッド31がトンネル延長方向に間隔をおいて複数配置されているが、図4に示すように、この複数の周長ロッド31の一方又は両方の端部31Xは、それぞれトンネル延長方向に延びる(沿う)延長ロッド38に連結されると好適である。また、この延長ロッド38は、例えば、紐状部材39等によってトンネルの坑内側に引寄せ可能とされているとより好適である。この点、前述したように、本形態においては、伸縮機構40の収縮及び養生バルーン50の収縮によって、覆工コンクリート2内壁面と密着体20とのクリアランスを大きくとることができるが、このクリアランスは、トンネル天部に比較して、トンネル側部においては小さなものとなる。しかしながら、以上のように、複数の周長ロッド31の端部31Xが、それぞれトンネル延長方向に延びる延長ロッド38に連結さ、この延長ロッド38が紐状部材39等によってトンネルの坑内側に引寄せ可能とされていると、紐状部材39等を引くことのみによって、トンネル側部におけるクリアランスも大きなものとすることができる。
なお、このトンネル側部におけるクリアランスを確保するにあたっては、例えば、周長ロッド31にその一部において折れ曲がるリンク機構を設け、このリンク機構からトンネル側部がわが自動で折り曲がるようにすることもできる。しかしながら、養生装置10を軽量化し、また、養生装置10の設置等を容易にするという観点からは、本形態のように手動にする方が好ましい。
(補助ロッド)
本形態においては、図2に示すように、密着体20のトンネル延長方向への剛性を向上させるために、トンネル延長方向に延びる(沿う)補助ロッド35を配置することもできる。この補助ロッド35は、例えば、図3に示すように、周長ロッド31にトンネル延長方向に開口する補助クランプ35Aをあらかじめ設けておき、この補助クランプ35Aの開口に補助ロッド35を挿通させることにより、周長ロッド31に連結することができる。この形態によると、補助ロッド35を極めて容易に配置することができ、また、補助ロッド35が必要ない場合においても、負担がかからない。
この補助ロッド35の本数等は、特に限定されず、図示例では、トンネル幅方向の一方側に3本、他方側に3本の合計6本を配置している。
(その他)
以上のように、本形態の支持構造30は、各種ロッドの組合せでなり、しかも部材(品)点数が少ないため、坑内空間を広く確保することができる。例えば、トンネル坑内における双方通行を実現することもできる。また、同様の理由により、極めて軽量化することができ、設置(組立)・解体・移動・再設置等を容易に行うことができる。ちなみに、養生長33m(3スパン)とした場合の養生装置10全体の重量は、約3000kgと、従来の1/2〜1/3にすることができる。もちろん、養生長を、例えば、10.5m(1スパン)とし、より軽量化することもできるが、設置等にかかるコストを考慮すると、3スパンとする方が好ましい。
また、本形態の養生装置10においては、全ての部材が他現場へ転用可能であるため、省資源であり、装置コストを抑えることができる。本発明者の試算したところによると、33m当たりの価格は、従来の約半分とすることができる。
本形態の養生装置10は、図2に示すように、例えば、セントル91に備わるウインチ95を利用し、このウインチ95の牽引ワイヤー95Aに接続された支持構造30を牽引することによって移動することができる。
本形態の密着体20は、その前端部20Aを長くして、セントル91の後端部周りにおいても、覆工コンクリート2を養生することができるようにすると、より好ましい形態となる。また、スパン間における養生性能の低下を防止するために、密着体20の後端部20Bを長くするのも好ましい形態である。
本形態において、坑内の換気等を行うための、ビニール等からなる風管5は、例えば、横ロッド33の上方を通すことができる。
本発明は、山岳トンネルやシールドトンネル等のトンネルの内壁面を覆う覆工コンクリートの養生装置として適用可能である。
2…覆工コンクリート、3…トンネル床面、4…レール、5…風管、10…養生装置、20…密着体、21…養生シート、22…湿潤シート、23…湿潤水チューブ、24…側部シート、25…側部補助シート、30…支持構造、31…周長ロッド、32…縦ロッド、33…横ロッド、34…斜ロッド、35…補助ロッド、35A…補助クランプ、40…伸縮機構、41…エアジャッキ、42…エア供給チューブ、43…キャスター、44…本体、50…養生バルーン、51…外側シート、52…内側シート、50X,50Y…接合部、50T…筒体、94…コンプレッサー。

Claims (4)

  1. トンネルの覆工コンクリートに密着させる密着体を有する、覆工コンクリートの養生装置であって、
    前記密着体は、前記覆工コンクリート側に配置される外側シートと、この外側シートの坑内側に配置される内側シートと、を有し、
    これら外側シート及び内側シートは、トンネル延長方向に沿う複数の接合部において、接合されており、
    相互に隣接する前記接合部間のシート長が、前記外側シートよりも前記内側シートの方が長くなるようにされて、前記外側シートと前記内側シートとの間に流体を注入すると、当該内側シートが膨らむ構成とされている、
    ことを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
  2. 前記外側シート及び前記内側シートの少なくともいずれか一方の両側端部に連結可能とされ、かつ、当該連結状態において連結部から前記トンネルの床面に向かって垂れ下がる側部シートを有する、
    請求項1記載の覆工コンクリートの養生装置。
  3. トンネル周長方向に延び、かつ前記密着体を坑内側から支持する周長ロッドと、
    上下方向に延び、かつ前記周長ロッドの上下方向の支持をする、トンネル幅方向に離間して配置された一対の縦ロッドと、
    トンネル幅方向に延び、かつ前記周長ロッドのトンネル幅方向の支持をする横ロッドと、
    前記縦ロッドに連結され、かつこの連結部から内上方に延びる部位が前記横ロッドに連結される斜ロッドと、
    上下方向に伸縮して前記縦ロッドを上下に移動させる伸縮機構と、を有する、
    請求項1又は請求項2記載の覆工コンクリートの養生装置。
  4. 前記周長ロッドは、トンネル延長方向に間隔をおいて複数配置され、
    この複数の周長ロッドの少なくとも一方の端部は、それぞれトンネル延長方向に延びる延長ロッドに連結され、
    この延長ロッドが、前記トンネルの坑内側に引寄せ可能とされている、
    請求項記載の覆工コンクリートの養生装置。
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