JP5203909B2 - 誘導モータ制御方法と装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導モータ制御方法と装置に係り、特に、モータ駆動のフォークリフトなどに用いられてVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御により駆動される誘導モータ制御方法と装置に関するものである。
従来、フォークリフトなどの駆動用モータには制御が簡単な直流モータが使用されていたが、直流モータに比較し、小型、軽量、構造や取扱いが簡単で大量生産が可能、かつ、摩耗が少ないためにメンテナンスフリーにでき、1回の充電に対する走行距離が大きいために高効率、等の特徴を有すると共に、指令値制御を行なうことで直流モータのように車両のトルクに近いトルクを発生することができるため、交流誘導モータが多用されるようになっている。
こういった交流モータの制御装置としては、例えば特許文献1に、モータ駆動指令信号により変換駆動手段を制御して直流電力を交流電力に変換し、該交流電力を交流モータに印加して駆動制御する交流モータの制御装置においては、変換駆動手段を構成する電力用スイッチングトランジスタには連続使用最大定格と絶対最大定格とがあり、従来のトランジスタ保護回路は、連続使用最大定格を越えても交流電力を遮断するようにしていたため、モータで駆動される車輛が停止するなどの不具合があった。そのため連続使用最大定格と絶対最大定格とを検出する比較手段を設け、連続使用最大定格を越えた場合は交流モータに流れる電流を低減させ、絶対最大定格を越えた場合のみ交流モータに流れる電流を遮断するようにした。
また特許文献2には、フォークリフトなどの電気車の走行輪駆動用電動機として交流電動機、操舵補助用電動機及び荷役装置駆動用電動機として直流電動機を用い、電源から供給された電力を変換し、走行輪駆動用電動機、舵取輪の操舵補助用電動機、及び荷役装置駆動用電動機に供給する複数の電力変換回路を電源に対して並列接続し、複数の電力変換回路の少なくとも2つに対して容量性素子を並列接続して、複数の電力変換回路のいずれか一つに異常が発生しても、その電力変換回路に影響されずに残りの電力変換回路を正常に動作させることができるようにした、電気車及びその制御装置が示されている。
一方、フォークリフトなどの駆動源として誘導モータを利用した場合、その制御にベクトル制御を採用することが提案されたが、ベクトル制御は外乱に反応しやすく、例えば、ユーザが荷役装置の爪を上げるように荷役装置を操作したとき、荷役装置が多段マストを備えている場合にマストの段差切り換えが起こると、誘導モータの制御系はその段差切り換えに反応して荷役装置のユーザの操作に対する応答性を低下させる。また、誘導モータのベクトル制御のソフトウェアは、誘導モータの特性パラメータに大きく依存して汎用性が乏しいため、ある誘導モータに合わせてベクトル制御のソフトウェアを作成しても、そのソフトウェアは他の誘導モータの制御に採用できない場合が多く、フォークリフトの生産性を向上には不向きである。
そのため本願出願人は特許文献3において、荷役装置操作レバーの操作に応答して周波数指令fを生成し、その周波数指令fによって電圧指令Vを生成すると共に、その電圧指令Vからインバータ制御信号を生成するVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)を用いることを提案した。すなわちVVVF制御は、基本的にオープンループ制御であり、荷役装置のユーザの操作に対する応答性を向上することができ、また、誘導モータの特性パラメータが必要でないために制御ソフトウェアの汎用性を高めることができる。
特開昭62−217805号公報 特開2002−176706号公報 特開2006−232492号公報
誘導電動機は、かける電圧、一次角周波数、その時の回転数により、流れる電流、発生するトルクが変化する。この特許文献3に示されたVVVF制御を用いると、電流の制御は行わないが、電圧、一次角周波数指自由に決定することができる。しかしフォークリフト等の荷役作業用車輌で誘導モータを使う場合、インバータの電流制限ギリギリまで出力を使いたい場合があり、そういった場合は何らかの電流制限処理をして使うことになるが、安易に電流制限を入れてしまうとモータのトルク特性を大きく損なう場合がある。
また誘導電動機は、モータの温度が変わると内部抵抗が変化し、同じ電圧、一次角周波数、回転数でも、流れる電流、発生するトルクが変わるが、前記したようにVVVF制御はオープンループ制御であるため、内部抵抗が変わった場合に対応できない、という問題もある。すなわち誘導モータは、低温ではモータの抵抗が減るために電流が流れ過ぎてトルクが大きくなるが、この場合、大電流が流れてインバータ容量をオーバーしてしまう恐れがあり、逆に高温では、抵抗が大きくなるために電流が抑制されてトルクが小さくなり、トルク不足の心配が生じる。
そのため、トルク不足とならないようモータを高温環境で調整すると、低温環境においてトルクと電流が増加し、インバータ容量をオーバーしてしまう恐れがある。逆にインバータ容量をオーバーしないように低温環境で調整すると、電流増加の心配はなくなるがトルク不足となってしまう。
しかしながら、特許文献1に示された交流モータの制御装置は、連続使用最大定格と絶対最大定格とを検出し、それぞれに対応した制御を行っているだけであり、また特許文献2の電気車及びその制御装置も、複数の電力変換回路のいずれか一つに異常が発生した場合の対応に関するもので、こういった内部抵抗の変化に対する問題点を解決するものではない。
さらに特許文献3に示された技術も、トルク制御でないため一般的に負荷の変化にさらされる誘導モータの制御として不向きである、と考えられていたVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)を用い、周波数指令の生成を最適化することによって、あるいは、周波数指令と電圧指令との比を適切に制御することで、VVVF制御をフォークリフトの荷役装置に油圧を供給する油圧ポンプを駆動する誘導モータに適用することを可能にしてはいるが、こういったモータの内部抵抗の変化に対する問題点を解決するものではない。
なお、このような温度の変化で変化する内部抵抗に対応するためには、
1.例えばベクトル制御などで温度特性を改善する方法
2.容量の大きなインバータを用いる方法
3.温度が高いときと低いときに流れる電流のマップを持ち、現在の温度に合わせて最適な制御を行う方法
4.電流増加に合わせて電圧を下げる方法
5.電流増加に合わせて一次角周波数を下げる方法
などがある。
しかしながら1のベクトル制御で温度特性を改善する方法は、アルゴリズムが複雑になる。2の容量の大きなインバータを用いる方法は、トルク不足になる高温の状態で調整を行い、低温時に電流が増加しても大丈夫なように余裕を持った設計を行うわけであるが、ハード的に大きな容量の素子を用いるためにコストアップとなってしまう。
3の温度に応じて流れる電流のマップからなるテーブルを持ち、現在の温度に合わせて最適な制御を行う方法は、モータの温度を変化させながらどの程度の電流が流れるかテストをおこなう必要がある。しかしながら誘導モータを構成する固定子と回転子は、トルクや電流に大きく影響するのが回転子であるにもかかわらず、回転子の回転中の温度を正確に測定するのは難しい。その上、制御の精度がテーブルの精度に依存し、さらにテーブルを記憶しておくためのROMなどが必要になる。
4の電流増加に合わせて電圧を下げる方法は、電流は抑制されるが一次角周波数がずれてしまうため、トルク自体も下がってトルク特性が悪くなってしまう。また5の電流増加に合わせて一次角周波数を下げる方法は、誘導モータの特徴としてすべりを下げすぎると、逆に過励磁現象が起きて電流が急激に大きくなる現象が起こることがあり、電流大となってしまう可能性がある。
そのため本発明においては、複雑なアルゴリズムやコストアップとなる大容量の素子を用いたりせず、また、正確に測定するのが難しいモータの温度による制御や、トルク特性が悪化する電流増加に合わせて電圧を下げる方法、電流増加に合わせて一次角周波数を下げることで過励磁現象により電流が急激に大きくなる心配のある方法、などを用いずに、モータのトルク特性を大きく損なうことなくインバータの電流制限ギリギリまで出力を使うことができ、それにもかかわらずモータの温度が変わることで変化する内部抵抗により、大電流が流れてインバータ容量をオーバーしてしまったり、電流が抑制されてトルク不足が生じたりするのを防ぐことのできる、誘導モータ制御方法と装置を提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明になる誘導モータ制御方法は、
3相電力を生成するインバータにより駆動する誘導モータの負荷に応じたトルクに対応する目標速度を算出し、該目標速度と前記誘導モータの回転数とによって一次角周波数指令を生成してVVVF制御(Variable Voltage Variable
Frequency)により電圧指令を生成し、前記3相電力の周波数と前記誘導モータの回転周波数との差で定義されるすべりを所定範囲内に保つ制御を行ないながら、前記一次角周波数指令と電圧指令とに基づいて前記インバータを制御して前記誘導モータを駆動する誘導モータ制御方法において、
予め、環境温度によって変化する誘導モータ内部抵抗が高い状態で規定トルクが得られる電圧と一次角周波数指令とからなる電圧・一次角周波数テーブルを用意すると共に、前記誘導モータに流れる3相電流が誘導モータを駆動するインバータ容量をオーバーする電流値を電流値制御開始用閾値とし、必要トルクが得られなくなる3相電流を電流値制御戻し閾値としてそれぞれ記憶し、
前記電圧・一次角周波数テーブルに基づいてVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)により電圧指令と一次角周波数指令を出力して前記誘導モータを駆動すると共に、前記誘導モータに流れる3相電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で前記一次角周波数指令を低減させ、該一次角周波数指令が低減限界に達した状態で前記電圧指令を低減させて前記3相電流を抑制し、前記3相電流測定結果が前記電流値制御戻し閾値を下回った状態で、前記電圧指令、一次角周波数指令の順で増加させて駆動することを特徴とする。
また、この誘導モータ制御方法を実施する装置は、
3相電力を生成するインバータにより駆動される誘導モータと、該誘導モータの負荷に応じたトルクに対応する目標速度を算出する目標速度算出部と、該目標速度算出部からの目標速度と前記誘導モータの回転数とに基づき、一次角周波数指令を生成する周波数指令生成部、及び該周波数指令生成部からの一次角周波数指令を受けてVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)により電圧指令を生成する電圧指令生成部を有し、前記3相電力の周波数と前記誘導モータの回転周波数との差で定義されるすべりを、所定範囲内に保つ制御を行うVVVF制御部と、該VVVF制御部からの電圧指令と一次角周波数指令とを受け、前記インバータへ供給する3相電力の電圧指令を出力する電圧指令変換部と、該電圧指令変換部からの3相電圧指令を受け、前記インバータを制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するPWM制御部とを有する誘導モータ制御装置において、
前記電圧指令生成部は、予め環境温度によって変化する誘導モータ内部抵抗が高い状態で規定トルクが得られる電圧と一次角周波数指令とからなる電圧・一次角周波数テーブルに基づいて電圧指令を生成するよう構成され、前記インバータから誘導モータへ送られる電流を検知する電流検知手段と、前記インバータに許容される最大電流を閾値とした電流値制御開始用閾値と、制限した電流を戻す電流値制御戻し閾値とを記憶し、前記電流検知手段の検知した誘導モータ駆動電流が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で前記VVVF制御部が出力した一次角周波数指令を低減し、該一次角周波数指令が低減限界に達した状態で、前記VVVF制御部が出力した電圧指令の電圧値を低減させ、前記誘導モータ駆動電流が前記電流値制御戻し閾値を下回った状態で電圧指令、一次角周波数指令の順で低減を元に戻す制御を行う電圧・周波数指令補正値演算部と、を有していることを特徴とする。
このように予め、環境温度によって変化する誘導モータ内部抵抗が高い状態で、規定トルクが得られる電圧指令と一次角周波数指令とからなる電圧・一次角周波数テーブルを用意して、この電圧・一次角周波数テーブルに基づいてVVVF制御を行うことで、例え温度環境が高温になって誘導モータの内部抵抗が増加しても、規定トルクが得られるからトルク不足になる心配がない。また、誘導モータに流れる3相電流が誘導モータを駆動するインバータ容量をオーバーする電流値を電流値制御開始用閾値とし、必要トルクが得られなくなる3相電流を電流値制御戻し閾値としてそれぞれ記憶しておき、電圧・一次角周波数テーブルに基づいてVVVF制御を行うことで、常温環境、低温環境でモータの内部抵抗が低下し、電流が増加した場合も電流値制御開始用閾値を越えたときに一次角周波数指令、電圧指令の順で低減し、電流を制限するからインバータ容量をオーバーする心配がない。
すなわち本発明によれば、複雑なアルゴリズムやコストアップとなる大容量の素子を用いたりせず、また、正確に測定するのが難しいモータの温度による制御や、トルク特性が悪化する電流増加に合わせて電圧を下げる方法、電流増加に合わせて一次角周波数を下げることで過励磁現象により電流が急激に大きくなる心配のある方法、などを用いずに、モータのトルク特性を大きく損なうことなくインバータの電流制限ギリギリまで出力を使うことができ、それにもかかわらずモータの温度が変わることで変化する内部抵抗により、大電流が流れてインバータ容量をオーバーしてしまったり、電流が抑制されてトルク不足が生じ足りするのを防ぐことができ、誘導モータを効率的に、コスト的にも安価に制御することができる。
そして、前記3相電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で低減する前記一次角周波数指令と電圧指令の切換は、前記一次角周波数指令の低減で前記誘導モータのすべりが所定値になった状態でおこない、そのため、前記電圧・周波数指令補正値演算部は、前記誘導モータ駆動電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で低減する前記一次角周波数指令と電圧指令の切換を、前記一次角周波数指令の低減で前記誘導モータのすべりが所定値になった状態でおこなうことで、一次角周波数指令をあまり低減すると、過励磁を起こす心配があるが、このように制御することでその心配もなくなる。
以上記載のごとく本発明になる誘導モータ制御方法と装置は、モータ温度が変化しても出力変動を抑える事ができ、温度が変化しても一定の操作感覚を提供できる。しかもその際、インバータの容量を最大まで使うことができるから、低温環境における電流増大を心配して大容量の素子を用いる、などの過剰品質を抑える事ができ、コストダウンを達成することができる。また本発明の制御は、電流を下げる方向のみに限定して制御しているので、安全性・安定性・ロバスト性が高いシステムを構成でき、さらに、本発明のアルゴリズムは非常に簡単に構成できるため、安価なマイコンでも実施が可能であるからコスト的にも有利な誘導モータ制御方法と装置とすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御を用いた本発明の誘導モータ制御方法を実施する、誘導モータ制御装置のブロック図である。図中10は例えばフォークリフトなどの操作手段や、誘導モータ12で駆動される荷役装置を駆動する油圧ポンプなどからの信号を元に、負荷に対応した誘導モータの目標速度を算出する目標速度算出部、14、16、18、20は前記特許文献3の構成要素と同様、14が目標速度算出部10からの目標速度と、誘導モータ12の回転軸に設けられた回転センサからの信号を受けて回転速度を算出する回転速度計算部22からの回転数信号とに基づき、VVVF制御によって電圧指令Vと一次角周波数指令θとを出力するVVVF制御部、16がVVVF制御部14からの電圧指令Vと一次角周波数指令θとを3相電力の電圧指令に変換する電圧指令変換部、18が電圧指令変換部16からの3相電圧指令により、インバータ20を制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するPWM制御部、20がこのPWM制御部18に制御されて3相交流電力を生成して誘導モータ12に供給するインバータである。24は本発明の誘導モータ制御方法において中心的役割を担う電圧・周波数指令補正値演算部、26u、26v、26wはインバータ20から誘導モータ12へ供給される電流を検出する電流センサ、28は乗算器、30は加算器である。
目標速度算出部10は、前記したように例えばフォークリフトなどの操作手段や、誘導モータ12で駆動される荷役装置や操作手段を駆動する油圧ポンプなどからの信号に基づき、誘導モータ12の回転数の目標値である回転数指令N、VVVF制御部14が生成する周波数指令fの変化率の許容最大値である周波数指令変化率制限値ramp_f、フォークリフトなどの操作手段に応答して生成される信号SPSなどを生成する。
VVVF制御部14は、目標速度算出部10が生成した回転数指令N、周波数指令変化率制限値ramp_f、及び、操作手段に応答して生成される信号SPSなどに応答して電圧指令Vと一次角周波数指令θとを生成する。電圧指令変換部16は、VVVF制御部14が生成した電圧指令Vと一次角周波数指令θとを、三相の電圧指令、すなわちu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v に変換し、PWM制御部18に与えてこれらu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v からPWM信号SPWMを生成する。
電圧・周波数指令補正値演算部24は、前記したように、誘導モータの環境温度がどのように変化しても出力変動を抑え、誘導モータ12を駆動するインバータ20の容量を最大まで使ってトルクを発生することを可能とすると共に、大電流が流れてインバータ容量をオーバーしてしまったり、電流が抑制されてトルク不足が生じ足りすることのないよう、VVVF制御部14が生成した電圧指令Vと一次角周波数指令θとを制御する。
以上が本発明の誘導モータ制御装置を構成するブロック図であるが、本発明の詳細を説明する前に、本発明の概略を簡単に説明する。図1に示した誘導モータの制御装置は目標速度算出部10が、例えばフォークリフトなど設けられた操作手段や、誘導モータ12で駆動される荷役装置や操作手段を駆動する油圧ポンプなどからの信号を元に、誘導モータ12の回転数の目標値である回転数指令N、VVVF制御部が生成する周波数指令fの変化率の許容最大値である周波数指令変化率制限値ramp_f、フォークリフトなどの操作手段に応答して生成される信号SPSなどを生成してVVVF制御部14に送る。
VVVF制御部14は、この送られてきた回転数指令N、周波数指令変化率制限値ramp_f、操作手段に応答して生成される信号SPSなどを元に、電圧指令Vと一次角周波数指令θとを生成し、電圧指令変換部16がこの電圧指令Vと一次角周波数指令θとを三相の電圧指令、すなわちu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v に変換する。そしてPWM制御部18が、これらu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v からPWM信号SPWMを生成してインバータ20を制御し、その制御に基づいて誘導モータ12が駆動される。
このように構成した誘導モータの制御装置において、前記したように環境温度が高温になると誘導モータは内部抵抗が大きくなり、低温になると内部抵抗が小さくなる。しかしVVVF制御は基本的にオープンループ制御であるため、そのままでは高温環境では流れる電流が少なくなってトルク不足を起こし、低温環境では電流が流れすぎてトルクは大きくなるが、インバータ20の容量をオーバーしてしまう危険性がある。
そのため本発明においては、まず、高温環境においても必要なトルクが得られるように、高温環境において誘導モータ12を規定の回転数で運転し、規定のトルクを出すような電圧指令Vと一次角周波数指令θとを計測し、それを必要な回転数分だけ繰り返して電圧指令Vと一次角周波数指令θとからなるテーブルを作成して、VVVF制御部14に記憶させておく。
また、予め、誘導モータに流れる3相電流が、誘導モータを駆動するインバータ容量をオーバーする電流値を電流値制御開始用閾値として、また、使用する電流が少なくなって電流制限の必要がなくなったことを判断するため、電流値制御を戻すための閾値を電流値制御戻し閾値としてそれぞれ定め、これら定めた電流値制御開始用閾値と電流値制御を戻すための閾値とを、電圧・周波数指令補正値演算部24の記憶部に記憶させておく。
そしてこの電圧指令Vと一次角周波数指令θとからなるテーブルに基づき、VVVF制御部14が決定した電圧指令Vと一次角周波数指令θとに基づいて誘導モータ12を駆動するわけであるが、前記したように電圧指令Vと一次角周波数指令θとからなるテーブルは、高温環境における誘導モータ12内部の抵抗が増えた環境で作成したものであるから、例え誘導モータ12内部の抵抗が増えても必要なトルクが得られる。
しかし環境温度が低下して常温環境や低温環境となった状態で、このテーブルに基づいて最大トルクを得るような電圧指令Vと一次角周波数指令θとを生成すると、誘導モータ12の内部抵抗が高温環境に比較して小さくなっているから、当然のことながらトルクは大きくなるが電流が流れすぎ、インバータ20の容量をオーバーする可能性がある。
そのため本発明においては、誘導モータ12に流れる電流を電流センサ26u、26v、26wで検知し、電流が電圧・周波数指令補正値演算部24に記憶させた電流値制御開始用閾値を越えたら、電圧・周波数指令補正値演算部24はVVVF制御部14から出力されている一次角周波数指令θを低減する値を加算器30に送り、一次角周波数指令θを低減する。すると誘導モータ12の特性により、流れる電流が少なくなるから、インバータの容量オーバーの心配は少なくなる。しかしながら、ある一定以上周波数を下げてもまだ電流が流れすぎ、一次角周波数指令θを低減できる限界の周波数、すなわち一次角周波数指令θの低減で前記誘導モータ12のすべりが所定値になったら、次に電圧・周波数指令補正値演算部24は、VVVF制御部14から出力されている電圧指令Vの電圧を下げる値を乗算器28に送り、電圧指令Vの電圧を低減させる。
このようにすることで、高温環境において誘導モータ12の内部抵抗が大きくなっても、必要なトルクを得られるだけの電圧指令Vと一次角周波数指令θとがVVVF制御部14から出力され、また、環境温度が低下して常温や低温環境となり、そのままだとインバータ20に流れる電流がインバータ20の容量をオーバーする場合、電圧・周波数指令補正値演算部24が一次角周波数指令θを低減させ、それだけでは必要な電流低減量が得られない場合、さらに電圧指令Vを低減させるから、そういった問題は生じない。
一方、誘導モータ12が回転で高温になることで電流が少なくる場合があるが、電圧・周波数指令補正値演算部24は、これも予め記憶してある電流値制御を戻すための閾値と電流値とを比較し、誘導モータ12の電流値がこの電流値制御を戻すための閾値より小さくなったら、今度はまず電圧指令Vの電圧を上げてゆく。そしてある一定以上電圧を上げてもまだ電流が少ない場合、次に一次角周波数指令をθ増やして電流を増加させるようにする。そのため、この場合も必要なトルクを常時得ることができ、また、電流がインバータ20の容量をオーバーするといったことも生じない。
すなわちこのように制御することで、インバータ20の容量を最大まで使うことができ、過剰品質を抑えることができてコストダウンにつながる。しかも、電流を下げる方向のみに限定して制御しているので、安全性、安定性、ロバスト性が高いシステムを構成でき、さらにこのアルゴリズムは非常に簡単に構成できるため、安価なマイコンにも実装できるから、コストダウンすることもできる。
以上が本発明の概略であるが、以下、本発明を図面に従って詳細に説明する。図3はVVVF制御部14の機能ブロック図である。図1に示したVVVF制御部14は、周波数指令生成部32と、電圧指令生成部34と、一次角周波数指令生成部36とからなっている。周波数指令生成部32は、目標速度算出部10から供給される回転数指令Nと周波数指令変化率制限値ramp_f、及び、操作手段に応答して生成される信号SPSに応答し、インバータ20が出力する3相交流電力の周波数の目標値である周波数指令fを生成する。
電圧指令生成部34は、周波数指令fからVVVF制御によって電圧指令Vを生成する。一次角周波数指令生成部36は、周波数指令fを積算することによって一次角周波数指令θを生成する。周波数指令生成部32、電圧指令生成部34、及び一次角周波数指令生成部36にはクロック信号が供給され、これら各部の演算はこのクロック信号に同期して行われる。これら周波数指令生成部32、電圧指令生成部34、及び一次角周波数指令生成部36は、ハードウエア、ソフトウェア、及びこれらの組み合わせのいずれによって実現されてもよいが、以下の説明ではハードウエアによって実現されているとして説明する。
周波数指令生成部32は、基本的には、目標速度算出部10から供給される回転数指令Nに応答し、周波数指令fを生成するように構成されている。この周波数指令fは、インバータ20が出力する3相交流電力の周波数から、前記誘導モータ12の実際の回転周波数fを減じた差で定義されるすべりsを、所定の範囲に維持するように決定することである。すべりsの回生側の許容値sDEC(>0)、力行側の許容値sACC(>0)とすると、周波数指令fはすべりsを−sDEC以上、sACC以下に保つように生成される。
VVVF制御はトルク制御を行わず速度制御を行うため、負荷が急変すると電圧指令の急変が起こって過電流が発生しやすい。そのため一般的には、負荷が安定している用途、即ち、一定の回転数で誘導モータを動作させるような用途に向いていると考えられているが、このように、周波数指令fがすべりsに応じて生成されることで、例えば荷役装置に用いられて負荷が増大し、誘導モータ12の負荷が増大するとすべりsが増大するが、周波数指令fは、すべりsが所定範囲内に収まるように制限されるから、これによって負荷の変化に対処できる。
次に、周波数指令生成部32の機能を詳細に説明する。周波数指令生成部32は、乗算器38と、fランプ演算器40と、すべりリミット演算器42と、オンデマンドテーブル演算器44と、切替器46とを備えている。乗算器38は回転数指令Nに所定の係数をかけて周波数指令fref を生成し、fランプ演算器40は周波数指令fの変化率を、目標速度算出部10から供給される周波数指令変化率制限値ramp_fよりも小さくする役割を有している。すなわちfランプ演算器40は、乗算器38から出力される周波数指令fref に追随するように、且つ、その変化率が周波数指令変化率制限値ramp_fよりも小さくなるように、周波数指令framp を生成する。
周波数指令framp の変化率の制限値は、周波数指令framp が増大される場合と減少される場合とで異ならせることも可能である。この場合、目標速度算出部10は、それぞれの場合に対応する一組の周波数指令変化率制限値ramp_fを周波数指令生成部32に供給する。すべりリミット演算器42は、fランプ演算器40から出力される周波数指令fref に追随するように、且つ、すべりsを−sDEC以上sACC以下に保つように周波数指令flim を生成する。
オンデマンドテーブル演算器44は、操作手段に応答して生成される信号SPSの活性化されて以後の経過時間と、出力されるべき周波数指令fとの対応を記述したテーブルを備えており、操作手段に応答して生成される信号SPSが活性化された後の所定の期間の周波数指令fPS を生成する。切替器46は、操作手段に応答して生成される信号SPSに応答して、すべりリミット演算器42によって生成された周波数指令flim と、オンデマンドテーブル演算器44によって生成された周波数指令fPS の一方を、最終的に生成されるべき周波数指令fとして選択する。切替器46は、操作手段に応答して生成される信号SPSが活性化されていない場合には周波数指令flim を周波数指令fとして選択し、操作手段に応答して生成される信号SPSが活性化されている場合には周波数指令fPS を周波数指令fとして選択する。
図4はすべりリミット演算器の機能ブロック図である。すべりリミット演算器42は、回生側すべり許容値生成器48と、力行側すべり許容値生成器50と、減算器52と、加算器54と、リミッタ56とを備えている。
回生側すべり許容値生成器48は、1クロック周期前の周波数指令fから回生側のすべりsの許容値sDEC(>0)を生成する。回生側すべりsの許容値sDECは、周波数指令fに対して単調に増加するように生成される。同様に力行側すべり許容値生成器50は、1クロック周期前の周波数指令fから力行側のすべりsの許容値sACC(>0)を生成する。力行側のすべりsの許容値sACCも、周波数指令fに対して単調に増加するように生成される。すべりsの許容範囲の最小値は−sDECであり、最大値はsACCであるから、すべりsの許容範囲は、インバータ20が出力する3相交流電力の周波数の増大とともに広くなる。
減算器52は、誘導モータ12の回転周波数fから回生側のすべりsの許容値sDECを減じることによって、周波数指令fの許容最小値fmin を生成する。同様にして加算器54は、誘導モータ12の回転周波数fから回生側のすべりsの許容値sACCを減じることによって周波数指令fの許容最大値fmax を生成する。
リミッタ56は、周波数指令flim が周波数指令framp を追随しつつ、許容最小値fmin 以上、許容最大値fmax 以下の値をとるように、周波数指令flim を生成する。より詳細には、fランプ演算器40から出力される周波数指令fref が許容最小値fmin 以上、許容最大値fmax 以下である場合には、周波数指令fref をそのまま周波数指令flim として出力する。一方、周波数指令fref が許容最小値fmin よりも小さい場合、リミッタ56は、許容最小値fmin を周波数指令flim として出力する。更に、周波数指令fref が許容最大値fmax よりも大きい場合には、リミッタ56は、許容最大値fmax を周波数指令flim として出力する。
このようにして周波数指令flim を生成することにより、周波数指令fは、最終的に、すべりsが許容範囲内(即ち、最小値−sDEC以上、最大値sACC以下の範囲)になるように生成される。すなわちこの図3、図4に示されているように周波数指令生成部32を構成することにより、すべりsがある許容範囲内になるように周波数指令fを生成でき、VVVF制御を採用しながら負荷の変動に対応した制御ができるわけである。さらにすべりsのとり得る範囲が、インバータ20が出力する3相交流電力の周波数に応じて最適に調整されるから、操作手段の操作によって負荷が増加しても、速やかに周波数指令fが増大されるように周波数指令fを生成することができる。
電圧指令生成部34は、前記したように周波数指令fから、VVVF制御によって電圧指令Vを生成する機能を有している。ただし図3に示されているように、この電圧指令生成部34は、一般的なVVVF制御とは異なって周波数指令fと電圧指令Vとの対応関係が、すべりsに応じて可変であるように電圧指令Vを生成する。すべりsの大きさ(即ち、すべりsの絶対値)が大きい場合には、周波数指令fと電圧指令Vとの比V/fが増大される。逆に、すべりsの大きさが小さい場合には、比V/fが減少される。
加えてこのように制御することで、誘導モータ12としてすべりが0である場合の励磁電流が、すべりがある場合の励磁電流より大きくなる特性を有する誘導モータ、すなわち過励磁特性を有する誘導モータを採用可能にすることができる。一般的に、誘導モータ12の容積を小さくすると充分なインダクタンスを取ることができないため、誘導モータ12が過励磁特性を有するようになってしまうが、このような誘導モータを通常のVVVF制御で制御しようとすると、すべりが小さいにも拘わらず大きな電流で制御することを余儀なくされ、誘導モータの駆動力発生効率が著しく低下する。
しかし、前記した形態の制御を行うと、すべりsの大きさが大きい場合に周波数指令fと電圧指令Vとの比V/fが増大されるため、すべりが小さいときには小さな電流で、すべりが大きいときには大きな電流で制御するという関係を維持することができる。従って、誘導モータ12が過励磁特性を有する場合でも、誘導モータ12の駆動力発生効率が顕著に低下することを防ぐことができる。
電圧指令生成部34は、高負荷用テーブル部58と、無負荷用テーブル部60と、補間演算器62と、一次遅れフィルタ64と、切替器66と、オーバーライド値発生部68と、Vランプ70とを備えている。
高負荷用テーブル部58は、前記概略で述べた高温環境においても必要なトルクが得られるよう、高温環境において誘導モータ12を規定の回転数で運転し、規定のトルクを出すような電圧指令Vと一次角周波数指令θとを計測して、それを必要な回転数分だけ繰り返し、電圧指令Vと一次角周波数指令θとを対応づけたテーブルである。すなわちこのテーブルは、高温環境において誘導モータ12の負荷が最も高い場合に出力されるべき電圧指令VMAX と周波数指令fとの対応関係を示すテーブルであり、当該高負荷用テーブルを用いて電圧指令VMAX が生成される。同様に無負荷用テーブル部60は、誘導モータ12の負荷が最も低い場合(即ち、無負荷時)に出力されるべき電圧指令VMIN と周波数指令fとの対応関係を示すテーブルである。高負荷用テーブルと低負荷用テーブルは、高負荷用テーブルにおいて、同一の周波数指令fに対応付けられている高負荷用テーブルの電圧指令VMAX が、低負荷用テーブルの電圧指令VMIN よりも大きくなるように決められている。
補間演算器62は、オーバーライド値発生部68から供給されるオーバーライド値α(s)を用い、補間演算を行って電圧指令VINT を生成する。後述されるように、オーバーライド値α(s)は、すべりsの絶対値の増大とともに増加する、0以上1以下の値である。より具体的には、補間演算器62は、下記式に従って電圧指令VINT を生成する。
INT =α(s)VMAX +{1−α(s)}VMAX
このようにして決定された電圧指令VINT は、すべりsの増大とともに増大し、これは、比V/fもすべりsの増大とともに増大されることを意味している。
一次遅れフィルタ64と、切替器66とオーバーライド値発生部68とは、すべりsに応じてオーバーライド値α(s)を生成するための機能ブロックである。すべりsは一次遅れフィルタ64に供給され、切替器66は、すべりsの変化に応じてすべりsそのものと、一次遅れフィルタ64の出力のうちの一方をオーバーライド値発生部68に供給する。詳細には切替器66は、すべりsの絶対値が増大しているときに一次遅れフィルタ64の出力をオーバーライド値発生部68に供給し、すべりsの絶対値が減少しているときにはすべりsをそのままオーバーライド値発生部68に供給する。切替器66からオーバーライド値発生部68に供給される値は、以下、すべりs’と記載され、オーバーライド値発生部68は、すべりs’とオーバーライド値α(s)との間の対応関係を記述したテーブル(又は、関数)を有しており、そのテーブル(又は、関数)を用いてオーバーライド値α(s)を生成する。
Vランプ70は、補間演算器62から出力される電圧指令VINV に追随し、且つ、その変化率が所定の変化率よりも小さくなるよう、最終的に出力されるべき電圧指令Vを生成する。電圧指令Vの変化率が抑制されていることは、あまりにも急激に誘導モータ12のトルクが変動することを防止する。電圧指令Vの変化率の制限値は、電圧指令Vが増大される場合と、減少される場合とで異なることも可能である。
このように構成された電圧指令生成部34は、周波数指令fと電圧指令Vとの対応関係が、すべりsに応じて可変であるように電圧指令Vを生成していることで、負荷が変動しても対応が可能となる。また、周波数指令fと電圧指令Vとの比V/fが、すべりsの増大とともに増大するように電圧指令Vを生成しているので、過励磁特性を有する誘導モータ12を採用しても対応が可能であり、誘導モータ12の小型化を実現することができる。
このように誘導モータ12を制御することで、前記したように周波数指令fがすべりsに応じて生成されていることと、電圧指令Vもすべりsに応じて可変であるように生成されていることにより、負荷が増大して誘導モータ12のすべりsが増大した場合も、周波数指令f、電圧指令Vはすべりsが所定範囲内に収まるように制限されるから、負荷の変化に対処できるわけである。
次に図2のフロー図を用い、本発明の誘導モータ制御方法について説明する。前記したように本発明の誘導モータ制御方法では、高温環境においても必要なトルクが得られるように、高温環境において誘導モータ12を規定の回転数で運転し、規定のトルクを出すような電圧指令Vと一次角周波数指令θとを計測し、それを必要な回転数分だけ繰り返して電圧指令Vと一次角周波数指令θとからなる、高負荷用テーブル部58、無負荷用テーブル部60を作成してVVVF制御部14に記憶させておく。
そのためステップS10で処理が開始されると、前記図1の目標速度算出部10が、例えばフォークリフトなどの操作手段や、誘導モータ12で駆動される荷役装置や操作手段を駆動する油圧ポンプなどからの信号を元に、誘導モータ12の回転数の目標値である回転数指令N、周波数指令変化率制限値ramp_f、操作手段に応答して生成される信号SPSをVVVF制御部14に送る。そのためVVVF制御部14は、高負荷用テーブル部58、無負荷用テーブル部60を参照し、電圧指令Vと一次角周波数指令θとを電圧指令変換部16に送り、この電圧指令変換部16で三相の電圧指令、すなわちu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v に変換する。そしてPWM制御部18が、これらu相電圧指令v 、v相電圧指令v 、w相電圧指令v からPWM信号SPWMを生成してインバータ20で指令された電圧を生成して誘導モータ12を駆動する。
そしてこのとき、電圧・周波数指令補正値演算部24は、ステップS12に記したように、電流センサ26u、26v、26wが測定した誘導モータ12に流れる電流値の信号を受け取る。そして電圧・周波数指令補正値演算部24は、ステップS14でまずこの受け取った誘導モータ12に流れる電流値と電流値制御戻し閾値(制御を戻す閾値)とを比較し、電流値が電流値制御戻し閾値より小さければステップS24に、大きければステップS16に進む。
今、電流値が電流値制御戻し閾値より大きくてステップS16に進んだとすると、電圧・周波数指令補正値演算部24は、ステップS16でさらにこの電流値が電流値制御開始用閾値(制御開始閾値)を越えているか否かを判断し、越えていない場合はステップS34に、越えている場合はステップS18に進む。
そしてステップS18で電圧・周波数指令補正値演算部24は、前記図4で説明したVVVF制御部14における周波数指令生成部32のすべりリミット演算器42を用いて、一次角周波数指令θの下げ量が一次角周波数指令θを低減できる限界の周波数、すなわち一次角周波数指令θの低減で前記誘導モータ12のすべりが所定値以上になっているか否かを判断し、所定値以上である場合はステップS20に、所定値を越えていない場合はステップS22に進む。
ステップS22に進んだ場合は前記したように、一次角周波数指令θを低減する値を算出し、ステップS32で、周波数の下げ量が0〜100%の間にあるかどうかを調べ、問題なければステップS34を通過し、ステップS36で前記ステップS22で算出した一次角周波数指令θの下げ量を図1の加算器30に送り、一次角周波数指令θを低減する。すると誘導モータ12の特性により、流れる電流が少なくなるから、インバータの容量オーバーの心配は少なくなる。
一方、ステップS18で一次角周波数指令θの下げ量が一次角周波数指令θを低減できる限界の周波数、すなわち一次角周波数指令θの低減で前記誘導モータ12のすべりが所定値以上になっている、と判断された場合はステップS20に進み、今度は電圧指令Vを低減する下げ量を算出する。そしてステップS30で電圧下げ量が0〜100%の間にあるかどうかを調べ、問題なければステップS34で電圧下げ量を図1の乗算器28に送り、電圧指令Vを低減させる。このとき、ステップS36は通過するだけである。
こうして一次角周波数指令θ、電圧指令Vの値が低減されたらステップS38に進み、誘導モータ12がまだ駆動されているか否かを判断し、駆動されている場合はステップS12に戻り、駆動を終了している場合はステップS40で終了する。
一方、ステップS14で誘導モータ12に流れる電流値と電流値制御戻し閾値(制御を戻す閾値)とを比較した結果、電流値が電流値制御戻し閾値より小さい場合はステップS24に進み、現在、電圧下げを行っているか否かを判断する。電圧下げを行っている場合はステップS28に進んで電圧指令Vの値が増加するよう、すなわち電圧下げ量を減らし、行っていない場合はステップS26で一次角周波数指令θの値が増加するよう、すなわち周波数下げ量を減らす。そして前記したようにステップS30で電圧下げ量リミッタ処理を、ステップS32で周波数下げ量リミッタ処理を実施し、ステップS34では増加させた電圧下げ量を図1の乗算器28に、ステップS36では一次角周波数指令θを増加させた周波数下げ量を図1の加算器30にそれぞれ送り、一次角周波数指令θ、電圧指令Vの値を増加させる。以下の処理は前記したとおりである。
このようにすることで、複雑なアルゴリズムやコストアップとなる大容量の素子を用いたりせず、また、正確に測定するのが難しいモータの温度による制御や、トルク特性が悪化する電流増加に合わせて電圧を下げる方法、電流増加に合わせて一次角周波数指令θを下げることで過励磁現象により電流が急激に大きくなる心配のある方法、などを用いずに、モータのトルク特性を大きく損なうことなくインバータの電流制限ギリギリまで出力を使うことができ、それにもかかわらずモータの温度が変わることで変化する内部抵抗により、大電流が流れてインバータ容量をオーバーしてしまったり、電流が抑制されてトルク不足が生じ足りするのを防ぐことのできる誘導モータ制御方法と装置とすることができる。
本発明によれば、モータ温度が変化しても出力変動を抑える事ができて一定の操作感覚を維持しながら、インバータ容量を最大まで使うことができ、しかも安価な誘導モータ制御方法と装置を提供することができる。
VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御を用いた本発明の誘導モータ制御方法を実施する、誘導モータ制御装置のブロック図である。 本発明の誘導モータ制御方法のフロー図である。 VVVF制御部の機能ブロック図である。 すべりリミット演算器の機能ブロック図である。
符号の説明
10目標速度算出部
12誘導モータ
14VVVF制御部
16電圧指令変換部
18PWM制御部
20インバータ
22回転数計算装置
24電圧・周波数指令補正値演算部
26u、26v、26w電流センサ
28乗算器
30加算器
32周波数指令生成部
34電圧指令生成部
36一次角周波数指令生成部
38乗算器
40fランプ演算器
42すべりリミット演算器
44オンデマンドテーブル演算器
46切替器
48回生側すべり許容値生成器
50力行側すべり許容値生成器
52減算器
54加算器
56リミッタ
58高負荷用テーブル部
60無負荷用テーブル部
62補間演算器
64一次遅れフィルタ
66切替器
68オーバーライド値発生部
70Vランプ

Claims (4)

  1. 3相電力を生成するインバータにより駆動する誘導モータの負荷に応じたトルクに対応する目標速度を算出し、該目標速度と前記誘導モータの回転数とによって一次角周波数指令を生成してVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)により電圧指令を生成し、前記3相電力の周波数と前記誘導モータの回転周波数との差で定義されるすべりを所定範囲内に保つ制御を行ないながら、前記一次角周波数指令と電圧指令とに基づいて前記インバータを制御して前記誘導モータを駆動する誘導モータ制御方法において、
    予め、環境温度によって変化する誘導モータ内部抵抗が高い状態で規定トルクが得られる電圧と一次角周波数指令とからなる電圧・一次角周波数テーブルを用意すると共に、前記誘導モータに流れる3相電流が誘導モータを駆動するインバータ容量をオーバーする電流値を電流値制御開始用閾値とし、必要トルクが得られなくなる3相電流を電流値制御戻し閾値としてそれぞれ記憶し、
    前記電圧・一次角周波数テーブルに基づいてVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)により電圧指令と一次角周波数指令を出力して前記誘導モータを駆動すると共に、前記誘導モータに流れる3相電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で前記一次角周波数指令を低減させ、該一次角周波数指令が低減限界に達した状態で前記電圧指令を低減させて前記3相電流を抑制し、前記3相電流測定結果が前記電流値制御戻し閾値を下回った状態で、前記電圧指令、一次角周波数指令の順で増加させて駆動することを特徴とする誘導モータ制御方法。
  2. 前記3相電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で低減する前記一次角周波数指令と電圧指令の切換は、前記一次角周波数指令の低減で前記誘導モータのすべりが所定値になった状態でおこなうことを特徴とする請求項1に記載した誘導モータ制御方法。
  3. 3相電力を生成するインバータにより駆動される誘導モータと、該誘導モータの負荷に応じたトルクに対応する目標速度を算出する目標速度算出部と、該目標速度算出部からの目標速度と前記誘導モータの回転数とに基づき、一次角周波数指令を生成する周波数指令生成部、及び該周波数指令生成部からの一次角周波数指令を受けてVVVF制御(Variable Voltage Variable Frequency)により電圧指令を生成する電圧指令生成部を有し、前記3相電力の周波数と前記誘導モータの回転周波数との差で定義されるすべりを、所定範囲内に保つ制御を行うVVVF制御部と、該VVVF制御部からの電圧指令と一次角周波数指令とを受け、前記インバータへ供給する3相電力の電圧指令を出力する電圧指令変換部と、該電圧指令変換部からの3相電圧指令を受け、前記インバータを制御するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するPWM制御部とを有する誘導モータ制御装置において、
    前記電圧指令生成部は、予め環境温度によって変化する誘導モータ内部抵抗が高い状態で規定トルクが得られる電圧と一次角周波数指令とからなる電圧・一次角周波数テーブルに基づいて電圧指令を生成するよう構成され、前記インバータから誘導モータへ送られる電流を検知する電流検知手段と、前記インバータに許容される最大電流を閾値とした電流値制御開始用閾値と、制限した電流を戻す電流値制御戻し閾値とを記憶し、前記電流検知手段の検知した誘導モータ駆動電流が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で前記VVVF制御部が出力した一次角周波数指令を低減し、該一次角周波数指令が低減限界に達した状態で、前記VVVF制御部が出力した電圧指令の電圧値を低減させ、前記誘導モータ駆動電流が前記電流値制御戻し閾値を下回った状態で電圧指令、一次角周波数指令の順で低減を元に戻す制御を行う電圧・周波数指令補正値演算部と、を有していることを特徴とする誘導モータ制御装置。
  4. 前記電圧・周波数指令補正値演算部は、前記誘導モータ駆動電流の測定結果が前記電流値制御開始用閾値を越えた状態で低減する前記一次角周波数指令と電圧指令の切換を、前記一次角周波数指令の低減で前記誘導モータのすべりが所定値になった状態でおこなうことを特徴とする請求項3に記載した誘導モータ制御装置。
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