JP5202023B2 - 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法 - Google Patents

水素発生材料および該水素発生材料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5202023B2
JP5202023B2 JP2008038550A JP2008038550A JP5202023B2 JP 5202023 B2 JP5202023 B2 JP 5202023B2 JP 2008038550 A JP2008038550 A JP 2008038550A JP 2008038550 A JP2008038550 A JP 2008038550A JP 5202023 B2 JP5202023 B2 JP 5202023B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
fine particles
hydrogen
water
generating material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008038550A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009196835A (ja
Inventor
正夫 渡辺
Original Assignee
株式会社 ハイドロデバイス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社 ハイドロデバイス filed Critical 株式会社 ハイドロデバイス
Priority to JP2008038550A priority Critical patent/JP5202023B2/ja
Publication of JP2009196835A publication Critical patent/JP2009196835A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5202023B2 publication Critical patent/JP5202023B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は一般に、固体材料微粒子を使用して水分子を分解し純粋な水素ガスを製造するための水素発生材料および該水素発生材料の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金を特殊な方法で摩擦粉砕し、活性化処理した活性アルミニウム微粒子によって形成される、“何時でも、何処でも”簡易に安全かつ安価な水素ガスの提供を可能にする水素発生材料および該水素発生材料の製造方法に関する。本発明の技術は、特に固体高分子型燃料電池に水素ガスを供給するための技術として有用である。また、本発明の技術は、燃料電池に限らず、局所的又は少量の水素ガスの利用の技術としても有用であり、さらに、水分子から大量の水素ガスを製造するための技術としても有用である。
固体高分子型燃料電池は、燃料として水素ガスを使用する。燃料電池に必要なガスを生産し、供給する方法として、従来より、アルコール、天然ガス、ガソリン等の有機分子等を分解する方法等が検討されている。これらの方法は、大量生産に適しているという利点を有しているが、数百°Cでの水素化処理を必要とする、CO2 や炭素等の副生成物が生成される、大規模施設や熱源等を必要とする、等の問題がある。また、太陽光を利用して低温で水分子を分解する光触媒法は優れた方法であるが、光を受ける広い面積が必要である、水素生成が遅い、等の問題がある。
携帯型の小型固体高分子型燃料電池では、水素ガスをどのように確保するかが重要な技術課題である。携帯型燃料電池を動作させるとき、常温において少なくとも1ミリリットル/sec(3.6リットル/h)の水素ガスの供給が必要となる。この目的のためには、発電が必要なときに必要量の水素ガスを製造できることが重要である。携帯型燃料電池の実用化においては、多量の水素ガスをボンベ等に詰めて持ち歩くことは、安全性の観点からも適切ではない。
携帯型燃料電池用の水素発生方法としては、燃料電池の水素電極に直接メタノールを注入することによって、メタノールと水を分解反応させて水素ガスを炭酸ガスを得る直接メタノール型燃料電池が検討されている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、携帯型燃料電池に室温で水素ガスを供給する方法として、水とアルミニウムを反応させて水素ガスを発生させる方法がある。例えば、アルミニウム粉末と、これよりイオン化傾向の小さい金属粉末を混合した粉末に水を供給して水を分解させることにより、水素を発生させる方法、活性化処理されたアルミニウム微粒子で水を分解し水素を発生させる方法が検討されている(特許文献3、特許文献4参照)。
特開2002−270209号公報 特開2001−143714号公報 特開2002−104801号公報 特開2004−231466号公報
しかしながら、上述の直接メタノール型燃料電池では、メタノールが電解質膜を透過する、200°Cのメタノール分解の触媒温度が必要である、等の問題があり、実用化するには数多くの技術課題が残されている。また、携帯型燃料電池においては燃料電池の動作、水素ガスの供給が低温(室温)であることが要求されるため、直接メタノール型燃料電池では、満足すべき携帯型燃料電池の燃料となる水素ガスを製造するのが難しいのが実情である。
一方、上述のアルミニウムを用いた水素ガス発生方法では、水との反応を開始させる際、水素ガスの発生までに時間がかかるうえ、反応により生ずる水素ガスの発生量が理論値と比較して十分とは言えず、多くの改善すべき点がある。
本発明は、このような現状に鑑みて開発されたものであって、固体高分子型燃料電池の燃料となる水素ガスを、水の分解により、室温で短時間に効率的に発生させることができる水素発生材料および該水素発生材料の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、アルミニウム又はアルミニウム合金を水中において低温で微粒子化し、活性化処理した後に乾燥させることにより得たアルミニウム微粒子が、室温において水と反応して短時間に効率良く水素ガスを発生することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水素発生材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金を10°C以下の水の中で摩擦粉砕し、得られた微粒子を、水を含む状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させた後に乾燥することを特徴としている。
このようにして得られたアルミニウム微粒子(以下「活性アルミニウム微粒子」という)は、直径がナノスケールの亀裂(クラック)が内部に密に分布しており、亀裂の周辺にアルミニウム水素化物(AlH3 )が蓄積した状態にある。換言すると、活性アルミニウム微粒子とは、内部にアルミニウム水素化物が蓄積されたアルミニウム又はアルミニウム合金の微粒子である。活性アルミニウム微粒子の亀裂の先端では、水分子が分解され、水素化物が形成される。通常、水分子はイオン性が強く、イオン化機構により分解する考えられている(H2 O → H+ +OH- )。しかし、亀裂先端のナノの細部には液体の水は存在せず、水和によるイオンの安定化は起こらない。亀裂先端への水分子の拡散は、亀裂壁面上の表面拡散により1分子ずつ移動すると考えられる。
亀裂先端における水分子分解の化学反応は、式(1)で表され、水素化物が生成され、それが蓄積する。
2Al+H2 O+H(a) → AlH3 +AlO (1)
式(1)の反応は、活性アルミニウム微粒子の亀裂先端(応力集中点で、アルミニウム原子の配列が乱れている)で生ずる特殊な水分子分解の反応であり、亀裂内表面では吸着水素H(a)および表面酸化物AlOの存在が必要である。水中での摩擦粉砕と活性化の過程では、式(1)の反応が進行する。
活性化処理後、乾燥した活性アルミニウム微粒子は、常温で水と接触させることにより、式(1)の反応と同時に式(2)の反応を起こし、水が分解される。
AlH3 +AlO+2H2 O → Al23 +3H2 +H(a) (2)
したがって、活性アルミニウム微粒子による水分子分解と水素生成の全反応は、式(3)により表され、イオン反応機構ではなくラジカル反応機構により理解される。
Al+(3/2)H2 O → (1/2)Al23 +(3/2)H2 (3)
以上をまとめると、水分子を分解してアルミニウム水素化物を生成して活性アルミニウム微粒子を製造し、乾燥させて保存する。次いで、活性アルミニウム微粒子に水を供給し、亀裂内部のアルミニウム水素化物と水とを反応させることにより水素を製造する。活性アルミニウム微粒子は、粒径が5μm以下であり、その表面近傍および内部に多数の亀裂(長さがマイクロメートル又はサブマイクロメートルのオーダー、直径がナノメートルのオーダー)が存在することから、その比表面積が200m2 /g以上である。この水素発生材料は、乾燥された粉体であり、通常、窒素ガスに封入されて保存、運搬される。なお、活性アルミニウム微粒子の材料として、アルミニウム合金を使用しても、水素発生能は、純粋アルミニウムを使用した場合とほぼ同等である。その理由は、アルミニウム合金中の混合元素がアルミニウム母金属中に微粒子となって存在する、いわゆる析出型合金であり、アルミニウム金属は基本的に純粋な状態を保持するからである。合金化のために添加される添加元素は、水素発生能に関して重要ではないが、微粒子化の効率を上げるのに重要な役割を果たす。
本願請求項1に記載の、水を分解して水素を発生する水素発生材料は、10°C以下の水中で摩擦粉砕されたアルミニウム又はアルミニウム合金の微粒子を、含水状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させ乾燥させてなることを特徴とするものである。
本願請求項2に記載の水素発生材料は、前記請求項1の水素発生材料において、前記アルミニウム合金が、アルミニウム−ケイ素系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素系合金、又はアルミニウム−リチウム系合金であることを特徴とするものである。
本願請求項3に記載の水素発生材料は、前記請求項1又は2の水素発生材料において、前記微粒子の粒径が5ミクロン以下、比表面積が200m2 /g以上であり、その表面近傍および内部に、マイクロメートル又はサブマイクロメートルのオーダーの長さ、ナノメートルのオーダーの直径を有する亀裂が分布しており、前記亀裂の内部に、アルミニウム水素化物を含有することを特徴とするものである。
本願請求項4に記載の水素発生材料の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金を10°C以下の水中で摩擦粉砕してアルミニウム微粒子を得る工程と、前記アルミニウム微粒子を含水状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させて乾燥させる工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の水素発生材料および水素製造方法によれば、室温で速やかに水と反応し、短時間に効率的に水素を発生させることができる。したがって、本発明によれば、常温で動作する固体型高分子燃料電池、とりわけ携帯型の小型燃料電池に対して、簡易かつ安全に水素ガスを供給することが可能になる。
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る水素発生材料およびその製造方法について説明する。図1は、活性アルミニウム微粒子の製造工程および水分子分解反応の機構を示した模式図である。本発明の好ましい実施の形態に係る水素発生材料は、10°C以下の水中で摩擦粉砕されたアルミニウム又はアルミニウム合金の微粒子を、含水状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させ、次いで乾燥させてなるものである。
活性アルミウニム微粒子は、アルミニウム又はアルミニウム合金を特殊な微粒子製造装置により水中でミクロン/ナノサイズの微粒子になるように摩擦粉砕することによって製造される。微粒子化の過程において微粒子の表面の一部のAl原子が水と反応して水素を生成することが観測される。これを最小限にするために、水中での微粒子の製造は、出来るだけ低温に保持する必要がある。通常、微粒子の製造は、10°C以下の低温で実施されるが、0°C近傍で実施するのがより好ましい。摩擦粉砕の過程で生ずる熱を吸収するためにも、氷水中で粉砕し、粉砕機を冷却するのが好ましい。図2は、微粒子製造時の温度が水素発生能に与える影響を示したものである。図2から、より低温で製造した場合(この場合、5°C)の方が水素発生能が良好な微粒子となることが分かる。
摩擦粉砕は、アルミニウム又はアルミニウム合金を水中で所定の大きさに微粉化し、微粉内部に亀裂を生じせしめる装置であればよく、たとえば、花崗岩からなる回転研磨盤と、回転研磨盤の下面に位置する固定研磨盤とを備え、回転研磨盤と固定研磨盤との間の研磨面が摩擦粉砕作業時に常に水中に存在するように構成された装置が使用される。
このようにして製造されたアルミニウム微粒子は、その内部における亀裂の成長、分布およびアルミニウム水素化物の蓄積を十分に行うために、活性化処理(熟成)が行われる。アルミニウム微粒子は、亀裂の成長を促進させるために、5°C〜50°Cの温度で水中に保持される。この保持時間は、上記温度範囲内の低温域では長く(数10時間)、高温域では短い(数分)が、短時間にするように工夫する必要がある。
図3は、活性化処理の有無による水素発生量の相違を示したグラフである。図3から、活性化処理した場合の方が水素発生能が良好な微粒子となることが分かる。また、図4は、活性化処理によるアルミニウム微粒子内の亀裂の成長の様子を模式的に示した図である。亀裂の成長、分布に比例してアルミニウム水素化物の分布が密になり、1μm程度の細かいアルミニウム微粒子は、機械的破壊のみでも亀裂の成長が全体に及ぶ。
活性化アルミニウム微粒子は、直ちに乾燥して、真空パックし或いは窒素ガス中に保管するのがよい。乾燥方法としては、常温以下で実施できるのであれば任意の方法でよいが、処理中の性能劣化を抑えるために、凍結乾燥法を用い、−40°Cから−20°Cの温度で水を取り除くのが好ましい。
アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム−ケイ素系、アルミニウム−マグネシウム系、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素系、又はアルミニウム−リチウム系などの実用合金が好ましく、たとえば、日本工業規格(JIS)呼称4043等の4000系合金、同5000、同5052等の5000系合金、同6061、同6063等の6000系合金等が用いられる。これらのアルミニウム合金は、純粋アルミニウムよりも硬い材料であるので、摩擦・粉砕により、より細かい微粒子に粉砕されるとともに、形成された微細な亀裂内部に水分子が滲み込み易いため、亀裂が発達し易く、かつ、亀裂内部で水分解反応による水素化アルミニウムの蓄積が進行し易い。また、上述の添加元素のうち、マグネシウムとリチウムは、それ自身、水分子を分解する能力があるので、水素生成に幾分かの役割を期待することもできる。
また、アルミニウム合金として、アルミニウム合金を製造する際に排出される切削屑材(ビレット)、自動車用エンジン、ホイール等の製造時に排出されるアルミニウム合金切削屑材(カール)、又は使用済みアルミフォイル等のアルミニウム廃材を用いることも有益である。これらのいずれも析出型合金であり、純粋アルミニウム金属に合金元素が微粒子で点在する硬化型合金であるので、活性アルミニウム微粒子の材料として好適である。これらのアルミニウム廃材の表面は、オイル等で汚染されている場合が多いので、摩擦粉砕前に有機洗剤により汚染オイルを取り除くのが好ましい。また、カール等の寸法が大きくて粉砕しにくい場合には、摩擦粉砕前に予め1mm程度以下に裁断するのが好ましい。
水中で粉砕された活性アルミニウム微粒子は、内部に密な亀裂が分布しているので、その表面積は、通常のアルミニウム微粒子と比較して、大きな値を示す。摩擦粉砕工程で2μm以下に粉砕した後、活性化処理をし、乾燥させたアルミニウム微粒子は、その表面近傍および内部に、マイクロメートル又はサブマイクロメートルのオーダーの長さ、ナノメートルのオーダーの直径を有する亀裂が分布しているため、その比表面積が200m2 /g以上であり、また、亀裂内にアルミニウム水素化物を含むため、水との反応が速やかに起こり、活性アルミウニム微粒子の内部まで反応が進行し、アルミニウムが全て消費され尽くすまで水素が発生する。図5は、BET法による比表面積と平均微粒子サイズとの関係を示したものである。
(切削アルミニウム屑材(カール)およびアルミニウムフォイルを使用したアルミニウム微粒子の製造)
アルミニウム合金(6000番系)を使用した自動車エンジン製造の切削アルミニウム屑材(カール)を原料として、活性アルミウニム微粒子を製造した。この合金は、やや硬く、脆い合金であるので、微粒子化し易い。原料は、厚さ0.3mm程度、長さ4cm程度の細長いアルミウニム屑であるので、一旦1mm程度のフレイク状に砕き、洗浄した後、水中において摩擦、粉砕を実施した。このようにして得られたアルミニウム微粒子は、4μm〜20μmに粒子分布した微粒子であった。この微粒子を活性化処理した後、水との反応性が如何に強いかを示す実験を、他のアルミニウム材と比較して行った。比較対象として、アトマイズ法により製造された高純度アルミニウム微粒子(数ミクロンサイズ)および粉砕したアルミニウム屑材(カール)を選定した。比較対象の2種類のアルミニウム材は水との反応性が弱いので、反応を加速させるため、1モルのNaOH水溶液中で水素生成の実験を行った。図6は、その結果を示したものである。図6を見ると、活性アルミウニム微粒子の初期水素発生速度は、高純度アルミニウム微粒子の10倍にも達することが分かる。
一方、純粋アルミニウムに近いアルミニウムフォイル(厚さ10μm〜20μm)に水中で打撃を加え、圧縮、摩擦により粉砕してアルミニウム微粒子を製造した。アルミニウム微粒子は、カールを原料とした場合と異なり、厚さが5μm〜10μm、幅が30μm〜50μmのフレイク状である。このアルミニウム微粒子は、カールを原料とした微粒子よりも水素発生速度が遅いため、水素発生を長く継続させようとする場合に有用である。
(活性化処理の効果)
4000番系および6000番系のアルミニウム合金切り子材を使用して、活性アルミニウム微粒子を製造した。チェインソウによる切り屑(ビレット)は1mm〜2mmのフレイクであり、洗浄した後、水中で摩擦、圧縮により粉砕して3μm程度の微粒子を製造した。このアルミニウム微粒子は、微粒子化したままでは、水素発生能が十分ではない。その理由は、図4に示されるように、微粒子の内部にマイクロサイズ/ナノサイズの亀裂の成長が不十分であるからである。亀裂成長(高密度化)のために、5°C〜10°Cに保持し、さらに、45°C〜55°Cに加温して熱処理活性化を行った。これらの処理により、水素発生速度および水素発生量が大幅に向上することが確認された。数十時間5°Cに保持することにより得られる効果と比較して、50°Cに熱処理することにより得られる効果は、数倍になることが分かった。
(微粒子サイズと水素発生能)
図7は、アルミニウムビレット屑材を使用して製造した2種類の活性アルミニウム微粒子(平均2μmと平均6μm)の水素発生能を比較した結果を示したものである。これらの水素発生能の相違は、表面積の違いによる微粒子亀裂への水分子の侵入速度および亀裂の密度の違いによるものと理解される。
(製造条件による性能の相違)
活性アルミニウム微粒子を、石臼型の摩擦粉砕式微粒子製造機により水中で製造した。その際、冷却剤により製造(粉砕)時の温度を制御し、20°Cと50°Cでそれぞれ製造した。図2は、活性アルミニウム微粒子を20°Cで製造した場合と50°Cで製造した場合の水素発生能を比較したものである。これらの水素発生能の相違は、微粒子製造中のアルミニウム原子と水分子との水素発生反応が低温では抑制されることに起因すると理解される。
(微粒子サイズと表面積、活性化処理と表面積)
活性アルミニウム微粒子は、図4に示されるように、その内部に亀裂が成長し、亀裂の周辺にアルミニウム水素化物が蓄積している。亀裂が成長(高密度化)し微粒子サイズが小さくなると比表面積が大きくなるが、それに比例して水素生成速度の向上が観測される。図5は、50°Cで活性化された活性アルミニウム微粒子のBET法(77Kにおける窒素ガスの吸着量)により測定した比表面積を示したものである。
(TDS測定結果(水素化物の存在、その量と発生速度))
活性アルミニウム微粒子からの水素の昇温脱離スペクトル(TDS)を測定することにより、活性アルミニウム微粒子の亀裂周辺におけるアルミニウム水素化物の存在の有無を観測した。本測定においては、ペレット化した活性アルミニウム微粒子0.5g程度を真空装置に入れ、温度を室温から500°Cまで徐々に上げながら、試料から放出される水素ガスをガスクロマトグラフ法により計測した。図8は、その結果を示したものである。この結果から、活性アルミニウム微粒子中に存在する水素の状態は複雑であり、2種の水素化物からの水素のみならず、亀裂表面の近傍にある水素(H(a))、結晶粒界にある水素(400°C近傍のピーク)が混在しているのが分かる。
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
本発明の技術は、当面の緊急課題である、(1)小型燃料電池用の水素源、および(2)緊急・災害時用の燃料電池システムへの水素の供給、を目的として開発された。これらのデバイスやシステムに水素を供給する方法が現状ではないので、本発明の技術は重要である。将来的には、本発明の技術を改善し拡張して、(3)離島や遠隔地における水素エネルギーの供給、(4)将来の水素ステーションへの水素の供給、等への活用が期待される。
活性アルミニウム微粒子の製造工程および亀裂内の水分子分解反応の機構を示した模式図である。 活性アルミニウム微粒子の微粒子製造時の温度による水素生成能の相違を示したグラフである。 アルミニウム微粒子の水素生成能に及ぼす活性化処理の効果を示したグラフである。 活性アルミニウム微粒子内の亀裂分布を説明するための模式図である。 活性アルミニウム微粒子のサイズとBET比表面積の関係を示したグラフである。 活性アルミニウム微粒子と他のアルミニウム材の水分解反応性を比較したグラフである。 活性アルミニウム微粒子のサイズの相違による水素生成能の相違を示したグラフである。 活性アルミニウム微粒子内の水素の状態を示したTDSスペクトルのグラフである。

Claims (4)

  1. 水を分解して水素を発生する水素発生材料であって、
    10°C以下の水中で摩擦粉砕されたアルミニウム又はアルミニウム合金の微粒子を、含水状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させ乾燥させてなることを特徴とする水素発生材料。
  2. 前記アルミニウム合金が、アルミニウム−ケイ素系合金、アルミニウム−マグネシウム系合金、アルミニウム−マグネシウム−ケイ素系合金、又はアルミニウム−リチウム系合金であることを特徴とする請求項1に記載の水素発生材料。
  3. 前記微粒子の粒径が5ミクロン以下、比表面積が200m2 /g以上であり、その表面近傍および内部に、マイクロメートル又はサブマイクロメートルのオーダーの長さ、ナノメートルのオーダーの直径を有する亀裂が分布しており、前記亀裂の内部に、アルミニウム水素化物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水素発生材料。
  4. 水素発生材料の製造方法であって、
    アルミニウム又はアルミニウム合金を10°C以下の水中で摩擦粉砕してアルミニウム微粒子を得る工程と、
    前記アルミニウム微粒子を含水状態で10°Cから50°Cの温度範囲で活性化させて乾燥させる工程と、
    を含むことを特徴とする方法。
JP2008038550A 2008-02-20 2008-02-20 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法 Expired - Fee Related JP5202023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008038550A JP5202023B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008038550A JP5202023B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009196835A JP2009196835A (ja) 2009-09-03
JP5202023B2 true JP5202023B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=41140783

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008038550A Expired - Fee Related JP5202023B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5202023B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011046111A1 (ja) * 2009-10-13 2011-04-21 Fukai Toshiharu 水素の製造方法及び水素の製造装置
CN102869605B (zh) * 2010-04-27 2016-07-06 深井利春 氢的制造方法
JP5764832B2 (ja) * 2011-03-16 2015-08-19 水素燃料開発株式会社 水素ガス発生方法及び装置
RU2473460C2 (ru) * 2011-04-26 2013-01-27 Федеральное государственное образовательное учреждение высшего профессионального образования "Национальный исследовательский ядерный университет "МИФИ" (НИЯУ МИФИ) Гидрореакционная композиция для получения водорода химическим разложением минерализованной и сточной воды
CN113788455B (zh) * 2020-11-06 2023-01-13 江苏清联光电技术研究院有限公司 一种卧式氢气发生器

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6582676B2 (en) * 2000-08-14 2003-06-24 The University Of British Columbia Hydrogen generation from water split reaction
JP2002069558A (ja) * 2000-09-05 2002-03-08 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 水素発生用燃料及び水素発生装置及び水素発生方法
JP2003003204A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Showa Denko Kk ニオブ粉の製造方法
JP4169217B2 (ja) * 2002-09-11 2008-10-22 株式会社 ハイドロデバイス 水素発生材料の製造方法
JP4674746B2 (ja) * 2004-08-05 2011-04-20 国立大学法人室蘭工業大学 活性化処理されたアルミニウム微粒子を使用した水素ガス発生方法
JP4427643B2 (ja) * 2004-08-27 2010-03-10 国立大学法人室蘭工業大学 活性化アルミニウム微粒子の乾燥及び保存方法
KR100934740B1 (ko) * 2005-07-20 2009-12-30 히다치 막셀 가부시키가이샤 수소발생재료 및 수소발생재료의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009196835A (ja) 2009-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2951821T3 (es) Composiciones nanogalvánicas a base de aluminio útiles para la generación de gas hidrógeno y correspondiente procesamiento a baja temperatura
JP4169197B2 (ja) 摩擦腐食反応を利用した水素ガス製造方法
JP4674746B2 (ja) 活性化処理されたアルミニウム微粒子を使用した水素ガス発生方法
JP5202023B2 (ja) 水素発生材料および該水素発生材料の製造方法
EP1905735B1 (en) Hydrogen-generating material and process for producing hydrogen-generating material
Duan et al. Synthesis of core-shell α-AlH3@ Al (OH) 3 nanocomposite with improved low-temperature dehydriding properties by mechanochemical mixing and ionic liquid treatment
Chen et al. Hydrogen generation from splitting water with Al–Bi (OH) 3 composite promoted by NaCl
Alasmar et al. Hydrogen generation from Nd-Ni-Mg system by hydrolysis reaction
Li et al. Enhanced hydrogen storage properties of LiAlH 4 catalyzed by CoFe 2 O 4 nanoparticles
Spassov et al. Hydrogen sorption properties of ball-milled Mg–C nanocomposites
JP2008156148A (ja) 水素発生方法
Wang et al. NH3 plasma synthesis of N-doped activated carbon supported Pd catalysts with high catalytic activity and stability for HCOOH dehydrogenation
Liu et al. Dense, three-dimensional, highly absorbent, graphene oxide aerogel coating on ZnCo2O4/ZnO particles exerts a synergistic catalytic effect for ammonium perchlorate thermal decomposition
Xu et al. High efficiency Al-based multicomponent composites for low-temperature hydrogen production and its hydrolysis mechanism
Lukashev et al. Effect of mechanical activation on the reaction of magnesium hydride with water
Rafi et al. An overview of hydrogen generation by hydrolysis of Al and its alloys with the addition of carbon-based materials
Vellingiri et al. Single-walled carbon nanotubes/lithium borohydride composites for hydrogen storage: role of in situ formed LiB (OH) 4, Li 2 CO 3 and LiBO 2 by oxidation and nitrogen annealing
JP2009132553A (ja) 水素貯蔵材料の製造方法及び水素発生方法
JP4853810B2 (ja) 水素貯蔵材料およびその製造方法
ZHANG et al. Effect of LaFeO3 on hydrogenation/dehydrogenation properties of MgH2
Wagner et al. Enhancing the Combustion of Magnesium Nanoparticles via Low-Temperature Plasma-Induced Hydrogenation
Huang et al. Study of reactions of activated Mg-based powders in heated steam
Rajabpour et al. The synergistic effect of catalysts on hydrogen desorption properties of MgH 2–TiO 2–NiO nanocomposite
Stoyadinova et al. Influence of Milling Conditions on the Hydriding Properties of Mg‐C Nanocomposites
Sun et al. Sodium Alanate Dehydrogenation Properties Enhanced by MnTiO3 Nanoparticles

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5202023

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees