JP5198805B2 - 能動磁気遮蔽型磁石装置および磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

能動磁気遮蔽型磁石装置および磁気共鳴イメージング装置 Download PDF

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Description

本発明は、能動磁気遮蔽型磁石装置および、それを用いた磁気共鳴イメージング(以下、MRIと称す)装置に関する。
MRI装置は、生体を構成する水素原子の水素原子核の核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance、以下NMRと称す)現象が、生体内の組織によって異なることを利用して、生体組織を画像化するもので、組織毎に異なる共鳴の強さや、共鳴の時間的変化の速さを画像の位置毎のコントラストとして現わすことができる。
MRI装置では、NMR現象により水素原子核スピンが放出する電磁波を計測し、その電磁波を信号として演算処理することで、生体を水素原子核密度によって断層像化することができる。水素原子核スピンが放出する電磁波の計測には、撮像領域として、高強度で、高い静磁場均一度を有する均一磁場領域を生成する必要があり、永久磁石装置や超伝導電磁石装置が用いられている。
これらの磁石装置では、磁場は撮像領域のみに形成することができず、磁石装置周囲にも磁場が漏れる。この漏れ磁場は撮像のためには不要なものであるので、漏れ磁場の低減が試みられている。そして、撮像領域に高強度で高い静磁場均一度を有する磁場を生成する主磁石とは別に、磁石装置の周囲の漏れ磁場を打ち消す磁場を発生させるシールド磁石を備えた磁石装置、いわゆる能動磁気遮蔽型磁石装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平9−153408号公報(図1)
しかしながら、シールド磁石は、撮像領域の磁場の強度を低下させるので、撮像領域の磁場の強度を維持するためには、主磁石で発生させる磁場を大きくする必要があり、超伝導電磁石装置であれば、コイルの線材量の増加、そして電磁力の増加によるコイル支持構造の強化などにより、製造コストが増加する問題がある。
また、シールド磁石の磁気モーメントの和を、主磁石の磁気モーメントの和に等しくする方法が提案されているが、この方法は、磁石装置の遠方では、漏れ磁場を低減できるが、磁石装置の近傍での漏れ磁場の減衰は必ずしも速くはなく、シールド磁石により磁石装置の近傍での漏れ磁場を急速に減衰させる方法は明確ではない。
そこで、シールド磁石で発生させる磁場の強度を小さくする一方で、すなわち、シールド磁石の磁気モーメントを小さくする一方で、磁石装置の遠方だけでなく近傍でも漏れ磁場を小さくできれば便利である。
本発明は前記の課題を解決しようとするもので、その目的は、シールド磁石の磁気モーメントを小さくしても、近傍での漏れ磁場を小さくできる能動磁気遮蔽型磁石装置およびMRI装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、磁気モーメントが全て同方向であり、軸が一致する3つ以上の円環状の主磁石と、
磁気モーメントが前記主磁石とは逆方向であり、軸が前記主磁石と一致する2つ以上の円環状のシールド磁石とを有し、
前記シールド磁石それぞれの前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置であるシールド磁石の軸方向位置は、前記主磁石の前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置である磁石の軸方向位置の間に設定され、
前記シールド磁石の磁気モーメントの総和の大きさが、前記主磁石の磁気モーメントの総和の大きさより小さく設定されている能動磁気遮蔽型磁石装置であることを特徴とする。さらに、本発明の能動磁気遮蔽型磁石装置を有し、前記軸上に撮像領域を有する磁気共鳴イメージング装置であることを特徴とする。
本発明によれば、シールド磁石の磁気モーメントを小さくしても、近傍での漏れ磁場を小さくできる能動磁気遮蔽型磁石装置およびMRI装置を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る能動磁気遮蔽型磁石装置2の外観図である。図1に示すように、能動磁気遮蔽型磁石装置2は、円筒形状の真空容器3と、この真空容器3を支える支持脚5とを有している。真空容器3の外周側面の長さZoは、内周側面の長さZiより短くなっている。
そして、真空容器3の内部を後記に詳述するために、真空容器3の円筒形状の軸をZ軸とし、軸方向位置Zを定義し、中央に原点Oを設定している。また、Z軸から真空容器3の円筒形状の半径方向の位置を、半径方向位置Rと定義している。
この能動磁気遮蔽型磁石装置2は水平磁場型の能動磁気遮蔽型磁石装置2であり、この能動磁気遮蔽型磁石装置2を用いて、MRI装置1を構成することができ、真空容器3の内周側面で囲まれた空間内に撮像領域4を形成している。被検者は、自身の被検査領域が撮像領域4の中に納まるように、真空容器3の内周側面で囲まれた空間に横たわることができる。
真空容器3の内周側面には、図示はしないが、傾斜磁場コイルと、高周波照射コイルとが配置されている。傾斜磁場コイルは、位置情報を得るために撮像領域4の均一磁場に重畳する形で、磁場を1秒程度以下の時定数で空間的に変化(傾斜)させている。高周波照射コイルは、NMR現象を引き起こすための共鳴周波数(数MHz以上)の高周波の電磁波を、撮像領域4に印加している。
MRI装置1は、NMR現象により水素原子核スピンが放出する核磁気共鳴信号を計測し、その核磁気共鳴信号を演算処理することで、被検者体内を水素原子核密度によって断層像化する。その際に、被検者が入る撮像領域4には、強度が0.1T以上の高強度であり、誤差10ppm程度の高い静磁場均一度を有する静磁場を生成させる。撮像領域4の周囲にある傾斜磁場コイルは、撮像領域4内の位置情報を得る目的で、磁場を空間的に変化させた傾斜磁場を撮像領域4に印加する。さらに、撮像領域4の周囲にある高周波照射コイルは、NMR現象を引起すための共鳴周波数の電磁波を撮像領域4に印加する。これらにより、撮像領域4内の微小領域ごとに水素原子核スピンが放出する核磁気共鳴信号を計測し、その核磁気共鳴信号を演算処理することで、被検者体内を水素原子核密度により断層像化することができる。
図2(a)は、能動磁気遮蔽型磁石装置2のZ軸(図1参照)を含みかつZ軸に沿う平面で切断した、Z軸に線対称な2つの領域の片側の断面図である。能動磁気遮蔽型磁石装置2は、真空容器3の内部に、主磁石となる3対、計6個の主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31を有している。主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31は円環状の超伝導コイルであり、主コイルMC10とMC11とで対をなし、主コイルMC20とMC21とで対をなし、主コイルMC30とMC31とで対をなしている。
また、能動磁気遮蔽型磁石装置2は、真空容器3の内部に、シールド磁石となる1対のシールドコイルSC10、SC11とを有している。シールドコイルSC10、SC11も円環状の超伝導コイルである。なお、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31は、主磁石として円環状の永久磁石を用いてもよく、同様に、シールドコイルSC10、SC11には、シールド磁石として円環状の永久磁石を用いることができる。永久磁石であれば、真空容器3が省け、コイルに流す電流の電源が不要である。ただ、超伝導コイルは電磁石になり、永久磁石と同様に磁気モーメントを形成するので、両者は、磁気モーメントの観点から統一的に考察することができる。
主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31の円環の外径は、0.9m(半径0.45m)以上、1.2m(半径0.6m)以下の範囲内に入っている。シールドコイルSC10、SC11の円環の外径は、0.86mであり、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31の円環の外径より大きくなっている。
なお、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11のそれぞれに近接して図示された「×」印は、対応する主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切った片側断面の中心の軸方向位置を示している。そして、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11の軸方向位置とは、それぞれのコイルのZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切った片側断面の中心の軸方向位置のことを示している。主コイルの中で最両端に位置する主コイルMC10、MC11の軸方向位置の間隔は、コイル端部の間隔で1.2m程度になっている。ただし、このコイル端部の間隔はマグネットの仕様、つまり磁場強度や均一磁場空間の大きさによって変わる。
主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11とは、冷媒の液体ヘリウム(He)と共にヘリウム容器(図示省略)に内包されている。ヘリウム容器は内部への熱輻射を遮断する熱輻射シールド(図示省略)に内包されている。そして、真空容器3は、ヘリウム容器及び熱輻射シールドを内包しつつ、内部を真空に保持している。真空容器3は、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11とを断熱支持している。
能動磁気遮蔽型磁石装置2は、室温の室内に配置されても、真空容器3内が真空になっているので、室内の熱が伝導や対流で、ヘリウム容器に伝わることはない。また、熱輻射シールドによって、室内の熱が輻射によって真空容器3からヘリウム容器に伝わることはない。そして、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31とシールドコイルSC10、SC11とを、冷媒の温度である極低温に安定して設定することができ、超伝導電磁石として機能させることができる。
1対の主コイルMC10、MC11は、原点Oを対称点として対向配置され、それぞれの中心軸がZ軸に一致している。1対の主コイルMC20、MC21は、原点Oを対称点として対向配置され、それぞれの中心軸がZ軸に一致している。1対の主コイルMC20、MC21は、1対の主コイルMC10、MC11の内側に配置されている。1対の主コイルMC30、MC31は、原点Oを対称点として対向配置され、それぞれの中心軸がZ軸に一致している。1対のシールドコイルSC10、SC11は、原点Oを対称点として対向配置され、それぞれの中心軸がZ軸に一致している。
軸方向位置に関しては、原点Oの最も近くに、主コイルMC30、MC31が配置されている。以下、軸方向位置においては、主コイルMC20、MC21、シールドコイルSC10、SC11、主コイルMC10、MC11の順に、原点Oから離れている。したがって、シールドコイルSC10の中心の軸方向位置は、主コイルMC20の中心の軸方向位置と主コイルMC10の中心の軸方向位置の間に配置され、シールドコイルSC11の中心の軸方向位置は、主コイルMC21の中心の軸方向位置と主コイルMC11の中心の軸方向位置の間に配置されている。言い換えれば、シールドコイルSC10、SC11は、全コイル内で、軸方向位置において、最両端に位置する主コイルMC10、MC11より、原点O側(内側)に配置されている。
最両端に位置する主コイルMC10(MC11)の軸方向位置と、シールドコイルSC10(SC11)の軸方向位置との間隔(中心間距離)Z1は、4cmであり、この中心間距離Z1は、全コイル中で最両端に位置する主コイルMC10端とMC11端の軸方向位置における間隔(120cm)に対して、3.3%程度に設定されている。
また、軸方向位置において、シールドコイルSC10とSC11の間に、主コイルMC20、MC21、MC30、MC31が配置されている。
主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31は、互いに同じ方向に一定電流を流し、それぞれ磁気モーメントを形成することで、均一磁場を撮像領域4に生成することができる。このような撮像領域4は、原点Oの周辺に形成される。主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31それぞれによって形成される磁気モーメントは、Z軸と平行で同方向を向いている。
シールドコイルSC10、SC11は、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31と反対の方向に一定電流を流し、それぞれ磁気モーメントを形成することで、反対の方向の磁場を生成し、能動磁気遮蔽型磁石装置2から外部への磁場の漏れを低減させている。シールドコイルSC10、SC11それぞれによって形成される磁気モーメントは、Z軸と平行で同方向を向いている。そして、シールドコイルSC10、SC11に形成される磁気モーメントの方向は、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31に形成される磁気モーメントの逆方向を向いている。
軸方向位置において全コイル中の最両端に配置された主コイルMC10、MC11それぞれの磁気モーメントの大きさは、他の主コイルMC20、MC21、MC30、MC31それぞれの磁気モーメントの大きさより大きく設定されている。
図2(a)には、能動磁気遮蔽型磁石装置2の断面図に重ねて、能動磁気遮蔽型磁石装置2によって形成された磁場の磁束等高線6と磁場強度等高線7とが図示されている。これらの磁束等高線6と磁場強度等高線7はシミュレーションにより算出したものである。磁場強度等高線7では、磁場強度1.5T+1.5ppmの磁場強度等高線7と、磁場強度1.5T−1.5ppmの磁場強度等高線7とを、真空容器3の内周側面で囲まれた領域に引いている。この磁場強度等高線7で囲まれた領域には複数のドットが記載されている。このドットそれぞれは、シミュレーションにより磁場強度を算出した位置を示している。そして、その位置での磁場強度が1.5T以上の磁場強度を有する位置のドットのみを記載している。すなわち、ドットが記載されていない位置でもシミュレーションによる磁場強度の算出は行っているが、磁場強度が前記範囲外なので記載されていない。そして、ドットの記載された領域と、記載されていない領域との境界が、基準の磁場強度1.5Tである。また、この境界に沿って引かれている1.5T±1.5ppmの磁場強度等高線7が撮像領域4を取り囲んでいる。このことから、撮像領域4では、1.5Tの強磁場が、最大最小値の範囲が3ppm程度の高い均一性で実現可能であることがわかる。この撮像領域4に形成される磁場は、時間的に定常で空間的にも一定な磁場であり、0.1Tから7T以上の磁場強度に設定可能である。そして、数ppm程度の均一性を有する撮像領域4は、直径(もしくは長径)が30cm〜40cmの球(もしくは楕円体)の範囲に設定することが可能である。
図2(b)も、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線8を示しているが、図2(a)よりも広域の磁束等高線6と磁場強度等高線8を示している。磁場は撮像領域4に生成されるのみならず、真空容器3周囲へも磁場が漏れる。図2(b)では、この漏れ磁場を記載している。磁束等高線6は磁力線に相当し、0.4mVs毎にプロットしている。
磁場強度等高線8としては、磁場強度5G(0.5mTに相当)の磁場強度等高線5Gと、磁場強度10G(1.0mTに相当)の磁場強度等高線10Gと、磁場強度15G(1.5mTに相当)の磁場強度等高線15Gと、磁場強度20G(2.0mTに相当)の磁場強度等高線20Gと、磁場強度25G(2.5mTに相当)の磁場強度等高線25Gとを記載している。
次に、磁石の強さを定量的に評価するために、磁気モーメントを評価する。磁気モーメントは電流とその電流が囲む面積の積により算出できる。まず、全コイルの磁気モーメントの総和を、残留磁気モーメントMresとして、次の式で計算する。
Mres=Σ∫ir πr drdz
ここで、iはコイルに流れる電流の周回方向の電流密度であり、シールドコイルSC10、SC11は主コイルMS10、MC11、MS20、MC21、MS30、MC31と反対方向の電流が流れるために負の電流密度を設定している。rはコイル内積分点位置の半径であり、積分∫drdzはコイルの断面での面積積分である。また総和Σはすべてのコイル毎の積分値の総和である。
残留磁気モーメントMresがゼロであれば(Mres=0)、能動磁気遮蔽型磁石装置2の大きさに比べて十分遠方では、コイルが存在しないかのように磁場が検知できなくなる。すなわち、残留磁気モーメントMresをゼロにすれば(Mres=0)、遠方での漏れ磁場をゼロにすることができる。この残留磁気モーメントMresをゼロにすることは(Mres=0)、従来から行われている。
また、シールドコイルを除いて、主コイルのみの磁気モーメントの総和Mmを算出した。残留磁気モーメントMresとMmの比(Mres/Mm)を、残留磁気モーメントの割合Mrtとした(Mrt=Mres/Mm)。この残留磁気モーメントの割合Mrtは、シールドコイルの磁気モーメントの大きさと主コイルの磁気モーメントの大きさとの差の、主コイルの磁気モーメントの大きさに対する相対的な大きさの指標となっている。すなわち、この残留磁気モーメントの割合Mrtを用いることによって、主コイルとシールドコイルの磁石としての強さ(つまり磁気モーメント)を一般化して議論することができる。例えば、残留磁気モーメントの割合Mrtが正の値であれば(Mrt>0)、シールドコイルの磁気モーメントが主コイルに比べて小さいことを示している。逆に、残留磁気モーメントの割合Mrtが負の値であれば(Mrt<0)、シールドコイルの磁気モーメントが主コイルに比べて大きいことを示している。
なお、残留磁気モーメントの割合Mrtに替えて、シールドコイルSC10、SC11の磁気モーメントの総和の大きさの、主コイルMC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31の磁気モーメントの総和の大きさに対する比を用いてもよい。この比によれば、シールドコイルの磁気モーメントの大きさと主コイルの磁気モーメントの大きさの大小関係を容易に把握することができる。
第1の実施形態(図2(a)(b))では、主コイルの磁気モーメントの合計は2.278MAmであり、シールドコイルの磁気モーメントは、2.257MAmであった。両者の差である残留磁気モーメントは、0.021MAmであり、残留磁気モーメントの割合Mrtは、+0.92%であった。残留磁気モーメントの割合Mrtが正の値であるので(Mrt>0)、シールドコイルの磁気モーメントの大きさを主コイルに比べて小さくすることに成功していることになる。なお、シールドコイルの磁気モーメントの大きさの主コイルの磁気モーメントの大きさに対する比は、99.08%であった。
次に、漏れ磁場の大きさを評価する。地磁気が0.4G(0.04mT)の大きさで既に存在しているので、1G(0.1mT)以下の漏れ磁場を評価する必要はないと考え、漏れ磁場が地磁気に埋もれずに確実に検出できる5G(0.5mT)を評価の対象とした。すなわち、5G(0.5mT)の磁場強度等高線5Gが、能動磁気遮蔽型磁石装置2に、あるいは、原点Oにどれだけ近づけられるかを評価した。具体的には、磁場強度等高線5Gの半径方向位置の最大値が、小さければ小さいほど、漏れ磁場が急速に減衰していると判断した。これより、図2(b)に示すように、第1の実施形態では、磁場強度等高線5Gの半径方向位置における最大値が、2.25m(位置R1)未満であった。この値より、後記する比較例1乃至3と比較して、第1の実施形態では、漏れ磁場が急速に減衰していると判断した。
そして、第1の実施形態では、半径方向位置2.5m(位置R2)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に3領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置2.5m(位置R2)においては、磁極を6個検出できることがわかった。このことは、磁極数6より1つ少ない5個の磁石がZ軸方向に並んでいるかのように、能動磁気遮蔽型磁石装置2が検出されたことになる。5個の磁石というのは、主コイルMC10、MC11、シールドコイルSC10、SC11の4個の磁石がそれぞれ検出されたのに対し、主コイルMC20、MC21、MC30、MC31の4個の磁石が1個の磁石として検出されたためであると考えられる。
第1の実施形態では、6極まで磁極数を増加させることにより、磁束等高線(磁力線)6が、半径方向に広がるのを抑制し、磁場の半径方向への減衰を速めている。磁極を増やすには、Z軸方向に、主コイルとシールドコイルを交互に並べることが必要であるが、第1の実施形態では、主コイルMC10、MC11に対して、シールドコイルSC10、SC11を、Z軸方向に中心間距離Z1だけ移動することにより、主コイルとシールドコイルのZ軸方向の交互の並びを実現している。
また、半径方向位置2.5m(位置R2)から、シールドコイルまでの距離は、主コイルまでの距離に比べて、無視できない程度に近い。つまり、主コイルに比べてシールドコイルによる磁場の影響が、能動磁気遮蔽型磁石装置2近傍における漏れ磁場に強く出ていると考えられる。そこで、シールドコイルの影響を弱めるためにシールドコイルの電流を小さくし磁気モーメントを小さくしている。従来であれば、シールドコイルの磁気モーメントは、主コイルの磁気モーメントと等しく設定することが常道であると考えられてきた。これは、能動磁気遮蔽型磁石装置2遠方から導かれた解であって、近傍に着目することによって、第1の実施形態では、シールドコイルの磁気モーメントの大きさを主コイルの磁気モーメントの大きさより小さくできるという解に達している。シールドコイルの磁気モーメントの大きさを小さくできれば、主コイルの磁気モーメントを大きくすることなしに、撮像領域4の磁場強度を大きくすることができる。
また、半径方向位置4m(位置R3)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に2領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置4m(位置R3)においては、磁極を4個検出できることがわかった。このように、半径方向位置2.5m(位置R2)から、半径方向位置4m(位置R3)までの短い距離で、磁極数が6から4に減っているのは、磁力が急速に減衰しているためであると考えられる。
また、例えば、磁場強度等高線5Gの内側には、磁場の影響で設置できないような外部装置があるとすると、実質的に、能動磁気遮蔽型磁石装置2の占有面積は、磁場強度等高線5Gの内側の面積であると考えられる。第1の実施形態によれば、磁場強度等高線5Gを能動磁気遮蔽型磁石装置2に近づけることができるので、この実質的な占有面積を減少させることができる。また周囲への漏れ磁場の影響を弱める磁気シールドを少なくできるので、装置設置に必要な面積を狭くでき、搬入搬出等の取扱も容易になる。シールドコイルを小さくできるので、能動磁気遮蔽型磁石装置2を軽量化できる。
また、シールドコイルSC10、SC11を中心間距離Z1だけ移動させているので、真空容器3の外周側面の長さZo(図2(a)参照)を短くできる。このことにより、能動磁気遮蔽型磁石装置2の正味の占有面積も減少させることができる。また、真空容器3の角がとれて、実際より、視覚的には一層、装置が小さく見え、被検者は、装置から受けるストレス、圧迫感を減少させることができる。
(比較例1)
図3は、比較例1の能動磁気遮蔽型磁石装置の真空容器3を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線5Gを示している。図3は、図2(b)に対応させて漏れ磁場を記載している。
図3に示すように、比較例1の能動磁気遮蔽型磁石装置は、第1の実施形態の能動磁気遮蔽型磁石装置2と比較して、残留磁気モーメントの割合Mrtが、ゼロ(Mrt=0.0%)である点が異なっている。また、図2(a)を参照して、最両端に位置する主コイルMC10(MC11)の軸方向位置と、シールドコイルSC10(SC11)の軸方向位置との中心間距離Z1がゼロ(Z1=0cm)である点が異なっている。そして、このことにより、図2(a)のように真空容器3の外周側面の長さZoを、内周側面の長さZiより短くすることができず、長さZoは、長さZiに等しくしている。上記以外の比較例1の構成は、第1の実施形態と同じである。
漏れ磁場に関しては、比較例1では、磁場強度等高線5Gの半径方向位置における最大値は、2.5m(位置R2)に達していた。この値より、比較例1より、2.25m未満の第1の実施形態の方が、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。
また、比較例1では、半径方向位置2.5m(位置R2)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に2領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置2.5m(位置R2)においては、磁極を4個検出できることがわかった。このことは、磁極数4より1つ少ない3個の磁石がZ軸方向に並んでいるかのように、能動磁気遮蔽型磁石装置2が検出されたことになる。磁石3個は、第1の実施形態の5個に比べ、検出される磁石の個数が2個減少している。図3より検出されなかった2個の磁石とは、主コイルMC10、MC11(図2(a)参照)であると考えられる。これは、シールドコイルの磁気モーメントが強いために、半径方向位置2.5m(位置R2)から見て、主コイルMC10、MC11(図2(a)参照)が、シールドコイルSC10、SC11(図2(a)参照)によって隠されたためであると考えられる。
また、比較例1では、半径方向位置4m(位置R3)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に1領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置4m(位置R3)においては、磁極を2個検出できることがわかった。このことは、従来からいわれているように、残留磁気モーメントの割合Mrtが、ゼロ(Mrt=0.0%)であれば、装置の遠方では磁力を減衰できることを示している。
(比較例2)
図4は、比較例2の能動磁気遮蔽型磁石装置の真空容器3を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線5Gを示している。図4は、図2(b)と図3に対応させて漏れ磁場を記載している。
図4に示すように、比較例2は、比較例1と比較して、残留磁気モーメントの割合Mrtが、−1.7%(Mrt=−1.7%)である点が異なっている。上記以外の比較例2の構成は、比較例1と同じである。
漏れ磁場に関しては、比較例2では、磁場強度等高線5Gの半径方向位置における最大値は、2.5m(位置R2)未満になっている。この値より、比較例2の方が、2.5m(位置R2)に達する比較例1より、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。また、比較例2に比べて、2.25m未満の第1の実施形態の方が、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。
比較例2では、比較例1に対して、5G(0.5mT)以上の磁場の領域をより狭い領域に止めるために、残留磁気モーメントの割合Mrtを、−1.7%(Mrt=−1.7%)に変更し、具体的には、シールドコイルの磁気モーメントの大きさを、主コイルの磁気モーメントの大きさより大きくしている。このことにより、磁場強度等高線5Gにおいて、軸方向位置のゼロ(0m)で、半径方向に膨らんだ磁場強度等高線5Gを凹ませることに成功している。しかし、シールドコイルの磁気モーメントの大きさを大きくしたことにより、シールドコイルを大きくする必要が生じ、このために、撮像領域の磁場強度4(図2(a)参照)が不足すれば、主コイルを大きくすることになり、装置全体、特にコイルが大きくなってしまう。このように、比較例1と比較例2のように、最両端に位置する主コイルMC10(MC11)の軸方向位置と、シールドコイルSC10(SC11)の軸方向位置との中心間距離Z1がゼロ(Z1=0cm)の場合においては、求める解はないと考えられた。
なお、比較例2では、半径方向位置2.5m(位置R2)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に2領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置2.5m(位置R2)においては、磁極を4個検出できることがわかった。これらの傾向は比較例1と同じである。
また、比較例1では、半径方向位置4m(位置R3)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に1領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置4m(位置R3)においては、磁極を2個検出できることがわかった。これらの傾向は比較例1と同じである。
(比較例3)
図5は、比較例3の能動磁気遮蔽型磁石装置の真空容器3を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線5Gを示している。図5は、図2(b)に対応させて漏れ磁場を記載している。
図5に示すように、比較例3の能動磁気遮蔽型磁石装置は、第1の実施形態の能動磁気遮蔽型磁石装置2と比較して、残留磁気モーメントの割合Mrtが、ゼロ(Mrt=0.0%)である点が異なっている。上記以外の比較例3の構成は、第1の実施形態と同じであり、図2(a)を参照して、最両端に位置する主コイルMC10(MC11)の軸方向位置と、シールドコイルSC10(SC11)の軸方向位置との中心間距離Z1が4cm(Z1=4cm)である点も同じである。
漏れ磁場に関しては、比較例3では、磁場強度等高線5Gの半径方向位置における最大値は、2.25m(位置R1)を超えており、この値から、比較例3に比べて、2.25m未満の第1の実施形態の方が、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。
また、比較例3では、半径方向位置2.5m(位置R2)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に2領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置2.5m(位置R2)においては、磁極を4個検出できることがわかった。このことは、磁極数4より1つ少ない3個の磁石がZ軸方向に並んでいるかのように、能動磁気遮蔽型磁石装置2が検出されたことになる。磁石3個は、第1の実施形態の5個に比べ、検出される磁石の個数が2個減少している。検出されなかった2個の磁石の1つは、一群の4個の主コイルMC20、MC21、MC30、MC31(図2(a)参照)が、第1の実施形態では、1個の磁石として検出されていたところ、比較例3では、検出されなくなったためであると考えられる。もう1つの磁石は、第1の実施形態では、2つのシールドコイルSC10とSC11とがそれぞれ検出されていたが、比較例3では、2つのシールドコイルSC10とSC11とが、1つの磁石として検出されたためであると考えられる。
これは、中心間距離Z1が4cm(Z1=4cm)になったために、2つのシールドコイルSC10とSC11の間隔は狭まり、かつシールコイルの磁気モーメントが強く設定されている(Mrt=0.0%)ために、半径方向位置2.5m(位置R2)から見て、2つのシールドコイルSC10とSC11の間からのぞいていた主コイルMC20、MC21、MC30、MC31(図2(a)参照)が隠されたためであると考えられる。
また、比較例3では、半径方向位置4m(位置R3)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に2領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置4m(位置R3)においては、磁極を4個検出できることがわかった。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る能動磁気遮蔽型磁石装置の真空容器3を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線5Gを示している。図6は、図2(b)と図5に対応させて漏れ磁場を記載している。
図6に示すように、第2の実施形態は、比較例3と比較して、残留磁気モーメントの割合Mrtが、+1.4%(Mrt=+1.4%)である点が異なっている。上記以外の第2の実施形態の構成は、比較例3と同じである。なお、シールドコイルの磁気モーメントの大きさの主コイルの磁気モーメントの大きさに対する比は、98.6%であった。
漏れ磁場に関しては、第2の実施形態では、磁場強度等高線5Gの半径方向位置における最大値は、2.25m(位置R1)未満になっている。この値より、第2の実施形態の方が、2.25m(位置R1)を超える比較例3より、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。また、第2の実施形態は、やはり2.25m未満の第1の実施形態と同等に、漏れ磁場が急速に減衰していることがわかる。
第2の実施形態では、比較例3に対して、5G(0.5mT)以上の磁場の領域をより狭い領域に止めるために、残留磁気モーメントの割合Mrtを、+1.4%(Mrt=+1.4%)に変更し、具体的には、シールドコイルの磁気モーメントの大きさを、主コイルの磁気モーメントの大きさより小さくしている。このことにより、磁場強度等高線5Gにおいて、軸方向位置の±1.0mで、半径方向に膨らんだラインを凹ませフラットにすることに成功している。
また、第2の実施形態では、半径方向位置2.5m(位置R2)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に3領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置2.5m(位置R2)においては、磁極を6個検出できることがわかった。このことは、第1の実施形態と同様に、磁極数6より1つ少ない5個の磁石がZ軸方向に並んでいるかのように、能動磁気遮蔽型磁石装置2が検出されたことになる。このことは、比較例3に対して、2つのシールドコイルSC10、SC11(図2(a)参照)の磁気モーメントの大きさを小さくしたことで、2つのシールドコイルSC10、SC11が、1体として観察されていたのが2つの磁石として検出されるようになり、この2つのシールドコイルSC10、SC11の間から、一群の主コイルMC20、MC21、MC30、MC31が1つの磁石として検出されるようになったからである。そして、これらは、3つの短い磁石(4本の間隔の狭い磁極)として検出されている。これは、主コイルMC10、MC11が磁力を半径方向に及ぼしているからであり、中心間距離Z1をゼロではなく4cmに設定していることによっている。磁極の間隔が狭ければ、その狭い磁極の間隔から膨れる磁束等高線(磁力線)6は大きく膨れることはなく、磁場を急速に減衰させることができると考えられる。
また、第2の実施形態では、半径方向位置4m(位置R3)において、Z軸と平行にスキャンすると、磁場の方向が半径方向の成分で外側に向かう方向である領域(図中の上矢印↑)と、磁場の方向が半径方向の成分で内側に向かう方向である領域(下矢印↓)とが、交互に1領域ずつ存在することがわかった。すなわち、半径方向位置4m(位置R3)においては、磁極を2個検出できることがわかった。このように2個しか磁極が検出されないことは、能動磁気遮蔽型磁石装置2の遠方での磁力の減衰が急速に進んでいることを示していると考えられる。
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る能動磁気遮蔽型磁石装置の真空容器3を、Z軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線6と磁場強度等高線7を示している。図7は、図2(a)に対応させて強高度均一磁場を記載している。
図7に示すように、第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、コイルを軸方向に長くしている。これは、コイルの局所的な経験磁界の高まりを抑制して、撮像領域4の磁場強度が高められるようにしているためである。また、これまでの実施形態と比較例と異なり、コイルの数を増やしている。これは均一磁場を発生する必要のある撮像領域4が広くなるようにしたためである。この第3の実施形態では、磁場を強くしても、またコイル数を変更してもこれまでの議論と同様に本発明が適用できることを示す。
残留磁気モーメントの割合Mrtは、+0.37%(Mrt=+0.37%)である。また、全コイルの最両端に位置する主コイルMC10(MC11)の軸方向位置と、シールドコイルSC10(SC11)の軸方向位置との中心間距離Z1は、7.6cmである。この中心間距離Z1は、全コイル中で最両端に位置する主コイルMC10端とMC11端の軸方向位置における間隔(端部間隔140cm)に対して、5.4%程度に設定されている。また、主コイルMC30、MC31の間に主コイルMC40が設けられている。なお、シールドコイルの磁気モーメントの大きさの主コイルの磁気モーメントの大きさに対する比は、99.63%であった。第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができた。また、第3の実施形態によれば、主コイルMC10とMC11の軸方向位置における間隔を大きくして、この大きくなった間隔に主コイルMC40を配置して、均一性を担保し、撮像領域4の拡大を可能にしている。そして、漏れ磁場を減衰させるために、中心間距離Z1を4cmから7.6cmに大きくしている。そして、残留磁気モーメントの割合Mrtは、正の範囲の+0.37%(Mrt=+0.37%)において、漏れ磁場を急速に減衰させることに成功している。
次に、本発明で重要なパラメータである残留磁気モーメントの割合Mrtについて議論しておく。図8にはこれまで議論した5ガウス線(図2(b)等参照、磁場強度5G(0.5mTに相当)の磁場強度等高線5G)の半径方向位置の変動分と、Mrtの関係を示している。図8の下部には、実施例1,2の形態で、Mrtを変更した場合であるが、中心間距離Z1の値を4cmだけでなく、3cm以上5cm以下(3cm≦Z1≦5cm(主コイルの端部間隔に対するZ1の比で2.5%−4.2%)の範囲で変化させている。本発明の目的は漏れ磁場を素早く減衰させることであるために、縦軸はこれまでの議論で指標としてきた5ガウス線の位置に注目し、その変化分を示している。中心間距離Z1に依存して5ガウス線の位置も変化しているが、いずれの場合においてもMrtの0%から2%の変化の中で極小値を持っている。極小値を超えてもMrtが2.5%程度までであれば、比較的小さな5ガウス線の膨脹にとどまっているが、一方、図2(a)と図2(b)を比較して理解できるように、Mrtの増加は軸方向の5ガウス線の膨脹を伴う。従って、極小値を超えてさらにMrtを大きくすることに利点は無い。
図8の上部では、中心間距離Z1の大きさを変え、中心間距離Z1を2−5cm(主コイルの端部間隔に対するZ1の比で1.4−3.6%)で変化させて、「△」印でプロットしている。このように変化させると、Mrtの適切な範囲も変化するが、0.25%以上2.0%以下(0.25%≦Mrt≦2.0%)が適切な値の範囲であることを示している。なお、「△」印は、シールドコイルの半径位置Rscを0.83mとしている。
また、図8の上部には、シールドコイルの半径位置Rscを0.83mから0.9mに大きくし、MRI装置1外側の磁場を高めた場合に付いて、「○」印で示している。この図8の上部の「○」印のデータもそれぞれの中心間距離Z1に対して5ガウス線が最も半径小側にくる極小値のデータを、中心間距離Z1を2−5cm(主コイルの端部間隔に対するZ1の比で1.4−3.6%)で変化させて、プロットしている。Mrtが大きなデータ点では中心間距離Z1も大きくなっている。この「○」印の場合でも、「△」印の場合と同様に、Mrtが0.25%以上2.0%以下(0.25%≦Mrt≦2.0%)の範囲であれば、5ガウス線をMRI装置1の近傍に配置でき、漏れ磁場を素早く減衰させることができると言える。
本発明の第1の実施形態に係る能動磁気遮蔽型磁石装置の外観図である。 (a)は、本発明の第1の実施形態に係る能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示し、(b)は、その平面上で(a)より広域の磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 比較例1(Mrt=0.0%、Z1=0cm)の能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 比較例2(Mrt=−1.7%、Z1=0cm)の能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 比較例3(Mrt=0.0%、Z1=4cm)の能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 本発明の第2の実施形態(Mrt=+1.4%、Z1=4cm)に係る能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 本発明の第3の実施形態(Mrt=+0.37%、Z1=7.6cm)に係る能動磁気遮蔽型磁石装置のZ軸を含みかつZ軸に沿う平面で切断した片側の断面図であり、その平面上での磁束等高線と磁場強度等高線を示している。 残留磁気モーメントの割合と、5ガウス線の半径方向位置の変化分との関係を示したグラフであり、シールド磁石の軸方向位置(中心間距離Z1)を固定して、残留磁気モーメントの割合を変化させた場合(図8の下部)と、中心間距離Z1毎に最も適切な(5ガウス線の半径方向の位置が最も小さくなる)ケース(図8の上部)とでの、5ガウス線の半径方向の位置の変化分をプロットしている。
符号の説明
1 磁気共鳴イメージング(MRI)装置
2 能動磁気遮蔽型磁石装置
3 真空容器
4 撮像領域
5 支持脚
6 磁束等高線
7 磁場強度等高線(1.5T±1.5ppm)
8 磁場強度等高線(5G(0.5mTに相当)間隔)
13 真空容器
MC10、MC11、MC20、MC21、MC30、MC31、MC40 主磁石
SC10、SC11 シールド磁石

Claims (8)

  1. 磁気モーメントが全て同方向であり、軸が一致する3つ以上の円環状の主磁石と、
    磁気モーメントが前記主磁石とは逆方向であり、軸が前記主磁石と一致する2つ以上の円環状のシールド磁石とを有し、
    前記シールド磁石それぞれの前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置であるシールド磁石の軸方向位置は、前記主磁石の前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置である主磁石の軸方向位置の間に設定され、
    前記シールド磁石の磁気モーメントの総和の大きさが、前記主磁石の磁気モーメントの総和の大きさより小さく設定され
    前記主磁石の円環の外径が0.9m以上1.2m以下の範囲内であり、前記主磁石の軸方向位置の前記両端値の間隔が、1.1m以上1.5m以下の範囲である場合に、
    前記軸から前記主磁石の円環の半径方向に2.5mの位置で、前記軸方向にみると、磁場の方向が前記半径方向の成分で外側に向かう方向である領域と、前記磁場の方向が前記半径方向の成分で内側に向かう方向である領域とが、交互に3領域ずつ存在することを特徴とする能動磁気遮蔽型磁石装置。
  2. 磁気モーメントが全て同方向であり、軸が一致する3つ以上の円環状の主磁石と、
    磁気モーメントが前記主磁石とは逆方向であり、軸が前記主磁石と一致する2つ以上の円環状のシールド磁石とを有し、
    前記シールド磁石それぞれの前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置であるシールド磁石の軸方向位置は、前記主磁石の前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置である主磁石の軸方向位置の間に設定され、
    前記シールド磁石の磁気モーメントの総和の大きさが、前記主磁石の磁気モーメントの総和の大きさより小さく設定され
    前記主磁石の円環の外径が0.9m以上1.2m以下の範囲内であり、前記主磁石の軸方向位置の前記両端値の間隔が、1.1m以上1.5m以下の範囲である場合に、
    前記軸から前記主磁石の円環の半径方向に4m以上の位置で、前記軸方向にみると、磁場の方向が前記半径方向の成分で外側に向かう方向である領域と、前記磁場の方向が前記半径方向の成分で内側に向かう方向である領域とが、1領域ずつ存在することを特徴とする能動磁気遮蔽型磁石装置。
  3. 前記主位置の両端値の一方と前記シールド位置の間隔は、前記主磁石の軸方向位置の前記両端値の間隔の1.4%以上5.4%以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1項又は2項に記載の能動磁気遮蔽型磁石装置。
  4. 磁気モーメントが全て同方向であり、軸が一致する3つ以上の円環状の主磁石と、
    磁気モーメントが前記主磁石とは逆方向であり、軸が前記主磁石と一致する2つ以上の円環状のシールド磁石とを有し、
    前記シールド磁石それぞれの前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置であるシールド磁石の軸方向位置は、前記主磁石の前記軸を含みかつ前記軸に沿う平面で切った片側断面の中心の前記軸の方向の位置である主磁石の軸方向位置の間に設定され、
    前記シールド磁石の磁気モーメントの総和の大きさが、前記主磁石の磁気モーメントの総和の大きさより小さく設定され
    前記シールド磁石の磁気モーメントの総和の大きさは、前記主磁石の磁気モーメントの総和の大きさの98%以上99.75%以下の範囲内の大きさであることを特徴とする能動磁気遮蔽型磁石装置。
  5. 前記主磁石の軸方向位置の少なくとも1つは、前記シールド磁石の軸方向位置の間に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の能動磁気遮蔽型磁石装置。
  6. 前記シールド磁石の円環の外径は、前記主磁石の円環の最大の外径より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の能動磁気遮蔽型磁石装置。
  7. 前記主磁石と前記シールド磁石が超伝導コイルであり、
    前記主磁石と前記シールド磁石を断熱支持する真空容器が、前記軸を軸とする円筒形状であり、
    前記円筒形状の外周側面の長さは、内周側面の長さより短いことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の能動磁気遮蔽型磁石装置。
  8. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の能動磁気遮蔽型磁石装置を有し、
    前記軸上に撮像領域を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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