JP5197551B2 - 永久磁石式回転電機 - Google Patents

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本発明は、永久磁石の増磁及び減磁時の磁界により、誘導電流を発生する短絡コイルを回転子内部に内蔵した永久磁石式回転電機に関する。
回転子内に永久磁石を内蔵した永久磁石式回転電機では、永久磁石の鎖交磁束が常に一定の強さで発生しているので、永久磁石による誘導電圧は回転速度に比例して高くなる。そのため、低速から高速まで可変速運転する場合、高速回転では永久磁石による誘導電圧(逆起電圧)が極めて高くなる。永久磁石による誘導電圧がインバータの電子部品に印加されてその耐電圧以上になると、電子部品が絶縁破壊する。そのため、永久磁石の磁束量が耐電圧以下になるように削減された設計を行うことが考えられるが、その場合には永久磁石式回転電機の低速域での出力及び効率が低下する。
そこで、回転子内に、固定子巻線のd軸電流で作る磁界により不可逆的に磁束密度が変化する程度の低保磁力の永久磁石(以下、可変磁力磁石という)と、可変磁力磁石の2倍以上の保磁力を有する高保磁力の永久磁石(以下、固定磁力磁石という)を配置し、電源電圧の最大電圧以上となる高速回転域では、可変磁力磁石と固定磁力磁石による全鎖交磁束が減じるように、全鎖交磁束量を調整する技術が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
なお、永久磁石の磁束量は、保磁力と磁化方向厚の積によって決定されるため、実際に回転子鉄心内に可変磁力磁石と固定磁力磁石とを組み込む場合には、可変磁力磁石としては保磁力と磁化方向厚の積が小の永久磁石を、固定磁力磁石としては保磁力と磁化方向厚の積が大の永久磁石を使用する。また、一般に、可変磁力磁石としては、アルニコ磁石やサマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)、フェライト磁石を使用し、固定磁力磁石としてはネオジム磁石(NdFeB磁石)を使用する。
しかしながら、この種の永久磁石式回転電機では、可変磁力磁石と固定磁力磁石が回転子鉄心内に埋め込まれて磁気回路を構成しているため、d軸電流による磁界は可変磁力磁石のみでなく、固定磁力磁石にも作用する。そのため、固定磁力磁石の磁界が、d軸電流が作る磁界の妨げとなり、d軸電流(磁化電流)が増大する現象が生じる。
そこで、特許文献2の発明では、固定磁力磁石及び可変磁石の近傍に導電性部材を配置し、この導電性を貫通するd軸電流による磁界によって導電板に誘導電流を発生させ、その誘導電流により前記固定磁力磁石により発生する磁界を打ち消すことにより、増磁時のd軸電流の増加を押さえる技術が提案されている。特許文献2では、d軸電流による磁界が固定磁力磁石に作用すると、図22に示すような、前記磁界を打ち消すような誘導電流が短絡コイルに流れる。従って、固定磁力磁石中にはd軸電流による磁界と短絡電流による磁界で、磁界の増減はほとんど生じない。さらに短絡電流による磁界は可変磁力磁石にも作用し、d軸電流による磁界と同方向になる。従って、可変磁力磁石を磁化させる磁界が強まり、少ないd軸電流で可変磁力磁石を磁化できることになる。また、短絡コイルにより固定磁力磁石はd軸電流の影響を受けず、磁束の増加はほとんど生じないので、前記d軸電流による電機子鉄心の磁気飽和も緩和できる。
特開2006−280195号公報 特願2008−296080号
埋込磁石同期モータの設計と制御,武田洋次・他,オーム社
しかしながら、特許文献2の永久磁石式回転電機は、d軸電流によって可変磁力磁石の磁化を行なう場合、図23に示すように、回転子のq軸には、短絡コイルが作用しない経路を通過し、固定子側へ抜ける漏れ磁束が生じている。従って、d軸電流による磁束が可変磁力磁石に集中せず、無効な磁束が発生しているため、大きな磁化電流が必要となるという問題点がある。
また、同様にd軸電流によって磁化を行う場合、可変磁力磁石には短絡コイルの作用により、d軸電流による磁界と同方向の磁界が作用しており、短絡コイル近傍では大きな短絡コイルによる磁界が加わるが、短絡コイルより離れた位置では影響が小さくなる。これにより、可変磁力磁石の短絡コイル近傍、及び角部は磁化され易く、短絡コイルより離れた部位では磁化され難いため、可変磁力磁石に不均一な磁化分布が生じてしまい、その結果、全体を均一な磁化を行うために、大きな磁化電流が必要となってしまうという問題点もある。
以上のように特許文献2の永久磁石式回転電機は、短絡コイルにより可変磁力磁石にd軸電流による磁束を集中させ、磁化電流を低減できるという利点があるものの、q軸部の漏れ磁束、可変磁力磁石の不均一な磁化分布が発生するという問題があった。
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、固定磁力磁石の近傍に導電板を配置し、d軸電流によって可変磁力磁石の磁化を行う際、q軸部漏れ磁束を大幅に低減し、且つ可変磁力磁石の磁化分布を均一化することにより、磁化電流の増加を抑止して、回転機の効率化を達成することである。
前記の目的を達成するために、本発明は、保磁力と磁化方向厚さの積が互いに異なる2種類以上の永久磁石を用いて回転子の磁極を形成し、この磁極を回転子鉄心内に複数個配置して回転子を形成し、この回転子の外周にエアギャップを介して固定子を配置し、この固定子に電機子鉄心と電機子巻線を設け、この電機子巻線が作る磁界により前記回転子の磁極を構成する永久磁石の少なくとも1個を磁化させることにより、永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石式回転電機において、前記回転子半径断面内のq軸外周側から、d軸側前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面近傍にわたって取り囲み、前記電機子巻線に磁化電流を通電させて発生した磁束で発生する短絡電流によって前記磁化電流による磁界と反対方向の磁力を有する磁界を発生させるように導電部材を配置することにより短絡コイルを構成しことを特徴とする。

なお、可変磁力磁石の磁化分布を均一にするために、不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面に配置する短絡コイルを(1)板状の導電性部材からなるコイルとしたり、(2)複数の短絡コイルとしたり、(3)不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面の中央部に配置したり、(4)不可逆的に変化させる永久磁石に切り欠きを設け配置したりする永久磁石式回転電機も本発明の一態様である。
以上のような構成を有する本発明によれば、d軸電流によって可変磁力磁石の磁化を行う際、q軸部漏れ磁束を大幅に低減することができ、且つ可変磁力磁石の磁化分布を均一にすることが可能となることから、磁化電流の増加を抑止できるので、回転機の効率化を達成することができる。
本発明の実施例1における回転子の断面図 本発明の実施例1におけるd軸電流による増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例1における増磁時の短絡コイル7aによる磁界と漏れ磁界との状態を示す断面図 本発明の実施例1におけるd軸電流による減磁時の状態を示す断面図 磁石の鎖交磁束が最大の状態を示す断面図 コイルの電流で可変磁力磁石の磁力減少させる磁界を発生させた状態を示す断面図 電流による逆磁界で可変磁力磁石の磁力が減少した状態を示す断面図 電流による逆磁界で可変磁力磁石が逆方向に磁化し、磁石の鎖交磁束が最小の状態を示す断面図 コイルの電流で極性反転した可変磁力磁石の磁力を減少させる磁界を発生た状態を示す断面図 電流による磁界で極性反転した可変磁力磁石の磁力を減少させた状態を示す断面図 電流による逆磁界で可変磁力磁石が逆方向に磁化し、磁石の鎖交磁束が最大の状態を示す断面図 本発明の実施例1における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例2における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例3における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例4における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例5における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例7における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例8における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例9における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例10における増磁時の状態を示す断面図 本発明の実施例11における増磁時の状態を示す断面図 従来の永久磁石式型回転電機のおけるq軸電流の磁界が作用ようする場合の回転子の断面図 従来の永久磁石式型回転電機のおけるq軸電流の磁界が作用ようする場合の漏れ磁界の様子を示す断面図
以下、本発明に係る永久磁石式回転電機の実施例について、図面を参照して説明する。本実施例の回転電機は8極の場合で説明しており、他の極数でも同様に適用できる。
[1−1.構成]
本発明の実施例1については図1を用いて説明する。本発明の実施例1の回転子1は、回転子鉄心2、保磁力と磁化方向の厚みの積が小となる永久磁石3(以下、可変磁力磁石という)、保磁力と磁化方向の厚みの積が大となる永久磁石4,4(以下、固定磁力磁石という)と、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4,4の上側及び下側に配置した短絡コイル7a,7bから構成する。本実施例では、可変磁力磁石3としてはフェライト磁石、固定磁力磁石4としてはNdFeB磁石を使用する。また、可変磁力磁石3としては、SmCo系磁石、CeCo系磁石、NdFeB系磁石の中で保持力の弱い磁石を使用することもできる。
一例として、可変磁力磁石3の保磁力を280kA/m、固定磁力磁石4の保磁力は1500kA/mとするが、必ずしもこのような値に限定されるものではない。可変磁力磁石3は負のd軸電流によって不可逆的に磁化され、固定磁力磁石4は負のd軸電流によって不可逆的に磁化されないものであれば良い。
回転子鉄心2内を通過する磁束が可変磁力磁石3及び固定磁力磁石4,4の部分をその厚さ方向に通過するように、可変磁力磁石3及び固定磁力磁石4,4の端部に空洞5を設ける。回転子鉄心2の磁極部6は1個の可変磁力磁石3と2個の固定磁力磁石4,4で取り囲まれるようにして形成する。回転子鉄心2の磁極部6の中心軸方向がd軸、磁極間の中心軸方向がq軸となる。
また、可変磁力磁石3は、1個の可変磁力磁石のみで構成するのではなく、可変磁力磁石と固定磁力磁石とを組み合わせて作製した可変磁力磁石を用いてもよい。具体的には、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aを各磁石の磁化方向に重ね合わせて1つの磁石を構成する。すなわち、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aの磁化方向を同じくして、磁気的に直列に配置する。この直列に重ねた磁石は、磁化方向がd軸方向(ここでは、ほぼ回転子の半径方向)となる位置で回転子鉄心2内に配置する。一方、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aを直列に重ねた磁石の両側に、固定磁力磁石4,4を磁化方向がd軸方向となる位置で配置する。この横に配置した固定磁力磁石4,4は、前記直列に重ねた磁石に対して、磁気回路上で並列回路を構成する。すなわち、磁気回路上では、可変磁力磁石3に対して、直列に固定磁力磁石4aを、並列に固定磁力磁石4,4を配置する。
したがって、回転子1内でq軸方向の磁路となる部分には磁石や磁気障壁となる穴は配置されていない鉄心となっているので、磁気抵抗が極めて小さくなる部分がある。この部分が、リアクタンストルク発生時の鉄の磁極部6となる。一方、d軸方向の永久磁石の磁極となる部分には前記の可変磁力磁石3と固定磁力磁石4が配置し、磁気抵抗が大きくなっている。これにより、回転子の周方向に磁気抵抗が異なる回転子が構成できる。
前記回転子鉄心2内に埋め込まれた、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aを積層した磁石と、両側の固定磁力磁石4,4とを取り囲むように回転子半径断面内のq軸外周側とd軸側前記固定磁力磁石近傍に配置する。この時、短絡コイル7a,7bは、固定磁力磁石4,4の磁化方向が中心軸となるようにする。この短絡コイル7a,7bは、リング状の導電性部材から構成し、回転子鉄心2内に設けた空洞5の縁の部分にはめ込むように装着する。なお、回転子鉄心2の穴に高温で溶けた導電性部材を流し込んで鋳造して製作することも可能である。この短絡コイル7a,7bは、可変磁力磁石3を除いた他の固定磁力磁石4,4の磁路部分に設ける。
[1−2.d軸電流による減磁及び増磁時の短絡コイルの作用]
次に、前記のような構成を有する本実施形態の永久磁石式回転電機における増磁時と減磁時の作用について説明する。なお、各図中に、固定子の電機子巻線や短絡コイル7によって発生した磁力の方向を矢印により示す。
図2は、永久磁石の全鎖交磁束を増磁時の説明する図である。本実施形態では、固定子の電機子巻線に通電時間が10ms程度の極短時間となるパルス的な電流を流して磁界を形成し、可変磁力磁石3に磁界Aを作用させる。永久磁石を磁化するための磁界Aを形成するパルス電流は、固定子の電機子巻線のd軸電流成分とする。
本来、前記d軸電流による磁界は可変磁力磁石3の磁化を変化させるために発生させるので、可変磁力磁石3が配されている部分に作用することが好ましい。しかしながら、前記d軸電流による磁界Aは、可変磁力磁石3のみでなく固定磁力磁石4にも作用する。すなわち、固定子の電機子巻線にd軸成分電流を流すと、可変磁力磁石3に作用する磁界A1、固定磁力磁石4,4に作用する磁界A2、固定磁力磁石とq軸の外周側に作用する磁界(漏れ磁界)A3が形成される。
そこで、前記d軸電流による磁界A2が固定磁力磁石4,4に作用し難くすると共に、漏れ磁界A3が作用し難くすればよい。本実施例では、固定磁力磁石4,4の上側に設ける短絡コイル7aは、固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置する。図3に示すように、短絡コイル7aの誘導電流による磁界が、漏れ磁界A3を打ち消すように作用するので、漏れ磁界A3が作用し難くなる。一方、固定磁力磁石4,4の下側に配置する短絡コイル7bは、固定磁力磁石4を取り囲むように配置する。
前記d軸電流による磁界A2が固定磁力磁石4,4に作用すると、前記磁界を打ち消すような誘導電流が短絡コイル7a,7bに流れる。従って、固定磁力磁石4,4中には前記d軸電流による磁界と短絡電流による磁界が打ち消しあうので、磁界の増減はほとんど生じない。また、前記d軸電流による磁界A3が回転子のq軸部分に作用すると、前記磁界を打ち消すような誘導電流が短絡コイル7aに流れる。従って、回転子のq軸部分でも前記d軸電流による磁界と短絡電流による磁界が打ち消しあうので、磁界の増減はほとんど生じない。
一方、前記d軸電流による磁界A1が可変磁力磁石3に作用しても、短絡コイル7a,7bには磁界A1の磁界を打ち消すような磁界は発生しない。さらに、磁界A2及び磁界A3が短絡コイル7a,7bに作用したことにより発生した、短絡電流による磁界が可変磁力磁石3にも作用し、d軸電流による磁界と可変磁力磁石3に作用する磁界A1の同方向になる。
図4は、永久磁石の全鎖交磁束の減磁時を説明する図である。永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、固定子の電機子巻線に通電時間が10ms程度の極短時間となるパルス的な電流を流して減磁時とは逆の磁界を形成し、可変磁力磁石3に磁界Bを作用させる。すなわち、固定子の電機子巻線にd軸成分電流を流すと、可変磁力磁石3に作用する磁界B1、固定磁力磁石4,4に作用する磁界B2、固定磁力磁石とq軸の外周側に作用する磁界(漏れ磁界)B3が形成される。
前記d軸電流による磁界B2が固定磁力磁石4,4に作用すると、前記磁界を打ち消すような誘導電流が短絡コイル7a,7bに流れる。従って、固定磁力磁石4,4中には前記d軸電流による磁界と短絡電流による磁界が打ち消しあうので、磁界の増減はほとんど生じない。また、前記d軸電流による磁界B3が回転子のq軸部分に作用すると、前記磁界を打ち消すような誘導電流が短絡コイル7aに流れる。従って、回転子のq軸部分にも前記d軸電流による磁界と短絡電流による磁界が打ち消しあうので、磁界の増減はほとんど生じない。
一方、前記d軸電流による磁界B1が可変磁力磁石3に作用しても、短絡コイル7a,7bには磁界B1の磁界を打ち消すような磁界は発生しない。さらに、磁界B2及び磁界B3が短絡コイル7a,7bに作用したことにより発生した、短絡電流による磁界が可変磁力磁石3にも作用し、d軸電流による磁界が可変磁力磁石3に作用する磁界B1の磁界と同方向になる。
[1−3.可変磁力磁石と固定磁力磁石の直列配置の作用]
本実施例では、2種類の磁石を磁気的に直列に配置しても良い。以下、2種類の永久磁石3,4aを磁気的に直列に配置した場合の減磁及び増磁の際の作用を図5〜11により説明する。
図5は、減磁前の最大の鎖交磁束量を得ている場合の図である。この場合、2種類の永久磁石は、可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aとする。また、可変磁力磁石3と直列に積層しない固定磁力磁石を固定磁力磁石4とする。可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aとの磁化方向は同一であるため、両方の永久磁石3,4aの磁束が加え合わせになって、最大の磁束量が得られる。
図6は、減磁時の状態を示すもので、電機子巻線によりd軸方向から両方の永久磁石3,4aの磁化方向とは逆方向の磁界を発生する負のd軸電流を電機子巻線にパルス的に通電させる。負のd軸電流によって変化した磁石内の磁界が175kA/mになったとすると、可変磁力磁石3(フェライト磁石)の保磁力が175kA/mなので可変磁力磁石3の磁力は不可逆的に大幅に低下する。この場合、可変磁力磁石3には、それに積層した固定磁力磁石4aからの磁界が加わっており、これが減磁のためのd軸方向から加わる磁界と打ち消し合うことになるため、その分大きな磁化電流が必要となるが、減磁のための磁化電流は増磁時に比較して少なくて済むので、磁化電流の増加は少ない。
図7は、負のd軸電流により逆磁界での可変磁力磁石3の磁力が減少した状態を示すものである。可変磁力磁石3の磁力は不可逆的に大幅に低下するが、固定磁力磁石4a(NdFeB磁石)の保磁力が1500kA/mなので磁力は不可逆的に低下しない。その結果、パルス的なd軸電流が0になると可変磁力磁石3のみが減磁した状態となり、全体の磁石による鎖交磁束量を減少することができる。
図8は、負のd軸電流により逆磁界での可変磁力磁石3の磁力が逆方向に磁化し、全体の磁石による鎖交磁束が最小になった状態を示すものである。負のd軸電流の大きさが可変磁力磁石3に着磁するために必要な350kA/mの磁界を発生しているならば、減磁していた可変磁力磁石3は着磁されて磁力を発生する。この場合、2種類の永久磁石3,4aの磁化方向が逆であるため、両方の永久磁石の磁束が減算され、磁束が最小となる。
図9は、負のd軸電流で極性が反転した可変磁力磁石3の磁力を減少させるために磁界を発生させた状態を示すものである。固定磁力磁石4aの磁化方向の磁界を発生する正のd軸電流を電機子巻線にパルス的に通電させる。正のd軸電流によって変化した磁石内の磁界が極性の反転した可変磁力磁石3の磁力を不可逆的に大幅に低下する。この場合、可変磁力磁石3に積層されている固定磁力磁石4aからの磁界が磁化電流による磁界と加え合わせになる(固定磁力磁石4aからバイアス的な磁界が可変磁力磁石3に作用する)ため、可変磁力磁石3の減磁が容易に行われる。
図10は、正のd軸電流による磁界で極性反転した可変磁力磁石3の磁力が減少した状態を示すものである。可変磁力磁石3の磁力を不可逆的に低下させる正のd軸電流による磁界には、固定磁力磁石4aによる磁界も加わっている。そのため、通常は大きな磁化電流を必要とする時においても、固定磁力磁石4aの作用により、磁化電流の増大を抑止できる。
図11は、正のd軸電流により可変磁力磁石3が逆方向に磁化(極性が再度反転)し、全体の磁石による鎖交磁束が最大になった状態を示すものである。2種類の永久磁石3,4aの磁化方向は同一であるため、両方の永久磁石の磁束が加え合わせになって、最大の磁束量が得られる。
[1−4.効果]
以上のような構成を有する本発明の実施例1によれば、次の効果が得られる。
(1)短絡コイル7aを固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置することによって、d軸電流によって可変磁力磁石3の磁化を行う際のq軸部漏れ磁束を大幅に低減することができる。
(2)可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aを直列配置することにより、可変磁力磁石3と直列配置した固定磁力磁石4aの磁界は、可変磁力磁石3内部では、可変磁力磁石3に対して並列に配置された固定磁力磁石4,4の磁界とは逆方向であり、互いに相殺するように作用する。これにより、可変磁力磁石3を不可逆減磁させた状態から増磁させて元の極性に戻す場合に、変化を妨げるような隣接する固定磁力磁石4,4による磁界を小さくできるので、可変磁力磁石3の磁力を変化させるときに要する磁化電流(d軸電流)を低減できる。
(3)可変磁力磁石3の厚さが薄くなることから、可変磁力磁石3内での磁化分布を均一にすることが可能となり、磁化電流の増加を抑止できるので、回転機の効率化を達成することができる。
[2−1.構成]
本発明の実施例2は、実施例1の永久磁石式回転電機において、短絡コイル7aの形状と配置場所とを変更したものである。すなわち、短絡コイル7aの形状は板状とし、固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置するが、固定磁力磁石4側では、可変磁力磁石3の側面に接するように配置する。
[2−2.実施例2の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石式回転電機における増磁時の作用について説明する。
永久磁石の全鎖交磁束を減少時には、固定子の電機子巻線にd軸成分電流を流し、回転子の磁極部6に磁界Aを作用させる。このとき、固定磁力磁石4,4に作用する磁界A2、固定磁力磁石4,4とq軸の外周側に作用する磁界(漏れ磁界)A3を打ち消すように誘導電流が短絡コイル7a,7bに流れる。これにより、磁界A2及び磁界(漏れ磁界)A3が作用する固定磁力磁石4,4及び固定磁力磁石4とq軸の外周側では、d軸電流による磁界と短絡電流による磁界が打ち消しあうので、磁界の増減はほとんど生じない。
一方、磁極中央部の可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aを直列に配置した部分では、前記d軸電流による磁界A1が可変磁力磁石3に作用しても、短絡コイル7a,7bには磁界A1の磁界を打ち消すような磁界は発生しない。また、磁界A2及び磁界A3が短絡コイル7a,7bに作用したことにより発生した、短絡電流による磁界が可変磁力磁石3にも作用する。この磁界は、d軸電流による磁界と可変磁力磁石3に作用する磁界A1の同方向になる。
本実施例では、可変磁力磁石3の側面全体に板状の短絡コイル7aが配置されている。この短絡コイル7aには、磁界A2及び磁界A3が短絡コイル7aに作用したことにより発生した短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は図12に示すように可変磁力磁石3に作用する。
この短絡電流による磁界は、短絡コイル7a近傍では大きな短絡コイル7aによる磁界が加わるが、短絡コイル7aより離れた位置では影響が小さくなる。しかしながら、本実施例では短絡コイル7aとして、板状のコイルを可変磁力磁石の側面に接するように配置している。これにより、可変磁力磁石において、短絡コイル7aより離れた部分が少なくなるので、可変磁力磁石に不均一な磁化分布が生じ難くなる。これは、永久磁石の全鎖交磁束を減少時でも同様である。
[2−3.実施例2の効果]
このような実施例2の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、可変磁力磁石に不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石の全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。また、短絡コイルが板状であることから、可変磁力磁石、並びに下層の固定磁力と、例えば、接着剤等で一体とすることができることから、永久磁石と一体で回転子鉄心内に挿入、組立が可能となり、組立作業が容易となる。
[3−1.構成]
本発明の実施例3は、実施例2の磁極部6の中央で固定磁力磁石4aとを直列に配置した可変磁力磁石3として、2種類の保持力が異なる可変磁力磁石を直列に配置したものである。すなわち、実施例2の可変磁力磁石3の代わりに、上層部に保磁力が強い可変磁力磁石3aを配置し、中層部に保磁力が可変磁力磁石3aより弱い可変磁力磁石3bを配置し、下層部に固定磁力磁石4aを配置してなる複合磁石を使用する。
[3−2.実施例3の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石式回転電機における増磁時の作用について説明する。
永久磁石の全鎖交磁束を減少時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は図13に示すように可変磁力磁石3a,3bに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。
しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[3−3.実施例3の効果]
このような実施例3の効果としては、前記実施例2の効果に比べて、複合磁石の中央部に保磁力の弱い可変磁力磁石3bを配置しているので、複合磁石の中央部に磁界A1が作用しにくい場合でも、磁化を確実に行うことができる。これにより、可変磁力磁石3bに不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3a,3bの全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。
[4−1.構成]
本発明の実施例4は、実施例2の永久磁石式回転電機において、短絡コイル7aの形状を変更したものである。すなわち、短絡コイル7aとして、板状の短絡コイルに代えて、複数の短絡コイルを配置したものである。この複数の短絡コイルを固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置するが、固定磁力磁石4側では、可変磁力磁石3の側面に接するように配置する。
[4−2.実施例4の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石式回転電機における増磁時の作用について説明する。
永久磁石の全鎖交磁束を増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、それぞれの短絡コイルを流れる短絡電流による磁界が合成されることにより、図14に示すように可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aに作用する。
[4−3.実施例4の効果]
このような実施例4の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、可変磁力磁石3に不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3の全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。
[5−1.構成]
本発明の実施例5は、実施例4の磁極部6の中央で固定磁力磁石4aとを直列に配置した可変磁力磁石3の代わりとして、2種類の保持力が異なる可変磁力磁石3a,3bを直列に配置したものである。すなわち、実施例4の可変磁力磁石3の代わりに、上層部に保磁力が強い可変磁力磁石3aを配置し、中層部に保磁力が可変磁力磁石3aより弱い可変磁力磁石3bを配置し、下層部に固定磁力磁石4aを配置してなる複合磁石を使用する。
[5−2.実施例5の作用]
次に、前記のような構成を有する実施例5の永久磁石式回転電機における増磁時の作用について説明する。
永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、それぞれの短絡コイルを流れるに短絡電流による磁界が合成されることにより、図15に示すように可変磁力磁石3a,3b,固定磁力磁石4aに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。
しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[5−3.実施例5の効果]
このような実施例5の効果としては、前記実施例4の効果に比べて、複合磁石の中央部に保磁力の弱い可変磁力磁石3bを配置しているので、複合磁石の中央部に磁界A1が作用しにくい場合でも、磁化を確実に行うことができる。これにより、可変磁力磁石3bに不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3a,3bの全体の均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。
[6−1.構成]
本発明の実施例6は、実施例2の永久磁石式回転電機において、短絡コイル7aの形状を変更したものである。すなわち、短絡コイル7aとして、板状の短絡コイル7aに代えて、1つの短絡コイルを配置したものである。この複数の短絡コイルを固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置するが、固定磁力磁石4側では、可変磁力磁石3の側面の中央に接するように配置する。
[6−2.実施例6の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石式回転電機における増磁時の作用について説明する。
永久磁石の全鎖交磁束を増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、短絡コイル7aが可変磁力磁石3の側面の中央部に配置されているので、図16に示すように可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aに作用する。
[6−3.実施例6の効果]
このような実施例6の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、可変磁力磁石3の側面の中央部に配置されているので、可変磁力磁石3に不均一な磁化分布が生じ難くなるため、可変磁力磁石3の全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。
[7−1.構成]
本発明の実施例7においては、実施例6の磁極部6の中央で固定磁力磁石4aとを直列に配置した可変磁力磁石3の代わりとして、上層部に保磁力が強い可変磁力磁石3aを配置し、中層部に保磁力が可変磁力磁石3aより弱い可変磁力磁石3bを配置し、下層部に固定磁力磁石4aを配置してなる複合磁石を使用する。
[7−2.実施例7の作用]
次に、前記のような構成を有する永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、それぞれの短絡コイルを流れるに短絡電流による磁界が合成されることにより、図17に示すように可変磁力磁石3a,3b及び固定磁力磁石4aに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[7−3.実施例7の効果]
このような実施例7の効果としては、前記実施例6の効果に比べて、複合磁石の中央部に保磁力の弱い可変磁力磁石3bを配置しているので、複合磁石の中央部に磁界A1が作用しにくい場合でも、磁化を確実に行うことができる。これにより、可変磁力磁石3bに不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3a,3bの全体の均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。
[8−1.構成]
本発明の実施例8は、実施例2の永久磁石式回転電機において、短絡コイル7aの形状を変更したものである。すなわち、短絡コイル7aとして、板状の短絡コイルに代えて、1つの短絡コイルを配置したものである。この複数の短絡コイルを固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置する。一方、固定磁力磁石4側では、可変磁力磁石3の側面の中央部に切り欠きを設け、その部分に嵌め込むようにして配置する。
[8−2.実施例8の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、短絡コイル7aが可変磁力磁石3の側面の中央部に設けられた切り欠き部分に配置されているので、図18に示すように可変磁力磁石3と固定磁力磁石4aに作用する。
[8−3.実施例8の効果]
このような実施例8の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、可変磁力磁石3の側面の中央部に設けられた切り欠き部分に配置されているので、可変磁力磁石3に不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3の全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。且つ、短絡コイルの回転遠心力による半径方向の力を保持することができることから、高速回転、及び高出力を実現でき、信頼性も向上する。また、可変磁力磁石、並びに固定磁力磁石と例えば、接着剤等で一体とすることができることから、永久磁石と一体で回転子鉄心内に挿入、組立が可能となり、組立作業が容易となる。
[9−1.構成]
本発明の実施例9においては、実施例6の磁極部6の中央で固定磁力磁石4aとを直列に配置した可変磁力磁石3の代わりとして、上層部に保磁力が強い可変磁力磁石3aを配置し、中層部に保磁力が可変磁力磁石3aより弱い可変磁力磁石3bを配置し、下層部に固定磁力磁石4aを配置してなる複合磁石を使用する。
[9−2.実施例9の作用]
次に、前記のような構成を有する永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、それぞれの短絡コイルを流れるに短絡電流による磁界が合成されることにより、図19に示すように可変磁力磁石3a,3b及び固定磁力磁石4aに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[9−3.実施例9の効果]
このような実施例9の効果としては、複合磁石の中央部に保磁力の弱い可変磁力磁石3bを配置しているので、複合磁石の中央部に磁界A1が作用しにくい場合でも、磁化を確実に行うことができる。これにより、可変磁力磁石3bに不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3a,3bの全体を均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。且つ、短絡コイルの回転遠心力による半径方向の力を保持することができることから、高速回転、及び高出力を実現でき、信頼性も向上する。また、可変磁力磁石、並びに固定磁力磁石と例えば、接着剤等で一体とすることができることから、永久磁石と一体で回転子鉄心内に挿入、組立が可能となり、組立作業が容易となる。
[10−1.構成]
本発明の実施例10は、実施例2の永久磁石式回転電機において、短絡コイル7aの形状と位置とを変更するとともに、磁極部6の中央で固定磁力磁石4aと直列に配置した可変磁力磁石3を、2種類の保持力が異なる可変磁力磁石3a,3bに変更したものである。
すなわち、磁極部6の中央で固定磁力磁石4aと直列に配置した可変磁力磁石3の代わりとして、上層部に保磁力が強い可変磁力磁石3aを配置し、中層部に保磁力が可変磁力磁石3aより弱い可変磁力磁石3bを配置し、下層部に固定磁力磁石4aを配置する。これらのなかで、上層部に配置する保磁力が強い可変磁力磁石3aの幅を、可変磁力磁石3b及び固定磁力磁石4aより狭くすることにより、短絡コイル7aを配置するスペースを設ける。
また、短絡コイル7aとして、板状の短絡コイルに代えて、1つの線状の短絡コイルを使用する。この短絡コイルを固定磁力磁石4とq軸外周部とを取り囲むように配置する。一方、固定磁力磁石4側では、磁極部6の中央の固定磁力磁石4aと可変磁力磁石3a,3bを直列に配置した磁石の可変磁力磁石3aの幅を狭くしてできたスペースに配置する。
[10−2.実施例10の作用]
次に、前記のような構成を有する本実施例の永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、短絡コイル7aが可変磁力磁石3aの幅を狭くしてできたスペースに配置されているので、図20に示すように可変磁力磁石3及び固定磁力磁石4aに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[10−3.実施例10の効果]
このような実施例10の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、磁力磁石3aの幅を狭くしてできたスペースに配置されているので、可変磁力磁石3a,3bに短絡コイルで発生する磁界を作用しやすくなる。また、d軸電流による磁界A1により複合磁石の磁化を確実に行うことができる。したがって、不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石3a,3bの全体の均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。且つ、短絡コイルの回転遠心力による半径方向の力を保持することができることから、高速回転、及び高出力を実現でき、信頼性も向上する。
[11−1.構成]
本発明の実施例11は、実施例10の永久磁石式回転電機の短絡コイル7aを配置する位置を変更したものである。
すなわち、実施例10では、複合磁石のうち上層部に配置する可変磁力磁石3aの幅を、可変磁力磁石3b及び固定磁力磁石4aより狭くすることにより、短絡コイル7aを配置するスペースを設けた。一方、本実施例では、中層部の可変磁力磁石3の幅を可変磁力磁石3b及び固定磁力磁石4aより狭くすることにより、短絡コイル7aを配置するスペースを設ける。
[11−2.実施例11の作用]
次に、前記のような構成を有する実施例の永久磁石の全鎖交磁束の増磁時には、d軸電流による磁界が短絡コイル7aに作用したことにより、短絡コイル7aに短絡電流が流れる。この短絡電流による磁界は、短絡コイル7aが可変磁力磁石3bの幅を狭くしてできたスペースに配置されているので、図21に示すように可変磁力磁石3a,3bと固定磁力磁石4aに作用する。
また、複合磁石にはd軸電流による磁界A1も可変磁力磁石3a,3bに作用する。この磁界A1が複合磁石に作用する場合、中央部の可変磁力磁石3bに作用する磁界の強さは、上層部の可変磁力磁石3a及び下層部の固定磁力磁石4aに作用する磁界の強さに比べて弱くなる。しかしながら、中央部の可変磁力磁石3bの保持力は、上層部の可変磁力磁石3aに比べて弱いので、磁界A1の磁界の強さが弱い場合でも、可変磁力磁石3bの磁化を確実に行うことができる。
[11−3.実施例11の効果]
このような実施例11の効果としては、前記実施例1の効果に比べて、磁力磁石3aの幅を狭くしてできたスペースに配置されているので、可変磁力磁石3a,3bに短絡コイルで発生する磁界を作用しやすくなる。また、d軸電流による磁界A1により複合磁石の磁化を確実に行うことができる。したがって、不均一な磁化分布が生じ難くなるので、可変磁力磁石の全体の均一な磁化を行うための磁化電流を低減することが可能になる。且つ、短絡コイルの回転遠心力による半径方向の力を保持することができることから、高速回転、及び高出力を実現でき、信頼性も向上する。また、短絡コイルを上層可変磁石と固定磁力磁石の間に配置し、可変磁力磁石、並びに固定磁力磁石と例えば、接着剤等で一体とすることができることから、永久磁石と一体で回転子鉄心内に挿入、組立が可能となり、組立作業が容易となる。
1…回転子
2…回転子鉄心
3,3a,3b…可変磁力磁石
4,4a…固定磁力磁石
5…空洞
6…磁極部
7,7a,7b…短絡コイル

Claims (9)

  1. 保磁力と磁化方向厚さの積が互いに異なる2種類以上の永久磁石を用いて回転子の磁極を形成し、
    この磁極を回転子鉄心内に複数個配置して回転子を形成し、
    この回転子の外周にエアギャップを介して固定子を配置し、
    この固定子に電機子鉄心と電機子巻線を設け、
    この電機子巻線が作る磁界により前記回転子の磁極を構成する永久磁石の少なくとも1個を磁化させることにより、永久磁石の磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石式回転電機において、
    前記回転子半径断面内のq軸外周側から、d軸側前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面近傍にわたって取り囲み、前記電機子巻線に磁化電流を通電させて発生した磁束で発生する短絡電流によって前記磁化電流による磁界と反対方向の磁力を有する磁界を発生させるように導電部材を配置することにより短絡コイルを構成しことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 前記導電性部材を板状の部材から構成し、回転子半径断面内のq軸外周側と前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面に板状の導電性部材を配置することにより短絡コイルを構成することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
  3. 前記導電性部材を回転子半径断面内のq軸外周側と前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の磁化垂直方向の側面に複数個配置することにより短絡コイルを構成することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
  4. 前記導電性部材を回転子半径断面内のq軸外周側と前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の磁化方向厚みの中央部に配置することにより短絡コイルを構成することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
  5. 前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石の厚みの中央部に切り欠きを設け、
    この切り欠き部分に前記導電性部材を配置することにより短絡コイルを構成することを特徴とする請求項4に記載の永久磁石式回転電機。
  6. 前記磁束量を不可逆的に変化させる永久磁石は、保磁力と磁化方向厚さの積が互いに異なる複数の磁石を磁化方向の向きが直列になるよう積層したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機。
  7. 保磁力と磁化方向厚さの積が互いに異なる2種類以上の永久磁石を用いて回転子の磁極を形成し、
    前記永久磁石を磁気回路上で3層以上に直列に配置して磁極を構成する永久磁石式回転電機において、
    上層部及び中層部には、保磁力と磁化方向厚さの積が小の永久磁石を積層し、下層部には、保磁力と磁化方向厚さの積が大の永久磁石を積層したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の永久磁石式回転電機。
  8. 保磁力と磁化方向厚さの積が互いに異なる3種類の永久磁石を用いて回転子の磁極を形成し、
    前記永久磁石を磁気回路上で3層に直列に配置して磁極を構成し、
    この磁極の上層部及び中層部には、保磁力と磁化方向厚さの積が小の永久磁石を積層し、下層部には、保磁力と磁化方向厚さの積が大の永久磁石を積層する永久磁石式回転電機において、
    上層部及び中層部のいずれか一方の永久磁石の幅を下層部の永久磁石の幅よりも狭くすることにより短絡コイルを配置するスペースを設け、
    このスペースに前記導電性部材を配置することにより短絡コイルを構成することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
  9. 前記永久磁石を磁気回路上で3層以上に直列に配置して磁極を構成する永久磁石式回転電機において、
    上層部に配置する永久磁石の保磁力と磁化方向厚の積が、中層部に配置する永久磁石に比べ高いことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の永久磁石式回転電機。
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