JP5197498B2 - ジンバル制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ジャイロ機構のジンバル制御装置に関するものである。
角運動量を有する物体が、その角運動量ベクトルの方向を変えた場合、角運動量ベクトルと、角運動量ベクトルの変化速度に対応する角速度ベクトルとの外積で与えられるジャイロ・トルクが、物体から外界に対して作用する。ジャイロ機構は、当該作用を利用した装置であり、従来から船舶、ゴンドラ、クレーン等の制振装置、人工衛星、航空機等の姿勢制御装置として使用されている。
図12は、一般的なジャイロ機構の全体図である。図12に示すジャイロ機構10は、ロータ1、ジンバル・ハウジング2、ホイール軸受3、ホイール・モータ4、ジンバル・ハウジング支持フレーム5、ジンバル軸受6、ジンバル・モータ7、角度検出器8、および制御器9で構成されている。
ジンバル・ハウジング2およびホイール軸受3は、ロータ1をスピン軸(Z軸)回りに回転自在に支持する。ホイール・モータ4は、ジンバル・ハウジング2に固定され、ロータ1に対してスピン軸(Z軸)回りの回転トルクを作用させる。ジンバル・ハウジング支持フレーム5およびジンバル軸受6は、ジンバル・ハウジング2をジンバル軸(X軸)回りに回転自在に支持する。
ジンバル・モータ7は、ジンバル・ハウジング支持フレーム5に固定され、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2に対してジンバル軸(X軸)回りの回転トルク(以下、ジンバル・トルク)を作用させる。角度検出器8は、ジンバル・ハウジング支持フレーム5に固定され、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2のジンバル軸(X軸)回りの回転角度(以下、ジンバル角度)を検出する。そして、制御器9は、角度検出器8によって検出したジンバル角度に基づいて制御演算を実行し、演算結果をジンバル・モータ7にフィードバックする。
このような構成のもと、ジンバル・ハウジング2に固定されたホイール・モータ4によって、ロータ1を所定の角速度でZ軸回りに回転させる。さらに、ジンバル・ハウジング支持フレーム5に固定されたジンバル・モータ7によって、ロータ1、ジンバル・ハウジング2、ホイール軸受3、およびホイール・モータ4全体をX軸回りに回転させる。これにより、ロータ1が有するZ軸方向の角運動量ベクトルと、ジンバル・モータ7によるロータ1のX軸方向の角速度ベクトルとの外積で与えられるY軸方向のジャイロ・トルクが、外界に対して出力される。
通常、ロータ1におけるZ軸回りの回転運動は、ホイール・モータ4を介して制御器9によって制御される。また、X軸回りの回転運動は、角度検出器8によって検出したロータ1のX軸回り回転角度に基づいて、ジンバル・モータ7を介して制御器9によって制御される。
ここで、ジャイロ機構10を人工衛星の姿勢制御装置として適用する場合に、ロータに対してジャイロ・トルクの出力軸回りにトルクを作用させる磁気アクチュエータを追加することで、人工衛星に伝達するジャイロ・トルクから脈動トルクを除去するものがある(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、先の図12の構成において、ジンバル・ハウジング2に対するロータ1の支持方式を、従来のホイール軸受3による機械的な支持から、磁気軸受を利用した非接触支持に変更している。これにより、磁気軸受が、ロータ1に対してジャイロ・トルクの出力軸(Y軸)回りに回転トルクを作用させる。当該回転トルクによって、ロータ1は、ジンバル軸(X軸)回りに摂動し、ジンバル・モータ7がこの摂動に追従するようにフィードバック制御される。この結果、磁気軸受によって出力軸(Y軸)回りに作用させた回転トルクを人工衛星に直接伝達させることで、人工衛星に伝達するジャイロ・トルクから脈動トルクを除去するようにしている。
特表平8−505826号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
この従来技術は、ジャイロ機構10を人工衛星の姿勢制御装置として適用する場合に、人工衛星に伝達するジャイロ・トルクから脈動トルクを除去する方法である。しかしながら、ホイール・モータ4およびジンバル・モータ7に加えて、ジンバル・ハウジング2に対してロータ1を非接触支持するための磁気軸受を追加する必要がある。この結果、構造の複雑化、質量の増加、および信頼性の低下を招くという問題がある。
また、従来のジャイロ機構10が発生するジャイロ・トルクは、ロータ1が有するZ軸方向の角運動量ベクトルと、ジンバル・モータ7によるロータ1のX軸方向の角速度ベクトルとの外積で与えられる。従って、非常に大きなジャイロ・トルクが出力できるという点が特徴の一つである。しかしながら、特許文献1における従来技術では、磁気軸受で発生する出力軸(Y軸)回りの回転トルクしか出力できないため、ジャイロ機構10としての最大出力トルクが大幅に低下するという問題もある。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、人工衛星、航空機等の姿勢制御装置としてジャイロ機構を適用する場合、新たな機械構造を追加することなく、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクから脈動トルクを除去することのできるジンバル制御装置を得ることを目的とする。
本発明に係るジンバル制御装置は、ジンバル軸回りの回転角度の検出結果に基づいて速度制御系による第1のジンバル・トルク指令値を制御演算し、第1のジンバル・トルク指令値に基づいてジャイロ機構のジンバル・モータをフィードバック制御する制御部を備え、制御部は、外乱トルクに対するジンバル角速度の感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減する第2のジンバル・トルク指令値を算出する制御ブロックをさらに備え、第1のジンバル・トルク指令値に対して第2のジンバル・トルク指令値を重畳したジンバル・トルク指令値によりジンバル・モータに供給する電流を制御するものである。
本発明に係るジンバル制御装置によれば、外乱トルクに対するジンバル角速度の感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減するようにジンバル・トルク指令値を生成してジンバル・モータに供給する電流を制御することにより、人工衛星、航空機等の姿勢制御装置としてジャイロ機構を適用する場合、新たな機械構造を追加することなく、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクから脈動トルクを除去することのできるジンバル制御装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るジンバル制御装置のブロック線図である。 本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における進相量の最適調整方法の説明図である。 従来のジンバル制御装置における、外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示した図である。 従来のジンバル制御装置における、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形を示した図である。 本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示す図である。 本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形を示した図である。 本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における、回転座標系回転速度と進相量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るジンバル制御装置のブロック線図である。 本発明の実施の形態3に係るジンバル制御装置のブロック線図である。 本発明の実施の形態4に係るジンバル制御装置のブロック線図である。 本発明の実施の形態4のジンバル制御装置における外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示す図である。 一般的なジャイロ機構の全体図である。
以下、本発明のジンバル制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態1〜4におけるジャイロ機構自体は、従来技術として説明した図12と同一である。また、各実施の形態の図中において、同一の符号を付したものは、同一部分または相当部分を示す。
実施の形態1.
先の図12に示した構成のもと、ホイール・モータ4によって、ロータ1を所定の角速度でスピン軸(Z軸)回りに回転させる。さらに、ジンバル・モータ7によって、ロータ1、ジンバル・ハウジング2、ホイール軸受3、およびホイール・モータ4全体をジンバル軸(X軸)回りに回転させる。これにより、ロータ1が有するスピン軸(Z軸)方向の角運動量ベクトルと、ジンバル・モータ7によるロータ1のジンバル軸(X軸)方向の角速度ベクトルとの外積で与えられるトルク出力軸(Y軸)方向のジャイロ・トルクが、外界に対して出力される。
このとき、ジンバル軸(X軸)回りの回転運動は、角度検出器8によって検出したロータ1を含むジンバル・ハウジング2のジンバル角度に基づいて、ジンバル・モータ7を介して制御器9で制御される。
図1は、本発明の実施の形態1に係るジンバル制御装置のブロック線図である。図1に示したように、本実施の形態1のジンバル制御装置は、位置制御器11、速度制御器12、電流制御器13、疑似微分器14、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、積分器17、および固定座標変換器18を備えており、先の図12に示したジャイロ機構10の制御を行っている。なお、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、積分器17、および固定座標変換器18で構成されるブロックは、制御ブロック20に相当し、本願発明の技術的特徴を有する構成部分に相当する。
位置制御器11は、角度検出器8によって検出されたジンバル角度θをフィードバックし、ジンバル角度指令θとの偏差を入力としてジンバル角速度指令ωを算出する。疑似微分器14は、ジンバル角度θを入力としてジンバル角速度ωを算出する。速度制御器12は、ジンバル角速度指令ωとジンバル角速度ωとの偏差を入力として、第1のジンバル・トルク指令を算出する。
回転座標変換器15は、疑似微分器14で算出されたジンバル角速度ωの符号反転値を、所定の回転速度で回転する回転座標系による表現に変換する。低域通過フィルタ16は、回転座標変換器15の出力から所定の周波数以下の周波数成分を抽出する。積分器17は、低域通過フィルタ16の出力を積分する。さらに、固定座標変換器18は、積分器17の出力に対して所定の進相量を重畳して、固定座標系による表現に変換し、第2のジンバル・トルク指令を出力する。
電流制御器13は、速度制御器12から出力される第1のジンバル・トルク指令と、固定座標変換器18から出力される第2のジンバル・トルク指令との加算値をジンバル・トルク指令τとして入力する。さらに、電流制御器13は、ジンバル・トルク指令τに基づいて、ジャイロ機構10内のジンバル・モータ7に供給する電流を制御する。
次に、制御ブロック20による進相量の最適調整方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における進相量の最適調整方法の説明図である。図2において、X、Y軸は、回転座標変換器15における回転座標系の座標軸である。また、図2中の符号21〜24は、以下のものを意味している。
21:固定座標系に対する回転座標系の回転方向を、矢印で表したもの。
22:制御ブロック20の動作後における、低域通過フィルタ16の出力が描く軌跡を矢印で表したものであり、固定座標変換器18における進相量が最適値の場合
23:制御ブロック20の動作後における、低域通過フィルタ16の出力が描く軌跡を矢印で表したものであり、固定座標変換器18における進相量が最適値よりも小さい場合
24:制御ブロック20の動作後における、低域通過フィルタ16の出力が描く軌跡を矢印で表したものであり、固定座標変換器18における進相量が最適値よりも大きい場合
次に、図1に示したジンバル制御装置の具体的な動作について説明する。まず始めに、ジャイロ機構10に対する一般的なジンバル制御装置の1つとして、図1に示すブロック線図において、制御ブロック20を除いたフィードバック制御系について説明する。
図3は、従来のジンバル制御装置における、外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示した図である。当該制御系において、実際のジャイロ機構10では、ジンバル軸(X軸)回りの外乱トルクτがジャイロ機構10の入力段に重畳する。このため、このときの外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの周波数特性は、大略、この図3で与えられる。ただし、図3において、J、Kは、以下のものを意味している。
J:ロータ1、ジンバル・ハウジング2、ホイール軸受3、およびホイール・モータ4全体のジンバル軸(X軸)回りの慣性モーメント
:速度制御器12の比例ゲイン
一方、回転体の一般的な特性として、ロータ1をスピン軸(Z軸)回りに回転速度Ωで回転させた場合、ロータ1が有する動不釣合い、ホイール軸受3の不均一性等に起因して、ジンバル軸(X軸)回りの外乱トルクτがロータ1から発生する。通常、当該外乱トルクτは、ロータ1の回転運動に同期しており、その周波数成分は、aを所定の実定数として、aΩで与えられる。
このような外乱トルクτに対して、図3に示すように、慣性モーメントJ、比例ゲインK、および外乱トルクの周波数aΩで決定する所定ゲインで、ジンバル角速度ωが応答する。図4は、従来のジンバル制御装置における、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形を示した図である。この図4に示すように、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2は、当該外乱トルクτに起因してジンバル軸(X軸)回りに周波数aΩで微小振動する。
ジャイロ機構10が出力するトルク出力軸(Y軸)方向のジャイロ・トルクτは、ロータ1が有するスピン軸(Z軸)方向の角運動量と、ロータ1のジンバル角速度ωとの積で与えられる。このため、図4に示すように、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2がジンバル軸(X軸)回りに周波数aΩで微小振動すると、ジャイロ・トルクτには、当該振動に同期した脈動トルクが発生する。
そこで、本実施の形態1におけるジンバル制御装置では、はじめに、先の図1に示す回転座標変換器15によって、ジンバル角速度ωの符号反転値を、回転速度aΩで回転する回転座標系表現に変換する。
このときの変換式は、ωRX、ωRYをそれぞれ回転座標系表現のX成分、Y成分、tを時間として、下式(1)で与えられる。
Figure 0005197498
さらに、周波数aΩのジンバル角速度ωの微小振動を、振幅をω(バー)、位相角を
Figure 0005197498
として、下式(2)とおく。ただし、ω(バー)という表記は、ωの上に ̄が付されたことを意味している。
Figure 0005197498
上式(1)、(2)より、回転座標変換器15の出力は、下式(3)となり、周波数2aΩの交流成分と直流信号に分離される。
Figure 0005197498
次に、低域通過フィルタ16のカットオフ周波数を、上式(3)の交流成分(周波数2aΩ)を十分減衰可能な値に設定することで、低域通過フィルタ16によって回転座標変換器15の出力(上式(3))から直流成分のみを抽出する。さらに、低域通過フィルタ16の出力を、積分器17によって積分する。
積分器17の出力は、固定座標変換器18に入力され、所定の進相量φを重畳して、固定座標系表現に変換する。このときの変換式は、X、Yを積分器17の出力におけるX成分、Y成分とし、X、Yを固定座標変換器18の出力におけるX成分、Y成分として、下式(4)で与えられる。
Figure 0005197498
そこで、固定座標変換器18の出力のうち、Xをジンバル・トルク指令に重畳する。このとき、制御ブロック20の伝達関数W(s)は、下式(5)で与えられる。
Figure 0005197498
ここで、上式(5)におけるωLPFおよびKは、以下の内容を意味している。
ωLPF :低域通過フィルタ16におけるカットオフ周波数
:積分器17における比例係数
図5は、本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示す図である。図1における制御ブロック20を付加した全体の周波数特性は、大略、この図5で表される。
図5に示すように、制御ブロック20を付加することで、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度aΩと等価な周波数域において、低減することができる。
図6は、本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形を示した図である。図5の周波数特性を備えることで、図6に示すように、周波数aΩの外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの微小振動を抑制することが可能となる。その結果、ジャイロ機構10が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度aΩと等価な周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
なお、固定座標変換器18において重畳する進相量φの最適値は、先の図2に示すように、回転座標系で表現された低域通過フィルタ16の出力が、制御ブロック20の動作後に描く軌跡に基づいて調整することができる。具体的には、進相量φの設定が最適値よりも小さい場合、矢印23に示すように、当該軌跡は、回転座標系の回転方向21と同一方向に回転する。また、進相量φの設定が最適値よりも大きい場合、矢印24に示すように、当該軌跡は、回転座標系の回転方向21と反対方向に回転する。その一方、進相量φの設定が最適値の場合、矢印22に示すように、当該軌跡は、回転座標系上を回転することなく原点に収束する。
図7は、本発明の実施の形態1のジンバル制御装置における、回転座標系回転速度と進相量との関係を示すグラフである。固定座標変換器18において重畳する進相量φは、回転座標変換器15における回転座標系の回転速度aΩに応じて、上記調整方法に基づいて常に最適値となるように設定されている。このときの回転座標系回転速度aΩと進相量φの関係は、大略、この図7に示すとおりとなる。
これにより、回転座標系の回転速度aΩ(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することが可能となる。
以上のように、実施の形態1によれば、回転座標変換器、低域通過フィルタ、積分器、および固定座標変換器で構成される制御ブロックを備えている。これにより、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減することができる。この結果、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの変動を抑制し、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度と等価な周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
特に、外乱トルクτがロータのスピン軸回り回転運動に同期して、周波数aΩ(a:所定の実定数、Ω:ロータのスピン軸回り回転速度)で発生する場合には、回転座標系の回転速度をaΩと設定することで、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、ロータのスピン軸回り回転運動に同期した脈動トルクを除去することができる。
さらに、本実施の形態1のジンバル制御装置では、回転座標変換器における回転座標系の回転速度に応じて、固定座標変換器において重畳する進相量φが、常に最適値となるように設定される。この結果、回転座標系の回転速度(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、外部からジンバル角度指令θが与えられた場合の制御方法について説明した。これに対して、本実施の形態2では、外部からジンバル角速度指令ωが与えられた場合に、同様の制御方法を適用する場合について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係るジンバル制御装置のブロック線図である。図8に示したように、本実施の形態2のジンバル制御装置は、速度制御器12、電流制御器13、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、積分器17、および固定座標変換器18を備えており、先の図12に示したジャイロ機構10の制御を行っている。なお、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、積分器17、および固定座標変換器18で構成されるブロックは、制御ブロック20に相当し、本願発明の技術的特徴を有する構成部分に相当する。
先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、本実施の形態2における図8の構成は、位置制御器11および疑似微分器14を備えていない点が異なっている。また、本実施の形態2におけるジャイロ機構(図12)は、ジンバル角度を検出する角度検出器8の代わりに、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2のジンバル軸(X軸)回りのジンバル角速度を検出する角速度検出器8aを備えている。
速度制御器12は、角速度検出器8aによって検出されたジンバル角速度ωをフィードバックし、ジンバル角速度指令ωとの偏差を入力として第1のジンバル・トルク指令を算出する。
回転座標変換器15は、角速度検出器8aによって検出されたジンバル角速度ωの符号反転値を、所定の回転速度で回転する回転座標系による表現に変換する。低域通過フィルタ16は、回転座標変換器15の出力から所定の周波数以下の周波数成分を抽出する。積分器17は、低域通過フィルタ16の出力を積分する。さらに、固定座標変換器18は、積分器17の出力に対して所定の進相量を重畳して、固定座標系による表現に変換し、第2のジンバル・トルク指令を出力する。
電流制御器13は、速度制御器12から出力される第1のジンバル・トルク指令と、固定座標変換器18から出力される第2のジンバル・トルク指令との加算値をジンバル・トルク指令τとして入力する。さらに、電流制御器13は、ジンバル・トルク指令τに基づいて、ジャイロ機構10内のジンバル・モータ7に供給する電流を制御する。
なお、本実施の形態2のジンバル制御装置における進相量の最適調整方法、外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形、および回転座標系回転速度と進相量の関係は、それぞれ、先の実施の形態1の図2、図5、図6および図7と同一である。
次に、図8に示したジンバル制御装置の具体的な動作について説明する。まず始めに、ジャイロ機構10に対する一般的なジンバル制御装置の1つとして、図8に示すブロック線図において、制御ブロック20を除いたジンバル角速度ωのフィードバック制御系について説明する。
当該制御系において、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの周波数特性は、大略、先の図3で与えられる。一方、回転体の一般的な特性として、ロータ1をスピン軸(Z軸)回りに回転速度Ωで回転させた場合、ロータ1が有する動不釣合い、ホイール軸受3の不均一性等に起因して、ジンバル軸(X軸)回りの外乱トルクτがロータ1から発生する。通常、当該外乱トルクτは、ロータ1の回転運動に同期しており、その周波数成分は、aを所定の実定数として、aΩで与えられる。
このような外乱トルクτに対して、図3に示す所定ゲインで、ジンバル角速度ωが応答する。このため、ロータ1を含むジンバル・ハウジング2は、先の図4に示すように、当該外乱トルクτに起因してジンバル軸(X軸)回りに周波数aΩで微小振動する。その結果、ジャイロ機構10が出力するジャイロ・トルクτには、当該振動に同期した脈動トルクが発生する。
そこで、本実施の形態2におけるジンバル制御装置では、はじめに、先の図8に示す回転座標変換器15によって、ジンバル角速度ωの符号反転値を、回転速度aΩで回転する回転座標系表現に変換する。
このときの変換式は、上式(1)で与えられ、周波数aΩのジンバル角速度ωの微小振動を、上式(2)とおくと、回転座標変換器15の出力は、上式(3)に示すように、周波数2aΩの交流成分と直流信号に分離される。
次に、低域通過フィルタ16のカットオフ周波数を、上式(3)の交流成分(周波数2aΩ)を十分減衰可能な値に設定することで、低域通過フィルタ16によって回転座標変換器15の出力(上式(3))から直流成分のみを抽出する。さらに、低域通過フィルタ16の出力を、積分器17によって積分する。
積分器17の出力は、固定座標変換器18に入力され、所定の進相量φを重畳して、固定座標系表現に変換する。このときの変換式は、上式(4)で与えられ、固定座標変換器18の出力のうち、Xをジンバル・トルク指令に重畳する。
このとき、制御ブロック20の伝達関数W(s)は、上式(5)、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの周波数特性は、大略、先の図5で表される。このようにして、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度aΩと等価な周波数域において低減することができる。
これにより、先の図6に示すように、周波数aΩの外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの微小振動を抑制することが可能となる。その結果、ジャイロ機構10が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度aΩと等価な周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
なお、固定座標変換器18において重畳する進相量φの最適値は、先の図2に示すように、回転座標系で表現された低域通過フィルタ16の出力が、制御ブロック20の動作後に、回転座標系上を回転することなく原点に収束する値として、調整することができる。
固定座標変換器18において重畳する進相量φは、回転座標変換器15における回転座標系の回転速度aΩに応じて、上記調整方法に基づいて常に最適値となるように設定されている。このときの回転座標系回転速度aΩと進相量φの関係は、大略、先の図7に示すとおりとなる。
これにより、回転座標系の回転速度aΩ(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することが可能となる。
以上のように、実施の形態2によれば、回転座標変換器、低域通過フィルタ、積分器、および固定座標変換器で構成される制御ブロックを備えている。これにより、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減することができる。この結果、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの変動を抑制し、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度と等価な周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
特に、外乱トルクτがロータのスピン軸回り回転運動に同期して、周波数aΩ(a:所定の実定数、Ω:ロータのスピン軸回り回転速度)で発生する場合には、回転座標系の回転速度をaΩと設定することで、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、ロータのスピン軸回り回転運動に同期した脈動トルクを除去することができる。
さらに、本実施の形態2のジンバル制御装置では、回転座標変換器における回転座標系の回転速度に応じて、固定座標変換器において重畳する進相量φが、常に最適値となるように設定される。この結果、回転座標系の回転速度(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、制御ブロック20内の構成が、先の実施の形態1、2とは異なる場合について、説明する。
図9は、本発明の実施の形態3に係るジンバル制御装置のブロック線図である。図9に示したように、本実施の形態3のジンバル制御装置は、位置制御器11、速度制御器12、電流制御器13、疑似微分器14、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、不完全積分器19、および固定座標変換器18を備えており、先の図12に示したジャイロ機構10の制御を行っている。なお、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、不完全積分器19、および固定座標変換器18で構成されるブロックは、本実施の形態3における制御ブロック20に相当し、本願発明の技術的特徴を有する構成部分に相当する。
先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、本実施の形態3における図9の構成は、制御ブロック20内の積分器として、積分器17の代わりに不完全積分器19を備えている点が異なっている。この不完全積分機19は、所定の周波数以上の周波数領域においてのみ、低域通過フィルタ16の出力を積分するものである。その他の構成要素は、先の実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
なお、本実施の形態3のジンバル制御装置における進相量の最適調整方法、外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形、および回転座標系回転速度と進相量の関係は、それぞれ、先の実施の形態1の図2、図5、図6および図7と同一である。
次に、図9に示したジンバル制御装置の具体的な動作について説明する。この図9に示すブロック線図において、制御ブロック20を除くフィードバック制御系、回転座標変換器15、低域通過フィルタ16、固定座標変換器18の機能および動作は、全て先の実施の形態1と同一である。
先の実施の形態1では、低域通過フィルタ16の出力を積分器17によって積分していた。この場合、ジャイロ機構10におけるジンバル・モータ7によって、ジンバル軸(X軸)回りに作用する外乱トルクτを相殺することで、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの変動を抑制している。
換言すれば、ジンバル・モータ7が外乱トルクτを完全に相殺できない場合、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの微小振動が残留し、積分器17の出力が増加し続けるため、ジンバル制御装置の安定性を損なう可能性がある。
そこで、本実施の形態3におけるジンバル制御装置では、制御ブロック20内の積分器を、所定の周波数以上の周波数領域においてのみ、低域通過フィルタ16の出力を積分する不完全積分器19としている。
この不完全積分器19の回転座標系における伝達関数は、下式(6)で与えられる。
Figure 0005197498
ここで、上式(6)におけるωDISおよびKは、以下の内容を意味している。
ωDIS :不完全積分器19におけるカットオフ周波数
:不完全積分器19における比例係数
ジンバル・モータ7が外乱トルクτを完全に相殺できず、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの微小振動が残留する場合でも、不完全積分器19の出力が所定範囲内に制限される。このため、ジンバル制御装置の安定性を維持することが可能となる。
以上のように、実施の形態3によれば、回転座標変換器、低域通過フィルタ、不完全積分器、および固定座標変換器で構成される制御ブロックを備えている。これにより、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減することができる。この結果、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの変動を抑制し、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度と等価な周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
特に、外乱トルクτがロータのスピン軸回り回転運動に同期して、周波数aΩ(a:所定の実定数、Ω:ロータのスピン軸回り回転速度)で発生する場合には、回転座標系の回転速度をaΩと設定することで、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、ロータ1のスピン軸回り回転運動に同期した脈動トルクを除去することができる。
さらに、本実施の形態3のジンバル制御装置では、回転座標変換器における回転座標系の回転速度に応じて、固定座標変換器において重畳する進相量φが、常に最適値となるように設定される。この結果、回転座標系の回転速度(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
加えて、本実施の形態3のジンバル制御装置では、低域通過フィルタの出力の積分に不完全積分器を適用している。この結果、回転座標系の回転速度と等価な周波数成分においてジンバル角速度ωの変動が完全に抑制できない場合においても、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
なお、本実施の形態3では、不完全積分器19を備えた制御ブロック20を、先の実施の形態1に適用する場合について説明したが、先の実施の形態2に適用することもでき、同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、基本的には、先の実施の形態3と同様の構成を備えるとともに、制御ブロック20を複数備える場合について、説明する。なお、以下の説明では、制御ブロック20を複数備える構成の一例として、2つの制御ブロック20a、20bによる構成について、具体的に説明する。
図10は、本発明の実施の形態4に係るジンバル制御装置のブロック線図である。図10に示したように、本実施の形態4のジンバル制御装置は、位置制御器11、速度制御器12、電流制御器13、疑似微分器14、および2系統の制御ブロック20a、20bを備えており、先の図12に示したジャイロ機構10の制御を行っている。なお、これら2系統の制御ブロック20a、20bは、ともに、先の実施の形態3における制御ブロック20と同様の構成を備えており、本願発明の技術的特徴を有する構成部分に相当する。
次に、本実施の形態4の特徴である2系統の制御ブロック20a、20bの機能を中心に、以下に説明する。説明をわかり易くするために、2系統を添字a、bで区別するとともに、第1、第2と称して説明する。
第1の回転座標変換器15aおよび第2の回転座標変換器15bは、疑似微分器14で算出されたジンバル角速度ωの符号反転値を、それぞれロータ1のスピン軸(Z軸)回り回転速度Ωのa倍およびa倍で回転する回転座標系による表現に変換する。第1の低域通過フィルタ16aおよび第2の低域通過フィルタ16bは、それぞれ第1の回転座標変換器15aおよび第2の回転座標変換器15bの出力から所定の周波数以下の周波数成分を抽出する。
第1の不完全積分器19aおよび第2の不完全積分器19bは、所定の周波数以上の周波数領域においてのみ、それぞれ第1の低域通過フィルタ16aおよび第2の低域通過フィルタ16bの出力を積分する。さらに、第1の固定座標変換器18aおよび第2の固定座標変換器18bは、それぞれ第1の不完全積分器19aおよび第2の不完全積分器19bの出力に対して、それぞれ第1の進相量φおよび第2の進相量φを重畳して、固定座標系による表現に変換し、第2のジンバル・トルク指令および第3のジンバル・トルク指令を出力する。
電流制御器13は、速度制御器12から出力される第1のジンバル・トルク指令と、第1の固定座標変換器18aから出力される第2のジンバル・トルク指令と、第2の固定座標変換器18bから出力される第3のジンバル・トルク指令との加算値をジンバル・トルク指令τとして入力する。さらに、電流制御器13は、ジンバル・トルク指令τに基づいて、ジャイロ機構10内のジンバル・モータ7に供給する電流を制御する。
なお、本実施の形態4のジンバル制御装置における進相量の最適調整方法、ジンバル角速度およびジャイロ・トルクの時間波形、および回転座標系回転速度と進相量の関係は、それぞれ、先の実施の形態1の図2、図6、および図7と同一である。
次に、図10に示したジンバル制御装置の具体的な動作について説明する。この図10に示すブロック線図において、制御ブロック20a、20bを除くフィードバック制御系の機能および動作は、先の実施の形態1と同一であり、各制御ブロック20a、20bの機能および動作は、先の実施の形態3と同一である。
先の実施の形態3では、フィードバック制御系に付加する制御ブロック20を単一としていた。この場合、ジンバル軸(X軸)回りに作用する外乱トルクτが複数周波数成分を有する場合に、所定の単一周波数成分に対してのみ、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を低減することができる。
換言すれば、回転座標変換器15における回転座標系の回転速度と等価な周波数成分以外の外乱トルクτに対して、ジンバル角速度ωの変動を抑制することができない。その結果、ジャイロ機構10が出力するジャイロ・トルクτには、依然として脈動トルクが残留することになる。
そこで、本実施の形態4におけるジンバル制御装置では、外乱トルクτの周波数成分がaΩおよびaΩ(a、a:所定の実定数、ただしa≠a)となる場合に、制御ブロック20を2個並列接続している。さらに、第1の制御ブロック20aにおける第1の回転座標変換器15aにおいて、回転座標系の回転速度をaΩに設定し、第2の制御ブロック20bにおける第2の回転座標変換器15bにおいて、回転座標系の回転速度をaΩに設定する。
また、第1の制御ブロック20aにおける第1の固定座標変換器18aにおいて、第1の不完全積分器19aの出力に対して重畳する第1の進相量φは、回転座標系の回転速度aΩに応じて、先の実施の形態1と同一の調整方法に基づいて、常に最適値となるように設定される。同様に、第2の制御ブロック20bにおける第2の固定座標変換器18bにおいて、第2の不完全積分器19bの出力に対して重畳する第2の進相量φは、回転座標系の回転速度aΩに応じて、先の実施の形態1と同一の調整方法に基づいて、常に最適値となるように設定される。
そして、第1の固定座標変換器18aおよび第2の固定座標変換器18bの出力のうち、上式(4)のXに対応する信号の加算値を、ジンバル・トルク指令に対して重畳する。図11は、本発明の実施の形態4のジンバル制御装置における外乱トルクに対するジンバル角速度の周波数特性を示す図である。図10における制御ブロック20a、20bを付加した全体の周波数特性は、大略、この図11で表される。
図10に示すように、制御ブロック20a、20bを並列接続することで、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度aΩおよびaΩと等価な複数周波数域において低減することができる。
以上のように、実施の形態4によれば、回転座標変換器、低域通過フィルタ、不完全積分器、および固定座標変換器で構成される制御ブロックを複数備えている。これにより、外乱トルクτに対するジンバル角速度ωの感度を、回転座標系の回転速度と等価な複数の周波数域において低減することができる。この結果、外乱トルクτに起因するジンバル角速度ωの変動を抑制し、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、回転座標系の回転速度と等価な複数の周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
特に、外乱トルクτがロータのスピン軸回り回転運動に同期して、複数周波数aΩおよびaΩ(a、a:所定の実定数、ただしa≠a、Ω:ロータのスピン軸回り回転速度)で発生する場合には、回転座標系の回転速度をaΩおよびaΩと設定することで、ジャイロ機構が出力するジャイロ・トルクτから、ロータのスピン軸回り回転運動に同期した複数周波数成分の脈動トルクを除去することができる。
さらに、本実施の形態4のジンバル制御装置では、第1の回転座標変換器および第2の回転座標変換器における回転座標系の回転速度に応じて、第1の固定座標変換器において重畳する第1の進相量φおよび第2の固定座標変換器において重畳する第2の進相量φが、常に最適値となるように設定される。この結果、回転座標系の回転速度(つまり外乱トルクτ)に起因するジンバル角速度ωの変動を抑制する周波数域を変化させた場合でも、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
加えて、本実施の形態4のジンバル制御装置では、第1の低域通過フィルタおよび第2の低域通過フィルタの出力の積分に、第1の不完全積分器および第2の不完全積分器を適用している。この結果、回転座標系の回転速度と等価な周波数成分においてジンバル角速度ωの変動が完全に抑制できない場合においても、ジンバル制御装置の安定性を維持することができる。
なお、上述した実施の形態4では、制御ブロックを2個並列接続する構成としたが、外乱トルクτの周波数成分に応じて、3個以上の制御ブロックを並列接続してもよく、同様の効果を得ることができる。
さらに、上述した実施の形態4では、先の実施の形態3における構成に対して、制御ブロックを複数備える場合について説明した。しかしながら、本実施の形態4は、このような構成に限定されるものではない。先の実施の形態1、2における構成に対して、不完全積分器19を備えた制御ブロック20を複数備える場合にも、同様の効果を得ることができる。さらに、先の実施の形態1、2における積分器17を備えた制御ブロックを複数備える場合にも、同様の効果を得ることができる。
1 ロータ、2 ジンバル・ハウジング、3 ホイール軸受、4 ホイール・モータ、5 ジンバル・ハウジング支持フレーム、6 ジンバル軸受、7 ジンバル・モータ、8 角度検出器、8a 角速度検出器、9 制御器(制御部)、10 ジャイロ機構、11 位置制御器、12 速度制御器、13 電流制御器、14 疑似微分器、15、15a、15b 回転座標変換器、16、16a、16b 低域通過フィルタ、17 積分器、18、18a、18b 固定座標変換器、19、19a、19b 不完全積分器、20、20a、20b 制御ブロック。

Claims (8)

  1. ジンバル軸回りの回転角度の検出結果に基づいて速度制御系による第1のジンバル・トルク指令値を制御演算し、前記第1のジンバル・トルク指令値に基づいてジャイロ機構のジンバル・モータをフィードバック制御する制御部を備えたジンバル制御装置であって、
    前記制御部は、外乱トルクに対するジンバル角速度の感度を、回転座標系の回転速度と等価な周波数域において低減する第2のジンバル・トルク指令値を算出する制御ブロックをさらに備え、前記第1のジンバル・トルク指令値に対して前記第2のジンバル・トルク指令値を重畳したジンバル・トルク指令値により前記ジンバル・モータに供給する電流を制御する
    ことを特徴とするジンバル制御装置。
  2. 請求項1に記載のジンバル制御装置において、
    前記ジャイロ機構は、
    ロータと、
    前記ロータをスピン軸回りに回転自在に支持するジンバル・ハウジングと、
    前記ジンバル・ハウジングをジンバル軸回りに回転自在に支持するジンバル・ハウジング支持フレームと、
    前記ジンバル・ハウジングに固定され、前記ロータに対してスピン軸回りの回転トルクを作用させるホイール・モータと、
    前記ジンバル・ハウジング支持フレームに固定され、前記ロータを含む前記ジンバル・ハウジングのジンバル軸回りの回転角度を検出する角度検出器と、
    前記ジンバル・ハウジング支持フレームに固定され、前記ロータを含む前記ジンバル・ハウジングに対してジンバル軸回りの回転トルクを作用させるジンバル・モータと
    を有し、
    前記制御部は、ジンバル軸回りの回転角度からジンバル角速度を算出する疑似微分器を有し、
    前記制御部内の前記制御ブロックは、
    前記疑似微分器から出力されるジンバル角速度の符号反転値を、所定の回転速度で回転する回転座標系による表現に変換する回転座標変換器と、
    前記回転座標変換器の出力から所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過フィルタと、
    前記低域通過フィルタの出力を積分する積分器と、
    前記積分器の出力に対して所定の進相量を重畳して固定座標系による表現に変換し、前記第2のジンバル・トルク指令値を算出する固定座標変換器と
    を有し、
    前記制御部は、前記角度検出器によって検出されたジンバル軸回りの回転角度に基づいて前記第1のジンバル・トルク指令値を算出し、前記第1のジンバル・トルク指令値に対して前記第2のジンバル・トルク指令値を重畳したジンバル・トルク指令値により前記ジンバル・モータに供給する電流を制御する
    ことを特徴とするジンバル制御装置。
  3. 請求項1に記載のジンバル制御装置において、
    前記ジャイロ機構は、
    ロータと、
    前記ロータをスピン軸回りに回転自在に支持するジンバル・ハウジングと、
    前記ジンバル・ハウジングをジンバル軸回りに回転自在に支持するジンバル・ハウジング支持フレームと、
    前記ジンバル・ハウジングに固定され、前記ロータに対してスピン軸回りの回転トルクを作用させるホイール・モータと、
    前記ジンバル・ハウジング支持フレームに固定され、前記ロータを含む前記ジンバル・ハウジングのジンバル軸回りの回転角速度を検出する角速度検出器と、
    前記ジンバル・ハウジング支持フレームに固定され、前記ロータを含む前記ジンバル・ハウジングに対してジンバル軸回りの回転トルクを作用させるジンバル・モータと、
    を有し、
    前記制御部内の前記制御ブロックは、
    前記角速度検出器から出力されるジンバル軸回りの回転角速度の符号反転値を、所定の回転速度で回転する回転座標系による表現に変換する回転座標変換器と、
    前記回転座標変換器の出力から所定の周波数以下の周波数成分を抽出する低域通過フィルタと、
    前記低域通過フィルタの出力を積分する積分器と、
    前記積分器の出力に対して所定の進相量を重畳して固定座標系による表現に変換し、前記第2のジンバル・トルク指令値を算出する固定座標変換器と
    を有し、
    前記制御部は、前記角速度検出器によって検出されたジンバル軸回りの回転角速度に基づいて前記第1のジンバル・トルク指令値を算出し、前記第1のジンバル・トルク指令値に対して前記第2のジンバル・トルク指令値を重畳したジンバル・トルク指令値により前記ジンバル・モータに供給する電流を制御する
    ことを特徴とするジンバル制御装置。
  4. 請求項2または3に記載のジンバル制御装置において、
    前記固定座標変換器は、前記回転座標変換器における回転座標系の回転速度に応じて、前記積分器の出力に対して重畳する前記進相量を変化させ、前記第2のジンバル・トルク指令値を算出することを特徴とするジンバル制御装置。
  5. 請求項4に記載のジンバル制御装置において、
    前記固定座標変換器は、前記積分器の出力に対して重畳する前記進相量を、回転座標系で表現された前記低域通過フィルタの出力が描く軌跡が、回転座標系上を回転することなく原点に収束するように設定し、前記第2のジンバル・トルク指令値を算出することを特徴とするジンバル制御装置。
  6. 請求項2ないし5のいずれか1項に記載のジンバル制御装置において、
    前記回転座標変換器は、ジンバル軸回りの回転角速度の符号反転値を、ロータのスピン軸回り回転速度を所定倍した回転速度で回転する回転座標系による表現に変換することを特徴とするジンバル制御装置。
  7. 請求項2ないし6のいずれか1項に記載のジンバル制御装置において、
    前記積分器は、所定の周波数以上の周波数領域においてのみ、低域通過フィルタの出力を積分する不完全積分器で構成されることを特徴とするジンバル制御装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のジンバル制御装置において、
    前記制御ブロックは、並列接続された複数の制御ブロックで構成され、前記外乱トルクに対するジンバル角速度の感度を、回転座標系の互いに異なる回転速度と等価な周波数域において低減する複数のジンバル・トルク指令値として、前記複数の制御ブロックごとに個別に算出し、前記第1のジンバル・トルク指令値に対して前記複数のジンバル・トルク指令値をそれぞれ重畳したジンバル・トルク指令値により前記ジンバル・モータに供給する電流を制御する
    ことを特徴とするジンバル制御装置。
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