JP5195752B2 - チップアンテナ及びその製造方法、並びにかかるチップアンテナを有するアンテナ装置及び通信機器 - Google Patents

チップアンテナ及びその製造方法、並びにかかるチップアンテナを有するアンテナ装置及び通信機器 Download PDF

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Description

本発明は、携帯電話、携帯端末装置等の広周波数帯域の通信機器に適した小型のチップアンテナ及びその製造方法、並びにかかるチップアンテナを用いたアンテナ装置及び通信機器に関する。
数百MHz〜数GHz(例えば地上デジタル放送では470〜770 MHz)と広い周波数帯域で使用される携帯電話、無線LAN等の移動体通信機器に使用されるアンテナは、この広周波数帯域で高利得であるとともに、小型かつ低背であることが要求される。このような移動体通信機器に適した小型のアンテナとして、特開昭49-40046号は、比誘電率εr及び比透磁率μrの大きい磁性体を用いて1/(εr・μr)1/2倍に波長を短縮することにより小型化を図ったアンテナを提案しており、特表平9-507828号は、六方晶フェライト焼結体がアンテナに適していると記載している。六方晶フェライトは、c軸に垂直な面内に磁化容易軸を有するフェロックスプレーナ型フェライトとも呼ばれる磁性材である。
また特開昭56-64502号は、Ni系フェライト基体中に導体パターンを埋設したダイポール型のアンテナを開示している。しかし、フェライトを用いたアンテナでも、容量成分の形成を抑えてインダクタンスを有効に生み出す構造としなければ、小型化及び広帯域化を十分に図ることはできない。
従って本発明の目的は、広周波数帯域の通信機器に適した小型のチップアンテナ及びその製造方法、並びにかかるチップアンテナを有するアンテナ装置及び通信機器を提供することである。
本発明の第一のチップアンテナは、Z型フェライト又はY型フェライトを主相とし、中心軸線に沿って直線状に延在する貫通孔を有する磁性基体と、前記貫通孔を貫通する導体とを有し、前記磁性相のc軸が前記貫通孔に実質的に平行であることを特徴とする。
本発明の第二のチップアンテナは、Z型フェライト又はY型フェライトを主相とし、中心軸線に沿って直線状に延在する貫通孔を有する磁性基体と、前記貫通孔を貫通する導体とを有し、前記磁性相のc軸が前記貫通孔に実質的に垂直であることを特徴とする。
第一及び第二のチップアンテナにおいて、直線状の貫通孔を貫通する導体には互いに対向する部分がなく、磁性体をインダクタンスとして有効に機能させることができるため、アンテナの広帯域化及び小型化が得られる。またZ型フェライト又はY型フェライトのc軸(磁化困難軸)が貫通孔と実質的に平行又は垂直に配向しているので、直線状の貫通孔の周方向に磁化容易面が揃う。そのため直線状の導体の磁場を効率良く利用でき、アンテナの小型化が可能となる。
第一及び第二のチップアンテナにおいて、磁性基体中の磁性相のc軸の配向度は、貫通孔と直交する断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rx、貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Ry、及び貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面と平行な所定の深さの断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rzにより表される。ここでピーク強度比Rx、Ry及びRzはいずれも、Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)により表され、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)により表される。
本発明の第一のチップアンテナでは、磁性基体中の磁性相のc軸は貫通孔に実質的に平行である。この構成により貫通孔の周方向の透磁率が高い。ここで「実質的に平行」とは、貫通孔の平行線に対して±45°以内の範囲に60%以上のc軸があることを意味する。c軸の分布はEBSP(Electron Back-Scattering Pattern)による方位解析により求める。まず焼結体の平均結晶粒径の1/10以下のビーム径を使用し、50個以上の結晶粒が含まれる範囲において各結晶粒の方位解析を行う。磁性基体の貫通孔に平行な方向と各結晶粒のc軸方向との差を計算し、差が45°以下の結晶粒の数A及び差が45°超の結晶粒の数BからA/(A + B)を計算し、それを上記比とする。
深さ0.3 mmにおけるRzとRxとの比は1.5以上であるのが好ましい。このような特徴を有する磁性基体はプレス成形、特に磁場中の湿式プレス成形により形成される。
本発明の第二のチップアンテナでは、磁性基体中の磁性相のc軸は貫通孔に実質的に垂直である。この構成により貫通孔の周方向に透磁率が高い。ここで「実質的に垂直」とは、貫通孔の垂線に対して±45°以内の範囲に60%以上のc軸があることを意味する。この比も上記と同様に、EBSPにより50個以上の結晶粒が含まれる範囲において各結晶粒の方位解析を行い、貫通孔と垂直な方向と各結晶粒のc軸方向との差を計算し、差が45°以下の結晶粒の数A’及び差が45°超の結晶粒の数B’からA’/(A’ + B’)を計算することにより求める。
Rzは深さ0.3 mmで1.6以下であるのが好ましく、深さ0.6 mmで1.4以下であるのがより好ましい。Ryは2.0以上であるのが好ましい。また深さ0.3 mmにおけるRzとRxとの比は0.45以下であるのが好ましい。さらに、深さ0.3 mmにおけるRzとRyとの比は0.8以下であるのが好ましい。このように貫通孔側より表面側の方が磁性相のc軸の配向が揃っているので、外周面を焼結したままの状態で(表面加工せずに)磁性基体を使用するのが好ましい。このような特徴を有する磁性基体は押し出し成形により形成される。
複数のチップアンテナの導体を直列に接続して、チップアンテナ組立体としても良い。直列接続する導体を屈曲させることにより、実装空間に応じて複数の磁性基体の配置を変えることができる。従って、前記アンテナは空間上効率良く通信機器等に実装することができる。さらに、アンテナ特性に必要なチップアンテナの長さに対して個々の磁性基体を短くできるので、チップアンテナ全体の耐衝撃性を高められる。
本発明のアンテナ装置は上記チップアンテナを用い、導体の一端を開放端とし、他端を給電回路に接続することを特徴とする。容量成分の少ないチップアンテナを用いるので、広帯域なアンテナ装置を得ることができる。
本発明の通信機器は上記アンテナ装置を搭載したことを特徴とする。上記アンテナ装置は広帯域で機能するため、それを具備する通信機器も広帯域で使用することができる。上記アンテナ装置は地上デジタル放送用の携帯端末、携帯電話等に搭載するのに好適であり、小型化及び信頼性の向上に寄与する。
本発明のチップアンテナは小型で、広周波数帯域化に適しており、もって周波数帯域の広いアンテナ装置及び通信機器を実現することができる。
六方晶フェライト結晶粒の配向を示す斜視図である。 本発明のチップアンテナを示す斜視図である。 図2(a) のチップアンテナを示す分解断面図である。 本発明の一実施形態によるチップアンテナに用いる磁性基体の形状を示す断面図である。 磁性基体の断面X,Y,Zを示す概略図である。 第一の磁性基体における六方晶フェライト結晶粒の配向を示す横手方向断面図である。 図5(a) のA-A断面図である。 第二の磁性基体における六方晶フェライト結晶粒の配向を示す横手方向断面図である。 図6(a) のB-B断面図である。 本発明のチップアンテナ組立体を示す平面図である。 磁性基体を押出成形するダイを示す断面図である。 図8(a) のダイを示す分解断面図である。 本発明のアンテナ装置の一例を示す平面図である。 図9(a) のアンテナ装置を示す側面図である。 本発明のアンテナ装置に用いる整合回路の一例を示す図である。 本発明のアンテナ装置に用いる整合回路の他の例を示す図である。 本発明のチップアンテナを具備する携帯電話の一例を示す断面図である。 図11(a) の携帯電話を示す正面図である。 サンプル8のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例6のアンテナ装置の平均利得の周波数特性を示すグラフである。 サンプル5及び8のチップアンテナを用いたアンテナ装置の平均利得の周波数特性を示すグラフである。 サンプル8のチップアンテナを用いたアンテナ装置のVSWRの周波数特性を示すグラフである。
[1] フェライト
磁性基体の主相を構成するZ型フェライト及びY型フェライトはいずれも、c面を磁化容易面とする異方性軟磁性フェライトである。図1に示すように、Z型フェライト及びY型フェライトは板状の六方晶系であり、磁化困難方向であるc軸は板面(磁化容易方向であるc面)に垂直な方向である。Y型フェライトは、1 GHz以上の高周波数帯域で高透磁率を有し、1 GHzまでの周波数帯域で磁気損失が小さいので、400 MHzを超える高周波数帯域の用途、例えば470〜770 MHzの周波数帯域を使用する地上デジタル放送用のチップアンテナに好適である。Z型フェライトはY型フェライトに比べて透磁率の周波数特性は劣るものの、透磁率が高い。400 MHz以下では損失係数が小さいので、400 MHz以下の周波数帯域の用途に好適である。Z型フェライトは代表的にはBa3Co2Fe24O41(いわゆるCo2Z)の化学式で、またY型フェライトは代表的にはBa2Co2Fe12O22(いわゆるCo2Y)の化学式でそれぞれ表される六方晶系のソフトフェライトである。但し、Baの一部をSrで置換しても良く、Coの一部をNi、Cu、Zn等の二価の金属で置換しても良い。さらにSi、Li、Na、Mn等の酸化物を添加しても良い。低損失のためには比誘電率は低い方が良いが、本発明の構造ではアンテナの内部損失が比誘電率の影響を受けにくいので、8以上、特に10以上の比誘電率を有するフェライトを用いることができる。
磁性基体の組織はZ型フェライト又はY型フェライトを主相とし、X線回折パターンにおいてZ型フェライト又はY型フェライトのメインピークの強度が最大である。Z型フェライト又はY型フェライトは単相であるのが好ましいが、これらの混相でも良く、またW型フェライト等の他のフェライト相を含有しても良い。しかし、一方のフェライト相に含まれる他方のフェライト相の割合は20%以内であるのが好ましい。例えばZ型フェライトを主相とする場合、20%以内のY型フェライトを含有しても良い。
[2] チップアンテナ
図2(a)及び図2(b) は本発明のチップアンテナの一例を示す。このチップアンテナは、中心軸線に沿って貫通孔2を有する直方体状磁性基体1と、貫通孔2を貫通する直線状の導体3とからなる。図示の磁性基体1は直方体状であるが、円柱状でも良い。図示の貫通孔2(導体3)の断面は円形であるが、四角形でも良い。アンテナ特性と低背化を両立させるには、幅及び高さ(円柱形の場合直径)に対する長さの比は3以上が好ましい。ただし、複数の磁性基体を積層する場合、得られた積層体が上記要件を満たせば良い。
安定な実装のために磁性基体1は直方体状が好ましいが、円柱状でも良い。直方体状の場合、図3に示すように四角に面取りを設けると、フェライト板状結晶の配向度が向上するだけでなく、磁束が漏れにくくなり、チッピング等の不具合も防止できる。面取りは曲面でも平坦でも良いが、曲面が好ましい。面取りの幅Dは0.2〜1 mmが好ましい。面取りの幅Dは磁性基体1の幅又は高さの1/3以下が好ましい。面取りをバレル研磨等で設けると配向した表面層が除去されてしまうので、面取りを有する構造に押出し成形するのが好ましい。
磁性基体1の長さ、幅及び高さが大きくなると共振周波数は低下するが、チップアンテナは大きくなり過ぎる。磁性基体1の長さは30 mm以下、幅は10 mm以下、高さは5 mm以下が好ましい。例えば地上デジタル放送帯域(470〜770 MHz)に使用するには、磁性基体1の長さは25〜30 mm、幅は3〜5 mm、高さは3〜5 mmが好ましい。チップアンテナ組立体の場合、複数の磁性基体1の合計長さが25〜30 mmとなれば良い。
放射導体として機能する導体3の各端部3a、3bは磁性基体1の各端面から突出している。磁性基体1の内部に対向する導体部分を持たない一本の導体3が存在するだけなので、容量成分が著しく少ない。導体3が磁性基体1を貫通する構造により、チップアンテナが小型化するだけでなく、導体3の両端部3a、3bを他の回路素子と接続する際の設計自由度が高い。直線状の導体3と直方体状磁性基体1の外周面との間隔は、長手方向に実質的に一定であるのが好ましい。磁性基体1と導体3を接着剤等により固着しても良い。
広帯域化のためにアンテナのQ値を下げる必要がある。Q値は(C/L)1/2(ただしLはインダクタンスであり、Cは容量である。)で表されるため、Lを上げる一方、Cを下げる必要がある。例えば基体に誘電体を用いる場合、インダクタンスLを上げるために導体の巻き数を増やす必要があるが、巻数の増加は線間容量の増加を招くため、Q値を効果的に下げることができない。これに対して、直線状の導体が磁性基体1を貫通する本発明のチップアンテナでは、インダクタンスLは磁性基体1の長さ、断面積及び透磁率に依存するので、透磁率が高い結晶配向とすることによりインダクタンスLを効率良く増大させることができ、もって線間容量の問題なしにQ値を下げることができる。導体3が発生する周方向の磁束は磁性基体1から漏洩しないので、本発明のチップアンテナは閉磁路を構成する。
導体3は、Cu、Ag、Ni、Pt、Au、Al、42アロイ、コバール、リン青銅、黄銅、コルソン系銅合金等により形成するのが好ましい。Cu等の柔軟な金属は、両端部を屈曲して用いる場合に適する。42アロイ、コバール、リン青銅、コルソン系銅合金等の高硬度金属は、導体3を直線状のまま使用する場合に適する。導体3にはポリウレタンやエナメル等の絶縁被覆を設けても良い。
導体3が発生する磁束と同じ周方向にZ型フェライト又はY型フェライトの結晶粒の磁化容易面(c面)を揃えると、磁性基体1の透磁率を高めることができる。c面が周方向に配向するには、(a) 貫通孔2と直交する横手方向断面X内にc面がある場合と、(b) 横手方向断面Xと直交する貫通孔2を含まない長手方向断面Z内にc面がある場合とがある。なお貫通孔2を含む長手方向断面Yは、断面Zが貫通孔2の中心軸線に達した場合に得られる。断面X,Y,Zは図4に示す通りである。
(1) 第一の磁性基体
図5(a) 及び図5(b) は、上記(a) の場合の磁性基体1における六方晶フェライト結晶粒11の配向状態を示す。六方晶フェライト結晶粒11のc軸は貫通孔2と実質的に平行に配向しており、c面は横手方向断面X内に揃っている。c軸は貫通孔2と完全に平行である必要はなく、貫通孔2の中心軸線に対して±45°以内の範囲に60%以上のc軸があれば良い。この配向により、貫通孔2を中心軸とする周方向に高い透磁率が得られる。第一の磁性基体はプレス成形、好ましくは磁場中における湿式プレス成形により得られる。
c軸の配向度は、横手方向断面XにおけるX線回折パターン、貫通孔2の中心軸線を含む長手方向断面YにおけるX線回折パターン、及び貫通孔2を含まない長手方向断面ZにおけるX線回折パターンにおいて、c面からの回折ピークとそれ以外の最も強度の大きい回折ピークとの強度比Rx、Ry及びRzから求める。各断面X,Y,Zにおける強度比Rx,Ry,Rzは、Z型フェライトの場合(0018)面のピーク強度I(0018)に対する(1016)面のピーク強度I(1016)の比I(1016)/I(0018)であり、Y型フェライトの場合(0015)面のピーク強度I(0015) に対する(110)面のピーク強度I(110)の比I(110)/I(0015)である。各断面X,Y,ZにおけるRx、Ry及びRzを比較し、RxがRy及びRzより小さければ、c軸が長手方向に配向している。Rxは1.8以下が好ましく、1.7以下がより好ましい。またRy及びRzは3以上が好ましい。
(2) 第二の磁性基体
図6(a) 及び図6(b) は、上記(b) の場合の磁性基体1における六方晶フェライト結晶粒11’の配向状態を示す。図6(a) に示すように、結晶粒11’のc軸は貫通孔2に実質的に垂直に配向しており(貫通孔2から放射状に配向しており)、c面は貫通孔2の回りに周方向に沿うように貫通孔2に実質的に平行に配向している。従って、貫通孔2の回りの周方向に高い透磁率を発現する。この配向では、貫通孔2の軸線方向にも高い透磁率を発現する。c軸は貫通孔2に完全に垂直である必要はなく、貫通孔2の垂線に対して±45°以内の範囲に60%以上のc軸があれば良い。
第二の磁性基体は押出成形法により形成される。Z型フェライト又はY型フェライトの板状結晶粒11’のc軸は押出し時の剪断力により押出し方向と直交する方向に配向する。剪断力は坏土の表面側の方が中心部より大きいので、c軸の放射状の配向度は押出成形体の表面側が高く、貫通孔に近づくにつれて低下するが、貫通孔の近傍でまた高くなる。すなわち、c軸の配向度は磁性基体表面と貫通孔面との中間部が最も低く、磁性基体表面及び貫通孔面で最も高い。磁性基体表面ではc軸の配向度が高いので、磁性基体1の焼結表面を除去しない方が良い。
図6に示す配向の場合、貫通孔2の中心軸線を含む長手方向断面Yに平行で貫通孔2に達しない深さの断面ZにおけるRzは、深さ0.3 mmでは1.6以下が好ましく、1.4以下がより好ましく、また深さ0.6 mmでも1.6以下が好ましく、1.4以下がより好ましい。これは、磁性基体1中のフェライト板状結晶が表面と貫通孔2表面とのほぼ中間の深さまで良く配向していることを意味する。また貫通孔2の中心に達した深さにおける断面YにおけるRy(このときRzはRyと一致する)は2.0以上であるのが好ましい。さらに貫通孔2に垂直な横手方向断面XにおけるRxは3.5以上であるのが好ましい。従って、RzはRx及びRyより小さい。断面X,Y及びZの定義は図4に示す通りである。
[3] チップアンテナ組立体
図7は本発明のチップアンテナ組立体の一例を示す。このチップアンテナ組立体10は2つのチップアンテナ10a,10bからなるが、3つ以上のチップアンテナを接続しても良い。各チップアンテナは磁性基体1及び直線状の導体3からなる。図7に示す例では、磁性基体1a及び1bは離間している。両チップアンテナ10a,10bは一本の導体3で接続されているが、別々の導体を設けて、それらを接続導体により直列に接続しても良い。チップアンテナ組立体10は、一のチップアンテナの磁性基体が2分割された構造を有すると見ることもできる。この構造のため、実装空間に応じて磁性基体の配置を変更できる。また個々の磁性基体は短いので、チップアンテナ全体の機械的強度が高く、信頼性が向上している。チップアンテナ組立体10も一体的なチップアンテナと同じアンテナ特性を発揮する。
図7に示すチップアンテナ組立体10では、一方のチップアンテナ10a側の導体3の端部3aは開放端で、他方のチップアンテナ10b側の導体3の端部3bは給電回路に接続される。この点で、チップアンテナ組立体10は従来のダイポールアンテナと異なる。
[4] チップアンテナの製造方法
磁性基体の製造にはプレス成形法又は押出成形法を用いる。プレス成形法は第一の磁性基体の製造に適し、押出成形法は第二の磁性基体の製造に適する。いずれの場合も、Fe2O3、BaCO3、Co3O4等の原料粉を湿式混合(例えば4〜20時間)し、得られた混合粉を仮焼し、湿式粉砕により仮焼粉を形成する。プレス成形法の場合、仮焼粉にPVA等のバインダーを添加した後スプレードライヤ等により造粒し、得られた造粒粉を焼結した後、再度粉砕することにより得た焼結粉を使用するのが好ましい。焼結粉は単結晶の六方晶フェライト粒子を多く含むので、高い配向度が得られる。粉砕する六方晶フェライト焼結体の平均結晶粒径は5〜200μmであるのが好ましい。ただし押出成形法の場合、仮焼粉の坏土を用いることができる。
(1) プレス成形法
上記焼結粉を磁場中でプレス成形する。プレス成形中の磁場は、回転磁場又は同一面内で方向が変わる交番磁場が好ましい。また一定方向の磁場中で成形空間を回転させても良い。配向度を上げるために、焼結粉の水性スラリーを用いる湿式プレス成形が好ましい。スラリーにメチルセルロース等のバインダーを添加しても良い。磁場中プレス成形法により、図5に示す面内配向した六方晶フェライト焼結体を得ることができる。成形体は電気炉等で焼結し、必要に応じて機械加工を施す。磁性基体1の幅及び高さ(円柱形の場合直径)に対する長さの比が大きい場合、プレス成形法で一体的に形成するのは困難であるので、複数のフェライト焼結体を接合しても良い。
(2) 押出成形法
上記焼結粉に水、バインダー、可塑剤及び潤滑剤を混合した坏土を、例えば図8 に示す構造のダイ30から押出成形する。ダイ30は、スクリュー35を有する押出機34に連結した第一〜第三のブロック30a,30b,30cからなる。第一のブロック30aは拡径する円錐状内面31aを有し、外端面の凹部に、坏土の整流板32が嵌合している。整流板32の中心に貫通孔2を形成するための中心棒33が固定されている。第二のブロック30bはテーパ状の円錐状内面31bを有し、円錐状内面31bの内端は第一のブロック30aの円錐状内面31aの外端と同じ内径を有する。第三のブロック30cは第二のブロック30bの円錐状内面31bの外端と同じ内径を有する四角形状の内面31cを有する。すなわち、内面31c上流端部円錐状で、それ以外の部分が四角形状である。中心棒33の先端は第三のブロック30cの外端まで延在する。第一〜第三のブロック30a,30b,30cの内面31a,31b,31cは整流板32まで拡径した後縮径するキャビティを有する。整流板32の下流側で押出し方向に縮径したキャビティを有するために、ダイ30を通過する間に坏土中の板状結晶粒のc面は各辺に沿うように配向する。押出成形体は乾燥後所定の長さに切断する。押出の際に磁場を印加しても良い。
坏土は、板状結晶粒が容易に配向できるとともに押出形状を保持するのに十分な自己支持性を保持する流動性(コンシステンシー)を有する必要がある。Z型フェライト又はY型フェライトの坏土の流動性は水分含有量に大きく影響される。従って、水分含有量を坏土の13〜15質量%とするのが好ましい。
[5] アンテナ装置
図9(a) 及び図9(b) は、磁性基体1の貫通孔2を通った直線状の導体3の両端部3a,3bが突出しているチップアンテナ20を基板12上の回路に実装したアンテナ装置の一例を示す。導体3の両端部3a,3bは磁性基体1の外で屈曲され、一端部3a(開放端)は導体3と直交する方向に延在する固定電極13にハンダ接合され、他端部3bは給電電極14にハンダ接合され、給電電極14は整合回路16を介して給電回路15に接続されている。このため磁性基体1の表面に電極を形成する必要がなく、容量成分の発生を防止できる。図9に示す例では、チップアンテナ20、固定用電極13、接地電極17及び給電電極14は口の字状に配置されている。固定用電極13の端部は接地電極17と所定の間隔で対向しているので、これらの間の容量成分によりアンテナ特性の調整を行うことができる。
本発明のチップアンテナを用いると、広い動作周波数帯域のアンテナ装置が得られる。アンテナ装置の平均利得は好ましくは−7 dBi以上、より好ましくは−5 dBi以上である。図9(a)及び図9(b)に示すようにチップアンテナ20と給電回路15の間に、アンテナ装置の共振周波数を調整するための複数の整合回路16設け、それらの切り換えによりアンテナ装置の共振周波数を移動させ、動作帯域を変えても良い。このようにインピーダンスマッチングのための整合回路にアンテナ装置の共振周波数の調整機能を持たせる。図10(a) に示す整合回路16は、接地されたキャパシタC1及びインダクタL1と、それらの間に接続されたインダクタL2とを具備する。キャパシタC1にチップアンテナ20の導体を接続し、インダクタL2に給電回路15を接続する。異なるインダクタンスを有するインダクタL2を具備する複数の整合回路を設けて、これらを切り換える。複数の整合回路の一つはインダクタL2のインダクタンスがゼロでも良い。
アンテナ装置の小型化及び低損失化のために、整合回路16を半導体スイッチ又はダイオードで切り換えるのが好ましい。複数の整合回路16を切り換えることにより、一つのアンテナ装置で異なる帯域に対応できる。整合回路16の切換の代わりに、インダクタL2等の特定の回路素子だけを切り換えても良い。整合回路16の切換により470〜770 MHzの周波数帯域で−7 dBi以上、好ましくは−5 dBi以上が得られ、地上デジタル放送に好適なアンテナ装置となる。
本発明のチップアンテナを用いたアンテナ装置は、例えば、携帯電話、無線LAN、パーソナルコンピュータ、地上デジタル放送関連機器等の通信機器に用いることができる。地上デジタル放送は使用周波数帯域が広いため、本発明のアンテナ装置は特に好適である。本発明のアンテナ装置により実装面積及び空間を抑えることができる。図11(a) 及び図11(b) はアンテナ装置を携帯電話に用いた例を示す。図11(b) では、チップアンテナ20を点線で示す。携帯電話30は、チップアンテナ20が表示ユニット31の先端部に配置され、操作ユニット32中の基板33に取付けられた無線モジュール34に接続されている。チップアンテナ20の配置はこれに限らず、操作ユニット32に配置しても良い。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
実施例1
70.2 mol%のFe2O3、18.8 mol%のBaO及び11.0 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、3.0質量部のMn3O4、0.4質量部のLi2CO3及び0.13質量部のSiO2を添加し、湿式ボールミルで16時間混合し、大気中1200℃で2時間仮焼した。得られた仮焼粉を湿式ボールミルで18時間粉砕した後、バインダー(PVA)を添加して造粒した。得られた造粒粉を大気中1300℃で3時間焼結した。得られた焼結体をジョークラッシャー、ディスクミル及び振動ミルで粉砕した。得られた焼結粉の比表面積(Macsorb社製 Model-1201を用いたBET法により測定)は10800 cm2/gであった。
焼結粉に純水を加えて濃度75質量%のスラリーとし、25 MPaの圧力で、プレス方向と直交する方向に0.48 MA/mの回転磁場を印加しながら、リング状(サンプル1)及び直方体状(サンプル2)に湿式成形した。得られた各成形体を1310℃で3時間焼結し、外径6.8 mm、内径3.2 mm及び高さ1.5 mmのリング状焼結体(サンプル1)を作製した。サンプル1を用いて、焼結体の密度を水中置換法により測定し、また25℃及び1 GHzにおける初透磁率μi及び損失係数tanδをインピーダンス・ゲインフェイズ・アナライザー(Yokogawa Hewlett Packard社製4291B)を用いて測定した。その結果、密度は4.57 g/cm3であり、初透磁率μiは23.4であり、損失係数tanδは1.15であった。
X線回折の結果、サンプル1の主相はZ型フェライト[メインピークは(1016)]であることが分った。回転磁場と平行な面XのX線回折パターンにおけるピーク(0018)の強度I(0018)に対するピーク(1016)の強度I(1016)の比I(1016)/I(0018)は0.10であり、回転磁場と垂直な面Y、ZのX線回折パターンにおける比I(1016)/I(0018)はともに0.69であった。これから、面Xが磁化容易面(c面)であることが分かる。この面配向により初透磁率μiが増大したことが分かる。
実施例2
60 mol%のFe2O3、19.5 mol%のBaO及び20.5 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、0.6重量部のCuOを添加し、水を媒体として湿式ボールミルで16時間混合した。得られた混合粉を乾燥後、大気中1000℃で2時間仮焼した。仮焼粉を、水を媒体として湿式ボールミルで18時間粉砕した。得られた粉末100質量部に1質量%のバインダー(PVA)を添加し、造粒した後、リング状にプレス成形した。得られた成形体を大気中1200℃で3時間焼結し、外径7.0 mm、内径3.5 mm及び高さ3.0 mmのリング状焼結体(サンプル2)、及び中心軸線に沿って直径0.6 mmの円形断面の貫通孔を有する10 mm×3 mm×3 mmの直方体状の焼結体(サンプル3)を作製した。X線回折の結果、焼結体の主相はY型フェライト[メインピークは(110)]であることが分った。
実施例3
60 mol%のFe2O3、19.5 mol%のBaO及び20.5 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、0.6重量部のCuOを添加し、水を媒体として湿式ボールミルで混合した。得られた混合粉を乾燥後、大気中1100℃で1.5時間仮焼した。仮焼粉を水を媒体として湿式ボールミルで10時間粉砕し、水、バインダー、潤滑剤及び可塑剤を添加して、水分が13.8質量%の坏土を作製した。図8に示すダイを用いて坏土を押出成形し、乾燥後、大気中1150℃で3時間焼結し、中心軸線に沿って直径0.6 mmの円形断面の貫通孔を有し、各角に幅0.5 mmの面取り曲面を有する10 mm×3 mm×3 mmの直方体状焼結体を得た(サンプル4)。X線回折の結果、焼結体の主相はY型フェライト[メインピークは(110)]であることが分った。
サンプル3及び4の透磁率、インダクタンス及びRx、Ry及びRzを下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
(1) 透磁率
貫通孔に1本の導体を通し、25℃及び100 kHzで貫通孔を中心軸とする周方向の透磁率を測定した。
(2) インダクタンス
各サンプルの外周に10ターンの巻き線を施し、25℃及び100 kHzで長手方向のインダクタンスを測定した。長手方向のインダクタンスにより貫通孔の軸線方向の透磁率を評価できる。
(3) Rx、Ry及びRz
各サンプルの断面X、Y及びZ(図4に示す)の各々に対して測定したX線回折パターンにおけるY型フェライトのピーク(110)及び(0015)から強度比I(110)/I(0015)を求め、Rx、Ry及びRzとした。なお断面Zは表面から0.3 mmの深さであった。
Figure 0005195752
プレス成形で得られたサンプル3では、Ry及びRzはほぼ等しく、RxはRy及びRzの0.7倍以下と小さかった。また押出成形で得られたサンプル4では、RzはRx及びRyより小さかった。サンプル4でRxが大きいのはc面が押出し方向に揃ったためであり、またRzが特に小さいのはc軸が貫通孔に対して垂直に配向したためである。特にRz/Rxは0.3と小さく、Rz/Ryは0.75と小さかった。従って、図6(a) に示すように貫通孔を中心軸として周回する方向にc面が配向していることになる。この配向状態により貫通孔を中心軸とする周方向の透磁率が高くなるので、その方向を磁路として利用するチップアンテナに好適である。表1に示すように、サンプル4の周方向の初透磁率μiはプレス成形により得られたサンプル3より5%向上していた。プレス成形でも配向することを考慮すれば、押し出し成形により配向されたサンプル4の透磁率がいかに優れているかが分かる。貫通孔の軸線方向のインダクタンスについても、サンプル4はサンプル3より6%高かった。貫通孔の周方向及び軸線方向に透磁率が高められたサンプル4により、チップアンテナの小型化を図ることができる。
実施例4
60 mol%のFe2O3、19.5 mol%のBaO及び20.5 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、0.6重量部のCuOを添加し、水を媒体として湿式ボールミルで混合した。得られた混合粉を乾燥後、大気中1050℃で1.5時間仮焼した。仮焼粉を、水を媒体として湿式ボールミルで18時間粉砕した。得られた粉末100質量部に1質量%のバインダー(PVA)を添加し、造粒した後、直方体状にプレス成形した。得られた成形体を大気中1200℃で3時間焼結し、中心軸線に沿って直径0.65 mmの円形断面の貫通孔を有する2 mm×2 mm×5 mmの直方体状の焼結体(サンプル5)を作製した。X線回折の結果、焼結体の主相はY型フェライト[メインピークは(110)]であることが分った。
実施例5
60 mol%のFe2O3、19.5 mol%のBaO及び20.5 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、0.6重量部のCuOを添加し、水を媒体として湿式ボールミルで混合した。得られた混合粉を乾燥後、大気中1050℃で1.5時間仮焼した。仮焼粉を水を媒体として湿式ボールミルで10時間粉砕し、水、バインダー(メチルセルロース)、潤滑剤及び可塑剤を添加して、水分が14.4質量%の坏土を作製した。図8に示すダイを用いて坏土を押出成形し、乾燥した。得られた直方体状の成形体を大気中1150℃で3時間焼結し、中心軸線に沿って円形断面の貫通孔を有し、各角に幅Dが0.12 mmの面取り曲面を有する直方体状焼結体(サンプル6,7)と、各角に幅Dが0.5 mmの面取り曲面を有する直方体状焼結体(サンプル8)を得た。X線回折の結果、サンプル6〜8の主相はY型フェライトであることが分った。
貫通孔に垂直な断面X、貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面Y、及び断面X及びYに垂直な断面Z(表面から0.3 mmの深さ)で得られたX線回折パターンから、Y型フェライトのピーク強度比I(110)/I(0015)を求め、それぞれRx、Ry及びRzとした。結果を表2に示す。サンプル8について、深さ0.3 mm、0.6 mm及び0.9 mmにおけるX線回折パターン(図12)からRzを測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005195752
Figure 0005195752
プレス成形で得られたサンプル5及び押出成形で得られたサンプル6〜8のRx、Ry及びRz、並びにRz/Rx及びRz/Ryを比較した。サンプル5では、RyとRzがほぼ等しく、Rxは約1.6と小さかった。一方、サンプル6〜8では、RzはRx及びRyより著しく小さかった。Rzは表面から0.6 mmの深さ(貫通孔表面と外周面との距離の約半分)まで1.3と小さく、c面が押出し方向(貫通孔の軸線方向)に揃っていることを示す。従って、図6(a) に示すように貫通孔を中心として周回する方向にc面が配向している。すなわち、磁性相であるZ型フェライトのc軸が貫通孔に垂直な断面内に配向するとともに、図6(b) に示すように貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面内にも配向している。このような配向のため、貫通孔を中心軸とする周方向の透磁率が高くなり、その方向を磁路とするチップアンテナに好適である。またサンプル6〜8では、Rz/Rxは0.3と小さく、Rz/Ryは0.7以下と小さかった。
実施例6
押出成形法を用いて実施例3と同じ条件で作製した3 mm×3 mm×30 mmの直方体状磁性基体の直径0.65 mmの貫通孔に直径0.6 mmの銅線を貫通させ、チップアンテナを作製した。このチップアンテナを幅40 mmのプリント基板上の給電電極及び固定電極にハンダ接続し、図9に示すアンテナ装置Aを作製した。固定電極13の幅は3.5 mmであり、給電電極14は1 mm×13 mmであった。固定電極13の端部と接地電極17との間隔は1 mmとした。固定電極13の端部と接地電極17との間の静電容量を大きくして共振周波数を低くし、チップアンテナを小形化するために、固定電極13を幅広くした。接地電極17はチップアンテナと平行に11 mmの間隔で対向させた。整合回路16は図7(b) に示す構成であり、C1は0.5 pF、L1は68 nH、L3は18 nHであった。インダクタL2の他端に、50Ωの同軸ケーブル、及びアンテナ利得評価装置を介して給電回路15を接続した。
比較例1
60 mol%のFe2O3、19.5 mol%のBaO及び20.5 mol%のCoOとなる割合に配合したFe2O3、BaCO3及びCo3O4からなる主成分100質量部に、0.6重量部のCuOを添加し、水を媒体として湿式ボールミルで16時間混合した。得られた混合粉を乾燥後、大気中1000℃で2時間仮焼した。仮焼粉を水を媒体として湿式ボールミルで18時間粉砕し、水、バインダー、潤滑剤及び可塑剤を添加して、造粒した。造粒粉をプレス成形し、大気中1200℃で3時間焼結した。得られた焼結体を切削し、30 mm×3 mm×3 mmの直方体状磁性基体とした。この磁性基体にAg-Ptペーストを印刷し、焼き付けることにより、幅0.8 mmで、巻き数12回のヘリカル構造の電極を形成し、チップアンテナを形成した。プリント基板に給電電極及び接地電極を形成し、給電電極にこのチップアンテナの電極の一端を接続し、アンテナ装置Bを作製した。アンテナ装置Bには固定電極を設けず、整合回路も付加しなかった。接地電極は11 mmの間隔でチップアンテナと対向した。
各アンテナ装置A、Bを測定用アンテナから3 m離して配置し、アンテナ利得評価装置を用いてアンテナ特性(平均利得及び共振周波数)を測定した。図13はアンテナ装置Aの三方向の平均利得を示す。アンテナ装置Aは、−7 dB以上の帯域幅が330 MHz(475〜800 MHz)、−5 dB以上の帯域幅が275 MHz(503〜778 MHz)であり、広帯域幅であった。330 MHzの帯域幅を有するということは、整合回路の切り換えなしに一つのアンテナ装置で470〜770 MHzの帯域をカバーできることを意味する。一方、ヘリカル構造の電極を有するチップアンテナを用いたアンテナ装置Bは、−7 dB以上の帯域幅が209 MHz(477〜686 MHz)、−5 dB以上の帯域幅が160 MHz(500〜660 MHz)であり、帯域幅が狭かった。
実施例7
プレス成形により得た磁性基体(サンプル5)を有するチップアンテナと、押出成形により得た磁性基体(サンプル8)を有するチップアンテナとをそれぞれアンテナ装置に取り付け、平均利得及びVSWRを測定した。ただし各磁性基体のサイズは、平均利得の測定の場合3 mm×3 mm×30 mmであり、VSWRの測定の場合2 mm×2 mm×10 mmであった。貫通孔径はいずれも0.65 mmであった。結果を図14及び図15に示す。
図14から明らかなように、地上デジタルテレビ放送帯である470〜770 MHzの範囲にわたってサンプル5の平均利得はサンプル8より1 dB以上高かった。また図15から明らかなように、サンプル8のVSWRは550〜750 MHzの範囲で4〜5以下と良好であった。もちろん地上デジタルテレビ放送帯である470〜770 MHzの範囲でサンプル8のVSWRは実用上十分である。

Claims (14)

  1. Z型フェライト又はY型フェライトを主相とし、中心軸線に沿って直線状に延在する貫通孔を有する磁性基体と、前記貫通孔を貫通する導体とを有し、前記磁性相のc軸が前記貫通孔に実質的に平行であることを特徴とするチップアンテナ。
  2. 請求項1に記載のチップアンテナにおいて、前記貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面と平行な深さ0.3 mmの断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rz[Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)]と、前記貫通孔と直交する断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rx[Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)]との比(Rz/Rx)が1.5以上であることを特徴とするチップアンテナ。
  3. Z型フェライト又はY型フェライトを主相とし、中心軸線に沿って直線状に延在する貫通孔を有する磁性基体と、前記貫通孔を貫通する導体とを有し、前記磁性相のc軸が前記貫通孔に実質的に垂直であることを特徴とするチップアンテナ。
  4. 請求項3に記載のチップアンテナにおいて、前記貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面と平行な深さ0.3 mmの断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rz[Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)]が1.6以下であり、前記貫通孔と直交する断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Rx[Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)]が3.5以上であることを特徴とするチップアンテナ。
  5. 請求項4に記載のチップアンテナにおいて、深さ0.3 mmにおけるRzとRxとの比が0.45以下であることを特徴とするチップアンテナ。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のチップアンテナにおいて、前記貫通孔の中心軸線を含む長手方向断面におけるX線回折パターンのピーク強度比Ry[Z型フェライトの場合I(1016)/I(0018)、Y型フェライトの場合I(110)/I(0015)]が2.5以下であることを特徴とするチップアンテナ。
  7. 請求項6に記載のチップアンテナにおいて、深さ0.3 mmにおけるRzとRyとの比が0.8以下であることを特徴とするチップアンテナ。
  8. 請求項3〜7のいずれかに記載のチップアンテナにおいて、前記磁性基体における前記磁性相のc軸の配向が、磁性基体表面及び前記貫通孔面でそれらの中間部分より揃っていることを特徴とするチップアンテナ。
  9. 請求項3〜8のいずれかに記載のチップアンテナにおいて、前記磁性基体の外周面が焼結したままの状態であることを特徴とするチップアンテナ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の複数のチップアンテナの導体が直列に接続されていることを特徴とするチップアンテナ組立体。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のチップアンテナを具備し、前記導体の一端が開放端で他端が給電回路に接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
  12. 請求項10に記載のチップアンテナ組立体を具備し、前記導体の一端が開放端で他端が給電回路に接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
  13. 請求項11又は12に記載のアンテナ装置を搭載した通信機器。
  14. Z型フェライト又はY型フェライトを主相とし、中心軸線に沿って直線状に延在する貫通孔を有し、前記磁性相のc軸が前記貫通孔に実質的に垂直である磁性基体と、前記貫通孔を貫通する導体とを有するチップアンテナを製造する方法であって、前記磁性相を有する磁性体粉末を含有する坏土を押出成形することにより前記磁性基体を形成し、前記磁性基体の貫通孔に導体を挿入することを特徴とする方法。
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