JP5194780B2 - 定着ベルトの製造方法 - Google Patents
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Description
尚、既存の技術ではベルトの発熱層に必要な金属層(Cu層)の膜厚(例えば10μm程度)の無端状ベルトを塑性加工(圧延)法を用いて形成することは不可能である。よって、積層体の金属母材を金属複合材料とすることにより、塑性加工(圧延)法を用いて金属層(Cu層)形成している。
また、上記界面剥離を防止する手段として、各金属層を相互拡散させ接合層を形成することが有効である。しかし、相互拡散は合金層であるので硬くて脆い層となり脆性割れを生じるという問題があることが、本発明者らの鋭意検討により判明した。
・式(1) A=D0×exp(−Q/N A kT)×t
[上記式(1)中、Aは拡散面積を表し、D0は拡散振動数(cm2/sec)を表し、Qは自己拡散の活性化エネルギー(kcal/mol)を表し、NAはアボガドロ数(6.02×1023(/mol))を表し、kはボルツマン定数(1.3806503×10−23(J/K):但し1J=0.239cal)を表し、Tは熱処理の温度(K)を表し、tは熱処理の時間を表す。]
・処理条件(1−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(1−2) 処理時間:30分以上60分以下
・処理条件(2−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(2−2) 処理時間:30分以上60分以下
・処理条件(3−1) 処理温度:500℃以上800℃以下
・処理条件(3−2) 処理時間:10分以上30分以下
以下、好ましい態様である第1の実施形態に係る定着ベルトについて、図を用いて詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る定着ベルトの構成を示す模式断面図であり、5層構成定着ベルトについて示したものである。
図1に示されるように、定着ベルト10は、内周側から順に、ベース金属層(基材)10a、金属層(発熱層)10b、中間金属層(保護層)10c、耐熱性弾性層10dおよび耐熱性樹脂層(離型層)10eをこの順に設けた5層構成を有している。また、ベース金属層10aと金属層10b、金属層10bと中間金属層10cはそれぞれ、拡散接合されてなる接合層101および102を介して形成されている。
また、ニッケルを9質量%以上13質量%以下含有することにより、Fe中にNiを固溶させFe−Ni合金が形成され、固溶強化の効果で繰り返し曲げ変形に対する疲労強度を向上させることができる。
また、マンガンの含有量を2質量%以下とすることにより、Fe−Cr−Ni合金中にMnを固溶させFe−Cr−Ni−Mn合金が形成され、塑性加工の際の硬化度合いが和らげられ、加工硬化による脆化を防ぎ繰り返し曲げ変形に対する疲労強度を向上させることができる。
また、シリカの含有量を1質量%以下と、りんの含有量を0.45質量%以下と、硫黄の含有量を0.03質量%以下とすることにより、結晶粒界に析出し結晶粒界を硬く脆くさせる不純物の含有量を低減することができる。
また、カーボンの含有量を0.03質量%以下とすることにより、Feと反応して硬く脆いセメンタイト(Fe3C)を生成し、マトリックス全体を脆化させるCの含有量を低減することができる。
本明細書に記載の値は、上記方法により測定したものである。
次いで、好ましい態様である第2の実施形態に係る定着ベルトの製造方法について詳細に説明する。前記第1の実施形態に係る定着ベルトは、以下に示す第2〜第7の実施形態に係る定着ベルトの製造方法によって製造することができる。
第2の実施形態に係る定着ベルトの製造方法は、ベース金属層10a、金属層10bおよび中間金属層10cの3層の金属層に必要な金属板を準備し、それぞれの接着面を研磨により酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工を行い、冷間圧接する。次いで、この積層体に、第1の熱処理を施して接合層101および102を形成する第1の熱処理工程を施すことでそれぞれの金属板を強固に接着し、必要な厚さの多層積層板を製作する。次に、接合された前記積層体(多層積層板)に深絞法、へら絞り法、プレス法、回転塑性加工法等の塑性加工を施して、無端ベルト状に形成する加工工程を行う。最後に前記3層の金属層上に耐熱性弾性層10dおよび耐熱性樹脂層10eを形成する表面層形成工程を行うことにより定着ベルトが製造される。
・式(1) A=D0×exp(−Q/N A kT)×t
[上記式(1)中、Aは拡散面積を表し、D0は(各材料に固有の)拡散振動数(cm2/sec)を表し、Qは(各材料に固有の)自己拡散の活性化エネルギー(kcal/mol)を表し、NAはアボガドロ数(6.02×1023(/mol))を表し、kはボルツマン定数(1.3806503×10−23(J/K):但し1J=0.239cal)を表し、Tは熱処理の温度(K)を表し、tは熱処理の時間を表す。]
スパイラル法としては、両端を保持された塗布対象物(即ち金属層)を回転させて、上部から塗布液を線状に垂下しながら、塗布液を垂下する塗布装置を平行移動させることで、螺旋状に塗布液を塗布していく方法が挙げられる。さらに、その線状に垂下された塗布液を、前記塗布装置に合わせて平行移動するブレードで押し潰し、形成されていない場所の無いように均していくフローコート法が挙げられる。これらスパイラル法においては、垂下された塗布液の境界部分やブレードの離液部分において、境界線が螺旋状に残る。
また、前記第2の実施形態に係る定着ベルトの製造方法においては、前記加工工程において、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、第1の加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が8.8×100μm2以上6.8×102μm2以下との条件を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を実施することができる。
また、前記第2の実施形態に係る定着ベルトの製造方法においては、前記加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が3.5×10−4μm2以上8.8×100μm2以下との条件を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を実施することができる。
第5の実施形態に係る定着ベルトの製造方法は、ベース金属層10a、金属層10bおよび中間金属層10cの3層の金属層に必要な金属板を準備し、それぞれの接着面を研磨により酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工を行い、冷間圧接する。次いで、この積層体に、第1の熱処理を施して接合層101および102を形成する第1の熱処理工程を施すことでそれぞれの金属板を強固に接着し、必要な厚さの多層積層板を製作する。次に、接合された前記積層体(多層積層板)に深絞法、へら絞り法、プレス法、回転塑性加工法等の塑性加工を施して、無端ベルト状に形成する加工工程を行う。最後に前記3層の金属層上に耐熱性弾性層10dおよび耐熱性樹脂層10eを形成する表面層形成工程を行うことにより定着ベルトが製造される。
・処理条件(1−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(1−2) 処理時間:30分以上60分以下
また、前記第5の実施形態に係る定着ベルトの製造方法においては、前記加工工程において、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、第1の加工工程の後に、下記処理条件(2−1)および(2−2)を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を実施することができる。
・処理条件(2−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(2−2) 処理時間:30分以上60分以下
また、前記第5の実施形態に係る定着ベルトの製造方法においては、前記加工工程の後に、下記処理条件(3−1)および(3−2)を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を実施することができる。
・処理条件(3−1) 処理温度:500℃以上800℃以下
・処理条件(3−2) 処理時間:10分以上30分以下
−第8の実施形態に係る定着装置−
次に、前記第1の実施形態に係る定着ベルトを用いた第8の実施形態に係る定着装置について、以下に図面を用いて詳細に説明する。
第8の実施形態に係る定着装置20は、3層の金属層を含む第1の実施形態に係る定着ベルト10と、該定着ベルト10の外周面に接触する加圧ローラ11と、定着ベルト10の内周面に接触し前記加圧ローラ11と対抗する位置に配置される定着パッド12と、該定着パッド12を支持する支持部材13と、定着ベルト10の外周面側に非接触の状態で、前記金属層に渦電流を発生させて前記定着ベルト10の外周面を発熱させる電磁誘導コイル14と、該電磁誘導コイル14を支持するコイル支持部材15と、を備える。
加圧ローラ11の矢印R方向への回転に伴い、定着ベルト10が従動回転し、電磁誘導コイル14により発生した磁界に曝される。この際、電磁誘導コイル14周辺の定着ベルト10中の金属層には渦電流が発生し、定着ベルト10の外周面が定着可能な温度まで加熱される。
次に、第9の実施形態に係る定着装置について、以下に図面を用いて詳細に説明する。図3は、第9の実施形態に係る定着装置の構成について示した模式断面図である。
尚、第9の実施形態に係る定着装置20は、定着ベルト10の内周面に接し、電磁誘導により発熱する加熱補助部材26が、支持部材28およびバネ部材28Bによって支持された状態で設けられていること以外は、前記第8の実施形態に係る定着装置の構成をそのまま採用することができる。そのため、以下においては加熱補助部材26、支持部材28およびバネ部材28B以外の説明は省略する。
一方、バネ部材28Bは、加熱補助部材26と支持部材28との連結部材であり、加熱補助部材26を直接支持するものである。バネ部材28Bは、加熱補助部材26にその幅方向両端部にて連結されている。
加熱補助部材26の材料としては、金属が好適に用いられる。
動粘度が330mm2/s以下の潤滑剤を使用することにより、潤滑剤のせん断力が抑制され、摩擦力が低減できると共に潤滑剤膜厚が抑制され、凹部内での流動性を確保することができ、潤滑剤の固着(いわゆる焦げ付き)の発生が良好に抑制される。一方、動粘度240mm2/s以上の潤滑剤を使用することにより、潤滑剤のせん断力に対する耐久性が得られ、凹部内に潤滑剤が良好に留まり、摩擦抵抗を良好に低減することができる。また、低粘度潤滑剤において生じやすい泡の発生を効果的に抑制し、熱伝導の低下が抑制される。
ここで、上記第8および第9の実施形態に係る定着装置において好適に用いられる加圧ローラ11について説明する。
前記加圧ローラ11としては、従来公知のものを使用することができるが、図4(A)および図4(B)に示されるように、弾性層112と、弾性層112の表面に被覆され当該弾性層112よりも弾性率の高い材質で形成された表面層113を有し、弾性層112の膜厚が軸方向中央部が厚く両端部が薄い構成であり、且つ表面層113が前記定着ベルト10表面に対して略平行であることが好ましい。
図4(A)および図4(B)に示した加圧ローラ11は、SUS製のパイプ(円筒体)を基材111として、基材111に弾性層112と、さらにはその外周面に弾性層112よりも体積弾性率が高い材質で形成された表面層113とが被覆されている。ここで、表面層113は、体積弾性率が弾性層112の体積弾性率よりも大きく、ポアソン比が弾性層112のポアソン比よりも小さいことが好ましい。そのため、表面層113が樹脂で形成されていることが好ましく、特にフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等で形成されていることが好ましい。弾性層112は、柔軟性と耐熱性の点からシリコーンゴムが好ましい。また、基材111は、中央部の外径が両端部の外径よりも小さく形成されていることが好ましい。
一方、外径が60mm(中央部と両端部での外径の差はなし)、長さ350mmの基材に、長手方向の厚さ3mmのシリコーンゴムからなる弾性層と、厚さ100μmのPFAからなる表面層とを積層し、表面層外径は長手方向にストレートに構成されている加圧ローラを使用した場合は、7枚の波打ち状のゆがみがランダムに発生することが確認された。
−第10の実施形態に係る画像形成装置−
図5は、前述の第8または第9の実施形態に係る定着装置を備える第10の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図5に示される画像形成装置はフルカラー画像を形成するロータリー現像方式を採用したものであり、大きく、カラートナー像を形成するためのカラートナー像形成装置(符号32〜46)と、このカラートナー像を記録媒体表面に定着する、定着装置20とに分けられ、両者が搬送装置49により連結されている。
光学系36では、各色成分ごとにレーザーダイオード35が発光し、有機感光体(像保持体)38表面に、各色成分ごとの像様の光Xが照射される。一方、有機感光体38は、矢印A方向に回転しながら、まず、表面が帯電器37により帯電されたのち、既述の光学系36による露光が行われ、現像器(現像手段)39〜42による現像に供される。
カラートナー像が転写された記録媒体16は、搬送装置49によって定着装置20に搬送され、前述の通り未定着トナー像が記録媒体上に定着され、画像が形成される。
まず、ベース金属層10aに用いるステンレスの組成による比較を行った。
[発熱層/ベース金属層]
ベース金属層用のステンレス板として、下記表1に記載の組成であるステンレス板(厚さ0.4mm)を準備した。また、発熱層(金属層)用の金属板として銅板(厚さ0.1mm)を準備した。
それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.5mmの2層積層板を製作した。
上記参考例1において、ベース金属層用のステンレス板として、それぞれ下記表1に記載の組成であるステンレス板を用いた以外、参考例1に記載の方法により無端状ベルトを製作した。
以下の方法により、定着領域の歪みについて評価した。
定着ベルト上へ歪みゲージを貼り付け、歪み信号をモニターしながら、この歪みゲージを定着領域を通過させることにより、定着領域の歪みを測定した。
以下の方法により、発熱特性について評価した。
上記画像形成装置を用いて、定着ベルトを電磁誘導加熱した状態で、連続200時間空回転させる電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。定着ベルト表面の温度を測定し、設定温度(180℃)の維持性を観察した。
以下の方法により、ベルトの割れ(クラック)について評価した。
上記画像形成装置を用いて、定着ベルトを電磁誘導加熱した状態で、連続200時間空回転させる電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。定着ベルト表面の温度を周方向3箇所、軸方向4箇所で測定し、温度変化により、ベルトの割れ(クラック)の場所を検出した。
結果を下記表1に示す。
<実施例1、実施例4および比較例1−1、比較例1−2、比較例1−3、比較例4>
[発熱層/ベース金属層]
発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの2層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面にJISタイプAで規定される硬度が35°となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴム35°品、信越化学工業社製)を膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させることにより、乾燥状態の液状シリコーンゴムを得た。
上記の乾燥状態の液状シリコーンゴム(耐熱性弾性層)の表面にPFAディスパージョン(500CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)を膜厚30μmとなるように塗布し、380℃で焼成することにより、シリコーンゴムからなる耐熱性弾性層とPFAからなる耐熱性樹脂層とを形成し、定着ベルトを得た。
[発熱層/ベース金属層]
発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの2層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面に、前記実施例1に記載の方法により耐熱性弾性層および耐熱性樹脂層を形成し、定着ベルトを得た。
[発熱層/ベース金属層]
発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの2層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面に、前記実施例1に記載の方法により耐熱性弾性層および耐熱性樹脂層を形成し、定着ベルトを得た。
[中間金属層/発熱層/ベース金属層]
中間金属層、発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの3層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面に、前記実施例1に記載の方法により耐熱性弾性層および耐熱性樹脂層を形成し、定着ベルトを得た。
[中間金属層/発熱層/ベース金属層]
中間金属層、発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの3層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面に、前記実施例1に記載の方法により耐熱性弾性層および耐熱性樹脂層を形成し、定着ベルトを得た。
[中間金属層/発熱層/ベース金属層]
中間金属層、発熱層およびベース金属層用の金属板として、下記表2に記載の金属板(何れも厚み1.0mm)を準備した。それぞれの板材の接着面を研磨し酸化被膜を除去した後、冷間状態で圧延加工することでそれぞれの金属板を接着し、厚み0.4mmの3層積層板を製作した(積層加工)。
発熱層の表面に、前記実施例1に記載の方法により耐熱性弾性層および耐熱性樹脂層を形成し、定着ベルトを得た。
外径30mmの円筒形ステンレス型表面に、市販のポリイミド前駆体溶液(UワニスS、宇部興産社製)を浸漬法にて塗布することにより、塗布膜を形成した。次に、この塗布膜を100℃で30分間乾燥させることにより、前記塗布膜中の溶剤を揮発させた後、380℃で30分間焼成しイミド化させることにより、膜厚60μmのポリイミド皮膜を形成した。冷却後、ステンレス型表面からポリイミド皮膜を剥離することにより、内径30mm、膜厚75μm、長さ370mmのポリイミド製の耐熱性基体を得た。
比較例1に示す定着ベルトにおいて、膜厚が0.3μmの無電解Cuメッキ膜を膜厚が0.3μmの無電解Niメッキ膜に、膜厚が10μmの電解Cuメッキ膜を膜厚が15μmの電解ニッケルメッキ膜に変更したこと以外は、比較例1に記載の方法により定着ベルトを得た。
(i)接合層の厚み
上記実施例および比較例にて得られた定着ベルトの中間金属層/発熱層/ベース金属層において拡散接合によって形成された接合層の厚さを、前述の方法により透過電子顕微鏡(TEM)にて観察し、測定した。
まず、以下のようにして加圧ロールを準備した。内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのフッ素樹脂チューブと金属製の中空芯金コアを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブとコア間に液状発泡シリコーンゴム(層厚:2mm)を注入後、加熱処理(150℃、2hrs)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させゴム弾性を有した加圧ロールを作製した。
以上の結果を、下記表3に示す。
<1> 少なくとも2層以上の金属層を積層した積層体に、下記式(1)で示される拡散面積が8.8×100μm2以上6.8×102μm2以下との条件を満たす第1の熱処理を施して接合層を形成する第1の熱処理工程と、接合された前記積層体に塑性加工を施して無端ベルト状に形成する加工工程と、前記金属層上に弾性層または樹脂層を形成する表面層形成工程と、を有する定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、拡散面積を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
・式(1) A=D0×exp(−Q/N A kT)×t
[上記式(1)中、Aは拡散面積を表し、D0は拡散振動数(cm2/sec)を表し、Qは自己拡散の活性化エネルギー(kcal/mol)を表し、NAはアボガドロ数(6.02×1023(/mol))を表し、kはボルツマン定数(1.3806503×10−23(J/K):但し1J=0.239cal)を表し、Tは熱処理の温度(K)を表し、tは熱処理の時間を表す。]
<2> 前記加工工程が、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、第1の加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が8.8×100μm2以上6.8×102μm2以下との条件を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を有する前記<1>に記載の定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、拡散面積を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
<3> 前記加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が3.5×10−4μm2以上8.8×100μm2以下との条件を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を有する前記<1>に記載の定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、拡散面積を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
<4> 少なくとも2層以上の金属層を積層した積層体に、下記処理条件(1−1)および処理条件(1−2)を満たす第1の熱処理を施して接合層を形成する第1の熱処理工程と、接合された前記積層体に塑性加工を施して無端ベルト状に形成する加工工程と、前記金属層上に弾性層または樹脂層を形成する表面層形成工程と、を有する定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、熱処理条件を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
・処理条件(1−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(1−2) 処理時間:30分以上60分以下
<5> 前記加工工程が、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、第1の加工工程の後に、下記処理条件(2−1)および処理条件(2−2)を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を有する前記<4>に記載の定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、熱処理条件を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
・処理条件(2−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(2−2) 処理時間:30分以上60分以下
<6> 前記加工工程の後に、下記処理条件(3−1)および処理条件(3−2)を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を有する前記<4>記載の定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、熱処理条件を考慮しない場合に比べ、界面における剥離の防止および脆性割れの防止を両立した定着ベルトを、容易に製造することができる。
・処理条件(3−1) 処理温度:500℃以上800℃以下
・処理条件(3−2) 処理時間:10分以上30分以下
<7> 前記金属層は、いずれの層も、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシュウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、ベリリュウム、アンチモン、ステンレス、およびこれらの合金から選ばれる少なくとも1種が含有されてなる前記<1>〜<6>の何れか1項に記載の定着ベルトの製造方法である。該構成とすることにより、用いる金属を考慮しない場合に比べ、外周面を良好に加熱し得る定着ベルトを、容易に製造することができる。
10a ベース金属層
10b 金属層(発熱層)
10c 中間金属層
10d 耐熱性弾性層
10e 耐熱性樹脂層
11 加圧ローラ
12 定着パッド
13 支持部材
14 電磁誘導コイル
15 コイル支持部材
16 記録媒体
17 未定着トナー像
18 画像
20 定着装置
26 加熱補助部材
28 支持部材
28B バネ部材
31 原稿
32 照明
33 カラースキャナ
34 画像処理装置
35 レーザーダイオード
36 光学系
37 帯電器
38 有機感光体
39 イエロー現像器
40 マゼンタ現像器
41 シアン現像器
42 ブラック現像器
43 中間転写ベルト
44 転写コロトロン
45、46 転写ロール
49 搬送装置
111 基材
112 弾性層
113 表面層
Claims (6)
- 少なくとも2層以上の金属層を積層した積層体に、下記式(1)で示される拡散面積が8.8×100μm2以上6.8×102μm2以下との条件を満たす第1の熱処理を施して接合層を形成する第1の熱処理工程と、
接合された前記積層体に塑性加工を施して無端ベルト状に形成する加工工程と、
前記金属層上に弾性層または樹脂層を形成する表面層形成工程と、を有することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
・式(1) A=D0×exp(−Q/N A kT)×t
[上記式(1)中、Aは拡散面積を表し、D0は拡散振動数(cm2/sec)を表し、Qは自己拡散の活性化エネルギー(kcal/mol)を表し、NAはアボガドロ数(6.02×1023(/mol))を表し、kはボルツマン定数(1.3806503×10−23(J/K):但し1J=0.239cal)を表し、Tは熱処理の温度(K)を表し、tは熱処理の時間を表す。] - 前記加工工程が、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、
第1の加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が8.8×100μm2以上6.8×102μm2以下との条件を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、
第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の定着ベルトの製造方法。 - 前記加工工程の後に、前記式(1)で示される拡散面積が3.5×10−4μm2以上8.8×100μm2以下との条件を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を有することを特徴とする請求項1に記載の定着ベルトの製造方法。
- 少なくとも2層以上の金属層を積層した積層体に、下記処理条件(1−1)および処理条件(1−2)を満たす第1の熱処理を施して接合層を形成する第1の熱処理工程と、
接合された前記積層体に塑性加工を施して無端ベルト状に形成する加工工程と、
前記金属層上に弾性層または樹脂層を形成する表面層形成工程と、を有することを特徴とする定着ベルトの製造方法。
・処理条件(1−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(1−2) 処理時間:30分以上60分以下 - 前記加工工程が、接合された前記積層体に第1の塑性加工を施す第1の加工工程と、
第1の加工工程の後に、下記処理条件(2−1)および処理条件(2−2)を満たす第2の熱処理を施す第2の熱処理工程と、
第2の熱処理工程の後に、第2の塑性加工を施す第2の加工工程と、を有することを特徴とする請求項4に記載の定着ベルトの製造方法。
・処理条件(2−1) 処理温度:800℃以上1000℃以下
・処理条件(2−2) 処理時間:30分以上60分以下 - 前記加工工程の後に、下記処理条件(3−1)および処理条件(3−2)を満たす第3の熱処理を施す第3の熱処理工程を有することを特徴とする請求項4に記載の定着ベルトの製造方法。
・処理条件(3−1) 処理温度:500℃以上800℃以下
・処理条件(3−2) 処理時間:10分以上30分以下
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