JP5194611B2 - 板材のプレス成形方法及びプレス成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、板材のプレス成形方法及びその方法により成形されたプレス成形品に関する。
近年、特に自動車産業においては、環境問題対策の一環とした車体の軽量化として、材料の薄肉化と高強度化とが推し進められている。そのために、自動車用部品の製作には、製作コストに優れたプレス成形が用いられることが多い。しかし、薄肉化や高強度化された材料のプレス成形では、材料の割れやしわが発生し易い。このような状況下でも、プレス成形品には、製品として満たすべき耐デント性、張り剛性、寸法精度及び面品質が求められているのは従来とは何ら変わらない。
そして、材料の割れやしわを抑制することを可能にする方法や、従来と同等の製品として満たすべき耐デント性、張り剛性、寸法精度及び面品質を有するプレス成形品を成形する方法として、液圧を用いたハイドロフォーム法、ゲーリン法及びマーホーム法等が知られている。
ハイドロフォーム法は、対向液圧成形とも呼ばれ、非特許文献1で開示されている。また、特許文献1には、ハイドロフォーム法を用い、耐デント性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、ハイドロフオーム法を応用し、寸法精度の高い製品を作る方法が開示されている。さらに、特許文献3、4にも、ハイドロフオーム法を用いた成形技術が開示されている。
また、非特許文献2には、ゴムを用いるせん断及び曲げに関するゲーリン法、絞りに関するマーホーム法が開示されている。マーホーム法はダイの代わりにゴムを用い、パンチをゴムの中に押し込んで成形する方法であり、主にアルミニウムや銅などの薄板の成形に用いられている。また、特許文献5にも、マーホーム法を用い、割れしわを抑制できる成形技術が開示されている。
また、自動車は外観デザインが重要であることから、車体に部分的に形成されている凹形状部位の角部、例えば燃料給油口(凹形状の部位)の角部(サイドパネルのつなぎ目の部位)のRを1〜2mm等の極めて小さい値にすることで、ハイライトが通るようにして、見栄えを良くしたり、デザインを際立たせたりしている。なお、エンボスとは、板金や紙などで凸形状や凹形状の型押し加工によった形状のことであり、自動車関連では車体に部分的に形成されている燃料給油口、ドアハンドル取り付け部、ナンバープレート取り付け部等の凹形状部位を指す。また、その加工をエンボス加工という。
ここで、エンボスを成形する方法として、非特許文献3に、面ひずみが発生しやすいドアハンドル取り付け部の成形を分割した金型で行う成形法が開示されている。この成形法では、ドアハンドル取り付け部の成形部の周囲を拘束することで、該成形部周囲における面ひずみの発生を抑制している。また、引用文献6には、局部成形金型を用いた技術が開示されている。この局部成形金型を用いた技術では、ドアハンドル取り付け部の近傍を別の金型で成形するとともに、液圧により隙間を調節し、面ひずみを低減させている。
また、引用文献7には、面ひずみの発生を抑制するものとして、液圧を用いた成形装置(液圧成形法)が開示されている。この成形装置では、液圧により局部的な応力集中を防止して、しわや割れ等の不良を低減し、かつ成形部位の周囲をパッドで押さえることにより、面ひずみを抑制している。また、金型でエンボスの成形を行なうことで、Rを小さくした成形が可能であるとしている。
また、引用文献8には、小Rとした場合でも割れを防止する手法として、リストライクを用いる方法(リストライクによる成形法)が開示されている。
特開2003−342679号公報 特開平1−273626号公報 特開昭58−32号公報 特開昭60−56569号公報 特開昭62−33018号公報 特開昭58−38620号公報 特開平7−178473号公報 特開昭61−209730号公報 「プレス技術」第39巻第9号(2001年9月号) 「塑性と加工」vol.20 no.222(1979−7) 「塑性と加工」vol.24 no.275(1983−12)
ところで、ハイドロフォーム法やマーホーム法は、それぞれ長所があるが、短所が大きすぎるために、自動車産業等において部品を量産する場合に適してはいない。
まず、ハイドロフォーム法で量産展開が難しい理由はその生産速度の低さにあり、通常のパンチ及びダイを用いた成形では、1分間に10枚〜15枚を成形できるのに対し、ハイドロフォーム法では、1分間に0.5枚の成形、多くて1枚の成形が限度である。
この対策として、特許文献3に開示されている技術では、液体の給排のロスを無くすことによりタイムロスを少なくするようにしているが、液体の給排自体が装置にあるために、通常のパンチ及びダイを用いた成形には遠く及ばない。
また、ハイドロフォーム法では、通常複動型(ダブルアクション式)のプレス機を用いており、これに対して、自動車産業で用いている量産用のプレス機では単動型(シングルアクション式)のプレス機が主流となるために、ハイドロフォーム法が使えない。この対策として、特許文献4では、単動プレスによるハイドロフォーム法を提案しているが、この方法でも、液体の給排自体は必要なために、通常のパンチ及びダイを用いた成形には遠く及ばない。
その他量産展開の阻害要因としては、成形される材料が液体で濡れて、作業環境が良くないことである。この対策として、非特許文献1には、ゴム膜を使用したハイドロフォーム法が提案されているが、やはり液体の出し入れが必要であり、プレスに時間がかかってしまう。
次に、マーホーム法の量産展開が難しい理由は、特許文献5の適用事例からもわかるように、板材をゴムの塊に対して押し付ける、又は板材にゴムの魂を押しつける成形になるために、ゴムの弾性変形の追従性が悪く、マーホーム法は、自動車外板のような複雑なデザインの成形には適用できない。なお、マーホーム法は、張り剛性、面品質が、ハイドロフォーム成形を用いた場合よりも向上すると一般的に言われている。
以上のように、従来技術には、自動車産業等において部品の量産に優れて、かつ、割れ、しわなく成形可能で、かつ耐デント性、張り剛性、寸法精度及び面品質を満たすパネルを作る技術は見当たらない。
また、前述のエンボスを成形する手法でも、種々の課題がある。
すなわち、非特許文献3に開示されている成形方法では、成形部位の周囲を拘束してドアハンドル取り付け部を成形するため、ドアハンドル取り付け部に周囲の材料が流入できない。また、この成形を金型同士で行っていることから、ドアハンドル取り付け部の金型と材料が接触した部分の摩擦力のために、該金型が接した部分の板厚はほとんど減少しない。つまり、ドアハンドル取り付け部の底及びドアハンドル取り付け部の周囲からの材料供給がない状態となり、取り付け部深さが数mmを越える深さの場合、ドアハンドル取り付け部の角部で局所的な板厚減少が発生し、割れが発生してしまう。
また、特許文献7に開示されている液圧成形法では、液圧をポンプユニットで調整しており、成形中に液体の給排が必要となる。さらには、成形後に液体を拭き取る必要がある。このようなことから、特許文献7に開示されている液圧成形法は、成形品の生産性が極めて低く、量産には適していない。また、液圧が高くなるのを避けるために、小Rの成形については金型で行なっており、割れを依然として回避できていない。さらに、一般的には、液体の給排を伴う成形の場合、その生産速度は1分間に0.5枚、多くても1枚が限度であり、通常のパンチ及びダイを用いた成形では、1分間に10枚から15枚を成形できることと比べて、量産の展開に適しているとは言い難い。
また、特許文献6に開示されている成形方法でも、油圧ポンプによる給排により液圧制御しており、成形時間がかかってしまうこと、さらには、アウタラムとインナラムを使用するダブルアクション型のプレス機のみで実現可能なために生産性が低いこと等により、量産が主流のシングルアクション型プレス機には全く適さないものとなる。また、金型によりドアハンドル取り付け部を成形しているので、ドアハンドル取り付け部の角部に割れが発生してしまう。さらには、成形初期からドアハンドル取り付け部の成形部の周囲を押えていないため、ドアハンドル取り付け部の成形部への材料流入により、その成形部の周囲に面ひずみも発生してしまう。また、製品の外観側で金型を分割していることから、成形により製品の外観側に筋目ができてしまい、外観品質が不良となってしまう。
また、特許文献8に開示されている成形方法では、例えばR5の形状からR2の形状を成形すると、リストライク前後での線長差が生じて、寸法精度不良や面ひずみの発生要因となるため、該成形方法を、形状の精度が要求される部位や外観品質が問題になる部位に用いることは適当ではない。
このように、従来において、エンボスを成形する成形品について、外観品質を維持しつつ、量産を可能とした成形技術が見当たらない。
本発明は、前述した課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、成形品の量産展開を可能にしつつも、要求される耐デント性、寸法精度、張り剛性、面品質を満たす成形品を提供することである。また、本発明は、エンボスを成形する成形品について、外観品質を維持しつつ、量産を可能にすることである。
前記課題を解決するために、本発明に係る請求項1に記載のプレス成形方法は、板材における成形対象面の周囲を拘束し、粘弾性部材または弾性部材の外周面を張り合わせることで形成された粘弾性部材のみまたは弾性部材のみからなる封入容器に流動性物質を封入した封入体、あるいは粘弾性部材または弾性部材を風船型とした粘弾性部材のみまたは弾性部材のみからなる封入容器に流動性物質を封入した封入体を前記成形対象面に押圧して、前記板材を成形することを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2に記載の板材のプレス成形方法は、請求項1に記載の板材のプレス成形方法において、前記封入体と金型とで前記板材を挟み、押圧して、前記板材を前記封入体と金型とでプレス成形することを特徴とする。
また、本発明に係る請求項3に記載の板材のプレス方法は、請求項1又は2に記載の板材のプレス成形方法において、前記板材のエンボス成形対象面の周囲を拘束し、前記封入体を前記エンボス成形対象面に押圧して、凹形状のエンボスを成形することを特徴とする
本発明によれば、流動性物質を封入した封入体を板材に押圧して、板材を変形させることで、成形品の量産展開を可能にしつつも、要求される耐デント性、寸法精度、張り剛性、面品質を満たす成形品を提供できる。また、本発明によれば、エンボスを成形する成形品について、外観品質を維持しつつ、量産を可能にすることができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、本発明を適用した成形装置である。
(構成)
図1は、第1の実施形態の成形装置の構成を示す。この成形装置はいわゆるダブルアクション式の構造をなす。
図1(a)に示すように、成形装置は、プレスされる材料であるブランク100の成形時に該ブランク100(具体的には成形対象となる面)の外周部を押さえる略枠状の上下ブランクホルダ1,2、下側ブランクホルダ1が載置されている基台3、基台3を貫通し上下動するクッションピン4により支持されつつ、下側ブランクホルダ1の内側に配置されている駆動台5、駆動台5上に載置されつつ、下側ブランクホルダ1の内側に配置されている封入体6、及び上側ブランクホルダ2の内側に配置され、該上側ブランクホルダ2とは独立して上下動可能とされている凸型金型であるパンチ7を備えている。この成形装置は、いわゆるダイレスの成形装置として構成されている。ここで、ブランク100は、鋼板やアルミニウム合金板である。
上側ブランクホルダ2は、パンチ7及びブランク100に応じた略枠形状とされており、パンチ7と独立して上下動可能に支持されている。下側ブランクホルダ1は、封入体6及びブランク100に応じた略枠形状とされており、この下側ブランクホルダ1上にブランク100が載置されている。これら上下ブランクホルダ1,2は、成形時のしわを抑えるしわ抑え板としても機能している。
また、上下ブランクホルダ1,2には適宜Rを設定している。具体的には、封入体6の破損を回避するために、下側ブランクホルダ1においてブランク100と封入体6とが接触する部分1a、すなわち、上側面と内側面とが交わる角部のRを2mm以上にしている。
図2は下側ブランクホルダ1の平面図であり、図3は上側ブランクホルダ2の平面図である。
図2及び図3に示すように、下側ブランクホルダ1と上側ブランクホルダ2とは平面視において略同形状である。図2に示すように、封入体6が内側に設置される下側ブランクホルダ1では、封入体6が局所変形してしまうのを避けるために、隣り合う内側面同士が交わる角部1bのRを3mm以上にしている。また、後述の他の実施形態のように、上側ブランクホルダ2の内側にも封入体6を設置する場合があるが、このような場合に対応して、上側ブランクホルダ2も、封入体6が局所変形してしまうのを避けるために、隣り合う内側面同士が交わる角部2bのRを3mm以上にしている。
パンチ7は、そのブランク100に対向する表面が、ブランク100から成形する成形品に応じた形状となっている。パンチ7は、図示しない駆動手段に取り付けられており、上下動するように支持されている。
封入体6は、流動性物質を封入容器に封入した構造となっている。
図4及び図5は、封入体6又は封入容器6aの形状を示す。図4は平面図であり、図5は、図4の矢示A−Aにおける封入体6又は封入容器6aの断面図を示す。
図4及び図5に示すように、封入容器6aは、2枚の略四角形の板状の粘弾性部材の外周部を張り合わせることで形成されている。
また、封入容器6aの肉厚(膜厚)は所定の厚さであることが好ましい。すなわち、封入体6がプレス成形時にクリアランス(例えば下側ブランクホルダ1とブランク100とのクリアランス)に入り込んで破損するのを回避でき、かつブランク100の変形への追従性を確保できる肉厚とし、例えば、その肉厚は0.5mm〜5mmであることが好ましい。
ここで、成形装置において、封入体6を収容する部位における可動部のクリアランス(下側ブランクホルダ1の内側面と駆動台5の外側面との隙間)の量は、プレス成形時に該クリアランスに封入体6の一部(外縁)が入り込まないような所定量以下にすることが好ましい。例えば、封入容器6aの肉厚が1mm程度の場合には、可動部のクリアランス量を0.5mmm以下にすることが好ましい。
また、封入体6はプレス成形時に粘弾性変形するだけなので、封入容器6aにおいてブランク100と接触する面の形状は問わないが、肉厚(特にブランク100と接触する部分の肉厚分布)は均一であることが好ましい。
また、成形品の形状に応じて膜厚(肉厚)に分布を持たせても良い。例えば、封入容器6aにおいて、変形させたい部分の膜厚を他の部分よりも薄くする。例えば、封入容器6aにおいて、プレス成形品の中央部に対応する部位の膜厚を0.8mmにし、プレス成形品の周辺部に対応する部位の膜厚を1.0mmにする。これにより、封入容器6a全体を同じ膜厚で形成した場合と比較して、板厚減少率で0.8%の差が生じ(改善し)、耐デント性が7%向上する。
例えば、図6(a)に示すような平板形状の部材6cに、図6(b)に示すような中央部に穴の開いた部材6d及び図6(c)に示すような中央部にさらに大きな穴の開いた部材6dを順番に張り合わせることで、変形させたい部分となるプレス成形品の中央部に対応する部位の膜厚を他の部分よりも薄くできる。
また、下側ブランクホルダ1との接触部分の肉厚は1mm〜2mmが好ましい。なお、摩擦状態、例えば下側ブランクホルダ1やブランク100との摩擦状態は、滑りが良くても悪くても(大きくても小さくても)問題はない。しかし、下側ブランクホルダ1やブランク100との間の摩擦状態を良好にするために、潤滑材を用いる場合には、封入容器6aの材質を考慮して潤滑材を決定する、または、潤滑材に応じて封入容器6aの材質を決定する必要がある。
封入容器6a(封入容器6aを構成する板状の粘弾性部材)の材質は、粘弾性材料からなり、具体的には、天然ゴム、合成ゴム、サーモプラスティックエラストマ等が挙げられる。ただし、ブランク100の表面に塗られている防錆油及び洗浄油や、封入容器6aに封入する流動性物質及びプレス環境に応じて、封入容器6aの材質は、耐油性、耐水性、耐熱性、耐磨耗性、耐切り裂き性や疲労特性等の要求される特性を有する粘弾性材料からなることが好ましい。また、板状の粘弾性部材の破断伸びは10%以上が好ましい。また、封入容器6aの材質は、粘弾性材料であることを好ましいが、弾性材料であっても良い。
また、連続生産量が多い場合には、接触磨耗を低減する表面処理を封入容器6aに施しても良い。表面処理として、フッ素化処理や塩素化処理等に代表される化学変性による処理や、潤滑性の高いシリコーンを封入容器6aの表面に貼り付ける処理等が挙げられる。これにより、プレス耐久性が向上する。
なお、両面張り合わせにより封入容器6aを形成することに限定されるものではない。例えば、図4の矢示A−Aにおける断面として示す図7に示すように、完全に一体的に形成した、いわゆる風船型として封入容器6aを形成しても良く、図4の矢示A−Aにおける断面として示す図8に示すように、外周部にたて壁を設けた、いわゆるカマボコ型として封入容器6aを形成しても良い。
また、封入容器6aの平面視の形状(前記図4のような平面図でみた場合の形状)は、プレス成形品の形状に合わせて、略四角形状に限定されるものではなく、略円形状や略楕円形状等の任意の形状にすることもできる。
また、封入容器6aの形状は、プレス成形時に封入体6においてブランク100と接する面の圧力分布に影響するので、結果として、成形品の形状にも影響するようになる。このようなことから、例えば、成型品の形状に応じて封入容器6aの形状を選定しても良い。この場合、同時に、封入容器6aの構造に応じて下側ブランクホルダ1の形状も選定する必要がある。
また、封入容器6aにおいて、変形させたい部分、例えば板厚減少し難い部分の弾性率を他の部分よりも小さくしても良い。例えば、封入容器6aにおいて、プレス成形品の中央部に対応する部位に100%伸びで2MPaの粘弾性体を用い、プレス成形品の周辺部に対応する部位に100%伸びで4MPaの粘弾性体を用いる。これにより、封入容器6a全体を同じ弾性率(粘弾性体)で形成した場合と比較して、板厚減少率で1%の差が生じ(改善し)、耐デント性が10%向上する。
また、ブランク100と接する部分だけを粘弾性材料又は弾性材料で封入容器6aを形成することもできる。例えば、前記図8に示すいわゆるカマボコ型の封入容器6aは、上面部(同図で上に向く面部)がブランク100と接する部分となるが、該部分だけを粘弾性材料又は弾性材料で形成することもできる。この場合、それ以外の部分、すなわち、下側ブランクホルダ1及び駆動台5に接する部分(プレス成形面とは反対側の部位)を、下側ブランクホルダ1及び駆動台5に合致させた形状、例えば下側ブランクホルダ1と駆動台5とで形成される空間に合致させた形状となるようにプラスチック、ABS樹脂等の可塑性樹脂や、鋼板、アルミニウム合金等の金属等で形成する。
また、封入容器6aの底面(プレス成形面と反対側の面)については、プレス成形に寄与しないため、プレス成形中に変形させる必要はないが、クリアランスへの吸い込みを抑制する必要があるので、該底面をゴム引布(布と粘弾性体とを組み合わせたもの)等の複合材により形成しても良い。
さらに、このように封入容器6aの底面(プレス成形面とは反対側の面)をゴム引布等の複合材で形成する場合であって、後述の図11の成形装置のように封入体6を上側ブランクホルダ2に取り付けるときには、封入容器6aを弾性率の高い粘弾性体で形成するとともに、封入容器6aの底面(上側ブランクホルダ2側での取り付け部位)の膜厚を厚くすることが好ましい。これにより、封入容器6aにおいて、上側ブランクホルダ2側での接合部を確保できるようになる。
また、張り合わせ形状の封入体6(前記図5)や風船型の封入体6(前記図7)のような、たて壁がない、一体型の封入体6を用いる場合、その封入体6が載置される(取り付けられる)部位を該封入体6の形状に合致させても良い。
図9は、封入体6が載置される部位を該封入体6の形状に合致させた成形装置の例を示す。
図9に示すように、封入体6が載置される部位をなす、駆動台5における封入体6の底面の取り付け面5aを湾曲した凹形状にする。これにより、ブランク100と該ブランク100が載置される下側ブランクホルダ1の内側面とで形成される角部110と、封入体6におけるプレス成形面(特に外周部)との距離Lを、プレス成形前でも短くすることができる。このようにすることで、封入体6のプレス成形面(特に外周部)がプレス成形過程で該角部に入り込むのを抑制して、封入体6の耐久性を向上させることができる。
封入容器6aに封入される流動性物質(図5〜図8に示す6b)は、水、各種油、エマルジョン、ゲルや粉体等の、容易に変形(流動)する物質であればどのようなものでも良い。例えば、封入容器6aへの装填が容易であることや、プレス後に封入体6が復元し易くなる等の理由から、封入容器6aに封入される流動性物質として液体を用いることが好ましい。
また、封入容器6aには、流動性物質とともに、空気等の気体を混入させても良い。この場合、流動性物質と空気等との割合は所定の割合であることが好ましい。例えば、常温及び大気圧で、気体の体積が流動性物質の体積の20%以下にする。また、例えば、プレス成形初期時の急激な圧力変化を緩和(吸収)するために、気体の体積を流動性物質の体積の10%以上でかつ20%以下の範囲にすることが好ましく、プレス成形初期から積極的に成形を行いたい場合には、気体の体積を流動性物質の体積の5%以下にすることが好ましい。
封入体6を上下動させるためのクッションピン4は、油圧又は機械式により上下動する機構になっている。
(動作)
成形装置は、前述のようにいわゆるダブルアクション式の構造をなしており、その動作は次のようになる。
図1(a)から図1(b)への変化として示すように、先ず、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1で、ブランク100の外周部(成形対象面の周囲)を挟み込み、ブランク100を押さえる。続いて、図1(b)から図1(c)への変化として示すように、パンチ7を下方に移動させて、パンチ7と封入体6とでブランク100をプレスすることで、ブランク100をパンチ成形する。なお、このとき、封入体6は、変形して、ブランク100、下側ブランクホルダ1及び駆動台5で囲まれた空間内で、隅々まで広がった状態になる。
ここで、このような成形手順により成形されるプレス成形品として、自動車のフード、フェンダー、サイドパネル、ドア、ルーフ、バックドア及びトランクリッドのいずれかのアウタ部品又はインナ部品が挙げられる。
また、封入体6による張出成形を行った後に、パンチ成形することもできる。すなわち、図10(a)(前記図1(a)と同じ状態)から図10(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込んでから(前記図1(b)の状態を経た後)、クッションピン4を動作させて、駆動台5を上昇させる。このようにすることで、封入体6をブランク100に押し当てて、封入体6によりブランク100を張出成形する。続いて、図10(b)から図10(c)への変化として示すように、パンチ7を下方に移動させて、パンチ7と封入体6とでブランク100をプレスすることで、ブランク100をパンチ成形する。
なお、封入する流動性物質の体積については、パンチ7と封入体6とによるブランク100への押圧力が所定の値になるような体積にする。言い換えれば、上側ブランクホルダ2内をパンチ7を降下させていった場合に、パンチ7と下側ブランクホルダ1(場合によっては上側ブランクホルダ2も含む)とで形成される空間の体積が、封入体6の設計で計算された封入体6内の流動性物質の体積と同様になる位置に、パンチ7を降下させた際の下死点を設定する。ただし、成形品形状に応じて、パンチ7が下死点にきたときの空間の体積よりも流動性物質の体積を大きくする、あるいは、小さくすることも可能である。
(作用及び効果)
作用及び効果は次のようになる。
前述のように、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周(成形対象面の周囲)を拘束し、流動性物質を封入した封入体6をブランク100に押圧して、ブランク100を変形させて成形している(前記図1(a)〜(c)や前記図10(a)〜(b)参照)。例えば、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで外周を拘束したブランク100を、封入体6とパンチ7とで挟み、押圧して、ブランク100を封入体6とパンチ7とでプレス成形している(前記図1(a)〜(c)や前記図10(c)参照)。これにより、ダイに代えて封入体6を容易に設置でき、結果として、パンチ7と封入体6とによる成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開が可能になる。そして、そのように成形品の量産展開を可能にしつつも、要求される耐デント性、寸法精度、張り剛性、面品質を満たすことができる。
また、流動性物質を封入した封入体6を成形装置に設置しているだけなので、ハイドロフォーム法で必要になる液体(流動性物質)の出し入れをなくし、これにより成形時間の高速化と流動性物質の取り回しを不要にすることができる。また、ハイドロフォーム法では、重力の問題から液体を必ず金型構成の下部に配置しなければならない。これに対して、本発明を適用することで、下位置の他に上位置(吊り下げるタイプ)、横位置のいずれでも封入体6を設置できる。
なお、前記第1の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記第1の実施形態では、張出成形を行った後にパンチ成形している。しかし、成形工程はこれら工程によるものに限定されるものではない。例えば、パンチ成形の後に、パンチ及びダイを用いて金型のみによる成形工程を追加して実施することもできる。また、封入体6を用いてパンチ成形を行っているが、この成形に代えてパンチ及びダイを用いて金型のみによる成形(ドロー成形)を実施することもできる。
また、前記実施形態では、ブランク100として鋼板やアルミニウム合金板を挙げているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、ブランク100は、マグネシウム合金に代表されるその他の金属材料、樹脂又はFRPに代表される有機材料からなる板材であっても良い。
また、以下では、金型の違い(パンチ、ダイ)、金型(パンチ、ダイ)の配置の違い、成形装置の方式の違い(ダブルアクション式、シングルアクション式)について、複数の実施形態を挙げて説明しているが、それら実施形態では、金型や封入体6(形状や材質等)は、特に言及しない限り、前記第1の実施形態で用いたものと同一のものである。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を説明する。
前記第1の実施形態では、封入体6をブランク100に対して下方に配置している。しかし、封入体6をブランク100に対して下方に配置することに限定されるものではない。第2の実施形態では、封入体6をブランク100の上方に配置している。
(構成)
図11は、第2の実施形態の成形装置の構成を示す。
図11に示すように、第2の実施形態の成形装置の構成は、前記第1の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下ブランクホルダ1,2、基台3、上下動するクッションピン4により支持されている駆動台5、封入体6及びパンチ7を備えている。
しかし、第2の実施形態の成形装置では、図11に示すように、ブランク100に対して上方に封入体6を配置、すなわち、上側ブランクホルダ2の内側に封入体6を配置し、ブランク100に対して下方にパンチ7を配置、すなわち、下側ブランクホルダ1の内側にパンチ7を配置している。例えば、このように、上側ブランクホルダ2の内側に封入体6を配置する場合には、前記図8に示すいわゆるカマボコ型の封入容器6aを用いることで、そのたて壁により、封入容器6aと上側ブランクホルダ2との接触面積(接着面積)を増やし、上側ブランクホルダ2に対して封入容器6aを確実に取り付けることができる。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
図11(a)から図11(b)への変化として示すように、先ず、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込んで、ブランク100を押さえる。続いて、図11(b)から図11(c)への変化として示すように、封入体6を下方に移動させて、パンチ7と封入体6とでブランク100をプレスすることで、ブランク100をパンチ成形する。
また、封入体6を用いた張出成形を行ってから、パンチ成形することもできる。すなわち、図12(a)(前記図11(a)と同じ状態)から図12(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込んでから(前記図11(b)の状態を経た後)、封入体6を下方に移動させて、封入体6をブランク100に押し当てて、封入体6によりブランク100を張出成形する。続いて、図12(b)から図12(c)への変化として示すように、パンチ7を上方に移動させて、パンチ7と封入体6とでブランク100をプレスすることで、張出成形後のブランク100をパンチ成形する。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を説明する。
前記第1及び第2の実施形態では、ダイに代えて封入体6を用いてプレス成形している。これに対して、第3の実施形態では、パンチ7に代えて封入体6を用いてプレス成形している。
(構成)
図13は、第3の実施形態の成形装置の構成を示す。
図13に示すように、第3の実施形態の成形装置の構成は、第1及び第2の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下ブランクホルダ1,2、基台3、上下動するクッションピン4により支持されている駆動台5及び封入体6を備えている。そして、パンチ7に代えて封入体6を設けるとともに、凹型であるダイ8を備えている。すなわち、第3の実施形態の成形装置は、いわゆるパンチレスの成形装置として構成されている。さらに、第3の実施形態の成形装置では、前記第1の実施形態と同様に、ブランク100の下側に封入体6を配置、すなわち、下側ブランクホルダ1の内側に封入体6を配置している。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
図13(a)から図13(b)への変化として示すように、先ず、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込み、ブランク100を押さえる。続いて、図13(b)から図13(c)への変化として示すように、ダイ8を下方に移動させて、ダイ8と封入体6とでブランク100をプレスすることで、ブランク100をダイ成形する。
また、封入体6による張出成形を行った後に、ダイ成形することもできる。すなわち、図14(a)(前記図13(a)と同じ状態)から図14(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込んでから(前記図13(b)の状態を経た後)、クッションピン4を動作させて、駆動台5を上昇させる。このようにすることで、封入体6をブランク100に押し当てて、封入体6によりブランク100を張出成形する。続いて、図14(b)から図14(c)への変化として示すように、ダイ8を下方に移動させて、ダイ8と封入体6とでブランク100をプレスすることで、張出成形後のブランク100をダイ成形する。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を説明する。
前記第3の実施形態では、封入体6をブランク100に対して下方に配置している。これに対して、第4の実施形態では、封入体6をブランク100の上方に配置している。
(構成)
図15は、第4実施形態の成形装置の構成を示す。
図15に示すように、第4の実施形態の成形装置の構成は、前記第3の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下ブランクホルダ1,2、基台3、上下動するクッションピン4により支持されている駆動台5、封入体6及びダイ8を備えている。
しかし、第4の実施形態の成形装置では、図15に示すように、ブランク100の上側に封入体6を配置、すなわち、上側ブランクホルダ2の内側に封入体6を配置し、ブランク100の下側にダイ8を配置、すなわち、下側ブランクホルダ1の内側にダイ8を配置している。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
図15(a)から図15(b)への変化として示すように、先ず、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込み、ブランク100を押さえる。続いて、図15(b)から図15(c)への変化として示すように、封入体6を下方に移動させて、ダイ8と封入体6とでブランク100をプレスすることで、ブランク100をダイ成形する。
また、封入体6を用いた張出成形を行った後に、ダイ成形することもできる。すなわち、図16(a)(前記図15(a)と同じ状態)から図16(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ2を下方に移動させて、上側ブランクホルダ2と下側ブランクホルダ1とで、ブランク100の外周部を挟み込んでから(前記図15(b)の状態を経た後)、封入体6を下方に移動させて、封入体6をブランク100に押し当てて、封入体6によりブランク100を張出成形する。続いて、図16(b)から図16(c)への変化として示すように、ダイ8を上方に移動させて、ダイ8と封入体6とでブランク100をプレスすることで、張出成形後のブランク100をダイ成形する。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態を説明する。
前記第1〜第4の実施形態の成形装置は、いわゆるダブルアクション式の構造をなしている。しかし、成形装置は、ダブルアクション式として構成されることに限定されるものではない。第5の実施形態の成形装置は、いわゆるシングルアクション式の構造をなしている。
(構成)
図17は、第5の実施形態の成形装置の構成を示す。
図17に示すように、成形装置は、プレス機の上下のボルスター21,22、上下のボルスター21,22それぞれに、互いに対向するように取り付けられている略枠状の上下ブランクホルダ23,24、下側ボルスター21に対して下側ブランクホルダ23を支持するクッションピン25、下側ブランクホルダ23の内側に配置されつつ下側ボルスター21に固定されている支持台26、支持台26上に載置されつつ、下側ブランクホルダ23の内側に配置されている封入体27(前記図4〜図8に示すような構造の封入体)、及び上側ブランクホルダ24の内側に配置されつつ上側ボルスター22に固定されているパンチ28を備えている。
(動作、作用及び効果)
以上のような構成をなす成形装置は、シングルアクション式として次のように動作する。
上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、先ず、図17(a)から図17(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる。その後、図17(b)から図17(c)への変化として示すように、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、その過程で、パンチ28と封入体27とでブランク100がプレスされ、ブランク100がパンチ成形される。
また、封入体27を用いた張出成形を行ってから、パンチ成形することもできる。すなわち、図18(a)(前記図17(a)と同じ状態)から図18(b)への変化として示すように、上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる(前記図17(b)の状態)。その後、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、ブランク100が封入体27に押し当てられて、封入体27によりブランク100が張出成形される。なお、この工程で、成形装置は、パンチ28を備えていない。
そして、続く工程(パンチ28を装着した成形装置)で、図18(c)に示すように、パンチ28を用いてパンチ成形を実施する。すなわち、上側ボルスター22を下方に移動させることで、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれつつ(前記図17(b)の状態)、パンチ28と封入体27とでブランク100がプレスされ、張出成形後のブランク100がパンチ成形される。
また、封入体27を用いた張出成形を行ってから、金型のみ、すなわち、パンチ及びダイで成形することもできる。すなわち、封入体27でブランク100を張出成形し(図19(a)及び図19(b))、その後に、図19(c)に示すように、他の成形装置において、パンチ31及びダイ32を用いた成形を実施する。この場合、張出成形したブランク100を反転させて下側ブランクホルダ23上に置き、上側ボルスター22を下方に移動させることで、ダイ32と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれつつ、パンチ31とダイ32とでブランク100がプレスされ、張出成形後のブランク100が成形される。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態を説明する。
前記第5の実施形態では、封入体27をブランク100に対して下方に配置している。これに対して、第6の実施形態では、封入体27をブランク100の上方に配置している。
(構成)
図20は、第6の実施形態の成形装置の構成を示す。
図20に示すように、第6の実施形態の成形装置の構成は、前記第5の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下のボルスター21,22、上下ブランクホルダ23,24、クッションピン25、支持台26、封入体27及びパンチ28を備えている。
しかし、第6の実施形態の成形装置では、図20に示すように、ブランク100に対して上側に封入体27を配置、すなわち、上側ブランクホルダ24の内側に封入体27を配置し、ブランク100の下側にパンチ28を配置、すなわち、下側ブランクホルダ23の内側にパンチ28を配置している。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、先ず、図20(a)から図20(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる。その後、図20(b)から図20(c)への変化として示すように、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、その過程で、パンチ28が下側ブランクホルダ23の上端面位置よりも上方に突出するようになり、パンチ28と封入体27とでブランク100がプレスされ、ブランク100がパンチ成形される。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第7の実施形態)
次に第7の実施形態を説明する。
前記第5及び第6の実施形態では、ダイに代えて封入体27を用いてプレス成形している。これに対して、第7の実施形態では、パンチ28に代えて封入体27を用いてプレス成形している。
(構成)
図21は、第7の実施形態の成形装置の構成を示す。
図21に示すように、第7の実施形態の成形装置の構成は、第5及び第6の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下のボルスター21,22、上下ブランクホルダ23,24、クッションピン25、支持台26及び封入体27を備えている。そして、パンチ28に代えて封入体27を設けていることに対応して、ダイ29を備えている。
さらに、第7の実施形態の成形装置では、前記第5の実施形態と同様に、ブランク100の下側に封入体27を配置、すなわち、下側ブランクホルダ23の内側に封入体27を配置している。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、先ず、図21(a)から図21(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる。その後、図21(b)から図21(c)への変化として示すように、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、その過程で、ダイ29と封入体27とでブランク100がプレスされ、ブランク100がダイ成形される。
また、封入体27を用いた張出成形を行ってから、ダイ成形することもできる。すなわち、図22(a)(前記図21(a)と同じ状態)から図22(b)への変化として示すように、上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる(前記図21(b)の状態)。その後、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、ブランク100が封入体27に押し当てられて、封入体27によりブランク100が張出成形される。
そして、続く工程(ダイ29を装着した成形装置)で、図22(c)に示すように、ダイ29を用いてダイ成形を実施する。すなわち、上側ボルスター22を下方に移動させることで、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれつつ、ダイ29と封入体27とでブランク100がプレスされ、張出成形後のブランク100がダイ成形される。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
(第8の実施形態)
次に第8の実施形態を説明する。
前記第7の実施形態では、封入体27をブランク100に対して下方に配置している。これに対して、第8の実施形態では、封入体27をブランク100の上方に配置している。
(構成)
図23は、第8の実施形態の成形装置の構成を示す。
図23に示すように、第8の実施形態の成形装置の構成は、前記第7の実施形態の成形装置の構成と同様であり、上下のボルスター21,22、上下ブランクホルダ23,24、クッションピン25、支持台26、封入体27及びダイ29を備えている。
しかし、第8の実施形態の成形装置では、図23に示すように、ブランク100の上側に封入体27を配置、すなわち、上側ブランクホルダ24の内側に封入体27を配置し、ブランク100の下側にダイ29を配置、すなわち、下側ブランクホルダ23の内側にダイ29を配置している。
(動作、作用及び効果)
動作、作用及び効果は次のようになる。
上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、先ず、図23(a)から図23(b)への変化として示すように、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部が挟み込まれる。その後、図23(b)から図23(c)への変化として示すように、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、その過程で、ダイ29と封入体27とでブランク100がプレスされ、ブランク100がダイ成形される。
以上のような成形により、前記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。すなわち例えば、成形時間を、パンチ及びダイを用いた通常の成形による成形時間と近づけることができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
以上、本発明の第1〜第8の実施形態を説明した。しかし、次のような構成により本発明を実現することもできる。
すなわち、前記実施形態では、流動性物質を予め装填した封入体を成形装置に着脱するようにしている。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、成形装置に流動性物質を装填していない封入容器を先ず設置しておき、その設置後の封入容器に、プレス成形開始前に、流動性物質を装填するようにする。
図24は、シングルアクション式の成形装置について、その例を示す。図24に示すように、成形装置の支持台26上に封入容器を予め設置しておき、その設置した封入容器にパイプ51を介して油圧ポンプ52により流動性物質(例えば洗浄油)を注入する。なお、このような構成にした場合、プレス成形前に成形装置に設置した封入容器に対して、流動性物質を注入するためにパイプ51を接続することとなるので、封入容器に対してパイプ51を着脱可能にする継手、及び流動性物質を注入した後(プレス成形開始前)に封入容器からパイプ51を取り外しても封入容器から流動性物質が流れ出ないようにするための流出防止弁が必要になる。なお、図24には、パイプ51が1本の例を示しているが、注入用と排出用を分けて、パイプを2本以上とすることもできる。
以上のように、成形装置に封入容器を予め設置して、その設置した封入容器に流動性物質を装填するようにすることで、流動性物質が装填されていない軽い状態で封入容器を成形装置に設置できるので、成形装置に対する封入容器(封入体)の着脱が容易となり、その結果、成形品を量産可能な成形装置にすることができ、生産性の向上を図ることができる。
図25は、このような構造とした場合の封入体27とパイプ51との接続付近の構造を示す。
図25に示すように、パイプ51の先端部51aを該パイプ51の直径よりも大きい円盤状(例えば金属性の金具)として、封入体27(封入容器)に取り付ける。その一方で、パイプ51が挿通される部位、本例では、支持台26にパイプ挿通孔26aを設けるとともに、支持台26の表面、すなわち、封入体27が接している面でのパイプ挿通孔26aの形状を、パイプ51の円盤状の先端部51aが嵌合するような凹溝状にする。
これにより、プレス成形時には、支持台26の凹溝部26bとパイプ51の先端部51aとの間が隙間もなく嵌合された状態になり、封入体27が支持台26におけるパイプ51の挿通部位に入り込み、封入体27が損傷、破裂してしまうようなことを防止できる。
また、前記実施形態では、プレス成形品として、自動車のフード、フェンダー、サイドパネル、ドア、ルーフ、バックドア及びトランクリッドのいずれかのアウタ部品又はインナ部品を挙げている。しかし、これに限定されるものではない。例えば、他のプレス成形品として、トラックや自動二輸車等の自動車、冷蔵庫や洗濯機等の家電製品の部品等、金型により成形可能な物が挙げられる。
(第9の実施形態)
次に第9の実施形態を説明する。
第9の実施形態は、本発明を適用したエンボス成形用の成形装置である。このエンボス成形用の成形装置は、例えば、車体のプレス成形品における、燃料給油ロ形成部位、ドアハンドル取り付け部位又はナンバープレート取り付け部位等のエンボスを成形できる。
(構成)
図26は、第9の実施形態の成形装置の構成を示す。本実施形態では、成形装置は、例えばパンチ及びダイを用いて通常成形されたブランク(成形途中の成形品)にエンボスを成形するように構成されている。
図26に示すように、成形装置は、プレス機の上下のボルスター61,62、下側ボルスター61に設けられている下側金型(例えばパンチ相当)63、上側ボルスター62に設けられているパッド64及び封入体65を備えている。
パッド64は、有底の略四角枠形状とされており、上側ボルスター62には、このパッド64の外周面を囲むように案内部66が設けられており、この案内部66によりパッド64が上下方向でその移動が案内されている。
図27及び図28はパッド64の形状を示す。
図27はパッド64の平面図であり、図28(a)は図27の矢示B−Bにおけるパッド64の断面図であり、図28(b)は図27の矢示C−Cにおけるパッド64の断面図である。
図28に示すように、パッド64において、底面をなす上壁64cの中央部には、支持部材67が挿通される開口部64dを設けている。パッド64の下端面形状は、下側金型63(特に後述の凹部63aの周囲)に対応する(合致する)ような形状になっている。
また、図27及び図28に示すように、パッド64には適宜Rを設定している。具体的には、図27に示すように、封入体65が局所変形してしまうのを避けるために、パッド64において隣り合う内側面同士が交わる角部64bのR(平面視のR)を2mm以上にしている。また、図28に示すように、封入体65の破損を回避するために、パッド64においてブランク100と封入体56とが接触する部分64a、すなわち、下側面と内側面とが交わる角部64aのR(断面視のR)を2mm以上にしている。
このパッド64の開口部64d内を、一端が上側ボルスター62に取り付けられた支持部材67が挿通されている。支持部材67は、その他端が、パッド64の内側に位置されており、該他端に、封入体65が取り付けられている。具体的には、支持部材67の他端に、パッド64の内側面にその外周面が沿うように形成された設置台67aが設けてあり、設置台67aに封入体65が取り付けられている。
また、図26に示すように、案内部66内であって、このパッド64の上壁64cと上側ボルスター62との間には、所定の弾性力に設定されたスプリング68が設置されている。
一方、下側金型63には、通常成形で成形されたブランク100が載置されており、その載置面(上側面)が該ブランク100の形状に合致するような形状になっている。例えば、本実施形態では、ブランク100の形状に合致する凸面を有した形状になっている。そして、その載置面に、エンボス加工用の凹部64cが形成されている。凹部64cは、下側金型63の載置面において、ブランク100でエンボス(例えばドアハンドル取り付け部)が成形される部位となるエンボス成形対象部位に対応した位置に形成されている。
なお、この下側金型63とパッド64とは、成形時のしわを抑えるしわ抑え板としても機能している。
図29及び図30は下側金型63の形状を示す。
図29は下側金型63の平面図であり、図30(a)は図29の矢示B−Bにおける下側金型63の断面図であり、図30(b)は図29の矢示C−Cにおける下側金型63の断面図である。
図29及び図30に示すように、下側金型63には適宜Rを設定している。具体的には、図29及び図30に示すように、ブランク100が局所変形してしまうのを避けるために、下側金型63の凹部63cにおいてブランク100と接触する角部、すなわち隣り合う内側面同士が交わる角部63bのR(平面視のR)を2mm以上にしている。また、下側金型63において、載置面(上側面)と凹部63cの立設する内側面とが交わる角部63aのR(断面視のR)を2mm以上にしている。具体的には、角部63aのRは2.5mm以上が好ましい。
封入体65(又は封入容器や流動性物質)については、その大きさ以外の材質、形状等の要素は、前記実施形態で用いた封入体6と同様である。すなわち例えば、封入体65の形状としては、両面張り合わせによるもの(前記図5)、風船型のもの(前記図7)やカマボコ型のもの(前記図8)が挙げられる。
また、封入容器の肉厚(膜厚)を、例えば図28(b)に示す設置台67aの外周面とパッド64の内側面との間のクリアランスXを基準にして決定するものとし、例えば0.5mm〜5mmにする。
(動作)
動作は次のようになる。
ブランク100に対し通常のプレス成形をした後に、エンボス成形をしている。すなわち、第一工程で、エンボス加工をしない通常成形を行ない、続く第二工程で、通常成形したブランク100に対して封入体65を用いてエンボスを成形している。
図31(a)は、第一工程として通常成形を行う成形装置の構成例を示す。ここでは、成形装置は、シングルアクション式が採用されて、パンチ31及びダイ32でプレス成形するように構成されている。この成形装置では、パンチ31上にブランク100を載置した後、上側ボルスター22を下方に移動させることで、その移動過程で、上側ブランクホルダ24と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部(成形対象部位の周囲)が挟み込まれる。その後、下側ブランクホルダ23が上側ブランクホルダ24によりさらに下方に押し込まれることで、クッションピン25の長さが短くなり(クッションピン25が沈んでいき)、その過程で、パンチ31とダイ32とでブランク100がプレスされ、ブランク100がパンチ成形される。
なお、この第一工程で行うブランク100に対する通常成形を、前記第1〜第8の実施形態のように、封入体を用いて行っても良い。例えばダブルアクション式を採用して構成した成形装置により第一工程として通常成形を行う(例えば図1等)。
続いて、エンボス加工を行う。すなわち、図31(b)に示すように、前述のように通常成形により全体をプレス成形したブランク100(成形途中の成形品)を、下側金型63上に載置し、上側ボルスター62を下方に移動させる。その移動過程で、上側パッド64と下側金型63とによりブランク100の内周側における一部であるエンボス成形対象部位の周囲が挟み込まれる。その後、図31(b)から図31(c)への変化として示すように、さらには、詳細構成で示す図32(a)から図32(b)への変化としても示すように、スプリング68の付勢力に抗して上側パッド64が押し上げられることで、該上側パッド64の内側に配置されていた封入体65によりブランク100のブランク成形対象部位が下方に押し込まれる。これにより、封入体65と下側金型63の凹部63cとでブランク100のブランク成形対象部位がプレスされて(エンボス加工されて)、ブランク100の内周側に凹形状のエンボスが成形される。以上のような成形工程により、例えば、通常成形でドアアウタが成形され、エンボス成形でそのドアアウタにドアハンドル取り付け部が成形される。
(作用及び効果)
作用及び効果は次のようになる。
前述のように、全体を成形したブランク100におけるエンボス成形対象部位の周囲を上側パッド64及び下側金型63で拘束するとともに、封入体65を該ブランク100に押圧して、エンボスを成形している。
図33は、面ひずみの発生メカニズムのひとつを例示したものであり、エンボス100a内への材料の流入によりエンボスコーナー部100bに縮みの成分が発生し面ひずみを引き起こす。
本発明では、上側パッド64と下側金型63とによる拘束及び、断面視のR(角部)63aによりブランク100のエンボス100aへの材料流入が抑制され、エンボスコーナー部100bの縮み発生が極めて小さくなるため面ひずみを抑制することができる。また、他の要因で発生する面ひずみにおいても、同様な材料の抑制により、ブランク100の不均一変形を抑制するため、面ひずみが抑制できる。
また、金型を用いてエンボスを成形した場合、金型とブランクとの間の摩擦係数が大きいことで、ブランクにおいて金型と接触してない部位(例えば角部)が局所的に板厚減少してしまい、割れが発生してしまう。これに対して、本発明を適用した成形装置では、封入体65でブランク100を押圧してエンボスを成形する、詳述すると、粘弾性体65である封入体とブランク100の変形に追従して変形するため、金型の場合には発生した摩擦力による変形の停止を発生させず局所的な板厚減少を抑制できる。これにより、板厚減少の均一性を確保でき、割れの発生を防止できる。
また、下側金型63において載置面と凹部63cの内側面とが交わる角部63a(図32参照)のRを2mm等の小さい値にすることでエンボス成形過程における該エンボス成形部位への材料流入を抑制し面ひずみの大幅低減を実現できる。そして、封入体65を用いたことにより実現できる板厚減少の抑制や板厚減少の均一性の確保が、Rを小さい値にすることで実現できるエンボス成形部位への材料流入の抑制に効果的に作用する。
また、各角部63aのRを6mmといった値とした場合には、割れに対しては緩和されるが、通常成形ではエンボス成形部位への材料流入が多くなり面ひずみが大きくなる現象を、封入体成形では抑制することができる。
このように、各角部63a付近の面品質を確保しつつ、Rを極めて小さい値にまで制御できるので、デザイン上、Rを小さく抑える必要がある製品にも対応でき、良好な品質の製品を提供することができる。すなわち、Rを6mm以下とした場合でも、安定した品質の成形品を提供できる。
なお、前記第9の実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記第9の実施形態では、支持部67を介して上側ボルスター22に対して封入体65を固定するとともに、成形過程で該封入体65を収容する上側パッド64が押し上げられようにすることで、封入体65をブランク100に押し込み、エンボスを成形している。しかし、これに限定されるものではない。例えば、封入体65を支持する支持部を油圧等により伸縮する手段で構成することもできる。
図34は、その構成例を示す。
図34に示すように、成形装置をシングルアクション式を採用して構成するとともに、上側ボルスター22にダイ32、及び加圧シリンダー等で構成された駆動支持部71に支持された封入体65を備える。
ダイ32の成形面は、パンチ31の成形面に対応した形状になっており、ダイ32において、ブランク100のエンボス成形対象部位に対応する部位に駆動支持部71及び封入体65を配置している。
ダイ32には、駆動支持部71及び封入体65を収納するための凹形状の収納部32aが形成されている。駆動支持部71は、一端が上側ボルスター22に取り付けられており、他端の支持台71aに封入体65が取り付けられている。駆動支持部71は、伸縮することで、封入体65をダイ32の収納部32a内で上下方向に移動させることができ、エンボス成形時には、ダイ32の成形面から封入体65を突出させることができるようになっている。
一方、パンチ31の成形面(ブランク100の載置面)には、前記実施形態で説明した下側金型63と同様に、エンボス加工用の凹部31aが形成されている。凹部31aは、成形面において、ブランク100のエンボス成形対象部位に対応した位置に形成されている。
このように成形装置を構成することで、図34(a)及びその詳細構成を示す図35(a)に示すように、上側ボルスター22を下方に移動させ(下死点位置に移動させ)、ダイ32(具体的にはその外周面)と下側ブランクホルダ23とによりブランク100の外周部を挟み込みつつ、第一工程としてブランク100全体についてパンチ31とダイ32とによりプレス成形する。続いて、図34(b)及びその詳細構成を示す図35(b)に示すように、第二工程として、駆動支持部71を駆動して伸ばすことで、第一工程で全体成形したブランク100(成形途中の成形品)のエンボス成形対象部位に封入体65を押し込んで、封入体65とパンチ31に形成した凹部31aとによりブランク100にエンボスを成形する。
これにより、ブランク100に対して全体のプレス成形とエンボス成形とを略同時に行うことができる。これにより、成形品の成形時間を短縮することができ、成形品の量産展開を可能にすることができる。
また、第一工程直後から連続して開始されるエンボス成形過程中は、ブランク100のエンボス成形対象部位の周囲がダイ32とパンチ31(凹部31aの周囲)とで挟み込まれているので、該エンボス成形対象部位の周囲の面ひずみの発生を抑制することもできる。
なお、前記第9の実施形態は、前記第1〜第8の実施形態と同様に、板材における成形対象面の周囲を拘束し、流動性物質を封入した封入体を前記成形対象面に押圧して、前記板材を成形する板材のプレス成形方法を実現しており、具体的には、前記板材内周のエンボス成形対象面の周囲を拘束し、前記封入体を前記エンボス成形対象面に押圧して、凹形状のエンボスを成形する板材のプレス成形方法を実現している。
(実施例)
次に実施例を説明する。
(1)先ず、前記第1〜第8の実施形態に対応する実施例を説明する。すなわち、ブランク全体に対するプレス成形を行った実施例である。
図36は、プレスに供した供試材のA,B,Cの材料特性を示す。
ここで、図36中、YPは降伏強さ(MPa)であり、TSは引っ張り強さ(MPa)であり、ELは全伸び(%)である。
図36に示すように、340MPa級鋼板から590MPa級鋼板(供試材A=340MPa級鋼板、供試材B=440MPa級鋼板、供試材C=590MPa級鋼板)を用いている。そして、これらの鋼板に対して、自動車のドアアウタの金型でプレス成形を行った。そして、パンチ及びダイ(両方金型、例えば前記図19(c)のような金型の用い方)による通常成形と、本発明を適用した、封入体による成形(封入体成形)とで比較した。
ここで、封入体に装填する流動性物質として、洗浄油を用い、封入容器の材質として、洗浄油に対して耐油性のある合成ゴムを用いている。また、本発明を適用した封入体成形の成形速度、その比較例となる通常成形の成形速度は、ともに10枚/1分とした。
図37は、成形品についてのしわ及び割れの発生状況を示す。
図37に示すように、通常成形では、供試材B,Cでしわが発生し、供試材Cでは割れも発生した。これに対して、封入体成形では、供試材A,B,C全てについても、しわも割れも発生しない結果となった。
ここで、通常成形は、従来技術であるパンチとダイの両側が金型による成形となるため、ブランクに金型が接触した後は、摩擦によりブランク(供試材)が動き難くなると考えられ、そのために成形品に割れが発生しやすくなっている。これに対して、封入体成形では、封入体がブランクに追従して変形すると考えられるため、ブランクが均一に伸び、割れにくくなる。また、封入体成形では、流動性物質が空間に充填されるように封入体が変形するために、プレス開始当初から供試材をパンチ又はダイに押し付けることが可能になり、しわを抑制できると考えられる。
図38は、評価項目(寸法精度、発生歪量、張り剛性、耐デント性、面ひずみ)と、その評価を行う方法とを示す。また、図39は、評価項目を得た自動車のドアアウタの評価点を示す。評価結果は次のようになる。
図40は、440MPa級鋼板(供試材B)の断面形状(ビード端からの距離とパネル高さとの関係)を測定した結果、すなわち、寸法精度の評価結果を示す。
図40に示すように、本発明品(封入体成形品、同図中、実線)では、通常成形品(同図中、点線)と比較して、スプリングバック量が小さくなる結果を得ている。これにより、本発明品(封入体成形品)の形状は、設計形状(同図中、二点鎖線)に近いパネル形状となり、寸法精度が極めて良くなっている。具体的には、通常成形品の形状は、設計形状に対して、±1.0mmを超える箇所もあるのに対して、本発明品(封入体成形品)の形状は、設計形状に対して、±1.0mm以下(同図では+1.0mm以下)に収まっている。これは、寸法精度として、組み付ける相手部品の組み付け穴位置又は溶接位置に対しずれ量が±1.0mm以下になることと等価である。よって、本発明品では、組み付ける相手部品に対する組み立て、ねじ止めや溶接を容易に行うことができる。
ここで、通常成形品の成形は、従来技術であるパンチとダイの両側が金型による成形となるため、ブランクに金型が接触した後は、その摩擦力によりブランクに働く張力が減少すると考えられる。これにより、パネル全体の張力が不均一となり、通常成形品の形状と設計形状とに差が生じ、通常成形品の寸法精度が不良になっている。これに対して、本発明品では、成形時に十分な張力が与えられるため、寸法精度が向上すると考えられる。
図41は、440MPa級鋼板(供試材B)の板厚減少のプロファイル(ビード端からの距離と板厚減少率との関係)の結果、すなわち、発生歪量の評価結果を示す。
図41に示すように、通常成形品の形状は、中央部分(ビード端からの距離が500mmの付近)で、板厚減少率が1%未満になっているのに対して、本発明品(封入体成形品)では、中央部分(ビード端からの距離が500mmの付近)で、板厚減少率が1%以上になっている。また、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、板厚減少率の変化が少なく、板厚分布の均一性が高くなっている。具体的には、板厚減少率の最大値と最小値との差(偏差)では、通常成形品では、9.5%になっているのに対して、本発明品(封入体成形品)では、5%以下、具体的には2.5%になっている。
ここで、通常成形品の成形は、従来技術であるパンチとダイの両側が金型による成形となるため、ブランクに金型が接触した後、ブランクの板厚減少が停止すると考えられる。これにより、プレスの初期に金型と接触するパネル中央部の板厚減少率が、1%未満といった小さい値になる。これに対して、本発明品の成形では、封入体が変形することで、ブランクが拘束されないと考えられるために、パネル中央部の板厚減少率が1%以上になり、加工硬化により、本発明品の耐デント性が向上する結果となっている。
また、通常成形品の成形では、前述したような理由から、ブランクに金型が接触した後、ブランクの板厚減少は停止すると考えられる。これにより、プレスの初期に金型と接触するパネル中央部の板厚減少率と成形終期で成形される部分の板厚減少率との間には、5%よりも大きい差が発生する。これに対して、本発明品の成形では、封入体が変形することで、ブランクが拘束されないと考えられるために、そのような差が5%以下になり、本発明品の張り剛性が向上する結果となっている。
図42は、440MPa級鋼板(供試材B)の張り剛性(へこみ量)の評価結果を示す。ここで、剛性試験では、パネル中央部(位置D2、図39参照)に、先端半径50Rの圧子で59Nの荷重をかけている。
図42に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、板厚分布の均一性が高いために、へこみが少なく、張り剛性が高くなっている。
図43は、440MPa級鋼板(供試材B)の耐デント性の評価結果を示す。ここで、耐デント性の評価結果としてデント深さを得るために、パネル外周部(位置D1、図39参照)及びパネル中央部(位置D2、図39参照)に、先端半径50Rの圧子で259Nの荷重をかけている。
図43に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、デント深さが小さく、耐デント性が高くなっている。これは、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、板厚減少率が高くなっていることから、加工硬化により、耐デント性が高くなったと考えられる。
図44は、ドアアウタのハンドル取り付け部位周辺の面ひずみの評価位置を示す。
同図中に示すように、ハンドル取り付け部位周辺に面ひずみとして示した箇所(丸で囲った箇所)に面ひずみが発生しているので、その面ひずみの発生部位を通るように、測定ラインに沿って連続的に3点曲率を測定した。
ここで、図45は、3点曲率測定器の構成を示す。同図(a)は正面図であり、同図(b)は側面図である。3点曲率測定器のゲージレングスlは50mmである。このような3点曲率測定器により、ゲージレングスl内の曲線の最大値と最小値との差を得て、その差を基に面ひずみを定量評価している。なお、レーザー形状測定でも、ゲージレングスl=50mm相当に設定して、3点曲率を測定することもできる。
図46は、440MPa級鋼板(供試材B)についての測定結果である曲率プロファイル(ハンドル長手方向位置と曲率との関係)を示す。
図46に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、ハンドル長手方向で曲率の変化が小さく、面ひずみが大幅に小さくなっている。具体的には、本発明品(封入体成形品)について、曲率の最大値と最小値との差が、0.0004(1/mm)以下、詳しくは0.0002(1/mm)付近になっている。
図47は、供試材A,B,Cについての、降伏強さYSと面ひずみ量(曲率の最大値と最小値との差)との関係を示す。
図47に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、供試材A,B,Cとで、面ひずみ量に変化はなく、すなわち、高強度材ほど(供試材B,C)、面ひずみの抑制効果が大きくなっている。具体的には、通常成形品では、供試材A,B,C全てについて、面ひずみ量が0.0002(1/mm)よりも大きくなっているのに対して、本発明品(封入体成形品)では、供試材A,B,C全てについて、面ひずみ量が0.0002(1/mm)付近になっている。例えば、本発明品では、成形の均一性が高いため、さらには、封入体により静水圧で押し付けるため、面ひずみ量が抑えられ、0.0002(1/mm)付近になると考えられる。このように、面ひずみ量を抑えることができることで、金型修正の工数を不要にできる。
(2)次に前記第9の実施形態に対応する実施例を説明する。すなわち、エンボス成形を行った実施例である。
図48は、プレスに供した供試材のA,B,C,Dの材料特性を示す。
図48に示すように、270MPa級鋼板から590MPa級鋼板(供試材A=270MPa級鋼板、供試材B=340MPa級鋼板、供試材C=440MPa級鋼板、供試材D=590MPa級鋼板)を用いている。そして、これらの鋼板に対して、車体のサイドパネルのフューエルインレット部(燃料給油口部)や車体のドアアウタのドアハンドル取り付け部を成形することに関し、パンチ及びダイ(両方金型)による通常成形と、本発明を適用した、封入体によるエンボス成形とで比較した。
ここで、本発明を適用したエンボス成形は、通常成形する成形装置とは別構成とした成形装置で行っている(前記図26参照)。また、封入体に装填する流動性物質として、洗浄油を用い、封入容器の材質として、洗浄油に対して耐油性のある合成ゴムを用いている。また、本発明を適用したエンボス成形の成形速度、その比較例となる通常成形の成形速度は、ともに10枚/1分とした。
(2−1)サイドパネルのフューエルインレット部の成形結果
図49(a)は、フューエルインレット部201が成形されたサイドパネル200の形状を示し、同図(b)は、同図(a)に示す矢示D−Dにおけるフューエルインレット部201の断面形状を示す。
同図(a)に示すフューエルインレット部201の外周領域Eについて面ひずみの状態を評価し、同図(b)に示すように、割れ危険部となるフューエルインレット部201の外周角部(断面観でRを設けた角部)202について割れの状態を評価した。そして、その評価を、そのR(以下、断面Rという。)を3.0mmといった大きい値とした場合と、該断面Rを1.5mmといった小さい値とした場合とについて行った。
図50は、その評価結果を示す。同図(a)は、断面Rを3.0mmとした場合の評価結果を示し、同図(b)は、断面Rを1.5mmとした場合の評価結果を示す。
同図(a)に示すように、断面Rを3.0mmとした場合には、本発明品(封入体成形)では、供試材A,B,Cの全てについて割れがない結果となり、面ひずみも全て良好(面ひずみなし又は品質上問題がない程度)となる結果となった。これに対して、通常成形品では、供試材A,Bについては、面ひずみが不可(品質上の問題となる面ひずみが発生)となる結果となり、供試材Cについては、割れが発生する結果となった。なお、割れが発生した場合には、面ひずみを評価することができない(NGの結果となる)。
また、同図(b)に示すように、断面Rを1.5mmとした場合でも、本発明品(封入体成形)の評価が良好となる結果を得た。すなわち、本発明品(封入体成形)では、供試材A,B,Cの全てについて割れがない結果となり、面ひずみも全て良好となる結果となった。これに対して、通常成形品では、供試材A,B,Cの全てについて、面ひずみが不可となる結果となった。
また、プレス安定性の確認のために、供試材Aを用いて600枚の連続プレス試験を行った。その試験の結果、通常成形品では、3枚が突発割れを発生し、本発明品(封入体成形)では、割れが発生しない結果を得た。
さらに、定量評価を行った。その評価対象を、本発明品(封入体成形)については、供試材Aを用いて断面Rを3.0mmとしてフューエルインレット部201を成形したもの(前記図50(a)で割れがなく、面ひずみが良好なもの)とし、通常成形品については、供試材Aを用いて断面Rを3.0mmとしてフューエルインレット部201を成形したもの(前記図50(a)で割れはないが、面ひずみが不可とされたもの)とした。
図51は、評価対象となるフューエルインレット部201の寸法を示す。同図に示すように、フューエルインレット部201から5mm上で長手方向の領域について、面ひずみの定量評価として、曲率の変化を示す曲率プロファイルを測定した。また、図51に示すような寸法をなすフューエルインレット部201について、前記図49に示す矢示D−Dにおける断面領域で、割れの定量評価として、板厚減少率の変化を測定した。
なお、曲率プロファイルの測定については、前記ブランク全体に対するプレス成形の実施例と同様に、ゲージレングスlを50mmとした3点曲率測定器を用いて行った。
図52は、曲率プロファイルの測定結果を示す。
図52に示すように、本発明品(封入体成形品)では、特に、フューエルインレット部201の長手方向の端部付近で、曲率の変化が、通常成形品ついての曲率の変化よりも小さくなっている。具体的には、本発明品(封入体成形品)の曲率の最大値と最小値との差Y1が、通常成形品の曲率の最大値と最小値との差Y2よりも小さく、0.0004(1/mm)以下、詳しくは0.00015(1/mm)付近になっている。このように、曲率プロファイルの測定でも、本発明品(封入体成形品)が、通常成形品に比べて、面ひずみが問題とはならない結果を得た。
図53は、板厚減少率の測定結果を示す。
図53に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、全般で板厚分布を均一にせしめており、特に、フューエルインレット部201の外周角部付近(D−D断面で20mm、180mm付近)で、板厚減少率がより小さく抑えられている。具体的には、板厚減少率の最大値と最小値との差(偏差)では、通常成形品では、23%になっているのに対して、本発明品(封入体成形品)では、10%以下、具体的には約9%になっている。このような結果から、本発明品(封入体成形品)では、封入体で成形することにより、通常成形品に比べ板厚分布の均一性が良好となり、かつ板厚減少率の大きい断面R近傍の板厚減少率を抑制したことから、プレスのバラつきにより変動があったとしても連続プレスで割れが発生しなかったと推測される。
図54は、供試材A,B,Cについての、降伏強さYSと面ひずみ量(曲率の最大値と最小値との差)との関係を示す。
図54に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、供試材A,B,Cで面ひずみ量に大きな変化はなく、すなわち、高強度材ほど(供試材B,C)、面ひずみの抑制効果が大きくなっている。
(2−2)ドアアウタのドアハンドル取り付け部の成形結果
図55(a)は、ドアアウタのドアハンドル取り付け部211が成形されたドアアウタ210の形状を示し、同図(b)は、同図(a)に示す矢示F−Fにおけるドアハンドル取り付け部211の断面形状を示す。
同図(a)に示すドアハンドル取り付け部211の外周領域Gについて面ひずみの状態を評価し、同図(b)に示すように、割れ危険部となるドアハンドル取り付け部211の外周角部(断面Rを設けた角部)212について割れの状態を評価した。そして、その評価を、該断面Rを4.0mmといった大きい値とした場合と、該断面Rを2.0mmといった小さい値とした場合とについて行った。
図56は、その評価結果を示す。同図(a)は、断面Rを4.0mmとした場合の評価結果を示し、同図(b)は、断面Rを2.0mmとした場合の評価結果を示す。
同図(a)に示すように、断面Rを4.0mmとした場合には、本発明品(封入体成形)では、供試材B,C,Dの全てについて割れがない結果となり、面ひずみも全て良好となる結果となった。これに対して、通常成形品では、供試材B,Cについては、面ひずみが不可となる結果となり、供試材Dについては、割れが発生する結果となった。
また、同図(b)に示すように、断面Rを2.0mmとした場合でも、本発明品(封入体成形)の評価が良好となる結果を得た。すなわち、本発明品(封入体成形)では、供試材B,C,Dの全てについて割れがない結果となり、面ひずみも全て良好となる結果となった。これに対して、通常成形品では、供試材B,C,Dの全てについて、割れが発生する結果となった。
また、プレス安定性の確認のために、供試材Aを用いて600枚の連続プレス試験を行った。その試験の結果、通常成形品では、2枚が突発割れを発生し、本発明品(封入体成形)では、割れが発生しない結果を得た。
さらに、定量評価を行った。その評価対象を、本発明品(封入体成形)については、供試材Bを用いて断面Rを4.0mmとしてドアハンドル取り付け部211を成形したもの(前記図56(a)で割れがなく、面ひずみが良好なもの)とし、通常成形品については、供試材Bを用いて断面Rを4.0mmとしてドアハンドル取り付け部211を成形したもの(前記図56(a)で割れはないが、面ひずみが不可とされたもの)とした。
図57は、評価対象となるドアハンドル取り付け部211の寸法を示す。同図に示すように、ドアハンドル取り付け部211から5mm上で長手方向の領域について、面ひずみの定量評価として、曲率の変化を示す曲率プロファイルを測定した。また、図57に示すような寸法をなすドアハンドル取り付け部211について、前記図55に示す矢示F−Fにおける断面領域で、割れの定量評価として、板厚減少率の変化を測定した。
なお、曲率プロファイルの測定については、前記ブランク全体に対するプレス成形の実施例と同様に、ゲージレングスlを50mmとした3点曲率測定器を用いて行った。
図58は、曲率プロファイルの測定結果を示す。
図58に示すように、本発明品(封入体成形品)では、特に、ドアハンドル取り付け部211の長手方向の端部付近で、曲率の変化が、通常成形品についての曲率の変化よりも小さくなっている。具体的には、本発明品(封入体成形品)の曲率の最大値と最小値との差Y3が、通常成形品の曲率の最大値と最小値との差Y4よりも小さく、0.0004(1/mm)以下、詳しくは0.00015(1/mm)付近になっている。このように、曲率プロファイルの測定でも、本発明品(封入体成形品)が、通常成形品に比べて、面ひずみが問題とはならない結果を得た。
図59は、板厚減少率の測定結果を示す。
図59に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、全般で板厚分布を均一にせしめており、特に、ドアハンドル取り付け部211の外周角部付近(F−F断面で20mm、120mm付近)で、板厚減少率がより小さく抑えられている。具体的には、板厚減少率の最大値と最小値との差(偏差)では、通常成形品では、18%になっているのに対して、本発明品(封入体成形品)では、10%以下、具体的には約5%になっている。このような結果から、本発明品(封入体成形品)では、板厚減少率がより小さく抑えられていることで、割れが発生しなかったと推測できる。
図60は、供試材B,C,Dについての、降伏強さYSと面ひずみ量(曲率の最大値と最小値との差)との関係を示す。
図60に示すように、本発明品(封入体成形品)では、通常成形品と比較して、供試材B,C,Dで面ひずみ量に変化はなく、すなわち、高強度材ほど(供試材C,D)、面ひずみの抑制効果が大きくなっている。
また、封入体成形により特に次のような条件を満たすプレス成形品を成形することができた。ここで、図61を用いて説明する。
すなわち、先ず、エンボス部100aを板材(ブランク100)で拘束手段(例えばパッドと金型とによる拘束)により拘束される面100cに垂直な断面でみた場合に、該断面内に存在する半径Rの2つのR肩部(エンボス肩)100d,100d間の直線距離である線長をlとし、該断面内にてエンボス部100aの表面に沿って得られる両R肩部100d,100d間の距離をlとして、プレス成形前後のエンボス部100aの線長差比Lを下記(1)式として定義する。
L=(l−l)/l ・・・(1)
さらに、そのように定義される線長差比Lのうち、エンボス部において、板材で拘束がなされる面からの垂直深さが最大となる位置を含み、前記線長lが最小となる最小値l0minにより前記断面で得られる最大値Lmax(=(l−l0min)/l0min)とし、板材の板厚をtとして、形状係数となるDを下記(2)式として定義する。
D=Lmax+(t/(2R+t)) ・・・(2)
ここで、形状係数Dは、エンボス部100aのR肩部100d,100d近傍の最大ひずみ量を示す値となる。また、右辺第2項(t/(2R+t))は、線長差比Lの最大値LmaxでのR肩部100d,100dの曲げによる板厚表層のひずみを示す値となる。
そして、封入体成形を用いることで、その形状係数Dと板材の材料強度TSとの関係で下記(3)式を満たすプレス成形品を成形することができる。
D>7・TS−0.6 ・・・(3)
すなわち、前記(3)式を満たす条件下では、通常成形をしても品質が良好なプレス成形品を得ることはできないが、封入体成形では、品質な良好なプレス成形品を得ることができる。
なお、エンボス部100aを板材において拘束される面100cに垂直な断面でみた場合に、その断面内には、図61に示すように、2つのR肩部100d,100dが存在するが、そのR肩部100d,100d間でRの値が異なることもある。その場合には、より小さいRの値を用いて、前記(2)式により形状係数Dを算出する。また、l及びlは、R肩部100d,100dを基準にとり、該R肩部100d,100d間の長さ又は距離としている。しかし、R肩部100d,100dの終端(Rエンド)、すなわちR肩部100d,100dと板材において拘束される面100cとの交点位置(Rエンド)を基準にとり、l及びlを定義することもできる。
ここで、材料強度(TS)270MPa,340MPa,440MPa,590MPa級鋼板を用いて、線長差比L(Lmax)、板厚t、エンボス肩(R肩部)のR及び形状係数Dを変化させ、封入体成形及び通常成形を行った。その結果を図62〜図68に示す。図62〜図64は、材料強度270MPa,340MPa,440MPa級鋼板を用いて成形したプレス品のフューエルインレット部の結果であり、図65〜図68は、材料強度270MPa,340MPa,440MPa,590MPa級鋼板を用いて成形したプレス品のドアハンドル取り付け部の結果である。
図62〜図68に示すように、封入体成形では、割れなしで、かつ面品質も良好となる結果となった。一方、通常成形では、割れが発生し、面ひずみが測定できない(NG)、又は割れは発生しないものの面ひずみのレベルが製品として許容できないレベル(不可)となる結果となった。
ここで、図69及び図70は、材料強度TSと形状係数Dとの関係を示す。図69は、前記図62〜図68内に示す封入体成形品について結果であり、図70は、前記図62〜図68内に示す通常成形品について結果である。また、図69及び図70それぞれにおいて、(a)はフューエルインレット部についての結果であり、(b)はドアハンドル取り付け部についての結果である。
図69に示すように、封入体成形品の場合には(○印)、材料強度TSや形状係数Dに関係なく、全領域で、封入体成形では割れなしで、かつ面品質も良好となる結果となっている。これに対して、図70に示すように、通常成形品の場合には、特に前記(3)式を満たす領域で、割れが発生し、面ひずみが測定できない(NG)といったように、成形品として好ましくない結果となっている。このようなことから、通常成形では良好に成形できなかった領域(前記(3)式を満たす領域)でも、封入体成形により、良好な成形品を提供できることがわかる。言い換えれば、前記(3)式を満たす成形品は、封入体成形による成形品に限定されることになる。
本発明の第1の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 下側ブランクホルダの形状を示す平面図である。 上側ブランクホルダの形状を示す平面図である。 封入体の形状を示す平面図である。 封入容器の形状を示すものであり、図4の矢示A−Aで示す断面図である。 プレス成形品の中央部に対応する部位の膜厚を他の部分よりも薄くした封入容器の製法の説明に使用した図である。 封入容器の他の形状を示すものであり、図4の矢示A−Aで示す断面図である。 封入容器の他の形状を示すものであり、図4の矢示A−Aで示す断面図である。 駆動台における封入体の底面の取り付け面を湾曲した凹形状にした成形装置の構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第2の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第3の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第4の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第4の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第5の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第5の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第5の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行った後、パンチ及びダイで成形する場合の説明に使用した図である。 本発明の第6の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第7の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第7の実施形態の成形装置で封入体による張出成形を行う場合の説明に使用した図である。 本発明の第8の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 封入体を常設する場合の成形装置の構成を示す図である。 封入体を常設する場合の、液を注入するためのパイプと封入体との接続付近の構造を示す図である。 本発明の第9の実施形態の成形装置の構成を示す図である。 ブランクホルダの形状を示す平面図である。 ブランクホルダの形状を示すものであり、(a)は図27の矢示B−Bで示す断面図であり、(b)は図27の矢示C−Cで示す断面図である。 下側金型の形状を示す平面図である。 下側金型の形状を示すものであり、(a)は図29の矢示B−Bで示す断面図であり、(b)は図29の矢示C−Cで示す断面図である。 本発明の第9の実施形態の成形装置の動作の説明に使用した図である。 本発明の第9の実施形態の成形装置における、ブランクホルダ及び下側金型等を含む部位の詳細を示す図である。 ブランクのエンボス成形部位とその周辺部位を示す図である。 本発明の第9の実施形態の他の成形装置の構成を示す図である。 本発明の第9の実施形態の他の成形装置における、ブランクホルダ及び下側金型等を含む部位の詳細を示す図である。 供試材の材料特性を示す図である。 成形結果であり、割れとしわの評価を示す図である。 評価項目及びその評価を行う方法を示す図である。 自動車のドアアウタの評価点を示す図である。 寸法精度の評価結果を示す特性図である。 発生歪量の評価結果を示す特性図である。 張り剛性の評価結果を示す特性図である。 耐デント性の評価結果を示す特性図である。 面ひずみの評価位置を示す図である。 3点曲率測定器の構成を示す図である。 測定結果である曲率プロファイルを示す特性図である。 面ひずみ量を示す特性図である。 供試材の材料特性を示す図である。 サイドパネル及びそのサイドパネルに成形されるフューエルインレット部の形状を示す図である。 成形結果であり、割れと面ひずみの評価を示す図である。 フューエルインレット部の寸法及びそのフューエルインレット部における曲率の測定部位を示す図である。 曲率プロファイルを示す特性図である。 板厚減少率を示す特性図である。 面ひずみ量を示す特性図である。 ドアアウタ及びそのドアアウタに成形されるドアハンドル取り付け部の形状を示す図である。 成形結果であり、割れと面ひずみの評価を示す図である。 フューエルインレット部の寸法及びそのフューエルインレット部における曲率の測定部位を示す図である。 曲率プロファイルを示す特性図である。 板厚減少率を示す特性図である。 面ひずみ量を示す特性図である。 封入体成形品の説明に使用した図である。 材料強度270MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてフューエルインレット部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度340MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてフューエルインレット部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度440MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてフューエルインレット部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度270MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてドアハンドル取り付け部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度340MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてドアハンドル取り付け部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度440MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてドアハンドル取り付け部を成形した得た成形結果を示す図である。 材料強度590MPa級鋼板を用いて、線長差比L、板厚t、エンボス肩のR及び形状係数Dを変化させてドアハンドル取り付け部を成形した得た成形結果を示す図である。 封入体成形の成形結果と、材料強度TS、形状係数Dとの関係を示す特性図である。 通常成形の形成結果と、材料強度TS、形状係数Dとの関係を示す特性図である。
符号の説明
1 下側ブランクホルダ、2 上側ブランクホルダ、3 基台、4 クッションピン、5 駆動台、6 封入体、7 パンチ、8 ダイ、100 ブランク、100a エンボス

Claims (3)

  1. 板材における成形対象面の周囲を拘束し、粘弾性部材または弾性部材の外周面を張り合わせることで形成された粘弾性部材のみまたは弾性部材のみからなる封入容器に流動性物質を封入した封入体、あるいは粘弾性部材または弾性部材を風船型とした粘弾性部材のみまたは弾性部材のみからなる封入容器に流動性物質を封入した封入体を前記成形対象面に押圧して、前記板材を成形することを特徴とする板材のプレス成形方法。
  2. 前記封入体と金型とで前記板材を挟み、押圧して、前記板材を前記封入体と金型とでプレス成形することを特徴とする請求項1に記載の板材のプレス成形方法。
  3. 前記板材のエンボス成形対象面の周囲を拘束し、前記封入体を前記エンボス成形対象面に押圧して、凹形状のエンボスを成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の板材のプレス成形方法。
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