JP5192875B2 - 給湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、貯湯タンクから給湯負荷に対して給湯可能に構成された給湯システムに関し、特に、複数の熱源機を備えた給湯システムに関する。
給湯システムは、熱源機によって加熱された温水を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯タンクから給湯負荷に温水を供給する構成となっている。従来、熱源機として、ガス等を熱源とする温水ボイラを利用するものや、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換して水を加熱するヒートポンプ給湯機を利用するものが存在する。
ヒートポンプ給湯機は、夜間の安価な電力を使用することで、夜間の給湯使用量の少ない低給湯負荷状態となる時間帯に貯湯タンクに温水を貯めて、翌日の昼間の給湯負荷、例えば風呂やシャワー等の給湯に対して使用するのが一般的である。
しかしながら、ヒートポンプ給湯機の加熱能力は、夜間の低給湯負荷状態を想定して決定されているため、専ら貯湯目的に所定の温度に加熱するだけでよく、短時間での加熱能力は非常に低くなっており、高給湯負荷時に貯湯タンクの温水を消費した場合に温水の給湯能力が不足する場合が生じる。又、夜間に蓄熱する一方、温水を利用するのは翌日の昼間や夕方となるため使用時間が大幅にずれ、貯湯タンクからの放熱が多くなり、せっかく高効率で蓄熱した熱を放熱させてしまうという問題が生じる。
このようなヒートポンプ給湯機の加熱能力不足を補い、ヒートポンプ給湯機に必要な給湯能力を確保する方法として、本出願人により、ヒートポンプ給湯機と温水ボイラを併用する給湯システムが従来開示されている(下記特許文献1参照)。以下、特許文献1に開示された構成につき、図面を参照して説明する。
図11は、上記特許文献1に開示された給湯システムの概略構成図である。図11に示す給湯システム100は、貯湯タンク1、ヒートポンプ給湯機2、温水ボイラ3、給湯負荷4、給水源5を備える。
給水源5からは、弁11、三方継手41を介して、入出水口31から貯湯タンク1に低温水が供給可能に構成されている。更に、給水源5から、弁11、三方継手41、弁12、循環ポンプ13、弁14を介してヒートポンプ給湯機2に低温水が供給可能に構成されている。ヒートポンプ給湯機2は、ヒートポンプ回路の冷媒として例えばCOを採用したCOヒートポンプで構成され、供給された低温水(又は温水)に対して凝縮器からの凝縮熱と熱交換して加熱処理を行い、加熱された温水が、逆止弁15、三方継手42、弁16を介して、入水口33から貯湯タンク1に供給される。入水口33は、貯湯タンク1内において入出水口31よりも上方に形成されている。
又、貯湯タンク1に貯えられた温水は、出水口32から逆止弁17、循環ポンプ24、弁18を介して温水ボイラ3に供給可能に構成されている。温水ボイラ3は、例えばガス焚真空式温水機で構成され、缶体内の下部にガスバーナの火炎で熱媒水を加熱する火炉を設けると共に、缶体内の上部の減圧空気中にU字状の伝熱管を設けており、缶体内の下部に封入された熱媒水をガスバーナの火炎で加熱し、その上部の減圧空気中の伝熱管を加熱することによって伝熱管中を流れる水を加熱する。温水ボイラ3は、このようにして供給される温水をボイラによって加熱した後、弁19、三方継手42、弁16を介して入水口33から貯湯タンク1に温水を供給する。即ち、貯湯タンク1の出水口32から取得された温水が、循環ポンプ24を介して温水ボイラ3へ供給され、当該温水ボイラ3で加熱された後、入水口33から貯湯タンク1に再供給される循環回路(以下、「第1循環回路C1」と記載)が構成されている。
更に、貯湯タンク1に貯えられた温水は、入出水口31から三方継手41、弁12、循環ポンプ13、弁14を介してヒートポンプ給湯機2に供給され、再加熱可能に構成されている。ヒートポンプ給湯機2によって加熱された温水は、上述したように、入水口33から貯湯タンク1に供給され、貯湯される。即ち、貯湯タンク1の入出水口31から取得された温水が、循環ポンプ13を介してヒートポンプ給湯機2へ供給され、当該ヒートポンプ給湯機2で加熱された後、入水口33から貯湯タンク1に再供給される循環回路(以下、「第2循環回路C2」と記載)が構成されている。図12に、第1循環回路C1及び第2循環回路C2の経路図を示す。尚、図12では、弁や継手等の一部の構成要素の図示を省略している。
又、第2循環回路C2において、ポンプ13が稼働して入出水口31から取り出された温水は、全てヒートポンプ給湯機2側へ送出される構成である。
そして、貯湯タンク1内に貯湯された温水は、貯湯タンク1の出水口34から、弁21を介して給湯負荷4に対して供給される。給湯負荷4は、例えばカランやシャワー、浴槽等で構成される。水は、温度が高くなるにつれ上方に移動する性質、いわゆる対流性を有しているため、貯湯タンク1の上部領域には温度の高い温水が貯湯される。従って、貯湯タンク1の上部領域に設置された出水口34から給湯負荷4に対して高温の温水を供給することが可能となる。又、その温水の一部が、管路での放熱による温水温度の低下を防止すべく、循環ポンプ23、弁22を介して入水口35から貯湯タンク1に循環される。
又、貯湯タンク1には、タンク上部に貯えられた温水の温度を検出する温度センサ51、及びタンク下部に貯えられた温水の温度を検出する温度センサ52が取り付けられている。上述したように、給水源5から供給される低温水が貯湯タンク1の下部に取り付けられた入出水口31からタンク1内に流入し、ヒートポンプ給湯機2若しくは温水ボイラ3で加熱された温水が貯湯タンク1の上部に取り付けられた入水口33からタンク1内に流入する構成である。このため、タンク下部に取り付けられた温度センサ52よりも、タンク上部に取り付けられた温度センサ51の方が高い温度を検出する。
そして、この温度センサ51の検出結果に基づいて温水ボイラ3及び循環ポンプ24の制御を行う一方、温度センサ52の検出結果に基づいてヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13の制御を行う。より具体的には、例えば温度センサ51から与えられる温度情報が50℃以上であれば温水ボイラ3及び循環ポンプ24を停止させる一方、35℃以下であれば温水ボイラ3及び循環ポンプ24を稼働させる。更に、例えば温度センサ52から与えられる温度情報が50℃以上であればヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13を停止させる一方、35℃以下であればヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13を稼働させる。
上述したように、温度センサ52よりも温度センサ51の方が高い温度が検出されるため、貯湯タンク1内に給水源5から低温水が供給され、タンク内の温度が低下し始めると、温度センサ52の方が先に35℃以下を検出し、これによって温水ボイラ3よりヒートポンプ給湯機2の方が先に稼働される。一方、加熱された温水が供給されることでタンク内の温度が上昇し始めると、温度センサ51の方が先に50℃以上を検出し、これによって温水ボイラ3がヒートポンプ給湯機2よりも先に停止される。このように、図11の構成とすることで、温水ボイラ3よりもヒートポンプ給湯機2を優先的に稼動させる制御が行われることとなる。上述のように、ヒートポンプ給湯機2は温水ボイラ3よりも単体で高効率を実現する構成であるため、高効率のヒートポンプ給湯機2の稼働率が向上されることで、システム全体としての高い効率が実現できる。
特開2007−170770号公報
上述したように、図11に示す給湯システム100の場合、温水ボイラ3よりもヒートポンプ2を優先的に稼働して、稼働率を向上させることで、システム全体の効率が向上する。しかしながら、実際には、給湯負荷が無く貯湯タンク1内に蓄熱運転を行う場合等において、温水ボイラ3よりも先にヒートポンプ給湯機2が停止する場合もある。
このような場合においても、ヒートポンプ給湯機2をできるだけ優先的に稼働させることは、システム全体の効率を向上させる点から望ましい。その方法としては、給湯負荷4で消費される温水流量を測定するための流量計を設け、給湯の使用が無い場合や、ヒートポンプ給湯機2の出力のみで対応可能な場合には温水ボイラ3を運転させないような制御を行うことが考えられる。
しかしながら、かかる方法でヒートポンプ給湯機2の制御を行うためには、別途流量センサを設置する必要がある。流量センサは、温度センサと比較して高価であるため、当該流量センサをシステム内に導入すると、システム全体のコストが上昇し、高効率な給湯システムを広く普及させることが困難となる。
本発明は、上記の問題点に鑑み、複数の熱源機を有する給湯システムにおいて、流量センサを備えることなく給湯使用量を判断し、熱効率の高い一の熱源機を最大限優先的に稼働させることで給湯システム全体の熱効率を更に上昇させることを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る給湯システムは、供給される温水を加熱する第1熱源機並びに、前記第1熱源機よりも高効率な第2熱源機と、温水を貯湯すると共に当該貯湯された温水を給湯負荷に供給する貯湯タンクと、前記貯湯タンク下部に設けられた出水口から取得された温水が、前記第1熱源機を介して前記貯湯タンク上部に設けられた入水口から前記貯湯タンクに再供給される第1循環回路と、前記貯湯タンク下部に設けられた入出水口から取得された温水が、前記第2熱源機を介して直接、若しくは更に前記第1熱源機を介して、前記入水口から前記貯湯タンクに再供給される第2循環回路と、給水源から供給された低温水が、分岐点で分岐されて前記入出水口並びに前記第2熱源機に供給される給水回路と、前記分岐点と前記給水源の間の流路内を通水する温水の温度測定が可能な第1温度センサと、前記分岐点と前記入出水口の間の流路内を通水する温水の温度測定が可能な第2温度センサと、を備えてなり、前記第2循環回路上において、前記入出水口と前記第2熱源機の間に前記分岐点が介在することで、前記第2循環回路と前記給水回路が一部の経路を共通に構成し、前記第1熱源機が、前記第2熱源機が運転中である場合において、前記第2温度センサの検出温度が、前記第1温度センサの検出温度よりも所定の誤差範囲を超えて高温である場合には停止する制御が行われることを第1の特徴とする。
本発明に係る給湯システムの上記第1の特徴構成によれば、第1温度センサで分岐点と前記給水源の間の流路内を通水する温水の温度が測定され、第2温度センサで分岐点と前記入出水口の間の流路内を通水する温水の温度が測定される。そして、第2温度センサによる検出温度が、第1温度センサによる検出温度よりも所定の誤差範囲を超えて高温であることは、前記分岐点を隔てて、給水源側の管路内の水温よりも、貯湯タンク側の管路内の水温の方が高温であること、即ち、給水源から供給された低温水が入出水口より貯湯タンクに対して流入している状態ではないことを意味している。更に、このことは、(a)貯湯タンク内に貯湯された温水が入出水口より取り出されて分岐点を介して第2熱源機へ供給されているか、若しくは、(b)給水源からの低温水が分岐点を介して第2熱源機へ供給されている状態であることを意味している。
ここで、前記(a)の場合、給湯負荷がそれほど高負荷ではなく、給水源からの低温水の供給がなくても貯湯タンク内に貯えられた温水のみで給湯負荷に対する対応が可能であることを表しており、又、前記(b)の場合、(a)の場合よりは負荷が高いか、若しくは貯湯タンク内に給湯負荷を賄えるだけの温水が貯湯されていないが、給湯負荷が第2熱源機の出力で対応可能な範囲内の大きさであることを表している。
即ち、流量センサを貯湯タンクに取り付けなくても、給湯負荷に対する相対的な貯湯タンク内の貯湯量を把握することができる。つまり、上記(a)及び(b)のいずれの場合においても、第1熱源機を停止させても給湯負荷を賄うことができると判断され、かかる状態においては熱効率の高い第2熱源機のみを稼働させることができる。これによって、効率の高い第2熱源機を最大限優先的に稼働させる制御を行うことができ、システム全体の効率を向上させることができる。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1の特徴構成に加えて、前記貯湯タンク内における前記入出水口よりも前記入水口に近い領域内に貯湯された温水の温度測定が可能な第3温度センサを備えており、前記第1熱源機が、前記第2熱源機が運転中であって、且つ、前記第1温度センサと前記第2温度センサの検出温度が前記誤差範囲内で同一である場合において、前記第3温度センサの検出温度が第1温度以下である場合には稼働し、前記第1温度より高い第2温度以上である場合には停止する制御が行われることを第2の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1又は第2の特徴構成に加えて、前記第1熱源機が、前記第2熱源機が停止中であって、前記第3温度センサで検出された温度が第3温度以下であれば稼働し、前記第3温度より高い前記第4温度以上であれば停止する制御が行われることを第3の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第3の何れか一の特徴構成に加えて、前記分岐点を通水する温水の温度測定が可能な第4温度センサを備えており、前記第2熱源機が、前記第4温度センサによって検出された温度に応じて発停制御が行われる構成であることを第4の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第4の特徴構成に加えて、前記第2温度センサで測定される対象となる温水の通水路が、前記第4温度センサで測定される対象となる温水の通水路よりも高さ位置が高いことを第5の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第3の何れか一の特徴構成に加えて、前記貯湯タンク内における前記入水口よりも前記入出水口に近い領域内に貯湯された温水の温度測定が可能な第4温度センサを備えており、前記第2熱源機が、前記第4温度センサによって検出された温度に応じて発停制御が行われる構成であることを第6の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第4〜第6の何れか一の特徴構成に加えて、前記第2熱源機が、前記第4温度センサによる検出温度が第5温度以下であれば稼働し、前記第5温度より高い第6温度以上であれば停止する制御が行われることを第7の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第7の何れか一の特徴構成に加えて、前記給水回路上において、異なる3方向に第1〜第3開口部を有してなる第1継手が前記分岐点と前記給水源の間に、異なる3方向に第4〜第6開口部を有してなる第2継手が前記分岐点と前記入出水口の間に、夫々介装されており、前記第1継手が、前記第1開口部に前記給水源を、前記第2開口部に前記分岐点を夫々接続し、前記第2継手が、前記第4開口部に前記分岐点を、前記第5開口部に前記入出水口を夫々接続し、前記第1温度センサが、前記第3開口部から前記第1継手内部の流路に到達するように挿嵌されることで前記第1継手内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成され、前記第2温度センサが、前記第6開口部から前記第2継手内部の流路に到達するように挿嵌されることで前記第2継手内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成されることを第8の特徴とする。
又、本発明に係る給湯システムは、上記第1〜第8の何れか一の特徴構成に加えて、前記第2熱源機が、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換することで前記低温水を加熱して温水を生成するヒートポンプ給湯機であることを第9の特徴とする。
本発明の構成によれば、流量センサを取り付けることなく、給湯負荷の大きさに対する貯湯タンク内に貯えられている温水量を相対的に認識することができる。これによって、熱効率の高い第2熱源機の出力のみで給湯負荷を賄うことができる場合には、熱効率の低い第1熱源機を停止させる制御を行うことで、システム全体の熱効率の向上を図ることができる。
以下において、本発明に係る給湯システム(以下、適宜「本発明システム」と称する)の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明システムの第1実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)につき、図1〜図5の各図を参照して説明する。尚、図11及び図12に示す従来構成と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。
又、以下の各図面は、システム構成を概略的に示したものであり、圧力センサ等の一部の構成要素については図示していない。
図1は、本発明システムの概略構成図である。図1に示す本発明システム10は、図11に示す従来の給湯システム100と比べて、給水源5と三方継手41の間に三方継手43を、三方継手41と入出水口31の間に三方継手44を夫々備えると共に、各三方継手が備える一の開口部から三方継手内部の流路に到達するように温度センサ53及び54が挿嵌されている。
図2は、三方継手43及び44を含む本発明システム10の一部分を拡大した概略構成図である。図2に示すように、三方継手43は開口部43a〜43cを、三方継手44は開口部44a〜44cを夫々有している。又、三方継手41は、開口部41a〜41cを有しており、開口部41aにヒートポンプ給湯機2と連絡された管路が接続されている。
三方継手43は、開口部43aに当該三方継手43内部の流路に到達するように温度センサ53が挿嵌されており、三方継手43内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成されている。又、開口部43bには給水源5と連絡された管路が接続され、開口部43cは三方継手41の開口部41bと連絡され、給水源5から供給される低温水を三方継手41へ導く。
同様に、三方継手44は、開口部44aに当該三方継手44内部の流路に到達するように温度センサ54が挿嵌されており、三方継手44内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成されている。又、開口部44bは三方継手41の開口部41cと連絡され、開口部44cは貯湯タンク1の入出水口31と連絡されている。これにより、給水源5から供給される低温水が三方継手43、41、及び44を夫々介して、入出水口31から貯湯タンク1内に供給可能に構成されている。又、貯湯タンク1に貯えられた温水が入出水口31から取得され、三方継手44及び41を介して、三方継手41の開口部41aからヒートポンプ給湯機2へ供給可能に構成されている。
このように本発明システム10は、三方継手43内部の流路を通水する温水の温度が温度センサ53によって検出可能に構成され、又、三方継手44内部の流路を通水する温水の温度が温度センサ54によって検出可能に構成される。
尚、本実施形態に係る本発明システム10では、従来の給湯システム100と同様、ヒートポンプ給湯機2は温度センサ52の検出結果に基づいて発停制御が行われる。即ち、具体的には、例えば温度センサ52の検出温度が50℃以上であればヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13を停止させる一方、35℃以下であればヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13を稼働させる。尚、制御条件となる設定温度の値は一例であって、この値に限られるものではない。以下の各実施形態においても同様とする。
そして、本発明システム10では、ヒートポンプ給湯機2の発停状態、並びに温度センサ51、53、及び54の検出結果に基づいて、温水ボイラ3の発停制御が行われる。又、前記のように、ヒートポンプ給湯機2は温度センサ52の検出温度に基づいて発停制御が行われる。従って、温度センサ52の検出温度を確認することでヒートポンプ給湯機2の発停状態を確認することができる。図1では、温度センサ52の情報がヒートポンプ給湯機2のみならず温水ボイラ3に対しても送られる旨が図示されているが、これは、温度センサ52の検出温度に基づいてヒートポンプ給湯機2の発停状態を確認し、更に、この結果と温度センサ51、53、及び54の検出結果に基づいて温水ボイラ3の発停制御が行われることを表している。
尚、ヒートポンプ給湯機2の発停状態の判断方法については、図1に図示したように温度センサ52の検出温度に基づいて判断する方法の他、例えば循環ポンプ13の開閉状態で判断するものとしても構わないし、ヒートポンプ給湯機2から当該給湯機2の状態判断が可能な状態信号が送出されており、かかる信号を受信することでヒートポンプ給湯機2の状態を判断するものとしても構わない。
以下、本発明システム10における温水ボイラ3及び循環ポンプ24の発停制御条件につき詳細に説明する。尚、本実施形態においては、循環ポンプ24は温水ボイラ3と共に制御が行われ、循環ポンプ13はヒートポンプ給湯機2と共に制御が行われる構成であるため、以下において、制御内容の説明を行う際には、温水ボイラ3及びヒートポンプ給湯機2に対する制御についてのみ説明を行い、循環ポンプ24及び循環ポンプ13についての言及を省略する。
図3は、温水ボイラ3に対する制御内容を条件毎にテーブル形式で記載した制御条件テーブルである。
温水ボイラ3は、(1)ヒートポンプ給湯機2の発停状態、(2)温度センサ53と温度センサ54の検出温度の対比結果、及び(3)温度センサ51の検出温度、の3条件によって発停動作が制御される。図3に示すテーブル内の(1)〜(3)は、前記各条件(1)〜(3)に夫々対応している。
尚、具体的には、各温度センサ51〜54の検出温度に関する情報等を受信する制御手段(不図示)を設け、当該制御手段によって温水ボイラ3並びに循環ポンプ24の動作制御が行われるものとして良い。以下では、この制御手段によって温水ボイラ3及び循環ポンプ24が制御される構成であるものとして説明する。
図3のテーブルに示されるように、ヒートポンプ給湯機2が動作している場合(#1)と、停止している場合(#2)とで制御内容が異なるため、制御手段は、まずヒートポンプ給湯機2が動作しているか否かについての判断を行う。
そして、ヒートポンプ給湯機2が動作していると判断された場合(#1)、制御手段は、次に温度センサ53と温度センサ54の検出温度の比較を行う。
まず、温度センサ54が温度センサ53よりも所定の誤差範囲を超えて高い温度を示している場合(#11)について説明する。尚、この「所定の誤差範囲」とは、給水源5から貯湯タンク1に対して低温水が供給されている場合においても温度センサ53と温度センサ54の間に生じうる温度差の範囲内をいうものとし、例えば絶対値で1.0℃以下の範囲内をいう。
状態#11を示す場合とは、三方継手41を隔てて、給水源5側の管路内の水温よりも、貯湯タンク1側の管路内の水温の方が高温であること、即ち、給水源5から供給された低温水が入出水口31より貯湯タンク1に対して流入している状態ではないことを意味している。そして、このことは、(a)貯湯タンク1内に貯湯された温水が入出水口31より取り出されて三方継手41を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されているか、若しくは、(b)給水源5からの低温水が三方継手41を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されている状態であることを意味している。図4は、状態#11に対応する温水(低温水)の流れを示した本発明システム10の一部概略構成図である。
ここで、前記(a)の場合、給湯負荷4がそれほど高負荷ではなく、給水源5からの低温水の供給がなくても貯湯タンク1内に貯えられた温水のみで給湯負荷4に対する対応が可能であることを表している。又、前記(b)の場合、(a)の場合よりは負荷が高いか、若しくは貯湯タンク1内に給湯負荷4を賄えるだけの温水が貯湯されていないが、給湯負荷4がヒートポンプ給湯機2の出力で対応可能な範囲内の大きさであることを表している。
従って、前記(a)若しくは(b)の状態、即ち状態#11を示す場合は、温水ボイラ3を稼働させなくてもヒートポンプ給湯機2のみで給湯負荷4への対応が可能であることが分かる。このため、状態#11の場合は、温水ボイラ3を停止させる制御を行う。
次に、温度センサ54が温度センサ53よりも所定の誤差範囲内で同一の温度を示している場合(#12)について説明する。
状態#12を示す場合とは、三方継手41を隔てて、給水源5側の管路内と貯湯タンク1側の管路内とが同程度の水温であることを意味しており、このことは、即ち、給水源5から供給された低温水が入出水口31より貯湯タンク1に対して流入している状態を意味している。これは、貯湯タンク1内に十分な量の温水が貯湯されていないため、給水源5から貯湯タンク1に対して直接低温水を供給している状態であると考えられる。図5は、状態#12に対応する低温水の流れを示した本発明システム10の一部概略構成図である。
状態#12であることが確認されると、制御手段は、更に温度センサ51の検出温度を確認する。
ここで、温度センサ51の検出温度が所定のT1℃(例えば60℃)以下である場合(#121)、給水源5から供給された低温水によって貯湯タンク1内に貯湯された温水の温度が低下していることを意味しているため、タンク1内の温水の温度を高めるべく温水ボイラ3を稼働する制御を行う。
又、温度センサ51の検出温度がT1℃より高い所定のT2℃(例えば65℃)以上である場合(#122)、貯湯タンク1内に貯えられている温水が十分高い温度を維持していることを意味しているため、温水ボイラ3を停止する制御を行う。
尚、温度センサ51の検出温度がT1℃とT2℃の間にある場合には(#123)、温水ボイラ3に対する制御は行わず、その時点における温水ボイラ3の状態を維持する。
次に、制御手段によってヒートポンプ給湯機2が停止していると判断された場合(#2)について説明する。
ヒートポンプ給湯機2が停止していると判断された場合(#2)、#1の場合と異なり、給湯負荷に対してヒートポンプ給湯機2の出力のみで対応可能かどうかの判断を行う必要がないため、上記条件(2)の確認を行わず、条件(3)の確認のみを行う。即ち、制御手段は、状態#12の場合と同様、温度センサ51の検出温度を確認する。そして、温度センサ51の検出温度がT1℃以下である場合(#21)には温水ボイラ3を稼働する制御を行い、T2℃以上である場合(#22)には温水ボイラ3を停止し、T1℃とT2℃の間にある場合には(#23)、温水ボイラ3に対する制御は行わず、その時点における温水ボイラ3の状態を維持する。
このように温水ボイラ3の制御を行うことで、温度センサの検出温度のみによって貯湯タンク1内に貯湯された温水の量に対する給湯負荷4の大きさがある程度推察でき、温水ボイラ3を稼働させなくてもヒートポンプ給湯機2の運転のみによって給湯負荷4を賄うことが可能かどうかの判断を行うことができる。従って、貯湯タンク1内に流量センサを取り付けることなくヒートポンプ給湯機2を最大限優先的に稼働させる制御を行うことができ、これによってシステム全体の効率を向上させることができる。
尚、上記では、ヒートポンプ給湯機2が停止していると判断された場合における制御内容決定のための温度条件を、ヒートポンプ給湯機2が稼働している場合の温度条件と同一としたが、これらを異ならせるものとしても良い。この場合、温度センサ51の検出温度が所定のT3℃以下である場合(#21)には温水ボイラ3を稼働する制御を行い、T3℃より高温のT4℃以上である場合(#22)には温水ボイラ3を停止し、T3℃とT4℃の間にある場合には(#23)、温水ボイラ3に対する制御は行わず、その時点における温水ボイラ3の状態を維持する。
尚、本実施形態では、ヒートポンプ給湯機2で加熱された温水が、三方継手42を介して入水口33から貯湯タンク1に供給されるものとしたが、貯湯タンク1の上部に入水口33とは別の入水口を有する場合には、当該別の入水口からヒートポンプ給湯機2で加熱された温水が貯湯タンク1に供給される構成としても良い。この場合、三方継手42は必ずしも必要ではない。
[第2実施形態]
本発明システムの第2実施形態(以下、適宜「本実施形態」と称する)につき、図6〜図9の各図を参照して説明する。尚、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、又、同一の制御内容についてはその旨を記載して詳細な説明を省略する。
図6は、本実施形態における本発明システムの概略構成図である。図6に示される本発明システム10aは、図1に示される本発明システム10と比較して、三方継手41の代わりに異なる四方向に開口部を有する十字継手45を備える点、及び、貯湯タンク1に取り付けられていた温度センサ52が、前記十字継手45の一の開口部に挿嵌されている点が異なる。そして、ヒートポンプ給湯機2は、この十字継手45内に挿嵌されている温度センサ52の検出結果に基づいて制御される。
まず、十字継手45の一の開口部に挿嵌された温度センサ52の検出結果に基づいて行われるヒートポンプ給湯機2の制御内容について説明する。
図7は、三方継手43、44、及び十字継手45を含む本発明システム10aの一部分を拡大した概略構成図である。図7に示すように、十字継手45は、異なる四方向に夫々開口部45a〜45dを備える。
開口部45aには、当該十字継手45内部の流路に到達するように温度センサ52が挿嵌されており、十字継手45内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成されている。又、開口部45bには三方継手43の開口部43cが連絡されており、給水源5からの低温水が三方継手43を介して十字継手45内へ供給可能に構成されている。又、開口部45cには三方継手44の開口部44bが連絡されており、十字継手45へ流入した低温水を貯湯タンク1に対して供給し、又、貯湯タンク1に貯えられた温水を十字継手45内に供給可能に構成されている。更に、開口部45dには、ヒートポンプ給湯機2と連絡された管路が接続され、十字継手45へ供給される温水(低温水)をヒートポンプ給湯機2へ供給可能に構成されている。
即ち、給水源5から供給された低温水は、開口部45bから十字継手45内部に流入した後、開口部45cからヒートポンプ給湯機2へ供給される低温水と、開口部45dから入出水口31を介して貯湯タンク1内に供給される低温水とに分岐される。又、貯湯タンク1内に貯えられていた温水は、入出水口31から開口部45cを介して十字継手45内部に流入した後、開口部45dからヒートポンプ給湯機2へ供給される。そして、このように十字継手45内部を通水する温水又は低温水の温度が、開口部45aから挿嵌された温度センサ52によって検出可能に構成されている。
このように構成されるとき、給水源5からの低温水の供給がなく、ヒートポンプ給湯機2が停止状態である場合、第2循環回路C2内(図12参照)における入出水口31からヒートポンプ給湯機2までの経路内には温水が滞留することとなる。そして、この滞留している温水の温度は、入出水口31近傍の貯湯タンク1内の温水と同程度の温度となる。そして、第2循環回路C2内における入出水口31からヒートポンプ給湯機2までの経路内には、十字継手45が介装されており、その継手45内部を通水する温水の温度が温度センサ52によって検出可能に構成されている。従って、温度センサ52によって検出される温水の温度は、貯湯タンク1の下部に貯えられた温水の温度に略等しくなる。
つまり、給水源5からの低温水の供給がなく、ヒートポンプ給湯機2が停止状態である場合、温度センサ52によって十字継手45内部の温水の温度を検出することで、実質的に貯湯タンク1の下部に貯えられた温水の温度を検出するに等しい結果となる。
又、給水源5からの低温水の供給がなく、ヒートポンプ給湯機2が稼働状態である場合は、貯湯タンク1に貯湯されている温水が入出水口31から取り出され、十字継手45内を介してヒートポンプ給湯機2に温水が供給されている状態である。即ち、かかる場合には、入出水口31近傍の貯湯タンク1内の温水と、十字継手45内を通水する温水は略同程度の温度を示すこととなる。このため、かかる場合においても、十字継手45内を通水する温水の温度を温度センサ52によって検出することで、実質的に貯湯タンク1の下部に貯えられた温水の温度を検出するに等しい結果となる。
即ち、給水源5からの低温水の供給がない場合、十字継手45内を通水する温水の温度を温度センサ52によって検出することで、実質的に貯湯タンク1の下部に貯えられた温水の温度を検出するに等しい結果となる。従って、給水源5からの低温水の供給がない場合に、十字継手45内に挿嵌された温度センサ52の検出結果に基づいてヒートポンプ給湯機2の制御を行うことは、貯湯タンク1の下部に貯えられた温水の温度を検出すべく当該タンク1に取り付けられた温度センサ52の検出結果に基づいてヒートポンプ給湯機2の制御を行うことと略等価であることが分かる。
一方、給水源5から低温水が供給されている場合は、貯湯タンク1内に貯湯されている温水量に対して、給湯負荷4が比較的大きい場合に相当する。かかる場合、給水源5から供給される低温水は必ず十字継手45内を通水する。即ち、温度センサ52は、十字継手45内を通水する低温水の温度を検出することとなる。
このとき、第1実施形態と同様、例えば、温度センサ52から与えられる温度情報が50℃以上であればヒートポンプ給湯機2を停止させる一方、35℃以下であればヒートポンプ給湯機2を稼働させる旨の制御を行う場合、給水源5から供給される低温水の温度は通常35℃以下であるため、ヒートポンプ給湯機2及び循環ポンプ13は稼働される。つまり、貯湯タンク1内に貯湯されている温水量に対して給湯負荷4が比較的大きい場合には、ヒートポンプ給湯機2が優先的に稼働されることとなる。そして、給湯負荷4の大きさが貯湯タンク1内に貯湯されている温水量に対して減少し、給水源5からの低温水の供給が停止されると、上述したように十字継手45内を通水する温水は、貯湯タンク1内の入出水口31近傍の温水と略同程度の温度を示すこととなる。
つまり、本発明システム10aのように、十字継手45内を通水する温水の温度に基づいてヒートポンプ給湯機2の制御を行うことで、第1実施形態のようにタンク1に取り付けられた温度センサ52の検出結果に基づいてヒートポンプ給湯機2の制御を行うのと事実上同様の制御を行うことができることが分かる。
そして、このように構成される場合において、図3に示すテーブルと同様の制御条件に基づいて温水ボイラ3の制御を行うことで、ヒートポンプ給湯機2を優先的に稼働させることができ、システム全体の効率を向上させることができる。
尚、この場合、図3の状態#12は、温度センサ52〜54が全て所定の誤差範囲内で同一の温度を示している場合に相当する。
又、第1実施形態では、状態#11が(a)貯湯タンク1内に貯湯された温水が入出水口31より取り出されて三方継手41(本実施形態における十字継手45に相当、以下同様)を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されているか、若しくは、(b)給水源5からの低温水が三方継手41を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されている状態の何れの状態であるかを確定することができないが、本実施形態では、温度センサ52の検出温度を更に比較することで、前記(a)か(b)の何れの状態であるかを確定することができる。
即ち、温度センサ52と54が同程度の温度を示し、センサ53がそれよりも低い温度を示している場合には前記(a)の状態であると判断することができ、温度センサ52と53が同程度の温度を示し、センサ54がそれよりも高い温度を示している場合には前記(b)の状態であると判断することができる。これにより、本実施形態の場合は、システム1a内を流れる温水(又は低温水)の流況を第1実施形態よりも更に細かく認識することができるため、例えば(a)と(b)の状態に応じて夫々異なる制御内容を設定する等、更に詳細な制御を行うことも可能である。
又、本実施形態に係る本発明システム10aは、熱源機として温水ボイラ3のみを想定していた従来の貯湯タンク1に対して、ヒートポンプ給湯機2を新たな熱源機として追加する場合にも適用可能である。即ち、ヒートポンプ給湯機2を導入するに際し、当該ヒートポンプ給湯機2の動作制御のために必要な温度センサ52を、市販の十字継手(クロス継手とも称される)を用いて一の孔部に挿嵌することのみで実現することができる。即ち、温度センサ52を貯湯タンク1に直接取り付けるべく、当該温度センサ52を取り付けるための孔を空ける施工を行う必要がないため、貯湯タンク1から水漏れが発生するという事態が生じることがなく、水漏れに伴うシステム効率の低下を招くという問題は発生しない。
尚、本実施形態において、入出水口31と十字継手45との間で温水(又は低温水)の通水が行われていない状態の下での温度センサ52と温度センサ54の温度差をより明確化するために、両温度センサを異なる高さ位置に設置する構成としても良い。図8は、図7と同様、本実施形態に係る給湯システムの一部を拡大した図である。
図8に示す構成のように、温度センサ54が挿嵌されている三方継手44を、温度センサ52が挿嵌されている十字継手45よりも高い位置に設置し、三方継手44の開口部44bと、十字継手45の開口部45cとを連結管61によって連絡する。
図7のような構成の場合、貯湯タンク1内の温水が入出水口31から取り出されていない状態であっても、圧力変動等の影響を受けて、タンク1内の温水が十字継手45内まで流出し、給水源5からの低温水と混合される事態が場合によっては生じることが想定される。これに対し、図8に示すような構成とすることで、貯湯タンク1内の温水が入出水口31から取り出されていない状態では、タンク1内下部の温水が十字継手45内まで流出する確率を大きく低下させることができる。これによって、温度センサ52と温度センサ54の温度差をより明確にすることができ、両センサによって計測された温度関係に基づいてヒートポンプ給湯機2の制御を行うことで、制御精度が向上し、システム全体の効率を更に向上させることができる。
図8の構成であっても、温度センサ52と54が同程度の温度を示し、センサ53がそれよりも低い温度を示している場合には、前記(a)の状態、即ち、貯湯タンク1内に貯湯された温水が貯湯タンク1の入出水口31より取り出されて十字継手45を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されているであると判断することができる(図9(a)参照)。又、温度センサ52と53が同程度の温度を示し、センサ54がそれよりも高い温度を示している場合には、前記(b)の状態、即ち、給水源5からの低温水が十字継手45を介してヒートポンプ給湯機2へ供給されている状態であると判断することができる(図9(b)参照)。
従って、図8の構成の場合、温度センサ52及び54の双方が50℃以上であればヒートポンプ給湯機2を停止させる一方、温度センサ52及び54の双方が35℃以下であればヒートポンプ給湯機2を稼働させるものとしても構わない。温度センサ52及び54の双方が50℃以上である場合には、図9(a)に示すように、貯湯タンク1の入出水口31より取り出された温水が50℃以上であるため、更に加熱する必要がないことが判断される。又、温度センサ52及び54の双方が35℃以下である場合には、図9(c)に示すように、低温水が給水源5から入出水口31を介して貯湯タンク1内に供給されており、貯湯タンク1内の温水の温度を上昇させるべくヒートポンプ給湯機2を稼働して加熱する必要があることが分かる。
[別実施形態]
以下に、別実施形態について説明する。
〈1〉 上述の実施形態では、状態#1(ヒートポンプ給湯機2の運転時)において、温度センサ53が温度センサ54よりも所定の誤差範囲を超えて高い温度を示している場合についての制御内容は言及していない。これは、温度センサ53が三方継手41(第2実施形態では十字継手45に相当。以下同様)を隔てて給水源5側の管路内の水温を測定しているのに対し、温度センサ54が三方継手41を隔てて貯湯タンク1側の管路内の水温を測定しており、給水源5から供給される低温水の温度が貯湯タンク1内の湯温よりも高温になることは通常考えにくいことから、温度センサ53が温度センサ54よりも誤差範囲を超えて高い温度を示すという状態の招来を想定する必要がないと考えられるためである。ただし、言うまでもなく、このような状態を検知した場合における制御内容が予め制御手段に設定されているものとしても構わない。一例としては、ボイラ3及びヒートポンプ給湯機2を停止する旨の制御を行うものとすることができる。
〈2〉 上述の各実施形態では、ヒートポンプ給湯機2で加熱された温水は、直接貯湯タンク1に供給されるシステム構成としたが、温水ボイラ3を介して貯湯タンク1に供給されるシステム構成としても構わない。図10は、本発明システムの別実施形態を示す概略構成図である。
図10に示す本発明システム10bは、図1に示す本発明システム10と比較して、循環ポンプ25及び三方継手47を新たに備え、又、逆止弁15及び三方継手42を備えない。即ち、ヒートポンプ給湯機2で加熱された温水が、循環ポンプ25を介して逆止弁17と温水ボイラ3の間に介装された三方継手47内に供給され、この三方継手47を介して温水ボイラ3へ供給される構成である。循環ポンプ25はヒートポンプ給湯機2と同様、温度センサ52による検出温度によって制御される。尚、圧力的に循環ポンプ13だけで三方継手47内に供給可能であれば循環ポンプ25は不要である。
かかる構成とすることで、温度センサ52が35℃以下を検出すると、ヒートポンプ給湯機2によって加熱された温水が、循環ポンプ25、三方継手47を介して温水ボイラ3内を加熱されることなく通過した後、入水口33から温水が貯湯タンク1に供給される。又、ヒートポンプ給湯機2が運転中において、図3に示す制御条件テーブルに基づいて温水ボイラ3が稼働する制御が行われると、ヒートポンプ給湯機2によって加熱された温水が、温水ボイラ3に供給された後、再度温水ボイラ3によって加熱されて貯湯タンク1に供給される。
即ち、本発明システム10bの場合、温水ボイラ3には予めヒートポンプ給湯機2によって加熱された温水が供給されるため、温水ボイラ3に供給される温水の温度が本発明システム10と比較して上昇し、これによって温水ボイラ3の熱交換量を減らすことができる。
又、給湯負荷4が高負荷となった場合には、ヒートポンプ給湯機2で加熱された温水と入水口32から取得された貯湯タンク1内の温水とが三方継手47内で混合されて温水ボイラ3に供給され、当該温水ボイラ3で再び加熱されるものとして構わない。
更に、図10に示す本発明システム10bでは、第1実施形態に係る本発明システム10に対して、循環ポンプ25及び三方継手47を新たに備えると共に、逆止弁15及び三方継手42を備えない構成としたが、第2実施形態に係る本発明システム10aに対して同様の変更を加えた構成とすることも可能である。
〈3〉 上述の各実施形態では、温度センサ53及び54を、夫々経路内に介装された三方継手43及び44の一の開口部内に挿嵌することで、各十字継手内部を通水する温水の温度検出を可能にする構成としたが、温度センサの設置方法については、上述した方法に限られるものではない。即ち、温度センサ53によって、給水源5から供給された低温水の供給先が入出水口31とヒートポンプ給湯機2に分岐される分岐点(図1では三方継手41に相当)と給水源5との間の流路内を通水する温水の温度測定が可能に構成され、温度センサ54によって、前記分岐点と入出水口31の間の流路内を通水する温水の温度測定が可能に構成されていれば良い。
又、第2実施形態においても、温度センサ52を十字継手45の一の開口部内に挿嵌することで、各十字継手内部を通水する温水の温度検出を可能にする構成としたが、給水源5から供給される低温水が貯湯タンク1に向かう流路とヒートポンプ給湯機2に向かう流路とに分岐される分岐点内を通水する温水の温度検出が可能に構成されていれば、温度センサ52の設置方法は上述した方法に限定されるものではない。
〈4〉 上述の各実施形態では、熱源機としてヒートポンプ給湯機2と温水ボイラ3を用いるものとして説明したが、熱効率の異なる複数の熱源機を備えると共に、熱効率の低い一の熱源機が、熱効率の高い他の熱源機の発停状態、並びに温度センサ51、53、及び54の検出結果に基づいて、発停制御が行われる構成であれば、熱源機の種類に限定されるものではない。又、ヒートポンプ給湯機2並びに温水ボイラ3を備える場合であっても、上述のようにCO冷媒を用いたヒートポンプ給湯機や真空式ボイラに限定されるものではない。更に、ヒートポンプ給湯機2及び温水ボイラ3の発停条件として記載した設定温度値はあくまで一例であり、設定値はこの値に限られるものではない。
〈5〉 上述の各実施形態において、温水ボイラ3の制御内容を決定するに際し、まずヒートポンプ給湯機2の発停状態(1)を確認し、発停状態に応じて次の判断ステップを異ならせるものとしたが、制御内容決定のフローは特に上記の方法に限られない。例えば、いかなる場合においても、上記(1)〜(3)の3項目を全て確認し、これら3項目の状態が全て確認された時点で、各状態の組み合わせに基づいて温水ボイラ3の制御内容を決定するものとしても構わない。
〈6〉 上述の各実施形態において、継手内を通水する温水の温度を測定するために挿嵌する温度センサは、鉛直下向きに挿嵌する必要はなく、挿嵌方向に依存するものではない。又、各継手間の接続位置や継手の取り付け位置は、図面上に図示された位置に限定されるものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
本発明に係る給湯システムの第1実施形態の概略構成図 本発明の第1実施形態に係る給湯システムの一部を拡大した模式図 本発明に係る給湯システムが備える温水ボイラの制御内容を条件毎にテーブル形式で記載した制御条件テーブル 低負荷時における温水の流れを付記した本発明に係る給湯システムの第1実施形態の一部概略構成図 高負荷時における温水の流れを付記した本発明に係る給湯システムの第1実施形態の一部概略構成図 本発明に係る給湯システムの第2実施形態の概略構成図 本発明の第2実施形態に係る給湯システムの一部を拡大した模式図 本発明の第2実施形態に係る給湯システムの一部を拡大した別の模式図 温水の流れを付記した本発明に係る給湯システムの第2実施形態の一部概略構成図 本発明に係る給湯システムの別実施形態の概略構成図 従来の給湯システムの概略構成図 第1循環回路及び第2循環回路の経路図
符号の説明
1: 貯湯タンク
2: ヒートポンプ給湯機
3: 温水ボイラ
4: 給湯負荷
5: 給水源
10、10a: 本発明に係る給湯システム
11、12、14、16、18、19、22: 弁
13、23、25: 循環ポンプ
15: 逆止弁
31: 入出水口
32、34: 出水口
33: 入水口
41、42、43、44、47: 三方継手
45: 十字継手
51、52、53、54: 温度センサ
61: 連結管
100: 従来の給湯システム
C1、C2: 循環回路

Claims (9)

  1. 供給される温水を加熱する第1熱源機並びに、前記第1熱源機よりも高効率な第2熱源機と、
    温水を貯湯すると共に当該貯湯された温水を給湯負荷に供給する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンク下部に設けられた出水口から取得された温水が、前記第1熱源機を介して前記貯湯タンク上部に設けられた入水口から前記貯湯タンクに再供給される第1循環回路と、
    前記貯湯タンク下部に設けられた入出水口から取得された温水が、前記第2熱源機を介して直接、若しくは更に前記第1熱源機を介して、前記入水口から前記貯湯タンクに再供給される第2循環回路と、
    給水源から供給された低温水が、分岐点で分岐されて前記入出水口並びに前記第2熱源機に供給される給水回路と、
    前記分岐点と前記給水源の間の流路内を通水する温水の温度測定が可能な第1温度センサと、
    前記分岐点と前記入出水口の間の流路内を通水する温水の温度測定が可能な第2温度センサと、を備えてなり、
    前記第2循環回路上において、前記入出水口と前記第2熱源機の間に前記分岐点が介在することで、前記第2循環回路と前記給水回路が一部の経路を共通に構成し、
    前記第1熱源機が、
    前記第2熱源機が運転中である場合において、前記第2温度センサの検出温度が、前記第1温度センサの検出温度よりも所定の誤差範囲を超えて高温である場合には停止する制御が行われることを特徴とする給湯システム。
  2. 前記貯湯タンク内における前記入出水口よりも前記入水口に近い領域内に貯湯された温水の温度測定が可能な第3温度センサを備えており、
    前記第1熱源機が、
    前記第2熱源機が運転中であって、且つ、前記第1温度センサと前記第2温度センサの検出温度が前記誤差範囲内で同一である場合において、前記第3温度センサの検出温度が第1温度以下である場合には稼働し、前記第1温度より高い第2温度以上である場合には停止する制御が行われることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
  3. 前記第1熱源機が、
    前記第2熱源機が停止中であって、前記第3温度センサで検出された温度が第3温度以下であれば稼働し、前記第3温度より高い前記第4温度以上であれば停止する制御が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。
  4. 前記分岐点を通水する温水の温度測定が可能な第4温度センサを備えており、
    前記第2熱源機が、前記第4温度センサによって検出された温度に応じて発停制御が行われる構成であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の給湯システム。
  5. 前記第2温度センサで測定される対象となる温水の通水路が、前記第4温度センサで測定される対象となる温水の通水路よりも高さ位置が高いことを特徴とする請求項4に記載の給湯システム。
  6. 前記貯湯タンク内における前記入水口よりも前記入出水口に近い領域内に貯湯された温水の温度測定が可能な第4温度センサを備えており、
    前記第2熱源機が、前記第4温度センサによって検出された温度に応じて発停制御が行われる構成であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の給湯システム。
  7. 前記第2熱源機が、前記第4温度センサによる検出温度が第5温度以下であれば稼働し、前記第5温度より高い第6温度以上であれば停止する制御が行われることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の給湯システム。
  8. 前記給水回路上において、異なる3方向に第1〜第3開口部を有してなる第1継手が前記分岐点と前記給水源の間に、異なる3方向に第4〜第6開口部を有してなる第2継手が前記分岐点と前記入出水口の間に、夫々介装されており、
    前記第1継手が、前記第2開口部に前記給水源を、前記第3開口部に前記分岐点を夫々接続し、
    前記第2継手が、前記第5開口部に前記分岐点を、前記第6開口部に前記入出水口を夫々接続し、
    前記第1温度センサが、前記第1開口部から前記第1継手内部の流路に到達するように挿嵌されることで前記第1継手内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成され、
    前記第2温度センサが、前記第4開口部から前記第2継手内部の流路に到達するように挿嵌されることで前記第2継手内部の流路を通水する温水の温度測定が可能に構成されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の給水システム。
  9. 前記第2熱源機が、ヒートポンプ回路の凝縮器からの凝縮熱と熱交換することで前記低温水を加熱して温水を生成するヒートポンプ給湯機であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の給湯システム。
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