JP5192648B2 - 成形加工性の優れた硬質α黄銅及びその製造方法 - Google Patents

成形加工性の優れた硬質α黄銅及びその製造方法 Download PDF

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本件発明は、成形加工性に優れている硬質α黄銅材及びその製造方法に関する。
従来から、JIS規格に定める黄銅品種であるC2600,C2680及びC2720のEH材は機械強度に優れ導電率も比較的良好であって安価であることから、端子やコネクターなどの電子部品や、機構部品に多用されてきた。ところが、部品に厳しい曲げ加工を施したり、厚い素材を圧着加工したり軽い張り出し加工をするなどのやや厳しい加工を要求された場合には成形加工性が不足してH材を使用するなど質別をより軟らかい方向にしなければならないことが起こりうる。このように質別を軟らかくすることは材料の肉厚を増すことなどにつながり、重量増と同時にコスト面での不利が発生してしまうのである。
JIS C2600,C2680及びC2720のEH材は、一般的には半連続鋳造、熱間圧延、面削の実施後、結晶粒径を抑えた連続焼鈍、そして25%〜40%の調質圧延工程を経て製造される。そして本件発明に係る硬質α黄銅の場合も同じではあるが、圧延と熱処理の間又は後には、脱脂、酸洗、矯正、切断、めっき等の工程が付加されうるのである。
上記C2600,C2680及びC2720をEH材の引張り強さに作り込む方法としては、上記のように加工硬化を利用する方法がよく知られているが、結晶粒を細かくして強度を上げ、これを更にEH材よりも低めの冷間圧延を加えることによって引張り強さを調整できることが特許文献1及び非特許文献1から類推できる。
特許文献1には結晶粒が微細な黄銅を製造する方法が開示されている。しかし、大きな加工率による冷間圧延加工を多段階で繰り返し行う必要がある。従って、肉厚の薄い製品を得ようとする場合に対しては応用可能な技術である。一方、比較的厚い製品を得ようとする場合には、強加工条件での冷間圧延加工プロセスを複数回にわたって適用することが困難な場合が起こりうるのである。さらに、最終再結晶焼鈍の焼鈍条件については記載はあるものの、その前の再結晶焼鈍温度は例示されているのみである。
また、成形加工性に関しては本件発明の範囲よりも大きな機械強度とした場合には180°曲げが可能であることが開示されている。しかし曲げ加工性の評価では良好な曲げ特性を得るのに有利な曲げ方向(Good Way)を採用しており、厳しい曲げ加工性条件(Bad Way)での良好な曲げ加工性を示すものとはなっていない。
特開2004−292875号公報 銅と銅合金41、1、29
上述したように、JIS C2600,C2680及びC2720のEH材と同等レベルの機械強度を有していながらH材並みのやや難しい加工に耐えられる、成形加工性に富んだ材料は黄銅系合金では得られていなかった。従って、厚物にも薄物にも対応できる微細結晶粒黄銅合金と、工業的に低コストで対応できる製造方法が待望されていたのである。
また、本件発明の開発過程ではα黄銅の結晶粒を微細化した上で更に加工を加えると応力緩和性が悪くなることが判明したのである。応力緩和性が悪くなると言うことは端子やコネクターなどの分野で使用される場合、経時的に相手材への保持力が低下してしまうことと同義であることが明らかとなっており、応力緩和率はあるレベルを維持しなければならないのである。
そこで、本件発明はα黄銅材のEH級あるいはそれを上回るリン青銅の硬質材レベルの強度と加工性とを持ち、しかも応力緩和特性が一定レベルを維持した硬質α黄銅材と、その特徴である微細結晶粒組織を品質バラツキが小さく作り込み可能で工業的な生産性に優れた製造方法を提供する。
本件発明は、銅62.0質量%〜71.5質量%、不可避不純物以外の残部が亜鉛からなるα黄銅であって、引張り強さが530MPa〜620MPa、0.2%耐力(σ0.2)が450MPa〜540MPa、120℃100時間後の応力緩和率が52%以下であり、且つエリクセン値(Er:mm)と0.2%耐力(σ0.2:MPa)との関係が以下の数2を満たすことを特徴とする硬質α黄銅を提供する。
Figure 0005192648
そして、前記硬質α黄銅のエリクセン値が8.5mm以上であることが好ましい。
本件発明は、前記硬質α黄銅の製造方法であって、結晶粒径が1μm〜2μmである出発板材を用い、この出発板材に5%〜18%の加工率で冷間圧延加工を加えて冷間圧延黄銅板とし、この冷間圧延黄銅板を、0.2%耐力(σ 0.2 )の焼鈍温度依存性からみて、0.2%耐力(σ 0.2 )が当該冷間圧延黄銅板の低温焼鈍温度を変化させた際に、最も高くなる最高値を示す焼鈍温度以上の温度で低温焼鈍し、0.2%耐力(σ0.2)を当該最高値の90%以上に調整したことを特徴とする硬質α黄銅の製造方法を提供する。
本件発明により、JIS C2600,C2680及びC2720のEH材と同等の組成と機械強度を有していながら成形加工性能に富み、しかも応力緩和率が一定限度以下であって需要者の要求を満足できる硬質α黄銅の工業的規模での安定的生産が可能となった。
<本件発明に係る硬質α黄銅>
本件発明に係る硬質α黄銅は、銅62.0質量%〜71.5質量%、不可避不純物以外の残部が亜鉛からなるα黄銅であって、引張り強さが530MPa〜620MPa、0.2%耐力(σ0.2)が450MPa〜540MPa、120℃100時間後の応力緩和率が52%以下であり、且つエリクセン値(Er:mm)と0.2%耐力(σ0.2:MPa)との関係が以下の数3を満たすことを特徴とする硬質α黄銅である。
Figure 0005192648
前記硬質α黄銅の組成である、銅62.0質量%〜71.5質量%、不可避不純物以外の残部が亜鉛からなるα黄銅はJIS C2600,C2680及びC2720の組成範囲に入っている。ここで、本件発明に係る製造方法から得られる硬質α黄銅の組成を上述のように定めた理由を説明する。銅−亜鉛合金において、銅成分量が71.5質量%を超えると強度レベルが低くなり、無理に強度を上げると曲げ加工性が悪くなる傾向が顕著となるのである。また、銅成分量が62質量%未満の場合には、β層が出現してしまい、α層の単相組織とすることができない。更に、不可避不純物に関しては、伸銅品一般に言えるようにコストを下げるために使用するスクラップ原料に対する配慮が必要である。不純物としてのFeは、再結晶温度に影響を与えるので0.01質量%以下であることが好ましい。また、不純物としてのSnは、特に悪影響は与えないが、0.1質量%を超えると強度や耐食性に好影響を与えるので、別合金として扱うべきものである。不純物としてのSは熱間加工性や最終製品の展伸、切削などの加工性に悪影響を与えるので0.003質量%以下に抑えることが好ましい。
そして、上記引張り強さ範囲530MPa〜620MPaは、前記黄銅材のEH材に対する規格範囲である520MPa〜620MPaと同等である。この下限値である530MPaを下回ると機械強度が低いものとなってしまい、620MPaを超えると成形加工性が悪くなってしまうのである。そして、0.2%耐力(σ)を450MPa〜540MPaとしているが、450MPa未満では機械強度不足となってしまい、540MPaを超えると結晶粒を微細化してもH材並みの成形加工性が得られない場合がでてしまうのである。
また、本件発明に係る硬質α黄銅の機械強度に関してであるが、JIS規格が採用しているように一般的には機械強度は引張り強さと伸び率で示されているのが通常である。しかし、引張り強さとは引張り試験において破断に至るまでに観察されたS−Sカーブにおける最大荷重から計算された値であって、最大荷重値の得られた時点では引張り加工が加わることによる断面形状及び物性の変化要因が重なってしまっており、測定試片とは異なる材質のものに対するデータとなってしまっているのである。そこで、本件発明では目前の材料そのものの特性を比較評価できる強度の指標として、主に設計の基準として利用されている0.2%耐力(σ)を強度の指標として採用したのである。また、銅合金の加工性を評価する一般的な指標としては直角曲げでクラックの発生しない最小曲げ半径(MBR)を用いることが多い。ところが、結晶を微細化したα黄銅においては0.2%耐力(σ)がおよそ540MPaを切る付近で直角曲げの最小曲げ半径はゼロとなってしまい、広い範囲の強度をカバーしようとする成形加工性の指標としては用い得なくなってしまうのである。
そこで、成形加工性の指標としては一般的にエリクセン値(Er)が良く用いられていることから、本件発明では更にエリクセン値(Er)を追加指標として用いることにしたのである。この選択の適切性を明らかにするために本件発明者は、まずJIS規格に示すC2600材及びC2680材から1/2H、H、EH材のサンプル17種を集め、0.2%耐力(σ:MPa)とエリクセン値(Er:mm)を測定してみた。そして、両者の相関を調べてみると以下の数4に示す範囲に入ったのである。
Figure 0005192648
この関係式を得るのに用いた上記サンプルの内H材のエリクセン値は7.2mm〜8.4mmであり、0.2%耐力(σ)は368MPa〜504MPaであった。
そして、本件発明に係る製造方法から得られた硬質α黄銅の0.2%耐力(σ)は450MPa〜540MPaであって一般材よりも約30MPaは高く、エリクセン値(Er)はこの範囲全域にわたって以下の数5を満足できるものであり、一般材と比較した場合には少なくとも0.5mm以上エリクセン値(Er)が優れているのである。
Figure 0005192648
そして、応力緩和率に関しては日本伸銅協会で定めた試験法(片持ち梁を利用し、曲げによる永久たわみ変位を測定)で評価した。温度は120℃を選択し、処理時間は前記試験法では1000時間とされているが、100時間でその違いは評価できるので100時間とした。また、試験片の評価時期は、万一の経時変化の影響を避けるために製造後2週間以内に実施した。この方法で端子コネクター材として流通しているC2600材及びC2680材について応力緩和率を調べると、40%、40%、36%、40%、48%〜52%というデータが得られ、質別と結晶粒度によりまちまちであることが判明した。そこで本件発明者は、これら全てが実用に供されている事実と需要者は応力緩和率の劣化を嫌っていることを勘案し、本件発明に係る硬質α黄銅に要求される応力緩和率の閾値を52%に設定したのである。
さらに、前記硬質α黄銅のエリクセン値が8.5mm以上であることが好ましいとしている。前述のように一般黄銅材のH材のエリクセン値を評価した結果は7.2mm〜8.4mmであった。一方、本件発明に係る硬化α黄銅は結晶の微細化がなされているものであって、実施例で明らかなようにエリクセン値は8.5mmをこえ、本件発明者が既に見いだしている、微細結晶を持つ黄銅は微細結晶特有の特徴として優れた成形加工性を有していることを裏付けるものともなっているのである。
上述したように本件発明に係る硬質α黄銅は、再結晶焼鈍仕上がり材の結晶粒を1μm〜2μmに仕上げることによって高い機械強度と成形性の両立が達成されたものであり、最終冷間圧延加工後に低温焼鈍を施すことによって応力緩和性を確保しているものである。そして、低温焼鈍材の組織形態は透過型電子顕微鏡で観察すると回復組織であるセル組織が発達している。なお、本件発明に係る硬質α黄銅は結晶粒が微細なため疲労強度が高く、応力腐食割れ性にも優れ、曲げたわみ係数が小さいという特徴をも併せ持っている。
<本件発明に係る硬質α黄銅の製造方法>
この製造方法を説明する前に、ここで言う焼鈍温度、焼鈍時間について明記しておくことにする。バッチ焼鈍の場合は、実体温度が測定可能で、温度は実体温度、時間はその温度±5℃での保持時間とする。これに対し、連続焼鈍の場合は実体温度の測定が困難で、所定の温度とした加熱炉中に通板すると徐々に板温は上昇し、加熱炉出口で最高温度となる。出口温度は、本件発明の温度条件で言う加熱炉温度より数度から数十度低くなると考えられる。従って、連続焼鈍炉における焼鈍条件は加熱炉の温度は目安と出来るものの、ライン速度によって決まる数秒から数十秒の加熱時間を含め経験的に求め、定めるものである。
本件発明は前記硬質α黄銅の製造方法であって、出発板材に5%〜18%の加工率で最終冷間圧延加工を加えて冷間圧延黄銅板とし、この冷間圧延黄銅板を低温焼鈍して0.2%耐力(σ0.2)を、当該冷間圧延黄銅板の低温焼鈍温度を変化させた際に、最も高くなる最高値の90%以上に調整したことを特徴とする硬質α黄銅の製造方法である。
<本件発明に係る最終冷間圧延加工>
まず再結晶焼鈍工程から得られた出発板材、加工硬化させるため冷間圧延加工を加えることになる。このときの加工率は5%未満とした場合には強度が低く、また応力緩和率の低温焼鈍による回復効果が十分に得られず、18%以上とした場合には強度レベルが高くなりすぎてH材相当の加工性が実現できなくなってしまうのである。
<本件発明に係る低温焼鈍>
そして、前記低温焼鈍は、0.2%耐力(σ)の焼鈍温度依存性からみて、0.2%耐力(σ)が最高値を示す焼鈍温度以上の温度で行う。ここで最終的に行う低温焼鈍は、単に低い温度で行う歪み取り焼鈍をさすものではなく、いわゆる低温焼鈍硬化現象を伴う処理を言っているのである。このように最終冷間圧延後の材料を低温焼鈍する場合、低温焼鈍温度を上げてゆくと0.2%耐力(σ)は緩いピークを作って上昇し、さらには次第に減少して次に急激に減少する。これは低温焼鈍硬化現象として知られていることである。
一方、本件発明者は図1にみられるように、加工仕上がりの55%近辺という応力緩和率が、0.2%耐力(σ)のピークをもたらす近辺の温度から減少して一定レベルに落ち着いてゆくことを見いだした。従って、52%以下という閾値の応力緩和率を得る条件として、低温焼鈍温度は0.2%耐力(σ)がピークを示す焼鈍温度又はそれより高い温度である必要があるのである。そして、本件発明で低温焼鈍条件を0.2%耐力(σ)の最高値の90%超を示す温度に制限したのは製品の機械強度低下を抑えるためである。
ここで、本件発明で言っている0.2%耐力(σ)のピークのとらえ方を解説しておく。0.2%耐力(σ)のピークが現われる位置は直前の冷間圧延加工における加工率が低い場合には温度で表現しても時間で表現しても狭いので1点でとらえることができるが、加工率が高い場合には広く、最高値を示す1点としてとらえるより、0.2%耐力(σ)の最高値の99%以上を示している位置範囲をピークとしてとらえる方が実際的である。
<本件発明に係る出発素材の製造方法>
前記出発板材が、結晶粒径が1μm〜2μm、ビッカース硬度が130〜170であることが好ましく、またこの出発板材が、ビッカース硬度が130〜170に調整された素材板を加工率80%〜95%で冷間圧延加工した後ビッカース硬度130〜170に再結晶焼鈍したものであることも好ましいとしている。そして、このビッカース硬度が130〜170に調整された素材板は、熱間圧延した板材を加工率80%〜95%で冷間圧延加工した後再結晶焼鈍したものであることも好ましいのである。
本件発明に係る硬質α黄銅の場合、再結晶焼鈍上がりのビッカース硬度が1回目の焼鈍で130〜170そして更に冷間圧延加工された以降の再結晶焼鈍により130〜170、好ましくは135〜160となるように条件設定することが推奨され、これにより結晶粒径1μm〜2μmという微細粒が得られるのである。ビッカース硬度(Hv)が130未満であれば再結晶粒径が大きくなり、目標としている機械強度や加工性が得られなくなってしまう。そして170を超えると再結晶組織より冷間圧延加工組織の残存比率が高くなり、特性にばらつきがでてしまうのである。
<本件発明に係る再結晶焼鈍>
上記で再結晶焼鈍工程に供される素材板は、前述の如く銅62.0質量%〜71.5質量%、不可避不純物以外の残部が亜鉛からなるα黄銅を連続鋳造、熱間圧延の後冷間圧延と焼鈍とを繰り返すことで得られるものであるが、この繰り返しにおける最終再結晶焼鈍前に入る冷間圧延加工前の焼鈍による結晶粒径調整が重要なのである。この時点で得られている結晶粒径が細かいほど次の冷間圧延加工工程における加工率を低く設定することができ、最終再結晶焼鈍で均一な微細結晶粒が得られやすいのである。この意味で、最終再結晶焼鈍前の焼鈍では結晶粒径を1μm〜2μmにしておくことが好ましく、この場合には冷間圧延加工の加工率を20%〜95%とできるのである。但し、より均一な粒径分布を得るためには加工率が40%以上であることが好ましく、60%以上とすることが更に好ましい。そして、冷間圧延加工における加工率を80%以上とできる場合にはその前の結晶粒径は問わなくても良いのである。これは、黄銅の冷間圧延加工においては加工率を80%以上、好ましくは83%以上とした場合には剪断帯が発達し、焼鈍条件を抑制することにより微細結晶粒が得やすいのである。なお、冷間圧延加工における加工率の上限は95%を上限とすることが好ましい。この加工率を超えて冷間圧延加工を加えると端部に割れが生じ、品質確保に問題が生じることがあるのである。
さらに、前述の再結晶焼鈍工程及び低温焼鈍工程が連続工程で実施されることが更に好ましい。 バッチ方式では、炉内における位置に起因して実体温度の偏在が起こりやすくなる傾向があり、低温焼鈍の際には巻き癖がつきやすいという問題もあるのである。また、再結晶焼鈍においてもバッチ方式の加熱よりも連続方式の加熱の方が、それ以降の最終冷間加工及び低温焼鈍を経て得られる硬質α黄銅の耐力と成形加工性のバランスが良くなるのである。したがって、再結晶焼鈍工程を工業的に実施する場合には一般的にコストの安い連続焼鈍法を採用することによってコスト低減の他品質安定性の確保を容易としているのである。
そして、連続焼鈍法を採用した場合には製造条件となる炉温及び加熱時間は板厚と炉自身の性能によって選択されるものになり、例えば再結晶焼鈍の場合、短時間(秒単位)の加熱となってしまうので温度設定は370℃〜650℃程度とすることが推奨される。また、低温焼鈍の場合には、250℃〜450℃程度とすることが推奨されるのである。
以上のように本件発明に係る硬質α黄銅とその製造方法は、最終再結晶焼鈍の際に細かく均質な結晶粒を得てそれを所望の強度が出るよう冷間圧延加工を加え、そしてこれを更に低温焼鈍を行うことによって一部の組織を歪の取れた所望の結晶組織とすることに特徴を有している。なお、細かく均質な結晶粒を得るためには、最終再結晶焼鈍前の冷間加工率及びその前の焼鈍工程における結晶粒径についても一定のレベルでの制御が必要なのである。
以下、実施例を通じて本件発明をより詳細に説明するが、以下の実施例及び比較例で用いた黄銅インゴットの成分組成を表1に示しておくこととする。これらインゴット1〜インゴット3は、製造現場鋳造工場で半連続鋳造法で得た試料である。
Figure 0005192648
この表1から分かるように、インゴット1〜インゴット3は、いずれも銅65.2質量%〜70.0質量%であり、残部亜鉛及び不可避不純物とからなるという本件発明の条件を満たしている。更に、上記で得られたインゴットを実施例1〜実施例3では熱間圧延して面削後84%の加工率で冷間圧延加工を加え、厚さ1.8mmの素材板を得た。出発板材の製造は、最終冷間圧延加工前の焼鈍までを全て現場の生産ラインで行った。以下の実施例では、上記表1に示したインゴットのいずれかを用い、以下の(a)〜(e)のステップで構成される製造条件を適用して黄銅条としている。
(a)前の焼鈍(熱間圧延とその後の面削とを含む)
(b)冷間圧延
(c)再結晶焼鈍
(d)最終冷間圧延
(e)低温焼鈍
そして実施例1〜実施例4に適用した加工条件を比較例1と併せて表2に示す。表2中、前の焼鈍(a:最終冷間圧延加工前の再結晶焼鈍より一つ前の焼鈍)及び最終加工前の焼鈍(c:最終冷間圧延前の再結晶焼鈍)は前述のように現場生産ラインにおける連続焼鈍である。したがって、ここに記載の温度は炉の設定温度である。これら実施例1〜実施例3における最終冷間圧延前の再結晶焼鈍後の結晶粒径は全て1μm(但し、実施例2の場合には未再結晶粒が残存している)レベルであり、その前の再結晶焼鈍後の結晶粒径は全て2μmレベルであった。
Figure 0005192648
<実施例1>
実施例1では上記から得られた出発板材を、実験用冷間圧延機を用いて加工率10%で冷間圧延加工(d)を加えて冷間圧延黄銅板を得、更にこれを塩浴で低温焼鈍(e)して硬質α黄銅材を得た。塩浴での焼鈍時間は連続焼鈍に似せるために2秒と短時間に設定し、塩浴の温度を実施例1−1,1−2,1−3をそれぞれ280℃、340℃、420℃とした。得られた硬質α黄銅材の物性を評価した結果、引張り強さが532MPa〜549MPa、0.2%耐力(σ)が458MPa〜504MPa、応力緩和率が47%〜51%、エリクセン値が8.6mm〜8.8mmであった。詳細を実施例2〜実施例4及び比較例と併せて表3に示す。
Figure 0005192648
<実施例2及び実施例3>
そして、実施例2及び実施例3ではそれぞれインゴット2及びインゴット3を用い、熱間圧延から最終低温焼鈍までの全てを現場製造ラインを使用して実施した。まず、熱間圧延後面削した板材に加工率84%で冷間圧延加工を加えて1.8mmの素材板とし、表2に示す前の焼鈍(a)を実施した後再び冷間圧延加工(b)を加え、最終再結晶焼鈍(c)を施して出発板材を得た。そして、これらに最終冷間圧延加工(d)を加えて冷間圧延黄銅板を得、更にこれを0.2%耐力(σ)のピークが得られる温度よりもやや焼鈍過剰となる条件設定で低温焼鈍(e)して硬質α黄銅材を得た。得られた硬質α黄銅材の物性を評価した結果、それぞれの引張り強さが598MPa、543MPa、0.2%耐力(σ)が537MPa、486MPa、応力緩和率が49%、51%、エリクセン値(Er)が8.5mm、9.6mmであって、機械強度がEH材の規格範囲に入っているにもかかわらずエリクセン値(Er)がH材よりも優れたものとなっている。詳細には表3に示す。
<実施例4>
本実施例ではインゴット2を用い、熱間圧延した後に面削(a)し、11.5mm厚みの原料素材を得た。そして、加工率と焼鈍温度を変化させた予察試験を実施して焼鈍軟化曲線を得た。なお、用いた塩浴での焼鈍時間は10秒である。ここで得られた焼鈍軟化曲線を図2に示す。図2によれば、加工率70%のものを除き再結晶焼鈍材のビッカース硬度(Hv)は約150と安定している。そして、結晶粒の光学顕微鏡観察によれば加工率70%のものでは430℃まで加工組織が残り、450℃では最大10μmの結晶粒と3μm以下の結晶粒が混在している結晶組織となっていた。一方、その他の加工率で冷間圧延加工を加えたものを430℃で焼鈍した場合にはおよそ2μmの結晶粒径であった。
上記予察試験の結果に基づき原料素材に実験用冷間圧延機を用いて加工率95%で冷間圧延加工(b)を加えた板材を430℃の塩浴で10秒間再結晶焼鈍(c)して出発板材を得た。その後、更に厚さ0.52mmまで加工率10%で冷間圧延加工(d)を加えて冷間圧延黄銅板とし、320℃の塩浴で2秒間低温焼鈍(e)して硬質α黄銅材を得た。得られた硬質α黄銅材の引張り強さは557MPa、0.2%耐力(σ)は499MPa、エリクセン値(Er)は8.8mm,応力緩和率は49%と再結晶焼鈍を1回しか実施していないにもかかわらず優れた物性が得られた。詳細には表3に示す。
<比較例>
比較例1ではそれぞれ途中工程までは実施例1と同一条件で加工し、条件を表2に示すように低温焼鈍条件(e)のみを変えたものとして実施した。得られたα黄銅材の物性を評価した結果引張り強さが547MPa〜559MPa、0.2%耐力(σ)が495MPa〜499MPa、エリクセン値(Er)が8.5mm〜9.1mmであったが、応力緩和率は53%〜54%であった。詳細を実施例1〜実施例4と併せて表3に示す。
<参考例>
市販のC2680材(Cu/Zn:65%/35%)及びC2600材(Cu/Zn:70%/30%)のH材及びC2680材(Cu/Zn:65%/35%)のEH材の物性を参考例として評価した。これら参考例の黄銅材は再結晶焼鈍後加工率25%、17%、35%で最終冷間圧延加工を加えており、低温焼鈍は施していないものである。評価結果は引張り強さが486MPa〜567MPa、0.2%耐力(σ)が437MPa〜524MPa、応力緩和率が36%〜52%、エリクセン値(Er)が6.9mm〜8.3mmであった。詳細は表4に示す。そして、参考例1では機械強度、エリクセン値(Er)の絶対値と以下の数6が、そして参考例2では参考例1に比べて結晶粒が小さく仕上がっているためにエリクセン値(Er)が相対的に高いものの8.5mmには到達しておらず、また以下の数6も満足できておらず応力緩和率も大きめである。そして、参考例3では機械強度と応力緩和値は満足できているがエリクセン値(Er)の絶対値と以下の数6を満足できていない。
Figure 0005192648
Figure 0005192648
<低温焼鈍温度の影響>
上記実施例1及び比較例1で得られたデータを用い、低温焼鈍温度が硬質α黄銅の特性、0.2%耐力(σ)及び応力緩和率に与える影響を図1に示した。この図からは、0.2%耐力(σ)については低温焼鈍温度が高くなるほど低下する傾向が認められ、低温焼鈍温度を低めに設定しても所期の強度は得られることが見て取れる。しかしながら、低温焼鈍温度を20℃低下させただけで応力緩和率の上昇がみられている。従って、本件特許に係る機械強度が大きく且つ応力緩和率劣化の小さな硬化α黄銅は、最終冷間圧延加工の加工率と低温焼鈍温度の最適選択による結晶粒微細化により得られることが明確である。
本件発明により、JIS C2600,C2680及びC2720のEH材の組成範囲と同レベルの機械強度を備えながら比較的厳しい成形加工に耐えうる、成形加工性に富んだ材料が提供される。この素材は電子部品や機構部品用途に好適であり、且つ安価な材料として供給が可能なものである。即ち、従来はH材でしか加工ができていなかった用途にEH材並の機械強度を有する本件発明に係る硬化α黄銅材を用いることで部品の肉薄化が達成できるため、軽量化と同時にコストダウンも達成できるのである。
また、本件発明に係る硬質α黄銅の製造方法は、従来から使用している圧延製造ラインに何ら改造を加えることなく、そのまま使用することが可能であり、特段の設備投資を要さないため、工業的生産規模での高品質の硬質α黄銅の効率の良い生産を可能としている。
実施例1及び比較例1より得られた低温焼鈍温度と0.2%耐力(σ)及び応力緩和率との関係を示している図である。 実施例4においてインゴット2を用い、熱間圧延した後に面削(a)して得た、11.5mm厚みの原料素材に対して加工率と焼鈍温度を変化させた予察試験を実施して得られた焼鈍軟化曲線である。

Claims (3)

  1. 銅62.0質量%〜71.5質量%、不可避不純物以外の残部が亜鉛からなるα黄銅であって、引張り強さが530MPa〜620MPa、0.2%耐力(σ0.2)が450MPa〜540MPa、120℃100時間後の応力緩和率が52%以下であり、且つエリクセン値(Er:mm)と0.2%耐力(σ0.2:MPa)との関係が以下の数1を満たすことを特徴とする硬質α黄銅。
    Figure 0005192648
  2. 前記硬質α黄銅のエリクセン値(Er)が8.5mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬質α黄銅。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の硬質α黄銅の製造方法であって、
    結晶粒径が1μm〜2μmである出発板材を用い、
    この出発板材に5%〜18%の加工率で冷間圧延加工を加えて冷間圧延黄銅板とし、
    この冷間圧延黄銅板を、0.2%耐力(σ 0.2 )の焼鈍温度依存性からみて、0.2%耐力(σ 0.2 )が当該冷間圧延黄銅板の低温焼鈍温度を変化させた際に、最も高くなる最高値を示す焼鈍温度以上の温度で低温焼鈍し、
    0.2%耐力(σ0.2)を当該最高値の90%以上に調整したことを特徴とする硬質α黄銅の製造方法。
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