JP5190845B2 - 一斉開放弁 - Google Patents

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本発明は、消火設備における消火液を供給する配管中に設置される減圧開型の一斉開放弁に関する。
泡消火設備で用いられる一斉開放弁として、弁体により区画形成された弁箱内部の圧力室(制御室)の圧力が低下したときに上記弁体が開動して一次側室(一次室)と二次側室(二次室)とが連通する減圧開型のものがある。
このような減圧開型の一斉開放弁においては、一般に、一次側室と圧力室との間に連通孔を設け、この連通孔に、一次側室から圧力室側への消火液の通流を許容する逆止弁が設置されている。
しかしながら、上記の逆止弁のみであると、感知ラインの周辺温度が上昇すると、感知ラインに充填されている消火液が膨張し、その圧力が感知ラインの配管や機器類の設計圧力を超え、これらに損傷を与える危険がある。
このような危険を回避することを目的として、一斉開放弁における一次側室と圧力室との間の連通孔に、一次側室から圧力室側への消火液の通流を許容する第1逆止弁に加え、圧力室側から一次室側への消火液の通流を許容する第2逆止弁を設置し、第1逆止弁と第2逆止弁の作動圧力を適宜設定することによって、圧力室側の圧力の上昇を緩和するという技術が提案されている。
図5はこのような機能を有する一斉開放弁の一例であって、特許文献1の図1に記載されたものである。
特許文献1に記載された一斉開放弁Aは、弁箱本体121とカバー体122とにより弁箱123が構成され、弁箱123の内部に弁体124が内蔵され、さらに弁箱123の内部に、弁体124の上下動により開閉される連通孔125を挾んで一次側室126と二次側室127が配置されている。そして、弁箱123の内部に、弁体124によって一次側室126および二次側室127に対して区画形成された圧力室128が配置されている。
また、弁体124の2箇所に一次側室126と圧力室128とを連通する通孔129a,129bが形成され、片側の通孔129aに第1チャッキ弁130が、他側の通孔129bに第2チャッキ弁131がそれぞれ介在されている。
第1チャッキ弁130は、図6に示すように、弁体124に形成された凹所132に配置されたボール状の弁体133と、そのボール状の弁体133に対応して上記凹所132の段付部132aに配置されたOリングでなる弁座135と、ボール状の弁体133の上に配置されたばね136と、上記凹所132に螺着されたばね押え137とを備えている。
上記のように構成された第1チャッキ弁130においては、弁体124が連通孔125を閉じているときに、一次側室126の圧力が圧力室128の圧力よりも一定値以上高くなると、圧力差に応じた力で弁体133がばね136の弾発付勢力に抗して上方に押され、それによって弁体133が上昇して弁座135から離れると共に弁体133と凹所132の壁面との間に隙間が形成される。このため、一次側室126の消火液が通孔129aと上記隙間とばね押え137の孔137aを経て圧力室128側に送り込まれる。逆に、圧力室128の圧力が一次側室126の圧力と同等かそれより高いときには、ばね136の弾発付勢力で弁体133が弁座135に押し付けられて通孔129aを閉じた状態になる。
この第1チャッキ弁130は、感知ライン200を充液加圧して一斉開放弁Aをセットするときに開動作状態になるほか、セット後において感知ライン200に少量の圧力漏れが発生した場合に自動的に開動作して、一次側室126から圧力室128を経て感知ライン200に消火液の補填を行うことに役立つ。
第2チャッキ弁131の構造も、第1チャッキ弁130の構造と基本的に同様の構造であって、弁体124に形成された凹所に配置されたボール状の弁体と、そのボール状の弁体と上記凹所の段付部との間に介在されたばねと、上記凹所に螺着されたばね押えと、ばね押えの内部に上記弁体に対応して配置されたOリングでなる弁座とを備えてなるものである。
この第2チャッキ弁131は、一斉開放弁Aがセットされた後において、感知ライン200の圧力が一定値以上に上昇したときに開動作状態になって、感知ライン200を充液加圧している消火液を圧力室128から一次側室126に逃がすことに役立つものである。
特許第2532023号公報
特許文献1に開示された第1チャッキ弁130、及び第2チャッキ弁131は、その基本構造として、ボール状の弁体を用い、該ボール状の弁体を凹所に設置し、該ボール状の弁体の下側もしくは上側にOリングからなる弁座を設け、該弁座の反対側に配置したばねによってボール状の弁体を付勢するというものである。
このような構造の場合、以下のような問題点がある。
減圧開型の一斉開放弁においては、圧力室128の圧力が一次側室126の圧力に対して所定値よりも低くなったときに弁体124が開放するという機構である。このような機構の一斉開放弁において、特許文献1に記載のように、圧力室128の圧力が所定値を超えたときに圧力室128の消火液を一次側室126に通流させて圧力室128の圧力を低下させるというものである場合、その作動が安定して信頼性高く行われないと、弁体124が本来開放すべきでないときに開放してしまうという問題がある。つまり、この種のものにおいては、第1チャッキ弁130、第2チャッキ弁131の動作が圧力変動に対して追従性がよいと共にその作動に安定性と信頼性が要求され、それが一斉開放弁全体としての信頼性に大きく影響する。
ところが、特許文献1に記載のものにおいては、以下に示すように、その安定性と信頼性が十分とは言えない。
(a)第1チャッキ弁130及び第2チャッキ弁131を構成する弁体133がボール状であることから、弁座135との接触が線接触となり、接触面積が小さいので、消火液が漏れる可能性がある。消火液が漏れると、動作が安定せず、かつ追従性が悪くなる。
(b)ボール状の弁体133を支持するばね136は上下方向に伸縮することになるが、特にガイドが設けられているわけではないので、伸縮動作中において、横方向にずれることも考えられ、ばね136が横方向にずれると、ボール状の弁体133に対して鉛直方向に均等な力を作用させることができず、作動の安定性を欠き、消火液の漏れの原因ともなる。この場合も、結局、動作が安定せず、かつ追従性が悪くなる。
(c)ボール状の弁体133とばねの接触部は常時フリーな状態で接触しており、両者間の接触の繰り返しにより、ボール状の弁体133に傷が付くことも考えられる。傷が付くことで、漏れの原因となり、動作の安定性と信頼性に欠ける。
(d)ボール状の弁体133はばねと弁座135との間にフリーな状態で配置されているため、振動などによって容易に移動し易く、それ故、信頼性に欠ける。
以上のように、特許文献1に記載されたものは、第1チャッキ弁130及び第2チャッキ弁131の構造に起因して、動作の安定性と信頼性に欠けるという問題点がある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、感知ラインの圧力を適性圧力に調整できると共に、圧力変動に対する追従性がよく、動作の安定性と信頼性に優れた一斉開放弁を得ることを目的としている。
(1)本発明に係る一斉開放弁は、一次室と、二次室と、感知ヘッドが設けられる感知用配管に連通する制御室と、該制御室に移動可能に設けられて前記一次室と前記二次室を仕切る弁体とを有し、前記制御室の圧力が前記一次室の圧力に対して所定値よりも低くなったときに前記弁体が開放する減圧開型の一斉開放弁であって、
該弁体に設けられて前記制御室と前記一次室との間を連通させる第1連通孔及び第2連通孔と、該第1連通孔に設けられて前記一次室の圧力が前記制御室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動する導圧逆止弁と、前記第2連通孔に設けられ前記制御室の圧力が前記一次室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する排圧逆止弁とを備え
前記導圧逆止弁と前記排圧逆止弁は、弁座に対して面接触する着座部と、前記導圧逆止弁及び排圧逆止弁の弁体の動作方向の両側に設けられた軸部とを有し、
前記導圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第1連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記排圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第2連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記第1連通孔と前記制御室は、前記導圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔及び、該孔とは別に前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた貫通孔を介して連通し、
前記第2連通孔と前記制御室は、前記排圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔を介して連通していることを特徴とすることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径が、前記第2連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径よりも大径になるように設定されていることを特徴とするものである。
本発明においては、弁体の動作方向の両側に設けられた軸部と、該軸部をそれぞれ作動可能に支持する支持部とを備えているので、圧力変動に対する追従性がよく、安定した作動が実現されている。
また、弁座に対して面接触する着座部を備えてなる構造であるため、シール性に優れ、それ故に導圧逆止弁及び排圧逆止弁の動作の確実性が実現されている。
上記のことから、本発明の一斉開放弁は、圧力変動に対する追従性がよく、動作の安定性と信頼性に優れたものとなっている。
本発明の一実施の形態に係る一斉開放弁の説明図である。 図1に示した一斉開放弁を構成する部品を説明する説明図である。 図1において丸で囲んで示すA部を拡大して示す部分拡大図である。 図1において丸で囲んで示すB部を拡大して示す部分拡大図である。 従来例を説明する説明図である。 図5の一部を拡大して示す拡大図である。
図1は本発明の一実施の形態に係る一斉開放弁1の断面図を示している。本実施の形態に係る一斉開放弁1は、弁箱本体2とカバー体3からなる弁箱4の内部に弁体5を内蔵するものであって、弁箱4の内部には、一次側配管6に連通する一次室7と、二次側配管8に連通する二次室9と、感知ヘッド11が設けられる感知用配管13に連通する制御室15とが形成され、制御室15に移動可能に設けられた弁体5が一次室7と二次室9を仕切るように設置されている。そして、弁体5には制御室15と一次室7との間を連通させる第1連通孔19及び第2連通孔21(図2参照)が形成され、第1連通孔19には一次室7の圧力が制御室15の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動する導圧逆止弁23が設置され、第2連通孔21には制御室15の圧力が一次室7の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する排圧逆止弁25が設置されている。
以下、主な構成をさらに詳細に説明する。
<弁体>
図2は、図1に示した弁体5を拡大して示す拡大図である。弁体5は、図2に示すように、全体が厚底の有底円柱状のような形状からなり、上側の空洞部27が制御室15の一部を形成し、下側の厚底部29には第1連通孔19及び第2連通孔21が形成されている。厚底部29の上面から下方に向けて、プラグ挿入孔31が形成され、さらにプラグ挿入孔31の途中から、左右2方向に向けて2つの横孔33、35が設けられている。そして、一方の横孔33(図中右側)の先には導圧逆止弁23を設置するための導圧逆止弁設置室37が形成されている。また、導圧逆止弁設置室37の上部の壁には空洞部27に貫通する貫通孔39が形成されている。貫通孔39は、初期の設置時や設置後において導圧逆止弁23が作動したときに一次室7側から感知用配管13に充水する際に、消火液を一次室7から制御室15に流すためのものである。
また、導圧逆止弁設置室37の外側壁41の内面には導圧逆止弁23が着座する弁座43が形成されている。さらに、外側壁41の中央部には導圧逆止弁23の後述する軸部85を支持する軸受孔45が形成され、その上下に通流孔47が設けられている。
また、他方の横孔35(図中左側)の先には排圧逆止弁25を設置するための排圧逆止弁設置室49が形成されている。また、排圧逆止弁設置室49の内側壁51には排圧逆止弁25が着座する弁座53が形成されている。さらに、排圧逆止弁設置室49の外側壁41の中央部には排圧逆止弁25の後述する軸部101を支持する軸受孔55が形成され、その上下には通流孔57が設けられている。
厚底部29のプラグ挿入孔31には、平面視したときに円形で、縦断面がT字状のT字プラグ59がねじ込まれて設置されている。T字プラグ59の内部にはT字プラグ59を設置した状態で、空洞部27とプラグ挿入孔31の下部とを連通させるT字状に形成されたT字流路61が形成されている。したがって、T字プラグ59を設置した状態で、空洞部27と導圧逆止弁設置室37とはT字流路61、プラグ挿入孔31の下部、横孔33を介して連通している。同様に、空洞部27と排圧逆止弁設置室49とはT字流路61、プラグ挿入孔31の下部、横孔35を介して連通している。
上記のように、導圧逆止弁設置室37及び排圧逆止弁設置室49と空洞部27とはT字流路61で連通しているが、空洞部27側にあるT字流路61の入口となる開口部63が垂直面になっていることから、ゴミなどの異物がT字流路61に侵入しにくい構造になっており、異物侵入による誤作動の危険が少ない。
厚底部29に形成される二つの横穴である、横孔33(図中右側)と横穴35(図中左側)を比較すると、導圧逆止弁23側の横孔33の径が排圧逆止弁25側の横孔35よりも大径になるように設定されている。
弁体5の外周壁には、図1に示されるように、Oリング65が設置されている。そして、弁体5は、弁箱4に挿入設置されている円筒状のシリンダ部71に挿入され、シリンダ部71を上下に摺動可能になっている。
また、弁体5の中央部には、弁体5を下方に付勢するバネ73が設置され、バネ73の下端部はT字プラグ59の頭部に挿入されて保持されている。
<導圧逆止弁>
図3は、図1における丸で囲んだAを拡大して示す拡大図である。図3及び、図1、図2に基づいて導圧逆止弁23について説明する。
導圧逆止弁23は、図3に示すように、小径円柱部75と大径円柱部77が段部79を介して連続して形成された本体部81と、該本体部81の両側に延出する軸部83、85を有している。一方の軸部83(図中左側)は横孔33に挿入され、他方の軸部85(図中右側)は軸受孔45に挿入されている。このように、導圧逆止弁23は本体部81の両側に延出する軸部83、85をそれぞれ横孔33、軸受孔45に支持される構造であり、横孔33、軸受孔45が本発明の保持部を構成する。
そして、横孔33に挿入された軸部83の端面は制御室15からの圧力を受ける受圧面となり、軸受孔45に挿入された軸部85の端面は一次室7からの圧力を受ける受圧面となる。
段部79には導圧逆止弁23を閉止方向に付勢するコイルバネ87が設置されている。コイルバネ87は、一端部を段部79に当接させ、その内周面が本体部81の小径円柱部75に挿入されている。これにより、コイルバネ87は伸縮時において、小径円柱部75にガイドされることになり、その伸縮動作を安定して行うことができるようになっている。
本体部81における大径円柱部77の外側端面にはゴムを焼き付けして形成した着座部89が形成されている。この着座部89が弁座43に着座することで流路が閉止する。
上記のように形成された導圧逆止弁23においては、一次側の圧力が軸部85の端面及び着座部89等に作用し、この力が導圧逆止弁23を開く方向に作用する。また、制御室15の圧力が、軸部83の端面及び段部79等に作用し、さらにコイルバネ87の付勢力が段部79に作用し、これらの力が導圧逆止弁23を閉じる方向に作用する。弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力を超えたときに導圧逆止弁23は、図中左に移動することにより開放して、一次室7側の消火液が通流孔47、導圧逆止弁設置室37、貫通孔39を通じて制御室15に通流する。
一次室7側の消火液が制御室15に通流することにより、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力より小さくなると導圧逆止弁23は、図中右方向に移動して閉止する。なお、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力を超えたときとは、制御室15の圧力と一次室7の圧力の圧力差が規定値を超えたときであり、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力より小さくなったときとは、制御室15の圧力と一次室7の圧力の圧力差が規定値を下回るときである。
上記の弁開放、弁閉止における動作において、導圧逆止弁23はその両側の軸部83、85を支持されて移動するので、動作が安定して、かつ確実に行なわれる。
<排圧逆止弁>
図4は、図1における丸で囲んだBを拡大して示す拡大図である。図4及び、図1、図2に基づいて排圧逆止弁25について説明する。
排圧逆止弁25は、基本的に導圧逆止弁23と同様の形態をしており、図4に示すように、大径円柱部91と小径円柱部93が段部95を介して連続して形成された本体部97と、該本体部97の両側に延出する軸部99、101を有している。一方の軸部99(図中右側)は横孔35に挿入され、他方の軸部101(図中左側)は軸受孔55に挿入されている。このように、排圧逆止弁25は本体部97の両側に延出する軸部99、101をそれぞれ横孔35、軸受孔55に支持される構造であり、横孔35、軸受孔55が本発明の保持部を構成する。
そして、横孔35に挿入された軸部99の端面は制御室15からの圧力を受ける受圧面となり、軸受孔55に挿入された軸部101の端面は一次室7からの圧力を受ける受圧面となる。
段部95には排圧逆止弁25を閉止方向に付勢するコイルバネ103が設置されている。コイルバネ103は、一端部を段部95に当接させ、その内周面が本体部97の小径円柱部93に挿入されている。これにより、コイルバネ103は伸縮時において、小径円柱部93にガイドされることになり、その伸縮動作を安定して行うことができるようになっている。
本体部97における大径円柱部91の外側端面にはゴムを焼き付けして形成した着座部105が形成されている。この着座部105が弁座53に着座することで流路が閉止する。
上記のように形成された排圧逆止弁25においては、一次側の圧力が軸部101及び小径円柱部93の端面、段部95等に作用し、この力とコイルバネ103の付勢力が排圧逆止弁25を閉じる方向に作用する。また、制御室15の圧力が、軸部99の端面、着座部105に作用し、この力が排圧逆止弁25を開く方向に作用する。弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力を超えたときに排圧逆止弁25は、図中左方向に移動して開放し、制御室15側の消火液が横孔35、排圧逆止弁設置室49、通流孔57を通じて一次室7に通流する。制御室15側の消火液が一次室7に通流することにより、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力より小さくなると排圧逆止弁25は、図中右方向に移動して閉止する。なお、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力を超えたときとは、制御室15の圧力と一次室7の圧力の圧力差が規定値を超えたときであり、弁開放方向に作用する力が弁閉止方向に作用する力より小さくなったときとは、制御室15の圧力と一次室7の圧力の圧力差が規定値を下回るときである。
上記の弁開放、弁閉止における動作において、排圧逆止弁25はその両側の軸部99、101を支持されて移動するので、動作が安定して、かつ確実に行なわれる。
なお、排圧逆止弁25の動作する制御室15内圧力と一次側圧力との差圧は導圧逆止弁23の動作する差圧よりも高く設定されている。具体的には、導圧逆止弁23が動作するのは約0.5MPaである。
<動作説明>
次に、上記のように構成された一斉開放弁1の動作を説明する。監視時においては、一斉開放弁1の制御室15及び感知用配管13には消火液が充填されている。この状態は、図示しない水槽の消火液を一斉開放弁1の一次室7に徐々に供給することにより、供給された消火液が一次室7、導圧逆止弁23を介して制御室15、感知用配管13に供給されることで作り出される。
この監視状態において、例えば感知配管からの微小な水漏れなどにより感知配管内の圧力が低下すると、制御室15の圧力が低下する。制御室15の圧力が低下し、制御室15の圧力と一次室7の圧力差が規定値を超えると、導圧逆止弁23が開放して、一次室7側の水が制御室15に供給され、さらに感知配管に供給される。
このとき、上述のように導圧逆止弁23が、その両側の軸部83、85を支持され、かつコイルバネ87が小径円柱部75でガイドされる構造であるため、安定した動作が行われる。
監視状態において、気温上昇などにより感知用配管13の消火液が膨張して、制御室15の圧力が上昇し、制御室15の圧力と一次室7の圧力の差が規定値を超えると、排圧逆止弁25が開放して制御室15の消火液が一次室7側に供給される。これにより、制御室15と一次室7の圧力差が規定値以下になると排圧逆止弁25が閉止する。このような排圧逆止弁25の作動すべき状況において、排圧逆止弁25の作動が安定していないと、制御室15の圧力が下がり過ぎることも考えられ、制御室15の圧力が下がりすぎると、一斉開放弁1の弁体5が開放するという緊急事態が生ずる危険がある。
この点、本発明の排圧逆止弁25は上述したように、その両側の軸部99、101を支持され、かつコイルバネ103が小径円柱部93でガイドされる構造であるため、作動が安定しているので、そのようなことはない。
監視状態において、一次室7側に接続される一次配管内の圧力が何らかの原因により低下する場合があり、このようなときには、ポンプが起動されて一次配管に消火液が充填される。このとき、一次室7の圧力が通常の監視状態よりも高くなることが考えられる。この場合に、仮に排圧逆止弁25の作動が不安定で、制御室15の圧力が規定値に保たれておらず、規定値よりも低くなっていたとすれば、一斉開放弁1が開放してしまうことが考えられる。この点、本発明の排圧逆止弁25は作動の安定性が確保されているので、制御室15の圧力を規定値に確実に保持することができ、一斉開放弁1が不用意に開放するような事態の発生を防止できる。
以上のように、本実施の形態によれば、導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25の両方の構造において、弁体の本体部81、97をその両側に延出する軸部83,85、99,101によって支持する構造であるため安定した作動が実現されている。
また、着座部89、105と弁座43、53を面接触としているので、着座部89、105が弁座43、53に当接したときのシール性に優れ、それ故に導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25の動作の確実性が実現されている。
さらに、導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25を動作させるコイルバネ87、103がそれぞれ小径円柱部75、93によってガイドされる構造であるため、コイルバネ87、103の力を弁閉及び弁開放向に正確に作用させることができ、それ故に導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25の作動の安定性が実現されている。
1 一斉開放弁 2 弁箱本体 3 カバー体
4 弁箱 5 弁体 6 一次側配管
7 一次室 8 二次側配管 9 二次室
11 感知ヘッド 13 感知用配管 15 制御室
19 第1連通孔 21 第2連通孔 23 導圧逆止弁
25 排圧逆止弁 27 空洞部 29 厚底部
31 プラグ挿入孔 33 横孔 35 横孔
37 導圧逆止弁設置室 39 貫通孔 41 外側壁
43 弁座 45 軸受孔 47 通流孔
49 排圧逆止弁設置室 51 内側壁 53 弁座
55 軸受孔 57 通流孔 59 T字プラグ
61 T字流路 63 開口部 65 Oリング
71 シリンダ部 73 バネ 75 小径円柱部
77 大径円柱部 79 段部 81 本体部
83 軸部(左) 85 軸部(右) 87 コイルバネ
89 着座部 91 大径円柱部 93 小径円柱部
95 段部 97 本体部 99 軸部(右)
101 軸部(左) 103 コイルバネ 105 着座部

Claims (2)

  1. 一次室と、二次室と、感知ヘッドが設けられる感知用配管に連通する制御室と、該制御室に移動可能に設けられて前記一次室と前記二次室を仕切る弁体とを有し、前記制御室の圧力が前記一次室の圧力に対して所定値よりも低くなったときに前記弁体が開放する減圧開型の一斉開放弁であって、
    該弁体に設けられて前記制御室と前記一次室との間を連通させる第1連通孔及び第2連通孔と、該第1連通孔に設けられて前記一次室の圧力が前記制御室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動する導圧逆止弁と、前記第2連通孔に設けられ前記制御室の圧力が前記一次室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する排圧逆止弁とを備え
    前記導圧逆止弁と前記排圧逆止弁は、弁座に対して面接触する着座部と、前記導圧逆止弁及び排圧逆止弁の弁体の動作方向の両側に設けられた軸部とを有し、
    前記導圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第1連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
    前記排圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第2連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
    前記第1連通孔と前記制御室は、前記導圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔及び、該孔とは別に前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた貫通孔を介して連通し、
    前記第2連通孔と前記制御室は、前記排圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔を介して連通していることを特徴とする一斉開放弁。
  2. 前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径が、前記第2連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径よりも大径になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の一斉開放弁。
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