JP5190845B2 - 一斉開放弁 - Google Patents
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Description
このような減圧開型の一斉開放弁においては、一般に、一次側室と圧力室との間に連通孔を設け、この連通孔に、一次側室から圧力室側への消火液の通流を許容する逆止弁が設置されている。
このような危険を回避することを目的として、一斉開放弁における一次側室と圧力室との間の連通孔に、一次側室から圧力室側への消火液の通流を許容する第1逆止弁に加え、圧力室側から一次室側への消火液の通流を許容する第2逆止弁を設置し、第1逆止弁と第2逆止弁の作動圧力を適宜設定することによって、圧力室側の圧力の上昇を緩和するという技術が提案されている。
特許文献1に記載された一斉開放弁Aは、弁箱本体121とカバー体122とにより弁箱123が構成され、弁箱123の内部に弁体124が内蔵され、さらに弁箱123の内部に、弁体124の上下動により開閉される連通孔125を挾んで一次側室126と二次側室127が配置されている。そして、弁箱123の内部に、弁体124によって一次側室126および二次側室127に対して区画形成された圧力室128が配置されている。
また、弁体124の2箇所に一次側室126と圧力室128とを連通する通孔129a,129bが形成され、片側の通孔129aに第1チャッキ弁130が、他側の通孔129bに第2チャッキ弁131がそれぞれ介在されている。
この第1チャッキ弁130は、感知ライン200を充液加圧して一斉開放弁Aをセットするときに開動作状態になるほか、セット後において感知ライン200に少量の圧力漏れが発生した場合に自動的に開動作して、一次側室126から圧力室128を経て感知ライン200に消火液の補填を行うことに役立つ。
この第2チャッキ弁131は、一斉開放弁Aがセットされた後において、感知ライン200の圧力が一定値以上に上昇したときに開動作状態になって、感知ライン200を充液加圧している消火液を圧力室128から一次側室126に逃がすことに役立つものである。
減圧開型の一斉開放弁においては、圧力室128の圧力が一次側室126の圧力に対して所定値よりも低くなったときに弁体124が開放するという機構である。このような機構の一斉開放弁において、特許文献1に記載のように、圧力室128の圧力が所定値を超えたときに圧力室128の消火液を一次側室126に通流させて圧力室128の圧力を低下させるというものである場合、その作動が安定して信頼性高く行われないと、弁体124が本来開放すべきでないときに開放してしまうという問題がある。つまり、この種のものにおいては、第1チャッキ弁130、第2チャッキ弁131の動作が圧力変動に対して追従性がよいと共にその作動に安定性と信頼性が要求され、それが一斉開放弁全体としての信頼性に大きく影響する。
ところが、特許文献1に記載のものにおいては、以下に示すように、その安定性と信頼性が十分とは言えない。
(b)ボール状の弁体133を支持するばね136は上下方向に伸縮することになるが、特にガイドが設けられているわけではないので、伸縮動作中において、横方向にずれることも考えられ、ばね136が横方向にずれると、ボール状の弁体133に対して鉛直方向に均等な力を作用させることができず、作動の安定性を欠き、消火液の漏れの原因ともなる。この場合も、結局、動作が安定せず、かつ追従性が悪くなる。
(c)ボール状の弁体133とばねの接触部は常時フリーな状態で接触しており、両者間の接触の繰り返しにより、ボール状の弁体133に傷が付くことも考えられる。傷が付くことで、漏れの原因となり、動作の安定性と信頼性に欠ける。
(d)ボール状の弁体133はばねと弁座135との間にフリーな状態で配置されているため、振動などによって容易に移動し易く、それ故、信頼性に欠ける。
以上のように、特許文献1に記載されたものは、第1チャッキ弁130及び第2チャッキ弁131の構造に起因して、動作の安定性と信頼性に欠けるという問題点がある。
該弁体に設けられて前記制御室と前記一次室との間を連通させる第1連通孔及び第2連通孔と、該第1連通孔に設けられて前記一次室の圧力が前記制御室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する導圧逆止弁と、前記第2連通孔に設けられて前記制御室の圧力が前記一次室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する排圧逆止弁とを備え、
前記導圧逆止弁と前記排圧逆止弁は、弁座に対して面接触する着座部と、前記導圧逆止弁及び排圧逆止弁の弁体の動作方向の両側に設けられた軸部とを有し、
前記導圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第1連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記排圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第2連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記第1連通孔と前記制御室は、前記導圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔及び、該孔とは別に前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた貫通孔を介して連通し、
前記第2連通孔と前記制御室は、前記排圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔を介して連通していることを特徴とすることを特徴とするものである。
また、弁座に対して面接触する着座部を備えてなる構造であるため、シール性に優れ、それ故に導圧逆止弁及び排圧逆止弁の動作の確実性が実現されている。
上記のことから、本発明の一斉開放弁は、圧力変動に対する追従性がよく、動作の安定性と信頼性に優れたものとなっている。
以下、主な構成をさらに詳細に説明する。
図2は、図1に示した弁体5を拡大して示す拡大図である。弁体5は、図2に示すように、全体が厚底の有底円柱状のような形状からなり、上側の空洞部27が制御室15の一部を形成し、下側の厚底部29には第1連通孔19及び第2連通孔21が形成されている。厚底部29の上面から下方に向けて、プラグ挿入孔31が形成され、さらにプラグ挿入孔31の途中から、左右2方向に向けて2つの横孔33、35が設けられている。そして、一方の横孔33(図中右側)の先には導圧逆止弁23を設置するための導圧逆止弁設置室37が形成されている。また、導圧逆止弁設置室37の上部の壁には空洞部27に貫通する貫通孔39が形成されている。貫通孔39は、初期の設置時や設置後において導圧逆止弁23が作動したときに一次室7側から感知用配管13に充水する際に、消火液を一次室7から制御室15に流すためのものである。
また、他方の横孔35(図中左側)の先には排圧逆止弁25を設置するための排圧逆止弁設置室49が形成されている。また、排圧逆止弁設置室49の内側壁51には排圧逆止弁25が着座する弁座53が形成されている。さらに、排圧逆止弁設置室49の外側壁41の中央部には排圧逆止弁25の後述する軸部101を支持する軸受孔55が形成され、その上下には通流孔57が設けられている。
上記のように、導圧逆止弁設置室37及び排圧逆止弁設置室49と空洞部27とはT字流路61で連通しているが、空洞部27側にあるT字流路61の入口となる開口部63が垂直面になっていることから、ゴミなどの異物がT字流路61に侵入しにくい構造になっており、異物侵入による誤作動の危険が少ない。
また、弁体5の中央部には、弁体5を下方に付勢するバネ73が設置され、バネ73の下端部はT字プラグ59の頭部に挿入されて保持されている。
図3は、図1における丸で囲んだAを拡大して示す拡大図である。図3及び、図1、図2に基づいて導圧逆止弁23について説明する。
導圧逆止弁23は、図3に示すように、小径円柱部75と大径円柱部77が段部79を介して連続して形成された本体部81と、該本体部81の両側に延出する軸部83、85を有している。一方の軸部83(図中左側)は横孔33に挿入され、他方の軸部85(図中右側)は軸受孔45に挿入されている。このように、導圧逆止弁23は本体部81の両側に延出する軸部83、85をそれぞれ横孔33、軸受孔45に支持される構造であり、横孔33、軸受孔45が本発明の保持部を構成する。
そして、横孔33に挿入された軸部83の端面は制御室15からの圧力を受ける受圧面となり、軸受孔45に挿入された軸部85の端面は一次室7からの圧力を受ける受圧面となる。
本体部81における大径円柱部77の外側端面にはゴムを焼き付けして形成した着座部89が形成されている。この着座部89が弁座43に着座することで流路が閉止する。
上記の弁開放、弁閉止における動作において、導圧逆止弁23はその両側の軸部83、85を支持されて移動するので、動作が安定して、かつ確実に行なわれる。
図4は、図1における丸で囲んだBを拡大して示す拡大図である。図4及び、図1、図2に基づいて排圧逆止弁25について説明する。
排圧逆止弁25は、基本的に導圧逆止弁23と同様の形態をしており、図4に示すように、大径円柱部91と小径円柱部93が段部95を介して連続して形成された本体部97と、該本体部97の両側に延出する軸部99、101を有している。一方の軸部99(図中右側)は横孔35に挿入され、他方の軸部101(図中左側)は軸受孔55に挿入されている。このように、排圧逆止弁25は本体部97の両側に延出する軸部99、101をそれぞれ横孔35、軸受孔55に支持される構造であり、横孔35、軸受孔55が本発明の保持部を構成する。
そして、横孔35に挿入された軸部99の端面は制御室15からの圧力を受ける受圧面となり、軸受孔55に挿入された軸部101の端面は一次室7からの圧力を受ける受圧面となる。
段部95には排圧逆止弁25を閉止方向に付勢するコイルバネ103が設置されている。コイルバネ103は、一端部を段部95に当接させ、その内周面が本体部97の小径円柱部93に挿入されている。これにより、コイルバネ103は伸縮時において、小径円柱部93にガイドされることになり、その伸縮動作を安定して行うことができるようになっている。
本体部97における大径円柱部91の外側端面にはゴムを焼き付けして形成した着座部105が形成されている。この着座部105が弁座53に着座することで流路が閉止する。
上記の弁開放、弁閉止における動作において、排圧逆止弁25はその両側の軸部99、101を支持されて移動するので、動作が安定して、かつ確実に行なわれる。
次に、上記のように構成された一斉開放弁1の動作を説明する。監視時においては、一斉開放弁1の制御室15及び感知用配管13には消火液が充填されている。この状態は、図示しない水槽の消火液を一斉開放弁1の一次室7に徐々に供給することにより、供給された消火液が一次室7、導圧逆止弁23を介して制御室15、感知用配管13に供給されることで作り出される。
この監視状態において、例えば感知配管からの微小な水漏れなどにより感知配管内の圧力が低下すると、制御室15の圧力が低下する。制御室15の圧力が低下し、制御室15の圧力と一次室7の圧力差が規定値を超えると、導圧逆止弁23が開放して、一次室7側の水が制御室15に供給され、さらに感知配管に供給される。
このとき、上述のように導圧逆止弁23が、その両側の軸部83、85を支持され、かつコイルバネ87が小径円柱部75でガイドされる構造であるため、安定した動作が行われる。
この点、本発明の排圧逆止弁25は上述したように、その両側の軸部99、101を支持され、かつコイルバネ103が小径円柱部93でガイドされる構造であるため、作動が安定しているので、そのようなことはない。
また、着座部89、105と弁座43、53を面接触としているので、着座部89、105が弁座43、53に当接したときのシール性に優れ、それ故に導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25の動作の確実性が実現されている。
さらに、導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25を動作させるコイルバネ87、103がそれぞれ小径円柱部75、93によってガイドされる構造であるため、コイルバネ87、103の力を弁閉及び弁開放向に正確に作用させることができ、それ故に導圧逆止弁23及び排圧逆止弁25の作動の安定性が実現されている。
4 弁箱 5 弁体 6 一次側配管
7 一次室 8 二次側配管 9 二次室
11 感知ヘッド 13 感知用配管 15 制御室
19 第1連通孔 21 第2連通孔 23 導圧逆止弁
25 排圧逆止弁 27 空洞部 29 厚底部
31 プラグ挿入孔 33 横孔 35 横孔
37 導圧逆止弁設置室 39 貫通孔 41 外側壁
43 弁座 45 軸受孔 47 通流孔
49 排圧逆止弁設置室 51 内側壁 53 弁座
55 軸受孔 57 通流孔 59 T字プラグ
61 T字流路 63 開口部 65 Oリング
71 シリンダ部 73 バネ 75 小径円柱部
77 大径円柱部 79 段部 81 本体部
83 軸部(左) 85 軸部(右) 87 コイルバネ
89 着座部 91 大径円柱部 93 小径円柱部
95 段部 97 本体部 99 軸部(右)
101 軸部(左) 103 コイルバネ 105 着座部
Claims (2)
- 一次室と、二次室と、感知ヘッドが設けられる感知用配管に連通する制御室と、該制御室に移動可能に設けられて前記一次室と前記二次室を仕切る弁体とを有し、前記制御室の圧力が前記一次室の圧力に対して所定値よりも低くなったときに前記弁体が開放する減圧開型の一斉開放弁であって、
該弁体に設けられて前記制御室と前記一次室との間を連通させる第1連通孔及び第2連通孔と、該第1連通孔に設けられて前記一次室の圧力が前記制御室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する導圧逆止弁と、前記第2連通孔に設けられて前記制御室の圧力が前記一次室の圧力よりも規定値を超えて高くなったときに開動作する排圧逆止弁とを備え、
前記導圧逆止弁と前記排圧逆止弁は、弁座に対して面接触する着座部と、前記導圧逆止弁及び排圧逆止弁の弁体の動作方向の両側に設けられた軸部とを有し、
前記導圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第1連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記排圧逆止弁の軸部は、その一方が前記第2連通孔と前記制御室との間に連通するように設けられた孔に挿入され、他方が軸受孔に挿入され、
前記第1連通孔と前記制御室は、前記導圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔及び、該孔とは別に前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた貫通孔を介して連通し、
前記第2連通孔と前記制御室は、前記排圧逆止弁の一方の軸部が挿入される前記孔を介して連通していることを特徴とする一斉開放弁。 - 前記第1連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径が、前記第2連通孔と前記制御室との間に設けられた前記孔の径よりも大径になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の一斉開放弁。
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