JP5189853B2 - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Download PDF

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Description

本発明は、自動車などの熱交換器に使用されるアルミニウム合金クラッド材に関する。
一般に、自動車用熱交換器の素材として、心材の片面または両面にろう材、犠牲陽極材を配した種々のアルミニウム合金クラッド材が使用されている。つまり、高強度を発揮させるための心材の片面に犠牲陽極効果を有する犠牲陽極材をクラッドすることで、心材の電位が貴となり、犠牲陽極材の電位が卑となる電位差(つまり、心材>犠牲陽極材となる電位差)を生じさせ、犠牲陽極材が優先的に腐食し、心材の腐食を防止している。
現在、かかる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、自動車を軽量化するため、高強度、高耐食性、且つ、例えば全板厚が0.2mm程度の薄肉であることが求められている。
例えば、特許文献1には、Mn,Cu,SiおよびMgといった高強度化に寄与する心材の化学組成を制御してMgSiの析出強化による高強度化を図った熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が記載されている。
具体的には、心材の一方の側面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の側面にAl―Si系のろう材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、心材はMn:0.6〜2.0質量%、Cu:0.3〜1.0質量%、Si:0.5〜1.0質量%、Fe:0.01〜0.4質量%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材は、Zn:0.5〜4.0質量%、In:0.005〜0.1質量%、Sn:0.01〜0.1質量%、のうち、一種または二種以上を含有し、さらにSi:0.01〜0.5質量%、Fe:0.01〜0.5質量%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、心材のマトリックスが繊維組織であり、クラッド材の引張り強さが170〜260MPaである熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が記載されている。そして、より高強度化するため、心材の化学組成にMgを0.06〜0.4質量%含有させることが記載されている。
また、特許文献2には、心材と犠牲陽極材(およびろう材)の化学組成を制御するとともに、心材と犠牲陽極材との孔食電位差を特定の範囲となるように制御したアルミニウム合金複合材が記載されている。
具体的には、Mgを0.2質量%以下に規制し、Cr:0.3質量%以下、Fe:0.2質量%以下、Cu:0.2質量%を超え1.0質量%以下、Si:0.3〜1.3質量%を含有し、且つCuおよびSiの総量を1.5質量%以下に規制し、さらにMn:0.3〜1.5質量%、Ti:0.02〜0.3質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金の心材と、この心材の一面に形成されたAl−Si系ろう材と、前記心材の他面に形成されたMg:0.3〜3質量%およびZn:2.2質量%を超え5質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金の犠牲陽極材(特許文献2では皮材)と、を有するアルミニウム合金複合材が記載されている。また、かかるアルミニウム合金複合材は、心材と犠牲陽極材との孔食電位差を80〜180mVに制御すると好適である旨が記載されている。
そして、かかる特許文献2には、心材の板厚を0.24mm、犠牲陽極材の板厚を0.03mm、およびろう材の板厚を0.03mmとし、全板厚が0.3mmであるアルミニウム合金複合材を用いて、機械的特性、ろう材側腐食侵食深さ、犠牲陽極材側腐食侵食深さ、犠牲陽極材および心材孔食電位差といった項目について評価している。
特開2001−170793号公報(請求項3、段落0019) 特開平8−283891号公報(請求項1、請求項5、段落0013、段落0037、段落0038、表3および表4)
前記したように、現在、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、薄肉化することが求められているため、ろう付け処理の際に生じる構成元素の拡散により心材と犠牲陽極材の電位差を心材>犠牲陽極材となるように維持するのが困難になる結果、犠牲陽極材の犠牲陽極効果が発揮せず、板材中に孔状の腐食(以下、これを「孔食」という。なお、孔食が発生しにくいことを「耐孔食性」という。)が生じてしまうことが懸念される。
特許文献1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、心材にMgを添加することによるろう付け性の低下が懸念される。また、心材と犠牲陽極材の電位差を十分に維持できないため、犠牲陽極材の犠牲陽極効果が発揮せず、板材中に孔食が生じてしまうことも懸念される。
また、特許文献2に記載のアルミニウム合金複合材は、全板厚が0.3mm程度であれば、心材>犠牲陽極材となる電位差を維持することができ、優れた耐食性を得ることができるが、現在求められている0.2mm程度の薄肉の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材とした場合、その電位差を維持することができないおそれがある。つまり、犠牲陽極材の犠牲陽極効果が発揮せず、板材中に孔食が生じてしまうことが懸念される。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、耐孔食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、心材の一側面に犠牲陽極材を、他側面にろう材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、前記心材は、Siを0.15〜1.6質量%、Mnを0.3〜2.0質量%、Cuを0.1〜1.0質量%、Mgを0.1〜1.0質量%、Nbを0.01〜2.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金でなり、前記犠牲陽極材は、Znを1.0〜7.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金でなり、前記ろう材は、Al−Si系合金でなることを特徴とする。
このように、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、心材に含有されるSi,Mn,Cu,Mgを特定の範囲に規制することによって、主として熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に必要な強度を得ている。そして、心材に含有されるNbを特定の範囲に規制して心材の電位を貴にするとともに、犠牲陽極材に含有されるZnを特定の範囲に規制して犠牲陽極材の電位を卑にすることにより、心材>犠牲陽極材となる電位差を維持することができる。かかる電位差により犠牲陽極材の犠牲陽極効果を発揮させ、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の耐孔食性を向上させることができる。
本発明においては、前記犠牲陽極材が、さらにSiを0質量%を超え1質量%以下、およびMnを0.2〜1.5質量%の範囲で、これらのうちの少なくとも一方を含有するのが好ましい。
このようにすれば、犠牲陽極材に含有されるSi,Mnを特定の範囲に規制することによって、その強度を向上させることができる結果、熱交換器用アルミニウム合金クラッド材全体の高強度化を図ることができる。
本発明においては、前記心材と前記ろう材の間に、Mgを含有しないアルミニウム合金製の中間材を設けるのが好ましい。このような中間材を心材とろう材の間に備えることにより、心材に含有されるMgがろう材に熱拡散するのを防止し、ろう付け性の低下を防ぐことができる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、心材および犠牲陽極材に含有される金属元素を特定し、その化学組成を特定の範囲に規制しているので、心材>犠牲陽極材となる電位差を維持することができる結果、耐孔食性に優れたものとすることができる。
次に、図1および図2を参照して本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材について詳細に説明する。なお、参照する図面において図1は、本発明の一実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を例示する断面図であり、図2は、本発明の他の実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を例示する断面図である。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材(以下、単に「クラッド材」という。)1は、心材2の一側面に犠牲陽極材3を、他側面にろう材4をクラッドした3層構造のクラッド材である。
心材2は、Siを0.15〜1.6質量%、Mnを0.3〜2.0質量%、Cuを0.1〜1.0質量%、Mgを0.1〜1.0質量%、Nbを0.01〜2.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で形成されている。
(心材:Siを0.15〜1.6質量%)
心材2に含有されるSiは、心材2の強度を向上させる役割を担う。特にSi−Mg系析出物により、心材2の強度を向上させることができる。しかし、Siの含有量が0.15質量%未満であると、心材2の強度を向上させるには不十分である。一方、Siの含有量が1.6質量%を超えると、粒界腐食感受性が増大するため、かえって耐孔食性が低下してしまう。したがって、Siの含有量は0.15〜1.6質量%とした。なお、より好ましくは0.5〜1.2質量%である。
(心材:Mnを0.3〜2.0質量%)
心材2に含有されるMnは、心材2の強度および耐孔食性を向上させる役割を担う。しかし、Mnの含有量が0.3質量%未満であると、十分に心材2の強度を向上させることができない。一方、Mnの含有量が2.0質量%を超えると粗大晶出物が析出し、アルミニウム合金内に腐食が発生した時にカソードサイトとして振る舞い腐食を促進する。したがって、Mnの含有量は0.3〜2.0質量%とした。なお、より好ましくは0.6〜1.7質量%である。
(心材:Cuを0.1〜1.0質量%)
心材2に含有されるCuは、心材2の強度を向上させる役割を担う。しかし、心材2にCuを含有させると粒界腐食感受性を増大させてしまい、犠牲陽極材3側の耐孔食性を低下させてしまう。そのため、犠牲陽極材3にZnを含有させ、犠牲陽極材3の電位を心材2および粒界に対して卑にすることで粒界腐食を防止することができる。しかし、Cuの含有量が0.1質量%未満であると、十分に心材2の強度を向上させることができない。一方、Cuの含有量が1.0質量%を超えると、粒界腐食感受性が増大するため、かえって耐孔食性が低下してしまう。したがって、Cuの含有量は0.1〜1.0質量%とした。なお、より好ましくは0.6〜1.0質量%である。
(心材:Mgを0.1〜1.0質量%)
心材2に含有されるMgは、心材2の強度を向上させる役割を担う。特に、MgSi化合物を形成し、心材2の強度向上に寄与する。しかし、Mgの含有量が0.1質量%未満であると、十分に心材2の強度を向上させることができない。一方、Mgの含有量が1.0質量%を超えると、心材2の電位が低下し、耐孔食性を維持できなくなる。したがって、Mgの含有量は0.1〜1.0質量%とした。なお、より好ましくは0.1〜0.8質量%である。
(心材:Nbを0.01〜2.0質量%)
心材2に含有されるNbは、心材2の電位を貴にし、耐孔食性を向上させる役割を担う。このように、心材2にNbを含有させることで、本発明に係るクラッド材1を、例えば、0.2mm程度に薄肉化させた場合であっても、犠牲陽極材3との電位差を100〜300mV生じさせることができ、犠牲陽極材3に犠牲陽極効果を十分に発揮させることができる。Nbの含有量が0.01質量%未満であると、十分に耐孔食性を向上させることができない。一方、Nbの含有量が2.0質量%を超えると、犠牲陽極材3との電位差が大きくなりすぎて、かえって犠牲陽極材3の溶解を促進し、クラッド材1全体の寿命を低下させる。したがって、Nbの含有量は0.01〜2.0質量%とした。なお、より好ましくは0.01〜0.6質量%である。
(心材の不可避的不純物)
本発明に係るクラッド材1の心材2には、不可避的不純物として、例えば、Cr,Ti,Zr,Bが含有されている。このような不可避的不純物を、例えば、Crを0.1質量%以下、Tiを0.2質量%以下、Zrを0.2質量%以下、Bを0.1質量%以下、Feを0.2質量%以下(いずれも0質量%を超える)などの範囲で含有していても、本発明の効果を妨げるものではない。したがって、このような不可避的不純物の含有は許容される。なお、心材2においては、このような不可避的不純物の含有量が合計で0.4質量%まで許容できる。
犠牲陽極材3は、Znを1.0〜7.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で形成されている。
(犠牲陽極材:Znを1.0〜7.0質量%)
犠牲陽極材3に含有されるZnは、犠牲陽極材3の電位を卑にする役割を担う。前記したように、心材2にCuを含有させた場合、粒界腐食感受性が増大するため、犠牲陽極材3の電位を卑に維持する必要がある。Znの含有量が1.0質量%未満であると、心材2に対して十分な電位差を維持することができず、心材2の粒界腐食が発生してしまう。一方、Znの含有量が7.0質量%を超えると、犠牲陽極材3の自己腐食速度が増大し、犠牲陽極材3は早期腐食を生じて耐孔食性が低下する。したがって、Znの含有量は1.0〜7.0質量%とした。なお、より好ましくは1.5〜5.5質量%である。
(犠牲陽極材の不可避的不純物)
本発明に係るクラッド材1の犠牲陽極材3には、不可避的不純物として、例えば、Cr,Ti,Zr,Bが含有されている。このような不可避的不純物を、例えば、Crを0.1質量%以下、Tiを0.2質量%以下、Zrを0.2質量%以下、Bを0.1質量%以下、Feを0.2質量%以下(いずれも0質量%を超える)などの範囲で含有していても、本発明の効果を妨げるものではない。したがって、このような不可避的不純物の含有は許容される。なお、犠牲陽極材3においては、このような不可避的不純物の含有量が合計で0.4質量%まで許容できる。
本発明に係るクラッド材1のろう材4は、Al−Si系合金など、ろう材として公知のアルミニウム合金を適宜選択して使用することができる。Al−Si系合金製のろう材としては、例えば、Siを7〜12質量%含有するアルミニウム合金のろう材を使用することができる。
(ろう材の不可避的不純物)
本発明に係るクラッド材1のろう材4には、不可避的不純物として、例えば、Cr,Ti,Zr,Bが含有されている。このような不可避的不純物を、例えば、Crを0.1質量%以下、Tiを0.2質量%以下、Zrを0.2質量%以下、Bを0.1質量%以下、Feを0.2質量%以下(いずれも0質量%を超える)などの範囲で含有していても、本発明の効果を妨げるものではない。したがって、このような不可避的不純物の含有は許容される。なお、ろう材4において、このような不可避的不純物の含有量が合計で0.4質量%まで許容できる。
以上に説明したように、本発明の一実施形態に係るクラッド材1は、心材2に含有されるNbを特定の範囲に規制して心材2の電位を貴にするとともに、犠牲陽極材3に含有されるZnを特定の範囲に規制して犠牲陽極材3の電位を卑にすることにより、心材2>犠牲陽極材3となる電位差を維持することができる。かかる電位差により犠牲陽極材3の犠牲陽極効果を発揮させ、クラッド材1の耐孔食性を向上させることができる。
なお、本発明の一実施形態に係るクラッド材1の犠牲陽極材3は、さらにSiを0質量%を超え1質量%以下、およびMnを0.2〜1.5質量%の範囲で、これらのうちの少なくとも一方を含有するのが好ましい。犠牲陽極材3にSiおよびMnのうち少なくとも一方を含有させることで犠牲陽極材3、ひいてはクラッド材1全体の強度を向上させることができる。
(犠牲陽極材:Siを0質量%を超え1質量%以下)
犠牲陽極材3に含有されるSiは、犠牲陽極材3の強度を向上させる役割を担う。Siの含有量が多いほど犠牲陽極材3の強度は向上するが、Siの含有量が1質量%を超えると、粒界腐食感受性が増大し、耐孔食性が低下する。したがって、Siの含有量は0質量%を超え1質量%以下とした。なお、より好ましくは0.1〜0.7質量%である。
(犠牲陽極材:Mnを0.2〜1.5質量%)
犠牲陽極材3に含有されるMnは、犠牲陽極材3の強度を向上させる役割を担う。Mnが犠牲陽極材3中に固溶し材料強度が向上する。しかし、Mnの含有量が0.2質量%未満であると、十分に犠牲陽極材3の強度を向上させることができない。一方、Mnの含有量が1.5質量%を超えると、粗大晶出物が析出し、犠牲陽極材3内でカソードサイトとして振舞うため腐食を促進させ耐孔食性を低下させる。したがって、Mnの含有量は0.2〜1.5質量%とした。なお、より好ましくは0.3〜1.0質量%である。
次に、図2を参照して、本発明の他の実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材の他の実施形態について説明する。
図2に示すように、本発明の他の実施形態に係るクラッド材10は、心材2の一側面に犠牲陽極材3を、他側面に中間材5を介してろう材4をクラッドした4層構造のクラッド材である。
なお、心材2、犠牲陽極材3、およびろう材4については、前記したものと同様であるので、その説明を省略し、主として心材2とろう材4の間に備えられた中間材5について説明する。
心材2とろう材4の間に中間材5を備えることで、心材2に含有されるMgがろう付け時にろう材4に熱拡散するのを防止し、ろう付け性の低下を防ぐことができる。
かかる中間材5は、Mgを含有しないアルミニウム合金であり、純AlやJIS3003のほか、強度向上およびろう材4との電位差確保のためにSi,Mn,Cu,Tiを添加したアルミニウム合金を好適に用いることができる。組成例としては、Al−1Si−1Cu−1.6Mn等を挙げることができる。このような中間材5によって心材2のMgの熱拡散を防止することができる。また、Si,Cu,Mn,Tiによってろう材4よりも電位を十分に貴にすることができるので、心材2の腐食を防止することができる。
なお、本発明のクラッド材1やクラッド材10は、全板厚が0.1〜0.3mmであり、犠牲陽極材3のクラッド率が15〜25%、心材2のクラッド率が45〜60%、中間材5のクラッド率が5〜15%、ろう材4のクラッド率が15〜25%であるのが好ましい。このようにすれば、犠牲陽極材3と心材2の間の電位差を充分に保持することができ、耐孔食性を確保することができるからである。
以上に説明したように、本発明の他の実施形態に係るクラッド材10は、前記した本発明の一実施形態に係るクラッド材1と同様にして、耐孔食性を向上させるとともに、心材2とろう材4の間に中間材5を備えることにより、心材2に含有されるMgがろう材4に熱拡散するのを防止し、ろう付け性の低下を防ぐことができる。
次に、本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比して具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有するa〜rの心材用アルミニウム合金を造塊し、700℃の鋳造温度にて鋳塊を鋳造後、530℃で75分間均質化処理し、500℃までの冷却を0.5℃/分で行った後、熱間圧延を行って板材とした。
また、表2に示す化学組成を有するA〜Gの犠牲陽極材用アルミニウム合金を造塊し、700℃の鋳造温度にて鋳塊を鋳造後、550℃で75分間均質化処理し、500℃までの冷却を0.5℃/分で行った後、熱間圧延を行って板材とした。
そして、Siを11質量%含有するAl−Si合金のろう材用アルミニウム合金を造塊し、700℃の鋳造温度にて鋳塊を鋳造後、熱間圧延を行って板材とした。
製造したa〜rのうちのいずれかの心材用板材の一側面に、A〜Gのうちのいずれかの犠牲陽極材用板材を重ね、心材用板材の他側面にろう材用板材を重ねて、400〜500℃で熱間圧延および冷間圧延を行って所定の板厚とし、表3に示すNo.1〜29に係るクラッド材を製造した。なお、No.1〜29に係るクラッド材の板厚〔μm〕と、これを構成する犠牲陽極材の板厚〔μm〕を表3に示す。
Figure 0005189853
Figure 0005189853
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なお、本発明においては、心材の電位と犠牲陽極材の電位が重要なファクターとなるので、a〜rの心材用板材とA〜Gの犠牲陽極材用板材のそれぞれについて電位〔mV〕を測定した。電位の測定は、次のようにして行った。
30℃に保持したOY水(Cl-:195質量ppm、SO4 2-:60質量ppm、Cu2+:1質量ppm、Fe3+:30質量ppm、pH:3.0)中に、前記した各素材を評価面積1cm2となるように浸漬し、対極に白金を用い、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)を用いて、電位を測定した。電位の測定結果を表1および表2に示す。そして、No.1〜29に係るクラッド材の電位差を下記式により求めた。No.1〜29のクラッド材の電位差を表3に示す。
電位差〔mV〕={(犠牲陽極材の電位〔mV〕)−(心材の電位〔mV〕)}
また、No.1〜29のクラッド材について、その耐孔食性を評価した。耐孔食性は、最大孔食深さを測定することにより行った。最大孔食深さは次のようにして測定した。
No.1〜29の各クラッド材を縦幅50mmおよび横幅50mmの寸法で切り出し、前記したOY水に浸漬して、80℃で12時間保持した後、30℃で12時間保持するというサイクルを50サイクル繰り返して行い、表面に生じた腐食生成物を除去した後、各クラッド材に生じた孔食深さを焦点深度法で50点/枚測定した。また、これと併せて孔食直径も測定した。
孔食深さは、測定した50点のうち、最も深い孔食を最大孔食深さとし、全ての孔食直径の平均を孔食平均直径とした。最大孔食深さ〔μm〕および孔食平均直径〔mm〕を表3に示す。なお、最大孔食深さは、50μm以下を結果が良好であると評価し、孔食平均直径は、0.5mm以上を結果が良好であると評価した。
表3に示すように、No.1〜17のクラッド材は、本発明の要件を満たすので、0.2mm程度の薄肉のクラッド材とした場合であっても、最大孔食深さおよび孔食平均直径が良好な評価となり、耐孔食性に優れる結果となった(いずれも実施例(表3中の備考2参照))。
これに対し、No.18〜29のクラッド材は、本発明の規定するいずれかの要件を満たさないので、0.2mm程度の薄肉のクラッド材とした場合、最大孔食深さおよび孔食平均直径の少なくとも一方が良好な評価とならず、耐孔食性に劣る結果となった(いずれも比較例(表3中の備考2参照))。
具体的には、No.18のクラッド材は犠牲陽極材のSiの含有量が多いため、No.19のクラッド材は犠牲陽極材のMnの含有量が多いため、No.20のクラッド材は犠牲陽極材のZnの含有量が少ないため、No.21のクラッド材は犠牲陽極材のZnの含有量が多いため、No.22のクラッド材は心材のSiの含有量が多いため、No.23のクラッド材は心材のMnの含有量が多いため、No.24のクラッド材は心材のMnの含有量が少ないため、No.25のクラッド材は心材のCuの含有量が多いため、No.26のクラッド材は心材のMgの含有量が少ないため、No.27のクラッド材は心材のMgの含有量が多いため、No.28のクラッド材は心材のNbの含有量が少ないため、No.22〜27、29のクラッド材に至っては、さらに心材のNbの含有量が少ないため、最大孔食深さが深くなり、耐孔食性に劣る結果となった。なお、これらはいずれも心材と犠牲陽極材の電位差が小さかった。
また、No.28のクラッド材は、心材のNbの含有量が多いため、心材と犠牲陽極材の電位差が大きくなりすぎ、最大孔食深さが深くかつ孔食平均直径が非常に大きくなって耐孔食性に劣る結果となった。
以上、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材について、発明を実施するための最良の形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
本発明の一実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を例示する断面図である。 本発明の他の実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を例示する断面図である。
符号の説明
1、10 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材(クラッド材)
2 心材
3 犠牲陽極材
4 ろう材
5 中間材

Claims (3)

  1. 心材の一側面に犠牲陽極材を、他側面にろう材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金クラッド材であって、
    前記心材は、Siを0.15〜1.6質量%、Mnを0.3〜2.0質量%、Cuを0.1〜1.0質量%、Mgを0.1〜1.0質量%、Nbを0.01〜2.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金でなり、
    前記犠牲陽極材は、Znを1.0〜7.0質量%含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金でなり、
    前記ろう材は、Al−Si系合金でなる
    ことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 前記犠牲陽極材が、さらにSiを0質量%を超え1質量%以下、およびMnを0.2〜1.5質量%の範囲で、これらのうちの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記心材と前記ろう材の間に、Mgを含有しないアルミニウム合金製の中間材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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