JP5188657B2 - オフセット同時両側面レーザ衝撃ピーニング - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ衝撃ピーニングに関し、より具体的には、オフセットされたレーザビームを用いて物品の対向する側面を同時にレーザ衝撃ピーニングする方法、及び、物品の対向する側面にオフセットされた中央部を持ち、同時にレーザ衝撃ピーニングされたスポットを持つ物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ衝撃ピーニングは、またレーザ衝撃処理とも呼ばれるが、物品の表面範囲をレーザ衝撃ピーニングすることによって与えられる深い圧縮残留応力の領域を生じる処理である。レーザ衝撃ピーニングは、「材料特性の変更」という名称の米国特許第3850698号、「レーザ衝撃処理」という名称の米国特許第4401477号、及び、「材料特性」という名称の米国特許第513l957号に開示される方法に類似して、物品の表面に強い衝撃波を発生させるために強力なパルスレーザから1つ又はそれ以上の放射線パルスを一般に用いる。レーザ衝撃ピーニングは、当業分野で理解され、またここで用いる通り、表面の一部の上に強い局所的圧縮力を生み出すレーザビーム供給源からのパルスレーザビームを利用することを意味するが、このパルスレーザビームは、前記表面の薄い層、又は、プラズマを形成する前記表面の薄い層の(テープ又は塗料のような)被膜の瞬間的な溶解又は蒸発により、レーザビームの衝突点において爆発力を発生させることによって得られる。
【0003】
レーザ衝撃ピーニングは、ガスタービンエンジンの分野における多くの応用のために開発されており、そのうちのいくつかは、下記の米国特許に開示されている:すなわち、「オンザフライレーザ衝撃ピーニング」という名称の第5756965号、「レーザ衝撃ピーニングされたガスタービンエンジンファン翼縁部」という名称の第5591009号、「レーザ衝撃ピーニングされたガスタービンエンジン圧縮機翼縁部に対する歪み制御」という名称の第5531570号、「レーザ衝撃ピーニングされたターボ機械用回転翼部品」という名称の第5492447号、「粘着テープで覆われたレーザ衝撃ピーニング」という名称の第5674329号、及び、「ドライテープで覆われたレーザ衝撃ピーニング」という名称の第5674328号であり、それらの全ては、本発明の譲受人に付与される。
【0004】
レーザピーニングは、物品の外面において圧縮応力をかけられた保護層を生成するために利用され、それは、「レーザピーニングのシステムと方法」という名称の米国特許第4937421号に開示されているように、物品の疲労破損に対する抵抗力をかなり増大させることが知られている。これらの方法は、プラズマ拘束媒体を準備するために、物品を覆うように流される水のカーテンか、又は何か別の方法を一般に用いる。この媒体は、LSP効果を構成する可塑性の変形及び付随する残留応力パターンを発生する衝撃波圧力を、プラズマが急速に達成することを可能にする。この水のカーテンは、有用な圧縮残留応力を作り出すために、処理中発生した衝撃波を拘束し、LSPされている部品材料のかさの中に向け直す拘束媒体を準備する。
【0005】
急速に膨張するプラズマからの圧力パルスは、進行衝撃波を部品内へ伝える。このレーザパルスにより引き起こされる圧縮性の衝撃波は、部品に深い可塑性圧縮歪みをもたらす。これらの可塑性歪みは、材料の力学的係数と一致する残留応力を生じる。両側面同時レーザ衝撃ピーニングは、材料内の圧縮残留応力を増強させるために2つのレーザビームにより物品の両方の側面に同時に衝突させること含む。それらのレーザビームは、材料の変形を最小にするため通常釣り合っている。初めの圧縮波は、両側面の各々から材料を通過し、初めの2つの圧縮波の界接面から反射されて戻る。その反射された波は、張力波に変わる。両側面から反射された張力波が同じ軸線方向の中間点で出会う時、反射波の結合された引張応力は、材料が対処できる強さより大きくなることがあり、それで2つの衝撃波が出会う中間の平面で亀裂が始まる恐れがある。
【0006】
LSPの工学的効果を制限する別の特徴は、引張歪みを作り出す有害な放出波の形成である。放出波は、圧縮フロントに続いて自然に形成するか、それとも、例えばレーザ衝撃ピーニングされている部品の外面などにおいて、インピーダンス不整合を持つ表面での反射からもたらされる可能性がある。多くの開放波が同時に部品内を伝播する時は、それらは重ね合わせと呼ばれる方法で加えられる。この張力波の重ね合わせは、有用な圧縮歪みの効果を減少させる可能性があるし、また部品内での引張力による破損を引き起こす可能性すらある。
【0007】
従って、この2つの空間的に同心性の波の重ね合わせは、有用な効果を減少させるが、それは高サイクル疲労試験により測定可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、対向する2つの側面に同時にレーザ衝撃ピーニングされ、かつ、反射波の結合引張応力を材料の引張応力の少し下まで下げることにより中央平面亀裂を排除する物品を製作するための処理を備えることが大いに望まれる。また、レーザ衝撃ピーニングによる高サイクル疲労の有利性つまり有用な圧縮性歪み効果の、張力波の重ね合わせにより引き起こされる損失を、排除するか、又は減少できるようにすることも大いに望まれる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
物品をレーザ衝撃ピーニングする方法は、第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分から各々物品内に延在する深い圧縮残留応力を持つ第1と第2の領域を形成するために、物品の長軸方向に間隔を空けて置かれた第1と第2の表面部分の材料を蒸発させるのに十分な出力で第1と第2のレーザビームの狙いを定め、次に同時に発射することを含む。1つの実施形態において、第1と第2のレーザビームの第1と第2の中心線が第1と第2のレーザビームの中心点のところで第1と第2の表面部分に当たり、その点を通じて各々第1と第2のレーザビームの中心点において実質的に第1と第2の表面部分に垂直な第1と第2の平行軸線が通過するように、かつ、第1と第2の軸線がオフセットされるように、第1と第2のレーザビームは、狙いを定められる。本発明の第1のより特定な実施形態においては、第1と第2のレーザビームは、第1と第2の中心線が交差し、互に対して角度を持つように狙いが定められる。本発明の第2のより特定な実施形態においては、第1と第2のレーザビーム及び第1と第2の中心線は、互に対して平行で、かつ、オフセットされる。
【0010】
本発明のより特定な別の実施形態において、レーザビームは、各々第1と第2のスポットのうちの重なり合い隣接するスポットの、重なり合い隣接する列を持つような物品の第1と第2の表面部分に第1と第2のパターンを生じるような方法で狙いが定められて発射される。そのパターンは、物品を連続的に動かすことによって形成されるが、一方レーザビームは静止した状態のままに保ち、反復可能なパルスを比較的一定周期で発射する。また表面部分は、シーケンスの組を用いてレーザ衝撃ピーニングされ、また各々のシーケンスは、レーザ衝撃ピーニングされるスポットに隣接する表面部分の各々が組の中の異なるシーケンスで命中されるようにレーザビームを連続的に表面上に発射する段階を含む。より特定な実施形態は、組のシーケンスの前及びその中間に、表面部分を溶解被覆で被覆することを含む。
【0011】
本発明の更に別の実施形態において、物品は、ガスタービンエンジンエーロフォイルであり、第1と第2の表面部分は、エーロフォイルの前縁に沿ってエーロフォイルの各々正圧側と負圧側とにある。
【0012】
本発明は、各々第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分から物品の中へ延在する深い圧縮残留応力を持つ第1と第2の領域を具えるレーザ衝撃ピーニングされた第1と第2の表面部分を持つレーザ衝撃ピーニングされた物品を含み、かつ、第1と第2の表面部分は、いくつかの対の同時にレーザ衝撃ピーニングされたレーザ衝撃ピーニングからの第1と第2のスポットを含み、そして同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1と第2のスポットの各々の対は、長軸方向に間隔を空けられ、横方向には互いにオフセットされる。本発明の1つの実施形態において、同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1と第2のスポットの対は実質的に平行である。本発明の更に別の特定な実施形態において、物品の第1と第2の表面部分は、各々第1と第2のスポットのうちの重なり合い隣接するスポットの重なり合い隣接する列の第1と第2のパターンを含む。
【0013】
本発明は、亀裂が無い両側面同時レーザ衝撃ピーニングにより、費用や時間や人手やレーザ衝撃ピーニングする複雑さを低減することを含む多くの利点を持つ。本発明は、反射波の結合された引張応力を材料の引張応力より下に低下させることにより、中央平面亀裂を排除することが可能な両側面同時レーザ衝撃ピーニングの方法を提供する。本発明は、中央平面に亀裂なしに同時に両側面レーザ衝撃ピーニングされる物品を提供する。本発明はまた、高サイクル疲労の有利性、つまりレーザ衝撃ピーニングからの有利な圧縮歪みの有効性の、張力波の重ね合わせにより生じる損失を排除するか又は減少させるために用いられるという理由からも有利である。本発明は、レーザ衝撃ピーニングされた物品、特にエーロフォイルガスタービンエンジン翼及びベーンのレーザ衝撃ピーニングされた前縁部の高サイクル疲労性能に対してプラス効果をもたらすのに有効であることを見出した。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示されるのは、レーザ衝撃ピーニングされるべき当て板145を具えるエーロフォイル134を持つガスタービンエンジン回転翼108により例示される物品をレーザ衝撃ピーニングするのに用いられるレーザ衝撃ピーニングシステム10の概略図である。翼108は、5軸計算機数値制御(CNC)マニプレータ127に取り付けられた取り付け具15に搭載され、マニプレータのうちの1つは、サウスカロライナ州29710クローバー、ハフマンウェイ1050所在の事務所を持つハフマンコーポレーションから市販されている。例示的な実施形態に図示される5つの運動軸線は、各々従来の並進運動軸X、Y、及び、Zと、従来の第1、第2、及び、第3の回転軸A、B、及び、Cとであり、CNC機械加工で周知である。マニプレータ127は、本発明の1つの実施形態に従って「オンザフライ」でレーザ衝撃ピーニングを施すために翼を連続して動かし位置決めをするのに用いられる。レーザ衝撃ピーニングは、塗料又はテープを溶解媒体として用いる多くの様々な方法でなされる(特に「粘着テープ被で覆われたレーザ衝撃ピーニング」という名称の米国特許第5674329号を参照)。
【0015】
図5及び図6を参照すれば、翼108は、翼台136から翼端138へ半径方向外方に延在するエーロフォイル134を含む。翼108は、翼台136から根元部140の半径方向内端137まで半径方向内方に延在する根元部140を含む。根元部140の半径方向内端137には、翼シャンク144により翼台136に接続される翼根142がある。エーロフォイル134は、エーロフォイルの前縁LEと後縁TEとの間を翼弦方向に延在する。エーロフォイル134の翼弦CHは、図6に図示されるように翼の各断面での前縁LEと後縁TEとの間の線である。エーロフォイル134の正圧側146は、矢印Vにより示されるように一般の回転方向に面し、負圧側148はエーロフォイルのもう一方の側にある。中間線MLは、一般に2つの側面の間の翼弦方向の中間に配置される。
【0016】
翼108の前縁部150は、エーロフォイル134の前縁LEに沿って翼台136から翼端138まで延在する。前縁部150は、前縁部150がエンジン運転中にエーロフォイル134の前縁に沿って生じ得る(細線で示される)刻み目54と裂け目とを含有するように所定の第1の幅Wを含む。エーロフォイル134は、エンジン運転中に回転する翼108により発生される遠心力のためにかなりの引張応力にさらされる。エーロフォイル134はまたエンジン運転中に発生する振動にもさらされ、またその刻み目や裂け目がそれらの周りに追加の応力集中を生じるような、高サイクル疲労応力発生源として作用する。
【0017】
刻み目や裂け目から発展する可能性がある亀裂線に沿う翼部分の疲労破損に対処するために、レーザ衝撃ピーニングされた当て板145が、初期の刻み目や裂け目が高サイクル疲労のため翼の破損を引き起こす可能性がある前縁LEの部分に沿って設置される。レーザ衝撃ピーニングされた当て板145は、破損の典型的な所定の第1モード線Lがファン又は圧縮機翼に対して始まる可能性がある前縁LEの部分に沿って設置される。図6に見られるように、レーザ衝撃ピーニングされた表面部分からエーロフォイル134中へ延在するレーザ衝撃ピーニング(LSP)により与えられた深い圧縮残留応力を各々持つ第1と第2の対向して配置されたレーザ衝撃ピーニングされた表面部分152及び153と、予め圧縮応力を掛けられた翼領域156及び157とを形成するために、レーザ衝撃ピーニングされた当て板145内に、少なくとも1つ、また好ましくは正圧側146と負圧側148との両方が同時にレーザ衝撃ピーニングされる。予め圧縮応力を掛けられた翼領域156と157とは、前縁部150に沿って一部分のみ図示されるが、望むなら前縁全体LE又はそれより長い部分に沿って延長されてもよい。
【0018】
第1と第2のレーザビーム102と103とは、当て板145内の翼108のエーロフォイル134の前縁LEに沿って各々長軸方向に離れて対向するように配置された凸面形の負圧側と凹面形の正圧側148及び146を同時にレーザ衝撃ピーニングするように各々装置される。その方法は、第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされたスポット158と159との対を各々形成し、1対のスポットは、長軸方向に間隔LDにより離れており、図3により具体的に示されるように、長軸方向の距離に対する横方向のオフセットOSで示されるように互いに横方向にオフセットされる。
【0019】
凸面形の負圧側及び凹面形の正圧側148及び146は、各々第1と第2のレーザ衝撃ピーニングする表面152及び153を翼108の対向する側の当て板145内に持つ。米国特許第5674329号、及び第5674328号に開示されるように被覆表面を形成するために、第1と第2のレーザ衝撃ピーニングする表面152及び153は、塗料又は粘着テープのような溶解被膜で各々覆われる。塗料及びテープは、水流121のような一般に透明な流体カーテンである透明な拘束媒体がその上に置かれるような溶解媒体を準備する。
【0020】
翼108は、レーザ衝撃ピーニング処理中は連続して動かされるが、一方レーザ衝撃ピーニングシステム10は、固定式の第1と第2のレーザビーム102及び103を、レーザ衝撃ピーニングするスポット158を形成する被覆された第1と第2のレーザ衝撃ピーニング表面152及び153に対して、流水121のカーテンを通じて同時に連続して発射するのに用いられる。水のカーテン121は、水ノズル123により送水管120に接続された送水路119の終端で供給される。制御装置24は、レーザ衝撃ピーニングシステム10を監視、及び/又は、制御するのに用いられる。
【0021】
図1及び図2に示される実施形態は、各々第1と第2のレーザビームの第1と第2の中央線CL1及びCL2が、ここで各々第1と第2の表面部分152及び153と呼ぶ第1と第2の表面部分に、エーロフォイル134の対向する凸面形の負圧側及び凹面形の正圧側148及び146の当て板145内に衝突するように設定される、つまり狙いを定められるような、長軸方向に平行でかつ横方向に間隔を持つ第1と第2のレーザビーム102及び103を用いる。第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分から翼108のエーロフォイル134又は他の物品内に各々延在する深い圧縮残留応力を持つ第1と第2の領域を形成するために、第1と第2のレーザビーム102及び103は、次に第1と第2の表面部分152及び153上の材料を蒸発させるのに十分な出力で同時に発射される。
【0022】
第1と第2のレーザビーム102及び103は、第1と第2の中央線CL1及びCL2が第1と第2の表面部分152及び153に第1と第2のレーザビーム中央点A1及びA2において衝突し、その点を通って、第1と第2のレーザビームの中央点において第1と第2の表面部分と実質的に垂直な第1と第2の平行軸線AX1及びAX2が通過するように、かつ、図3に更に示す通り第1と第2の軸が横方向のオフセットOSだけオフセットされるように、狙いを定められる。1つの実施形態において、約0.075インチのオフセットOSと約0.25インチの円形スポットの直径Dとを用いて良い結果が得られた。良い結果を出した他の試験は、エーロフォイルの前縁を模擬するために平坦な矩形クーポンを用い、0.100,0.120,0.150、及び、0.187インチのオフセットOSで行なわれた。
【0023】
図4に示す本発明の別の実施形態において、第1と第2の中央線CL1及びCL2は、尖端90で交差して互いに対して角度を持ち、かつ、第1と第2のレーザビーム中央点A1及びA2において第1と第2の表面部分152及び153と各々実質的に垂直であるような第1と第2の平行軸AX1及びAX2に対して第1と第2の角度94及び96を形成するように、第1と第2のレーザビーム102及び103は狙いを定められる。現在使われている1つのレーザ衝撃ピーニングシステムは、そのレーザビームを物品のレーザ衝撃ピーニング表面の垂線から6度の角度で衝突させる。物品つまり翼10は、細線98で描かれた翼により示される通り、ビームの中心線が尖端のところで交差するビーム交差点内に送られる。物品が交点に送られると、第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされたスポット158及び159は、両側に同時に形成され、同じ長軸方向経路に沿って中心に置かれるが、これは言い替えれば、第1と第2の軸線AX1及びAX2は同一直線上にあるということである。本発明については、翼はレーザビームのうちの1つの側に長軸方向にオフセットされて送られ、次に両側からのレーザスポットが異なる長軸方向の経路に形成され、第1と第2のAX1及びAX2は、横方向にオフセットされて一直線上ではなくなる。
【0024】
概して、しかし必ずしもそうとは限らないが、第1と第2の表面部分152及び153、従って第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされたスポット158及び159は、実質的に平行である。第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされたスポット158及び159は、円形であるものとして図示されているが、楕円形、長円形、又は他の形状を持つことが可能である。本発明は、レーザ衝撃ピーニングされた第1と第2の表面部分152及び153を各々持つレーザ衝撃ピーニングされた物品を含む。深い圧縮残留応力を持つ第1と第2の領域156及び157は、各々第1と第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分から翼108内に延在する。同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1と第2のスポット158及び159の対88は、同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1と第2のスポットのある特定の対の各々が長軸方向の距離に関して互に横方向にオフセットOSを持つように、各々長軸方向距離LDの間隔を空けられ、第1と第2の表面部分152及び153上のレーザ衝撃ピーニング処理により形成される。
【0025】
図7は、重なり合う第1のレーザ衝撃ピーニングスポット158のうちの9つの合い重なる列R、より多い列又は少ない列も用いられるが、及び、レーザ衝撃ピーニングスポット158のうちの隣接するスポットは、異なる経路においてレーザ衝撃ピーニングされ、当て板145は、経路の間で再被覆されるような本発明の1つの実施形態を示す。重なり合うレーザ衝撃ピーニングスポット158の列Rの隣接する列と、合い重なるレーザ衝撃ピーニングスポットの隣接するスポットとは、通常約30%の重なり部分を持ち、レーザ衝撃ピーニングスポットは、通常約0.25インチである。
【0026】
従って、第1と第2のレーザビーム102及び103は、第1と第2のスポットのうちの重なり合い隣接するスポットの各々重なり合い隣接する列を持つ物品の、各々第1と第2の表面部分152及び153に第1と第2のパターンを生成するような方法で狙いを定め発射される。より特定な実施形態においては、第1と第2のパターンは、繰り返し可能なパルスにより、比較的一定周期のパルス間隔で、レーザビームを固定させて連続発射し、連続して物品を動かすことによって形成され、表面部分は、各々第1のシーケンスS1から第4のシーケンスS4までの組を用いてレーザ衝撃ピーニングされる。第1のシーケンスS1から第4のシーケンスS4までのうちの各々は、レーザ衝撃ピーニングされるスポットのうちで隣接するスポットの表面部分の各々がシーケンスの組の異なるシーケンスで命中されるように、平面部分にレーザビームを連続発射することを含む。各々のスポットが一度より多くレーザビームを命中されるように、1つより多い組を用いることができる。より特定な実施形態は、組内のシーケンスの各々の前とその間に、溶解被覆で表面部分を被覆する段階を含む。
【0027】
本発明の好ましい実施形態がその原理を説明するために十分に述べられたが、請求項に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態に対する様々な修正又は変更が可能であることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による方法の例示的な実施形態を用いてレーザ衝撃ピーニングするために準備された、レーザ衝撃ピーニングシステムに取り付けられたガスタービンエンジン翼の概略図。
【図2】 本発明による方法の例示的な実施形態のオフセットされたレーザビーム、及び、オフセットされてレーザ衝撃ピーニングされたスポットを示す翼の一部の概略断面図。
【図3】 オフセットされてレーザ衝撃ピーニングされたスポットの線図。
【図4】 本発明による方法の別の例示的な実施形態に従い、僅かに角度を持って収束するレーザビームを使用して、オフセットされてレーザ衝撃ピーニングされたスポットを形成する方法の線図。
【図5】 図1のファン翼の斜視図。
【図6】 図5において線6−6で切断されたファン翼の断面図。
【図7】 図5の当て板上のレーザ衝撃ピーニングされるスポット位置の概略配置図。
【符号の説明】
A1 第1のレーザビームの中心点
A2 第2のレーザビームの中心点
AX1 第1の平行軸線
AX2 第2の平行軸線
CL1 第1のレーザビームの中心線
CL2 第2のレーザビームの中心線
LD 長軸方向の間隔
OS オフセット量
Claims (9)
- 対向する第1及び第2の側面を持ち、該第1及び第2の側面の間の距離が、該第1及び第2の側面の両方の側面を同時にレーザ衝撃ピーニングしたとき該両方の側面から反射された張力波がレーザの軸線方向の中間点で出会い結合されて過大な引張応力を引き起こす距離である物品(108)をレーザ衝撃ピーニング(LSP)する方法であって、
前記第1及び第2の側面の第1及び第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分(152,153)から、各々物品(108)内に延在する深い圧縮残留応力を持つ第1及び第2の領域(156,157)を形成するために、物品(108)の第1及び第2の表面部分(152,153)の材料を蒸発させるのに十分な出力で第1及び第2のレーザビーム(102,103)の狙いを定めて、次に同時に発射する段階
を含み、かつ、狙いを定める段階は、
第1及び第2のレーザビーム(102,103)の第1及び第2の中心線(CL1,CL2)は、それぞれ、第1及び第2の点(A1,A2)において第1及び第2の表面部分(152,153)に衝突し、その点を通って、各々第1及び第2の点(A1,A2)において第1及び第2の表面部分(152,153)と実質的に垂直な第1及び第2の平行軸線(AX1,AX2)が通過するように、かつ、第1及び第2の軸線(AX1,AX2)がオフセット(OS)するように、第1及び第2のレーザビーム(102,103)の狙いを定める段階を含む
ことを特徴とする方法。 - 第1及び第2のレーザビーム(102、103)は、第1及び第2の中心線(CL1、CL2)が交差し、かつ、互いに対して角度を持つように狙いが定められる
ことを特徴とする請求項1記載の方法。 - 第1及び第2のレーザビーム(102、103)と第1及び第2の中心線(CL1、CL2)とが平行で互いにオフセット(OS)している
ことを特徴とする請求項1記載の方法。 - レーザビームは、レーザ衝撃ピーニングにより生成される第1及び第2のスポット(158,159)のうちの重なり合い隣接するスポットの、重なり合い隣接する列(R)を持つような物品(108)の第1及び第2の表面部分(152,153)に第1及び第2のパターンを形成するような方法で狙いが定められて発射される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。 - 第1及び第2のパターンを形成する段階が、
物品(108)を、一方でレーザビームを静止した状態のままに保ち、かつ、反復可能なパルスで一定なパルス間の周期により連続的に発射しながら、連続的に動かす段階を更に含む
ことを特徴とする請求項4記載の方法。 - 対向する第1及び第2の側面を持ち、該第1及び第2の側面の間の距離が、該第1及び第2の側面の両方の側面を同時にレーザ衝撃ピーニングしたとき該両方の側面から反射された張力波がレーザの軸線方向の中間点で出会い結合されて過大な引張応力を引き起こす距離である、レーザ衝撃ピーニング加工した物品(108)であって、
前記第1及び第2の側面の第1及び第2のレーザ衝撃ピーニングされた表面部分(152,153)から各々物品(108)の中へ延在する深い圧縮残留応力を持つ第1及び第2の領域(156,157)を具える、物品(108)の前記第1及び第2の側面の両面のレーザ衝撃ピーニングされた第1及び第2の表面部分(152,153)
を含み、かつ、
第1及び第2の表面部分(152,153)は、
前記第1及び第2の側面の第1及び第2の表面部分(152,153)の材料を蒸発させるのに十分な出力の第1及び第2のレーザビーム(102,103)であって、該第1及び第2のレーザビーム(102,103)の第1及び第2の中心線(CL1,CL2)が、それぞれ、第1及び第2の点(A1,A2)において第1及び第2の表面部分(152,153)に衝突し、その点を通って、各々第1及び第2の点(A1,A2)において第1及び第2の表面部分(152,153)と実質的に垂直な第1及び第2の平行軸線(AX1,AX2)が通過するように、かつ、第1及び第2の軸線(AX1,AX2)がオフセット(OS)するように、狙いが定められた、第1及び第2のレーザビーム(102,103)
により、同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1及び第2のスポット(158,159)の対(88)を含む
ことを特徴とする物品(108)。 - 同時にレーザ衝撃ピーニングされた第1及び第2のスポット(158、159)の対が実質的に平行である
ことを特徴とする請求項6記載の物品(108)。 - 物品(108)の第1及び第2の表面部分(152、153)は、各々第1及び第2のスポット(158、159)のうちの重なり合い隣接するスポットの、重なり合い隣接する列(R)の第1及び第2のパターンを含む
ことを特徴とする請求項6又は7記載の物品(108)。 - 前記物品(108)は、ガスタービンエンジンエーロフォイル(134)であり、前記第1及び第2の側面は、該エーロフォイルの正圧側及び負圧側(146、148)であり、前記第1と第2の表面部分(152、153)は、前記エーロフォイル(134)の前縁(LE)に沿う前記エーロフォイル(134)の各々正圧側及び負圧側(146、148)上である
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項記載の物品(108)。
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