JP5187664B2 - 車両用圧縮空気供給システムおよびエアドライヤ - Google Patents

車両用圧縮空気供給システムおよびエアドライヤ Download PDF

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Description

本発明は、車両に装備されたエアブレーキ装置やエアサスペンション装置等の空圧回路に使用するための圧縮空気供給システムに関する。特に本発明は、エアドライヤ内の乾燥剤の再生作業を電子制御できるシステムにおいて、電子制御部分の故障に対応する上で有効な技術に関する。さらに本発明は、そうした圧縮空気供給システムに使用する上で好適なエアドライヤに関する。
この種の圧縮空気供給システムは、基本的に、圧縮空気を吐出する空気圧縮機と、この空気圧縮機が吐出した圧縮空気から水分等の異物を除去するエアドライヤと、このエアドライヤを通過した圧縮空気を貯えるエアタンクとを備える。図3は、従来の圧縮空気供給システムの概略図を示す。
図3に示す圧縮空気供給システム10において、空気圧縮機12の出口16は、エアドライヤ26を介してエアタンク25に接続している。これにより、空気圧縮機12の出口16から吐出された圧縮空気は、エアドライヤ26で水分等の異物が除去された後、エアタンク25に貯えられる。空気圧縮機12は、圧縮空気の供給が不要の間、圧縮空気の吐出機能を無能化するアンロード手段18を備えている。アンロード手段18は、管路20を介して伝わるアンロード指令圧に応じて、空気圧縮機12を負荷状態と無負荷状態とに切り換えるものである。一方、エアドライヤ26は、ハウジングの内部に乾燥剤30を備えている。エアドライヤ26の入口32から供給された圧縮空気は、乾燥剤30を通過することで水分等が除去され、出口34から排出される。エアドライヤ26は、通常、乾燥剤30による除去処理の前段階で、大きな水滴や油滴をフィルタ等によって予め除去する構成となっている。乾燥剤30は、空気圧縮機12が活動不能となったときに合わせて、周期的な再生作業を必要とする。この再生作業は、エアドライヤ26の下端部に設けたドレンバルブ35を開くことで行う。ドレンバルブ35は、制御ポート27を通して伝わるパージ指令圧に応じて開き、エアドライヤ26の内部を大気と連通する。このとき、エアドライヤ26内の乾燥された圧縮空気が乾燥剤30を逆流しながら大気に排気され、エアドライヤ26内のドレン等をパージしながら乾燥剤30を再生することになる。
空気圧縮機12のアンロード手段18に対するアンロード指令圧は、第一のソレノイドバルブ(アンロード制御バルブ)36から出力される。また、エアドライヤ26のドレンバルブに対するパージ指令圧は、第二のソレノイドバルブ(パージ制御バルブ)28から出力される。これらソレノイドバルブ36,28は、電子制御装置38によって制御される。第一のソレノイドバルブ36は、電子制御装置38からの電気信号に応じて開くことでエアタンク25とアンロード手段18とを連通し、空気圧縮機12を無負荷状態とするためのアンロード指令圧をアンロード手段18へ送る。第二のソレノイドバルブ28は、電子制御装置38からの電気信号に応じて開くことでエアタンク25とドレンバルブ35とを連通し、ドレンバルブ35を開くためのパージ指令圧を送る。この圧縮空気供給システム10によれば、アンロード手段18およびドレンバルブ35を電子制御装置38によってそれぞれ個別に制御することができる。
特許2795944号公報
圧縮空気供給システム10は、電子制御装置38や各ソレノイドバルブ36および28等を含む電子制御部品が故障し、あるいはそれら電子制御部品をつなぐ電気回路が断絶や漏電等を生じることで、各ソレノイドバルブ36,28が作動できない状態になると、直ちにシステム作動不良となる。特にパージ指令圧を制御する第二のソレノイドバルブ28が作動不能になると、エアドライヤ26内の乾燥剤が再生できずに飽和状態に達するとともに、エアドライヤ26内にドレンが蓄積する。この結果、エアドライヤ26による異物除去作用が満たされなくなり、これより下流の各空圧機器に悪影響(例えば、腐食促進やドレン凍結による作動不能等)を生じることになる。
本発明はこうした問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エアドライヤのパージ作業を電子制御できる圧縮空気供給システムにおいて、電子制御部品が故障等したときでもシステム作動不良を生じることなく、有効に対応することができる技術を提供することにある。また、本発明の別の目的は、こうした圧縮空気供給システムに使用する上で好適なエアドライヤを提供することにある。
本発明は、ドレンバルブへつながる指令圧通路にパージ指令圧を出力するためのソレノイドバルブと、このソレノイドバルブに対して電気的な指令信号を出力する電子制御部とを備えた車両用圧縮空気供給システムにおいて、さらに、その指令圧通路とは別に、前記ソレノイドバルブをバイパスするようにドレンバルブへつながる補助用の指令圧通路を設け、この補助用の指令圧通路にパージ指令圧を出力するための空圧作動式のプレッシャガバナを備えたことを特徴とする。これによれば、電子制御部品の故障等によってソレノイドバルブが作動不能になったとしても、その故障に影響を受けない空圧作動式のプレッシャガバナが作動し、補助用の指令圧通路からドレンバルブへパージ指令圧を送ることができる。パージ指令圧を受けたドレンバルブは開弁し、パージエアタンク内の圧縮空気により乾燥器内のドレン等をパージして乾燥剤を再生する。
また、本発明は、パージ指令圧を制御するための上記ソレノイドバルブおよび上記電子制御部を備えたエアドライヤにおいて、さらに、パージ指令圧を別通路から送るための上記補助用の指令圧通路および上記プレッシャガバナをも備えたことを特徴とする。このソレノイドバルブは、電子制御部からの電気信号に基づいて、ドレンバルブへつながる指令圧通路とエアドライヤの出口とを接続し、パージ指令圧をドレンバルブに対して送るものである。また、プレッシャガバナは、エアドライヤの出口のエア圧力によって作動し、補助用の指令圧通路とエアドライヤの出口とを接続することで、パージ指令圧をドレンバルブに対して送るものである。これによれば、電子制御部品の故障等によってソレノイドバルブが作動不能になったとしても、その故障に影響を受けない空圧作動式のプレッシャガバナが作動し、補助用の指令圧通路からドレンバルブへパージ指令圧を送ることができる。
電気作動式のソレノイドバルブおよび空圧作動式のプレッシャガバナは、それぞれエアドライヤの出口のエア圧力に応じて作動させることができる。この場合、電子制御部は、エアドライヤの出口のエア圧力を検出する圧力センサに接続され、この圧力センサの検出値が所定の第1の設定圧力に達したとき、ソレノイドバルブによりパージ指令圧を出力させる。また、プレッシャガバナは、エアドライヤの出口のエア圧力を受けて作動し、その出口のエア圧力が所定の第2の設定圧力に達したとき、パージ指令圧をドレンバルブへ出力する。
ここで、プレッシャガバナがパージ指令圧を出力する第2の設定圧力は、ソレノイドバルブがパージ指令圧を出力する第1の設定圧力に比べて高く設定することができる。この場合、ソレノイドバルブによってパージ指令圧を制御している間、エアドライヤの出口のエア圧力が第2の設定圧力に達することがないため、プレッシャガバナは作動しない。これにより、プレッシャガバナがソレノイドバルブによるパージ指令圧の制御を阻害しない構成にすることができる。
また、例えば車両を始動したとき、ドレンバルブへ出力される最初のパージ指令圧は、プレッシャガバナから出力させることができる。通常、車両の始動時、エアドライヤの内部および出口のエア圧力は大気圧の状態にある。この状態で空気圧縮機が稼動し、圧力センサの検出値が最初に第1の設定圧力に達しても、電子制御部はソレノイドバルブを作動させない。その後、エアドライヤの出口のエア圧力が第2の設定圧力にまで達したとき、プレッシャガバナが作動してパージ指令圧を出力する。これによって、プレッシャガバナが正常に作動していることを確認できる。プレッシャガバナの正常作動の確認は、例えば圧力センサの検知結果に基づいて電子制御部が判断できる。
本発明によれば、電子制御部品の故障等が生じても空圧作動式のプレッシャガバナが作動してドレンバルブに対してパージ指令圧を送ることができる。したがって、エアドライヤのパージ作業を確実に行うことができ、エアドライヤによる圧縮空気の異物除去作用をより安定して確保することができる。
本発明に係る第一の実施の形態である圧縮空気供給システムの回路図。 本発明に係る第二の実施の形態である圧縮空気供給システムの回路図。 従来技術に係る圧縮空気供給システムの回路図。
符号の説明
100,200 圧縮空気供給システム
112,212 空気圧縮機
118 アンロード手段
125 エアタンク
126,226 エアドライヤ
128,228 パージ制御バルブ(第二のソレノイドバルブ)
130 乾燥剤
132 入口
133 パージエアタンク
134,234 出口
135,235 ドレンバルブ
136 アンロード制御バルブ(第一のソレノイドバルブ)
138,238 電子制御部
139 除湿器
171 指令圧通路(アンロード指令用)
172,272 指令圧通路(パージ指令用)
174,274 補助用の指令圧通路(パージ指令用)
175 プレッシャガバナ
185 逆流制御バルブ(第三のソレノイドバルブ)
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、図1は、本発明に係る第一の実施の形態であって、車両用圧縮空気供給システム100の回路図を示す。この圧縮空気供給システム100は、図3に示すシステムと同様、圧縮空気を吐出する空気圧縮機112と、圧縮空気中の異物除去機能を含むエアドライヤ126と、圧縮空気を貯えるエアタンク125とを備える。空気圧縮機112は、圧縮空気の吐出機能を無能化する(空気圧縮機112を負荷状態と無負荷状態とに切り換える)アンロード手段118を備える。
空気圧縮機112の出口116は、エアドライヤ126の入口132に接続している。エアドライヤ126は、内部に再生可能な乾燥剤を収容した乾燥器139と、この乾燥器139内を通過した後の圧縮空気の一部を貯えるパージエアタンク133とを備える。入口132と乾燥器139との間には第一の逆止弁161を備える。この第一の逆止弁161は、エアドライヤ126内の圧縮空気が空気圧縮機112側へ逆流することを防止するものである。さらに、乾燥器139の一次側にはドレンバルブ135を備える。このドレンバルブ135は、パージ指令圧に応じて開弁し、パージエアタンク133内の圧縮空気を乾燥器139内に逆流させることで、乾燥器139内の乾燥剤を再生する。乾燥器139の二次側からパージエアタンク133へ接続された通路には、パージエアタンク133の圧縮空気が乾燥器139側へ逆流するのを防止する第二の逆止弁162と、この第二の逆止弁162をバイパスするように設けられ、パージエアの流量調整のための絞り通路163とを備える。パージエアタンク133の二次側は、第三の逆止弁164を介して出口134に接続している。第三の逆止弁164は、出口134の圧縮空気がパージエアタンク162側へ逆流することを防止するものである。なお、第三の逆止弁164と出口134との間から分岐した流路を車両のエアサスペンション用ポート188に接続している。
エアドライヤ126の出口134は、エアタンク125に接続している。エアタンク125は、例えばエアブレーキ装置用回路や補機用回路を含む4つのエア圧回路21〜24に対応して4つに分かれている。エアドライヤ126とエアタンク125との間にはマルチサーキットプロテクションバルブ190が設けられ、このマルチサーキットプロテクションバルブ190がエアドライヤ126の出口134からつながる流路を4つに分けている。マルチサーキットプロテクションバルブ190は、各エア圧回路21〜24のいずれかが失陥してエア漏れを生じても、その失陥したエア圧回路に対応する保護弁(図示しない)を閉じることで、他の失陥していないエア圧回路を保護するように機能する。
エアドライヤ126は、空気圧縮機112のアンロード手段118およびドレンバルブ135を制御するため、複数のソレノイドバルブ136,128および183と、これらソレノイドバルブ136,128および183に対して電気的な指令信号を出力する電子制御部138とを備えている。第一のソレノイドバルブ(以下、アンロード制御バルブ)136は、通常の無通電状態(消磁状態)では空気圧縮機112のアンロード手段118へつながるアンロード指令用の指令圧通路171を排気ポート181に接続しているが、電子制御部138により通電状態(励磁状態)へ切り換えられると、そのアンロード指令用の指令圧通路171をエアドライヤ126の出口134に接続する。第二のソレノイドバルブ(以下、パージ制御バルブ)128は、通常の無通電状態ではドレンバルブ135へつながるパージ指令用の指令圧通路172を排気ポート182に接続しているが、電子制御部138により通電状態へ切り換えられると、そのパージ指令用の指令圧通路172をエアドライヤ126の出口134に接続する。また、第三のソレノイドバルブ(以下、逆流制御バルブ)183は、エアドライヤ126の出口134近くに設けた第三の逆止弁164をバイパスするように、パージエアタンク133と出口134とを接続する逆流用通路173に設けられ、この逆流用通路173を開閉するものである。この逆流制御バルブ183は、通常の無通電状態では閉位置にあり、電子制御部138により通電されることで開位置に切り換えられる。
エアドライヤ126は、パージエアタンク133のエア圧力を検知する圧力センサ155を備えている。さらに、エアドライヤ126は、マルチプロテクションバルブ190前後の圧力を検知する複数の圧力センサ156,157,158も備えている。うち一つの圧力センサ156は、マルチプロテクションバルブ190の一次側(エアドライヤ126の出口134)のエア圧力を検知する。他の圧力センサ157および158は、マルチプロテクションバルブ190の二次側(エア圧回路21および22に対応する各エアタンク125)のエア圧力を検知する。これら圧力センサ155〜158は、電子制御部138と電気的に接続され、それぞれの検知結果を各ソレノイドバルブ136,128,183の制御に使用することができる。
こうした圧縮空気供給システム100は、以下のとおり作用する。空気圧縮機112の出口116から吐出された圧縮空気は、エアドライヤ126の入口132および第一の逆止弁161を通して、乾燥器139内部へ導入される。乾燥器139内を通過することで水分等の異物が除去された圧縮空気は、エアドライヤ126の出口134およびエアサスペンション用ポート188から排出される。出口134から排出された圧縮空気は、マルチプロテクションバルブ190を通してエアタンク125に貯えられる。また、その乾燥器139を通過した圧縮空気の一部がパージエアタンク133にも貯えられている。
電子制御部138は、圧力センサ156を介してエアドライヤ126の出口134のエア圧が設定圧力に達するまで上昇したことを認識すると、アンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128を通電状態へ切り換える。アンロード制御バルブ136が通電状態へ切り換えられると、そこにつながる指令圧通路171がエアドライヤ126の出口134に接続され、アンロード指令圧がアンロード手段118へ出力される。すると、この指令圧を受けたアンロード手段118が空気圧縮機112を無負荷状態にし、空気圧縮機112はアンロード状態となる。また、パージ制御バルブ128が通電状態へ切り換えられると、そこにつながる指令圧通路172がエアドライヤ126の出口134に接続され、パージ指令圧がドレンバルブ135へ出力される。この指令圧を受けたドレンバルブ135は、開位置に切り換えられ、乾燥器139の内部を大気と連通する。すると、パージエアタンク133内の圧縮空気が絞り通路163を通して乾燥器139内を逆流しながらドレンバルブ135から大気に排気される。この結果、乾燥器139の内部に溜まったドレンが放出されるとともに、乾燥器139内の乾燥剤が再生されることになる。
この後、エアタンク125内の圧縮空気が消費され、エアタンク125の内圧とともにエアドライヤ126の出口134のエア圧が降下していくと、アンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128が無通電状態に戻される。すると、アンロード指令用の指令圧通路171が排気ポート181に接続されることでアンロード手段118へのアンロード指令圧が大気へ排出されるとともに、パージ指令用の指令圧通路172が排気ポート182に接続されることでドレンバルブ135へのパージ指令圧が大気へ排出される。これにより、図1に示す空気圧縮機112の稼動状態に戻る。
さて、この圧縮空気供給システム100は、ドレンバルブ135へパージ指令圧を送るための指令圧通路として、パージ制御バルブ128を配した指令圧通路172とは別に、補助用の指令圧通路174を備えている。補助用の指令圧通路174は、パージ制御バルブ128をバイパスするようにエアドライヤ126の出口134とドレンバルブ135とを接続可能に設けられ、その接続状態を切り換える空圧作動式のプレッシャガバナ175を備えている。プレッシャガバナ175は、空気圧縮機112の稼動状態において補助用の指令圧通路174を排気ポート185に接続しており、エアドライヤ126の出口134のエア圧力が設定圧力に達すると、指令圧通路174をその出口134に接続することでパージ指令圧をドレンバルブ135へ出力する。その後、エアタンク125内の圧縮空気の消費に応じて出口134のエア圧が降下していくと、プレッシャガバナ175は、補助用の指令圧通路174を排気ポート185に接続する元の状態に戻り、ドレンバルブ135へのパージ指令圧が大気へ排出される。
ドレンバルブ135へパージ指令圧を送るための二つの通路(指令圧通路172および補助用の指令圧通路174)の合流箇所には、シャトル弁177を設けている。シャトル弁177は、それら二つの通路からの供給圧力の圧力差によって切り換わり、各通路のうち一方からパージ指令圧が出力されているとき、他方を塞ぐものである。
この空圧作動式のプレッシャガバナ175が作動する設定圧力(補助用の指令圧通路174へパージ指令圧を出力するときのエアドライヤ126の出口134のエア圧力)は、アンロード制御バルブ136が通電される設定圧力(指令圧通路171へアンロード指令圧を出力するときの出口134のエア圧力)およびパージ制御バルブ128が通電される設定圧力(指令圧通路172へパージ指令圧を出力するときの出口134のエア圧力)に比べて高く設定されている。したがって、アンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128によって各指令圧が制御されている間は、エアドライヤ126の出口134のエア圧力がプレッシャガバナ175の設定圧力にまで達することがないため、プレッシャガバナ175は作動しない。これにより、プレッシャガバナ175がアンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128による制御を阻害しない構成にしている。
一方、例えば電子制御部138の故障等によってアンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128を通電できない場合には、エアドライヤ126の出口134のエア圧力がプレッシャガバナ175の設定圧力にまで達して、プレッシャガバナ175が作動する。すると、補助用の指令圧通路174を通したパージ指令圧に基づいてドレンバルブ135が開位置に切り換えられ、パージ作業が行われる。このとき、空気圧縮機112から吐出された圧縮空気もドレンバルブ135から大気に排気されるため、空気圧縮機112は実質的にアンロード状態となり、圧縮空気の供給が停止される。また、アンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128は、無通電の状態で各指令圧通路171,172をそれぞれ排気ポート181,182に接続しているので、プレッシャガバナ175によるパージ制御を阻害することがない。
この圧縮空気供給システム100では、アンロード制御バルブ136およびパージ制御バルブ128が正常に作動している場合、プレッシャガバナ175が作動することはない。そこで、例えば車両を始動したとき、ドレンバルブ135へ送られる最初のパージ指令圧はプレッシャガバナ175を作動させて出力する。これによって、プレッシャガバナ175が正常に作動することを確認することができる。プレッシャガバナ175の正常作動の確認は、圧力センサ155あるいは圧力センサ156の検知結果に基づいて電子制御部138が判断できる。つまり、これら圧力センサ155,156の検知結果がプレッシャガバナ175の作動設定圧力よりも高い値を示したとき、プレッシャガバナ175が正常に作動していないと判断できる。この場合、電子制御部138は、その判断結果を車両の運転手等へ報知しながら、アンロード制御弁136およびパージ制御弁128を作動させる。
パージ指令圧に基づいたドレンバルブ135によるパージ作業は、通常の場合、パージエアタンク133内の圧縮空気が使用される。しかし、車両の状況に応じて、例えば車両がブレーキを作動させることなく走行状態を維持している場合など、エアドライヤ126より下流のエア圧回路において圧縮空気がほとんど消費されない場合がある。この場合には、電子制御装置138は、逆流制御用バルブ183を開位置に切り換える。すると、エアドライヤ126より下流の圧縮空気をパージエアとして使用することで、乾燥器139内のパージをより確実に行うことができる。
図2は、本発明に係る第二の実施の形態であって、圧縮空気供給システム200の回路図を示す。上述の図1に示す圧縮空気供給システム100は、アンロード制御およびパージ制御にそれぞれ個別のソレノイドバルブを使用する。これに対して、この圧縮空気供給システム200は、図1に示すものとは異なり、空気圧縮機212にアンロード手段を備えることなく、その代わりに空気圧縮機212のアンロード機能をエアドライヤ226のドレンバルブ235に負わせるものである。したがって、圧縮空気供給システム200は、図1に示すアンロード制御バルブ136も備えていない。この圧縮空気供給システム200において、電子制御部238は、エアドライヤ226の出口234のエア圧が設定圧力にまで達すると、パージ制御バルブ228を開位置に切り換える。すると、指令圧通路272を介してパージ指令圧がドレンバルブ235へ出力され、このパージ指令圧を受けたドレンバルブ235は開位置に切り換えられる。このとき、空気圧縮機212から吐出された圧縮空気もドレンバルブ235から大気に排気されるため、空気圧縮機212は実質的にアンロード状態となり、圧縮空気の供給が停止される。この圧縮空気供給システム200もまた、ドレンバルブ235へパージ指令圧を送るための指令圧通路として、パージ制御バルブ228を配した指令圧通路272とは別に、補助用の指令圧通路274を備えている。補助用の指令圧通路274は、パージ制御バルブ228をバイパスするようにエアドライヤ226の出口234とドレンバルブ235とを接続可能に設けられ、その接続状態を切り換える空圧作動式プレッシャガバナ275を備えている。
本発明によれば、空圧作動式のプレッシャガバナ175,275によって、ドレンバルブ135,235に対して補助用の指令圧通路174,274からパージ指令圧を送ることができる。このパージ指令圧は、電子制御部138,238の制御に基づくものではなく、空圧作動式のプレッシャガバナ175,275の作動によるものである。したがって、電気制御部品の故障等に起因してパージ制御バルブ128,228が作動不能になったときでも、エアドライヤ126,226のパージ作業を確実に行うことができる。

Claims (2)

  1. 圧縮空気を吐出する空気圧縮機と、この空気圧縮機が吐出した圧縮空気から水分等の異物を除去するエアドライヤと、このエアドライヤを通過した圧縮空気を貯えるエアタンクとを備えた車両用圧縮空気供給システムであって、
    前記エアドライヤは、前記空気圧縮機に連絡される入口と、前記エアタンクに連絡される出口と、それら入口および出口に連絡し、内部に再生可能な乾燥剤を収容した乾燥器と、この乾燥器内を通過した後の圧縮空気の一部を貯えるパージエアタンクと、パージ指令圧に応じて開弁し、前記パージエアタンク内の圧縮空気によって前記乾燥剤を再生するためのドレンバルブとを備えており、
    さらに、前記ドレンバルブへつながる指令圧通路に前記パージ指令圧を出力するためのソレノイドバルブと、このソレノイドバルブに対して電気的な指令信号を出力する電子制御部とを備えた車両用圧縮空気供給システムにおいて、
    前記指令圧通路とは別に、前記ソレノイドバルブをバイパスするように前記ドレンバルブへつながる補助用の指令圧通路を設けるとともに、この補助用の指令圧通路に前記パージ指令圧を出力するための空圧作動式のプレッシャガバナを備え、
    前記電子制御部は、前記エアドライヤの前記出口のエア圧力を検出する圧力センサに接続され、この圧力センサの検出値が所定の第1の設定圧力に達したとき、前記ソレノイドバルブにより前記パージ指令圧を出力させ、
    前記プレッシャガバナは、前記エアドライヤの前記出口のエア圧力が所定の第2の設定圧力に達したとき、前記パージ指令圧を前記ドレンバルブへ出力し、
    前記プレッシャガバナが前記パージ指令圧を出力する前記第2の設定圧力は、前記ソレノイドバルブが前記パージ指令圧を出力する前記第1の設定圧力に比べて高く設定されており、
    車両を始動したとき、前記ドレンバルブへ出力される最初の前記パージ指令圧は前記プレッシャガバナから出力されることを特徴とする車両用圧縮空気供給システム。
  2. 圧縮空気を吐出する空気圧縮機に連絡される入口と、圧縮空気を貯えるエアタンクに連絡される出口と、それら入口および出口に連絡し、内部に再生可能な乾燥剤を収容した乾燥器と、この乾燥器内を通過した後の圧縮空気の一部を貯えるパージエアタンクと、パージ指令圧に応じて開弁し、前記パージエアタンク内の圧縮空気によって前記乾燥剤を再生するドレンバルブと、このドレンバルブに対して前記パージ指令圧を出力するために当該ドレンバルブへつながる指令圧通路と前記出口とを接続するソレノイドバルブと、このソレノイドバルブに対して電気的な指令信号を出力する電子制御部とを備えたエアドライヤにおいて、
    前記指令圧通路とは別に、前記ソレノイドバルブをバイパスするように前記ドレンバルブへつながる補助用の指令圧通路を設けるとともに、前記出口のエア圧力に応じて前記補助用の指令圧通路と前記出口とを接続することでこの補助用の指令圧通路に前記パージ指令圧を出力する空圧作動式のプレッシャガバナを備え、
    前記電子制御部は、前記出口のエア圧力を検出する圧力センサに接続され、この圧力センサの検出値が所定の第1の設定圧力に達したとき、前記ソレノイドバルブにより前記パージ指令圧を出力させ、
    前記プレッシャガバナは、前記出口のエア圧力が所定の第2の設定圧力に達したとき、前記パージ指令圧を前記ドレンバルブへ出力し、
    前記プレッシャガバナが前記パージ指令圧を出力する前記第2の設定圧力は、前記ソレノイドバルブが前記パージ指令圧を出力する前記第1の設定圧力に比べて高く設定されており、
    車両を始動したとき、前記ドレンバルブへ出力される最初の前記パージ指令圧は前記プレッシャガバナから出力されることを特徴とするエアドライヤ。
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