JP5186771B2 - エレベータの非常止め装置 - Google Patents

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この発明は、エレベータの非常止め装置に関するものである。
従来のエレベータの非常止め装置は、かごが下方に増速したことを調速機により検出し、非常止め用シューをかごに対して上方向に引き上げる。非常止め用シューは非常止め用ガイドの傾斜に沿って移動し、ガイドレールに接触する。非常止め用シューはかご床下面に配置される上板に当接まで上昇し、非常止め用ガイドをガイドレールの反対方向に押し出す。この時、くわえ金はピンを中心として非常止め用シュー側が開いたハ字状に開き、その反対側は狭くなり、非常止め用圧縮ばねを圧縮する。この非常止め用圧縮ばねの復元力で非常止め用シューをガイドレールに押し付ける。この時の非常止め用圧縮ばねの圧縮量は、非常止め用シュー上面の下枠の上板下面の距離により決定され、非常止め用シューとガイドレールの摩擦により制動力が発生し、かごを停止させる。このように構成されるエレベータの非常止め装置の減速度は、かごの積載重量が最大の時に所定値を満たすように設定されているため、かご内にほとんど乗客が乗っていない場合は、乗客の重量が最大積載重量とほとんど等しい程度に乗っている場合と比較して、減速度が大きくなり過ぎるという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
そこで、かごの積載重量を秤装置にて測定し、その測定量に応じてストッパを移動させて非常止め用シューを構成する楔片の移動量を調整する楔片位置調整手段を備え、かごの積載重量に応じた減速度を設定するエレベータの非常止め装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−147856号公報 国際公開第WO2006/064555号パンフレット(図4及び図5)
しかし、特許文献2の楔片位置調整手段は、ストッパを移動させるための複雑な機構を必要としていた。また、部品点数が多いため、部品費用の増加や部品製作に時間がかかるという問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡単な構成で、かごが下方に増速した場合でも、かごの積載重量の増減に関わらず一定の減速度でかごを停止させるエレベータの非常止め装置を提供することである。
この発明に係るエレベータの非常止め装置は、かご床と、前記かご床下方に配置される下枠と、前記かご床と前記下枠の間に配置され、前記かごの積載重量に応じて、前記かごを前記下枠に対して鉛直方向に変位させながら支持する弾性体と、前記下枠下方に配置され、前記かご床に固定される非常止め支持体と、前記非常止め支持体に対する上昇量の増加とともにガイドレールへの押圧力を増加させるように前記非常止め支持体に設けられる制動体とを備え、前記制動体は、前記かごに重荷重がかかっている場合は、前記かごに軽荷重がかかっている場合と比較して前記弾性体の圧縮量が増加することにより、通常時における前記下枠下部との間に形成される鉛直方向の隙間量を前記かごに軽荷重がかかっている場合よりも大きくし、非常時には前記下枠に当接するまで前記隙間量を上昇して前記ガイドレールを押圧するものである。
この発明は、かご床と、前記かご床下方に配置される下枠と、前記かご床と前記下枠の間に配置され、前記かごの積載重量に応じて、前記かごを前記下枠に対して鉛直方向に変位させながら支持する弾性体と、前記下枠下方に配置され、前記かご床に固定される非常止め支持体と、前記非常止め支持体に対する上昇量の増加とともにガイドレールへの押圧力を増加させるように前記非常止め支持体に設けられる制動体とを備え、前記制動体は、前記かごに重荷重がかかっている場合は、前記かごに軽荷重がかかっている場合と比較して前記弾性体の圧縮量が増加することにより、通常時における前記下枠下部との間に形成される鉛直方向の隙間量を前記かごに軽荷重がかかっている場合よりも大きくし、非常時には前記下枠に当接するまで前記隙間量を上昇して前記ガイドレールを押圧する構成としたことで、簡単な構成で、かごが下方に増速した場合でも、かごの積載重量の増減に関わらず一定の減速度でかごを停止させるエレベータの非常止め装置を提供することができる。
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの非常止め装置の正面図であって、かごに軽荷重がかかっている状態を示す図、図2は図1のA−A線における断面図、図3はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの非常止め装置の正面図であって、かごに重荷重がかかっている状態を示す図である。
一般に、かご1下部を構成するかご床2下方には、かご枠(図示せず)の下部を構成する下枠3が配置されている。また、かご床2と下枠3の間には、複数のゴムや圧縮ばねからなる弾性体4aを備えた秤装置4が配置されており、かご1の積載重量の増減に応じて弾性体4aの圧縮量を増減させ、かご1を下枠3に対して鉛直方向に変位させながら支持している。一方、下枠3下方のガイドレール5の近傍には、かご1が下方に予め設定されている速度よりも増速した場合に、ガイドレール5を挟持してかご1の下降を停止させる非常止め装置のガイドレール挟持部6が配置されている。このガイドレール挟持部6は、非常止め支持枠からなる非常止め支持体7と、非常止め支持体7に軸支される一対のくわえ金8と、これらのくわえ金8の昇降路中央側端部に両端が固定される非常止め用圧縮ばね9と、一対のくわえ金8のガイドレール5側端部に固定される一対のガイドからなる押圧体10と、ガイドレール5の両レール面及び一対の押圧体10の間に配置される一対の非常止め用シューからなる楔片で構成される制動体11から構成されている。
これらの制動体11は、調速機(図示せず)により、かご1が下方に予め設定されている速度よりも増速したことが検出された非常時には、押圧体10の押圧面に複数配置されたローラ12を介して押圧体10の押圧面に案内面を沿わせ、かつ、制動面をガイドレール5のレール面に接触させながら調速機ロープ(図示せず)により非常止め支持体7に対して引き上げられるように設置されている。また、これらの制動体11の上昇過程においては、制動体11の楔作用により、制動体11の非常止め支持体7に対する上昇量の増加とともに、一対の押圧体10がガイドレール5のレール面から離れる方向への移動量を増加させる。これらの押圧体10の移動に追従して、一対のくわえ金8のガイドレール5側端部もガイドレール5の両レール面から離れる方向の移動量を増加させる。その結果、ピン13を介して回転する一対のくわえ金8の昇降路中央側端部は、互いに近づく方向の移動量を増加させる。したがって、一対のくわえ金8の昇降路中央側端部に両端が固定される非常止め用圧縮ばね9の圧縮量も増加する。即ち、これらの制動体11は、非常止め支持体7に対する上昇量の増加とともにガイドレール5のレール面への押圧力を増加させ、非常時におけるかご1の下降を停止させる制動力を発生させる構成となっている。この発明のエレベータの非常止め装置は、簡単な構成で、かご1の積載重量の増減に関わらず、一定の減速度でかご1を停止させるものである。以下、この発明のエレベータの非常止め装置を詳細に説明する。
図において、1はガイドレール5に案内されて昇降するかご、2はかご1の下部を構成するかご床、3はかご床2の下方に配置され、かご枠の下部を構成する下枠、4は複数のゴムや圧縮ばねからなる弾性体4aを備え、かご1の積載重量の増減に応じて弾性体4aの圧縮量を増減させ、かご1を下枠3に対して鉛直方向に変位させながら支持する秤装置である。この発明の非常止め装置のガイドレール挟持部6を構成する一対の非常止め支持体7は、下枠3下方に配置され、開口部をガイドレール5のレール面側に向けて縦断面コ字状に形成されている。これらの非常止め支持体7は、上部水平部7a及び鉛直連結部7bの交わり部から鉛直上向きに突出して下枠3を貫通するかご床連結部7cによりかご床2下面に固定され、かご1の積載重量の増減に応じて、かご1とともに下枠3に対して鉛直方向に変位する。また、これらの非常止め支持体7の上部水平部7a下面及び下部水平部7d上面の間には、その中央部の互いの対向部近傍で鉛直方向に延びるピン13により非常止め支持体7に軸支される一対のくわえ金8が配置されている。これらのくわえ金8の昇降路中央側端部近傍には、非常止め用圧縮ばね9の両端が固定される一方、ガイドレール5側端部の切り欠き部に設けられたガイドレール5との対向面には、一対の押圧体10が固定されている。これらの押圧体10は、ガイドレール5のレール面側に配置される押圧面が上方から下方に向かってガイドレール5のレール面から離れる方向に傾斜するように形成されている。
さらに、これらの押圧体10とガイドレール5の両レール面の間には、ガイドレール5のレール面と互いに平行に対向して形成される制動面及び押圧体10の押圧面と互いに平行に対向して形成される案内面を備えた一対の制動体11が配置されている。これらの制動体11は、従来と同様に、調速機によりかご1が下方に予め設定されている速度よりも増速したことが検出された非常時には、押圧体10の押圧面に複数配置されたローラ12を介して押圧体10の押圧面に案内面を沿わせ、かつ、制動面をガイドレール5のレール面に接触させながら調速機ロープにより非常止め支持体7に対して引き上げられる構成となっている。即ち、制動体11は、楔作用により、非常止め支持体7に対する上昇量の増加とともに、非常止め用圧縮ばね9の圧縮量を増加させ、ガイドレール5のレール面への押圧力を増加させるように非常止め支持体7に設けられている。また、下枠3下面には、非常止め装置のガイドレール挟持部6を包み込むように一対の保護用側板14及びその先端から互いに対向するように突出する一対の保護用下板15が設けられている。
このように構成されたエレベータの非常止め装置においては、例えば、図1に示すように、かご1に乗客がいない場合等、即ち、かご1に自重のみの軽荷重がかかっている場合は、かご1の自重に基づいて弾性体4aが圧縮され、通常時における制動体11上面と下枠3下面との間に形成される鉛直方向の隙間量はL1となる。この状態で、調速機によりかご1が下方に予め設定されている速度よりも増速したと検出された非常時になると、制動体11は、上端を下方からガイドレール5のレール面と非常止め支持体7の上部水平部7aのガイドレール5側端部の間に形成される隙間に貫通させて、上面を下枠3下面に当接させるまで、非常止め支持体7に対して隙間量L1を上昇する。
一方、図3に示すように、かご1に乗客が乗り込んだ場合等、即ち、かご1に自重及び乗客の重量が加わり、重荷重がかかっている場合は、かご1の自重及び乗客の重量に基づいて弾性体4aが圧縮される。この場合、かご1に軽荷重がかかっている場合と比較して弾性体4aの圧縮量が増加する。この時、制動体11は、かご1、非常止め支持体7等とともに、弾性体4aの圧縮増加量分だけ下枠3に対して下方へ移動する。その結果、通常時における制動体11上面と下枠3下面との間に形成される鉛直方向の隙間量は、かご1に軽荷重がかかっている場合のL1に弾性体4aの圧縮増加量を加えたL2となる。この状態で、調速機によりかご1が下方に予め設定されている速度よりも増速したことが検出された非常時になると、制動体11は、上端を下方からガイドレール5のレール面と非常止め支持体7の上部水平部7aのガイドレール5側端部の間に形成される隙間に貫通させて、上面を下枠3下面に当接させるまで、非常止め支持体7に対して隙間量L2を上昇する。
即ち、制動体11は、かご1に軽荷重がかかっている場合は、通常時における下枠3との間に形成される鉛直方向の隙間量を小さくし、かご1に重荷重がかかっている場合は、その隙間量を大きくするように設置されており、非常時には、上面を下枠3下面に当接させるまで、この隙間量を上昇してガイドレール5のレール面を押圧するように構成されている。
以上で説明した実施の形態1によれば、制動体11は、かご1に軽荷重がかかっている場合は、通常時における下枠3との間に形成される鉛直方向の隙間量を小さくし、かご1に重荷重がかかっている場合は、その隙間量を大きくするように設置されており、非常時には、上面を下枠3下面に当接させるまで、この隙間量を上昇してガイドレール5のレール面を押圧する。このため、制動体11は、かご1の積載重量の増減に応じて、ガイドレール5への押圧力を増減させ、安定した一定のかご1の減速度を得ることができる。また、複雑な機構を必要とせず、部品点数の少ない構造で信頼性の高いエレベータの非常止め装置を得ることができる。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの非常止め装置の正面図である。
実施の形態2においては、制動体11上面にゴム等からなる緩衝体16が固定されている。その他においては、実施の形態1と同様の構成である。この場合、調速機によりかご1が下方に予め設定されている速度よりも増速したことが検出された非常時においては、制動体11上面と下枠3下面の当接による衝撃を緩衝体16が吸収する。
以上で説明した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加え、制動体11上面と下枠3下面の当接による衝撃を緩衝体16が吸収するため、この衝撃がかご1内に伝達されることを確実に防止できる。なお、緩衝体16を制動体11上面ではなく、下枠3下面の制動体11上面との対向位置に固定しても、同様の効果が得られる。
この発明の実施の形態1におけるエレベータの非常止め装置の正面図であって、かごに軽荷重がかかっている状態を示す図である。 図1のA−A線における断面図である。 この発明の実施の形態1におけるエレベータの非常止め装置の正面図であって、かごに重荷重がかかっている状態を示す図である。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの非常止め装置の正面図である。
符号の説明
1 かご
2 かご床
3 下枠
4 秤装置
4a 弾性体
5 ガイドレール
6 ガイドレール挟持部
7 非常止め支持体
7a 上部水平部
7b 鉛直連結部
7c かご床連結部
7d 下部水平部
8 くわえ金
9 非常止め用圧縮ばね
10 押圧体
11 制動体
12 ローラ
13 ピン
14 保護用側板
15 保護用下板
16 緩衝体

Claims (3)

  1. かご床と、
    前記かご床下方に配置される下枠と、
    前記かご床と前記下枠の間に配置され、前記かごの積載重量に応じて、前記かごを前記下枠に対して鉛直方向に変位させながら支持する弾性体と、
    前記下枠下方に配置され、前記かご床に固定される非常止め支持体と、
    前記非常止め支持体に対する上昇量の増加とともにガイドレールへの押圧力を増加させるように前記非常止め支持体に設けられる制動体と、
    を備え、
    前記制動体は、前記かごに重荷重がかかっている場合は、前記かごに軽荷重がかかっている場合と比較して前記弾性体の圧縮量が増加することにより、通常時における前記下枠下部との間に形成される鉛直方向の隙間量を前記かごに軽荷重がかかっている場合よりも大きくし、非常時には前記下枠に当接するまで前記隙間量を上昇して前記ガイドレールを押圧することを特徴とするエレベータの非常止め装置。
  2. 非常止め支持体は、ガイドレールのレール面側に配置される押圧面が上方から下方に向かって前記レール面から離れる方向に傾斜するように形成される押圧体を備え、
    制動体は、前記押圧面に沿って、前記非常止め支持体に対して上昇する楔片で構成されることを特徴とする請求項1記載のエレベータの非常止め装置。
  3. 制動体上面又は下枠下面の前記制動体上面の対向位置に、前記制動体と前記下枠の当接による衝撃を吸収する緩衝体が固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの非常止め装置。
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