JP5184999B2 - エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システム - Google Patents

エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システム Download PDF

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Description

本発明は、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムに関する。
従来、窒素化合物を含む燃料を燃焼して生成された排気ガス中の窒素酸化物を低減する試みがなされている。
原油を精製して製造された重油は、ヂーゼルエンジン又はボイラなどの燃料として用いられている。重油には、化石燃料である原油に由来する窒素化合物が含まれており、重油の燃焼により窒素化合物が酸化されて、窒素酸化物が生成される。この窒素酸化物は、排気ガスと共に大気中に排出される。
大気中に排出された窒素酸化物は、光化学スモッグ又は酸性雨を引き起こす物質であるため、排気ガス中の窒素酸化物を低減する手法が開発されている。
例えば、非特許文献1には、尿素水溶液を用いて、排気ガス中の窒素酸化物を還元することにより、窒素酸化物を低減する脱硝装置が開示されている。窒素酸化物の還元剤として、尿素を用いることは、毒性を有し取り扱いが難しいアンモニアを用いることに比べて、危険性がなく取り扱いが容易である。
図1に、非特許文献1に開示されている脱硝装置の脱硝の原理を示す。
図1に示す脱硝装置では、窒素酸化物を含む排気ガスに対して尿素水溶液を注入し、排気ガスの熱により尿素水溶液からアンモニアを生成し、このアンモニアと窒素酸化物とを、触媒層に通過させることにより、窒素酸化物を還元して、窒素及び水を生成している。
株式会社日本触媒、"尿素還元脱硝装置"、[online]、株式会社日本触媒のウエブページ、[平成20年6月24日検索]、インターネット<URL:http://www.shokubai.co.jp/product/uclear.html>
ボイラ等の燃焼装置は、運転条件によって燃料の燃焼状態が異なるので、排気ガス中の窒素酸化物濃度が変化する。そのため、脱硝装置は、排気ガス中の窒素酸化物濃度に応じて、注入する尿素水溶液の量を変化させる必要がある。
従って、上述した図1の脱硝装置は、排気ガスに対する尿素水溶液の注入量を、燃料の燃焼状態に応じて制御する必要がある。そのため、脱硝装置は、尿素水溶液の注入量を制御する制御装置を備える必要がある。もし、脱硝装置が、この制御装置を備えていない場合には、排気ガス中の窒素酸化物を十分に低減できないおそれがある。
また、図1の脱硝装置は、触媒層が必須の構成要素であることに加えて、排気ガスの処理を行う大掛かりな構成であるため、大きな設置スペースが必要となり、製造コストも高くなる。
また、尿素水溶液からアンモニアを生成するためには、450℃程度の温度が必要である。燃焼装置がボイラの場合には、その排気ガス温度は200℃程度であるため、ボイラの排気ガスのみの熱では尿素水溶液からアンモニアを生成することができない。
更に、燃料が燃焼する際には、上述した燃料に起因する窒素酸化物に加えて、熱のみに起因する窒素酸化物も生成する。
この熱のみに起因する窒素酸化物は、燃料が燃焼する際に、空気中の窒素と酸素との反応によって生成する窒素酸化物である。この熱のみに起因する窒素酸化物は、空気中の窒素と酸素とが、所定の時間の間、1300℃以上の高温及び高圧下に置かれることで生成される。
上記熱のみに起因する窒素酸化物は、燃焼温度を低下することにより、減少させることができる。しかし、一般に、燃焼装置では、燃焼温度と燃焼効率との間には正の相関関係があるので、燃焼温度を低下すると、燃焼効率が低下する問題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、排気ガスに対する脱硝装置が不要か又は簡易にできる、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、燃料の燃焼条件に対応して窒素酸化物濃度を低減できる、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムを提供することを目的とする。
更に、本発明は、排気ガス温度が低くても、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減できる、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムを提供することを目的とする。
更にまた、本発明は、燃焼効率を向上し、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減できる、エマルジョン燃料及びそのような燃料を用いたエマルジョン燃料供給システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るエマルジョン燃料は、燃料油と、尿素水溶液からなり、上記燃料油中に分散している粒子と、を有しており、燃料油と尿素水溶液を流体混合装置により撹拌・混合するとともに、流体混合装置は、下部に流入口を設ける一方、上部に流出口を設けた撹拌槽内に、回転駆動源に連結した回転軸を配置し、回転軸には複数の混合エレメントを軸方向に間隔をあけて固定し、混合エレメント同士の間の位置には整流板を配置して、整流板の外周を撹拌槽の内周面に固定し、整流板の中心部には流体が通過可能な円形状の孔を形成するとともに、孔の周辺部を上方に折り曲げて流体が孔中を下方から上方へ向って流れやすいように形成し、混合エレメントは、中央に流通孔を有して前面に前方開口する有底筒状の小室が多数配列して形成されている第1の円板と、前面に前方開口する有底筒状の小室が多数配列して形成されている第2の円板とを具備し、第2の円板を上方に位置させる一方、第1の円板を下方に位置させて、その中心部が回転軸に固定され、重ね合わせた両円板の外周側が連結されて、第1の円板と第2の円板の前面同士が対向して同心的に重ね合わされ、第1の円板の小室と第2の円板の小室とは互いの小室が対向する他の複数の小室に連通するように位置を違えて配列され、燃料油と尿素水溶液の混合液を撹拌槽の下部に設けた流入口から流入させて撹拌槽内に充填し、回転駆動源によって回転軸を介して複数の混合エレメントを回転させて、各混合エレメントの流通孔から吸引される混合液が混合エレメントの内部を流動されながら混合作用を受けて外周側から遠心力によって吐出され、吐出された混合液が整流板の中心部に形成した孔を通して上方の混合エレメントの流通孔に吸引されるように構成し、上記粒子は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有している、ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明に係るエマルジョン燃料供給システムは、尿素と水とを混合して尿素水溶液を製造する尿素水溶液製造部と、燃料油を貯蔵する燃料油タンクと、上記尿素水溶液製造部で製造された尿素水溶液、及び上記燃料油タンクから供給される燃料油から、尿素水溶液からなる粒子が燃料油中に分散したエマルジョン燃料を製造するエマルジョン燃料製造部と、上記エマルジョン燃料製造部で製造されたエマルジョン燃料を一時保管した後、エマルジョン燃料を燃焼する燃焼装置へエマルジョン燃料を供給するエマルジョン燃料タンクと、を備えており、上記エマルジョン燃料製造部は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有する上記尿素水溶液からなる粒子を含むエマルジョン燃料を製造する前記流体混合装置を備えている、ことを特徴とする。
上述した本発明のエマルジョン燃料及びエマルジョン燃料供給システムによれば、排気ガスに対する脱硝装置が不要か又は簡易にできる。
また、上述した本発明のエマルジョン燃料及びエマルジョン燃料供給システムによれば、燃料の燃焼条件に対応して窒素酸化物濃度を低減できる。
更に、上述した本発明のエマルジョン燃料及びエマルジョン燃料供給システムによれば、排気ガス温度が低くても、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減できる。
更にまた、上述した本発明のエマルジョン燃料及びエマルジョン燃料供給システムによれば、燃焼効率が向上する。
以下、本発明に係るエマルジョン燃料の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本実施形態のエマルジョン燃料は、燃料油と、この燃料油中に分散している複数の粒子と、を有している。この粒子は、尿素水溶液からなる。以下、この粒子を、尿素水粒子ともいう。
本実施形態のエマルジョン燃料は、重油等の燃料を燃焼するボイラ又はヂーゼルエンジン等の燃焼装置の燃料として用いられる。化石燃料である重油等の燃料には、窒素化合物が含まれており、燃料の燃焼により窒素化合物が酸化されて、窒素酸化物が生成される。この窒素酸化物は、排気ガスと共に大気中に排出される。
また、燃料が燃焼する際には、上述した燃料に起因する窒素酸化物(以下、フュエルNOxともいう)に加えて、熱のみに起因する窒素酸化物(以下、サーマルNOxともいう)も生成する。この窒素酸化物も、排気ガスと共に大気中に排出される。
本実施形態のエマルジョン燃料は、上記燃料油として、化石燃料である重油等を用いて構成されるが、上記尿素水粒子を含んでいることにより、エマルジョン燃料の燃焼により生成される排気ガス中のフュエルNOx及びサーマルNOx濃度が共に低減される。
本実施形態のエマルジョン燃料は、油中水滴型の分散系であり、いわゆるWater in Oil(W/O)エマルジョンである。
エマルジョン燃料を構成する上記燃料油としては、化石燃料である原油を精製して製造される各種の燃料油を用いることができる。特に、油中の窒素化合物の濃度が高い重油を、上記燃料油として用いると、排気ガス中の窒素酸化物濃度を大幅に低減できる。
尿素水粒子を構成する尿素は、化学式CO(NH22で表わされ、無色無臭で人体に害のない化合物である。尿素は、20℃における水に対する溶解度が1080g/Lであり、容易に水に溶ける性質を有している。
尿素水溶液は、450℃程度の熱を加えることにより、アンモニアと二酸化炭素とを生成する。即ち、尿素水粒子を含むエマルジョン燃料は、燃焼により、アンモニアを生成する。
次に、図2を参照して、本実施形態のエマルジョン燃料を用いる燃焼装置における脱硝原理を説明する。
本実施形態のエマルジョン燃料を構成する燃料油は、燃焼装置の燃焼室内において、燃焼する。この燃焼による発生する熱によって、図2の式(1)に示すように、エマルジョン燃料を構成する尿素水粒子から、アンモニア(NH3)と二酸化炭素(CO2)とが生成する。
また、燃料油中の窒素化合物の窒素と空気中の酸素とが反応して、図2の式(2)に示すように、フュエルNOxが生成する。フュエルNOxとしては、主にNO2が生成するが、NOも生成する。
また、空気中の窒素と酸素とが反応して、図2の式(3)に示すように、サーマルNOxが生成する。サーマルNOxとしては、主にNOが生成するが、NO2も生成する。
サーマルNOx及びフュエルNOxのNOは、図2の式(4)に示すように、アンモニア及び酸素と反応して、窒素と水とを生成する。
また、フュエルNOx及びサーマルNOxのNO2は、図2の式(5)に示すように、アンモニアと反応して、窒素と水とを生成する。
図2の式(4)及び(5)で生成した窒素と水は、排気ガスと共に大気に放出される。
上述したように、本実施形態のエマルジョン燃料を用いると、排気ガスを処理するための新たな脱硝装置を燃焼装置に設けることなく、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減できる。
なお、燃焼状態等によっては、フュエルNOx又はサーマルNOxが排気ガス中に残る場合がある。この場合には、図2に示すように、排気ガスを、窒素酸化物を還元する触媒に通過させて、排気ガス中の窒素酸化物を完全に窒素及び水に変化させることが好ましい。
また、本実施形態のエマルジョン燃料は、尿素水粒子中に含まれる水分が、燃焼の熱により気化・蒸発する。その際、尿素水粒子を取り囲む燃料油を飛散して、細かい径の油粒子を形成する。油粒子は、比表面積が大きいため、酸素との接触面積が大きくなり、局部的な不完全燃焼が減少して、燃焼効率が向上すると共に、粒子状物質(PM)の生成を抑制する。
上記尿素水粒子の添加率は、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減するべく、上記燃料油の窒素濃度、燃焼装置におけるエマルジョン燃料の燃焼条件等に応じて適宜調節することが好ましい。例えば、ボイラの排出ガスに含まれる窒素酸化物濃度は、ヂーゼルエンジンの排出ガスに含まれる窒素酸化物濃度よりも一桁低い。
次に、燃焼装置としてボイラ及びヂーゼルエンジンを用いて、上記尿素水粒子の添加率の具体例を以下に説明する。
燃料油として重油を用い、且つ燃焼装置がボイラである場合には、尿素水粒子の添加率は、燃料油の体積を基準として、4〜15体積%であることが好ましい。
尿素水粒子の添加率が4体積%以上であることにより、排気ガス中の窒素酸化物を確実に低減できる。一方、尿素水粒子の添加率が15体積%以下であることが、ボイラにおけるエマルジョン燃料の適切な燃焼を確保する上で好ましい。
別の具体例として、燃料油として重油を用い、且つ燃焼装置がヂーゼルエンジンである場合には、尿素水粒子の添加率は、燃料油の体積を基準として、10〜30体積%であることが好ましい。
尿素水粒子の添加率が10体積%以上であることにより、排気ガス中の窒素酸化物を確実に低減できる。一方、尿素水粒子の添加率が30体積%以下であることが、ヂーゼルエンジンにおけるエマルジョン燃料の適切な燃焼を確保する上で好ましい。
また、上記尿素水粒子における尿素の濃度は、即ち尿素水溶液中の尿素の添加率は、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減するべく、上記燃料油の窒素濃度、燃焼装置におけるエマルジョン燃料の燃焼条件等に応じて、上述した尿素水粒子の添加率と共に、適宜調節することが好ましい。
次に、上記尿素水溶液中の尿素の添加率の具体例を以下に説明する。
燃料油として重油を用い、且つ燃焼装置がボイラである場合には、尿素水溶液中の尿素の添加率は、水の質量を基準として、10〜50質量%であることが好ましい。
尿素水溶液中の尿素の添加率が10質量%以上であることにより、排気ガス中の窒素酸化物濃度を確実に低減できる。一方、尿素水溶液中の尿素の添加率が50質量%以下であることが、尿素コストの低減及びボイラにおけるエマルジョン燃料の適切な燃焼を確保する上で好ましい。
別の具体例として、燃料油として重油を用い、且つ燃焼装置がヂーゼルエンジンである場合には、尿素水溶液中の尿素の添加率は、水の質量を基準として、30〜100質量%であることが好ましい。
尿素水溶液中の尿素の添加率が30質量%以上であることにより、排気ガス中の窒素酸化物濃度を確実に低減できる。一方、尿素水溶液中の尿素の添加率が100質量%以下であることが、尿素コストの低減及びヂーゼルエンジンにおけるエマルジョン燃料の適切な燃焼を確保する上で好ましい。
本実施形態のエマルジョン燃料は、尿素水粒子である分散質と、重油等の燃料油である分散媒とから構成されている。尿素水粒子は、燃料油中に均一に分散していることが好ましい。また、この尿素水粒子の燃料油内における分散状態は、エマルジョン燃料の製造した後も、経時変化がないか又は少ないことが好ましい。
更に、エマルジョン燃料は、尿素水粒子が、たとえ燃料油中で沈降、浮上又は凝集等の変化を生じても、撹拌等の外力を加えることにより、製造直後の分散状態に容易に戻る再分散性を有していることが好ましい。
分散質である尿素水粒子の比重が、分散媒である燃料油の比重よりも大きければ、尿素水粒子には重力により沈降する外力が働く。一方、尿素水粒子の比重が、燃料油の比重よりも小さければ、尿素水粒子には浮力により浮上する外力が働く。
また、尿素水粒子が沈降又は浮上すると、尿素水粒子同士間の距離が縮まり、接触し易くなる。尿素水粒子同士が接触すると、表面エネルギーを減少させるために、凝集して比表面積を低減する。このように、複数の尿素水粒子同士が凝集すると、より大きな粒径を持つ尿素水粒子が生成される。尿素水粒子の比重が、燃料油よりも大きい場合には、尿素水粒子の沈降速度は、ストークスの法則に従って、粒径の2乗に比例して大きくなると考えられる。
上述した沈降、浮上又は粒子同士の接近を防止する手法として、尿素水粒子の粒径を、粒径の運動がブラウン運動による拡散力が支配的になる大きさにすることがある。ブラウン運動は、分散媒である燃料油を構成する分子の尿素水粒子に対する不規則な衝突に起因する、尿素水粒子のランダムな運動である。尿素水粒子の粒径が十分に小さくなると、ブラウン運動が、他の外力に対して相対的に増加してくる。そのため、尿素水粒子は、ブラウン運動による拡散力に支配されてランダムな運動を行う。その結果、尿素水粒子の運動は、沈降、浮上又は粒子同士の接近が回避される。
また、尿素水粒子がエマルジョン燃料中で沈降又は浮上した場合には、エマルジョン燃料中に尿素水粒子の濃度差が生じることになるが、ブラウン運動による拡散力は、このような濃度差を低減するように働くので、尿素水粒子の分散状態を均一化させる。
更に、上述したように、尿素水粒子の粒径を小さくすると、ストークスの法則に従って、尿素水粒子の重力による沈降速度が低減すると考えられる。
上述した分散安定性を実現するために、本実施形態のエマルジョン燃料の尿素水粒子は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である粒度分布を有している。
尿素水粒子の粒径の下限については特に制限はないが、現実に製造可能なエマルジョン燃料における尿素水粒子の粒径の下限値は、0.1μm程度である。
エマルジョン燃料は、製造後、すぐにボイラ又はヂーゼルエンジン等の燃焼装置で用いられるとは限らない。この場合には、エマルジョン燃料は、製造後に貯蔵タンク内で一時的に保管されることになる。従って、上述したエマルジョン燃料の分散安定性は、貯蔵タンク内で保管されている間も保たれていることが好ましい。
次に、本実施形態のエマルジョン燃料の長時間にわたる分散安定性について以下に説明する。
本実施形態のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径に対して、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で2時間経過した時の尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径の増加率が、3%以下であることが好ましい。
このように、本実施形態のエマルジョン燃料は、貯蔵タンク内に長時間にわたり保管されても、その分散状態にほとんど変化がない。
ここで、「製造した直後」とは、エマルジョン燃料を製造した後、その粒径を粒度分布測定装置を用いて測定するために要する程度の時間が経過した時点を意味する。粒度分布の測定には、公知の手法を用いることができる。
ボイラ又はジーゼルエンジン等の燃焼装置を搭載した船舶は、修理等の理由により、長期間にわたり燃焼装置を使用しない場合もある。このような観点から、エマルジョン燃料の分散安定性は、貯蔵タンク内で長期間にわたり保管されている間も保たれていることが好ましい。
そこで、本実施形態のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径に対して、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径の増加率は、10%以下であることが好ましい。
このように、本実施形態のエマルジョン燃料は、貯蔵タンク内に長期間にわたり保管されても、その分散状態の変化はわずかである。
上述した本実施形態のエマルジョン燃料によれば、尿素水粒子が燃料油中に分散しているので、燃焼過程で窒素酸化物を低減するため、排気ガスに対する脱硝装置が不要か又は簡易にできる。また、尿素水粒子が燃料油中に長時間にわたり安定して分散しているので、貯蔵タンク内に長期間にわたり保管されても、その分散状態にほとんど変化がないため、長期間にわたる保管後もそのまま燃焼装置で使用できる。
また、エマルジョン燃料は、燃料自体に尿素水粒子が含まれているので、燃料の燃焼条件に対応して窒素酸化物濃度を低減でき、且つ、排気ガス温度が低くても、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低減できる。
更に、エマルジョン燃料は、エマルジョン燃料の燃焼過程で、サーマルNOxも低減するので、燃焼温度を下げる必要がないため、燃焼効率が向上する。
次に、上述した本実施形態のエマルジョン燃料の第1の製造装置について、図3〜図8を参照して以下に説明する。図3は、上述したエマルジョン燃料を製造する第1の製造装置を示す部分断面図である。図4は、図3の混合エレメントの分解斜視図である。図5は、図3の混合エレメントの断面図である。図6は、図3の混合エレメントを構成する第1の円板の平面図である。図7は、図3の混合エレメントを構成する第2の円板の平面図である。図8は、図3の混合エレメントの第1の円板および第2の円板を重ね合わせた場合における各小室の連通配列状態を示す図である。
第1の製造装置30(以下、単に装置30ともいう)は、図3に示すように、原料である流体を撹拌してエマルジョン燃料を製造する攪拌型の流体混合装置である。
装置30は、撹拌槽20と、この撹拌槽20内の流体にせん断力等の外力を加える混合エレメント10と、混合エレメント10が取り付けられる回転軸22と、回転軸22を駆動して混合エレメント10を回転する回転駆動源21とを有している。
撹拌槽20は、横断面が円形であり、縦断面が図3に示すようにUの字形状の容器であり、上述した混合エレメント10、回転軸22、及び回転駆動源21等が組み付けられている。回転駆動源21は、モータ等を用いて構成されている。回転駆動源21には、回転軸22が取り付けられている。
撹拌槽20の下部には、エマルジョン燃料の原料である尿素水溶液及び燃料油の混合液が流入される流入口23が設けられている。また、撹拌槽20の上部には、製造されたエマルジョン燃料が流出する流出口24が設けられている。
装置30は、図3に示すように、3つの混合エレメント10を有している。3つの混合エレメント10は、軸方向に間隔を空けて回転軸22に固定されている。なお、混合エレメント10の数は、必要に応じて適宜変更しても良い。
上記撹拌槽20は、図3に示すように、3つの円形状の整流板25を有している。2つの整流板25は、混合エレメント10同士の間の位置において、その外周を撹拌槽20の内周面に密接させて固定されている。残りの1つの整流板25は、最上部に位置する混合エレメント10の上方の位置において、その外周を撹拌槽20の内周面に密接させて固定されている。
各整流板25は、中心部に円形状の孔を有しており、この孔を通って流体が通過可能に形成されている。また、各整流板25は、図3に示すように、上記孔の周辺部が上方に折り曲げられており、流体が、下方から上方へ向って流れ易くなっている。また、回転軸22は、上記孔を通して配置されている。
混合エレメント10は、図3〜図7に示すように、中央に流通孔13を有し、前面に前方開口する六角形状の筒状の小室14,14aが多数配列して形成されている第1の円板11と、前面に前方開口する六角形状の筒状の小室14,14aが多数配列して形成されている第2の円板12と、を有している。第1の円板11と第2の円板12とは、前面同士を対向させ、同心的に重ね合わされており、第1の円板11の小室14,14aと第2の円板12の小室14,14aとは、互いの小室が対向する他の複数の小室に連通する様に位置を違えて配列されている。
第1の円板11及び第2の円板12それぞれの小室14,14aは、有底の筒状である。小室14,14aの壁は、上記前面に対して直角に成した筒状の側壁15により構成されている。小室14,14aは、側壁15が互いに連接して配置されている。また、第1の円板11と第2の円板12とは、図5に示すように、それぞれの小室14,14aの端面16同士を、相互を密着させて上下に重ね合わされている。
また、混合エレメント10は、上述した形態では、小室14、14a…の平面視形状を六角と成してハニカム状に多数配列したものを示したが、かかる形状に何ら限定されず、小室14、14a…の平面視形状を三角、四角、八角…等と成したり、又円形と成しても良い。
また、2枚の第1の円板11及び第2の円板12の他の実施の形態としては、任意の小室14、14a…の底面中央に、この小室14、14a…を形成する側壁15の端面16までの高さより低くした突起を設けても良い。このような構成により、流体の流れに乱れを積極的に生じさせることが可能となる。また、この突起を、第1の円板11又は第2の円板12の中心部に近づくに従って順次小さくすることにより、円周方向に配列される小室14、14a…の直径方向における外側と内側との内容積を均一化し、脈動を防止してスムーズな流れを確保できる。
2枚の第1の円板11及び第2の円板12を重ね合わせた状態で固定する手段としては、第1の円板11及び第2の円板12における小室14、14a…が形成されていない外周側の円周方向における適宜位置に、ボルトおよびナット等のネジ結合手段を用いている。
各混合エレメント10は、第2の円板12を上方に位置させて、第1の円板11を下方に位置させて、その中心部が回転軸22に固定されている。
次に、上述したエマルジョン燃料の第1の製造装置30を用いて、エマルジョン燃料を製造する方法を、以下に説明する。
まず、エマルジョン燃料の原料である尿素水溶液及び燃料油の混合液を、流入口23から撹拌槽20内に充填する。
次に、撹拌槽20内の混合液中の適宜位置に配設した3つの混合エレメント10を回転駆動源21によって回転させることにより、混合エレメント10の流通孔13から吸引される混合液は、混合エレメント10の内部を流動して外周側から遠心力によって吐出し、これによって撹拌槽20内に、図1中の矢印にて示すような液の循環流が発生すると共に、混合エレメント10の内部を流動する混合液に各種混合作用を与えている。
ここで、混合エレメント10による混合液に対する各種混合作用に関し、混合エレメント10内部における液の流れは、例えば図5に示す矢印のように混合エレメント10における下方の第1の円板11の流通孔13から吸引される液は、上方の第2の円板12により直進進路が妨げられて方向を変え、互いに連通する小室14、14a…を経て中央部から外側に向かって放射状に衝突、分散、合流、蛇行、渦流等の状態が組合わさって複雑に流動して最終的に混合エレメント10の外周側から放射状に吐出される。
また、混合液は上記の様に、各小室14、14a…の底面および側壁15への衝突、各小室14、14a…から他の複数の小室14、14a…への分散、複数の小室14、14a…から他の一つの小室14、14a…への合流、蛇行、さらに複数の小室14、14a…から各小室14、14a…への流入による渦流による流体力学的なせん断、各小室14、14a…から他の小室14、14a…への連通路であるオリフイスを通過する際の流体力学的なせん断、衝撃的破壊による粉砕、側壁15の端面16を通過する際のせん断、機械的なキャビテーション等によって分散混合が行われる。
また、ここで混合エレメント10の分散総数については、中心より順次放射状に配列した第1の円板11及び第2の円板12における小室14、14a…の室数によって決定されるのであり、例えば図8に示す平面視六角状のものであれば、室数が12室、18室、24室、23室(計77室)の4列状の第1の円板11と、室数が9室、15室、21室、21室(計66室)の4列状の第2の円板12を重合させた混合エレメント10の合計した分散総数は数千にも達する。
このように、混合液は、混合エレメント50における各小室14,14aを通過する際に様々な外力を受けて、尿素水粒子の粒径が微細化される。
流入口23から撹拌槽20内に流入した混合液は、上述したように、最下方の混合エレメント10の流通孔13に吸引されて撹拌された後、真ん中の混合エレメント10で撹拌され、最後に最上方の混合エレメント10で撹拌された後、流出口24から撹拌槽20の外へ流出して、上述した実施形態のエマルジョン燃料が製造される。
また、装置30から流出したエマルジョン燃料を、再度流入口23から撹拌槽20内へ注入して、撹拌を行なっても良い。この再撹拌は、必要に応じて、複数回繰り返しても良い。
装置30を用いたエマルジョン燃料の製造条件の具体例を以下に述べる。撹拌槽20の容量を70L、回転駆動源21の回転数を2750rpm、エマルジョン燃料の再撹拌を2回(混合液の最初の撹拌を含めて計3回の撹拌)とすると、混合エレメント10における混合液の吸引量が20L/分となり、エマルジョン燃料の製造量として1200L/時間が得られる。
このように、装置30によれば、上述した実施形態のエマルジョン燃料を容易に製造することができる。
次に、上述した本発明に係るエマルジョン燃料の第2の製造装置について、図9を参照して以下に説明する。図9は、エマルジョン燃料を製造する第2の製造装置を示す断面図である。
第2の製造装置40(以下、単に装置40ともいう)は、図9に示すように、原料である流体を加圧注入して、エマルジョン燃料を製造する静止型の流体混合装置である。
装置40は、図9に示すように、両端に入口42及び出口43を有した円筒状のケーシング41を有しており、6個の混合エレメント50が、直列的にケーシング41内に配置されている。
混合エレメント50は、上述した装置30の混合エレメント10と同様の構成を有している。但し、混合エレメント50における第1の円板51は、ケーシング41の内周面に密接する外径を有しており、第2の円板52の外径は、ケーシング41の内周面から離間してその内周面との間に流通路48が形成される大きさを有している。
装置40では、6個の混合エレメント50が、それぞれの第1の円板51の外径をケーシング41の内周面に密接させて、且つ、ケーシング41の入口42及び出口43と流通孔13が連通する様に両側に第1の円板51を位置させて、ケーシング41内に配置されている。なお、ケーシング41内に配置する混合エレメント50の数は、必要に応じて適宜変更して良い。
各混合エレメント50は互いに同径の円板が隣接するように重ね合わせてケーシング41の中空内部に直列的に配設されている。
直列状態の混合エレメント50の両側には第1の円板51を配置して、第1の円板51の流通孔13と入口42及び出口43を連通させている。
ケーシング41は、円筒状のケーシング本体44の両端の開口部に夫々外周方向に突出するフランジ45、45aが形成され、フランジ45、45a端面にケーシング本体44の内径より小径な入口42および出口43を中央に形成した板状の蓋体46、46aを着脱自在に装着している。
次に、上述したエマルジョン燃料の第2の製造装置を用いて、エマルジョン燃料を製造する方法を、以下に説明する。
まず、エマルジョン燃料の原料である尿素水溶液及び燃料油の混合液を、ポンプ等を用いて入口42からケーシング41内に加圧注入する。
次に、加圧注入した混合液の流れは、例えば図9に示す矢印のように、上流側の混合エレメント50の流通孔13からその内部に達し、第2の円板52により直進進路が妨げられて方向を変え、互いに連通する小室14,14aを経て中央部から外側に向かって放射状に直角衝突、分散、合流、蛇行、渦流等の状態が組み合わさって複雑に流動する。
この様に、上流側の混合エレメント50を通過してケーシング41の内周面に到達した混合液は、そのケーシング41の内周面と第2の円板52とによって形成された流通路48から下流側の混合エレメント50の各小室14,14aに入り、上述の様な直角衝突、分散、合流、蛇行、渦流等の複雑な流れで中央部に集合され、再び流通孔13から下流側の混合エレメント50に入り、そして、再度各小室14,14aを経ながら中央部から外側へ向かって直角衝突、分散、合流、蛇行、渦流等によって複雑に、順次混合エレメント50の内部を流動し、出口43より排出される。
混合液は、上述した装置30を用いたエマルジョン燃料の製造方法において説明したのと同様に、混合エレメント50における各小室14,14aを通過する際に様々な外力を受けて、尿素水粒子の粒径が微細化される。
また、装置40から流出したエマルジョン燃料を、再度入口42からケーシング41の入口42へ加圧注入して、混合を行なっても良い。この再混合は、必要に応じて、複数回繰り返しても良い。
装置40を用いたエマルジョン燃料の製造条件の具体例を以下に述べる。エマルジョン燃料の原料である尿素水溶液及び燃料油の混合液を、ポンプ等を用いて入口42からケーシング41内に加圧注入する際の圧力は、4.5〜6kgf/cm2である。
このように、装置40によれば、上述した実施形態のエマルジョン燃料を容易に製造することができる。
上記第1及び第2の製造装置を用いてエマルジョン燃料の製造方法を説明したように、本実施形態のエマルジョン燃料は、中央に流通孔13を有し、前面に前方開口する筒状の小室14,14aが多数配列して形成されている第1の円板11,51と、前面に前方開口する筒状の小室が多数配列して形成されている第2の円板12,52と、を備え、第1の円板11,51と第2の円板12,52とは、前面同士を対向させ、同心的に重ね合わされており、第1の円板11,51の小室と第2の円板12,52の小室とは、互いの小室が対向する他の複数の小室に連通する様に位置を違えて配列されている、混合エレメント10,50を用いて、流通孔13から、尿素水溶液及び燃料油を吸引又は加圧注入させて製造されることができる。
次に、本発明に係るエマルジョン燃料供給システムの好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本実施形態のエマルジョン燃料供給システムは、ボイラ又はヂーゼルエンジン等の燃焼装置を備えた船舶に搭載されており、上述したエマルジョン燃料を用いて、ボイラ又はヂーゼルエンジン等の燃焼装置から排出される排気ガス中の窒素酸化物を低減するシステムである。
本実施形態のエマルジョン燃料供給システムの構成図を図10に示す。
本実施形態のエマルジョン燃料供給システム(以下、単にシステムともいう)100は、図10に示すように、尿素を貯蔵する尿素タンク110と、水を貯蔵する水タンク115と、尿素と水とを混合して尿素水溶液を製造する尿素水溶液製造部120と、燃料油を貯蔵する第2燃料油タンク140と、尿素水溶液製造部120で製造された尿素水溶液、及び第2燃料油タンク140から供給される燃料油から、尿素水溶液からなる粒子が燃料油中に分散したエマルジョン燃料を製造するエマルジョン燃料製造部150と、このエマルジョン燃料製造部150で製造されたエマルジョン燃料を一時保管した後、エマルジョン燃料を燃焼する燃焼装置へエマルジョン燃料を供給するエマルジョン燃料タンク160と、を備えている。
図10の例では、船舶は、エマルジョン燃料を燃焼する装置として、第1ボイラ190及び第2ボイラ195を備えている。第1ボイラ190及び第2ボイラ195は、システム100から尿素水粒子を含むエマルジョン燃料の供給を受け、このエマルジョン燃料を燃焼して、窒素酸化物濃度が低減された排気ガスを排出する。
尿素水溶液製造部120は、尿素タンク110から供給される尿素及び水タンク115から供給される水を混合して、尿素水溶液を製造する。尿素水溶液製造部120は、通路65を介して、製造した尿素水溶液をエマルジョン燃料製造部150へ供給する。
この通路65には、定流量ポンプ170aが配置されており、尿素水溶液製造部120からエマルジョン燃料製造部150へ供給される尿素水溶液を計量する。
尿素水溶液製造部120は、第1ボイラ190及び第2ボイラ195から発生する窒素酸化物の低減に適した尿素濃度に尿素水溶液中の尿素濃度を調節する濃度調節部125を有している。
濃度調節部125は、尿素タンク110から通路62を介して尿素水溶液製造部120に供給される尿素の量を制御する。また、濃度調節部125は、水タンク115から通路63を介して尿素水溶液製造部120に供給される水の量を制御する。このようにして、濃度調節部125は、尿素水溶液製造部120で製造される尿素水溶液の尿素濃度を調節する。従って、尿素水溶液製造部120は、尿素水溶液中の尿素の添加率を、第1ボイラ190及び第2ボイラ195に適した所望の数値で設定できる。
尿素水溶液製造部120に供給する尿素の量の制御を容易にする観点から、尿素タンク110に貯蔵する尿素を高濃度の尿素水溶液にしても良い。この高濃度の尿素水溶液としては、例えば飽和濃度の尿素水溶液を用いることができる。調節部125は、例えば、マスフローコントローラ及びポンプ等を用いて構成することができる。
更に、尿素水溶液製造部120に供給する尿素の量の制御精度を高める観点から、飽和濃度の尿素水溶液と水とを混合した尿素水溶液を製造し、この尿素水溶液を尿素水溶液製造部120に供給しても良い。
また、システム100は、第2燃料油タンク140に燃料油を供給する第1燃料油タンク130を有している。第1燃料油タンク130は、第2燃料油タンク140よりも大きな容量を有しており、船舶外部から船舶に供給される燃料油は、まず、この第1燃料油タンク130に貯蔵される。
第2燃料油タンク140は、エマルジョン燃料製造部150の近傍に配置されており、上記第1燃料油タンク130から通路64を介して供給された燃料油を貯蔵している。第2燃料油タンク140は、貯蔵している燃料油を、通路66を介してエマルジョン燃料製造部150へ供給する。
この通路66には、定流量ポンプ170bが配置されており、第2燃料油タンク140からエマルジョン燃料製造部150へ供給される燃料油を計量する。なお、各通路には、図示していないが、流体を送るポンプが適宜配置されている。
エマルジョン燃料製造部150は、図3に示す装置30と、図9に示す装置40とを備えている。エマルジョン燃料製造部150は、供給された尿素水溶液及び燃料油を撹拌又は/及び混合して、エマルジョン燃料を製造する。
エマルジョン燃料製造部150は、供給された尿素水溶液及び燃料油を、装置30で処理した後装置40で処理しても良いし、又は、装置40で処理した後装置30で処理しても良い。
また、エマルジョン燃料製造部150は、供給された尿素水溶液及び燃料油を、装置30のみで処理しても良いし、装置40のみで処理しても良い。
エマルジョン燃料製造部150に供給される尿素水溶液の量は、定流量ポンプ170aにより計量されている。同様に、エマルジョン燃料製造部150に供給される燃料油の量は、定流量ポンプ170bにより計量されている。従って、エマルジョン燃料中の尿素水粒子の添加率は、所望の数値で設定できる。
そして、エマルジョン燃料製造部150は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有する尿素水溶液からなる粒子を含むエマルジョン燃料を製造する。このエマルジョン燃料は、上述した実施形態に係るエマルジョン燃料である。
エマルジョン燃料製造部150は、製造したエマルジョン燃料を、通路67を介してエマルジョン燃料タンク160に供給する。
エマルジョン燃料タンク160は、製造された所定の量のエマルジョン燃料を一時保管して、エマルジョン燃料を安定した流量で第1ボイラ190及び第2ボイラ195に供給する。また、本実施形態で製造されるエマルジョン燃料は、分散安定性に優れているので、長期間の保管に対しても、尿素水粒子の粒度分布の変化が少ない。従って、第1ボイラ190及び第2ボイラ195が停止している等の場合には、エマルジョン燃料製造部150で製造したエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク160において長期間の保管ができる。
エマルジョン燃料タンク160は、第1ボイラ190及び第2ボイラ195というエマルジョン燃料を燃焼する2つの燃焼装置に対して、燃料供給部180を介してエマルジョン燃料を供給する。
エマルジョン燃料タンク160は、通路68を介して、保管しているエマルジョン燃料を燃料供給部180に供給する。燃料供給部180は、定流量ポンプ185を有しており、この定流量ポンプ185を用いて、供給されたエマルジョン燃料を通路70を介して第1ボイラ190に供給する。また、燃料供給部180は、定流量ポンプ185を用いて、供給されたエマルジョン燃料を通路71を介して第2ボイラ195に供給する。
燃料供給部180は、通路69を介してエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク160に送り戻して、エマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク160と燃料供給部180との間で循環させて再混合することができる。
また、燃料供給部180は、通路72を介してエマルジョン燃料をエマルジョン燃料製造部150に供給することができる。エマルジョン燃料製造部150は、供給されたエマルジョン燃料を撹拌又は混合して、尿素水粒子を燃料油中に再分散する。このように、システム100は、燃料供給部180を用いて、エマルジョン燃料タンク160から、貯蔵されているエマルジョン燃料をエマルジョン燃料製造部へ送る燃料送り手段を有している。
次に、上述したエマルジョン燃料供給システムの変形例を、図11を参照しながら以下に説明する。この変形例について特に説明しない点については、上述の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
図11に示す変形例のエマルジョン燃料供給システム(以下、単にシステムともいう)200は、第1ボイラ190及びヂーゼルエンジン198にエマルジョン燃料を供給する。システム200では、上述した図10に示すシステム100の構成に加えて、ヂーゼルエンジン198にエマルジョン燃料を供給するエマルジョン燃料タンク161及び燃料供給部181が追加されている。一方、システム200では、システム100の構成から、第2ボイラ195に燃料を供給していた通路71が取り除かれている。
システム200の濃度調節部125は、第1ボイラ190及びヂーゼルエンジン198から発生する窒素酸化物の低減に適した尿素濃度に尿素水溶液中の尿素濃度を調節する。従って、尿素水溶液製造部120は、尿素水溶液中の尿素の添加率を、第1ボイラ190又はヂーゼルエンジン198に適した所望の数値で設定できる。
システム200は、2つのエマルジョン燃料タンク160、161を有しており、各エマルジョン燃料タンク160,161は、2つのエマルジョン燃料を燃焼する燃焼装置190、198それぞれに対して、エマルジョン燃料を供給する。
システム200は、第1ボイラ190向けの組成で製造したエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク160に保管する。また、システム200は、ヂーゼルエンジン198向けの組成で製造したエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク161に保管する。
エマルジョン燃料製造部150は、通路73を介して、製造したエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク161に供給する。エマルジョン燃料タンク161は、通路74を介して、エマルジョン燃料を燃料供給部181に供給する。
燃料供給部181は、定流量ポンプ186を有しており、この定流量ポンプ186を用いて、供給されたエマルジョン燃料を通路76を介してヂーゼルエンジン198に供給する。
燃料供給部181は、通路75を介してエマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク161に送り戻し、エマルジョン燃料をエマルジョン燃料タンク161と燃料供給部181との間で循環させて再混合することができる。
また、燃料供給部181は、通路77を介してエマルジョン燃料をエマルジョン燃料製造部150に供給することができる。
システム200では、燃料供給部180は、第1ボイラ190のみにエマルジョン燃料を供給する。システム200のその他の構成は、システム100と同じである。
上述したシステム200によれば、2つのエマルジョン燃料タンク160、161を有しているので、第1ボイラ190又はヂーゼルエンジン198それぞれの組成で製造したエマルジョン燃料を、別々に保管し供給することができる。
本発明では、上述したエマルジョン燃料、及びエマルジョン燃料供給システムは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、エマルジョン燃料の製造方法に関して、第1又は第2の製造装置30、40を用いて製造する方法を説明したが、本発明に係るエマルジョン燃料は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有する尿素水溶液からなる粒子を含むエマルジョン燃料を製造できれば、他の製造装置又は他の製造方法を用いて製造して良い。
また、エマルジョン燃料には、必要に応じて、防錆剤を添加しても良い。
以下、本発明のエマルジョン燃料について、実施例を用いて更に説明する。ただし、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
尿素水溶液中の尿素の添加率が、水の質量を基準として10質量%となる尿素水溶液を作製し、この尿素水溶液を、尿素水粒子の添加率が燃料油としての廃潤滑油の体積を基準として15体積%となるように、尿素水溶液と廃潤滑油とを混合した混合液を作製した。次に、この混合液を、図3の装置で3.5回の撹拌を行なって、実施例1のエマルジョン燃料を得た。廃潤滑油を構成する炭化水素分子の分子量分布は、重油を構成する炭化水素分子の分子量とほぼ同等であった。なお、図3の装置で3.5回の撹拌を行なうとは、製造したエマルジョン燃料の体積を、図3の装置で製造するのに用いた流量で割った商が3.5であるという意味である。
[実施例2]
尿素水溶液中の尿素の添加率が、水の質量を基準として10質量%となる尿素水溶液を作製し、この尿素水溶液を、尿素水粒子の添加率が燃料油としての廃潤滑油の体積を基準として15体積%となるように、尿素水溶液と廃潤滑油とを混合した混合液を作製した。次に、この混合液を、図9の装置で1.5回の混合を行なって、実施例2のエマルジョン燃料を得た。廃潤滑油を構成する炭化水素分子の分子量分布は、重油を構成する炭化水素分子の分子量とほぼ同等であった。なお、図9の装置で1.5回の撹拌を行なうとは、製造したエマルジョン燃料の体積を、図9の装置で製造するのに用いた流量で割った商が1.5であるという意味である。
実施例1及び2のエマルジョン燃料中の尿素水粒子の粒度分布を以下のように測定した。まず、エマルジョン燃料をトルエンで20倍に希釈した。これは、燃料油である廃潤滑油の色が濃いために、色の濃さを低減するためである。この希釈に用いるトルエンの量は、燃料油の色によって調節する。なお、トルエンに尿素水粒子は溶解しないので、このトルエンの希釈によって尿素水粒子の粒度分布は実質的には変化しない。
上記のように希釈されたエマルジョン燃料の粒度分布を、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置を用いて測定した。具体的には、粒度分布測定装置として、株式会社セイシン企業製LMS−24を用いた。
実施例1及び2のエマルジョン燃料中の尿素水粒子の粒度分布の測定結果を図12及び13に示す。左側の縦軸は、累積体積率を示しており、右側の縦軸は、横軸に示す粒子径の区間に分布する粒子の体積率を示している。
実施例1のエマルジョン燃料の尿素水粒子は、累積体積率が90%になる粒径が7.2μmであり、累積体積率が50%になる粒径が3.3μmであった。また、実施例2のエマルジョン燃料の尿素水粒子は、累積体積率が90%になる粒径が4.1μmであり、累積体積率が50%になる粒径が1.5μmであった。
[実施例3]
尿素水溶液中の尿素の添加率が、水の質量を基準として10質量%となる尿素水溶液を作製し、この尿素水溶液を、尿素水粒子の添加率が燃料油としての廃潤滑油の体積を基準として18体積%となるように、尿素水溶液と廃潤滑油とを混合した混合液を作製した。次に、この混合液を、図3の装置で3.5回の撹拌を行なった後、図9の装置で1.5回の混合を行なって、実施例3のエマルジョン燃料を得た。廃潤滑油を構成する炭化水素分子の分子量分布は、重油を構成する炭化水素分子の分子量とほぼ同等であった。
実施例3のエマルジョン燃料を製造した直後の状態と、実施例3のエマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の状態とに対して、それぞれ、上述した方法で粒度分布の測定を行なった。エマルジョン燃料の製造直後の測定結果を図14に示す。また、静置した状態で30日経過した時の測定結果を図15に示す。
実施例3のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径が22.3μmであり、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径が24.3μmであった。従って、実施例3のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径に対して、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の尿素水粒子の累積体積率が90%になる粒径の増加率が、9.0%であった。
また、実施例3のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が50%になる粒径が11.3μmであり、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の尿素水粒子の累積体積率が50%になる粒径が14.9μmであった。従って、実施例3のエマルジョン燃料は、それを製造した直後における尿素水粒子の累積体積率が50%になる粒径に対して、エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の尿素水粒子の累積体積率が50%になる粒径の増加率が、31.9%であった。
[実施例4]
尿素水溶液中の尿素の添加率が、水の質量を基準として50質量%となる尿素水溶液を作製し、この尿素水溶液を、尿素水粒子の添加率が燃料油としての廃潤滑油の体積を基準として15体積%となるように、尿素水溶液と廃潤滑油とを混合した混合液を作製した。次に、この混合液を、図3の装置で3.5回の撹拌を行なった後、図9の装置で1.5回の混合を行なって、実施例4のエマルジョン燃料を得た。廃潤滑油を構成する炭化水素分子の分子量分布は、重油を構成する炭化水素分子の分子量とほぼ同等であった。
[比較例1]
燃料油としての廃潤滑油を用意して比較例1の燃料を得た。廃潤滑油を構成する炭化水素分子の分子量分布は、重油を構成する炭化水素分子の分子量と同等であった。
[比較例2]
水を、水粒子の添加率が燃料油としての廃潤滑油の体積を基準として15体積%となるように、水と廃潤滑油とを混合した混合液を作製した。次に、この混合液を、図3の装置で3.5回の撹拌を行なった後、図9の装置で1.5回の混合を行なって、比較例2のエマルジョン燃料を得た。
実施例4、比較例1及び比較例2のエマルジョン燃料等を、ヂーゼルエンジンで燃焼して、排気ガス中の窒素酸化物濃度を測定した。
排気ガス中の窒素酸化物濃度の測定を、以下のように行なった。ヂーゼルエンジンとして、M200AL−ENを用いた。排出口実高さは20.00mであった。排出口断面積は0.096m2であった。測定ダクト断面積は0.096m2であった。バーナー定格は139L/hであった。排気ガスの測定時の出力は450kWであった。排気ガス中の窒素酸化物濃度の測定は、フェノールジスルホン酸法(JIS K 0104 5.4)を用いた。排気ガスの平均温度は、実施例4が、119℃、比較例1が、106℃、比較例2が、109℃であった。排気ガス中の窒素酸化物濃度の測定を図16に示す。
実施例4の窒素酸化物濃度は、比較例1の約40%であり、比較例1と比べて窒素酸化物を約60%低減している。また、実施例4の窒素酸化物濃度は、比較例2の約60%であった。
従来の例による脱硝装置の脱硝の原理を示す図である。 本発明に係るエマルジョン燃料を用いた燃焼装置における脱硝原理を説明する図である。 本発明に係るエマルジョン燃料を製造する第1の製造装置を示す部分断面図である。 図3の混合エレメントの分解斜視図である。 図3の混合エレメントの断面図である。 図3の混合エレメントを構成する第1の円板の平面図である。 図3の混合エレメントを構成する第2の円板の平面図である。 図3の混合エレメントの第1の円板および第2の円板を重ね合わせた場合における各小室の連通配列状態を示す図である。 本発明に係るエマルジョン燃料を製造する第2の製造装置を示す断面図である。 本発明に係る窒素酸化物低減システムの一実施形態の構成図である。 図10の窒素酸化物低減システムの変形例の構成図である。 実施例1のエマルジョン燃料の粒度分布を示す図である。 実施例2のエマルジョン燃料の粒度分布を示す図である。 実施例3のエマルジョン燃料の製造直後の粒度分布を示す図である。 実施例3のエマルジョン燃料の静置30日経過後の粒度分布を示す図である。 実施例4のエマルジョン燃料をヂーゼルエンジンで燃焼した場合の排気ガス中の窒素酸化物濃度を示す図である。
符号の説明
30 第1の製造装置
10、50 混合エレメント
11、51 第1の円板
12、52 第2の円板
13 流通孔
14、14a 小室
15 側壁
16 端面
20 撹拌槽
21 回転駆動源
22 回転軸
23 流入口
24 流出口
25 整流板
40 第2の製造装置
41 ケーシング
42 入口
43 出口
44 ケーシング本体
45、45a フランジ
46、46a 蓋体
48 流通路
100 エマルジョン燃料供給システム
110 尿素タンク
115 水タンク
120 尿素水溶液製造部
125 濃度調節部
130 第1燃料油タンク
140 第2燃料油タンク
150 エマルジョン燃料製造部
160、161 エマルジョン燃料タンク
170a、170b 定流量ポンプ
180、181 燃料供給部
185、186 定流量ポンプ
190 第1ボイラ
195 第2ボイラ
198 ヂーゼルエンジン

Claims (12)

  1. 燃料油と、
    尿素水溶液からなり、前記燃料油中に分散している粒子と、
    を有しており、
    燃料油と尿素水溶液を流体混合装置により撹拌・混合するとともに、
    流体混合装置は、
    下部に流入口を設ける一方、上部に流出口を設けた撹拌槽内に、回転駆動源に連結した回転軸を配置し、回転軸には複数の混合エレメントを軸方向に間隔をあけて固定し、混合エレメント同士の間の位置には整流板を配置して、整流板の外周を撹拌槽の内周面に固定し、整流板の中心部には流体が通過可能な円形状の孔を形成するとともに、孔の周辺部を上方に折り曲げて流体が孔中を下方から上方へ向って流れやすいように形成し、
    混合エレメントは、中央に流通孔を有して前面に前方開口する有底筒状の小室が多数配列して形成されている第1の円板と、前面に前方開口する有底筒状の小室が多数配列して形成されている第2の円板とを具備し、第2の円板を上方に位置させる一方、第1の円板を下方に位置させて、その中心部が回転軸に固定され、重ね合わせた両円板の外周側が連結されて、第1の円板と第2の円板の前面同士が対向して同心的に重ね合わされ、第1の円板の小室と第2の円板の小室とは互いの小室が対向する他の複数の小室に連通するように位置を違えて配列され、
    燃料油と尿素水溶液の混合液を撹拌槽の下部に設けた流入口から流入させて撹拌槽内に充填し、回転駆動源によって回転軸を介して複数の混合エレメントを回転させて、各混合エレメントの流通孔から吸引される混合液が混合エレメントの内部を流動されながら混合作用を受けて外周側から遠心力によって吐出され、吐出された混合液が整流板の中心部に形成した孔を通して上方の混合エレメントの流通孔に吸引されるように構成し、
    前記粒子は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有している、
    ことを特徴とするエマルジョン燃料。
  2. 前記エマルジョン燃料を製造した直後における前記粒子の累積体積率が90%になる粒径に対して、前記エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で2時間経過した時の前記粒子の累積体積率が90%になる粒径の増加率が、3%以下である請求項1に記載のエマルジョン燃料。
  3. 前記エマルジョン燃料を製造した直後における前記粒子の累積体積率が90%になる粒径に対して、前記エマルジョン燃料を製造後、静置した状態で30日経過した時の前記粒子の累積体積率が90%になる粒径の増加率が、10%以下である請求項1又は2に記載のエマルジョン燃料。
  4. 前記粒子の添加率は、前記燃料油の体積を基準として、4〜30体積%である請求項1〜3の何れか一項に記載のエマルジョン燃料。
  5. 尿素水溶液中の尿素の添加率は、水の質量を基準として、10〜100質量%である請求項1〜4の何れか一項に記載のエマルジョン燃料。
  6. 前記粒子は、累積体積率が90%になる粒径が10μm以下である粒度分布を有している請求項1〜5の何れか一項に記載のエマルジョン燃料。
  7. 前記燃料油が重油である請求項1〜6の何れか一項に記載のエマルジョン燃料。
  8. 尿素と水とを混合して尿素水溶液を製造する尿素水溶液製造部と、
    燃料油を貯蔵する燃料油タンクと、
    前記尿素水溶液製造部で製造された尿素水溶液、及び前記燃料油タンクから供給される燃料油から、尿素水溶液からなる粒子が燃料油中に分散したエマルジョン燃料を製造するエマルジョン燃料製造部と、
    前記エマルジョン燃料製造部で製造されたエマルジョン燃料を一時保管した後、エマルジョン燃料を燃焼する燃焼装置へエマルジョン燃料を供給するエマルジョン燃料タンクと、
    を備えており、
    前記エマルジョン燃料製造部は、累積体積率が90%になる粒径が25μm以下である粒度分布を有する前記尿素水溶液からなる粒子を含むエマルジョン燃料を製造する請求項1に記載の流体混合装置を備えている、
    ことを特徴とするエマルジョン燃料供給システム。
  9. エマルジョン燃料を燃焼する複数の燃焼装置に対して、エマルジョン燃料を供給する請求項8に記載のエマルジョン燃料供給システム。
  10. 前記エマルジョン燃料を燃焼する複数の燃焼装置が、ボイラ又はヂーゼルエンジンであり、
    前記尿素水溶液製造部は、ボイラ又はヂーゼルエンジンから発生する窒素酸化物の低減に適した尿素濃度に尿素水溶液中の尿素濃度を調節する濃度調節部を有している請求項9に記載のエマルジョン燃料供給システム。
  11. 複数の前記エマルジョン燃料タンクを有しており、
    前記各エマルジョン燃料タンクは、エマルジョン燃料を燃焼する燃焼装置それぞれに対して、エマルジョン燃料を供給する請求項9又は10に記載のエマルジョン燃料供給システム。
  12. 前記エマルジョン燃料タンクから、貯蔵されているエマルジョン燃料を前記エマルジョン燃料製造部へ送る燃料送り手段を有している請求項8から11の何れか一項に記載のエマルジョン燃料供給システム。
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