JP5184329B2 - 基板処理装置、基板処理方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

基板処理装置、基板処理方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
図1に、従来の基板処理装置としての半導体デバイスの製造装置(半導体製造装置)の全体図を示す。従来の装置は、ウエハカセットを搭載するカセットストッカ1と、ボート3と、カセットストッカ1に搭載されたウエハカセットとボート3との間でウエハ6の移載を行うウエハ移載手段(移載機)2と、ボート3を熱処理炉5内に挿入及び引き出すボート昇降手段(ボートエレベータ)4と、加熱手段(ヒータ)を備えた熱処理炉5と、から構成されている。
従来技術を説明するために、図2のような構造を持つ半導体製造装置の熱処理炉5を例に挙げる。図2に示す装置は、100〜150枚程度の積層されたウエハ6を支えるボート3、上部のメインノズル7、多段に配置されたサブノズル8(サブノズル8a〜8d)、ヒータ9、反応管10、及びガス排気口11からなる。この装置では、例えば850〜950℃程度の温度、0.5Torr(67Pa)程度の低圧環境下において、メインノズル7から数千sccmの酸素ガス(O)と数百sccmの水素ガス(H)とを供給し、また同時に、積層されたウエハ6全体に亘り均一に成膜する目的でサブノズル8(8b〜8d)から比較的小流量のHを補助的に供給することにより、ウエハ6上に酸化膜を形成する。酸化膜の成長にはOを必要とするが、0.5Torr程度の低圧環境下においてO単体の原料ガスでは酸化膜の成長速度が極端に遅いことが判っており、これにHを添加することで酸化膜の成長速度が速くなる(例えば特許文献1参照)。また、H単体では酸化膜は形成されないため、即ち、酸化膜成長は、総括的に捉えれば、OとHとの両方の濃度(或いは流量、或いは分圧)に依存する。
国際公開WO2005/020309パンフレット
従来の基板処理装置において、原料ガスをメインノズル7からのみ供給すると、ウエハ6に形成される酸化膜の膜厚がウエハ6の積層方向に亘り不均一となるローディング効果が発生してしまう場合があった。図4に、従来の装置における最も特徴的な膜厚分布を示す。図4の横軸は膜厚を示し、縦軸はウエハ位置を示している。図4では、先述の圧力・温度帯において、メインノズル7からのみ原料ガスとして数千sccmのOと数百sccmのHとを供給している。図4によると、上段から下段にかけて膜厚が薄くなっていることが分かる。
サブノズル8a〜8dからHを補助的に供給することでローディング効果を打ち消すことも可能であるが、この場合、サブノズル8a〜8dからのガス流量をそれぞれ調整する必要が生じてしまう。また、ローディング効果の強度はウエハ6表面に形成された回路パターンに依存するため、ウエハ6の回路パターンが変更となる度にサブノズル8a〜8dからのガス流量をそれぞれ調整する必要がある。
また、特に彫りの深い回路パターンが形成されたウエハ6を処理しようとすると、ローディング効果が非常に大きくなってしまう場合があった。この場合、サブノズル8a〜8dからHを補助的に供給したとしても、サブノズル8a〜8dの噴出孔の存在しない領域において膜厚が相対的に薄くなり、ウエハ6の積層方向の膜厚均一性が悪化してしまうことがあった。
また、サブノズル8a〜8dからHガスを補助的に供給すると、サブノズル8a〜8dの噴出孔が存在しない領域におけるウエハ6面内の膜厚均一性が、サブノズル8a〜8dの噴出孔が存在する領域におけるウエハ6面内の膜厚均一性よりも悪化してしまうことがあった。
本発明は、ウエハに形成された回路パターンの形状によらずにローディング効果の発生を抑制でき、ウエハ面内における膜厚の均一性を向上できる基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理空間を形成する反応管と、前記反応管内で複数枚の基板を配列して支持する支持具と、前記支持具を回転させる回転機構と、前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ複数種類のガスを混合させるミキシング空間と、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられ前記ミキシング空間と前記処理空間とを仕切るウイング状部材と、前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスを供給する第1ノズルと、前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第2ガスを供給する第2ノズルと、前記ミキシング空間内に設けられ前記ミキシング空間内におけるガスの流れを調整するガス流調整部材と、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられ前記ミキシング空間内に供給されたガスを前記処理空間に吐出する吐出口と、前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられ前記反応管内を排気する排気口と、前記排気口を介して前記反応管内を真空排気する真空ポンプと、を有する基板処理装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、反応管内の処理空間に複数枚の基板を搬入する工程と、前記反応管内で前記複数枚の基板を回転させつつ、前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、前記反応管内の前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材により前記処理空間と仕切られるミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスと第2ガスを供給して、この第1ガスと第2ガスを前記ミキシング空間内に設けられたガス流調整部材によりガスの流れを調整しつつ、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられた吐出口より前記処理空間に吐出し、前記処理空間に吐出されたガスを前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられた排気口より排気して、前記複数枚の基板を処理する工程と、処理後の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明にかかる基板処理装置及び半導体装置の製造方法によれば、ウエハに形成された回路パターンの形状によらずにローディング効果の発生を抑制でき、ウエハ面内における膜厚の均一性を向上できる。
まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が検討した従来装置の各課題についてそれぞれ説明する。
<課題1:ローディング効果の発生>
「ローディング効果」とは、反応管10内(反応室)の長手方向(垂直方向)にウエハ6を多段に積層して成膜処理すると、ウエハ6に形成される薄膜の膜厚分布が均一とはならず、積層方向に不均一となってしまうことを言う。図2に示す熱処理炉5を備える従来の基板処理装置では、このローディング効果が大きくなってしまう場合があった。なお、
ローディング効果は、反応管10内におけるメインノズル7のガス噴射口を、図3に示すシャワー板12のような構造とした場合でも同様に発生する。理由を以下に説明する。
従来の基板処理装置では、反応室上部に位置するメインノズル7から上述のような比較的大流量の原料ガス(例えば数千sccmのOガスと数百sccmのHガス)を流す場合、メインノズル7から供給されたOとHは、上段の領域で、一時的に化学平衡に近い状態に達し、それより下段の領域で、各中間生成物のモル分率をそれぞれ一定に保ったまま、積層されたウエハ6周縁部と反応管10内壁との間を流れ落ちる。この時、原料ガスと中間生成物の混合ガスは流動抵抗を受けるので、上段の領域での混合ガスの密度は高く、下段の領域での混合ガスの密度は低くなり、それに伴い原子状酸素Oのモル密度が上下で変化し、上下段において薄膜の膜厚に差が生じることとなる。特に、メインノズル7からの原料ガス流量が数slmと比較的大きい場合には、混合ガスの圧力差・密度差が拡大され、ローディング効果が強くなってしまう。
従来の基板処理装置では、この強いローディング効果を打ち消すために、H供給用のサブノズル8を多段に配置し(図2や図3の場合ではサブノズル8a〜8dの4段)、それぞれのサブノズル8に対し独立に制御されたマスフローコントローラを介してそれぞれ適量のHを供給する事が必須となっていた。しかしながら、均一成膜のための流量条件(各サブノズル8の流量条件)を実験的に求めるには、例えば5〜10回のテスト成膜を行う必要があり、多大な時間と労力とを要する場合があった。また、強い流れ落ちは、後述するようにウエハ6面内の膜厚均一性の悪化を引き起してしまう場合があった。
以下に、「メインノズルからの供給と膜厚分布との関係」に関する検討結果について、さらに詳細に説明する。
図7に、120枚のベアウエハをフルに装填し、温度850〜950℃程度、圧力0.5Torr程度とし、サブノズル8からのHガスの供給を止め、メインノズル7からのOガス及びHガスの供給を流量比O:H=15:1として行った場合の成膜実験結果を示す。図7の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成された酸化膜の膜厚[Å]を示している。以下の説明では、ボート3内の最上段のウエハ支持位置を#120とし、最下段のウエハ支持位置を#1と表す。また、ボート3内の最下段からn段目の支持位置に保持されるウエハをウエハ#nと表す。図7に示す実験結果は、#120から#12までのウエハに対し、3枚ごとにウエハを抜き出してそれぞれのウエハに形成された酸化膜の膜厚を計測したものである。これによると、ウエハ#120に形成された酸化膜の膜厚は比較的薄く、#110近傍のウエハに形成された酸化膜の膜厚は最も厚くなり、ウエハ#110からウエハ#1にかけて膜厚が薄くなる傾向にある。
ウエハ#120からウエハ#110にかけて膜厚が厚くなる理由の一つには、膜の成長に寄与する物質が、HやOの分解したHやOなどの中間生成種であると推測されることが挙げられる。この、成膜に寄与する物質が中間生成種であるという推測が確かであることを証明するため、水素・酸素の素反応解析を行ったので説明する。
図14に、化学反応解析ソフトウェアを用いた素反応解析の計算モデルを示す。この計算モデルは、例えばInlet(ガス入口)からOutlet(ガス出口)までの距離が100cmであり、内径がφ35cm〜40cmである円筒状のガス流路内にHガスとOガスとを同時に流した場合に、Inletからの距離、即ちガスの滞留時間に応じ、ガスの組成がどう変化するのかについてシミュレートすることを目的としている。図14の計算領域においては、InletからOutletまでガスが到達するまでの滞留時間は約0.136秒であって非常に短く、ガスは一瞬で計算領域内を通り抜ける状態である。
図15に、解析に用いた水素・酸素の代表的な素反応式セットを示す。この式は、水素・酸素の燃焼を表現する反応式であり、HとOとが反応してHOになる過程では23段の素反応が存在することを示している。例えば、大気圧程度の圧力の下ではHとOとの燃焼反応は短時間で終了し、最終的にはHOになるが、その過程ではO・H・OH・H・HO等の多数の中間生成種が存在し、相互に反応し合う事を示している。
さて、この素反応式セットを用い、図14の計算モデルに対してInletからHガス及びOガスの供給を流量比O:H=10:1として行うと、図16のような結果となる。
図16の横軸はInletからの距離(滞留時間と同義)、縦軸は各ガスのモル分率を示している。先述の通り、Oの酸化力は小さく、酸化膜形成に支配的ではないと考え、図16には表示していない。これによると、Inlet近傍ではO・H・OH等の化学種は殆ど存在していないが、Inletから20cmの場所から急に反応が進み、O・H・OH・HOのモル分率が上昇している。
これに関連して、図17に、滞留時間とガス組成との関係についての計算結果を示す。図17の横軸は滞留時間(対数表示)、縦軸は各ガスのモル分率を示している。これを見ると、中間生成物のガスは、HOを除けば滞留時間0.1〜1秒の間にモル分率が極大となり、1000秒の滞留時間となると殆どHOとなることが示されている。図17の計算結果から判断すると、図16において、Inletから40cm以降ではガスの組成が変化せず、一見平衡状態に達しているように見える理由は、図14の計算領域におけるガスの滞留時間に対し、ガス組成変化速度(反応速度)が遅いことであると云える。
ここまでの議論で、HガスとOガスとを混合し、ある滞留時間を設けると、HとOとが完全に反応してHOとなる過程で、H,O,OH等の中間生成種が発生することを示した。
次に、この多数のガスのうち実質的に成膜に寄与するガス種を特定することを目的に行った汎用熱流体解析ツールを用いた反応流解析について説明する。汎用熱流体解析ツールでは、化学反応解析ソフトウェアによる素反応解析で用いた反応式を考慮可能な上、実際の処理室と同形状の計算領域を考慮することができ、形状・流れ・反応を同時に解くので、より実際に近い挙動を得られる。
汎用熱流体解析ツールで先述の23段全ての素反応を考慮する事は計算負荷が高く現実的ではないことから、まず、化学反応解析ソフトウェアにて支配的な化学反応を抽出するための感度解析を行った。図18に、感度解析によって得られた5段の素反応式の計算結果を示す。図18の横軸はInletからの距離(cm)、縦軸は各ガスのモル分率を示している。これによると、図16の23段気相素反応の計算結果と比較して、図18の5段の気相素反応計算結果は、H・O・OH・HOの挙動に殆ど変化がない。従って、汎用熱流体解析ツールで考慮すべき素反応式は、図18に示す5段の素反応式で良いと判断できる。
図19に、汎用熱流体解析ツールで考慮した計算領域を示す。かかる計算領域は二次元軸対称系であり、実際に成膜を行う成膜装置(基板処理装置)の熱処理炉5と同一の寸法としており、上段から下段にかけて(図19の左から右にかけて)HガスとOガスとの混合ガスが反応しながら流れ落ち、反応種はウエハとウエハとの間に主に濃度拡散で入り込む形状となっている。また、汎用熱流体解析ツールで考慮する気相の反応式は図18
に示す5段の素反応式であるが、ウエハの表面では、
という、2段(化学式(1),(2)、数式(1),(2))の表面総括反応を考慮した。数式(1),(2)において、[O]はOのモル密度(濃度、すなわち単位体積あたりの分子量)(単位:kmol/m)を、[H]はHのモル密度(単位:kmol/m)を、[OH]はOHのモル密度(単位:kmol/m)をそれぞれ表している。
化学式(1)のO<d>↓は、気相とウエハ(固相)との境界を原子状酸素Oが気相側から固相側に移動することを表しており、単位は[kg/(m・s)]である。酸化膜SiOの膜密度[kg/m]が判れば、O<d>↓は膜成長速度[m/s or Å/min]に変換可能であり、成膜実験結果と比較ができるようになる。
化学式(2)の表面反応は、ウエハ表面におけるH及びOHの消費を表している。例えば数式(2)の反応速度定数ks2を大きくすれば、H及びOHはウエハ表面で消費され、気相におけるH及びOHが少なくなる。すると、5段の気相素反応によりOの濃度もそれに引きつられて小さくなる。この現象が上段から下段にかけて積算されるので、下段にかけてOの濃度が低くなり、数式(1)によって膜成長速度が小さくなる。これにより、後述する「ローディング効果の回路パターン依存性」を表現可能である。
図20に、OガスとHガスとの流量比をO:H=25:1、15:1、10:1、5:1の4種類とし、排気圧力0.5Torr程度、温度900℃程度とした場合の120枚のベアウエハに対する成膜実験結果(実線)と、5段の気相素反応及び2段の表面総括反応を考慮した計算結果(破線)とをそれぞれ示す。図20の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚[Å](成膜速度と同義)を示している。この計算結果を得るために、数式(1)及び数式(2)のks1、α、ks2、β、γの値を、Hガスの流量を変化させた場合のベアウエハに対する成膜実験結果と一致するように試行錯誤してそれぞれ決定した。また、ks1、α、ks2、β、γの値は、一度決定すれば排気圧力およびO:H流量比に対して不変であり、再設定する必要はない。
図20によると、実験結果(実線)と計算結果(破線)とが良好に対応していることが判る。例えば、Oガスの量が豊富な状態でHガスの流量が増加すれば、気相素反応においてO濃度が増加するように気相反応が進行するため、図20のようにHガスの流量に依存して全体的に膜厚が増加する。また、膜厚のHガスの流量に対する全体的な増減のほか、Hガスの流量が増加するに従い膜厚のピーク位置が上段側に移動する現象も良く捉えている。
2段の総括表面反応はシンプルな形をしているが、これ以外に巧く成膜分布を再現する表面反応式は今のところ見つかっていない。例えば、化学式(1)について、
などと式を立てるなどして、化学式(1)以外の式を仮定しても、実際の成膜分布と一致させることはできなかった。従って、化学式(1)より、酸化膜形成に直接寄与する代表的な中間生成種は、原子状酸素Oであると推定した。なお、H,OH,HOは酸化膜成長に関する表面反応には直接関与しないものと推定した。
以上の素反応を基とした数値解析により、図7に示す成膜実験結果は以下の現象によるものと考えられる。
#120から#110にかけて膜厚が厚くなるのは、メインノズル7からHガスとOガスとが供給されるのに対し、最上段のウエハ#120周辺ではH及びOの分解が不十分なため、原子状酸素Oの濃度が低くなり、成膜速度が遅くなることによるものと考えられる。HガスとOガスとはウエハ#120周辺では分解が不十分であるが、ウエハ#110近傍では充分に分解が進み、原子状酸素Oの濃度分布が高くなり、それに伴いウエハ#110周辺で膜厚が最大になるものと考えられる。
#110から#1にかけて膜厚が薄くなるのは、一時的に平衡に近い反応状態に達した混合ガスが、反応状態を保ったまま(各ガスのモル分率が一定のまま)、積層ウエハと反応管10内壁との間の空間を流れ落ちる際に流動抵抗を受け、上段と下段とで圧力が変化することによるものと考えられる。圧力が変化するのに伴いガス密度は変化するので、#110近傍では原子状酸素のモル密度が高くなり、#1近傍では原子状酸素のモル密度が低くなり、それに応じて成膜速度に差が生じる(これを上述のように“ローディング効果”と言う)ものと考えられる。
<課題2:ローディング効果の回路パターン依存性>
ICを製造する工程ではウエハ6上に集積回路パターンを形成するが、本発明者等の検討によれば、回路パターンの形状等に応じ、酸化膜を同じ膜厚に成長させるためのガス流量が異なることが分かった。
ベアウエハ上に酸化膜を形成する場合を基準に考えると、特に、図5に示すようなSTI(Shallow Trench Isolation)などの彫りの深いパターン付きウエハ6を処理する場合には、Siの露出する表面積がベアウエハに比べ何十倍もあるため、膜成長により多くの原料ガスを消費することとなる。逆に、図6に示すような、部分的にSiO等の酸化膜で覆われたウエハ6の場合には、膜成長に必要なガス流量はベアウエハに比べて少なくなる。このように、ウエハ6に施された回路パターンに依存して、同じ膜厚にするために必要な原料ガスの消費量が異なり、ウエハ積層方向で膜厚を均一にするためのサブノズルからのH流量が変化する(これを「ローディング効果の回路パターン依存性」と云う)。つまり、異なる回路パターンのウエハ6が装填されると、サブノズル8からのHの流量を調整しない限り平坦な膜厚分布とならない。
従って、平坦な膜厚分布を実現するには、ウエハ6の回路パターンが変更される度に、サブノズル8からの流量条件を実験的に求める必要がある。しかしながら、均一成膜のための流量条件(各サブノズル8の流量条件)を実験的に求めるには、例えば5〜10回のテスト成膜を行う必要があり、多大な時間と労力とを要する。そして、かかる作業を回路パターンの変更が変更される度に行うこととすれば、その時間と労力は膨大なものとなる。また、回路パターン付きウエハ6は多くの工程を経て製造されるため非常に高価であり
、テスト成膜には多大なコストを要する。
図8は、ローディング効果のパターン依存性を例示する膜厚分布図である。図8の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚[Å]を示している。図8の曲線(a)は図6のような原料ガスの消費の少ないウエハ6を装填した場合の膜厚分布を示し、図7の曲線(b)はベアウエハを装填した場合の膜厚分布を示し、図7の曲線(c)は図5のような原料ガスの消費の多いウエハ6を装填した場合の膜厚分布を示す。図8の曲線(c)の場合におけるウエハ6の表面での中間生成種(OやHやOH)の消費量は、図8の曲線(a)の場合における中間生成種(OやHやOH)の消費量と比較して多い。そのため、図8の曲線(c)では、ボート3内の下段において原子状酸素Oが不足し、その結果、下段における膜厚が図8の曲線(a)に比べ薄くなる(この現象を上述のように“ローディング効果の回路パターン依存性”と言う)。図8によれば、回路パターンが変更される度に、ローディング効果の強度が変化し、平坦な膜厚分布を実現するためのサブノズル8からの最適な流量配分が変化することが分かる。
以上のように本発明者等は、上述の素反応を基にした数値解析を行うことで、以下の現象[1]〜[4]のそれぞれに対するメカニズムを解明した。
[現象1] 成膜に寄与するガスは、原料ガスそのものではなく、中間生成物である。
[現象2] ローディング効果の発生の一要因は、積層されたウエハ6周縁部と反応管10内壁との間の流動抵抗にある。
[現象3] ローディング効果の回路パターン依存性の発生の一要因は、ウエハ6の表面におけるガス消費度合いが回路パターンに依存して変化することにある。
[現象4] 膜厚のHガスの流量依存の一要因は、Hガスの流量に応じ原子状酸素Oが増減することにある。
<課題3:積層方向の膜厚均一性>
図5のような特に彫りの深いパターン付きウエハ6が装填された場合、ウエハ6表面での原料ガスの消費量が増加し、ローディング効果は非常に大きくなる。この場合、図2のような構成の装置を用い、サブノズル8からHガスを補助的に供給したとしても、例えば図11に示すように、ウエハ積層方向の膜厚均一性(ウエハ間の均一性)が悪化してしまうことがあった。図11の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚(面内の平均値)[Å]を示している。図11によれば、サブノズル8の噴出孔の存在しない領域(例えば、図2のサブノズル8aの噴出孔とサブノズル8bの噴出孔との間の領域)における膜厚が、サブノズル8の噴出孔の存在する領域における膜厚よりも薄くなってしまい。ウエハ6の積層方向の膜厚均一性が悪化してしまっていることが分かる。
本発明者等は、サブノズル8からのHガスの供給の影響について数多く数値解析するため、素反応モデルよりも計算負荷の小さい総括反応モデルを構築して解析を進めた。以下に、その総括反応式を記述する。
<気相反応式(反応1)>
<表面反応式(反応2)>
<表面反応式(反応3)>
この3段(化学式(4)〜(6)、数式(3)〜(5))の総括反応モデルは、上記の[現象1]〜[現象4]と同様の特徴を再現可能である。即ち、素反応モデルと同等の解析結果を得ることが可能である。
数式(3)〜(5)のアレニウス型の反応速度定数k1〜k3に関して、一般的には、
のように温度Tの関数で表されるが、計算では温度を一定と仮定したためk=一定値とした。
反応1(化学式(4))は、供給したH及びOが気相中でH及びOに分解する(H及びOが生成する)反応である([現象1]に相当)。
反応2(化学式(5))は、ウエハ表面において、反応1(化学式(4))で生成したH及びOの濃度に応じて、Hは消費されずにOのみ消費される反応である([現象4]に相当)。反応2(化学式(5))の反応速度を表す数式(4)の[O]や[H]は、それぞれモル濃度(kmol/m)を表している。上述のように原料ガス(O,H)が積層されたウエハ6と反応管10内壁との間の空間に流れ落ちる際、流動抵抗を受け、上段と下段とで圧力差が生じる。そうすると、上段と下段とではガス密度に差が生じるため、数式(4)の反応速度が上段と下段とにおいて変わる([現象2]に相当)。
化学式(5)において、O<d>は、図9のようにシリコンと気相との界面を通過したO原子がSiと反応してSiOになることを意味し、
の反応は省略してある。図9に示すように、Siウエハと気相との界面をSiウエハの方向(図9の下方)に向かって通過するO原子は、全てSiと反応してSiOに変化すると考えれば、単位時間・単位面積当たりに界面を通過するOの質量[kg/(m・s)]のみを考慮すれば良く、SiO膜の密度[kg/m]が与えられれば膜の成長速度[m/s or Å/min]を算出可能である。
反応3(化学式(6))は、“ローディング効果のウエハ回路パターン依存性”を表現するための反応式であり、回路パターンに依存してウエハ表面での原料ガス消費量が異な
る現象を、k3の値を増減させることで表現可能である([現象3]に相当)。
例えば、ウエハ表面における原料ガスの消費量が非常に大きい場合を想定する。このとき、反応速度定数k3の値を大きくすると、O+2H→HOの反応が進み、左辺のHやOが多量に消費されHOに変化するようになる。ここで、反応2(化学式(5))の膜成長に関する式を見ると、左辺のH及びOの濃度に応じO<d>(SiO膜)となる形の反応式となっており、反応速度はR2=k2*[O]η2[H]η2(数式(4))で表されるため、反応3(化学式(6))でOやHが消費された場合には反応2(化学式(5))のO<d>の生成速度が遅くなることが判る。即ち、上段のウエハで反応3(化学式(6))の反応が多く起これば、下段のウエハでは原料ガスの不足により膜厚が薄くなることになる。
このように、総括反応式3段(化学式(4)〜(6)、数式(3)〜(5))の記述とした場合においても、現象[1]〜[4]を充分表現可能である。従って、以後この総括反応モデルを用いて説明を進める。
次に、実際に成膜を行う成膜装置(基板処理装置)の熱処理炉5と同寸法の、ウエハ積層方向を回転軸とする2次元軸対象計算モデルを用い、図7に示す120枚のベアウエハに対する成膜条件と同条件の温度、すなわち850〜950℃程度の温度、OガスとHガスとの流量比をO:H=15:1、ガス排気口11での圧力=約0.5Torrとして、上記総括反応を伴う流動計算を行ったので図10を用いて説明する。図10は、120枚のベアウエハを装填した時のシミュレーション結果と成膜実験結果とを例示する膜厚分布図である。図10の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚[Å]を示している。
図10の曲線(b)の破線は膜厚分布の計算結果を示し、曲線(b)の実線は実験結果を示している。図10の曲線(b)によれば計算結果と実験結果とは良く一致している。この総括反応式の記述による数値シミュレーションの結果を考察すると、#120〜#110にかけては反応1(化学式(4))のHとOとの生成反応が進み、膜成長に寄与するガス濃度が高くなるため、#120から#110近傍にかけて膜厚が厚くなる。一方#110から#1については、#110近傍で一時的な平衡状態(滞留時間に対して反応の進行が遅い状態)に達した混合ガスが、積層ウエハと反応管との隙間を流れ落ちる際に生じる圧力差と、反応3(化学式(6))の原料ガスの消費との2つの影響により、下段にかけて膜厚が薄くなる。これらの現象は、メインノズル7からのOガスとHガスとの流量比をO:H=10:1としても同様となる(図10の曲線(a))。
次に、Hガスをサブノズル8a〜8dから追加供給した場合に、膜厚分布がどのように影響を受けるかについて詳細に調べるため、先述の総括反応モデルを用いて数値シミュレーションを行ったので説明する。この数値計算は、ウエハ積層方向を回転軸とする二次元軸対称系であるため、ウエハとウエハとの間を横切るガス流動を解くことが出来ないが、サブノズル8から供給されたHガスが濃度拡散でウエハ中央部に進む現象を解くことが可能である。場の圧力が0.5Torr程度と低く、流動よりも拡散による物質移動のほうが遥かに大きいため、この二次元軸対称モデルでも処理室全体の挙動を把握可能である。
図12(a)はサブノズルからHガスを途中供給した場合のシミュレーション結果を示す膜厚分布図であり、図12(b)はシミュレーション条件であるサブノズルからのHガスの流量条件を示す表図である。図12(a)の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚[Å]を示している。図12(a)の曲線(A)〜曲線(E)は、図12(b)の(A)〜(E)の各流量条件を用いてそれぞれ算出した膜厚分布
曲線である。図12(a)の曲線(A)と曲線(B)とを比較すると、曲線(B)では、サブノズル8a(#97に相当する位置)からHガスを0.15供給したのに伴い、#97近傍のウエハでは図15(a)のTup97の分だけ膜厚が厚くなり、#97より下段の全てのウエハでは曲線(A)に比べてTup97だけ膜厚が厚くなることが判る。また、#97より下段において、曲線(B)の勾配(膜厚降下の度合い)と曲線(A)の勾配とがほぼ等しくなることが判る。ここで、Tup97=“サブノズル8a(#97に相当する位置)からHガスを供給したことによるウエハ#97に形成される酸化膜の膜厚上昇幅”と定義し、Tup65、Tup33、Tup01についても同様に定義する。
次に、図12(a)の曲線(B)と曲線(C)とを比較すると、曲線(C)では、曲線(B)の流量条件に加えてサブノズル8b(#65に相当する位置)からHガスを0.3追加供給したのに伴い、#65近傍のウエハでは図12(a)のTup65の分だけ膜厚が厚くなり、#65より下段の全てのウエハでは曲線(A)に比べてTup97+Tup65の分だけ膜厚が厚くなる(曲線(B)に比べTup65の分だけ膜厚が厚くなる)ことが判る。また、#65より下段において、曲線(C)の勾配と曲線(A)の勾配とがほぼ等しくなることが判る。
このようにサブノズル8bからのHガスの供給位置(#65に相当する位置)より下段において、曲線(A)〜(C)の勾配が互いに等しくなる理由は、OガスとHガスとの混合ガスが、積層ウエハと反応管10内壁との間を流れ落ちる際に受ける流動抵抗による圧力低下の度合いが、図12(a)の曲線(A)〜曲線(C)で互いに等しくなるからである。
これらの事は、図12(a)の曲線(D)と曲線(E)とについても同様であり、サブノズル8a〜8dのいずれかから追加で供給されたHガスは、供給位置近傍のウエハに形成される酸化膜の膜厚を厚くするのと同時に、供給位置より下段のウエハ全てに対し膜厚を厚くする働きがある。すなわち、それぞれのサブノズル8a〜8dの影響は重ね合わせて考えることができる。
そして、図12の曲線(E)によれば、サブノズル8a〜8dからHガスを補助的に供給したとしても、サブノズル8a〜8dの噴出孔の存在しない領域における膜厚が薄くなってしまい、ウエハ積層方向の膜厚均一性(面間均一性)が非常に悪くなってしまう場合があることが分かる。
<課題4:面内の膜厚均一性>
従来の基板処理装置では、ウエハ6を横切るガス流れは殆ど存在せず、ウエハ6の周縁部からウエハ6の中央部に向かう濃度拡散のみで成膜寄与ガスが侵入する構造なので、膜厚の面内均一性に限界がある。
図13に、サブノズル8の噴出孔の位置とウエハ6面内の膜厚分布との関係を示す対応図(実験結果)を示す。これによると、サブノズル8の噴出孔の存在する場所以外では一様に中央凹型(すり鉢状)の膜厚分布となっており、この領域(#39〜#57)では、ウエハ6の周縁部から中央部への濃度拡散が支配的になっていると考えられる。図9の膜厚マップによると、サブノズル8の噴出孔の存在する領域における面内均一性は中央凸型分布ながら比較的良く、サブノズル8の噴出孔の存在しない領域における面内均一性が問題となっている。
ガスの拡散速度の速い0.5Torr程度の低圧場においても、ウエハ6の表面において原料ガスが消費される場合では、気相中のガスの濃度に分布が残ったまま定常状態となるため、この濃度分布に依存してウエハ6の面内の膜厚に分布が生じる。これについて、
図19に示す二次元軸対称計算領域を用い、O:H=15:1とした場合の素反応を基にした解析を行ったので説明する。なお、解析のシミュレーション条件は、上述した「メインノズルからの供給と膜厚分布との関係」に関する検討で用いた条件と同様である。
図21に、メインノズル7からOとHとを供給し、サブノズル8からはHを供給しない場合の定常状態における原子状酸素Oの濃度分布(モル密度)に関する計算結果を示す。図21に示すように、中段・下段のウエハ6において、ウエハ6の半径方向に濃度差(濃度分布)が生じており、この状態で定常状態となっていることが判る。上述した通り、形成される薄膜の膜厚は、原子状酸素Oの濃度に直接依存するため、中段・下段のウエハ6においては、ウエハ6の半径方向に膜厚差が生じることとなる。図21の計算結果によれば、上段のウエハ6を除く全てのウエハ6で、形成される薄膜の膜厚分布が中央凹(すり鉢)型の分布となっている。
図22に、メインノズル7からOとHとを供給し、サブノズル8からHを供給した場合の定常状態における原子状酸素Oの濃度分布(モル密度)に関する計算結果を示す。二次元軸対称系であるため、三次元的なノズルの形状を正しく再現していないが、0.5Torr程度の濃度拡散が支配的な低圧場であるから、ノズルから噴射されるガスの流動はある程度無視した定性的な結果を得ることが得られる。これによると、サブノズル8を追加した場所では、ウエハ6面内の原子状酸素Oの濃度分布が中央凸型になることが分かる。原子状酸素Oの濃度分布が中央凸型になる現象は、サブノズル8の形状を三次元的に考慮した素反応流解析においても再現することが判っており、これらの計算結果は、図13に示すサブノズル8の噴出孔の位置とウエハ面内の膜厚分布との関係と良く対応していることが分かる。
以上のCFD解析(熱流体解析:Computaional Fluid Dynamics)により、濃度拡散による侵入が支配的な低圧場においても、ガスを消費する性質を持つウエハ6を積層した場合には、ウエハ6の半径方向における原子状酸素Oの濃度分布に差が生じたまま定常状態となってしまい、ウエハ6面内の膜厚均一性が悪化してしまう場合があることが分かる。ウエハ6面内の膜厚均一性を改善するには、ウエハ6の積層ピッチを広くしたり、反応室内の圧力を下げたり、サブノズル8の本数を増やす方法が考えられる。しかしながら、ウエハ6の積層ピッチを広くすると、一括で処理できるウエハ6の枚数が減少してしまい、基板処理のスループットが低下してしまう。また、反応室内の圧力を下げると、酸化レートが落ちてしまう。また、サブノズル8の本数を増やすと、基板処理装置の構造が複雑になると共に、均一成膜のための流量条件(サブノズル8の流量条件)を求めるための工数が増えてしまう。
<本実施形態に係る反応管の構成>
次に、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備える反応管20の構成について図23〜図25を参照しながら説明する。図23は、本発明の一実施形態にかかる反応管20内部の概略構成図である。図24は、図23に示す反応管20を基板の積層方向に垂直な断面で切り出した概略図である。図25は、図24に示す反応管20のA−A線断面図である。
図23及び図24に示すとおり、本実施形態に係る反応管20内には、複数枚の基板としてのウエハ6が水平姿勢で垂直方向に配列(積層)された状態で支持される基板配列領域(プロダクト領域)19が設けられている。また、反応管20の内壁と基板配列領域19の外周との間には、基板配列領域19に沿うように設けられ、複数種類のガスを混合させるミキシング空間15L,15Rがそれぞれ構成されている。そして、反応管20の内壁と基板配列領域19の外周との間であって、基板配列領域19を挟んでミキシング空間15L,15Rと対向する領域には、低圧側空間22が構成されている。基板配列領域1
9及び低圧側空間22により処理空間が形成される。
ミキシング空間15Lと処理空間(基板配列領域19及び低圧側空間22)とは、反応管20の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材16Lにより仕切られるように構成されている。また、ミキシング空間15Rと処理空間とは、反応管20の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材16Rにより仕切られるように構成されている。
ミキシング空間15L内のウイング状部材16Lの一端側、及びミキシング空間15R内のウイング状部材16Rの一端側には、第1ガス(酸素含有ガス)としてのOを供給する第1ノズル17と、第2ガス(水素含有ガス)としてのHを供給する第2ノズル18とがそれぞれ設けられている。第1ノズル17及び第2ノズル18は、反応管20の内壁に沿って反応管20内の下方から上方に向けてそれぞれ配設されている。第1ノズル17及び第2ノズル18の下流側端部(上端部)には、ガスを上方に向けて噴出する噴出孔17a及び噴出孔18aがそれぞれ設けられている。噴出孔17a及び噴出孔18aの高さ位置は、基板配列領域19の中央部(ミキシング空間15L及びミキシング空間15Rの高さの半分程度)に一致するように構成されている。
ウイング状部材16Lの他端側には、第1ノズル17及び第2ノズル18によりミキシング空間15L内に供給されたガスを処理空間に吐出する吐出口としてのスリット23Lが、基板配列領域19に対向するように設けられている。また、同様に、ウイング状部材16Rの他端側には、第1ノズル17及び第2ノズル18によりミキシング空間15R内に供給されたガスを処理空間に吐出する吐出口としてのスリット23Rが、基板配列領域19に対向するように設けられている。
スリット23Lとスリット23Rとは、隣接するように配列されて一体となり、ウエハ6の積層方向に沿って垂直方向に開設されたスリット23を構成している。ミキシング空間15L,15R内と基板配列領域19内とは、スリット23を介して連通している。また、ウイング状部材16Lの一端側に設けられた第1ノズル17及び第2ノズル18と、ウイング状部材16Rの一端側に設けられた第1ノズル17及び第2ノズル18とは、スリット23を挟んで対象に配列するように構成されている。
反応管20の側壁下部であって、基板配列領域19(複数枚のウエハ6)を挟んでスリット23と対向する位置には、反応管10内を排気する排気口21aが開設されている。排気口21aには、図24に示すように排気管21が接続されている。
第1ノズル17から供給されたOと第2ノズル18から供給されたHとは、ミキシング空間15L,15R内でそれぞれ充分に混合され、予備分解される。予備分解されたHとOとの混合ガスは、スリット23を通り、基板配列領域19内に導入される。排気管21により反応管20内を排気し、低圧側空間22内を基板配列領域19よりも低圧に保つことにより、スリット23を通った混合ガスが、積層されたウエハ6の隙間を横切り、低圧側空間22に流れる。低圧側空間22に流れた混合ガスは、図25に示すように低圧側空間22内を排気口21aに向かって下方側に流れ落ち、排気管21により排気される。
以下に、上述の反応管20の構成について、本発明者等が得た知見を交えて詳しく説明する。
〔ミキシング空間内の原子状酸素Oの濃度分布〕
本発明者等の知見によれば、ミキシング空間15L,15R内に供給された原料ガス(OとHとの混合ガス)は、スリット23を通過して基板配列領域19に到達する迄に
、一時的な平衡状態となるまで充分に分解させるのが望ましい。本発明者等は、図23〜25に示すミキシング空間15L内の原子状酸素Oの濃度分布について、部分的にCFD解析を行ったので説明する。なお、以下ではミキシング空間15Lを解析対象としているが、ミキシング空間15Rはミキシング空間15Lと同一形状であるため、ミキシング空間15R内においても同様の現象が発生する。
図26(a)は反応管20内に形成された解析対象としてのミキシング空間15Lを示し、(b)はミキシング空間15Lを直方体状に変形した計算領域25aを示す。実際のミキシング空間15Lの形状は、図26(a)に示すように反応管20の形状に沿って湾曲しているが、便宜上、計算領域25aは図26(b)に示すように直方体の形状とした。計算領域25aの寸法は、厚さt=25mm、幅D=280mm、高さH=900mmとした。また、第1ノズル17、第2ノズル18の噴出孔17a,18a(Inlet)から供給されるガス流は、実際にはそれぞれ上向きであるが、計算に際しては、便宜上、図26(b)の符号24に示すようにそれぞれ横向きとした。Inletの高さ位置は、計算領域25aの高さHの半分程度の高さ(450mm)とした。また、Outletの圧力を0.5Torr程度とし、計算領域25a内の温度を900℃程度とした。また、低圧における酸化膜成長には原子状酸素Oが直接寄与していることから、本発明者等は、原子状酸素Oの濃度分布に着目して解析を行った。なお、計算では図31の(i)に示す5段の気相素反応式のみを考慮した。
図27(a)に、計算領域25a内の原子状酸素Oの濃度分布に関する計算結果を示す。濃度分布に重ねて表示されている線は、計算領域25a内のガス流の流線を示している。図27(a)によれば、Inlet近傍ではO及びHの分解が進んでおらず、原子状酸素Oのモル濃度(kmol/m)は相対的に薄くなっており、Inletから距離が離れるに従って原子状酸素Oのモル濃度が高くなることが分かる。
スリット23に相当する場所、つまり図27(a)の点線26における原子状酸素Oの濃度をプロットすると、図27(b)に示すグラフとなる。図27(b)の横軸は原子状酸素Oのモル濃度(kmol/m)を、縦軸は計算領域25a内の高さ位置(m)を示している。図27(b)によれば、Inlet周辺の高さ位置における原子状酸素Oのモル濃度は、他の高さ位置における原子状酸素Oのモル濃度よりも20%程度低くなっている。すなわち、基板配列領域19内に供給される原子状酸素Oのモル濃度が、高さ方向に亘り不均一となってしまうことが分かる。
そこで、計算領域25a内に、ガスの流れを調整するガス流調整部材としての邪魔板38を複数枚設け、計算領域25a内の原子状酸素Oの濃度分布について再度計算を行った。図28は、邪魔板38が設けられた計算領域25aの上面図である。各邪魔板38は、計算領域25aの高さ方向に沿って設けることとし、計算領域25aの幅Dを略4等分配する位置にそれぞれ配置することとした(すなわち、p1,p2,p3の位置に略等間隔で3枚配置することとした)。反応管10の内壁に接続された邪魔板38と、ウイング状部材16Lに接続された邪魔板38と、を交互に配列することとした。各邪魔板38を通過する際のガス流の流路幅(邪魔板38と反応管20の内壁との幅、あるいは邪魔板38とウイング状部材16L内壁との幅)をそれぞれ5mmとした。なお、計算に際し、邪魔板38の厚さについては考慮していない。
図29(a)に、邪魔板38を設けた計算領域25a内の原子状酸素Oの濃度分布に関する計算結果を示す。濃度分布に重ねて表示されている線は、計算領域25a内のガス流の流線を示している。図29(a)によると、計算領域25a内の高さ方向の原子状酸素Oの濃度分布が、邪魔板38を通り抜ける度に平坦化(均等化)されていることが分かり、邪魔板38を設けることによる整流効果が確認できる。図29(a)のp1〜p3の位
置における原子状酸素Oの濃度を計算領域25aの高さ方向にそれぞれプロットすると、図29(b)のグラフのようになる。図29(b)の横軸は原子状酸素Oの濃度(kmol/m)を、縦軸は計算領域25a内の高さ位置(m)を示している。図29(b)によれば、邪魔板38による原子状酸素Oの濃度分布に関する平坦化効果を確認できる。また、t=25mm、D=280mm、H=900mmの寸法のミキシング空間15L内に少なくとも3枚以上の邪魔板38を設けることにより、十分な平坦化効果を得られることが分かる。
高さ方向の濃度分布をより平坦化したい場合には、図37に示すように、高さ方向に複数個の噴出孔を備えた多孔ノズル34,35をミキシング空間15L,15R内にそれぞれ設け、多孔ノズル34,35によりO及びHをそれぞれ供給することにより、ミキシング空間15L,15R内へのガス噴出箇所を分散させることが好ましい。なお、多孔ノズル34,35の備える各噴出孔の孔径は、原料ガス(O、H)の流量を高さ方向に亘り均等化することが可能なように、それぞれ最適化することが好ましい。但し、係る場合、多孔ノズル34,35に供給するガス流量を所定の範囲を超えて変化させると、各噴出孔から噴出する質量流量が変化し、原料ガスの流量が高さ方向に不均一となってしまう場合がある。この問題を回避するには、内部にバッファ空間が形成されたバッファ管を多孔ノズル34,35に近接するようにそれぞれ設け、多孔ノズル34内とバッファ管内のバッファ空間とを複数本の中空の連結管によって連結すると共に、多孔ノズル35とバッファ管内のバッファ空間とを複数本の中空の連結管によって連結するとよい。そして、各バッファ空間を介して多孔ノズル34,35内にO及びHをそれぞれ供給し、多孔ノズル34,35の備える各噴出孔からミキシング空間15L内にO及びHをそれぞれ供給するとよい。
〔積層方向の膜厚均一性〕
前節で、ミキシング空間15L,15R内(計算領域25a内)における原子状酸素Oの濃度分布を、ウエハ6の積層方向(高さ方向)に亘り平坦化にするための構造について検討した。次に、原子状酸素Oの濃度分布が高さ方向に亘り平坦化された状態で、ウエハ6に形成される薄膜の積層方向における膜厚均一性について解析を行ったので説明する。このCFD解析には、図18に示す5段の素反応式(気相素反応)と、2段(化学式(1),(2)、数式(1),(2))の表面総括反応式とを考慮した。
図30(a)に反応管20内における計算領域25bを示す。図30(b)は図30(a)に示す計算領域25bの拡大図である。計算領域25bは二次元無限遠座標系であり、実際の三次元的な形状とは異なるが、ウエハ6の積層方向の膜厚均一性について定性的に検討を行う目的で簡易的な形状にしている。図30(c)は基板配列領域19の下方に積層された断熱板30群の概略図である。
図30(b)に示すように、計算領域25b内には、基板配列領域19が設けられ、基板配列領域19の上方には上部空間28(反応管20と最上段のウエハ6のとの間の空間に相当)が設けられ、基板配列領域19の下方には断熱板30が積層されている。また、計算領域25b内には、断熱板30が積層された領域の外周を囲うガス流制御部材としての蓋29を設けることが可能なこととした。また、計算領域25bの左側にはInlet(スリット23に相当)が鉛直方向全域に設けられ、計算領域25bの右側下方にはOutlet(排気口21aに相当)が設けられている。
計算に際し、Inletから供給されるガスの組成として、図29の符号p4の位置における原料ガスと中間生成物との混合ガスの組成平均値を、高さ方向一様に与えることとした。また、質量流量については、図29の計算に与えた質量流量の2倍の流量(ミキシング空間15L及びミキシング空間15R内から処理空間内に供給される混合ガスの合計
流量に相当)を与えることとした。また、計算領域25b内の温度は900℃程度とし、Outletの圧力を0.5Torr程度とした。また、断熱板30の表面では表面反応は起こらない(即ち、原子状酸素O、H、OHが消費されず、HOが発生しない)こととした。一方、ウエハ6の表面では、表面反応が発生し、原子状酸素O、H、OHが消費され、HOが発生されることした。図31に、計算において考慮した気相素反応式および表面総括反応式をそれぞれ示す。
そして、断熱板30が積層された領域の外周を囲う蓋29の有無や、基板配列領域19の上方の上部空間28の有無により、ウエハ6に形成される薄膜の積層方向における膜厚均一性がどのように変化するかについて検討を行った
図32に、原子状酸素Oの濃度分布に関する計算結果を示す。図32の(i)は上部空間28ありで蓋29なしの場合を、図32の(ii)は上部空間28及び蓋29が共になしの場合を、図32の(iii)は上部空間28なしで蓋29ありの場合をそれぞれ示して
いる。
図32の(i)によれば、基板配列領域19内の上段領域31と下段領域33とで原子状酸素Oの濃度が共に高くなっていることが判る。上段領域31において原子状酸素Oの濃度が高くなる現象については、以下の(1)〜(3)の理由が考えられる。
(1)基板配列領域19内の上段領域31、中段領域32、下段領域33におけるウエハ6表面では表面反応が発生するため、原子状酸素O、H、OHが消費され、HOが発生する。そのため、上段領域31、中段領域32、下段領域33ではそれぞれ一様に原子状酸素Oの濃度が低下する。
(2)上部空間28では原子状酸素O、H、OHが消費されず、HOが発生しないため、原子状酸素Oの濃度が低下しない。
(3)上部空間28の高濃度の原子状酸素Oが上段領域31に向かって拡散し、上段領域31内に侵入する。
また、下段領域33の領域において原子状酸素Oの濃度が高くなるのは、以下の(4)、(5)の理由が考えられる。
(4)断熱板30が積層された領域では、図31の(ii)に示す表面反応式を与えておらず、断熱板30の表面では表面反応が起こらないこととしており、原子状酸素O、H、OHが消費されず、HOが発生しないため、原子状酸素Oの濃度が低下しない。
(5)断熱板30が積層された領域の高濃度の原子状酸素Oが下段領域33に向かって拡散し、下段領域33内に侵入する。
上述したように、ウエハ6に形成される薄膜の膜厚は、原子状酸素Oの濃度に直接依存する。そのため、基板配列領域19内の上段領域31、中段領域32、下段領域33にて原子状酸素Oの濃度に偏差が生じた場合には、膜厚分布にも偏差が生じることとなる。図33に、図32の計算結果(原子状酸素Oの濃度分布)に基づいた膜厚分布の計算結果を示す。図33の横軸はウエハ位置を示し、縦軸はウエハに形成される酸化膜の膜厚(面内の平均値)[Å]を示している。図33において、曲線(i)は図32の計算結果(i)に基づく膜厚分布を示し、曲線(ii)は図32の計算結果(ii)に基づく膜厚分布を示し、曲線(iii)は図32の計算結果(iii)に基づく膜厚分布を示している。図33によれば、曲線(i)及び曲線(ii)の膜厚均一性は順に±6.79%,±4.52%であり、曲線(iii)の膜厚均一性は±0.43%であるから、上段領域31および下段領
域33における高濃度の原子状酸素Oの拡散による膜厚分布への影響は明らかである。
すなわち、上記の理由(1)〜(3)の影響を抑制するには、上部空間28を取り去る(最上段におけるウエハ6と反応管20天井の距離は極力狭くする)のが有効であることが分かる。図32の計算結果(ii)によれば、上部空間28が無い場合には上段領域31の原子状酸素Oの濃度分布が均一になっていることが分かる。また、図33によれば、曲線(ii)に示される上段領域31の膜厚均一性が、曲線(i)に示される上段領域31の膜厚均一性よりも良好であることが分かる。
また、上記の理由(5)、(6)の影響を抑制するには、断熱板30が積層された領域の外周を囲う蓋29を設けることが有効であることが分かる。図32の計算結果(iii)
によれば、蓋29を設けた場合には下段領域33の原子状酸素Oの濃度分布が均一になっていることが分かる。また、図33によれば、曲線(iii)に示される下段領域33の膜
厚均一性が、曲線(i)や曲線(ii)に示される下段領域33の膜厚均一性よりも良好であることが分かる。
〔ウエハ面内膜厚均一性〕
次に、ウエハ6の面内の膜厚均一性に関するCFD解析について説明する。この解析についても、図31に示す反応式(気相素反応式+表面総括反応式)を考慮している。
図34(a)及び(b)に、ウエハ6の面内の膜厚均一性に関する計算領域25cを示す。図34(a)は計算領域25cの上面図及び側面図であり、図34(b)は計算領域25cの斜視図である。計算領域25cは、積層されたウエハ6の1層分を切り出した三次元モデルであり、計算領域25cを挟んで上下に隣接するウエハ6を境界としている。計算領域25cの高さは、ウエハ6の積層ピッチ(7.5mm)に相当する。
スリット23を模擬したInletに与える質量流量[kg/s]は、図29の試算に与えた質量流量(ミキシング空間15L及びミキシング空間15R内から処理空間内に供給される混合ガスの合計流量に相当)の約100分の1(ウエハ6を100枚積層した時の1層分の質量流量に相当)としている。また、積層されたウエハ6の隙間を横切って低圧側空間22内に流れ込んだガス流は、実際には低圧側空間22内を排気口21aに向かって下方側に流れ落ちるが、便宜上、積層されたウエハ6の隙間を横切ったガス流が低圧側空間22内を水平方向に流れて計算領域25c外に排気されるものとして計算した。すなわち、Outletの位置及び形状を、積層されたウエハ6の隙間を横切ったガス流が低圧側空間22内をそのまま水平方向に流れて計算領域25c外に排気されるような位置及び形状とした。
ここでは、スリット23を模擬したInletから、図29(a)の符号p4の位置におけるガス組成と同一の組成の混合ガスを供給する場合(条件1)と、HとOとを混合せずに未分解のまま直接供給する場合(条件2)と、の二通りについてそれぞれ解析を行った。
図35(a)に、条件1の場合のウエハ6面内の原子状酸素Oの濃度分布を、図35(b)に、条件2の場合のウエハ6面内の原子状酸素Oの濃度分布をそれぞれ示す。いずれも、計算領域25cの高さ(ウエハ6の積層ピッチである7.5mm)の半分の高さの位置である3.75mmにおける平面での原子状酸素Oの濃度分布を示している。
図35(a)に示すように、条件1の状態で計算領域25c内にガスを流すと、Inlet側からOutlet側にかけて原子状酸素Oの濃度が徐々に低下する分布となる。条件1においては、Inletから供給される混合ガスは一時的に平衡に近い状態となっているため(十分に予備分解されているため)、計算領域25c内に供給された後のモル分率の変化は小さく、原子状酸素Oの濃度は場の圧力分布に直接依存するようになる。従っ
て、圧力の高いInlet近傍において原子状酸素Oの濃度は高くなり、逆に圧力の低いOutlet近傍では原子状酸素Oの濃度が低くなるのである。なお、原子状酸素Oの濃度分布の模様に注目すると、Inlet近傍ではInletを中心とする扇形分布となっているが、それ以外の場所では図24に示すように横縞分布となっていることが分かる。なお、図24に示すような横縞の濃度分布となるのは、排気口21aが基板を挟んでスリット23と対向する(スリット23の反対側の)位置に設けられていることによるものであり、排気口21aが基板を挟んでスリット23と対向しない位置に設けられている場合には、このような横縞の濃度分布とはなり難いと考えられる。
一方、図35(b)に示すように、条件2の状態で計算領域25c内にガスを流すと、図35(a)に示す濃度分布とは逆の濃度分布となる。すなわち、圧力の高いInlet近傍において原子状酸素Oの濃度は最も低くなり、逆に圧力の低いOutlet近傍において原子状酸素Oの濃度が最も高くなり、Inlet側からOutlet側にかけて原子状酸素Oの濃度が徐々に上昇する分布となる。条件2においては、Inletから供給される混合ガスは予備分解されておらず、計算領域25c内に供給された後に分解を始めるため、計算領域25c内に供給された後のモル分率の変化が大きく、原子状酸素Oの濃度は場の圧力分布には直接依存しないのである。
これら図35(a)及び(b)の計算結果に基づいて、ウエハ6を水平姿勢で回転させながら成膜した場合の膜厚分布について考察する。
図35(a)及び(b)の計算結果を用いれば、ウエハ6表面における同心円上の膜厚平均値をウエハ6の半径方向にプロットすることにより、ウエハ6を回転させながら成膜した場合の膜厚分布を得ることが可能である。図36に、ウエハ6を回転させながら成膜した場合の膜厚分布の計算結果を示す。図36の横軸はウエハ6の中心からの距離(m)を示し、縦軸はウエハ6表面における同心円上の膜厚平均値を示している。図36の曲線(a)は、図35(a)を基に算出した膜厚分布(すなわち条件1で成膜した場合の膜厚分布)を示しており、図36の曲線(b)は、図35(b)を基に算出した膜厚分布(すなわち条件2で成膜した場合の膜厚分布)をそれぞれ示している。
図36によると、条件1で成膜すると膜厚分布が±0.55%のすり鉢分布(中央凹分布)となり、条件2で成膜すると膜厚分布が±1.33%の中央凸分布となることが分かる。すなわち、OとHとを混合せずに未分解のまま直接供給する(条件2)よりも、基板配列領域19に対してミキシング空間15L,15R内で充分に混合し、予備分解させてから供給する(条件1)ほうが、ウエハ6面内の均一性を向上できることが分かる。なお、ウエハ6面内における膜厚の凹凸形状は、条件1と条件2とで逆転していることが分かる。
さらに、以上の結果から、条件1と条件2の中間の状態の混合ガスを供給することにより、極めて均一な膜厚分布を得ることが可能であると推測できる。但し、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの分解状態を厳密に把握したり制御したりすることは困難である場合が多い。少なくとも、OとHとを予備分解させることなく基板配列領域19内に直接供給する(条件2)よりも、基板配列領域19に対してミキシング空間15L,15R内で充分に予備分解させてから供給する(条件1)方が、ウエハ6面内の均一性を向上できるため好ましい。
〔反応管天井の形状〕
先述までの数値解析により、最上段におけるウエハ6と反応管20天井との距離は、極力狭くしたほうが良いことが判った。本発明者等の知見によれば、最上段のウエハ6と反応管20天井との距離(上部空間28の高さ)は、例えばウエハ6の積層ピッチ(例えば
7.5mm)と同程度とするのが好ましい。ただし、最上段のウエハ6と反応管20天井との距離をこのような距離(7.5mm程度)とすることは基板処理装置の製造上(精度上)困難であり、10〜15mm程度とするのが実用的と言える。
しかしながら、通常の反応管20天井は、大気圧に耐えるために図38に示すようなドーム型をしている事から、最上段のウエハ6と反応管20天井との間には隙間36が生じてしまい、最上段のウエハ6と反応管20天井との距離を縮めるのは困難である。なお、反応管20上部をドーム型ではなく角型(天井が平らな型)とすることも考えられる。しかしながら、反応管20の内部は真空排気され、反応管20には外部から大気圧が直接加わるため、角型とすると強度的に不足しがちである。反応管20上部を角型としつつ必要な強度を確保するには、反応管20の天井壁を15mm以上の厚さとする必要があり、反応管20の天井部の熱容量が大きくなってしまい、上段に支持されるウエハ6が冷えやすくなってしまう場合がある。
以上により、上部空間28を取り去るには(上記の理由(1)〜(3)の影響を抑制するには)、図39に示すように、反応管20内の天井部付近にガス流制御部材としての平板37を設け、基板配列領域19と隙間36との間のガスの流通を遮断することが好ましいと考えられる。
<本実施形態に係る熱処理炉の構成>
続いて、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置(バッチ式縦型酸化装置)が備える熱処理炉(反応炉)50の構成について、図41を参照しながら説明する。図41(a)は本実施形態にかかる熱処理炉50の水平断面図であり、図41(b)は図41(a)に示す熱処理炉50の垂直断面図である。
(反応管)
図41に示すように、本実施形態にかかる熱処理炉50は、基板としてのウエハ6を処理する処理空間を形成する反応管20を有している。反応管20の構成は、上述した構成と同じである。
なお、第1ノズル17及び第2ノズル18を、図37に示す多孔ノズル34,35のように構成しない場合には、基板配列領域19の垂直方向における中央部からガスを供給するように構成することが好ましい。すなわち、噴出孔17a及び噴出孔18aの高さ位置を、基板配列領域19の高さの半分程度とすることが好ましい。このように構成することで、ミキシング空間15L及びミキシング空間15R内でガスを均一に混合させ易くなり、また、ガスの濃度分布を上下方向に亘り対称とさせ易くできる。
また、スリット23の幅は例えば20mm程度とすることが好ましい。スリット23の幅が広すぎると、ウイング状部材16L,16Rの周方向幅が短くなり、ミキシング空間15L,15R内のガス流路が不足して、ガスの分解が進まない状態(原子状酸素Oの濃度が増加していない状態)で、基板配列領域19内に混合ガスが導入されてしまう場合がある。また、スリット23の幅が狭すぎると、ミキシング空間15L,15R内の圧力が大きくなり過ぎて、ガスの分解ピークを過ぎた状態(原子状酸素Oの濃度が低下した状態)で、基板配列領域19内に混合ガスが導入されてしまう場合がある。
また、ウイング状部材16L,16Rの周方向側壁とウエハ6外縁との間の隙間は、極力狭いほうが好ましい。この隙間を狭くする理由は、スリット23を通過したガスがこの隙間を通って下方へ流れ落ちる量を少なくするためである。本実施形態では、かかる隙間を例えば17mm程度としている。この隙間が大きすぎると、この隙間を通って下方へ流れる混合ガスの量が多くなってローディング効果を発生させてしまうと共に、積層された
ウエハ6の隙間を横切る混合ガスの流量が不足して成膜速度が低下してしまう場合がある。また、この隙間は狭ければ狭いほどよいが、狭くし過ぎるとウイング状部材16L,16Rの周方向側壁とウエハ6やボート39の外縁とが接触してしまう場合がある。
また、ウイング状部材16L,16Rと反対側の反応管20の内壁とウエハ6外縁との間の隙間(低圧側空間22における反応管20の径方向の幅)は、極力広いほうが好ましく、例えば60mm程度とするのが好ましい。この隙間を広くする理由は、混合ガスが流れ落ちる際の流動抵抗を極力最小限にするためである。かかる隙間は広ければ広いほどよいが、広くし過ぎると反応管20が大型化してしまう場合がある。また、かかる隙間を狭くし過ぎると、混合ガスが上から下へ向かって流れ落ちる時の流動抵抗が大きくなり、低圧側空間22内における上下方向の圧力差及び混合ガスの密度差が大きくなり、ローディング効果が発生してしまう場合がある。
また、図40に示すウイング状部材16L,16Rの周方向の中心角θは、例えば90°以上120°以下程度とすることが好ましい。中心角θを90°未満とすると、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの滞留時間が短くなり、混合及び予備分解が不十分となり、処理空間内でのモル分率の変化が大きくなり、ウエハ6面内における膜厚均一性が悪化してしまう場合がある。また、ウエハ6の積層方向における原子状酸素Oの濃度分布が不均一になり、ウエハ6の積層方向における膜厚均一性が悪化してしまう場合がある。一方、中心角θを120°を超える角度とすると、低圧側空間22におけるガスの流路が狭くなり、流動抵抗が増加してローディング効果が大きくなる場合がある。
また、反応管20内には、基板配列領域19よりも上方および/または下方へのガスの流れを制御するガス流制御部材を設けることが好ましい。すなわち、反応管20内の天井部付近には、ガス流制御部材としての平板37を設けることが好ましい。平板37を設けることにより、上部空間28(基板配列領域19より上方の領域)の高濃度の原子状酸素Oが、拡散により上段領域31内に侵入してしまうことを抑制できる。
また、基板配列領域19の下方に、断熱板30のようにウエハ6とは異なるガス消費の性質を持つ構造物が存在する場合には、断熱板30が積層された領域の外周を囲うガス流制御部材としての蓋29を設けることが好ましい。このように構成することにより、断熱板30が積層された領域(基板配列領域19より下方の領域)の高濃度の原子状酸素Oが、拡散により下段領域33内に侵入してしまうことを抑制できる。また、積層された断熱板30の代わりに、断熱作用を持つと共に、内外への原料ガス流通が発生しないように構成された断熱ブロックを設けることとしても良い。
また、反応管20、ウイング状部材16L,16R、第1ノズル17、第2ノズル18、平板37、蓋29、及び断熱ブロックは、原料ガスを消費することのないように、例えば石英(SiO)により構成することが好ましい。
また、ミキシング空間15L,15R内には、図41(a)に示すように邪魔板38を設けることが好ましい。このように構成することにより、邪魔板38は、原子状酸素Oの濃度分布とガス流の速度分布をウエハ6の積層方向に亘り均等化することが可能となる。
なお、邪魔板38は複数枚(例えば3枚)設けることが好ましい。なお、邪魔板38を1枚だけ設け、邪魔板38が設けられた箇所のガス流路幅を狭くすることにより、邪魔板38を複数枚設けた場合と同様の効果が得られるようにも思われるが、この場合、邪魔板38よりも上流側のミキシング空間15L,15R内の空間の圧力が高くなり過ぎ、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの分解がピークを過ぎてしまう場合がある。従って、ガスの濃度と速度とを均一化し、邪魔板38よりも上流側のミキシング空間15L,15R内の空間の圧力上昇を抑制し、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの
分解がピークを過ぎてしまうことを回避するには、間隔をおいて邪魔板38を複数枚設けるのが良い。これにより、ガスの分解がピークに達した状態(原子状酸素Oの濃度が最大となった状態)で、その反応管20内においてQuenchさせることができるようになる。なお、Quenchとは、ここでは反応をそれ以上進まなくする(止める)ことを意味している。但し、邪魔板38の枚数が多すぎると、ウエハ6の積層方向の原子状酸素Oの濃度均一性が向上する反面、第1ノズル17及び第2ノズル18近傍における圧力が上昇し、ガスの分解が進みすぎ、スリット23から導入される原子状酸素Oの濃度が低下してしまう可能性がある。邪魔板38の枚数を最小にするには、第1ノズル17及び第2ノズル18を、図37に示す多孔ノズル34,35のように構成してガス供給箇所を分散させると良い。
(ボート・回転機構)
反応管20内には、複数枚(例えば100〜150枚)のウエハ6を配列(積層)して支持する支持具としてのボート39が搬入されるように構成されている。反応管20の下方は、ボート39を搬入するために開放されており、反応管20の下方の開放部分は、シールキャップ42により密閉されるように構成されている。シールキャップ42は、ボート昇降手段(ボートエレベータ)4により昇降自在に構成されている。シールキャップ42には、回転軸44が垂直方向に貫通するように設けられている。回転軸44の上端は、積層された複数枚の断熱板30,蓋29を介して、ボート39を下方から支持している。回転軸44は、シールキャップ42下方に設けられた回転機構43により回転自在に構成されている。ボート昇降手段4及び回転機構43には、これらの動作を制御するコントローラ100が接続されている。
(ガス供給ライン)
ミキシング空間15L及びミキシング空間15R内に配設された第1ノズル17、第2ノズル18の上流側は水平方向にそれぞれ屈曲しており、これらの上流端は反応管20の側壁下方外側にそれぞれ突出している。第1ノズル17の上流端には、酸素含有ガスとしての酸素(O)ガスを供給する酸素供給ライン17Lが接続されている。酸素供給ライン17Lには、酸素ガス供給源17e、開閉バルブ17d、マスフローコントローラ17c、開閉バルブ17bが上流から順に接続されている。また、第2ノズル18の上流端には、水素含有ガスとしての水素(H)ガスを供給する水素供給ライン18Lが接続されている。水素供給ライン18Lには、水素ガス供給源18e、開閉バルブ18d、マスフローコントローラ18c、開閉バルブ18bが上流から順に接続されている。開閉バルブ17d、マスフローコントローラ17c、開閉バルブ17b、開閉バルブ18d、マスフローコントローラ18c、開閉バルブ18bには、コントローラ100が接続されている。
(排気ライン)
反応管20の排気口21aには排気管21が接続されている。排気管21には、上流側から順に、圧力センサ21b、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure
Controller)バルブ21c、真空ポンプ21dが接続されている。真空ポンプ21dは、排気口21aを介して反応管20内を真空排気可能なように構成されている。圧力センサ21b、APCバルブ21c、真空ポンプ21dには、コントローラ100が接続されている。ウエハ6の処理中、反応管20内は真空ポンプ21dにより大気圧よりも低い所定の圧力(減圧)とされるが、この圧力制御はコントローラ100により行われる。
(抵抗加熱ヒータ)
反応管20の周囲には、加熱源としての抵抗加熱ヒータ40が配置されている。また、反応管20の内部には温度センサ41が設けられている。温度センサ41、抵抗加熱ヒー
タ40には、コントローラ100が接続されている。ウエハ6の処理中、反応管20内は抵抗加熱ヒータ40により所望の温度に加熱されるが、この加熱制御はコントローラ100により行われる。
<基板処理工程>
次に、上述の熱処理炉50を備える基板処理装置を使用して、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ6表面に酸化処理を施す方法について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は、コントローラ100により制御される。
1バッチ分(例えば100枚)のウエハ6をボート39に移載(装填)する。そして、抵抗加熱ヒータ40により加熱状態を維持された反応管20内に、複数枚のウエハ6を装填したボート39を搬入(ロード)し、シールキャップ42により反応管20内を密閉する。次に、真空ポンプ21dにより反応管20内を排気し、反応管20内の圧力が大気圧よりも低い所定の処理圧力となるよう、また、低圧側空間22内を基板配列領域19よりも低圧に保つように制御する。回転機構43によりボート39が所定の回転速度で回転するようにする。また、反応管20内の温度を昇温させ、反応管20内の温度が所定の処理温度となるよう制御する。
その後、開閉バルブ17d及び開閉バルブ17bを開け、マスフローコントローラ17cにより流量制御しながら、酸素供給ライン17Lより第1ノズル17を介してミキシング空間15L,15R内に第1ガスとしてのOをそれぞれ供給する。同時に、開閉バルブ18d及び開閉バルブ18bを開け、マスフローコントローラ18cにより流量制御しながら、水素供給ライン18Lより第2ノズル18を介してミキシング空間15L,15R内に第2ガスとしてのHをそれぞれ供給する。
第1ノズル17から供給されたOと第2ノズル18から供給されたHとは、ミキシング空間15L,15R内でそれぞれ充分に混合され、HやOが予備分解され、HやOなどの中間生成種が生成される。予備分解されたHとOとの混合ガス(HやOなどの中間生成種を含むガス)は、スリット23を通り、基板配列領域19内に導入される。排気管21により反応管20内が排気され、低圧側空間22内が基板配列領域19よりも低圧に保たれることにより、スリット23を通った混合ガスが、積層されたウエハ6の隙間を横切り、低圧側空間22に流れる。低圧側空間22に流れた混合ガスは、図25に示すように低圧側空間22内を排気口21aに向かって下方側に流れ落ち、排気管21により排気される。
混合ガスが積層されたウエハ6の隙間を横切ることにより、混合ガスに含まれるHやOなどの中間生成種がウエハ6表面に供給され、ウエハ6に酸化処理が施される。処理温度としては500〜1000℃、処理圧力としては1〜1000Pa、O供給流量としては1〜20L/min、H供給流量としては0.5〜10L/minが例示される。
ウエハ6の酸化処理が終了したら、開閉バルブ17b、開閉バルブ18bを閉めて反応管20内へのOやHの供給を停止し、反応管20内にN等の不活性ガスを供給しながら反応管20内の残留ガスを除去し、反応管20内の温度を所定の温度まで降温させる。その後、反応管20内を大気圧に復帰させ、ボート39を反応管20内から搬出(アンロード)し、ボート39を所定位置で待機させ、ボート39に支持された全ての処理済ウエハ6を冷却させる。処理済ウエハ6が所定温度まで冷却されたら、ウエハ移載手段(移載機)2等によりウエハ6を回収する。
<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、反応管20内にミキシング空間15L,15Rが設けられ、ミキシング空間15L,15R内に複数枚の邪魔板38が設けられている。その結果、高さ方向の原子状酸素Oの濃度分布が邪魔板38を通り抜ける度に平坦化(均等化)される整流効果を得ることができる。これにより、ウエハ6の積層方向における基板処理の均一性を向上させ、ローディング効果の発生を抑制させることが可能となる。
(b)本実施形態によれば、反応管20内の天井部付近には、ガス流制御部材としての平板37が設けられる。平板37が設けられることにより、上部空間28(基板配列領域19より上方の領域)の高濃度の原子状酸素Oが、基板配列領域19内の上段領域31に向かって拡散し、上段領域31内に侵入することが抑制される。
また、本実施形態によれば、断熱板30が積層された領域の外周を囲うガス流制御部材としての蓋29(あるいは断熱ブロック)が設けられる。このように構成することにより、断熱板30が積層された領域(基板配列領域19より下方の領域)の高濃度の原子状酸素Oが、下段領域33に向かって拡散し、下段領域33内に侵入することが抑制される。そして、ウエハ6の積層方向における基板処理の均一性を向上させ、ローディング効果の発生を抑制させることが可能となる。
(c)本実施形態によれば、基板配列領域19に対応する領域の垂直方向における中央部からガスを供給する。すなわち、噴出孔17a及び噴出孔18aの高さ位置を、基板配列領域19の高さの半分程度とする。このように構成することで、ミキシング空間15L及びミキシング空間15R内でガスを均一に混合させ易くなり、また、ガスの濃度分布を上下方向に亘り対称にさせ易くなる。なお、第1ノズル17及び第2ノズル18を図37に示す多孔ノズル34,35のように構成することとしても、同様の効果を得ることができる。
(d)本実施形態によれば、ウイング状部材16L,16Rの周方向側壁とウエハ6外縁との間の隙間を、例えば17mm程度としている。これにより、ウイング状部材16L,16Rの周方向側壁とウエハ6外縁との間の隙間を通って混合ガスが下方へ流れてしまうことが抑制され、ローディング効果の発生が回避されると共に、積層されたウエハ6の隙間を横切る混合ガスの流量を増加させて成膜速度の低下を回避させることが可能となる。また、ウイング状部材16L,16Rの周方向側壁とウエハ6やボート39の外縁との接触を回避できる。
(e)本実施形態によれば、ウイング状部材16L,16Rと反対側の反応管20の内壁とウエハ6外縁との間の隙間(低圧側空間22における反応管20の径方向の幅)を、例えば60mm程度としている。これにより、反応管20の大型化を抑制しつつ、低圧側空間22内を混合ガスが上から下へ向かって流れ落ちる時の圧力差を減少させ、混合ガスの上下方向における密度差を減少させ、ウエハ6の積層方向に亘る基板処理の均一性を向上させ、ローディング効果の発生を抑制させることが可能となる。
(f)本実施形態によれば、反応管20内にミキシング空間15L,15Rが設けられ、第1ノズル17から供給されたO及び第2ノズル18から供給されたHが、ミキシング空間15L及び15R内で充分に混合され、予備分解される。その結果、成膜に寄与する中間生成種が、図24に示すような横縞の濃度分布となる。そして、この濃度分布の状態において、ウエハ6を水平姿勢で回転させることにより、ウエハ6面内において極めて均一な膜厚分布を得ることが出来る。
(g)本実施形態によれば、ミキシング空間15L,15R内に設ける邪魔板38を、1枚とせずに複数枚(例えば3枚)としている。これにより、ガスの濃度と速度とを均一化
しつつ、邪魔板38よりも上流側のミキシング空間15L,15R内の空間の圧力が高くなり過ぎてしまうことを抑制し、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの分解がピークを過ぎてしまうことを回避することができる。また、ミキシング空間15L,15R内における第1ノズル17及び第2ノズル18近傍における圧力の上昇を抑制し、ガスの分解が進みすぎてしまうことを回避し、スリット23から導入される原子状酸素Oの濃度が低下してしまうことを抑制できる。なお、邪魔板38の枚数を最小にするには、第1ノズル17及び第2ノズル18を、図37に示す多孔ノズル34,35のように構成してガス供給箇所を分散させるのがよい。
(h)本実施形態によれば、スリット23の幅を例えば20mm程度としている。これにより、ミキシング空間15L,15R内のガス流路を長く確保でき、ガスを十分に混合させ、予備分解させた状態(原子状酸素Oの濃度が増加しない状態)で、基板配列領域19内に導入することができる。また、ミキシング空間15L,15R内の圧力が大きくなり過ぎることを抑制でき、ガスの分解ピークを過ぎた状態(原子状酸素Oの濃度が低下した状態)で、基板配列領域19内に混合ガスが導入されてしまうことを抑制できる。
(i)本実施形態によれば、図40に示すウイング状部材16L,16Rの周方向の中心角θを、例えば90°以上120°以下程度としている。そのため、ミキシング空間15L,15R内におけるガスの滞留時間を十分に確保し、混合及び予備分解を十分に行い、処理空間内でのモル分率の変化を小さくさせ、ウエハ6面内における膜厚均一性を向上させることができる。また、ウエハ6の積層方向における原子状酸素Oの濃度分布を均一化させ、ウエハ6の積層方向における膜厚均一性を向上させることができる。また、低圧側空間22におけるガスの流路を広く確保し、流動抵抗を低下させ、ローディング効果を減少させることができる。
(j)本実施形態によれば、いかなるガス消費度を持つウエハ6が装填されたとしても、スリット23からはウエハ6の積層方向において原子状酸素Oが均等の濃度で供給され、また、基板配列領域(プロダクト領域)19ではウエハ6の積層方向おいてガスの消費度合いが一定であり、低圧側空間22が広く確保されることにより流れ落ちによる圧力損失が非常に小さく抑えられるので、ローディング効果の発生を抑制できる。そのため、従来の基板処理装置のように、反応管20内にHを補助的に供給するサブノズル8を設ける必要がなくなり、均一成膜のための流量条件(サブノズル8の流量条件)を実験的に求める必要がなくなる。また、ウエハ6の回路パターンが変更される度にサブノズル8からの流量条件を実験的に求める必要がなくなる。以上により、基板処理コストを大幅に低減させることが可能となる。
<本発明の他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態のようにミキシング空間15L,15Rがスリット23を挟んで両側に設けられる場合に限定されず、図42に示すようにいずれか片側にのみ設けられることとしてもよい。すなわち、ウイング状部材16L,16Rの両方が設けられる場合に限定されず、いずれか一方のみが設けられることとしてもよい。
本発明は、上述の実施形態のように、第1ガスとしての酸素含有ガスが酸素ガス(O)であり、第2ガスとしての水素含有ガスが水素ガス(H)である場合に限定されない。すなわち、第1ガスとの酸素含有ガスが、酸素ガスおよび亜酸化窒素ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスであり、第2ガスとしての水素含有ガスが、水素ガス、アンモニアガスおよびメタンガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスであってもよい。
明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む2008年5月22日提出の日本国
特許出願2008−13372号の開示内容全体は、そのまま引用してここに組み込まれる。
<本発明の好ましい態様>
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理空間を形成する反応管と、前記反応管内で複数枚の基板を配列して支持する支持具と、前記支持具を回転させる回転機構と、前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ複数種類のガスを混合させるミキシング空間と、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられ前記ミキシング空間と前記処理空間とを仕切るウイング状部材と、前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスを供給する第1ノズルと、前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第2ガスを供給する第2ノズルと、前記ミキシング空間内に設けられ前記ミキシング空間内におけるガスの流れを調整するガス流調整部材(邪魔板)と、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられ前記ミキシング空間内に供給されたガスを前記処理空間に吐出する吐出口(スリット)と、前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられ前記反応管内を排気する排気口と、前記排気口を介して前記反応管内を真空排気する真空ポンプと、を有する基板処理装置が提供される。
好ましくは、前記各ノズルは、前記ミキシング空間内の複数箇所に各ガスを供給するように構成される。
また好ましくは、前記反応管内には、前記基板配列領域よりも上方および/または下方へのガスの流れを制御するガス流制御部材が設けられる。
また好ましくは、前記第1ガスが酸素含有ガスであり、前記第2ガスが水素含有ガスであり、前記処理が酸化処理である。
また好ましくは、前記各ノズルには、一つのガス噴出口が設けられ、該ガス噴出口は、前記基板配列領域の中央部に対応する位置に設けられる。
また好ましくは、前記各ノズルには、前記ミキシング空間内の複数箇所に各ガスを供給する複数のガス噴出口(孔)が設けられる。
また好ましくは、前記反応管内の天井部には、前記複数枚の基板のうち最上段の基板の表面と平行に天板が設けられ、この天板は前記最上段の基板の近くに配置される。
また好ましくは、前記反応管内の底部には、前記基板配列領域よりも下方へのガスの流入を遮断する遮断部材が設けられる。
また好ましくは、前記ガス流調整部材は、前記各ノズルと前記吐出口との間に設けられ前記ミキシング空間内におけるガスの流れを妨げる部材(邪魔板)により構成される。
また好ましくは、前記ガス流調整部材は、前記各ノズルと前記吐出口との間に設けられ前記ミキシング空間内におけるガスの流れを妨げる複数の邪魔板により構成される。
また好ましくは、前記反応管の内壁と前記複数枚の基板との隙間は、前記ウイング状部材と前記複数枚の基板との隙間よりも大きくなるよう構成される。
また好ましくは、前記酸素含有ガスが、酸素ガスおよび亜酸化窒素ガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスであり、前記水素含有ガスが、水素ガス、アンモニアガ
スおよびメタンガスよりなる群から選択される少なくとも一つのガスである。
また好ましくは、前記酸素含有ガスが酸素ガスであり、前記水素含有ガスが水素ガスである。
本発明の他の態様によれば、反応管内の処理空間に複数枚の基板を搬入する工程と、前記反応管内で前記複数枚の基板を回転させつつ、前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、前記反応管内の前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材により前記処理空間と仕切られるミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスと第2ガスを供給して、この第1ガスと第2ガスを前記ミキシング空間内に設けられたガス流調整部材によりガスの流れを調整しつつ、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられた吐出口より前記処理空間に吐出し、前記処理空間に吐出されたガスを前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられた排気口より排気して、前記複数枚の基板を処理する工程と、処理後の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
好ましくは、前記第1ガスが酸素含有ガスであり、前記第2ガスが水素含有ガスであり、前記ミキシング空間内に前記酸素含有ガスと前記水素含有ガスを供給することで、前記ミキシング空間内で両ガスが反応して原子状酸素が生成され、この原子状酸素が前記吐出口より前記処理空間に吐出され、この原子状酸素により前記複数枚の基板に対して酸化処理が行われる。
半導体デバイスの製造装置(半導体製造装置)の全体図を示す斜視透視図である。 半導体製造装置の熱処理炉の構成を示す断面概略図である。 半導体製造装置の熱処理炉の他の構成を示す断面概略図である。 ローディング効果が発生した時の膜厚分布を示すグラフ図である。 STI等のパターンが形成されたウエハの断面概略図である。 表面が部分的に酸化膜で覆われたウエハの断面概略図である。 120枚のベアウエハを装填した時の成膜実験結果を示す膜厚分布図である。 ローディング効果のパターン依存性を示す膜厚分布図である。 Siウエハと気相の界面における酸化反応を示す概略図である。 120枚のベアウエハを装填した時のシミュレーション結果と成膜実験結果とを示す膜厚分布図である。 サブノズルからHを途中供給した場合のシミュレーション結果を示す膜厚分布図である。 (a)はサブノズルからHを途中供給した場合のシミュレーション結果を示す膜厚分布図であり、(b)はシミュレーション条件であるサブノズルからのHの流量条件を示す表図である。 サブノズルの噴出孔の位置とウエハ面内の膜厚分布との関係を示す対応図である。 化学反応解析ソフトウェアを用いた素反応解析の計算モデルを示す概略図である。 素反応解析に用いた水素・酸素の代表的な素反応式セットを示す表図である。 Inletからの距離とモル分率との関係を示す汎用熱流体解析ツールによる計算結果である(23段気相素反応)。 Inletからの滞在時間とモル分率との関係を示す汎用熱流体解析ツールによる計算結果である(5段気相素反応)。 Inletからの距離とモル分率との関係を示す汎用熱流体解析ツールによる計算結果(5段気相素反応)、及び計算に用いた5段気相素反応を示す表図である。 汎用熱流体解析ツールで考慮した計算領域である。 成膜実験結果と汎用熱流体解析ツールによる計算結果とを対比するグラフ図である。 メインノズルからOとHとを供給し、サブノズルからはHを供給しない場合の定常状態における原子状酸素Oの濃度分布(モル密度)に関する計算結果を示す。 メインノズルからOとHとを供給し、サブノズルからHを供給した場合の定常状態における原子状酸素Oの濃度分布(モル密度)に関する計算結果を示す。 本発明の一実施形態にかかる反応管内部の概略構成図である。 図23に示す反応管を基板の積層方向に垂直な断面で切り出した概略図である。 図24に示す反応管のA−A線断面図である。 (a)は反応管内に形成された解析対象としてのミキシング空間を示し、(b)はミキシング空間を直方体状に変形した計算領域を示す。 (a)は計算領域内の原子状酸素の濃度分布に関する計算結果を示し、(b)は図27(a)の点線26における原子状酸素Oの濃度分布を示すグラフ図である。 邪魔板が設けられた計算領域の上面図である。 (a)は邪魔板を設けた計算領域内の原子状酸素の濃度分布に関する計算結果を示し、(b)は図29(a)のp1〜p4の位置における原子状酸素Oの濃度分布を示すグラフ図である。 (a)は反応管内における計算領域を、(b)は図30(a)に示す計算領域の拡大図を、(c)は基板配列領域の下方に積層された断熱板群の概略図をそれぞれ示す。 ウエハ面内の膜厚均一性に関するCFD解析で考慮した反応式を示す図であり、(i)は気相素反応式を、(ii)は表面総括反応式をそれぞれ示す。 原子状酸素Oの濃度分布に関する計算結果を示す図であり、(i)は上部空間ありで蓋なしの場合を、(ii)は上部空間及び蓋が共になしの場合を、(iii)は上部空間なしで蓋ありの場合をそれぞれ示している。 図32の計算結果(原子状酸素Oの濃度分布)に基づいた膜厚分布の計算結果を示すグラフ図である。 ウエハ面内膜厚均一性に関する計算領域を示し、(a)は計算領域の上面図及び側面図であり、(b)は計算領域の斜視図である。 (a)は、図29(a)の符号p4の位置におけるガス組成と同一の組成の混合ガスを供給する場合のウエハ面内の原子状酸素Oの濃度分布を、(b)は、HとOとを混合せずに未分解のまま直接供給する場合のウエハ面内の原子状酸素Oの濃度分布をそれぞれ示す。 ウエハを回転させながら成膜した場合の膜厚分布の計算結果を示す。 高さ方向に複数個の噴出孔を備えた多孔ノズルを示す概略図である。 ドーム型に形成された反応管の天井部の断面概略図である。 ガス流制御部材としての平板が設けられた反応管の天井部の断面概略図である。 本発明の一実施形態にかかる反応管を示す模式図である。 (a)は本実施形態にかかる熱処理炉の水平断面図であり、(b)は図41(a)に示す熱処理炉の垂直断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる熱処理炉の水平断面図である。
符号の説明
6 ウエハ(基板)
15L ミキシング空間
15R ミキシング空間
16L ウイング状部材
16R ウイング状部材
17 第1ノズル
18 第2ノズル
19 基板配列領域
20 反応管
21a 排気口
21d 真空ポンプ
23 スリット(吐出口)
23L スリット(吐出口)
23R スリット(吐出口)
29 蓋(ガス流制御部材)
37 平板(ガス流制御部材)
38 邪魔板(ガス流調整部材)
39 ボート(支持具)
43 回転機構

Claims (6)

  1. 基板を処理する処理空間を形成する反応管と、
    前記反応管内で複数枚の基板を水平姿勢で垂直方向に多段に配列して支持する支持具と、
    前記支持具を回転させる回転機構と、
    前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ複数種類のガスを混合させるミキシング空間と、
    前記反応管の内壁にその一端が取り付けられ前記ミキシング空間と前記処理空間とを仕切るウイング状部材と、
    前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスを供給する第1ノズルと、
    前記ミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第2ガスを供給する第2ノズルと、
    前記ミキシング空間内に設けられ前記ミキシング空間内におけるガスの流れを調整するガス流調整部材と、
    前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられ前記ミキシング空間内に供給されたガスを前記処理空間に吐出する吐出口と、
    前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられ前記反応管内を排気する排気口と、
    前記排気口を介して前記反応管内を真空排気する真空ポンプと、
    を有することを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記各ノズルは、前記ミキシング空間内の複数箇所に各ガスを供給するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記反応管内には、前記基板配列領域よりも上方および/または下方へのガスの流れを制御するガス流制御部材が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記第1ガスが酸素含有ガスであり、前記第2ガスが水素含有ガスであり、前記処理が酸化処理であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理装置。
  5. 反応管内の処理空間に複数枚の基板を水平姿勢で垂直方向に多段に配列させて搬入する工程と、
    前記反応管内で前記複数枚の基板を回転させつつ、前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、前記反応管内の前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材により前記処理空間と仕切られるミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスと第2ガスを供給して、この第1ガスと第2ガスを前記ミキシング空間内に設けられたガス流調整部材によりガスの流れを調整しつつ、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられた吐出口より前記処理空間に吐出し、前記処理空間に吐出されたガスを前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられた排気口より排気して、前記複数枚の基板を処理する工程と、
    処理後の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、
    を有することを特徴とする基板処理方法。
  6. 反応管内の処理空間に複数枚の基板を水平姿勢で垂直方向に多段に配列させて搬入する工程と、
    前記反応管内で前記複数枚の基板を回転させつつ、前記反応管内の圧力を大気圧よりも低くした状態で、前記反応管内の前記複数枚の基板が配列される基板配列領域に沿うように前記反応管内に設けられ、前記反応管の内壁にその一端が取り付けられたウイング状部材により前記処理空間と仕切られるミキシング空間内の前記ウイング状部材の前記一端側に第1ガスと第2ガスを供給して、この第1ガスと第2ガスを前記ミキシング空間内に設けられたガス流調整部材によりガスの流れを調整しつつ、前記基板配列領域に対向するよう前記ウイング状部材の他端側に設けられた吐出口より前記処理空間に吐出し、前記処理空間に吐出されたガスを前記複数枚の基板を挟んで前記吐出口と対向する位置に設けられた排気口より排気して、前記複数枚の基板を処理する工程と、
    処理後の前記複数枚の基板を前記反応管内より搬出する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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