JP5184309B2 - 磁界検出素子 - Google Patents
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これらに対して、バイアスコイル(ピックアップコイル)を薄膜プロセスにて形成する検討がなされており、特許文献5では、薄膜プロセスを用いて磁気インピーダンス効果素子およびソレノイド型のバイアスコイル、負帰還コイルを集積したセンサが提案されている。
また、特許文献6〜8では、平面スパイラルコイルにてバイアスコイル(ピックアップコイル)を形成している。
また、特許文献9では、軟磁性体膜の両端部の反磁界を生じる部位を外して通電できるように電極を配置している。
また、特許文献10では、小型化したときの反磁界による感度の低下を防ぐために、平行フラックスゲートセンサにおいて、H字型の磁気コアを形成し、中心部(感磁部)の周囲にコイルを巻き回して感磁部を励磁し、外側の幅広部分を集磁部として用いている。
また、略長方形状の軟磁性体膜またはそれらを複数個折り返して形成したメアンダ形状の軟磁性体膜に高周波電流を通電して、外部磁界による幅方向透磁率により、表皮効果における表皮深さが変化することによるインピーダンス変化を利用した磁気インピーダンス効果素子がある。
また、略長方形状の軟磁性体膜またはそれらを複数個折り返して形成したメアンダ形状の軟磁性体膜の周囲に、薄膜プロセスによりコイルを形成し、軟磁性体膜に交流電流またはパルス電流を通電することにより軟磁性体膜を励磁し、コイルに誘起される誘導出力を検出する直交フラックスゲート素子がある。
また、軟磁性体膜の感磁方向に垂直な方向の断面積が一定であれば、軟磁性体膜の感磁方向における長さが短くなるほど、反磁界は大きくなり、磁界検出素子の感度は低下する。この件に関しては、特許文献9において詳細な検討がなされている。
また、特許文献9の平行フラックスゲートセンサは、コイルを中心の感磁部に巻き回す構造をしているため、同一サイズで比較した場合、端部に集磁部を設けている分、励磁コイルおよび検出コイルの巻き数が減少する。平行フラックスゲートセンサは、コイルに時間的に変化する電流を通電することで励磁するため、コイルの巻き数が減少すると励磁効率が低下してしまう。その励磁効率の低下を補うために通電する電流を大きくすると、消費電力が大きくなる。また、検出コイルの巻き数も減少するため、感度を大きくすることが難しいという問題がある。
前記磁界検出素子における軟磁性体膜のパターンが、軟磁性体膜と、非磁性金属膜および/または非磁性絶縁体膜とが積層されてなる積層膜により構成されているものとすることができる。
図3は、本発明の磁界検出素子の第1形態例を示し、図3(a)は平面図、図3(b)は軟磁性体膜および電極の配置を説明する平面図である。図4は、本発明の磁界検出素子の長手方向に沿う模式的断面図である。図5(a)、(b)は軟磁性体膜のパターンの例を示す平面図である。なお、図3(a)の平面図は、非磁性基板および絶縁層の図示を省略して、軟磁性体膜および電極と、その上に配されるスパイラルコイルとが、非磁性基板上において上下に重なる位置にあることを示している。
絶縁層10bは、平面スパイラルコイル14a,14bと、軟磁性体膜11との間を電気的に絶縁するため、非磁性の絶縁体からなる。絶縁体としては、感光性ポリイミドなどの絶縁性樹脂のほか、SiO2やAl2O3等の金属酸化物、Si3N4やAlN等の金属窒化物等が挙げられる。
この軟磁性体膜11を構成する軟磁性体としては、一軸異方性を付与できるものであれば特に限定されないが、例えばCo85Nb12Zr3、NiFe、FeSiAl、CoFeSiBなどが挙げられる。
また、平面スパイラルコイルと軟磁性体膜を1つの非磁性基板上に集積したものであるので、磁界検出素子におけるピックアップコイルやバイアスコイルを別途用意する必要がなく、磁界検出素子の小型化が可能である。また、コイルとして、平面スパイラルコイルを用いることにより、作製プロセスが容易になる。
まず、熱酸化シリコン基板やガラス基板などの非磁性基板10aの上に、軟磁性体膜11を形成する。軟磁性体膜を形成する方法としては、例えばフォトレジストにより所望のパターンを非磁性基板上に形成した後、Co85Nb12Zr3、NiFe、FeSiAl、CoFeSiBなどの軟磁性金属のスパッタリング等によって軟磁性体膜を成膜したのち、レジストを除去してリフトオフによりパターニングする方法が挙げられる。あるいは、軟磁性体膜をスパッタリングにより成膜した上に、フォトレジストによって所望の形状のレジストパターンを形成したのち、ウエットエッチングやドライエッチングなどによりレジストパターンの外側の不要な軟磁性体膜を除去して、所望の形状の軟磁性体膜を形成するようにしても良い。また、シード層をスパッタした後にレジストフレームを形成し、NiFe等の軟磁性体のめっきにより軟磁性体膜を形成してもよい。軟磁性体膜の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば1〜5μmとすることができる。
コイル用の配線16c,16dをアンダーパスとするときは、非磁性基板10aの上に形成することができる。配線13c,13d,16c,16dおよびパッド13a,13b,16a,16bは、電極12a,12bと同じ手法によって形成することができる。
以上の工程により、本形態例の磁界検出素子を作製することができる。
複数個の軟磁性体膜11は、2つの平面スパイラルコイル14a,14bの渦巻き中心間を結ぶ直線に対し略平行となるように配置され、2つの平面スパイラルコイル14a,14bの渦巻き中心間の同相磁界発生部にて電流を通電するよう電極12a,12bが形成されており、電極12a,12b間における軟磁性体膜11の通電部11cは、その長手方向がコイルの電流方向と略直交して横切るように配されている。
さらに各軟磁性体膜11は、2つの平面スパイラルコイル14a,14bの渦巻き中心間より外側の逆相磁界発生部に、通電部11cの外側に同一平面内で連続した集磁部11a,11bを有する。複数個の軟磁性体膜11のうち少なくとも1個は、集磁部11a,11bが、通電部11cの幅よりも幅が広くなったパターンを有する。すなわち、各軟磁性体膜11の全体としては、各軟磁性体膜11の集磁部11a,11bの幅の合計が、各軟磁性体膜11の通電部11cの幅の合計よりも広くなっている。
また、平面スパイラルコイルと軟磁性体膜を1つの非磁性基板上に集積したものであるので、磁界検出素子におけるピックアップコイルやバイアスコイルを別途用意する必要がなく、磁界検出素子の小型化が可能である。また、コイルとして、平面スパイラルコイルを用いることにより、作製プロセスが容易になる。
また、それぞれの集磁部11a,11bの幅Wa,Wbを、70μm、110μm、190μmの3通りに変えて解析した。通電部11cから集磁部11a,11bまでは、45°の角度で徐々に広がる形状とした。
通電部と同じ幅の集磁部を幅広の集磁部と比較するため、図10に示すように、通電部11cの両端の集磁部11a,11bを幅広にした場合と、図11に示すように、通電部11cおよび集磁部11a,11bが同じ幅である場合を比較した。
図12(a)は、図10に示す本発明の素子において、パルス幅30ns、立上がり時間3ns、繰返し周期1ms、振幅100mAのパルス電流を通電部11cに通電したときのコイルの出力電圧を測定したものである。図10において、通電部11cの幅は30μmであり、集磁部11a,11bの幅は最大で115μmである。また、図12(b)は、図11に示す従来例の素子において、図12(a)と同条件のパルス電流を通電部11cに通電したときのコイルの出力電圧を測定したものである。図11において、通電部11cおよび集磁部11a,11bの幅は30μmである。
図12(a)と図12(b)との比較から、集磁部11a,11bの幅を通電部11cの幅よりも広くすることで、磁界に対する感度が向上していることがわかる。
Claims (6)
- 非磁性基板上に形成された感磁部となる軟磁性体膜と、前記軟磁性体膜と上下に重なる位置に絶縁層を介して配され、電流の方向が逆向きとなるように巻き回され電気的に直列に接続された2つの平面スパイラルコイルとを少なくとも備え、前記感磁部に電流を通電し、外部磁界の印加に対する感磁部またはコイルにおける電圧出力を検出する磁界検出素子であって、
前記軟磁性体膜は、前記2つの平面スパイラルコイルの渦巻き中心間を結ぶ直線に対し略平行となるように配置され、前記2つの平面スパイラルコイルの渦巻き中心間の同相磁界発生部にて電流を通電するよう電極が形成されており、前記電極間における前記軟磁性体膜の通電部は、その長手方向が前記コイルの電流方向と略直交して横切るように配されており、
さらに前記軟磁性体膜は、前記2つの平面スパイラルコイルの渦巻き中心間より外側の逆相磁界発生部に、前記通電部の外側に同一平面内で連続した集磁部を有し、前記集磁部は、前記通電部の幅よりも幅が広くなったパターンを有することを特徴とする磁界検出素子。 - 前記軟磁性体膜は、複数本の長手方向を有する軟磁性体膜からなり、各軟磁性体膜は前記通電部および前記集磁部を有し、かつ前記集磁部は、前記通電部のそれぞれの端から前記逆相磁界発生部における前記コイルの電流方向を横切って、前記長手方向と同一方向に伸長されていることを特徴とする請求項1に記載の磁界検出素子。
- 前記磁界検出素子は、前記コイルに直流またはパルス状の電流を通電してバイアス磁界を発生させるとともに、前記通電部に高周波電流またはパルス状の電流を通電し、外部磁界によるインピーダンス変化に起因する電圧出力を検出する磁気インピーダンス効果素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁界検出素子。
- 前記磁界検出素子は、前記通電部に交流電流またはパルス状の電流を通電し、外部磁界によりコイルに誘起される誘導出力を検出する直交フラックスゲート素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁界検出素子。
- 前記磁界検出素子は、前記コイルに直流またはパルス状の電流を通電してバイアス磁界を発生させるとともに、前記通電部に直流電流またはパルス状の電流を通電し、外部磁界による抵抗値変化に起因する電圧出力を検出する磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁界検出素子。
- 前記磁界検出素子における軟磁性体膜のパターンが、軟磁性体膜と、非磁性金属膜および/または非磁性絶縁体膜とが積層されてなる積層膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁界検出素子。
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