ところで、燃焼排ガスから潜熱回収を図るコンデンシング給湯装置においては、必然的に燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮して強酸性のドレン水が発生するため、このドレン水を外部に排出するための排水設備を付帯させることが必要になる。しかしながら、新設する場合には上記の排水設備の付帯が当初から予定されているため支障は生じないものの、既設の給湯装置をコンデンシング給湯装置に切り替える場合には、給湯装置自体の交換に加えて上記の排水設備を設置するための付帯工事をも追加する必要が生じてしまうことになる。このような付帯工事の必要性が、高効率型のコンデンシング給湯装置への切り替え促進を図る上での制約となり、社会全体での省エネルギー化を促進させる上での障害ともなっている。このため、上記の如き排水設備設置のための付帯工事を行うことなく、既設給湯装置のコンデンシング給湯装置への切り替えを実現させ得るための技術開発が要請されている。
このような状況下において、本願発明の発明者は、浴槽水の追焚のために既に設置されている風呂配管及び浴槽をドレン水の排水設備として利用すれば、排水設備設置のための付帯工事を追加することなしに高効率型への切り替え促進を図り得るであろうとの観点より、ドレン水を上記の風呂配管を通して浴槽内に導出して排水させる場合の解決すべき課題について検討を加えた。その結果、ドレン水中に含有するホルムアルデヒド(HCHO)を除去することが必要かつ重要な課題であるものの、従来知られているホルムアルデヒド除去手法(例えばオゾンバブリングや塩素等の酸化剤処理)では装置の大型化を招く上に、ドレン水を対象とするホルムアルデヒド除去に対しては処理時間や除去性能において実用上問題があるとの認識に至った。
一方、本願発明の出願人は、ドレン水からのホルムアルデヒド除去について既に電気分解処理による手法・装置を提案しているが(例えば特願2007−113431,特願2007−113432,特願2007−113433)、所定の除去率を実現し得る処理時間のさらに一層の短縮化、構成のより一層の簡易化・コンパクト化等を図る必要もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潜熱回収用熱交換器で発生するドレン水からホルムアルデヒドを除去処理することができ、しかも、そのホルムアルデヒド除去をより迅速にしかも他に不都合を生じさせることなく実現させ得るコンデンシング給湯装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、バーナの燃焼により発生する燃焼ガスから顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器と、この顕熱回収用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスから潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器と、この潜熱回収用熱交換器において発生するドレン水を集水して排水するドレン水集排水路とを備えたコンデンシング給湯装置を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記潜熱回収用熱交換器において発生するドレン水からこのドレン水に含まれるホルムアルデヒドを除去して上記ドレン水を改質処理する改質手段を備え、上記改質手段として、二酸化マンガンを主成分とする触媒を改質材として有し、この改質材の二酸化マンガンを触媒とする分解反応により上記ドレン水に含まれるホルムアルデヒドが除去されるよう上記ドレン水と改質材とが互いに接触するように配設させる構成とした(請求項1)。
本発明の場合、改質手段においてドレン水に含まれるホルムアルデヒドが二酸化マンガン触媒と接触して酸化分解反応により除去されることになる。このため、ドレン水が無害化されて特別な排水設備を用いることなく外部に排水させることが可能となる。このため、コンデンシング給湯装置を新設する場合のみならず、既設の給湯装置と切り替えする場合にも排水設備についての付帯工事を追加することなく容易に設置することが可能となる。加えて、完全酸化触媒である二酸化マンガン触媒を用いて強酸性のドレン水の改質処理を行うようにしているため、処理後のドレン水にマンガン成分が溶出することがなく、併せて、二酸化マンガン触媒自体に被毒が生ずることもない。
本発明においては、さらに、浴槽に対し連通接続される風呂連通路を備え、上記改質手段により改質処理されたドレン水が上記風呂連通路を通して上記浴槽内に排水されるよう上記ドレン水集排水路の下流端を上記風呂連通路の途中に接続させるようにすることもできる(請求項2)。この場合には、処理後のドレン水からホルムアルデヒドが除去されて無害化されているため、浴槽を排水設備の一部として用いることが可能となる上に、浴槽に排出させるための構成として風呂連通路にドレン水集排水路の下流端を単に接続させておけばよいことになる。
又、上記ドレン水集排水路に対し介装されるものとして、上記潜熱回収用熱交換器において発生するドレン水を中和処理する中和槽を備え、上記改質手段を、この改質手段に対し上記中和槽による中和処理前のドレン水が改質処理のために導入されるように上記中和槽よりも上流側のドレン水集排水路に配設させることができる(請求項3)。この場合、潜熱回収用熱交換器から改質手段を通して中和槽に至るまでの間に流れるドレン水が強酸性の状態に維持されるため、特に改質手段における一般細菌の繁殖等のおそれを確実に回避することが可能となる。
以上のコンデンシング給湯装置において、次のいずれかの配設態様を採用することにより、バーナや熱交換器からの伝熱を受けて改質手段内のドレン水を加温することが可能となり、被処理水であるドレン水の昇温によって二酸化マンガン触媒によるホルムアルデヒドの除去反応の速度を高め、処理速度を速めることが可能となる。
すなわち、第1として、上記改質手段を、上記顕熱回収用熱交換器の側面もしくは頂面、バーナケースの側面、及び 上記潜熱回収用熱交換器の底面の内のいずれか1つに対し、そこから伝熱を受けて加温されるように近接して配設する(請求項4)。この場合には、バーナの燃焼熱や熱交換器内を通過する燃焼ガスの熱が伝熱されて、改質手段内のドレン水の加温が行われる。
第2として、上記顕熱回収用熱交換器により加温した温水を暖房熱源として暖房端末に対し温水循環路を通して循環供給する暖房回路を備え、上記改質手段を、上記温水循環路から伝熱を受けて加温されるようにその温水循環路に対し近接して配設する(請求項5)。この場合には、暖房熱源として循環供給される高温水の熱が伝熱されて、改質手段内のドレン水が加温されることになる。
又、上記の改質手段としては改質材を充填した改質槽によって構成する他に、次のように構成してもよい。すなわち、上記ドレン水集排水路が潜熱回収用熱交換器の下側位置に配設されたドレン水集水用のドレンパンを構成要素の一部として備え、上記改質手段として上記ドレンパンの上面に配設された改質部によって構成する(請求項6)。この場合は、ドレンパンに集水されたドレン水に対し改質部によって即座にホルムアルデヒド除去が行われることになる。
さらに、上記改質手段の内部のドレン水を加温するヒーターをさらに備えることができる(請求項7)。この場合は、例えば電気ヒーター等のヒーターによってドレン水を所望の温度まで正確に加温させることが可能となり、改質手段の配設位置等の選択についての自由度が高まることになる。
以上、説明したように、請求項1〜請求項7のいずれかのコンデンシング給湯装置によれば、改質手段において、潜熱回収用熱交換器で発生するドレン水からこれに含まれるホルムアルデヒドが二酸化マンガン触媒と接触して酸化分解反応により除去することができるようになる。このため、ドレン水が無害化されて特別な排水設備を用いることなく外部に排水させることができ、コンデンシング給湯装置を新設する場合のみならず、既設の給湯装置と切り替えする場合にも排水設備についての付帯工事を追加することなく容易に設置することができるようになる。加えて、完全酸化触媒である二酸化マンガン触媒を用いて強酸性のドレン水の改質処理を行うようにしているため、処理後のドレン水にマンガン成分が溶出することがなく、併せて、二酸化マンガン触媒自体に被毒が生ずることもなく、溶存マンガンのろ過や被毒回復のための新たな処理等を生じさせることもない。
特に、請求項2によれば、処理後のドレン水からホルムアルデヒドが除去されて無害化されているため、処理後のドレン水を風呂連通路を介して浴槽に流し込んで排水させるというように、浴槽を排水設備の一部として用いることができるようになる。
請求項3によれば、潜熱回収用熱交換器から改質手段を通して中和槽に至るまでの間に流れるドレン水が強酸性の状態に維持されるため、特に改質手段における一般細菌の繁殖等のおそれを確実に回避することができるようになる。
請求項4によれば、バーナの燃焼熱や熱交換器内を通過する燃焼ガスからの伝熱によって、改質手段内のドレン水を加温することができ、被処理水であるドレン水の昇温によって二酸化マンガン触媒によるホルムアルデヒドの除去反応の速度を高め、処理速度を速めることができるようになる。又、請求項5によれば、暖房熱源として循環供給される高温水の熱の伝熱により改質手段内のドレン水を加温することができ、上記請求項4と同様の効果を得ることができるようになる。
又、請求項6によれば、ドレンパンに集水されたドレン水に対し改質部によって即座にホルムアルデヒド除去が行われることになる。
さらに、請求項7によれば、ヒーターによってドレン水を所望の温度まで正確に加温させることができ、二酸化マンガン触媒によるホルムアルデヒドの除去反応の速度を高め、処理速度を速めることができるようになる上に、改質手段の配設位置等の選択についての自由度をも高めることができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンデンシング給湯装置Eの要部を示し、1は潜熱回収用熱交換器としての二次熱交換器、2は浴槽、3は浴槽水の追い焚きを行うための追い焚き循環路、4は二次熱交換器1から導出したドレン水からこのドレン水に含まれるホルムアルデヒド(HCHO)を除去して改質処理を行う改質手段としての改質槽、5は改質槽4での改質処理後のドレン水を中和処理する中和槽、6は改質処理及び中和処理の後の処理済みドレン水を一時貯留するバッファータンクである。本実施形態では、上記二次熱交換器1で発生したドレン水を改質槽4で改質処理し、さらに改質処理後のドレン水を中和槽5において中和処理した後に、その処理済みドレン水を追い焚き循環路3に流入させることにより、追い焚き循環用の機外の外部配管30を通して浴槽2内に排出するようにしたものを示している。浴槽2内に排出された処理済みドレン水は、排水口21から一般排水設備22に排水されることになる他、上記の改質処理及び中和処理を経た処理済みドレン水は十分に浄水化されているため、排水せずにそのまま溜めて浴槽水として再利用したり、あるいは浴槽洗浄用の中水として再利用したりというように、ユーザーの都合に応じて扱えばよい。なお、コンデンシング給湯装置Eの機内に装備された上記追い焚き循環路3と、接続部300a,300bにおいて追い焚き循環路3と接続されて機外に設置された外部配管30とによって、コンデンシング給湯装置Eと浴槽2との間で浴槽水を追い焚きのために循環させる追い焚き循環回路が構成されている。この追い焚き循環回路の内の機内に設置された追い焚き循環路3が、本発明における風呂連通路を構成する。
上記二次熱交換器1は、熱交換器ケース11と、この熱交換器ケース11内に配設された多管式等の熱交換器本体12とを備えたものである。この二次熱交換器1に対し、燃焼排ガス通路10を通して供給された燃焼排ガスが熱交換器ケース11の一側位置(同図の左側位置)の流入口111から内部に流入し、他側位置(同図の右側位置)の流出口112に向けて流れた後に流出口112から機外に排出されるようになっている。そして、燃焼排ガスが上流側である流入口111側から下流側である流出口112側まで流れる間に、内部に冷たい入水が通される熱交換器本体12の外壁と接触して燃焼排ガスに含まれる水蒸気が凝縮して結露し、その結露した水滴(ドレン水)Dが熱交換器ケース11の底板113内面により構成されるドレンパン(ドレン受け部)11aの上面に沿って集水され、集水されたドレン水が導出管13を通して上記改質槽4に流入されるようになっている。上記のドレンパン11a、導出管13、及び、後述の導出管14,15,16によって、ドレン水を集水してドレン水集排水路が構成されている。
上記ドレンパン11aは下流側の流出口112側から上流側の流入口111側に向けて下り勾配となる傾斜面として形成され、この傾斜面の最下位の位置となる流入口111近傍の底板113に対しドレン水導出管13の上流端が開口するように接続されている。これにより、ドレンパン11aに熱交換器本体12の外表面から落下等したドレン水が傾斜面に沿ってドレン水導出管13の上流開口端131に重力作用によって導かれて集水されるようになっている。
改質槽4は、二酸化マンガン(MnO2)を主成分とする改質材が内部に充填され、一端から他端に向けてドレン水を流動させる間に改質材と接触させ、上記二酸化マンガンを触媒とする分解反応によりドレン水に含まれるホルムアルデヒドが除去(分解除去)されるようになっている。例えば、改質材を充填させたカラム4aを1本又は複数本(図1の例では5本)列状に並べ、ドレン水を順次上下方向に流すようにすればよい。この際、各カラム4a内に対しては、ドレン水導出管13を通して導出されるドレン水の押し出し圧力(押し出し流れ方式)により連続して流されることになって、ポンプ等の動力を不要にすることができる。
改質材としての二酸化マンガン触媒は、粉末触媒、造粒物触媒(ペレット触媒)、ハニカム触媒等の種々の性状のものを用いることができる。造粒物触媒は二酸化マンガンと結合材(例えばシリカやアルミナ)とを混合して多孔質のペレットに形成したものであり、ハニカム触媒はハニカム状に形成した担体に二酸化マンガンをコーティング等して表面に担持させたものである。ドレン水との接触という観点から多孔質のペレット触媒が最も効果的である。ここで、二酸化マンガンは結晶構造としてα型、β型、γ型のものがあるが、後述の如く、γ型がホルムアルデヒドの分解除去能力又は短時間処理能力に優れ、又、中でもBET値(比表面積値)が高いものほどより高い能力を示している。
そして、この改質槽4での二酸化マンガン触媒による酸化分解反応(HCHO→H2O+CO2)により、ドレン水に通常10ppm程度の濃度で含まれているホルムアルデヒドのほぼ全量が除去(HCHO濃度0.01ppm以下になるまで除去)されて無害化し得るように設定されている。すなわち、上記の如き二酸化マンガン触媒の選定、上記のカラム4aの本数・長さ等の設定によるドレン水と改質材との接触時間(処理時間)の設定、及び、後述の如き被処理水であるドレン水の温度条件の設定等によって、実用に供し得る短い処理時間内でほぼ全量のホルムアルデヒドが除去し得るようにされている。
中和槽5は内部に中和材(例えば炭酸カルシウム)が充填されたものである。そして、この中和槽5は、上記改質槽4で改質処理(ホルムアルデヒド除去処理)後のドレン水が導出管14を通して中和槽5の入口から流入され、流入したドレン水が出口まで流される間に中和材と接触することにより中和され、中和処理後のドレン水が導出管15を通してバッファータンク6に供給されるようになっている。又、上記中和槽5は、導出管14からのドレン水の流入側に殺菌手段51を備え、中和機能に加えて一般細菌を対象にした殺菌機能をも併有したものに構成されている。殺菌手段51としては、例えば銀の錠剤等の殺菌剤を備え、殺菌剤とドレン水との接触により殺菌させるものや、ヒーターを備え、ヒーターの作動により高温加熱殺菌(例えば70℃の加熱殺菌)させるもので構成すればよい。なお、殺菌手段51を中和槽5とは切り離して独立して設置するようにしてもよい。
バッファータンク6は所定の内容積(例えば4L分)を有し、上記の改質処理及び中和処理が済んだドレン水を一時貯留しておくものである。そして、バッファータンク6に上流端が接続された導出管16の下流端が切換手段としての三方切換弁17を介して追い焚き循環路3(図例では往き路3b)に接続されており、三方切換弁17が図示省略のコントローラにより所定タイミングで切換えられてバッファータンク6内のドレン水が追い焚き循環路3に導出され、この追い焚き循環路3及び外部配管30を通して浴槽2内に排出されるようになっている。浴槽2への排出は、コンデンシング給湯装置Eが1階に設置され浴槽が同じく1階に設置されている場合であるとバッファータンク6と浴槽2との高低位置関係に基づく重力作用による落とし込みによって行うようにしてもよく、又、コンデンシング給湯装置Eが1階に設置され浴槽2が2階に設置されている場合であると上記追い焚き循環路3に介装されている図示省略のポンプを作動させることにより行うようにすればよい。
上記三方切換弁17は、常時は導出管16側が閉状態にされて追い焚き循環路3(往き路3b)を連通状態に維持し、ドレン水排出時に上記コントローラからの作動制御によって導出管16側と追い焚き循環路3とが互いに連通する状態に切換えられるようになっている。このような切換手段としては、三方切換弁17に限らず、例えば複数個の電磁開閉弁を組み合わせて構成するようにしてもよい。又、上記の切換手段を介して導出管16の下流端を接続する対象は、追い焚き循環路3を構成する戻り路3a・往き路3bのいずれか一方又は双方でよく、この追い焚き循環路3を構成する戻り路3a・往き路3bのいずれか又は双方が浴槽2に連通接続されることになる風呂連通路を構成する。
図1の如き二次熱交換器1、改質槽4、中和槽5及びバッファータンク6を適用した具体的なコンデンシング給湯装置の例について図2に基づいて簡単に説明する。
図2に例示するコンデンシング給湯装置は、給湯機能に加えて、温水循環式暖房機能、風呂追い焚き機能、風呂湯張り機能の各機能を併有する複合熱源機型に構成されたものであり、燃焼加熱部において顕熱に加え燃焼排ガスから潜熱をも回収を行うことにより高効率化を図る潜熱回収型のものである。なお、本発明を実施する上では、少なくとも燃焼加熱部に対し潜熱回収用の二次熱交換器1を併設したものであれば適用することができ、又、風呂追い焚き機能を有して追い焚き循環路3が設置されたものであれば浴槽2を用いたドレン水の排出が容易に可能となってより好ましいものである。
同図において、符号21は給湯機能を実現するための給湯回路、22は温水循環式暖房機能を実現するための暖房回路、23は風呂側循環回路として風呂追い焚き機能を実現するための追い焚き回路、24は風呂湯張り機能を実現するための注湯回路であり、又、符号25は潜熱回収用の二次熱交換器1で発生するドレン水を改質及び中和の各処理を行うドレン水処理回路、26はこれらの各回路の作動制御等を行うコントローラである。なお、この給湯装置における風呂追い焚きは、暖房回路22の高温水を熱源として、追い焚き回路23の浴槽水をバスヒータ41で液−液熱交換加熱することにより昇温させて追い焚き加熱を行うタイプのものであるが、これに限らず、追い焚き加熱のための燃焼加熱部(燃焼バーナ及びこの燃焼バーナの燃焼熱により熱交換加熱される熱交換器)を備えたもので追い焚きを行う構成にしてもよい。
上記給湯回路21は、給湯用燃焼バーナ31と、この燃焼バーナ31の燃焼熱により入水を熱交換加熱する給湯用の一次熱交換器32とを燃焼加熱部として備え、入水路33から水道水等が上記給湯用一次熱交換器32において主として加熱され、加熱された後の湯が出湯路34に出湯されるようになっている。この際、上記入水路33からの入水は、一次熱交換器32に入水される前に、上記二次熱交換器1を構成する給湯用熱交換部1aに通されるようになっており、この熱交換部1aにおいて燃焼排ガスからの潜熱回収により予熱された状態で一次熱交換器32に入水されて主加熱されるようになっている。そして、所定温度まで加熱されて上記出湯路34に出湯された湯が、台所や浴室等の給湯栓35や上記注湯回路24などの所定の給湯箇所に給湯されるようになっている。なお、図例では給湯栓35として1つのみ図示しているが、通常は台所、洗面台、浴室等にそれぞれ配設されて複数ある。上記の一次熱交換器32や後述の暖房用の一次熱交換器37が顕熱回収用熱交換器を構成し、上記給湯用熱交換部1aや後述の暖房用熱交換部1bで構成される二次熱交換器1が潜熱回収用熱交換器を構成する。
上記暖房回路22は、暖房用燃焼バーナ36と、この燃焼バーナ36の燃焼熱により循環温水を熱交換加熱する暖房用一次熱交換器37とを燃焼加熱部として備え、この暖房用一次熱交換器37に暖房用温水循環路38が通されている。
上記温水循環路38は、膨張タンク39に戻されて貯留される低温水を暖房用循環ポンプ40の作動により上記暖房用一次熱交換器37の入口に送り、ここで燃焼バーナ36により加熱された高温水を高温往き路38aから液−液熱交換器であるバスヒータ41に熱源として供給したり、高温往きヘッダー42を介して例えば浴室乾燥機等の高温用暖房端末43に供給したりされるようになっている。又、上記の循環ポンプ40の作動により、膨張タンク39内の低温水を低温往きヘッダー44を介して例えば床暖房機等の低温用暖房端末45に供給し、全ての暖房端末43,45から放熱により低温になった低温水を戻りヘッダー46を介して潜熱回収用の二次熱交換器1の暖房用熱交換部1bに通した上で膨張タンク39に戻すというように、循環させるようになっている。上記の二次熱交換器1の暖房用熱交換部1bにおいて、暖房用燃焼バーナ36の燃焼排ガスからの潜熱回収により低温水が予熱された状態で膨張タンク39に戻されるようになっている。
追い焚き回路23は、液−液熱交換式の加熱部としてのバスヒータ41が、戻り路3a及び往き路3bからなる追い焚き循環路3に介装され、追い焚き用循環ポンプ47の作動により浴槽2から戻り管30a及び戻り路3aを通して取り出された浴槽水がバスヒータ41に送られ、このバスヒータ41において暖房回路22側の高温水を熱源とする液−液熱交換により追い焚き加熱され、追い焚き加熱後の浴槽湯水が往き路3b及び往き管30bを通して浴槽2に送られるようになっている。
注湯回路24は、給湯回路21から上流端が分岐して下流端が追い焚き循環路3に合流された注湯路48と、開閉切換により注湯の実行と遮断とを切換える注湯電磁弁49とを備えている。この注湯電磁弁49がコントローラ26により開閉制御され、注湯の実行により、出湯路34の湯が注湯路48,追い焚き循環路3(戻り路3a)を経て浴槽2に注湯されて所定量の湯張りが行われるようになっている。
ドレン水処理回路25は、二次熱交換器1(給湯用熱交換部1a及び暖房用熱交換部1b)において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレン水に対し、ホルムアルデヒド除去処理である改質処理及び中和処理を加え、その上で機外への排出のために又は再利用のために浴槽2内に流すために設置された回路である。すなわち、ドレン水処理回路25では、二次熱交換器1の下側位置に配設されたドレンパン11a(図1参照)により集水・回収されたドレン水を、導出管13を通して改質槽4に導き、改質材である二酸化マンガン触媒を用いた分解反応によりホルムアルデヒドの除去処理を施す。次に、改質処理後のドレン水を導出管14により中和槽5に導き、殺菌処理及び中和槽5内に充填された中和材と接触させることにより中和処理を施す。次に、中和処理を施したドレン水を導出管15を通してバッファータンク6に導いて所定の排出タイミングが到来するまで一次貯留し、排出タイミングの到来によりコントローラ26の作動制御により三方切換弁17が切換えられると、バッファータンク6内のドレン水を導出管16を通して追い焚き循環路3(図2では戻り路3aを例示)に流入させることにより浴槽2内に流し込むようになっている。
上記の排出タイミングとしては、浴槽2が使用されていないタイミング、つまり入浴のための湯張りが行われていないタイミングを設定すればよい。コンデンシング給湯装置Eの給湯能力等の規模や使用環境に応じて1日間に発生するドレン水の量を想定し、このドレン水量とバッファータンク6の貯留量との兼ね合いで排出タイミング及び1日当たりの回数を設定するようにすればよい。例えば1日間に発生する想定最大ドレン水量を10Lで、バッファータンク6の貯留量が4Lに設定されているとすると、1日3回の排出タイミングを設定すればよい。この排出タイミングとしては、浴槽の自動洗浄の実行時や、自動湯張りや自動保温に係る制御が行われていないタイミングを選択設定すればよい。時刻による設定では、午前10時や午後4時あるいは午前2時というような入浴が通常は行われないであろう時間帯を選択すればよい。
図2の例では、改質槽4が燃焼バーナ31,36のバーナケース(燃焼缶体)に近接して配置され、バーナケースから燃焼バーナ31,36の燃焼熱の伝熱を受け得るようになっている。例えばバーナケースの側面に接触した状態で配設したり、接触させなくてもバーナケースの側面に対し僅かな隙間を隔てて配設したりすればよい。これにより、燃焼熱の伝熱によって改質槽4内のドレン水を加温して所定の高温状態に維持し、二酸化マンガン触媒によるホルムアルデヒド除去反応を促進させて処理速度を高めることができるようになる。すなわち、二次熱交換器1から導出されて改質槽4で改質処理されるドレン水を、二次熱交換器1から導出したままのそれよりも高温状態にすることができ、この結果、二次熱交換器1から導出したままのドレン水を被処理水として改質槽4で改質する場合と比べ、ホルムアルデヒド除去のための酸化反応をより促進することができ、その反応速度を高めて処理の迅速化・処理時間の短縮化を図ることができる。しかも、このような配設態様による伝熱を利用することにより、他の熱源動力を必要とすることなく、ドレン水からのホルムアルデヒド除去反応を促進させるための熱を得ることができるようになる。例えば、給湯用熱交換部1aでは40℃程度、暖房用熱交換部1bでは57℃程度である二次熱交換器1から導出直後のドレン水の温度が、バーナケースからの伝熱を受けて70℃程度まで昇温させることができる。
このような改質槽4でのドレン水の加温は、上記の燃焼バーナ31,36のバーナケースに近接配置させる他、種々の配設態様によっても実現させ得る。すなわち、図3(a)に示すように、一次熱交換器32又は37の側面(具体的には熱交換器ケースの側面)321に接触する位置又は近傍位置に配設するというように近接配置させてもよい。なお、「側面」としては、上記一次熱交換器32又は37の熱交換器ケースの左右の側面(例えば321)に限らず、一次熱交換器32又は37の熱交換器ケースの前面や背面をも含む。この他にも図示を省略するが、改質槽4を一次熱交換器32又は37の頂面322に近接配置させたり、二次熱交換器1の底板113(図1も併せて参照)に近接配置させたり、あるいは、一次熱交換器32又は37と二次熱交換器1との上下間の隙間に配設させたり、するようにしてもよい。これらの場合には、いずれも熱交換器ケース内を流れる燃焼ガス又は燃焼排ガスからの伝熱を受けて改質槽4内のドレン水が加温されるようになる。なお、図3(a)には殺菌手段51としての殺菌槽52を中和槽5とは別に独立して設けた場合を図示している。
さらに、単なる配設態様ではなくて、高温水が流れる配管もしくは通路からの伝熱を積極的に利用するようにしてもよい。例えば、暖房用の温水循環路38(中でも高温往き路38a)の管路を改質槽4の周囲に添わしたり(例えば螺旋状に巻き付けて添わしたり)、改質槽4の外周部に高温往き路38aの一部を構成する流路(例えば螺旋状通路)を形成するようにしてもよい。この場合には、高温往き路38aを通して供給される高温水(例えば80℃の高温水)からの伝熱により改質槽4内のドレン水を加温することができるようになる。
又、これら以外に、図3(b)に示すように改質槽4に対しヒーター7を設置して所定温度までの加温を行うようにしてもよい。この場合には、ヒーター7作動のためのエネルギーは必要となるものの、所定温度(例えば70℃)までの加温を正確に行うことができる他、改質槽4の配設位置を自由に設定することができレイアウトの設計上の自由度を高めることができる。又、この図3(b)の例では中和槽5に対し殺菌用ヒータ53を殺菌手段51として併設している。
以上説明した改質槽4においては、強酸性(例えばpH3)のドレン水を被処理水として二酸化マンガン触媒と接触させても、二酸化マンガン触媒は酸化物であって安定しているため二酸化マンガン触媒からマンガン成分が溶出することもなく、二酸化マンガン触媒を用いた場合のマンガン成分溶出に起因する溶存マンガンのろ過処理も不要にすることができる。又、二酸化マンガン触媒は完全酸化触媒であるため、二酸化マンガン触媒がホルムアルデヒドの分解処理により発生する分解産物(例えばCO)により被毒することもなく、触媒被毒に起因する被毒回復のための操作も不要であり、二酸化マンガン触媒は常に所期の改質処理性能を維持することができる。
さらに、改質槽4内は強酸性のドレン水で満たされるため、一般細菌が繁殖もしくは増殖することもない。すなわち、仮に、中和槽5による中和処理後のドレン水を被処理水として改質槽4での改質処理を行うようにすると、改質槽4内での一般細菌の繁殖等の懸念が生じるおそれがあるものの、中和槽5よりもドレン水の流れの上流側に改質槽4を配設しているため、改質槽4内を強酸性環境に維持して一般細菌の繁殖等のおそれを確実に回避することができる。
その上に、ホルムアルデヒドの除去を行う手段として、電気分解により行う場合の電解槽と比べ、二酸化マンガン触媒を改質材とする改質槽4を用いることで大幅にコンパクト化することができる。
一方、以上のコンデンシング給湯装置は、改質槽4を備えてドレン水からホルムアルデヒドを除去して無害化した状態でバッファータンク6に貯留させることができる上に、そのバッファータンク6から機内に設置されている追い焚き循環路3に対し三方切換弁17の切換により排出可能にされているため、既設の給湯装置をコンデンシング給湯装置に交換して高効率型に切り替える作業を、単に給湯装置を付け替えるだけで済み、ドレン水の排水のための排水設備等の付帯工事を行う必要もない。すなわち、コンデンシング給湯装置への切り替えは、既設の給湯装置から外部配管30の戻り管30aと往き管30bの接続を外した上で取り外し、新たにコンデンシング給湯装置Eを設置して接続部300a,300bに上記の外部配管30の戻り管30aと往き管30bを接続し直すだけの作業で済む。これにより、ドレン水の排出を追い焚き循環路3及び外部配管30を通して浴槽2内に流し込ませ、その排水口21から外部に排水させることができるようになる。この際、浴槽2内に流入させてはいるものの、そのドレン水は上記の如く無害化されているため、浴槽2をそのまま排水設備の一部として活用することができるようになる。これにより、特に集合住宅等に設置されている既設の給湯装置を高効率型のコンデンシング給湯装置へ切り替えることを促進させることができ、省エネルギー化に寄与することができるようになる。
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、改質槽4での改質処理をした後に中和槽5での中和処理を行うようにしているが、中和槽での中和処理を先にした後に改質槽での改質処理を行うようにしてもよい。つまり、改質槽をドレン水の流れに対し中和槽の下流位置に配設するようにしてもよい。なお、このように改質槽の上流側に中和槽を配置する場合であっても、中和槽での一般細菌の繁殖を抑制・防止するために、中和槽の上流側に殺菌手段を備えるようにするのが望ましい。
上記実施形態におけるドレンパン11aとしては導出管13の上流開口端131に向けて下り勾配の傾斜面になるように形成しているが、これに限らず、少なくとも逆勾配でなければよく、水平面になるように形成してもよい。水平面であれば、ドレン水が僅かでも溜まれば上流開口端131から導出可能だからである。あるいは、上記とは逆の勾配にして導出管の上流開口端を流出口112近傍の底板113に開口するように設けるようにしてもよい。
上記実施形態では、ドレンパン11aを底板113の底面により構成し、その底板113の底面を傾斜面としているが、これに限らず、ドレンパンを底板とは別に二次熱交換器1のケース内に配設する場合には、底板を傾斜させる必要はなく、この底板の底面側に配設するドレンパンの上面を傾斜面により構成すればよい。
上記実施形態では、改質槽4内にカラム4a,4a,…を列状に並べて内部に改質材を充填させているが、改質槽の構成としてはこれに限らず、1つの槽内に改質材を充填させたり、槽内を上下から交互に仕切る仕切り壁を形成しジグザクの通路内に改質材を充填させるようにしたりというように、種々の構成を採用してもよい。
又、上記実施形態では、改質槽4を改質手段として採用しているが、これに限らず、例えばドレン水集排水路の最上流部であるドレンパン11aの上面に対し改質部を設けて改質手段を構成するようにしてもよい。改質部としては改質材をネット部材等の流出防止の包装材に収容した状態でドレンパン11aの上面に固定するようにすればよい。
二酸化マンガンの結晶構造の違いと、BET値(比表面積値)の違いとによるホルムアルデヒド除去能力への影響について、性能比較試験を行った。二酸化マンガンの試料としては下記の試料1〜試料5の5種類の粉状のものを用いた。
以上より、HCHO除去能力としては結晶構造がγ型の二酸化マンガンが最も優れており、同じγ型でもBET値が高いものが優れている。α型でもBET値が高いものであれば、良好なHCHO除去能力を示している。その他のものでは、反応時間が1分間という極短時間では実用上のHCHO除去能力は期待し得ないものであった。
ドレン水(被処理水)の温度条件がHCHO除去性能、特に処理時間に及ぼす影響について比較試験を行った。試験は、図4に示すように直径25mmで高さ450mmの触媒カラム81に対し、ヒーター82により所定温度に加温したビーカー83内の試験液をポンプ84により100mL/分の流速で循環させ、所定時間の経過毎に試験液を採取してHCHO濃度を測定した。触媒カラム81に対し二酸化マンガン触媒としてペレット状に成形したγ型結晶構造のものを165g充填し、ビーカー83内には6mg/LのHCHO濃度に調整した試験液を300mL入れた。上記ヒーター82はホットプレート付き電磁スターラーを用い、ビーカー83内の試験液を所定温度まで加温してその温度を維持させるようにした。試験液の温度条件としては、40℃、50℃、70℃、90℃の4種類とし、循環開始後5分、10分、20分、30分の経過毎にHCHO濃度を測定した(一部60分経過時も測定した)。
この結果、図5(a)に示すように、所期の除去能となるまでに40℃(同図の四角のマーク参照)ではほぼ60分経過を要したものの、50℃(同図の三角のマーク参照)では30分経過、70℃(同図の丸のマーク参照)では20分経過、90℃(同図の菱形のマーク参照)では10分経過というように、高温であるほど極めて短時間でHCHO除去が完了した。この結果に基づいて、試験液の温度(図5では「処理水温」と表示)に対する処理速度比を求めた結果を図5(b)に示した。