以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
図1は、この発明の遊技機の一例を示す正面図である。この発明の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の盤面には、表示部102が設けられている。表示部102は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)などによって構成することが可能であり、演出制御部(図5−1における符号550を参照)によって駆動制御されることによって所定の画像を表示する。表示部102は、たとえば、遊技球が特定の入賞口(始動入賞口103)に入賞するごとに、複数(たとえば3つ)の図柄を順次切り替えながら表示し、所定時間後に図柄の切り替えを停止する処理をおこなう。
遊技機は、遊技球が特定の入賞口(始動入賞口103)に入賞するごとに、図示しない主制御部において乱数を生成し、生成された乱数に応じて適宜大当たり状態を発生させる。そして、大当たり状態の発生時には、表示部102に特定図柄(たとえば「7」が一直線上に3つ揃った「777」など)を表示し、つづいて所定の大当たり演出をおこなう。所定の大当たり演出は、遊技盤101の下部位置に設けられた大入賞口101aを開閉したり、表示部102に大当たり演出用の画像を表示したり、図示しないスピーカから大当たり演出用の音声を出力したりする。
遊技盤101において大入賞口101aの下部位置には、発射部(図9における符号902を参照)が配置されている。発射部は、遊技のための遊技球を発射するものであり、発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール104a,104b間を上昇して遊技盤101の上部位置を経由して、遊技領域105内に達する。発射部は、遊技領域105内に向けて遊技球を打ち出すためのソレノイドなどを備えており、ソレノイドへの通電があるごとに遊技領域105内に遊技球を間欠的に打ち出すことで、遊技盤101の遊技領域105に遊技球を発射する。
遊技領域105内には、複数の釘や風車(いずれも図示を省略する)などが設けられており、遊技領域105内に達した遊技球は釘や風車などによって各種の方向に向けて落下する。また、遊技領域105内には、遊技球の通過を検出する入賞ゲート106が配設されている。遊技球が入賞ゲート106を通過したことが検出されると、始動入賞口103が一定時間だけ開放する。
また、遊技領域105内には、遊技球が入賞した場合に所定個数の賞球を払い出させる普通入賞口107が配設されている。遊技領域105内を落下途中の遊技球は、それぞれ、落下経路に応じて、始動入賞口103や普通入賞口107に落下する。遊技領域105の最下部には、始動入賞口103にも普通入賞口107にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
また、遊技領域105内には、演出用のLEDや、演出用の役物が設けられている(いずれも図示を省略する)。演出用のLEDは、演出制御部(後述する図5−1における符号550を参照)によって制御されて点灯あるいは点滅する。演出用の役物は、図示を省略するモータなどによって動作するように構成されており、演出制御部によって制御されるモータの動力によって動作する。
遊技盤101の下端部よりも下部位置には、ハンドル109が配置されている。ハンドル109は、遊技者によって操作されて、操作されている間、上記の発射部に遊技球を発射させる。図1において、ハンドル109は、遊技盤101の盤面位置から遊技者の手前方向に突出している。
図2−1は、ハンドル109を示す斜視図である。ハンドル109は、遊技機の本体に固定された基部211と、基部211に設けられたカップ部材212と、回転レバー部材213と、を備えている。回転レバー部材213は、ハンドル109の外周部において、基部211に対して、ハンドル109の突出方向を軸心方向とする軸心周りに所定角度(たとえば90度程度)だけ回転可能に設けられている。
回転レバー部材213の回転角度は、回転レバー部材213の回転角度に応じて出力が変化するセンサを備える所定の検出機構を用いて検出する。回転レバー部材213の回転角度を検出する検出機構については、公知の各種技術を用いて容易に実現可能であるため、ここでは図示および説明を省略する。
ハンドル109は、遊技者が回転レバー部材213を右回り方向に回転させることによって、回転レバー部材213が所定の発射位置に位置づけられている場合に、上記の発射部に対して遊技球を発射させる。回転レバー部材213は、コイルスプリングなどの図示しない付勢部材によって遊技者から見て左回り方向に付勢されている。これにより、遊技者は、付勢部材による付勢力に抗する力を回転レバー部材213に加えながら、回転レバー部材213を回転させる。
回転レバー部材213は、基部211の外周部分に嵌め込まれるリング形状を有している。回転レバー部材213の外周部分には、回転レバー部材213を回転させる遊技者が手指を引っかけることができる形状を有する、複数の突起213aを備えている。カップ部材212は、回転レバー部材213を回転させるために遊技者が回転レバー部材213に力を入れた場合に、遊技者の手の平の中に収まる形状(たとえば略半球形状)を有している。カップ部材212には、たとえば遊技機製造者のトレードマーク(図2−1においては「P」)などが設けられるエンブレム212aが設けられている。
図2−2は、カップ部材212を示す斜視図である。図2−2において、カップ部材212は、たとえば硬質プラスチックにより形成されている。カップ部材212の材質は、硬質プラスチックに限定されるものではなく、金属、木材など、操作者が把持した場合に微量に変形する(歪むあるいは撓む)材質であれば、特に限定されない。
カップ部材212は、図示しないネジが螺合されるネジ孔(図3における符号303を参照)が設けられたネジ受け部221を備えており、基部211側から挿入されたネジをネジ孔に螺合させることによって基部211に固定される。カップ部材212は、回転レバー部材213を回転させるために遊技者が回転レバー部材213に力を入れた場合に変形し、遊技者がハンドル109から手を放すと元の形状に復帰する程度の弾性を有する材料(たとえばプラスチックなど)によって形成されている。
図3は、カップ部材212を示す平面図である。図3は、カップ部材212を、基部211側から図2−2における矢印A方向に見た状態を示している。このため、図3においえては、エンブレム212aに設けられたトレードマーク「P」が反転し、かつ、図2−1とは反対側から見た状態であるため反転したトレードマーク「P」が仮想線で示されている。
図3において、カップ部材212の内側には、変位量を検出手段として、ユニモルフ圧電素子301が設けられている。ユニモルフ圧電素子301は、長方形状の基板302に固定されており、基板302の両端部をカップ部材212の内面に固定することによってカップ部材212の内側に固定されている。
ユニモルフ圧電素子301は、薄板形状の圧電素子と金属板とを貼り合わせた構造を有しており(図4における符号401,402を参照)、基板302が変形して金属板が変形すると、金属板の変形量に応じた電圧値を出力する。ユニモルフ圧電素子301に関しては公知の技術であるため、その詳細な説明を省略する。
変位量を検出手段として、ユニモルフ圧電素子に代えて、ユニモルフ圧電素子以外の公知の各種圧電素子、半導体、抵抗歪みセンサなど、加えられた圧力に応じた電圧を出力する感圧素子を設けることも可能である。これらの各種圧電素子、半導体、抵抗歪みセンサなどの感圧素子についても、公知の技術であるためここでは説明を省略する。
ユニモルフ圧電素子301の取り付け位置は特に限定されないが、図3においては、カップ部材212の側方に取り付けられている。すなわち、遊技者がハンドル109を操作する際に、遊技者の手指(手の平の一部)が触れる場所であって、具体的には、たとえば遊技球を発射する位置まで回転レバー部材213を回転させた状態で遊技者の手指の付け根部分が触れる場所、または、遊技者の手指の付け根部分が触れる場所の周辺となる場所であるとよい。
基板302は、ハンドル109に取り付けられた状態において上下位置となる2辺を、カップ部材212の内面に固定することによってカップ部材212の内側に固定されている。ユニモルフ圧電素子301は、カップ部材212の側方に限らず、遊技者がハンドル109を操作する際に遊技者の手指(手の平の一部)が触れる場所あるいは遊技者が触れる場所の近傍など、カップ部材212の変形にともなって変形する場所に設けられていればよい。
遊技に際して遊技者がハンドル109を操作するためにハンドル109を把持すると、遊技者の手の平の中にあるカップ部材212が歪むように変形する。ユニモルフ圧電素子301は、カップ部材212の変形に応じて異なる電圧値を出力する。遊技機は、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧値の変化に基づいて、遊技者がハンドル109を把持しているか否かを判断することができる。図3において、符号303は上述したネジ孔である。
図4は、基板302および基板302に取り付けられた各部を示す説明図である。図4において、ユニモルフ圧電素子301は、圧電素子401が貼り付けられた金属板402の全面を、基板302に固定した状態で基板302に取り付けられている。これにより、基板302の変形をユニモルフ圧電素子301における金属板402に良好に伝達することができる。
基板302には、ユニモルフ圧電素子301から出力された電圧値を増幅する増幅器403が設けられている。これにより、後段の回路またはソフト的な処理によって10Hz以下の信号を抽出することができる。増幅器403は、たとえばインピーダンス変換素子などによって実現することができる。インピーダンス変換素子については、公知の技術であるため、詳細な説明を省略する。
遊技機が遊技を待機している状態において、ユニモルフ圧電素子301から出力される電圧値は0(ゼロ(またはゼロと同等))である。回転レバー部材213を回転させるために遊技者が回転レバー部材213に力を入れる(把持して回転させる)ことによって、たとえば硬質のプラスチック素材で形成されているカップ部材212が視認できない程度にわずかに変形する。
ユニモルフ圧電素子301は、カップ部材212のそのわずかな変形に応じて変形し、カップ部材212の変形量に応じた電圧値を出力する(図6、図7、図8を参照)。基板302には、ユニモルフ圧電素子301とともに、ユニモルフ圧電素子301から出力される電圧値に基づいて、遊技者の興奮状態の検出および判断にかかる判断機構部(図5−1における符号500を参照)が設けられている。
図5−1は、判断機構部を示すブロック図である。図5−1において、判断機構部500は、上述したユニモルフ圧電素子301および増幅器403と、体動推移量算出部501と、呼吸推移量算出部502と、インターフェイス(以下、「I/F」という)503を備えている。
体動推移量算出部501は、増幅器403によって増幅された電圧値に基づいて、単位時間当たりの遊技者の体動回数から、遊技者の興奮状態の推移の判断基準となる体動推移量を算出する。体動は、遊技盤の盤面に対する遊技者の体の動きであり、動きの方向は遊技盤の盤面に対して前後左右いずれであってもよい。
遊技機は床面などに固定されているため、遊技盤の盤面に対して遊技者が動くと、ハンドル109と遊技者との相対的な位置関係が変化し、この位置変化にともなってハンドル109を把持する力あるいはハンドル109を把持する手の角度など、遊技者によるハンドル109の把持状態が変化する。上述したユニモルフ圧電素子301は、この把持状態の変化に応じて変化するカップ部材212の変形量を電圧値として出力する。
体動推移量は、単位時間ごとの遊技者の体動回数の増減をあらわし、或るタイミングにおいて計数された単位時間当たりの体動回数の、前回のタイミングにおいて計測された単位時間当たりの体動回数に対する割合によってあらわされる。体動推移量算出部501については、後述する(図5−2を参照)。
呼吸推移量算出部502は、増幅器403によって増幅された電圧値に基づいて、単位時間当たりの遊技者の自発呼吸回数から、遊技者の興奮状態の推移の判断基準となる呼吸推移量を算出する。呼吸推移量は、単位時間ごとの遊技者の自発呼吸回数の増減をあらわし、或るタイミングにおいて計数された自発呼吸回数の、前回のタイミングにおいて計測された自発呼吸回数に対する割合によってあらわされる。呼吸推移量算出部502については、後述する(図5−3を参照)。
自発呼吸は、遊技者が自分自身で呼吸をすることであり、自然呼吸のことである。より詳細に、自発呼吸は、遊技者が自らの意思とは無関係に横隔膜を下げて胸腔内を陰圧にするとともに声門を開くという協調的な動作によって体内に空気を入れ、横隔膜を上げるとともに声門を開くことにより体内に入れた空気を体外に排出する動作である。
I/F503は、体動推移量算出部501によって算出された体動推移量および呼吸推移量算出部502によって算出された呼吸推移量を、演出制御部550へ出力する。演出制御部550は、遊技中における演出制御をおこなう。また、演出制御部550は、判断部500におけるI/F503から出力された信号に応じた演出処理をおこなう。
図示を省略するが、演出制御部550は、演出処理を実行するCPUと、プログラムや背景画像、図柄画像、キャラクタ画像など各種画像データを記憶するROMと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMと、表示部102に表示させる画像データを書き込むVRAMなどを備えて構成される。また、図示を省略するが、演出制御部550は、主制御部560、表示部102、演出用のLED(あるいはLEDを点灯制御する基板)、演出用の役物を動作させるモータ(あるいはモータを駆動制御する基板)などとの間で通信をおこなうI/Fを備えて構成される。
演出制御は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクタ画像表示処理などの各種画像処理や演出用のLEDの点灯(点滅)処理などの演出処理を実行させる制御である。各種の画像処理の実行に際しては、必要な画像データなどをROMから読み出してVRAMに書き込む。
演出制御部550は、主制御部560によって制御される。図示を省略するが、主制御部560は、プログラムを記憶するROMと、ROMに記憶されたプログラムに基づいて遊技内容の進行にともなう基本処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMなどを備えて構成される。
判断機構部500における増幅器403、体動推移量算出部501および呼吸推移量算出部502は、遊技者の興奮状態の推移の判断基準となる体動推移量および呼吸推移量を算出する(増幅器403、体動推移量算出部501、呼吸推移量算出部502の各機能を実現する)プログラムを記憶するROMと、ROMに記憶されたプログラムに基づいて体動推移量および呼吸推移量を算出する処理を実行するCPUと、CPUの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAMなどによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
なお、増幅器403、体動推移量算出部501、呼吸推移量算出部502によって実現される各機能は、単一のマイクロコンピュータによって実現するものに限らず、たとえば、各部の機能を各々別個に実現するマイクロコンピュータ(回路)を組み合わせることによって実現してもよい。
図5−2は、体動推移量算出部501の構成を示すブロック図である。図5−2において、体動推移量算出部501は、ローパスフィルタ504と、比較器505と、タイマ付きカウンタ506と、メモリ507と、除算器508と、によって構成される。ローパスフィルタ504は、所定の周波数以下の電圧信号を通過させ、後段の比較器505へ出力する。
所定の周波数は、ハンドル109を操作する(回転レバー部材213を回転させる)ために使用される手の筋肉以外の無意識な全身の動きに起因して遊技者が発する振動の周波数である。無意識な全身の動きは、たとえば貧乏揺すりなど遊技者の癖にともなって生じる全身の動きである。所定の周波数は、ハンドル109を操作する際に筋肉を動かすことによって生じるマイクロバイブレーション(生体表面微細振動)に起因して遊技者が発する振動の周波数よりもはるかにレベルの大きい周波数であり、たとえば10Hz以下である。
比較器505は、図示を省略するメモリを備えており、当該メモリに記憶された体動比較値とローパスフィルタ504から出力された電圧信号とを比較する。体動比較値は、体動と判断可能な電圧値の絶対値をあらわし、具体的には、たとえば実験によって得られる値に基づいて任意に設定可能な電圧値(たとえば「150mV」など)に設定される。そして、比較器505は、比較結果およびローパスフィルタ504から出力された電圧信号を、後段のタイマ付きカウンタ506に出力する。
タイマ付きカウンタ506は、タイマ機能によって計時する単位時間内において、ローパスフィルタ504から出力された電圧信号が体動比較値を上回った回数(以下、「体動回数」という)をカウント(計数)する。単位時間は、任意に設定可能な時間であり、具体的には、たとえば「1分」などに設定される。タイマ付きカウンタ506は、プラス(「+」)およびマイナス(「−」)の電位に振れる電圧信号の絶対値が、体動比較値を上回った回数を、体動回数としてカウント(計数)する。タイマ付きカウンタ506は、カウント(計数)した体動回数を、後段のメモリ507および除算器508へ出力する。
メモリ507は、タイマ付きカウンタ506から出力された体動回数を、単位時間ごとに記憶する。除算器508は、メモリ507に記憶された体動回数を、タイマ付きカウンタ506から出力された体動回数で除算する。除算器508は、メモリ507に記憶された体動回数のうち、除算器508およびメモリ507に同時に出力された体動回数(以下、「最新の体動回数」という)をカウント(計数)する直前(直前回)に記憶した体動回数(以下、「直前回の体動回数」という)を除算に用いる。これにより、除算器508およびメモリ507に同時に出力された体動回数の、直前回にカウント(計数)した体動回数に対する比率(体動推移量)が算出される。
一般的に、人は興奮すると、無意識に体を動かす回数が増える傾向にある。このことから、除算結果(体動推移量)が「1」を上回る場合は体動回数が減少する傾向にあり、平常心に近付いてきたと判断することができる。逆に、除算結果(体動推移量)が「1」を下回る場合は体動回数が増加する傾向にあり、興奮が高まってきたと判断することができる。
興奮していない場合(通常の遊技中)であっても、遊技者はある程度は体を動かすものであり、上記の体動比較値は、大当たり状態ではない場合(通常の遊技中)よりも動きが大きいと判断される体動と判断可能な電圧値に基づいて設定される。除算器508は、除算によって得られた除算結果(体動推移量)を、I/F503を介して演出制御部550へ出力する。
図5−3は、呼吸推移量算出部502の構成を示すブロック図である。図5−3において、呼吸推移量算出部502は、呼吸用ローパスフィルタ510と、比較器511と、微分演算器512と、ゼロクロス検出器513と、正負判定器514と、タイマ515,516と、除算器517と、レベル検出器518と、メモリ519,520と、加算器521と、総呼吸数計数部522と、カウンタ523と、メモリ524と、除算器525と、によって構成される。
呼吸用ローパスフィルタ510は、上述した所定の周波数(たとえば、1Hz)以下の電圧信号を通過させ、後段の比較器511および微分演算器512へ出力する。比較器511は、図示を省略するメモリを備えており、当該メモリに記憶された呼吸比較値と呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号とを比較する。
呼吸比較値は、呼吸と判断可能な電圧値をあらわす。呼吸比較値は、具体的には、たとえば、一般的な成人の1分間当たりの心拍数(12〜15回/min)に基づいて設定することが可能であり、(1/12)〜(1/15)Hzなどの周波数成分における電圧値である。そして、比較器511は、比較結果に基づいて、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号が一定レベル(所定の閾値。たとえば「150mV」など)以下であった場合にのみ、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号を後段のゼロクロス検出器513へ出力する。
自発呼吸は、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(交流の信号)がプラス(「+」)値となる時間とマイナス(「−」)値となる時間との比率が一定範囲内にあることをもって、自発呼吸であると判断することができる。自発呼吸であるか否かは、吸気と呼気とが1回ずつおこなわれた、1周期(1呼吸)分の電圧信号の計測が完了した後に判定することができる。
ゼロクロス検出器513は、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号がゼロ(「0」)になるタイミング(ゼロクロスポイント)を検出し、ゼロクロスポイントを検出するごとに、検出したことをあらわす信号を正負判定器514に出力する。微分演算器512は、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号の微分演算をおこない、演算結果を正負判定器514に出力する。
正負判定器514は、正負判定器514および微分演算器512からの出力値に基づいて、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(自発呼吸)のゼロクロスにおける傾きがプラス(「−」から「+」へ移行)であるか、マイナス(「+」から「−」へ移行)であるかの判定をおこなう。判定により判定結果をあらわすパルス信号が得られる。
正負判定器514は、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(交流の信号)が描く波形パターンにおける傾きがプラス(「−」から「+」へ移行)となる場合は、タイマ515にstart信号を出力するとともにタイマ516にstop信号を出力する。また、正負判定器514は、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(交流の信号)が描く波形パターンにおける傾きがマイナス(「+」から「−」へ移行)となる場合は、タイマ515にstop信号を出力するとともにタイマ516にstart信号を出力する。
タイマ515,516は、ゼロクロス検出器513およびレベル検出器514から出力された信号に基づいて、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(交流の信号)がプラス(「+」)値となる時間(吸気周期)と、マイナス(「−」)値となる時間(呼気周期)と、を計時する。
タイマ515,516において、それぞれ、吸気または呼気1回分(自発呼吸1/2周期分)として計時された時間の合計が、1周期分の呼吸に要する時間となる。すなわち、呼吸は、吸気→呼気→吸気→・・・と連続するため、タイマ515,516において吸気または呼気周期の計時をそれぞれ1回分ずつおこなうために要する時間が、1周期分の呼吸に要する時間となる。
除算器517は、1周期分の呼吸がおこなわれたタイミングで、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(交流の信号)がプラス(「+」)値となる時間(吸気1回分に要する時間)と、マイナス(「−」)値となる時間(呼気1回分に要する時間)と、の比率を除算によって算出する。
レベル検出器518は、除算によって算出された比率(レベル)が、一定範囲内にあるか否かを検出し、一定範囲内にある場合は自発呼吸であると判断して加算器521にstart信号を出力するとともに、一定範囲内にない場合は加算器521にstop信号を出力する。これにより、自発呼吸が連続しておこなわれている時間が計時される。
メモリ519は、レベル検出器518によって自発呼吸として判断された1回分の呼吸における吸気時間を記憶する。メモリ520は、レベル検出器518によって自発呼吸として判断された1回分の呼吸における呼気時間を記憶する。また、メモリ520は、1回分の呼吸における呼気時間を記憶したことをあらわす信号を後段のカウンタ523へ出力する。カウンタ523は、メモリ520から出力された信号に基づいて呼吸回数を記憶する。
加算機521は、メモリ519,520に記憶された各時間を総加算する。加算機521は、レベル検出器518からstart信号が出力されてからstop信号が出力されるまでの間、メモリ519,520に記憶された各時間を総加算する。たとえばレベル検出器518からstart信号が出力されてからstop信号が出力されるまでの間に、吸気と呼気とが1回ずつおこなわれた場合、加算器521は呼吸1回(周期)に要する時間を加算する。
総呼吸数計数部522は、加算器521から出力された総加算結果を、カウンタ523が記憶する回数で除算する。これにより、自発呼吸の平均周期時間を得ることができる。そして、総呼吸数計数部522は、除算により得られた平均周期時間を後段のメモリ524および除算器525へ出力する。
総呼吸数計数部522は、加算器521から出力された総加算結果および除算によって得られた自発呼吸の平均周期時間に基づいて、レベル検出器518からstart信号が出力されてからstop信号が出力されるまでの時間内における総呼吸数を算出し、算出した総呼吸数をあらわす信号を段のメモリ524および除算器525へ出力してもよい。
メモリ524は、総呼吸数計数部522から出力された平均周期時間を記憶する。除算器525は、総呼吸数計数部522から出力された平均周期時間およびメモリ524から出力された平均周期時間に基づいて、平均周期時間を算出したあるタイミングにおける平均周期時間の、当該平均周期時間を算出する以前に算出した平均周期時間に対する比率を算出する。比率の算出に際しては、除算器525およびメモリ524に同時に出力された平均周期時間(以下、「最新の平均周期時間」という)を算出する直前(直前回)に記憶した平均周期時間(以下、「直前回の平均周期時間」という)を用いることが好ましい。
すなわち、除算器525は、平均周期時間を算出したあるタイミングにおける単位時間当たりの自発呼吸回数(以下、「最新の自発呼吸回数」という)の、当該自発呼吸回数を算出する以前における単位時間当たりの自発呼吸回数(以下、「過去の自発呼吸回数」という)に対する比率(呼吸推移量)を算出する。この比率(呼吸推移量)の算出に際しては、過去の自発呼吸回数のうちでもっとも新しい自発呼吸回数(以下、「直前回の自発呼吸回数」という)を用いることが好ましい。
一般的に、遊技者の自発呼吸回数は、興奮が高まってくると遊技者の無意識のうちに増える傾向にある。このことから、除算器525による除算結果(呼吸推移量)が「1」を下回る場合は自発呼吸回数が増加する(自発呼吸の平均周期時間が短くなる)傾向にあり、興奮が高まってきたと判断することができる。
逆に、除算結果(呼吸推移量)が「1」を上回る場合は呼吸回数が減少する(自発呼吸の平均周期時間が長くなる)傾向にある、すなわち平常心に近付いてきたあるいはリラックス状態へ移行する状態にあると判断することができる。除算器525は、除算によって得られた除算結果(呼吸推移量)を、I/F503を介して演出制御部550へ出力する。
図6は、ローパスフィルタ504から出力された電圧信号の波形パターンを示すグラフである。図6において、ローパスフィルタ504から出力された電圧信号は、電圧値が大きく変化するピークを複数有している。遊技中、回転レバー部材213を回転させるために、遊技者がハンドル109を握りしめると、遊技者の手の平の中に収まった状態にあるカップ部材212が、遊技者の手の平あるいは手指などによって押されて変形する。
図6において、ユニモルフ圧電素子301から出力される電圧値のピークは、ピークとなる電圧値を出力したタイミングにおいてカップ部材212が大きく変形したことを示している。体動と判断できるピークの電圧値は、上述した体動比較値よりも大きい電圧値である。体動比較値よりも値の大きいピークの数が体動回数であり、単位時間当たりの体動回数が多いほど遊技者の興奮が高まっていることを示している。ローパスフィルタ504から出力された電圧信号の波形パターンにおけるピークは、遊技者の体動に応じて不定期に出現する。
遊技者によっては、ハンドル109を握りしめ、回転レバー部材213を回転させた状態で、体動比較値を上回るほどの体動がない場合もある。この発明にかかる実施の形態においては、呼吸推移量算出部502によって単位時間当たりの自発呼吸回数を算出し、単位時間当たりの自発呼吸回数の増減から、遊技者の興奮の程度を判断することができる。すなわち、上述したように、一般的な人は興奮が高まってくると、無意識に呼吸回数(自発呼吸回数)が増える傾向にあるため、単位時間当たりの自発呼吸回数が多いほど遊技者の興奮が高まっていると判断することができる。
図7は呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号の波形パターンを示すグラフであり、図8は呼吸用ローパスフィルタ510を通過する前の電圧信号の波形パターンを示すグラフである。図7および図8において、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された(呼吸用ローパスフィルタ510を通過した)電圧信号の波形パターンは、呼吸用ローパスフィルタ510を通過する前の電圧信号の波形パターンに見られる細かな振幅の電圧信号が除去されており、自発呼吸に起因する波形パターンのみが出現している。図6に示した波形パターンも、図7に示した波形パターンと同様に、増幅器403を通過した直後の電圧信号から、呼吸用ローパスフィルタ510から出力された電圧信号(自発呼吸をあらわす電圧信号)を差し引いた波形パターンをあらわしている。
図7においては、電圧信号(交流の信号)がプラス(「+」)値となる時間(吸気1回分に要する時間)とマイナス(「−」)値となる時間(呼気1回分に要する時間)との合計時間、すなわち自発呼吸1周期分の時間が短いほど、単位時間当たりの自発呼吸回数が増加し、遊技者の興奮が高まっていると判断することができる。
図9は、この発明にかかる遊技機の機能的構成を示すブロック図である。図9において、遊技機は、操作検出部901と、発射部902と、変形量検出部903と、変形量記憶部904と、比較部905と、比較値記憶部906と、計数部907と、回数記憶部908と、算出部909と、興奮状態検出部910と、出力部911と、演出部912と、を備えている。
操作検出部901は、ハンドル109に対する発射操作がなされているか否かを検出する。そして、操作検出部901は、検出結果を後段の発射部902へ出力する。具体的には、操作検出部901は、たとえば、上述した検出機構を用いて回転レバー部材213の回転角度を検出し、回転レバー部材213が待機位置から所定角度回転した状態にあるか否かをもってハンドル109に対する発射操作がなされているか否かを検出する。操作検出部901は、具体的には、たとえば、回転レバー部材213の回転角度を検出する検出機構によってその機能を実現することができる。
発射部902は、カップ部材212が遊技者によって把持された状態で発射操作がなされている場合に、遊技球を発射する。発射部902は、たとえば、ユニモルフ圧電素子301から所定値以上の振幅を有する所定の波形パターンの電圧信号が出力されている状態で、操作検出部901によってハンドル109に対する発射操作がなされていると判断された場合に、遊技球を発射する。
変形量検出部903は、遊技者がハンドル109を把持することによって発生する、カップ部材212の変形量、すなわちユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号を連続して検出する。そして、変形量検出部903は、検出結果を後段の変形量記憶部904へ出力する。また、変形量検出部903は、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号を、発射部902に対しても出力する。
変形量検出部903は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するユニモルフ圧電素子301、増幅器403、体動推移量算出部501および呼吸推移量算出部502によってその機能を実現することができる。すなわち、変形量検出部903は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するユニモルフ圧電素子301およびマイクロコンピュータによってその機能を実現することができる。
変形量記憶部904は、変形量検出部903が検出したカップ部材212の変形量をあらわす信号(たとえば上記の図6〜図8に示したような各種の波形パターンをあらわす図形(あるいは数値)情報(以下、「波形情報」という))を記憶する。変形量記憶部904は、体動推移量算出部501によって体動推移量を算出する際、あるいは、呼吸推移量算出部502によって呼吸推移量を算出する際に、一時的に波形情報を記憶するものであり、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリによってその機能を実現することができる。
比較部905は、比較値記憶部906が記憶する比較値(所定の閾値)および変形量記憶部904が記憶する波形情報に基づいて、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号と所定の比較値とを比較する。所定の比較値(所定の閾値)は、上述した体動比較値(たとえば「150mV」など)であり、任意に設定可能な値である。比較値記憶部906は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリによってその機能を実現することができる。
そして、比較部905は、比較結果および変形量記憶部904が記憶する波形情報を、後段の計数部907に出力する。比較部905は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによってその機能を実現することができる。
計数部907は、比較部905から出力された情報に基づいて、単位時間当たりの遊技者の体動回数または自発呼吸回数を計数する。計数部907は、体動回数を計数する体動回数計数部907aと、自発呼吸回数を計数する呼吸回数計数部907bと、を備えている。
体動回数計数部907aは、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号が所定の比較値を上回る(あるいは所定の比較値以上である)場合に、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号があらわす波形パターンにおけるピークのうち、上述した体動比較値を上回る電圧値を有するピーク、すなわち平常時とは異なる体動が単位時間内に出現する数(体動回数)を計数する。
呼吸回数計数部907bは、ユニモルフ圧電素子301が出力する電圧信号が所定の比較値を下回る場合に、単位時間当たりの遊技者の自発呼吸回数を計数する。単位時間当たりの遊技者の自発呼吸回数は、上述した平均周期時間に基づいて算出することが可能でありここでは説明を省略する。計数部907は、計数した体動回数または自発呼吸回数をあらわす信号を、後段の回数記憶部908へ出力する。計数部907は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによってその機能を実現することができる。
回数記憶部908は、計数部907が係数した、単位時間当たりの遊技者の体動回数および自発呼吸回数を記憶する。回数記憶部908は、体動回数を記憶する体動回数記憶領域908aと、自発呼吸回数を記憶する呼吸回数記憶領域908bと、を備えている。回数記憶部908は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリによってその機能を実現することができる。
算出部909は、体動推移量算出部909aと、呼吸推移量算出部909bと、を備えている。体動推移量算出部909aは、回数記憶部908が体動回数記憶領域908aに最後に記憶した体動回数(最新の体動回数)と、最新の体動回数を記憶したときよりも以前に記憶した体動回数(過去の体動回数)と、に基づいて上述した体動推移量を算出する。
体動推移量算出部909aは、特に、最新の体動回数の直前に記憶した体動回数(以下、「直前回の体動回数」という)を、過去の体動回数として用いる。この実施の形態において体動推移量は、下記(1)式を用いて算出する。
体動推移量=(直前回の体動回数)/(最新の体動回数) ・・・(1)
呼吸推移量算出部909bは、回数記憶部908が呼吸回数記憶領域908bに最後に記憶した自発呼吸回数(以下、「最新の自発呼吸回数」という)と、最新の自発呼吸回数を記憶したときよりも以前に記憶した自発呼吸回数(以下、「過去の自発呼吸回数」という)と、に基づいて上述した呼吸推移量を算出する。
呼吸推移量算出部909bは、特に、最新の自発呼吸回数の直前に記憶した自発呼吸回数(以下、「直前回の自発呼吸回数」という)を、過去の自発呼吸回数として用いる。この実施の形態において呼吸推移量は、下記(2)式を用いて算出する。
呼吸推移量=(直前回の自発呼吸回数)/(最新の自発呼吸回数) ・・・(2)
興奮状態検出部910は、算出部909における体動推移量算出部909aが算出した体動推移量に基づいて、遊技者の興奮状態を検出する。興奮状態検出部910は、具体的には、たとえば最新の体動回数と過去の体動回数との割合にしたがって、最新の体動回数が過去の体動回数に対して増加した割合あるいは減少した割合に基づいて、遊技者の興奮状態を検出する。過去の体動回数として直前回の体動回数を用いることにより、遊技者の興奮の程度の推移を現状に即して判断することができる。
また、興奮状態検出部910は、算出部909における呼吸推移量算出部909bが算出した呼吸推移量に基づいて、遊技者の興奮状態を検出する。この場合、興奮状態検出部910は、具体的には、たとえば最新の自発呼吸回数と過去の自発呼吸回数との割合にしたがって、最新の自発呼吸回数が過去の自発呼吸回数に対して増加した割合あるいは減少した割合に基づいて、遊技者の興奮状態を検出する。過去の自発呼吸回数として直前回の自発呼吸回数を用いることにより、遊技者の興奮の程度の推移を現状に即して判断することができる。
興奮状態検出部910は、具体的には、たとえば、図5−1に示した判断機構部500を構成するマイクロコンピュータが備えるROMやRAMなどのメモリに記憶されたプログラムを、当該マイクロコンピュータが備えるCPUが実行することによってその機能を実現することができる。
出力部911は、興奮状態検出部910によって検出された検出結果を出力する。出力部911は、興奮状態検出部910によって検出された検出結果、すなわち遊技者の興奮状態を、たとえば表示部102を介して出力することが可能である。この場合、たとえば、遊技者の興奮状態に応じたメッセージ、遊技者の興奮状態をあらわすグラフ、遊技者の興奮状態に応じて動作が異なるキャラクタ画像(動画、静止画いずれでも可)などを、表示部102に表示する。また、たとえば、遊技者の興奮状態に応じたメッセージを、キャラクタの台詞として図示しないスピーカを介して出力してもよい。
具体的には、たとえば、遊技者の興奮状態に応じた表情や仕草のキャラクタ画像を表示部に表示するとともに、「高い興奮状態がつづいています。深呼吸してリラックス、リラックス。」などの遊技者の興奮状態に応じたメッセージを、キャラクタの台詞として図示しないスピーカを介して出力することが可能である。この場合、遊技者の興奮状態は、演出の一環のように出力される。
また、出力部911は、興奮状態検出部910によって検出された検出結果を、演出制御部550に出力することも可能である。この場合、興奮状態の検出結果は、演出制御部550による制御が可能な範囲内で、興奮状態に応じて演出内容を異ならせることによって出力される。出力部911は、具体的には、たとえば図5−1に示したI/F503によってその機能を実現することができる。
興奮状態検出部910は、たとえば、上記の割合が増加しているか減少しているかに応じて、「興奮が高まっている」、「低下している」のいずれか一方を、興奮状態として検出してもよいし、最新の体動回数の過去の体動回数に対する割合に応じて、「強い興奮状態」、「やや強い興奮状態」、「平常状態(興奮状態に変化がない)」、「低下傾向」、「リラックス状態」などのように、段階的に細分化して設定された複数の興奮状態のいずれか一つを興奮状態として検出してもよい。興奮状態の設定は、たとえば「興奮度(上)」、「興奮度(中)」、「興奮度(下)」、「興奮度(無し)」などのように、遊技機の製造メーカなどが任意の段階数、任意のレベルに設定することが可能である。
演出部912は、所定の演出をおこなう。演出部912は、たとえば、始動入賞口103における入賞の有無に応じた通常の演出をおこない、大当たり状態になった場合には大当たり演出をおこなう。また、演出部912は、出力部911から出力された、興奮状態検出部910による検出結果に基づいて、「強い興奮状態」、「やや強い興奮状態」、「平常状態(興奮状態に変化がない)」、「低下傾向」、「リラックス状態」などの興奮状態ごとに内容の異なる演出をおこなう。演出部912は、図5に示した演出制御部550、すなわち演出制御部550を構成するCPU、ROM、RAM、VRAMおよびI/Fによってその機能を実現することができる。
演出部912は、興奮状態検出部910による検出結果が、たとえば「強い興奮状態」や「やや強い興奮状態」など遊技者の興奮が高まっていることを示す結果であった場合は、「平常状態(興奮状態に変化がない)」、「低下傾向」あるいは「リラックス状態」などにおこなう演出よりも内容を派手にした、特定の演出をおこなう。特定の演出は、具体的には、たとえば演出用のLEDの発光輝度を高めたり点滅頻度を通常時よりも多くしたり、演出用の役物を通常時よりも大きく動作させたりする。演出部912は、具体的には、たとえば図5−1に示した演出制御部550によってその機能を実現することができる。
また、演出部912は、たとえば興奮状態検出部910が検出した興奮状態の変遷に基づいて、内容の異なる演出をおこなってもよい。たとえば「平常状態(興奮状態に変化がない)」が検出されてから「強い興奮状態」が検出されるまでの時間間隔が5秒である場合と、当該時間間隔が1分である場合とでは、同じ「強い興奮状態」が検出された場合であっても内容の異なる演出をおこなう。
また、演出部912は、たとえば「やや強い興奮状態」が検出されたあとに「低下傾向」が検出された場合などのように、現時点で検出された興奮状態の内容と、過去に検出された興奮状態の内容と、に基づいて、検出された興奮状態の組み合わせに応じて内容の異なる演出をおこなってもよい。
また、演出部912は、たとえば「強い興奮状態」、「やや強い興奮状態」など平常時よりも高い興奮状態が検出された場合に、興奮を低下させ、遊技者を落ち着かせる内容の演出をおこなってもよい。具体的には、たとえば、演出用LEDの点滅頻度を少なくしたり、表示部102に表示する画像を風景画や静止画にしたり、通常の演出時よりもゆったりしたテンポのBGMを図示しないスピーカから出力したりすることによって、遊技者を落ち着かせる内容の演出をおこなうことができる。
また、演出部912は、たとえば「リラックス状態」が検出された場合に、居眠り防止用の演出をおこなってもよい。具体的には、たとえば、演出用LEDの点滅頻度や発光輝度を多くしたり、表示部102に表示する画像を変化の激しい動画にしたり、通常の演出時よりもテンポの早いBGMを図示しないスピーカから出力したりすることによって、居眠り防止用の演出をおこなうことができる。
演出部912がおこなう演出は、興奮状態検出部910が検出する興奮状態ごとにその内容が決定されていてもよく、この場合演出部912は検出された興奮状態に応じた内容の演出をおこなう。また、演出部912がおこなう演出は、興奮状態検出部910が検出する興奮状態の変遷パターンに応じてその内容が決定されていてもよく、この場合演出部912は興奮状態が検出されるごとに、検出された興奮状態と当該興奮状態の検出以前に検出された興奮状態とに基づいて、変遷パターンに応じた内容の演出をおこなう。
図10は、遊技機の処理手順を示すフローチャートである。図10において、まず、発射部902に対する発射指示があるまで待機する(ステップS1001:No)。発射指示があった場合(ステップS1001:Yes)は、増幅器403から連続して出力される電圧信号と所定の比較値とを比較して、連続する単位時間当たりの電圧信号の中に、所定の比較値以上の電圧値を有するピークが出現するか否かを判断する(ステップS1002)。
ステップS1002において、所定の比較値以上である場合(ステップS1002:Yes)は、単位時間当たりの体動回数を計数し(ステップS1003)、計数した体動回数を回数記憶部908における体動回数記憶領域908aに記憶する(ステップS1004)。そして、体動回数記憶領域908aに記憶された体動回数に基づいて、体動推移量を算出する(ステップS1005)。
つづいて、ステップS1005において算出された体動推移量に基づいて、遊技者の興奮状態を検出し(ステップS1006)、検出された興奮状態に基づいて演出内容を決定して(ステップS1007)、決定された演出をおこなう(ステップS1008)。ステップS1008においては、検出された興奮状態に応じた内容の演出をおこなってもよく、検出された興奮状態の変遷パターンに応じた内容の演出をおこなってもよい。
その後、決定された演出をおこないながら発射部902に対する発射指示が解除されたか否かを判断し(ステップS1009)、発射部902に対する発射指示が解除されていない場合(ステップS1009:No)は、ステップS1002に戻って増幅器403から連続して出力される電圧信号と所定の比較値とを比較し、ステップS1003〜ステップS1008までの処理あるいは後述するステップS1010〜ステップS1012およびステップS1006〜ステップS1008までの処理を繰り返す。一方、発射部902に対する発射指示が解除された場合(ステップS1009:Yes)は、一連の処理を終了する。
また、ステップS1002において、所定の比較値以上ではない(所定の比較値未満である)場合(ステップS1002:No)は、単位時間当たりの自発呼吸回数を計数し(ステップS1010)、計数した自発呼吸回数を回数記憶部908における呼吸回数記憶領域908bに記憶する(ステップS1011)。
つづいて、呼吸回数記憶領域908bに記憶された自発呼吸回数に基づいて、呼吸推移量を算出し(ステップS1012)、ステップS1006へ移行する。この場合、ステップS1006においては、ステップS1012において算出された呼吸推移量に基づいて遊技者の興奮が高まっているか否かを判断し、判断結果に応じて、つづくステップS1007またはステップS1008へ移行して、特定の演出または通常の演出をおこなう。
その後、特定の演出または通常の演出をおこないながら、発射部902に対する発射指示が解除されたか否かを判断する(ステップS1009)。そして、発射部902に対する発射指示が解除されるまでの間、ステップS1002〜ステップS1007およびステップS1010〜ステップS1012の該当する処理を繰り返し、発射部902に対する発射指示が解除された場合に一連の処理を終了する。
上述したように、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、操作するために遊技者が確実に触れる箇所から検出した把持部材の変形量に基づいて、遊技者の体動回数を検出し、検出された体動回数に基づいて遊戯中の遊技者の興奮状態を検出することで、興奮の傾向(興奮が高まる傾向にあるか、興奮が低下する傾向にあるか、興奮の程度(強い興奮状態、やや強い興奮状態、平常状態、興奮していない、など)はどの位か、など)を判断することができる。
そして、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、遊技者の興奮状態を表示部102や図示しないスピーカを介して出力することにより、遊技者の興奮状態を遊技者本人に案内することができる。これによって、たとえば心臓の弱い遊技者を落ち着かせる方向に誘導することができ、単に遊技のみの演出効果の向上のみならず、遊技者の興奮が過剰に高まる(遊技に熱中しすぎる)ことを抑制することができる。
このように、遊技者の興奮状態を表示部102や図示しないスピーカを介して出力することにより、その後の対応を遊技者自身にゆだね、遊技者自身が選択することができる。これにより、たとえば心臓が弱い遊技者が強い興奮に耐えられずに体調を崩したり、遊技に過剰に熱中した遊技者が過度に疲労したりといった事態の発生を防ぎ、遊技者に対して快適な遊技環境を提供することができる。そして、これによって遊技者は、遊技を快適におこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、興奮が高まっている(傾向にある)場合には、通常時よりも派手な特定の演出をおこなうなど、興奮の傾向(興奮が高まる傾向にあるか、興奮が低下する傾向にあるか、興奮の程度(強い興奮状態、やや強い興奮状態、平常状態、興奮していない、など)に応じた演出をおこなうことができる。これによって、遊技中の遊技者の興奮状態を確実に検出し、検出結果を反映して演出を効果的におこない、遊技機における遊技の面白みの向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、体動が小さい遊技者であっても、遊技者に意識させることなく遊技中の遊技者の興奮の傾向(興奮が高まっている傾向にあるか否か)を把握することができる。そして、興奮の傾向を体動で判断する場合と同様に、興奮が高まっている(傾向にある)場合には、通常時よりも派手な演出をおこなうなど、遊技者の興奮の傾向(興奮が高まっている傾向にあるか否か)に応じた演出をおこなうことができる。
すなわち、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、遊技者に意識させることなく、遊技中の遊技者の興奮状態を確実に検出し、検出結果を反映して演出を効果的におこない、遊技機における遊技の面白みの向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、「強い興奮状態」、「やや強い興奮状態」、「平常状態(興奮状態に変化がない)」、「低下傾向」、「リラックス状態」などのように、段階的に細分化して設定された複数の興奮状態(興奮状態の変遷を含む)に応じて、それぞれの興奮状態に適した演出をおこなうことで、演出を効果的におこない、遊技機における遊技の面白みの向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、すべての遊技者に対する一律の閾値ではなく、同じ遊技者の過去の状態を基準にして遊技中の遊技者の興奮状態を検出し、興奮の傾向(興奮が高まる傾向にあるか、興奮が低下する傾向にあるか、興奮の程度(強い興奮状態、やや強い興奮状態、平常状態、興奮していない、など)はどの位か、など)を判断することができる。
すなわち、遊技者の興奮状態を精度よく検出することができ、検出結果を反映することによって演出を一層効果的におこない、遊技機における遊技のより一層の面白みの向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、遊技者の体動および自発呼吸を、ユニモルフ圧電素子を用いて検出することにより、遊技機の構成の簡易化を図ることができる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の遊技機によれば、遊技者に意識させることなく、遊技中の遊技者の興奮状態を確実に検出し、検出結果を遊技者に案内したり、検出結果を反映して演出を効果的におこなったりすることができ、遊技機における遊技の面白みの向上を図ることができる。