JP5178422B2 - 蓄熱装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン等の暖機を促進するために媒体を貯留する蓄熱装置及びその製造方法に関する。
車両に搭載されるエンジンの暖機を促進することによって、燃費効率を高め排気ガス等のエミッションを低減できることは知られている。一方で、エンジンが停止した後長時間が経過した場合は、冷却水を含めたエンジン周辺の温度は低い状態となる。この状態でエンジンを再始動すると、冷却水の比熱容量が大きいため、暖機が完了するまでにある程度の時間が必要となる。
これに対して、エンジン運転中に温められた温水を貯留する断熱構造を有する蓄熱装置を備え、エンジン始動時にこの蓄熱装置に貯留された温水を用いることで、エンジンの暖機を促進する技術が知られている。
このような蓄熱装置では、流入する液体と貯留された液体との温度差が大きいときに、これらが混じり合わないように整流板(隔壁)を設けている。隔壁は、液体が流通する多数の孔を備え、高温の液体が、低温の液体と混じり合うことなく排出できるように構成されている(特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照。)。
特開2004−154338号公報 特開2004−173897号公報 特開2004−224153号公報
従来の蓄熱装置は、整流板として機能する隔壁を、蓄熱タンクの内側に溶接により固定している。
しかしながら、溶接により部品を固定する場合は、特に蓄熱タンク内部の媒体が貯留される部位において、溶接部近辺の微少な隙間がある場合は、この隙間に媒体の淀みが発生し、隙間腐食が発生する場合がある。これにより、蓄熱タンク自体が腐食し、水漏れや、タンク外壁の真空が失われて保温機能の喪失が発生する恐れがある。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、構造に起因する腐食等によって、水漏れや保温機能の喪失等の不具合が発生することを防止できる蓄熱装置を、製造コストを増加させることなく提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、断熱構造を有し内部に媒体を貯留する貯留部と、前記貯留部の内部に媒体を導入する媒体導入部を備える媒体入口部と、前記貯留部内の媒体を排出する媒体排出部を備える媒体出口部と、前記媒体導入部と前記媒体導出部との間に備えられ、導入された媒体の流れを前記貯留部の径方向に略均にする整流部と、を備え、前記貯留部は、前記整流部の前記媒体の流れ方向の移動を規制する規制部材を備え、前記整流部と、前記貯留部の内壁とが、前記媒体が流通する所定の間隙を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蓄熱装置において、前記規制部材は、前記整流部の外周側から、前記媒体の流れ方向への移動を規制することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の蓄熱装置において、前記規制部材は、前記整流部の外周側及び内周側から、前記媒体の流れ方向への移動を規制することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の蓄熱装置において、前記規制部材は、前記整流部の媒体流れ方向下流側に、前記貯留部の内側に突設する第1の規制部と、前記整流部の媒体流れ方向上流側に、前記貯留部の内側に突設する第2の規制部と、から構成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の蓄熱装置において、前記規制部材は、前記整流部の媒体流れ方向下流側に、前記貯留部の内側に突設する第1の規制部と、前記整流部の媒体流れ方向上流側に、前記媒体入口部から突設する第2の規制部と、から構成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、前記整流部は、前記貯留部よりも電気的に卑な材質から構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、前記整流部は、前記貯留部よりも電気的に卑な材質の鍍金が施されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、前記整流部の前記規制部材に近接する部分が、曲面を有することを特徴とする蓄熱装置。
請求項1に記載の発明によると、導入された媒体の流れを前記貯留部の径方向に略均にする整流部を、貯留部の内壁と前記媒体が流通する所定の間隙を有したまま規制部材により移動を規制するので、整流部と貯留部の内壁との間に微少隙間が形成されず、隙間腐食により発生する不具合を防止することができる。
請求項2に記載の発明によると、規制部材は、整流部の外周側から媒体の流れ方向への移動を規制するので、簡易な構成で整流部の移動を確実に規制することができ、蓄熱装置の製造コストを削減することができる。
請求項3に記載の発明によると、規制部材は、整流部の外周側及び内周側から媒体の流れ方向への移動を規制するので、簡易な構成で整流部の移動を確実に規制することができ、蓄熱装置の製造コストを削減することができる。
請求項4に記載の発明によると、貯留部の内側に突設する第1の規制部と第2の規制部とによって整流部の移動を規制するので、整流部と貯留部の内壁との間に微少隙間が形成されず、隙間腐食により発生する不具合を防止することができる。また、簡易な構成で整流部の移動を確実に規制することができ、蓄熱装置の製造コストを削減することができる。
請求項5に記載の発明によると、貯留部の内側に突設する第1の規制部と、媒体入口部から突設する第2の規制部とによって整流部の移動を規制するので、整流部と貯留部の内壁との間に微少隙間が形成されず、隙間腐食により発生する不具合を防止することができる。また、簡易な構成で整流部の移動を確実に規制することができ、蓄熱装置の製造コストを削減することができる。
請求項6に記載の発明によると、整流部は、貯留部よりも電気的に卑な材質から構成されているので、犠牲防食作用により整流部に近接する貯留部の腐食を防止することができる。
請求項7に記載の発明によると、整流部は、貯留部よりも電気的に卑な材質の鍍金が施されているので、犠牲防食作用により整流部に近接する貯留部の腐食を防止することができる。
請求項8に記載の発明は、整流部の前記規制部材に近接する部分が、曲面を有するので、整流部が貯留部にエッジ当たりしないように構成することにより、貯留部の耐久性を低下させないようにすることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の蓄熱装置10の斜視断面図である。
蓄熱装置10は、液体である媒体を貯留するタンクである。
蓄熱装置10は、内部に冷却水等の媒体を貯留可能に瓶状に構成された内側タンク12と、内側タンク12と所定の空間を隔てて、内側タンク12を内包する外側タンク11と、から構成される。この外側タンク11と内側タンク12との間の所定の空間を略真空とすることで、蓄熱装置10が外気から断熱され、内部に貯留された媒体を保温することができる。
これら外側タンク11及び内側タンク12は、例えばSUS304等、耐食性に優れたステンレス鋼等の金属製材質を用いることが好適である。
蓄熱装置10は、媒体を蓄熱装置10内部へと流通させる媒体入口部としての入口パイプ20と、貯留された媒体を蓄熱装置10から排出する媒体出口部としての出口パイプ30と、を備える。これら入口パイプ20及び出口パイプ30は、例えば樹脂製の材料によって構成される。
入口パイプ20は、蓄熱装置10の底部側に備えられる。入口パイプ20は、入口孔21及び出口孔22を有しており、これら入口孔21及び出口孔22が、図示しない車両の冷却水系統に接続され、媒体としての冷却水が流通する。
入口パイプ20は二重管構造となっており、二重管構造の外側が、入口孔21と蓄熱装置10内部へと開口するスリット部20aとを連通する。また、二重管構造の内側が、出口パイプ30と出口孔22とを連通する。
媒体は、入口孔21から流入し、入口パイプ20の二重管構造の外側を経由してスリット部20aに至り、このスリット部20aから蓄熱装置10の内部に流入する。また、蓄熱装置10内部の媒体は、出口パイプ30の上方側に開口する開口部30aから、出口パイプ30内部を通過し、入口パイプ20に備えられる出口孔22から排出される。
すなわち、このスリット部20aが蓄熱装置10内部に媒体を導入する媒体導入部として構成され、開口部30aが蓄熱装置10内部の媒体を導出する媒体導出部として構成されている。
なお、内側タンク12において、出口パイプ30の上方側には、上側にわずかに凸出した凸部14が形成されている。この凸部14は、媒体に含まれる空気等の気体を一時的に貯めておき、媒体の流出と共にこの気体を排出するために備えられている。
蓄熱装置10の内部には、薄板状の整流板40が備えられる。
整流板40は、入口パイプ20のスリット部20aと出口パイプ30の開口部30aとの間に設けられる。
より具体的には、整流板40は、蓄熱装置10の内側タンク12を上部側と底部側に分離する。整流板40の表面には、底部側から流入した媒体を上部側へと流通する流通孔41が多数設けられている。
この流通孔41によって、蓄熱装置10の内部で、入口パイプ20から導入された媒体が、径方向に略均一となるように広がる。これにより、導入された媒体の一部が入口パイプ20から出口パイプ30へと最短経路でショートカットして流れることが防止される。すなわち、この整流板40によって、媒体の流れが整流される整流部が構成されている。
例えば、蓄熱装置10内部に高温の媒体が貯留されており、入口パイプ20からは低温の媒体が流入するときは、この整流板40によって低温の媒体が出口パイプ30へと流出することが妨げられ、蓄熱装置10内部の高温の媒体が優先して排出される。整流板40によって均一に広げられた低温の媒体は、入口パイプ20から徐々に蓄熱装置内部を上部側へと蓄積され、最終的にほとんどの高温の媒体が排出された後、低温の媒体が蓄熱装置10内部に満たされる。このように構成することにより、蓄熱装置10の蓄熱効率を高めることができる。
この整流板40は、後述するように、内側タンク12の内壁に形成された第1の規制部12aと、内側タンク12の底部側の内壁に形成された第2の規制部12bとの間で、上部側方向と底部側方向とへの移動が規制されている。また、整流板40は、略中央に出口パイプ30が貫通する貫通孔42が備えられ、径方向への移動が規制されている。
従来、この整流板40は、蓄熱装置10の内側タンク12に溶接等により接合されていた。しかし、貯留部を構成する内側タンク12の内壁に、薄板状の構造物を直接接合した場合は、接合部付近に微少な隙間が形成される。
この微少な隙間において、媒体の淀みによる隙間腐食が発生する可能性がある。この腐食により内側タンク12にピンホール等が形成されて水漏れが発生したり、外側タンク11と内側タンク12との間の真空が失われることにより保温機能の喪失等の不具合が発生しうる。
そこで、本発明の第1の実施形態では、以下に説明するような構成によって、内側タンク12における腐食の発生を防止するように構成した。
本願の第1の実施形態の蓄熱装置10は、図1に示すように、内側タンク12の内側に、環状のリブ(第1の規制部)12aが形成されている。この第1の規制部12aは、内側タンク12の全周に渡ってタンク内側に所定の高さの突起が起立する構造である。この第1の規制部12aは、例えば絞り加工により形成される。
この第1の規制部12aは、その内径が、内側タンク12の内部に挿入される整流板40の外径よりも小さくなるように加工される。この第1の規制部12aにより、整流板40が上部側方向に移動することが規制される。
また、内側タンク12の底部側には、蓋部13が接合される。蓋部13には、第1の規制部12aと同様に、全周に渡って環状の第2の規制部12bが形成されている。この第2の規制部12bにより、整流板40が底部側方向に移動することが規制される。
この第1の規制部12aと第2の規制部12bとは、所定の間隔を有しており、その所定の間隔は整流板40の厚さよりも大きく設定されている。これにより、整流板40が、第1の規制部12a及び第2の規制部12bそれぞれから所定の間隔だけ離れた状態で備えられる。
なお、蓋部13は、接合部12cにおいて、内側タンク12と溶接により接合する。これにより、蓋部13が内側タンク12と一体化し、内側タンク12内部に媒体を貯留することができる。
整流板40の中央部は、出口パイプ30が貫通する貫通孔42が備えられている。この貫通孔42は、その径が出口パイプ30の外径に対応する形状を備えている。出口パイプ30を蓄熱装置10内部に挿入したとき、出口パイプ30と貫通孔42とによって、整流板40が、蓄熱装置10内部に径方向に固定される。このとき、整流板40の外周は、内側タンク12の外壁から所定の間隔だけ離れた状態で備えられる。
このような構造によって、整流板40は、内側タンク12の内壁と一定の間隙を有したまま、内側タンク12内部の所定位置で、移動が規制される。
なお、蓄熱装置10内部に媒体が満たされていない状態では、整流板40は重力に従って底部側の第2の規制部12bに接しているが、蓄熱装置10の内部に媒体が満たされ、かつ、媒体が流通している場合は、媒体は、流通孔41だけではなく、整流板40と内側タンク12との間の間隙をも通過しながら、入口パイプ20側から出口パイプ30側へと流通する。
この媒体の流れによって、整流板40は、内側タンク12の内壁や第1の規制部12a、第2の規制部12bに接することなく、蓄熱装置10内部の所定位置で浮いた状態となる。
また、整流板40は、内側タンク12の材質よりも電気的に卑となる材質を用いることが好適である。例えば、内側タンク12をステンレスで構成した場合には、整流板40の材質に電気陰性度がより高いアルミニウム等を用いる。このように構成することによって、整流板40を犠牲部材として機能させて、犠牲防食作用により整流板40に近接する内側タンク12周辺の腐食を防止することができる。
なお、整流板40の強度が要求される場合には、材質をアルミニウムとするのではなく、鋼板にアルミニウムや亜鉛等によるメッキ加工を施した材質として、その表面を犠牲部材として機能させてもよい。
本発明の第1の実施形態では、内側タンク12と整流板40とを溶接等による接合を行う必要がない。従って、内側タンク12と整流板40とを異なる材質としたり、異なる表面処理とすることができる。
このように、整流板40が、蓄熱装置10を構成する内側タンク12と、所定の間隔を有したまま固定されていることで、溶接等の接合により形成される微少隙間が無くなり隙間主食の発生を防ぐことができる。また、整流板40を固定するための加工作業が不要となり、製造コストを低減することができる。
次に、この蓄熱装置10の製造方法を説明する。
蓄熱装置10は、前述のように、外側タンク11及び内側タンク12と、入口パイプ20及び出口パイプ30とからなる。
まず、底部側が未加工である碗状の内側タンク12を用意する。この内側タンク12の要所に、環状の第1の規制部12aを加工する(第1の工程)。
次に、この内側タンク12に、予め流通孔41等を加工した整流板40を挿入する(第2の工程)。
次に、内側タンク12の底部側に、蓋部13を溶接等の手段により接合する。なお、この蓋部13は、前述のように、第2の規制部12bが予め加工されている(第3の工程)。
次に、外側タンク11を加工する。
外側タンク11は、内側タンク12と同様に、例えば底部側が未加工の外側タンク11を用意し、これに内側タンク12を挿入した後、外側タンク11の底部を加工する。
なお、外側タンク11の底部は、内側タンク12の蓋部13と一部で接合するよう構成されている。これにより、外側タンク11と内側タンク12との間に、密閉された空間が形成される。
その後、この外側タンク11と内側タンク12との間の空間が略真空となるように、ポンプ等により内部の空気を吸引する。このとき、例えば外側タンク11に予めバルブを設けておき、ポンプによる吸引後にバルブを閉鎖するようにしてもよい(第4の工程)。
次に、蓄熱装置10の底部側の開口部分に、入口パイプ20及び出口パイプ30を挿入する。このとき、出口パイプ30が整流板40の貫通孔42を貫通することにより、整流板40の径方向での位置決めがなされる(第5の工程)。
以上の工程によって、蓄熱装置10が製造される。
なお、内側タンク12と蓋部13との接合は、前述のような形状に限られず、様々な形状とすることができる。
図2は、本発明の第1の実施形態の他の例の蓄熱装置10の要部の断面図を示す。
図1において前述した例では、内側タンク12と蓋部13とを角部で接合させて溶接を行った。これに対して、図2に示す例では、内側タンク12の開口部の端面と蓋部13の端面とを線で接合する、いわゆる突合せ溶接により接合を行う。
このように構成することにより、内側タンク12の内部に微少隙間が形成されないような構成とすることができる、また、内側タンク12の形状の自由度が高まる。
図3は、本発明の第1の実施形態のさらに別の例の蓄熱装置10の要部の断面図を示す。
図3に示す例では、第1の規制部12aと第2の規制部12bとを、ほぼ同じ形状とした。このような形状とすることによって、第2の規制部12bの位置が、蓋部13の接合位置に限定されることがないため、整流板40の設置位置や、内側タンク12の形状の自由度が高まる。
図4は、本発明の第1の実施形態のさらに別の例の蓄熱装置10の要部の断面図を示す。
図4に示す例では、整流板40の外縁を内側に折り曲げ加工を施した例である。
整流板40は、出口パイプ30によって径方向の移動は規制されているものの、第1の規制部12a及び第2の規制部12bの間で移動可能に備えられている。そのため、蓄熱装置10内部の媒体の流れにより、第1の規制部12a又は第2の規制部12bに接触する場合があり得る。この接触により第1の規制部12a又は第2の規制部12bに傷が発生し、内側タンク12の耐久性が低下する場合がある。
そこで、この整流板40の外縁を折り曲げ加工により折り曲げ部40aを形成し、整流板40の周方向の外縁が内側タンク12に対して曲面を有するように加工した。このように、整流板40の第1の規制部12a又は第2の規制部12bに近接する部分が曲面を有することで、整流板40が内側タンク12にエッジ当たりしないように構成することにより、内側タンク12の耐久性を低下させないようにすることができる。
このように構成された本発明の第1の実施形態の蓄熱装置10は、蓄熱装置10内部の媒体貯留部である内側タンク12に、流入する媒体と貯留された媒体が直接混ざることによる温度効率の低下を防止するための整流板40を備えた。そして、この整流板40は、内側タンク12かた所定の間隔を隔てて備えられている。これにより、内側タンク12と整流板40とが溶接等により直接接合されないため、接合により形成される微少隙間によって発生する隙間腐食を防止することができ、水漏れや、真空が喪失されることによる断熱効果の低下を防止することができる。
特に整流板40は、内側タンク12に形成された第1の規制部12a及び第2の規制部12bにより、上下方向への動きが規制されるので、簡易な構成によって、整流板40を接合することなく、蓄熱装置10内部に固定することができる。
また、これら第1の規制部12a及び第2の規制部12bは、内側タンク12を形成する際に溶接等により接合する蓋部13の接合部分に備えられるため、製造工数を増加させることなく、整流板40を固定する構造を形成することができる。
またさらに、整流板40は、近接する内側タンク12を構成する材質よりも電気的に卑となる材質を用いたので、整流板40が犠牲部材となり、内側タンク12の腐食を防ぐことができる。
またさらに、整流板40の外縁を折り曲げ加工してエッジ当たりを避けることにより、内側タンク12の耐久性を低下させないようにすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述の第1の実施形態では、整流板40の上下方向の移動を規制するため、内側タンク12に二つの規制部材(第1の規制部12a、第2の規制部12b)を備えた。これに対して第2の実施の形態では、内側タンク12に一つの規制部材のみを備えた。そして、整流板40の底部側方向への移動の規制は、入口パイプ20により行うよう構成した。
なお、前述の第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態の蓄熱装置10の要部の断面図を示す。
内側タンク12には、前述のように第1の規制部12aが形成される。一方、内側タンク12には、第2の規制部12bは形成されていない。
第2の実施形態では、整流板40を、入口パイプ20から突設した第2の規制部である押さえ部20bにより、底部側への移動を規制する。
このような構造によって、整流板40は、内側タンク12の内壁と一定の間隙を有したまま、内側タンク12内部の所定位置で、移動が規制される。
また、前述のように、蓄熱装置10内部に媒体が満たされていない状態では、整流板40は重力に従って底部側の押さえ部20bに接している。蓄熱装置10の内部に媒体が満たされ、かつ、媒体が流通している場合は、この媒体の流れによって、整流板40は、内側タンク12の内壁や第1の規制部12a、押さえ部20bに接することなく、蓄熱装置10内部の所定位置で浮いた状態となる。
なお、隙間腐食を防ぐために、押さえ部20bと整流板40とが対峙する箇所を、面で接するのではなく線又は点で接するような構造としてもよい。
次に、第2の実施形態の蓄熱装置10の製造方法を説明する。
まず、底部側が未加工の内側タンク12を用意する。この内側タンク12の要所に、第1の規制部12aを例えば絞り加工等により形成する(第1の工程)。
次に、この内側タンク12に、予め流通孔41等を加工した整流板40を挿入する(第2の工程)。
次に、内側タンク12の底部側に、蓋部13を溶接等の手段により接合する。
なお、このとき、蓋部13に相当する構造を、絞り加工によって内側タンク12を変形させることにより形成してもよい。第2の実施形態では、整流板40の底部側方向には規制部材を設けないので、絞り加工により蓋部13に相当する構造を形成することができる(第3の工程)。
次に、外側タンク11を加工する。
外側タンク11は、内側タンク12と同様に、例えば底部側が未加工の外側タンク11を用意し、これに内側タンク12を挿入した後、外側タンク11の底部を加工する。
なお、外側タンク11の底部は、内側タンク12の蓋部13と一部で接合するよう構成されている。これにより、外側タンク11と内側タンク12との間に、密閉された空間が形成される。なお、外側タンク11の底部側の構造を絞り加工等により形成してもよい。
その後、この外側タンク11と内側タンク12との間の空間が略真空となるように、ポンプ等により内部の空気を吸引する。このとき、例えば外側タンク11に予めバルブを設けておき、ポンプによる吸引後にバルブを閉鎖するようにしてもよい(第4の工程)。
次に、蓄熱装置10の底部側の開口部分に、入口パイプ20及び出口パイプ30を挿入する。
このとき、出口パイプ30が整流板40の貫通孔42を貫通することにより、整流板40の径方向での位置決めがなされる。
また、入口パイプ20の押さえ部20bが、整流板40を底部側から支持することにより、整流板40の底部側への移動が規制される(第5の工程)。
以上の工程によって、蓄熱装置10が製造される。
このように構成された本発明の第2の実施形態の蓄熱装置10は、前述の第1の実施形態と同様の効果を奏する。
そしてさらに、第2の実施形態では、整流板40の底部側の規制部材である第1の規制部を、入口パイプ20から突設した押さえ部20bにより構成した。これにより、内側タンクに形成する規制部材が一方のみで済み、加工コストが抑えられる。
また、この押さえ部20bは、樹脂製のパイプである出口パイプ30により一体に形成されるため、内側タンク12及び整流板40の形状の自由度を高めるができると共に、設計変更にも柔軟に対応できることで、製造コストを抑えることができる。
特に、図5に示すように、整流板40が略平面ではなく若干の曲面を備えるような形状であっても、整流板40の内周側で底面側への移動を規制することができる。
なお、図5に示す第2の実施形態において、前述の第1の実施形態の図1、図2、図3又は図4のように、内側タンク12と蓋部13とを接合するようにしてもよい。
また、第1の実施形態において前述したように、整流板40を電気的に卑となる材質としたり、電気的に卑となる材質によって表面にメッキを施すことで、整流板40を犠牲部材として機能させてもよい。
また、第1の実施形態の図4に示すように、整流板40の外縁を折り曲げ加工して、エッジ当たりを避けるように構成してもよい。
本発明の第1の実施形態の蓄熱装置の説明図である。 本発明の第1の実施形態の他の例の蓄熱装置の要部の断面図を示す。 本発明の第1の実施形態のさらに別の例の蓄熱装置の要部の断面図を示す。 本発明の第1の実施形態のさらに別の例の蓄熱装置の要部の断面図を示す。 本発明の第2の実施形態の蓄熱装置の説明図である。
符号の説明
10 蓄熱装置(貯留部)
11 外側タンク
12 内側タンク
12a 第1の規制部(規制部材)
12b 第2の規制部(規制部材)
12c 接合部
13 蓋部
14 凸部
20 入口パイプ(媒体入口部)
20a スリット部(媒体導入部)
20b 押さえ部(第2の規制部)
21 入口孔
22 出口孔
30 出口パイプ(媒体出口部)
30a 開口部(媒体排出部)
40 整流板(整流部)
40a 折り返し部
41 流通孔
42 貫通孔

Claims (8)

  1. 断熱構造を有し内部に媒体を貯留する貯留部(10)と、
    前記貯留部(10)の内部に媒体を導入する媒体導入部(20a)を備える媒体入口部(20)と、
    前記貯留部(10)の内部の媒体を排出する媒体排出部(30a)を備える媒体出口部(30)と、
    前記媒体導入部(20a)と前記媒体導出部(30a)との間に備えられ、導入された媒体の流れを前記貯留部(10)の径方向に略均一にする整流部(40)と、
    を備え、
    前記貯留部(10)は、前記整流部(40)を前記媒体の流れ方向への移動を規制する規制部材(12a、12b、20b)を備え、
    前記整流部(40)と、前記貯留部(10)の内壁とが、前記媒体が流通する所定の間隙を有することを特徴とする蓄熱装置。
  2. 請求項1に記載の蓄熱装置において、
    前記規制部材(12a、12b)は、前記整流部(40)の外周側から、前記媒体の流れ方向への移動を規制することを特徴とする蓄熱装置。
  3. 請求項1に記載の蓄熱装置において、
    前記規制部材(12a、20b)は、前記整流部(40)の外周側及び内周側から、前記媒体の流れ方向への移動を規制することを特徴とする蓄熱装置。
  4. 請求項1に記載の蓄熱装置において、
    前記規制部材(12a、12b)は、前記整流部(40)の媒体流れ方向下流側に、前記貯留部(10)の内側に突設する第1の規制部(12a)と、前記整流部(40)の媒体流れ方向上流側に、前記貯留部(10)の内側に突設する第2の規制部(12b)と、から構成されることを特徴とする蓄熱装置。
  5. 請求項1に記載の蓄熱装置において、
    前記規制部材(12a、20b)は、前記整流部(40)の媒体流れ方向下流側に、前記貯留部(10)の内側に突設する第1の規制部(12a)と、前記整流部(40)の媒体流れ方向上流側に、前記媒体入口部(20)から突設する第2の規制部(20b)と、から構成されることを特徴とする蓄熱装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、
    前記整流部(40)は、前記貯留部(10)よりも電気的に卑な材質から構成されていることを特徴とする蓄熱装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、
    前記整流部(40)は、前記貯留部(10)よりも電気的に卑な材質の鍍金が施されていることを特徴とする蓄熱装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一つに記載の蓄熱装置において、
    前記整流部(40)の前記規制部材(12a、12b)に近接する部分が、曲面を有することを特徴とする蓄熱装置。
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