はじめに、本発明の基本的な原理について説明する。
今、加速度目標値を積分して速度目標値を生成し、その生成された速度目標値に乗りかごを追従させるエレベータシステムを考える。
乗りかごが減速しながら目的階に接近し、着床制御が開始された時、もしくは、その直前の加速度目標値をαdp0 とする。
前記(1)式で計算される着床制御開始時の加速度目標値を前記α
dp0 に一致させる仮想残り距離L
pαは、前記(5)式により(6)式のように表される。
また、前記仮想残り距離L
pαに基づいて着床速度目標値V
dpを(7)式で与える。
このとき、着床制御用の加速度目標値α
dpは、前記(7)式の両辺を時間微分することにより、(8)式のようになる。
さらに、ジャーク目標値J
dpは、(9)式で与えられる。ただし、α
p は乗りかごの加速度である。なお、ジャーク(jerk)とは、加速度の時間微分であり、単位時間当たりの加速度の増加/減少率のことである。
前記(8)式および(9)式から、(10)式の関係が成立する。
ここで、着床制御開始時の乗りかごの加速度をα
p0とする。αを正の所定値とすると、加速度目標値は−αである。したがって、着床制御開始時の着床速度目標値から求まる着床ジャーク目標値J
p0と減速時のかご速度vとの間には、(11)式のような関係が成立する。
前記加速度α
p0は、乗りかごが減速しながら目的階に接近するときの加速度α
dの値つまり着床制御開始時点の値である。よって、乗りかごの減速期間中において、かご速度vおよび加速度α
d を検出し、(12)式が成立した時点で着床制御を開始すれば、この時点でのかご速度がv
p0であり、加速度目標値−αに連続性を与える仮想残り距離L
pαは前記(6)式により求めることができる。
なお、乗りかごが減速するときの速度目標値は、加速度目標値−αを一定として生成されるので、速度制御により着床制御開始時のかご加速度はほぼ−αに収束している。このため、前記(12)式に代えて、(13)式で着床制御を開始することでも良い。このようにすれば、かご加速度α
d の検出は不要となり、システムが簡便になる。
このように、着床制御の開始を前記(12)式もしくは前記(13)式で決定すれば、ジャーク目標値Jp0を所定の値に設定して、着床制御開始時のモータのトルク変動を一定とすることができる。モータのトルク変動が一定であれば、ロープの張力変動もほぼ一定であり、エレベータに均質な乗り心地を与えることができる。
次に、残り距離オフセットΔL
p について説明する。
今、残り距離オフセットΔL
pを(14)式で定義する。
Lp は着床制御開始時の残り距離であるから、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立する時点の残り距離である。
ここで、加速度目標値が連続となる仮想残り距離Lpαを前記(6)式で求めるために、任意の出発階から適当な目的階まで乗りかごを調整運転する。その際、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立する時点で、前記(7)式に基づく着床制御を行うものとする。
この調整運転により、着床制御開始時点の残り距離L
p0、乗りかごの速度v
p0、速度目標値V
dp0 および加速度目標値−α(=α
dp0 )が得られる。したがって、L
p0およびL
pαを前記(14)式に代入すれば、残り距離オフセットΔL
p を(15)式のように求めることができる。
この残り距離オフセットΔL
p を直ちに適用し、着床速度目標値V
dpを(16)式により計算して着床制御を実施する。
なお、この調整運転では、着床制御開始時点の加速度目標値は連続となるが、乗りかごが停止位置をΔLp だけ行き過ぎることは言うまでもない。
次に、この調整運転で得られた残り距離オフセットΔL
p を残り距離データから減じて速度制御を行うと、これ以降の運転では出発階から目的階までの目標距離がΔL
p だけ短くなる。すると、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立して、着床制御が開始されるときの残り距離L
p がΔL
p だけ長くなる。つまり、このときの残り距離L
p が(17)式のようになる。
ここで、着床速度目標値V
dpを前記(1)式で与えると、前記(17)式により、以下のようになる。
一方、前記(15)式により、仮想残り距離L
pαは(19)式のように表せる。
したがって、残り距離オフセットΔLp を目標距離から減じて速度制御を行う運転の場合には、Lp =Lpαとなり、そのときの残り距離オフセットΔLp はゼロとなる。
つまり、速度制御に使用する乗りかごの残り距離データからΔLp を減じて速度制御を行い、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立する時点で前記(7)式に基づく着床制御で停止位置決めを実施すれば、着床制御開始時点で加速度目標値が連続になると共に、乗りかごが停止すべき位置で着床速度目標値をゼロに収束させることが可能となる。これにより、減速度の緩和から停止に至る着床制御において、良好で均質な乗り心地を提供でき、しかも精度の高い停止位置決めを行うことができる。
ところで、実際のエレベータでは、乗りかごの速度が速い場合と遅い場合とで速度検出器を使い分けることが一般的である。具体的には、乗りかごの速度が早い場合には、距離分解能の低いガバナの信号が用いられる。また、乗りかごが低速状態で着床検出板を横切った場合など、高精度な位置情報が必要となった場合には、モータの回転軸に取付けられたレゾルバやパルスジェネレータの信号が用いられる。
以下では、かごが着床検出板を横切って距離分解能の高い信号に切替わった場合の本発明に関わる着床制御の方式について説明する。
これまでの説明で注目すべきことは、前記(12)式が残り距離Lpαに依存しておらず、着床制御の開始時に距離分解能の低いガバナの信号を用いることが可能な点にある。すなわち、着床制御が開始されると、乗りかごは減速度を弱めながら着床検出板を横切ることになる。その際、着床検出板の取付け位置は既知であることから、その取付け位置と目的階との間の距離に基づいて正確な残り距離を求めることができる。
一方、例えば距離分解能の高いレゾルバの信号を用いれば、高精度な停止位置決めが可能になる。以下では、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立して着床制御が開始され、乗りかごが着床検出板を横切った時点でガバナの信号からレゾルバの信号に切り替えられて、残り距離を検出する場合について説明する。
着床検出板の取付け位置からの高さをL
t 、切替発生時点の乗りかごの速度をv
t0、速度目標値をV
dt0 、加速度目標値をα
dt0 として、着床速度目標値V
dtを以下のように生成する。
ここで、xt :切替発生後のかご走行距離である。
なお、以下の説明において、前記(20)式および前記(21)式で本ステップの速度目標値がオフセット量ΔLp の設定の有無にかかわらず、前段の速度目標値に一応連続するものとする。
今、本ステップの初期状態を考える。トリガ開始時点での速度目標値V
dt0 は前のステップの最終値であることから、残り距離オフセットΔL
p が設定されていれば、前記(18)式に従って(22)式のようになる。
また、加速度目標値α
dt0 は前記(18)式の両辺を時間微分して、(23)式のようになる。
また、前記(20)式と前記(23)式により、(24)式のようになる。
よって、前記(22)式によりΔL
t =0となる。ΔL
t =0であれば、前記(21)式は、(25)式のようになる。
前記(22)式の関係から、(26)式のように表せる。
ここで、かご走行距離x
p は(27)式で表せることを考慮すると、前記(26)式は(27)式のように変形されて、前記(18)式に一致する。つまり、入力信号を残り距離オフセットを含む(L
p −x
p )から(L
t −x
t )に切替えたにもかかわらず、着床速度目標値がそのまま指数関数的に延長されることになる。
一方、残り距離オフセット量ΔL
p が設定されていなければ、前記(16)式から着床検出板を乗りかごが横切ったときの速度目標値V
dt0 および加速度目標値α
dt0 は、以下のようになる。
ここで、前記(20)式に前記(30)式を代入すると、(31)式のようになる。前記(29)式の関係から、ΔL
t =ΔL
p を得る。
したがって、前記(21)式は(32)式のように表せる。
この(32)式は前記(29)式を用いて、(33)式のように変形できる。
ここで、上式は前記(27)式の関係から、(34)式のように表すことができ、前記(16)式に一致する。
以上のことから、オフセット量ΔLp の設定の有無にかかわらず、前記(20)式および前記(21)式で定義される着床速度目標値Vdtは、着床検出板を乗りかごが横切る前で算出された着床速度目標値に対して連続性を有することになる。
要するに、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立した時点で、前記(6)式、(7)式の着床速度目標値Vdp で着床制御を開始すると共に、乗りかごが着床検出板を横切った時点から前記(20)式、(21)式の着床速度目標値Vdt で着床制御を行えば、均質で良好な乗り心地を確保して、乗りかごを目的階に精度良く停止位置決めすることができる。
しかし、高層ビルのように昇降行程が長い場合には、ロープの弾性変形分が位置決め精度に影響する。すなわち、例えばエレベータの乗りかごが最下階から最上階まで運転されるとすると、前記(12)式もしくは前記(13)式が成立する時点で、乗りかごの走行距離に比例したロープの弾性変形分(上昇時には縮み分、下降時には伸び分)だけ残り距離Lpが短くなる。
ここで、仮想残り距離Lpαは前記(6)式で与えられ、その(6)式中のかご速度vp0は(12)式で決定されるので、仮想残り距離Lpαは速度目標値Vdp0に依存する。着床制御開始時の速度目標値Vdp0とかご速度vp0はモータ制御の遅れに依存するため、モータ制御が同一であれば、速度目標値Vdp0との割合も不変となる。したがって、仮想残り距離Lpαは、乗りかごの走行距離の変化に対しては一定となる。このような理由から、前記(14)式で定義される残り距離オフセットΔLpは、出発階から目的階までの距離、すなわち目標距離に比例して増加することになる。
このようなロープ弾性による影響を解消するべく、本発明では、目標距離が異なる少なくとも2回の調整運転により、残り距離オフセットΔLpを演算により求めて事前に設定しておくものとする。
すなわち、今、図4に示すように、1回目の調整運転の目標距離をL
1、そのときに得られる残り距離オフセットをΔL
p1、2回目の調整運転の目標距離をL
2、そのときに得られる残り距離オフセットをΔLp
2とする。ここで、通常運転時における任意の目標距離をL
0とした場合、その目標距離L
0に対する残り距離オフセットΔL
pを次式のように設定する。
(35)式は、点P1,P2を通る直線を一次関数式(y=ax+b)で表したものである。通常運転では、この(35)式にて設定される残り距離オフセットΔLpを目標距離L1から減じて速度制御を行う。これにより、目標距離に比例して増加する残り距離オフセットを予め得ることができ、ロープの弾性が着床制御の位置決め精度に与える影響をなくすことが可能となる。また、残り距離オフセットを目標距離に応じて適宜設定する労力をなくことができ、調整にかかる費用を軽減できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。
(第1の実施形態)
(a)全体構成
図1は本発明の第1の実施形態に係るエレベータの着床制御装置の構成が全体として符号10で示されている。
この着床制御装置10は、建物の昇降路内をガイドレール12に沿って上下方向に移動する移動体14と、この移動体14を駆動するための機構として、第1のロープ16、第1のシーブ18、セカンダリーシーブ20、重量部(カウンタウェイト)22、巻上機24、第2のロープ26、第2のシーブ28、シーブ案内部30などが設けられている。
第1のロープ16は、建物の最上部に設置された第1のシーブ18およびセカンダリーシーブ20に巻き掛けられており、その一端は移動体14の上部、他端は重量部22の上部に取り付けられている。一方、第2のロープ26は、建物の最下部に設置された第2のシーブ28に巻き掛けられており、その一端は移動体14の下部、他端は重量部22の下部に取り付けられている。
第1のシーブ18は、巻上機24の回転軸に取り付けられ、巻上機24の駆動により回転する。この第1のシーブ18の回転に伴い、第1のロープ16を介して移動体14と重量部22が互いに上下反対方向に移動する。その際、移動体14と重量部22のそれぞれの下部に連結された第2のロープ26が第2のシーブ28を介して移動する。
シーブ案内部30は、第2のシーブ28を回転自在に支持する軸受け48と、その軸受け48を両側から挟み込むように配置され、第2のシーブ28を上下方向に案内するシーブガイド49とで構成されている。なお、前記シーブガイド49の下端は建物の最下部の床65に固定されている。
さらに、この着床制御装置10には、低精度距離検出部31、高精度距離検出部33、着床検出板43が設けられている。
低精度距離検出部31は、移動体14の移動距離をガバナシーブ68の回転角に基づいて検出する。高精度距離検出部33は、移動体14の移動距離を第1のシーブ18の回転角に基づいて検出する。着床検出板43は、移動体14の着床状態を検出するためのものであり、各階の床面から上下両方向に所定の高さ位置に設置されている。
ここで、移動体14の構成について説明する。
本実施形態において、移動体14は、かご枠32、ガイドローラユニット34、乗りかご36、サスペンション38、把持機構41、着床検出器45を備える。
かご枠32は、箱状の乗りかご36の周囲に設けられており、第1のロープ16や第2のロープ26の張力に対して十分な剛性を有する。ガイドローラユニット34は、このかご枠32の四隅に配置され、移動体14を前記ガイドレール12に沿って案内する。サスペンション38は、かご枠32に対して乗りかご36を支持するため部材であり、かご枠32を通して乗りかご36内に侵入するロープ16,26の縦振動高周波成分を遮断する役目を兼ねている。
把持機構41は、移動体14と調速用のガバナロープ39とを連結するためのものであり、かご枠32の所定の箇所に固定設置されている。移動体14は、この把持機構41を介してガバナロープ39に連結されている。
ガバナロープ39は、建物の最下部側に設けられたテンションシーブ64と、建物の最上部側に設けられたガバナシーブ68との間に架設されており、移動体14と共に移動する。なお、テンションシーブ64には、所定の張力を付与する錘62と、このテンションシーブ64を上下方向にのみ可動とするシーブガイド66とが設けられている。
また、この移動体14の下側に着床検出器45が各階の乗場に向けて設置されている。この着床検出器45は、各階に設けられた着床検出板43を移動体14が横切ったことを検出する。
巻上機24は、制御装置42によって回転駆動される電動機40を備える。電動機40は、セカンダリーシーブ20と共にマシンベッド44に取り付けられ、防振ゴム46を介して図示せぬ機械室の床47に設置されている。なお、セカンダリーシーブ20は、第1のロープ16の張力により回転自在に取り付けられている。
制御装置42は、エレベータの制御盤と呼ばれている部分であり、エレベータ全体の制御を行う。この制御装置42は、コンピュータによって構成され、所定のプログラムの起動により移動体14(乗りかご36)の速度制御を含む各種処理を実行する。
(b)制御装置の構成
図2は着床制御装置10に備えられた制御装置42の機能構成を示すブロック図である。なお、この図2において、矢印線は信号経路を示し、棒線は電動機40周辺の電力経路を示している。
制御装置42は、センサ部50と、トルク演算部52と、駆動制御部54とで構成される。センサ部50は、低精度距離検出部31、高精度距離検出部33、高速速度検出部35、シーブ周速検出部37、着床検出部56を備える。
低精度距離検出部31は、ガバナシーブ68の回転軸に直結されたパルスジェネレータ等の回転角検出器69を備え、この回転角検出器69から出力されるガバナシーブ68の回転角に基づいて移動体14の移動距離を検出する。
高精度距離検出部33は、第1のシーブ18の回転軸に直結されたレゾルバ等の回転角検出器70を備え、この回転角検出器70から出力される第1のシーブ18の回転角に基づいて第1のロープ16の送り量つまり移動体14の移動距離を検出する。
高速速度検出部35は、低精度距離検出部31から出力される移動距離に基づいて、移動体14が高速で移動しているときの速度を検出する。
シーブ周速検出部37は、回転角検出器70から出力される第1のシーブ18の回転角に基づいて当該シーブ18の周速を検出する。
着床検出部56は、図1に示した着床検出板43と着床検出器45を備え、移動体14の移動時に着床検出板43を横切ったときに着床検出器45から出力されるパルス信号に基づいて、当該移動体14が停止階床の床面に所定の距離まで接近したことを検出する。本実施形態において、この着床検出部56は第2のトリガ信号発生部として用いられる。
トルク演算部52は、速度目標値発生部58と速度制御部60を備える。
速度目標値発生部58は、センサ部50から出力される各信号に基づいて移動体14が昇降動作するときの速度目標値を発生する。なお、この速度目標値発生部58の構成については、後に図3を参照して詳しく説明する。速度制御部60は、この速度目標値発生部58とシーブ周速検出部37の出力信号に基づき電動機40に対するトルク指令値を演算する。
また、駆動制御部54は、トルク演算部52で演算されたトルク司令値に基づいて電動機40のコイル励磁電流を制御する。
(c)速度目標値発生部の構成
図3は着床制御装置10に備えられた速度目標値発生部58の詳細な構成を示すブロック図である。
速度目標値発生部58は、目標距離設定部72、減算器74、残り距離オフセット設定部76、減算器78、加速・減速用速度目標値発生部80、ジャーク設定部82、トリガ発生部84、加速度目標値演算部86、データホルダ88、第1のオフセット発生部90、第1の着床速度目標値生成部92、切替えスイッチ94を備える。
目標距離設定部72は、乗りかご36内の図示せぬ行先ボタンの操作に伴い、出発階から目的階までの目標距離を設定する。
減算器74は、目標距離設定部72によって設定された目標距離から低精度距離検出部31から出力される移動距離を減算して、移動体14の目的階までの残り距離Lを算出する。この減算器74は、残り距離検出部として用いられる。
残り距離オフセット設定部76は、上述した2回の調整運転後に前記(35)式により求まる残り距離オフセットΔLp を設定する。なお、調整運転時には、前記残り距離オフセット設定部76にはゼロが設定されている。
減算器78は、減算器74から出力される残り距離Lから残り距離オフセット設定部76の残り距離オフセットΔLpを減算して仮想残り距離Lpαを算出する。この減算器78は、残り距離補正部として用いられる。
加速・減速用速度目標値発生部80は、減算器78の出力つまり仮想残り距離Lpαに基づいて着床制御が開始される以前の速度目標値を生成して出力すると共に、減速時には減速中であることを示す減速フラグ信号を出力する。
ジャーク設定部82は、着床制御開始時の着床ジャーク目標値Jp0を設定する。
トリガ発生部84は、加速・減速用速度目標値発生部80の減速フラグ信号が減速中であれば、前記(13)式に基づいて着床制御開始のためのトリガ信号を発生する。このトリガ発生部84は、第1のトリガ信号発生部として用いられる。
加速度目標値演算部86は、速度目標値発生部58から出力される速度目標値を時間微分して加速度目標値αl を算出する。
データホルダ88は、トリガ発生部84からトリガ信号が出力されたときのタイミングで、その時点における加速・減速用速度目標値発生部80、減算器78、高速速度検出部35および加速度目標値演算部86の各出力値を記憶する。
第1のオフセット発生部90は、データホルダ88に記憶された各出力値に基づいて前記(15)式を演算し、残り距離オフセットΔLp を算出する。
第1の着床速度目標値生成部92は、減算器78の出力値、前記加速・減速用速度目標値発生部80および減算器78に関する前記データホルダ88の出力値および前記第1のオフセット発生部90の出力値に基づいて前記(16)式を演算し、移動体14が目的階の着床検出板43を横切るまでの着床制御用の速度目標値(高速速度目標値)を出力する。
切替えスイッチ94は、トリガ信号の発生前は加速・減速用速度目標値発生部80の出力値を選択し、トリガ信号の発生以降は第1の着床速度目標値生成部92の出力値を選択する。
さらに、速度目標値発生部58は、データホルダ96、第2のオフセット発生部98、第2の着床速度目標値生成部100、切替えスイッチ102を備える。これらは、移動体14(乗りかご36)が目的階の手前の着床検出板43を通過した後の着床制御で用いられるものである。
データホルダ96は、着床検出部56から検出信号が出力されたときのタイミングで、切替えスイッチ94、シーブ周速検出部37および前記加速度目標値演算部86の各出力値を記憶する。
第2のオフセット発生部98は、データホルダ96に記憶された各出力値に基づいて前記(20)式を演算し、残り距離オフセットΔLt を算出する。
第2の着床速度目標値生成部100は、高精度距離検出部33の出力値と、切替えスイッチ94によるデータホルダ96の出力値および残り距離オフセット発生部98の出力値に基づいて前記(21)式を演算し、移動体14が目的階の手前の着床検出板43を横切った以降の着床制御用の速度目標値(低速速度目標値)を算出する。
切替えスイッチ102は、着床検出部56から検出信号が出力される前は切替えスイッチ94の出力値を選択し、検出信号の出力以降は第2の着床速度目標値生成部100の出力値を選択する。なお、第2の着床速度目標値生成部100が前記(21)式を演算する際に必要となる着床検出板43の取付け位置からの高さLt は既知であることは言うまでもない。
(d)動作説明
次に、エレベータの着床制御装置の動作について説明する。
[調整運転]
まず、残り距離オフセットΔLpを求めるために調整運転が行なわれる。この調整運転は、例えば定期点検時に行われる。
今、本装置が1回目の調整運転で待機状態にあるとき、すなわち、残り距離オフセット設定部76にゼロが設定され、移動体14である乗りかご36が所定の出発階に停止している状態にあるとする。
このような状態において、乗りかご36内の行先ボタンの操作により目的階が設定されると、目標距離設定部72は出発階から目的階までの目標距離L0 を出力する。なお、1回目の調整運転では、L0=L1である。
減算器74において、この目標距離L0と低精度距離検出部31の移動距離xが減算される。これにより、移動体14の現在位置から目的階までの残り距離Lが出力される。加速・減速用速度目標値発生部80は、この残り距離Lの値に基づいて移動体14が追従すべき速度目標値を生成する。
ここで、移動体14が移動を開始したときには残り距離Lが大きいので、加速・減速用速度目標値発生部80では、図5に示すような速度目標値パターン「O−A−B」を出力する。この間、加速・減速用速度目標値発生部80の減速フラグ信号が減速状態を示していないので、トリガ発生部84からトリガ信号は発生されない。また、着床検出部56により着床検出がなされることもない。したがって、切替えスイッチ94,102を介して加速・減速用速度目標値発生部80から出力される信号が速度目標値設定部58による速度目標値として出力されることになる。
速度制御部60では、速度目標値設定部58から出力された速度目標値と、シーブ周速検出部37によって検出された第1のシーブ18の周速とに基づいてトルク指令値を演算して駆動制御部54に出力する。駆動制御部54では、このトルク指令値と回転角検出器70の出力値に基づいて電動機40の励磁電流を制御する。その結果、第1のシーブ18の周速が制御され、それに伴い移動体14が前記速度目標値パターン「O−A−B」に追従する速度で目的階に向かって移動していく。
移動体14が目的階に接近して残り距離Lが減少すると、速度目標値設定部58からは速度目標値パターン「B−C」が出力されて、移動体14は減速を開始する。このとき、前記加速・減速用速度目標値発生部80から出力される減速フラグ信号は減速状態を示す。
一方、高速速度検出部35により検出される移動体14の速度vはトリガ発生部84に入力される。前記減速フラグ信号は減速状態であるため、トリガ発生部84では、前記(13)式に基づいて移動体14の速度vとジャーク設定部82の着床ジャーク目標値Jp0との比較が行われる。
移動体14の速度vが減少していくと、前記(13)式の右辺の計算結果が次第に大きくなり、ついには着床ジャーク目標値Jp0と一致する。これにより、トリガ発生部84からは着床制御開始のトリガが出力され、切替スイッチ94は速度目標値として第1の着床速度目標値生成部92の出力を選択する。同時に、トリガ発生時点の速度目標値Vdp0 、残り距離Lp −ΔLp (ただし、調整運転時は残り距離オフセット設定部76から出力されるΔLはゼロである)、移動体速度vp0および加速度目標値αdp0 がデータホルダ88から出力される。
第1のオフセット発生部90は、これらの出力値を受け、前記(15)式により残り距離オフセットΔLp を演算して出力する。これにより、速度目標値Vdpを前記(16)式から演算できるデータがすべて求まり、第1の着床速度目標値生成部92からは速度目標値として図5の速度パターンC−Dが出力される。
この速度パターンは切替スイッチ94、102を介して速度目標値発生部58から出力される。これにより、着床制御開始時に所定のジャーク値で減速度が緩和されると共に、速度目標値および加速度目標値の連続性が保たれるので、均質で滑らかな乗り心地を確保できる。
さらに、移動体14が目的階に接近し、着床検出器45が着床検出板43を横切ると、着床検出部56からは検出信号が出力される。検出信号が出力されると、切替スイッチ102は速度目標値として第2の着床速度目標値生成部100の出力を選択する。同時に、検出信号発生時点の速度目標値Vdt0 、移動体速度vt0および加速度目標値αdt0 が第2のデータホルダ96から出力される。
第2のオフセット発生部98は、これらの出力値を受け、前記(20)式により残り距離オフセットΔLt を演算して出力する。これにより、速度目標値Vdtを前記(21)式から演算できるデータがすべて求まり、第2の着床速度目標値生成部100からは速度目標値として図5の速度パターン「D−E」が出力される。
この速度パターンは切替スイッチ102を介して速度目標値発生部58から出力される。これにより、着床検出信号発生時に第1の着床速度目標値生成部92の速度目標値に連続させて第2の着床速度目標値生成部100の速度目標値を設定ることができ、滑らかな乗り心地を確保できる。
また、第2の着床速度目標値生成部100においては、速度目標値の生成に高精度距離検出部33からの出力信号が使用できる。よって、調整運転後の通常運転において、高精度な停止位置決めを行うことができる。
図5の速度パターンD−EのE点で速度目標値がゼロとなり、やがて移動体14が停止する。このとき、目標距離設定部72は目標距離L1を出力し、第1のオフセット発生部90は残り距離オフセットΔLp1 を出力している。これらの出力値を残り距離オフセット設定部76に設定して1回目の調整運転を終了する。
続いて、2回目の調整運転では、1回目とは目標距離が異なるように出発階もしくは目的階を変更して同様の動作を行う。これにより、目標距離設定部72からは目標距離L2が出力され、残り距離オフセット発生部90からは残り距離オフセットΔLp2が出力されて、残り距離オフセット設定部76に設定される。
ここで、1回目の調整運転結果と合わせ、通常運転において任意の目標距離L0が設定されれば、残り距離オフセット設定部76にて、前記(35)式に基づく残り距離オフセットΔLpが設定されることになる。
[通常運転]
2回の調整運転が終了して、通常運転を行う場合において、本装置の動作は次のようになる。
すなわち、本装置が通常運転で待機状態にあるとき、残り距離オフセット設定部76には、前記2回の調整運転で求められた残り距離オフセットΔLp が設定されている。
移動体14である乗りかご36が所定の出発階に停止している状態で、乗りかご36内の行先ボタンの操作により目的階が設定されると、目標距離設定部72は出発階から目的階までの目標距離L0 を出力する。減算器74において、この目標距離L0 から低精度距離検出部31の移動距離xが減算される。これにより、減算器74からは移動体14の現在位置から目的階までの残り距離Lが出力される。
ここで、減算器78からは、残り距離Lから残り距離オフセット設定部76に設定された残り距離オフセットΔLp を減じた値が出力される。この残り距離オフセットΔLpは、前記2回の調整運転で求められたものであり、ロープの弾性による影響を反映している。
加速・減速用速度目標値発生部80は、減算器78の出力値に基づいて移動体14が追従すべき速度目標値を生成する。行先ボタンが押されたときは、減算器78の出力値L−ΔLp が大きいので、加速・減速用速度目標値発生部80は、図5に示すような速度目標値パターン「O−A−B」を出力する。これ以降、速度目標値パターンの点Cの手前までの動作は前記調整運転の場合と同様のため、その説明を省略する。
ここで、速度目標値が速度目標値パターン点Bを過ぎると、移動体14の速度vが減少し、トリガ発生部84に入力される減速フラグ信号が減速状態になり、前記(13)式の両辺の大小比較が開始される。減速により、前記(13)式の右辺の計算結果が次第に大きくなり、ついには着床ジャーク目標値Jp0と一致する。すると、トリガ発生部84からは着床制御開始のトリガが出力され、切替スイッチ94は速度目標値として第1の着床速度目標値生成部92の出力を選択する。同時に、トリガ発生時点の速度目標値Vdp0 、残り距離Lp −ΔLp 、移動体速度vp0および加速度目標値αdp0 がデータホルダ88から出力される。
第1のオフセット発生部90は、これらの出力値を受け、前記(15)式により残り距離オフセットΔLp を演算して出力する。その際、上述したように、残り距離オフセットΔLp を目標距離から減じて速度制御を行う通常運転の場合には、Lp =Lpαとなり、このときの残り距離オフセットΔLp は略ゼロとなる。トリガ発生部84が着床制御開始トリガを発生した時点で、速度目標値Vdpを前記(16)式から演算できるデータがすべて求まり、第1の着床速度目標値生成部92からは速度目標値として図5の速度パターン「C−D」が出力される。
この速度パターンは切替スイッチ94,102を経由して速度目標値発生部58から出力される。これにより、着床制御開始時に一定のジャークで減速度が緩和されると共に、速度目標値および加速度目標値の連続性が保たれるので、均質で滑らかな乗り心地を確保できる。
さらに、移動体14が目的階に接近し着床検出器45が着床検出板を横切ると、着床検出部56からは検出信号が出力される。検出信号が出力されると、切替スイッチ102は速度目標値として第2の着床速度目標値生成部100の出力を選択する。同時に、検出信号発生時点の速度目標値Vdt0 、移動体速度vt0および加速度目標値αdt0 が第2のデータホルダ96から出力される。
第2のオフセット発生部98は、これらの出力値を受け、前記(20)式により残り距離オフセットΔLt を演算して出力する。ここで残り距離オフセットΔLt は前記(24)式および前記(22)式の関係式より略ゼロとなる。この時点で速度目標値Vdtを前記(21)式から演算できるデータがすべて求まり、第2の着床速度目標値生成部100からは速度目標値として図5の速度パターン「D−E」が出力される。
この速度パターンは、切替スイッチ102を介して速度目標値発生部58から出力される。これにより、着床検出信号発生時に第1の着床速度目標値生成部92の速度目標値に第2の着床速度目標値生成部100の速度目標値を連続させることができ、滑らかな乗り心地を確保できる。
また、第2の着床速度目標値生成部100においては、速度目標値の生成に高精度距離検出部33からの出力信号が使用できると共に、残り距離オフセットΔLt がゼロに設定される。したがって、着床検出信号が発生したとき、既知の残り距離Lt だけ移動体14が移動することにより、前記(21)式により速度目標値Vdtはゼロとなり、乗りかご36の床面と目的階の床面がほぼ一致する位置で移動体14は停止する。
上述のように本実施形態では、任意の目標距離L0に対し、ロープの弾性に起因して変動する残り距離オフセットΔLpを演算するデータを2回の調整運転で求めておく。この求めたデータを残り距離オフセット設定部76に設定しておくとこにより、それ以降の通常運転において、着床制御開始時点で加速度目標値が連続になると共に、移動体14である乗りかご36が停止すべき位置で着床速度目標値をゼロに収束させることが可能となる。
したがって、減速度の緩和から停止に至る着床制御において、良好で均質な乗り心地が提供でき、しかも、昇降行程が長く、ロープの弾性による影響があった場合でも高い停止精度を満足することができる。その結果、良好な乗り心地と着床制御の高い位置決め精度を維持するために従来行われていた調整作業が不要となり、多大の労力と時間を節約でき、調整にかかるコストの低減できる。
なお、前記第1の実施形態では、2回の調整運転を行うものとした説明したが、さらに、目標距離を変えて多数の調整運転を行えば、より適正な残り距離オフセットΔLpを得ることができる。
また、前記第1の実施形態では、低精度距離検出部31と高精度距離検出部33において、それぞれにガバナとレゾルバの2つの信号を用いて移動体14の移動距離を検出する構成としたが、特にこれに限定されるものでない。例えば、電動機40の回転軸に取付けたパルスジェネレータでシーブ18の回転角を検出し、その検出信号を低精度距離検出部31と高精度距離検出部33の替わりに単一の距離検出部に入力して、残り距離を求めるようにしても良い。
また、前記第1の実施形態では、速度検出にガバナとレゾルバの2つの信号を用い、高速速度検出部35とシーブ周速検出部37で位置および回転角を移動体14の速度に変換する構成としたが、特にこれに限定するものでない。例えば、電動機40の回転軸に取付けたパルスジェネレータから回転角を検出し、その検出信号を高速速度検出部35とシーブ周速検出部37の替わりに単一の速度検出部に入力して、速度を求めるようにしても良い。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する
図6は第2の実施形態に係るエレベータの着床制御装置の機能構成を示すブロック図であり、この着床制御装置の全体を10′で示している。図6はこの着床制御装置10′に備えられた速度目標値発生部58の構成を示すブロック図である。
前記第1の実施形態では、トリガ発生部84において、前記(13)式に基づいてトリガを発生したが、第2の実施形態では、前記(12)式に基づいてトリガを発生する点が異なる。この場合、移動体14の加速度を検出することが必要になり、図6に示すように、センサ部50には加速度検出部104が追加されることになる。なお、以下の説明においては、前記第1の実施形態と同一個所には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
加速度検出部104には、例えばかご枠32に設けられた着床検出器45の加速度に応じた電圧信号を計測する加速度計が用いられる。図6に示すように、この加速度検出部104から出力される移動体14の加速度は、高速速度検出部35の出力v、ジャーク設定部82の出力Jp0と共にトリガ発生部84′に入力される。トリガ発生部84′は、これらの値を用いて、前記(12)式に基づいてトリガを発生する。
また、第2の実施形態では、高精度距離検出部33が高精度距離検出部33′に置き換えられている。この高精度距離検出部33′は、ガバナシーブ68が備える回転角検出器69の出力パルスを高精度化し、着床検出信号発生後の移動体14の距離信号を出力する。
さらに、この高精度距離検出部33′の出力信号に基づいて着床検出信号発生後の移動体14の速度を高精度で演算する低速速度検出部35′が追加されている。この低速速度検出部35′の出力信号が前記シーブ周速検出部37の出力信号に替えてデータホルダ96に記憶される。これは、図1に示したロープ16、26の弾性の影響でシーブ18の周速とガバナシーブ68の周速に位相差が生じることがあるためであり、距離と速度の検出を同一の検出対象から行うことで速度信号の位相誤差が減少する。
一方、駆動制御部54には電動機40の正確な回転角が必要なため、前記回転角検出器70の信号が入力されている。
このような構成とした場合でも、前記第1の実施形態と同様に、着床制御開始時点で加速度目標値の連続性を保ちながら、移動体14が停止すべき位置で着床速度目標値をゼロに収束させることが可能となる。したがって、減速度の緩和から停止に至る着床制御において、良好で均質な乗り心地を提供でき、しかも、高精度で停止位置決めを行うことができる。
また、前記第2の実施形態の構成では、加速度検出部が新たに必要となるが、前記(13)式は前記(12)式を近似したものであり、減速時の移動体の加速度αd が加速度目標値−αから乖離している場合には、着床制御開始時の減速度緩和ジャークをより均一にできるといった利点がある。
なお、加速度検出部として加速度計が使用されているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、加速度計の替わりにガバナシーブ68やシーブ18の回転角を出力するレゾルバやパルスジェネレータを用い、これらの検出信号に基づく距離情報に2回の時間微分演算を施して加速度を検出しても良い。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。要するに、本発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10,10′…エレベータの着床制御装置、12…ガイドレール、14…移動体、16,26…ロープ、18,28…シーブ、20…セカンダリーシーブ、22…重量部、24…巻上機、30…シーブ案内部、31…低精度距離検出部、32…かご枠、33,33′…高精度距離検出部、34…ガイドローラユニット、35…高速速度検出部、35′…低速速度検出部、36…乗りかご、37…シーブ周速検出部、38…サスペンション、39…ガバナロープ、40…電動機、41…把持機構、42…制御装置、43…着床検出板、44…マシンベッド、45…着床検出器、46…防振ゴム、47,65…床、50…センサ部、52…トルク演算部、54…駆動制御部、56…着床検出部、60…速度制御部、62…錘、64…テンションシーブ、66…シーブガイド、68…ガバナシーブ、69,70…回転角検出器、72…目標距離設定部、74…減算器、76…残り距離オフセット設定部、78…減算器、80…加速・減速用速度目標値発生部、82…ジャーク設定部、84…トリガ発生部、86…加速度目標値演算部、88,96…データホルダ、90…第1のオフセット発生部、92…第1の着床速度目標値生成部、94,102…切替えスイッチ、98…第2のオフセット発生部、100…第2の着床速度目標値生成部、104…加速度検出部。