JP5176229B2 - アレルギー疾患の治療薬且つ治療効果のマーカー - Google Patents

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Description

本発明は、アポリポタンパク質A-IVの、アレルギー疾患の治療における治療効果判定マーカーとしての利用、及びこれを用いる治療効果の判定及び/又は予測方法、並びに、アポリポタンパク質A-IVを含有するアレルギー疾患治療薬に関する。
ここ数十年来、我国においては生活様式や生活環境の変化に伴ってアレルギー疾患を有する患者が急増し、患者におけるQOLの低下や医療費負担の増大が問題となっている。アレルギー疾患は、本来無害であるはずの外来抗原に対して免疫系が過剰に反応することにより生じる疾患である。スギ花粉症はこのアルレギー症の一種であり、その主因はスギ花粉中の抗原性物質、すなわち、スギ花粉症アレルゲンであるといわれている。大気中に飛散したスギ花粉がヒトの体内に侵入すると、B細胞によってスギ花粉 アレルゲンに対するイムノグロブリンE抗体(IgE)が産生される。このIgEは肥満細胞や好塩基球の細胞膜上に存在する高親和性IgE受容体FcεRIに結合する。そこに、スギ花粉等のアレルゲン物質が再び侵入して、これら細胞膜上のIgEを架橋すると、ヒスタミンやロイコトリエン等のメディエータが放出され(脱顆粒反応)、アレルギーの発症に至る。食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎等の他の原因によるアレルギー疾患と同様に、このスギ花粉症でも近年重症化の傾向が見られ、その傾向が今後ますます深刻化していくと予想されている。
現在、スギ花粉症の治療は、抗ヒスタミン薬を第一選択薬とした薬物療法が主体である。しかし薬物療法には、眠気や倦怠、口渇、吐き気、下痢、便秘を引き起こす等の副作用があり、患者の状態を健全に保つことはできていない一方で、根治性がなく、永遠に内服し症状を抑えることしかできない。ステロイド薬を使用した場合は一過的に(極めて)良好な治療効果が認められる(場合がある)が、緑内障等をも含む重大な副作用が懸念されるため長期間の継続は困難となる。下鼻甲介切除術や下鼻甲介のレーザー焼灼といった手術的療法の場合も、効果の継続は2〜5年程度である。
唯一、根治療法として免疫療法が存在するが、これはアレルゲン(抗原)を皮下注射或いは舌下又は嚥下して抗原の反応性を低下させる治療法である。免疫療法は、まだその機序は明らかでないものの、約6〜7割の人に効果があることがわかっている。また副作用(全身性アナフィラキシー反応)は(重篤ではあるが)稀であることから、有効な治療法として確立されつつあり、将来的に推奨され、普及していくと考えられる。しかし、適切な臨床マーカーが無いため、その治療効果の予測が全くできず、最低2年間の治療を行わないと効果の有無がわからないという難点があった。
外国においては、抗原と反応するIgEの効果を、IgEに対する抗体で押さえ込もうとする抗IgEによる抗体療法が適用される場合もあるが、やはり全ての患者において有効なわけではなく、極端に高価であるため、現在のところ全患者への適用は非現実的となっている。また、体内で無害な物質を誘導して、アレルギー治療を行う概念は存在するが、その因子の同定はされていない。
近年、タンパク質の解析技術が著しく発展し、罹患者等の生体組織におけるタンパク質量(の変動)に関する情報を網羅的に得ることができるようになった。この技術を利用して、新規な疾患マーカーを同定した例も知られている。しかし該技術の一連の実験操作とデータ分析を実行するにはかなりの技術と高額な装置を必要とするため、これまでアレルギー性鼻炎及びスギ花粉症において、このアプローチを使用した報告はない。ましてや治療法の効果と関連させるような報告はない。網羅的遺伝子発現解析は、患者の細胞と正常人の細胞を比較した報告が幾つかあるが、得られた遺伝子は未解析ものがほとんどで、機能解析までに発展させたものはなかった。
生体組織由来のタンパク質の1つとして、アポリポタンパク質A-IVの報告例がある。アポリポタンパク質は、リポタンパク質の重要な構成成分であり、血中において脂質を可溶性の状態にして組織へと運搬する役割を有するとされている。アポリポタンパク質A-IV遺伝子は、2つのイントロンによって分断された3つのエキソンを含んでおり、腸管上皮細胞で発現している。一次翻訳産物は396残基のタンパク質前駆体であり、タンパク質分解処理の後、合成の主要部位である腸で乳び脂粒粒子とともに分泌される。
このアポリポタンパク質A-IVの正確な機能は知られていないが、生体外でレシチン-コレステロールアシル基転移酵素の強力な活性化剤として作用する(非特許文献1)とされている。アポリポタンパク質A-IVノックアウトマウスは高密度リポタンパク質レベルが減少しており(非特許文献2)、逆に過剰発現させた形質転換体では一定条件化でアテローム性動脈硬化症の予防効果を示すことも報告されている(非特許文献3)。
また、アポリポタンパク質A-IVは、動物モデルやin vitroでの研究で抗炎症作用や抗酸化作用を有することが報告され(非特許文献4)、アポリポタンパク質A-IVの遺伝子多型解析では、アトピー性疾患に関連が深い遺伝子の遺伝子多型と有意に相関していることの示唆がされている(非特許文献5)。しかし、アポリポタンパク質A-IVが、血漿中におけるその量とアレルギー疾患の治療効果の有無及び程度との間で有意な逆相関を示し、その上で単独でアレルギー反応の抑制効果を示すことまではまったく予測できなかった。
J. Biol. Chem. 1994; 269: 29883-29890 J. Lipid Res. 1997; 38: 1782-1794 Science 1996; 273: 966-968 J. Clin. Invest. 2004; 114: 260-269 Circulation 2006; 113: 2193-2200
本発明が解決しようとする課題は、アレルギー疾患の治療法において、確実且つ容易な治療効果判定及び/又は予測マーカーの提供、並びに根治性のあるアレルギー疾患治療薬の開発に寄与する手段の提供である。
本発明者らは、長期にわたってスギ花粉症患者を対象とする舌下免疫療法二重盲検試験を行い、提供を受けた患者の血漿を網羅的タンパク質解析し、実薬群及び偽薬群のタンパク質の二次元電気泳動プロファイルを比較した。その結果、量が実薬群でのみ特異的に上昇するタンパク質として、アポリポタンパク質A-IVを見出した。アポリポタンパク質A-IVは、臨床効果が得られた患者の血漿では有意に上昇し、臨床効果が無かった症例や偽薬群では変動を認めなかった。即ちアポリポタンパク質A-IVの発現量と臨床効果の間に有意な相関性があることを見出した。
本発明者らは、人工的に作製したアポリポタンパク質A-IVの作用(機能)を調べた結果、ヒト好塩基球細胞からのヒスタミン遊離を抑制することを見出し、抗アレルギー剤として利用可能であることを確認し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
[1] アポリポタンパク質A-IVを認識する抗体を含有する、アレルギー疾患の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー。
[2] アレルギー疾患が、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎又は食物アレルギーのいずれかである、[1]に記載の臨床マーカー。
[3] アレルギー疾患の治療が、免疫療法、薬物療法又は外科手術療法のいずれかである、[1]に記載の臨床マーカー。
[4] 免疫療法が、アレルゲンの舌下投与、嚥下投与又は皮下投与のいずれかによる免疫療法である、[3]に記載の臨床マーカー。
[5] 薬物が、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬のいずれかである、[3]に記載の臨床マーカー。
[6] 下記の工程(A)及び(B)を含む、アレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法:
(A)被験者の生体試料中のアポリポタンパク質A-IVの量を測定する工程、及び
(B)前記(A)の測定結果に基づいて、アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
[7] 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、アレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法:
(a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と[1]〜[5]のいずれかに記載の臨床マーカーとを結合させる工程、
(b)該臨床マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、前記臨床マーカーを指標として測定する工程、及び
(c)前記(b)の測定結果に基づいて、アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
[8] 工程(c)におけるアレルギー疾患の治療効果の有無の判断が、治療開始前の被験者について得られる測定結果を治療開始後の該被験者について得られる測定結果と対比して、治療効果判定及び/又は予測マーカーへの結合量が増大していることを指標として行われる、[7]に記載の方法。
[9] アレルギー疾患が、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎又は食物アレルギーのいずれかである、[6]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] アレルギー疾患の治療が、免疫療法、薬物療法又は外科手術療法のいずれかである、[6]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[11] 免疫療法が、アレルゲンの舌下投与、嚥下投与又は皮下投与のいずれかによる免疫療法である、[10]に記載の方法。
[12] 薬物が、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬のいずれかである、[10]に記載の方法。
[13] 治療開始前が、スギ花粉飛散ピーク時の6箇月前である、[8]に記載の方法。
[14] 治療開始後が、治療開始から6箇月後〜1年後である、[8]に記載の方法。
[15] アポリポタンパク質A-IVを含有する、アレルギー疾患の治療薬。
[16] アレルギー疾患が、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎又は食物アレルギーのいずれかである、[15]に記載の治療薬。
一般に免疫治療は、数年間治療していく必要性があるため、患者の肉体的負担は大きい。短期的に効果がなければ、免疫療法を行いながら抗ヒスタミン剤の内服を中心とする薬物治療の継続が必要となり、全体の医療費は、薬物療法単独よりも増大する。しかし、短期間で免疫治療の効果が予想できれば、治療の打ち切りが可能となるとともに、有効症例では薬物治療が不要となる。すなわち長期的な医療費は削減されることになる。その際必要なのは、効果を示す指標の確立である。指標が確立すれば、他の治療の客観的効果判定にも使用可能であるとともに、数値による治療管理ができ、患者の肉体的負担及び医療費の抑制が可能となる。
またアポリポタンパク質A-IVは、好塩基球(等)におけるヒスタミン遊離抑制作用を有するため、国民病ともいえるスギ花粉症に対する根治性のある治療薬の提供に寄与するのみならず、アレルギー疾患全般に治療効果をもたらすことができる。
本明細書において、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチド等の略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)、及び当該分野における慣用記号に従う。
本明細書において「アポリポタンパク質A-IV遺伝子」又は「アポリポタンパク質A-IVのDNA」といった用語を用いる場合、配列番号で特に指定しない限り、特定塩基配列(配列番号1)で示されるヒトアポリポタンパク質A-IV遺伝子(DNA)や、その同族体、変異体及び誘導体等をコードする遺伝子(DNA)を包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号:1に記載のヒトアポリポタンパク質A-IV遺伝子(GenBankAccession No. NM 000482)や、そのマウスホモログ(例えば、GenBankAccession No. NM 007468)、ラットホモログ(例えば、GenBankAccession No. NM 012737)等が包含される。
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体又はFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント等のように抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。
本明細書において「アレルギー疾患」とは、抗原刺激により発症する疾患をいい、例えば、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー等があげられる。好ましくは、アポリポタンパク質A-IV遺伝子の発現上昇と治療効果が相関する花粉症であり、より好ましくはスギ花粉症である。
本明細書において、「治療」とは、アレルギー疾患の症状を改善させるための医療行為を言い、例えば、免疫療法、薬物療法又は外科手術療法(下鼻甲介骨切除術もしくはレーザーによる下鼻甲介粘膜焼灼術)等があげられる。好ましくは、根治性のある免疫療法である。
本明細書において、「免疫療法」とは、アレルゲンの舌下投与、嚥下投与又は皮下投与により行う減感作療法、自然免疫リガンドを利用した免疫活性治療のことを言い、好ましくは、安全且つ副作用の危険性が低い舌下投与又は嚥下投与による免疫療法である。
本明細書において、「薬物」とは、アレルギー疾患の症状を改善させるための薬物療法において用いられる薬物を言い、例えば、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬等があげられる。
本発明において「治療効果判定及び予測マーカー」とは、アレルギー疾患の治療法による効果の有無や効果の予測を診断するために、直接又は間接的に利用される識別用物質をいう。これには、アレルギー疾患の治療に関連して生体組織内、特に腸粘膜上皮細胞又は血漿において、量が変動するタンパク質及びそれを特異的に認識し、結合することのできる抗体が包含される。この抗体は、上記性質に基づいて、生体組織内や細胞内等で発現した上記タンパク質を検出するためのプローブとして有効に利用することができる。
本発明において診断対象となる「生体組織」とは、抗原刺激によるアレルギー疾患の治療に伴い本発明のアポリポタンパク質A-IVのタンパク質量が上昇する組織又は細胞をいう。具体的には、腸粘膜上皮細胞、気管支粘膜、鼻粘膜、胃粘膜、腸粘膜、口腔粘膜、血液等があげられる。
本発明の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカーは、アポリポタンパク質A-IVを認識する抗体を含有することを特徴とするものである。
前記抗体は、被験者の生体試料におけるアポリポタンパク質A-IVの有無の検出又はその量の定量に供されることによって、該被験者が受けたアレルギー疾患の治療の効果を判定することのできるツール(治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー)として有用である。
また前記抗体は、後述するアレルギー疾患の治療効果の将来的な予想において、アポリポタンパク質A-IV量の変動を検出するためのツール(治療効果予測のための臨床マーカー)としても有用である。
前記抗体は、その形態に特に制限はなく、アポリポタンパク質A-IVを免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、またそのモノクローナル抗体であってもよい。さらに、前記モノクローナル抗体をコードする遺伝子に基づいて作製されたキメラ抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体又はFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントであってもよい。
これらの抗体の製造方法は公知であり、前記抗体も常法に従って製造することができる(Current Protocol in Molecular Biology, Chapter 11.12〜11.13(2000))。具体的には、本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製したアポリポタンパク質A-IVを用いて、あるいは常法に従ってこれらタンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成して、家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製したアポリポタンパク質A-IVの部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4〜11.11)。
抗体の作製に免疫抗原として使用されるアポリポタンパク質A-IVは、本発明等により提供される遺伝子の配列情報に基づいて、DNAクローニング、各プラスミドの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換体の培養及び培養物からのタンパク質の回収の操作により得ることができる。これらの操作は、当業者に既知の方法、あるいは文献記載の方法(Molecular Cloning, T. Maniatis et al., CSH Laboratory (1983), DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS (1985))等に準じて行うことができる。
具体的には、アポリポタンパク質A-IVをコードする遺伝子が所望の宿主細胞中で発現できる組み換えDNA(発現ベクター)を作製し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養して、得られる培養物から、目的タンパク質を回収することによって、本発明抗体の製造のための免疫抗原としてのタンパク質を得ることができる。また、これらアポリポタンパク質A-IVの部分ペプチドは、本発明等により提供されるアミノ酸配列の情報に従って、一般的な化学合成法(ペプチド合成)によって製造することもできる。
本発明のアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法は、下記の工程(A)及び(B)を含むことを特徴とする:
(A)被験者の生体試料中のアポリポタンパク質A-IVの量を測定する工程、及び
(B)前記(A)の測定結果に基づいて、アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
1つの態様において、本発明のアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法は、本発明の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカーを用いることを特徴とする。該臨床マーカーは、アポリポタンパク質A-IVに特異的に結合する性質を有することから、動物の組織内に存在した前記アポリポタンパク質A-IVを特異的に検出することができる。
例えば、本発明のアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法は、下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法によって実施することができる:
(a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と本発明の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー(抗体)とを結合させる工程、
(b)該臨床マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、上記臨床マーカーを指標として測定する工程、
(c)上記(b)の測定結果に基づいて、アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
具体的には、本発明の治療効果の判定及び/又は予測方法は、本発明の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー(抗体)をプローブとして用いて、ELISA法、ウェスタンブロッティング法、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、蛍光抗体法、免疫組織染色法等の検出手段により前記臨床マーカーへのタンパク質の結合量が増大していることを指標として行うことにより実施できる。
測定対象試料としては、使用する検出手段の種類に応じて、被験者の組織の一部(気管支粘膜、鼻粘膜、胃粘膜、腸粘膜、口腔粘膜等)をバイオプシ等で採取するか、又は体液中(血液、痰、鼻汁、胃液等)に存在する細胞等を回収して得られた検体から常法に従って調製したタンパク質又は体液中に溶解しているタンパク質を用いることができる。
より具体的には、本発明のアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法は、本発明の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー(抗体)を用いて、ELISA法等により当該マーカーへのアポリポタンパク質A-IVの結合量が増大していることを指標として行うことにより実施できる。
ELISA法は、直接吸着法、サンドイッチ法、競合法のいずれを用いて行ってもよいが、検出の特異性が高いサンドイッチ法を用いて行うことが好ましい。捕獲抗体や一次抗体として本発明の臨床マーカーを用い、適切な容器中で測定対象試料成分と反応させる。その後、二次抗体としてアルカリフォスファターゼ(ALP)又はホースラディッシュペルオキシターゼ(HRP)等の酵素等で標識した標識抗体(一次抗体に結合する抗体)を用い、一次抗体と反応させ、次いで該酵素とその基質とを反応させ、得られる特異的なシグナルを分光光度計又は(マイクロ)プレートリーダー等で検出し、定量することによって実施できる。
アレルギー疾患の治療効果の診断は、例えば、血液検査の場合、被験者の血液中(血漿中)のアポリポタンパク質A-IVの量を、対照の血液中の当該タンパク質量と比較し、両者の違いを判定することによって行うことができる。スギ花粉症における免疫療法の治療効果の判定及び/又は予測といった診断の場合、アポリポタンパク質A-IV量の変動と免疫療法の治療効果の間に有意な相関があることから、治療開始後の被験者の血漿中のアポリポタンパク質A-IV濃度(タンパク質量)を、対照の当該タンパク質濃度(タンパク質量)と比較し、両者の違いを判定することによって行うことができる。
この場合、対照として治療開始前の被験者から採取調製した生体試料(タンパク質を含む試料)が必要であるが、これらはアレルギー疾患に罹患した、治療開始前の患者の組織の一部をバイオプシ等で採取するか、体液中に存在する細胞等を回収して得られた検体から常法に従って調製したタンパク質又は体液中に溶解しているタンパク質を用いることができる。なお、ここでいう「アレルギー疾患に罹患した人」とは、少なくともアレルギー疾患の自覚症状があり、好ましくは他の検査方法の結果が、例えば、IgE(RAST)値異常、各種特異的IgE(RIST)値異常、皮内テスト陽性、プリックテスト陽性、もしくは鼻汁中、喀痰中、耳漏中好酸球陽性であり、アレルギー疾患であると診断された人をいう。なお、当該「アレルギー疾患に罹患した人」を、本明細書では単に患者という場合もある。
被験者の治療開始前の組織と治療開始後の組織のタンパク質量の比較は、治療開始前に被験者から採取した生体試料と治療開始後に被験者から採取した生体試料を対象とした測定を行うことで実施できる。スギ花粉症の治療におけるタンパク質量の比較の場合、年間の花粉飛散ピーク時から6箇月前に血液を採取して治療開始前の試料とし、それから治療を開始して6箇月後の、年間の花粉飛散ピーク時に再び血液を採取して治療開始後の試料とする。もしくは花粉飛散前後にかかわらず、治療開始前及び治療開始6箇月後から1年後の血液を採取してそれぞれ治療開始前及び治療開始後の試料とする。それらを均一な測定条件で測定して得られたアポリポタンパク質A-IV量の値を、比較に用いることができる。
被験者に、アレルギー疾患の治療効果が(現時点及び将来的に)あるかどうかの判断は、治療開始後の該被験者の組織中のアポリポタンパク質A-IVのタンパク質レベルが、治療開始前のそのレベルと比較して2倍以上、好ましくは3倍以上多いことを指標として行うことができる。治療開始後の被験者の上記タンパク質レベルが、治療開始前におけるレベルに比べて相当程度多ければ、該被験者はアレルギー疾患の該治療効果が(将来的に)あるか、その可能性が高いと判断できる。前記タンパク質レベルと該治療効果との関係は、当該レベルが高いほど治療効果が高いと判断することができる。
本発明の治療薬は、アポリポタンパク質A-IVそれ自身を有効成分として含有するものであれば特に制限されるものではない。
本発明は、動物に適用することによって、アレルギー疾患の状態を予防又は治療することができる治療薬、及び治療又は予防方法を提供する。
前記動物は、ヒト及びヒトを除く脊椎動物であることが好ましく、特にウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、イヌ、ネコ等の家畜又は愛玩動物が好ましい。
本発明の治療薬は、アレルギー疾患の治療薬、好ましくはスギ花粉症の治療薬であり、特に、免疫療法の効果が認められないか、認められないと予測される患者のスギ花粉症の治療薬としても用いられ得る。
本発明の治療薬に含有されるアポリポタンパク質A-IVは、人工的に製造されたタンパク質でもよく、上記の抗体の作製に免疫抗原として使用されるアポリポタンパク質A-IVと同様の方法で製造できる。ヒト又はヒト細胞への使用を意図する場合には、ヒトアポリポタンパク質A-IV(例えば、GenBank/EBIデータバンクのアクセッション番号NM 000482(cDNA)及びAY422950(ゲノミック)参照)遺伝子を用いて作製した発現ベクターを、ヒト由来の細胞に導入することによって発現させ、精製したものが好ましい。また、当該治療薬のアポリポタンパク質A-IVは、天然のアポリポタンパク質A-IVと識別可能なように、あるいは精製を容易ならしめるために、ヒスチジン(His)タグ、Flagタグ、Mycタグ等のエピトープが付加されたアポリポタンパク質A-IVであってもよい。
本発明の治療薬は、前記有効成分そのままであってもよく、公知の薬学的に許容される担体等を含んでもよい。前記担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックス等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
本発明の治療薬は、他のアレルギー治療薬又は免疫抑制剤と併用することができる。併用の態様は、1製剤中の配合でもよく、また、別々の製剤として、同時ないし適宜の間隔を置いて投与してもよい。
併用可能な薬剤としては、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬などが例示される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
スギ特異的舌下免疫療法のプラセボ対照二重盲検試験に参加したスギ花粉症患者(実薬15名、プラセボ9名)から、トライアル前と施行6箇月後のスギ花粉飛散ピーク時に血漿を採取した。内部標準血漿(全てのサンプルを等量混合したもの)、試験開始前の血漿、6箇月後の血漿(タンパク質量として30g)をそれぞれCy2、Cy3、Cy5で標識し,Ettan DIGEシステム(GE healthcare)を用いてpH4-7のレンジで二次元電気泳動を行った。解析にはDecyderソフトウェア(GE healthcare)を使用し、試験開始前と比較して6箇月後に1.1倍以上の変化が認められるものを変化ありと定義した。Decyderにより各スポットにおける発現強度が得られ、これらのデータをGeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics)により解析した。本研究は、福井大学医学部の倫理委員会により承認されている。
統計的に有意(P<0.05)な変化を示しているスポットについて、質量分析(mass spectrometry)を行った。質量分析解析用に血漿を二次元電気泳動後、ゲルを銀染色(DodecaSilver Stain Kits, BioRad)し、目的のスポットをEttan Spot Picker(GE healthcare)により切り出した。脱染色、トリプシン処理後、MALDI-TOFMS:AXIMA-CFR plus (Shimadzu)を用いて解析し、得られたPeptide mass fingerprint(PMF)をMascotデータベースにより解析した。Mascotで得られた結果とSwiss-2DPAGEのデータが一致するか、又は複数回のMALDI-TOFMSに次ぐMascot解析により結果が再現された場合に同定とした。その結果、実薬群でのみ有意に変動するタンパク質が、8タンパク質(8スポット)であり、プラセボ群のみで変動したものが3タンパク質(3スポット)、両群に変動が認められたものが5タンパク質(5スポット)であった(図1)。計16スポットに番号を振りあて、それぞれのスポットのタンパク質同定を試みたところ、14スポットのタンパク質を同定し得た。
実薬群でのみ有意に上昇していたタンパク質のうち、アポリポタンパク質A-IVの血漿濃度をELISA法で測定すると、その変動率がスギ飛散ピーク時の臨床スコアーと有意な逆相関を示していた(表1)。すなわち舌下免疫療法によって効果がえられた症例では、アポリポタンパク質A-IV量の上昇が認められた。
血漿中のアポリポタンパク質A-IVの定量は、抗ヒトアポリポタンパク質A-IV抗体(A4-18A3, BML Inc, Kawagoe, Japan)をプレートにコーティングし、サンプルもしくはリコンビナントアポリポタンパク質A-IVをプレーティングし、ビオチン化抗ヒトアポリポタンパク質A-IV抗体(A4-11G12, BML Inc)で検出するELISAシステムによって行った。症状スコアーは低い方がくしゃみ、鼻水、鼻閉が少なく良い症状であることを示す。
[実施例2]
ヒト肝臓のcDNAライブラリよりPCRにてDNAを増幅させた。その際のプライマーは、
F primer CAG TCG ACG ATG TTC CTG AAG GCC GTG GTC
R primer GGG ATC CCA GCT CTC CAA AGG GGC CA
であった。
この増幅されたDNA及び、ヒスチジンタグ付きタンパク質発現プラスミドベクターpBudCE4.1(インビトロジェン株式会社、東京)をそれぞれ制限酵素SalI、BamHIで切断した後、それぞれアガロースゲルにて電気泳動しDNAを抽出した。Ligationhigh(TAKARA;宝酒造、京都)にてアポリポタンパク質A-IVをpBudCE4.1とライゲーションした。これを大腸菌DH5αとともにLB培地にて培養した。その後、LB寒天培地にDH5αをまきコロニーを形成させた。このコロニーをとりわけ、pBudCE4.1が耐性を持つゼオシン添加LB培地にてさらに培養した。遠心し、大腸菌ペレットを得て、QIA prep spin(QIAGEN; 株式会社キアゲン、東京)にてプラスミドベクターを精製した。得られたプラスミドベクターはシーケンサーにてアポリポタンパク質A-IVのcDNA配列を持つことを確認した。
得られたベクターを培養しておいたCOS7細胞にeffectene (QIAGEN)を使用しトランスフェクションした。2日間培養したのち、細胞ライセートを作成し、遠心した上清をNi-NTA Fast start kit (QIAGEN)のカラムに通し、ヒスチジンタグ付きのアポリポタンパク質A-IVを得た。さらに、溶出されたアポリポタンパク質A-IVをセルロース透析チューブにいれ、PBS中で約18時間浮遊させ、アポリポタンパク質A-IVのPBS溶液を得た。クーマシー染色、ウェスタンブロット法にてアポリポタンパク質A-IVが精製されている事を確認した。
ヒスタミン遊離抑制について
ヒト末梢血単核球より、分離した好塩基球を96ウェルプレートで、1ウェルあたり5×104個、培養液10%FBS添加RPMI180μl、自己血清20μl中で37℃、30分加温し、アポリポタンパク質A-IVを1μg/ml添加した。30分37℃で培養した後、スギ花粉エキスCryj1を0.1μg/ml添加した。さらに30分37℃で培養した後、急速冷却し、ヒスタミン遊離を停止させた。培養液中のヒスタミン濃度と、細胞質を超音波にて破砕した場合の細胞質、培養液を含めた総ヒスタミン量から、アポリポタンパク質A-IV添加時の有無でヒスタミン遊離率の違いを求めた(表2)。ヒスタミン測定にはELISAを用い、430nmの吸光度を測定することにより、ヒスタミン濃度を定量した。平均で43.3%のヒスタミン遊離抑制を認めた。
アポリポタンパク質A-IV無添加時とアポリポタンパク質A-IV 1μg/ml添加時のヒスタミン遊離量は、non-parameteirc 検定にてp<0.01であり、有意差を認めた。
本発明によれば、スギ花粉症等のアレルギー疾患の治療効果判定及び/又は予測ための指標を提供することが可能となり、当該疾患の容易且つ的確な診断をすることができるとともに、アポリポタンパク質A-IVの作用機序に基づく新規なアレルギー疾患の治療薬の開発が可能となる。
試験開始前及び開始6箇月後の被験者の血漿に由来するタンパク質について二次元電気泳動を行い、データを取得・解析した画像。実薬群、プラセボ群、及びその両群において、有意な変動があったとみなされたスポット(Spot)を示す。Spot10がアポリポタンパク質A-IVを示す。 表1の結果をグラフ化した図。

Claims (14)

  1. アポリポタンパク質A-IVを認識する抗体を含有する、花粉症及びアレルギー性鼻炎からなる群から選択されるいずれかのアレルギー疾患の治療効果判定及び/又は予測のための臨床マーカー。
  2. アレルギー疾患の治療が、免疫療法、薬物療法又は外科手術療法のいずれかである、請求項1に記載の臨床マーカー。
  3. 免疫療法が、アレルゲンの舌下投与、嚥下投与又は皮下投与のいずれかによる免疫療法である、請求項に記載の臨床マーカー。
  4. 薬物が、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬のいずれかである、請求項に記載の臨床マーカー。
  5. 下記の工程(A)及び(B)を含む、花粉症及びアレルギー性鼻炎からなる群から選択されるいずれかのアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法:
    (A)被験者の生体試料中のアポリポタンパク質A-IVの量を測定する工程、及び
    (B)前記(A)の測定結果に基づいて、当該アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
  6. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、花粉症及びアレルギー性鼻炎からなる群から選択されるいずれかのアレルギー疾患の治療効果の判定及び/又は予測方法:
    (a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の臨床マーカーとを結合させる工程、
    (b)該臨床マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、前記臨床マーカーを指標として測定する工程、及び
    (c)前記(b)の測定結果に基づいて、当該アレルギー疾患の治療効果を判定及び/又は予測する工程。
  7. 工程(c)におけるアレルギー疾患の治療効果の有無の判断が、治療開始前の被験者について得られる測定結果を治療開始後の該被験者について得られる測定結果と対比して、治療開始後において当該臨床マーカーへの結合量が増大していることを指標として行われる、請求項に記載の方法。
  8. アレルギー疾患の治療が、免疫療法、薬物療法又は外科手術療法のいずれかである、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 免疫療法が、アレルゲンの舌下投与、嚥下投与又は皮下投与のいずれかによる免疫療法である、請求項に記載の方法。
  10. 薬物が、肥満細胞安定薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、Th2サイトカイン阻害薬又はステロイド薬のいずれかである、請求項に記載の方法。
  11. アレルギー疾患が花粉症であり、且つ治療開始前が、スギ花粉飛散ピーク時の6箇月前である、請求項に記載の方法。
  12. 治療開始後が、治療開始から6箇月後〜1年後である、請求項に記載の方法。
  13. アポリポタンパク質A-IVを含有する、アレルギー疾患の治療薬。
  14. アレルギー疾患が、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎又は食物アレルギーのいずれかである、請求項13に記載の治療薬。
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