JP5175414B2 - 膜形成方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜形成方法及び装置に関し、詳しくは、化学的気相堆積(以下、「CVD」という)法により2.6〜94kPaの準大気圧条件下で基体上に薄膜を形成するいわゆるSACVD(Sub-Atmospheric CVD)法を用いた膜形成方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子、半導体装置等に対しては、これまで以上の微細化、薄層化、及び多層化が要求されており、例えば、次世代の0.18μm以降の設計ルールに対応したUSLI製品では、更なる制御性の高度化及び多様化が熱望されている。このような状況下、特に絶縁膜、誘電体膜、保護膜等の各種機能膜や用途膜については、薄膜化の要求が厳しく、更に層間絶縁膜等に対しては、平坦化プロセスの容易化及び確実な特性維持を達成するための段差被覆性(Step Coverage)やギャップ埋め込み(Gap Fill)性が要望されている。
【0003】
このような要求に応えるべく、最近では準大気圧の圧力条件を用いるSACVD法による膜形成、例えば、TEOS(テトラエチルオルソシリケート;Si(OC2H5)4)及びオゾン(O3)を原料ガスとして用いた熱CVD法が注目されており、今後の設計ルールに対応する半導体装置向けの層間絶縁膜、素子間分離用等のBPSG膜等への適用が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CVD法においては、一般に、成膜時の圧力が高くなる程、原料ガスの使用量が増大する傾向にある。また、原料ガスをチャンバ内に供給する際には、通常キャリアガスが必要であり、特に、TEOS等の有機シラン類を含む原料ガスを用いる場合には、キャリアガスとしてのHeガスが、原料ガスに比して多量に使用されることが多い。よって、原料ガスの増大に伴ってHeガスの使用量も増大せざるを得ない。
【0005】
このHeガスは、成膜プロセス用としては、通常99.999%(Five Nines)以上の純度のものが使われ、地域的な格差があるものの、一般に高価なガスである。よって、Heガスの使用量が増えると材料コストが顕著に増大してしまうといった不都合がある。また、Heガスの使用量が増えると、それを供給するための設備や機器の大規模化、更にはガスボンベ等の余剰(予備)部材の数量増加等が必要となり、加えて、それらの廃棄コスト、運用コスト等も高くなってしまう。つまり、単なる材料費の増加だけではなく、いわゆるCOO(Cost Of Ownership;コスト・オブ・オーナーシップ)の増大をも引き起こしてしまう。
【0006】
また、本発明者の知見によれば、有機シラン類ガスを用いたSACVD法による成膜では、成膜圧力を圧力範囲の上限値に近づけると、膜特性の向上が認められ得るものの、成膜速度が低下する傾向にあることが見出された。この作用機構の詳細は未だ明らかではないが、膜形成が行われている最表面に原料ガス起因の化学種から生成されるコポリマー等の高分子体が形成され、圧力が比較的高い条件において、その反応速度論的な生成確率、或いは分子量の増大が引き起こされることが一因と推定される。ただし、作用等はこれに限定されない。
【0007】
このような成膜速度の低下が生じると、所定膜厚を得るための成膜時間を長くする必要があり、その結果、原料ガスの消費量が一層増大してしまい、これに伴ってHeガスを更に多量に使用しなければならなくなる。その結果、材料コストひいてはCOOが更に増大してしまうといった問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、SACVD法による膜形成に際して、形成された膜の特性を良好に維持しつつ、材料コストの軽減を図ることができ、これによりCOOの増大を十分に抑制或いは低減することができる膜形成方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による膜形成方法は、CVD法により2.6〜94kPa(約20〜約700Torr)の準大気圧条件下で基体上にケイ素原子を含む膜を形成せしめる方法であって、(A)基体上に、有機系シラン類を含む第1のガスと、オゾン(O3)を含む第2のガスと、窒素(N2)ガスを含む第3のガスとを供給するガス供給工程と、(B)基体を所定の温度に加熱する基体加熱工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明における「有機系シラン類」とは、分子中の少なくとも一つの水素原子が有機官能基叉は有機未官能基で置換されたモノシラン叉は高次シランを示し、置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アルコキシル基(アルコキシ基)、芳香環を有する基(アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基等)等が挙げられる。これらの中では、膜として酸化膜を得る場合に、アルコキシル基等の酸素を含む基を有する有機系シラン類つまり有機オキシシラン類を用いると好ましい。特に、有用な有機オキシシランとしては、前出のTEOSの他、エチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキシシラン等のエトキシシラン類が挙げられる。また、これらのガスは、単独で或いは二種以上混合して第1のガスとして用いることができる。
【0011】
このような膜形成方法においては、ガス供給工程で少なくとも第1〜第3のガスを基体上に供給し、この状態で基体加熱工程を実施すれば、これらの原料ガスが基体の表面から熱エネルギーを付与され、熱CVDによる化学反応が基体の表面上で引き起こされる。これにより、ケイ素原子及び酸素原子を含むSiO2等の酸化膜が基体上に形成される。
【0012】
このとき、N2ガスを含む第3のガスは、キャリアガスとして機能する。本発明者は、第3のガスとしてN2ガスと従来から使用されているHeガスとの混合ガスを用いてBPSG膜を成膜したところ、従来と略同等の段差被覆性及びギャップ埋め込み性が達成されることが確認された。また、同様の成膜処理を数千枚の基体(ウェハ)に対して実施したところ、膜厚の均一性及びドーパント(ホウ素、リン)の均一性に優れており、しかも十分な再現性が得られることが確認された。
【0013】
ここで、より具体的には、ガス供給工程においては、第3のガスとして、ヘリウム(He)ガス及び窒素(N2)ガスを含むガスを用い、且つ、HeガスとN2ガスとの流量比が好ましくは10:90〜80:20、より好ましくは20:80〜70:30となるように、第3のガスを基体上に供給することが望ましい。
【0014】
この流量比が10:90未満であると、基体上の段差部上に形成させた酸化膜等に熱を印加してリフローさせたときに、その温度に依存するものの、平坦化が必ずしも十分な程度に達成され難いことがある。一方、この流量比が80:20を超えると、経済性を有意に改善させ得る程度にHeガスの使用量を軽減させ難い。
【0015】
また、ガス供給工程が、基体の周囲の圧力を2.6〜94kPaの範囲内の第1の圧力に保持した状態で第1〜第3のガスを基体上に供給する第1ステップと、基体の周囲の圧力を第1の圧力と異なる第2の圧力に保持した状態で第1〜第3のガスを基体上に供給する第2ステップとを有すると好ましい。
【0016】
上述したように、有機系シラン類ガスを原料ガス(反応ガス)とするSACVD法では、高圧力条件下において成膜速度が低下する傾向にあると原料ガスの消費量の増大によってコストが高騰するおそれがある一方で、段差被覆性を向上させ、緻密且つ膜特性に優れた膜を得るには、成膜速度を過度に高めない方が好ましいことがある。
【0017】
そこで、本発明のように、ガス供給ステップが、それぞれ圧力値の異なる第1ステップ及び第2ステップを有すれば、第1の圧力を比較的高圧条件として第1ステップを先に所定時間実施し、その後に、第2の圧力がより低圧条件である第2ステップを所定時間実施することが可能となる。こうすれば、第1ステップで膜特性により優れた言わばシード層のような薄膜が形成され、第2ステップにおいて、高い成膜速度で同種膜が積層される。しかも、第2ステップで薄膜上に堆積する物質は、その薄膜と同種の物質であるため、濡れ性に極めて優れたものとなり、段差部における埋め込み性の向上が図られる。すなわち、ガス供給工程においては、第1の圧力を第2の圧力よりも大きな値としたときに、第1ステップを第2ステップの前に実施すると好適であり。
【0018】
さらに、本発明においては、先述の如く、ホウ素、リン等のドーパントを添加した場合に、形成された薄膜内でのそれらの均一性が十分に満足のいくものとなるので、BPSG、PSG、BSG等の種々のドープトオキサイド膜の形成に有用である。つまり、具体的には、ガス供給工程においては、有機系リン化合物叉は有機系ホウ素化合物を含む第4のガスを基体上に供給しても好ましい。
【0019】
また、本発明による膜形成装置は、本発明の膜形成方法を有効に実施するための装置であり、CVD法により2.6〜94kPaの準大気圧条件下で基体上にケイ素原子を含む膜が形成されるものであって、(1)基体が収容されるチャンバと、(2)チャンバに接続されており、有機系シラン類を含む第1のガスを有する第1のガス供給源と、オゾンを含む第2のガスを有する第2のガス供給源と、窒素ガスを含む第3のガスを有する第3のガス供給源とを有するガス供給部と、(3)基体を所定の温度に加熱する基体加熱部とを備えることを特徴とする。
【0020】
さらに、(4)チャンバ内の圧力が2.6〜94kPaの範囲内の第1の圧力となるように、且つ、チャンバ内の圧力が第1の圧力と異なる第2の圧力となるように、チャンバ内の圧力を調整する圧力制御部を更に備えると好ましい。或いは、ガス供給部が、有機系リン化合物叉は有機系ホウ素化合物を含む第4のガスを有する第4のガス供給源を更に有するものであっても好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明による膜形成装置の好適な一実施形態を模式的に示す水平断面図である。膜形成装置としてのCVD装置1は、断面が略方形状を成すメインフレームを有するトランスファーチャンバ2の三方の側壁に、シリコンウェハW(基体)が二枚同時に収容されるツインチャンバ3が結合され、残る一方の側壁に、ロードロックチャンバ6a,6bが内部に設けられたロードロック部6が結合されたものである。トランスファーチャンバ2内には、伸縮可能な二つのアーム部21を有するウェハ搬送ロボット23が設置されており、それらのアーム部21の先端部にシリコンウェハWが載置されて保持されるようになっている。また、各ツインチャンバ3は、シリコンウェハWが載置されるサセプタ5を二基づつ有している。
【0023】
図2は、図1に示すCVD装置1の要部を示す断面図(一部構成図)であり、断面図の部分は図1におけるII−II線断面を示すものである。同図において、ツインチャンバ3は、チャンバ筐体11にチャンバ4が二基並設されたものである。各チャンバ4は、シリコンウェハWが載置される上述のサセプタ5をそれぞれ有しており、各サセプタ5の上方には、中空の円盤状を成すシャワーヘッド部40がそれぞれ設けられている。
【0024】
また、サセプタ5は、Oリング、メタルシール等により、チャンバ4に気密に設けられると共に、図示しない可動機構により上下駆動可能に設けられている。この可動機構により、シリコンウェハWとシャワーヘッド部40との間隔が調整されるようになっている。さらに、サセプタ5にはヒーター51(基体加熱部)が内設されており、これによりシリコンウェハWが所望の所定温度に加熱される。
【0025】
一方、シャワーヘッド部40は、二基のチャンバ4に対して共通に設けられ且つ各チャンバ4に対してガス供給口9が設けられたベースプレートを上壁とする胴部41と、複数の貫通孔が穿設された多孔板状を成すブロッカープレート43及び同フェイスプレート45とを有するものである。胴部41は、ガス供給口9と連通する略円柱状の内部空間を形成する凹部を有しており、この凹部の下端側内周部にフェイスプレート45の周縁部が結合されている。このフェイスプレート45の上方には、ブロッカープレート43がフェイスプレート45と略平行に設置されており、胴部41の上壁とブロッカープレート43との間、及び、ブロッカープレート43とフェイスプレート45との間に、ガス供給口9と連通する空間が画成されている。
【0026】
さらに、各チャンバ4の下部には、開口部7が設けられており、これらには、各チャンバ4の内部を減圧し、後述するガス供給部30から各ガスの供給流量に応じて各チャンバ4内の圧力を2.6〜94kPa(約20〜約700Torr)に維持可能な真空ポンプを有する排気系70(圧力制御部)がバルブ系Vを介して接続されている。
【0027】
このバルブ系としては、例えば、上流側(ツインチャンバ3側)に配置された二枚ブレード式のターボスロットルバルブと、下流側(排気系70側)に配置されたアイソレーションバルブとから構成することができ、さらに、ゲートバルブを付加してもよい。また、排気系70に用いる真空ポンプとしては、各チャンバ4内を準大気圧つまり上記の圧力範囲に保持可能な排気力容量を有していれば、特に限定されず、例えば、ドライポンプ付きターボ分子ポンプ等を例示できる。バルブ系V及び排気系70をこのように構成すれば、シリコンウェハWの処理時に各チャンバ4内の圧力を上記範囲の圧力に安定に制御し易い利点がある。
【0028】
また、ツインチャンバ3には、ガス供給部30が接続されている。このガス供給部30は、TEOSガス供給源31(第1のガス供給源)、O3ガス発生源32(第2のガス供給源)、TEB(トリエチルボレート;B(OC2H5)3)ガス供給源33(第4のガス供給源)、TEPO(トリエチルフォスヘート;P(OC2H5)3)ガス供給源34(第4のガス供給源)、Heガス供給源35、及びN2ガス供給源36を有している。これらのうち、Heガス供給源35及びN2ガス供給源36から第3のガス供給源が構成されている。
【0029】
これらのガス供給源31〜36は、各ガスの供給流量を制御するMFC(質量流量コントローラ)31a〜36aが設けられた配管10を介して、各シャワーヘッド部40のガス供給口9に接続されている。これらにより、TEOSガス(第1のガス)、O3ガス(第2のガス)、TEBガス(第4のガス)、TEPOガス(第4のガス)、並びに、Heガス及びN2ガスから成るキャリアガス(第3のガス)が、各チャンバ4のシャワーヘッド部40内に導入され、それぞれのブロッカープレート43及びフェイスプレート45を介して各チャンバ4内に供給される。
【0030】
また、配管10には、遠隔プラズマ(リモートプラズマ)処理を採用したクリーニング系8が接続されている。このクリーニング系8は、配管10側に配置されたリアクターキャビティ81と、これにMFC82aを介して接続された、例えばNF3ガス等のフッ素原子を含有するガスの供給源82を有している。リアクターキャビティ81には、プラズマを生成するためのマイクロ波ジェネレータ(図示せず)が装備されており、ガス供給源82から供給されたクリーニングガスとしてのNF3ガスが解離等してラジカル等の活性種が生じ、条件にもよるが主として中性活性種等がチャンバ4内に供給されるようになっている。
【0031】
なお、図示を省略したが、シリコンウェハWの表面側のチャンバ4内空間と裏面側のチャンバ4内空間とは、互いにガス封止されるようになっている。つまり、表面側にはガス供給部30からシャワーヘッド部40を通して原料ガス等が供給され、裏面側には図示しないバックサイドパージ系からパージガスが供給されるようにされており、両ガスが互いに反対面側の空間領域へ流入しないようになっている。
【0032】
このように構成されたCVD装置1を用いた本発明による膜形成方法の一例について説明する。なお、CVD装置1の以下に述べる各動作は、自動叉は操作者による操作に基づき、図示しない制御装置(系)叉は手動で制御する。また、ここでは、ゲートが設けられたシリコンウェハW上にBPSG膜を形成せしめる一方法を例示する。この方法は、例えば0.18〜0.13μmの設計ルールに則ったDRAM等の製造におけるPMD(Pre-Metal Dielectric)形成プロセスに特に有効な方法である。ただし、本発明はこの用途に限定されるものではない。
【0033】
まず、排気系70を運転して各チャンバ4内を所定の圧力に減圧する。この減圧下において、ウェハ搬送ロボット23により、ロードロックチャンバ6a,6bに予め保持させておいたシリコンウェハWを、トランスファーチャンバ2を介して所定のツインチャンバ3内へ搬送する。次いで、二枚のシリコンウェハWをツインチャンバ3内に設けられた二基のチャンバ4内の各サセプタ5上に載置して収容する。次に、Heガス及びN2ガスをガス供給源35,36から配管10を通して両チャンバ4内へ供給すると共に、それぞれのチャンバ4の内部が上述した圧力範囲内(2.6〜94kPaの準大気圧)の所定値となるように圧力調整を行う。各チャンバ4内の圧力がその所定値で安定した後、以下に示す二段階の膜形成プロセスを実施する。
【0034】
〔第1プロセス〕
まず、成膜用の原料ガスとしてTEOSガス、O3ガス、TEBガス、及びTEPOガスを、それぞれの供給源31〜34から配管10を通して各シャワーヘッド部40へ供給する。このとき、各チャンバ4内の圧力(第1の圧力)を、好ましくは26〜94kPa(200〜700Torr)、より好ましくは40〜86kPa(300〜650Torr)、更に好ましくは53〜80kPa(400〜600Torr)となるように調整する(第1ステップ)。
【0035】
また、このときの各ガスの供給流量は、シリコンウェハWの外径、シリコンウェハW上に形成されたゲート間隔(ギャップ幅)、成膜すべきBPSG膜の膜厚等によって異なるものの、例えば、以下に示す流量範囲とすることができる。
〈第1プロセスにおけるガス供給流量〉
・TEOS:200〜800mg/min(mgm)
・TEB:20〜100mg/min(mgm)
・TEPO:40〜150mg/min(mgm)
・O3:4000〜20000ml/min(sccm)
・He+N2:2000〜20000ml/min(sccm)
【0036】
ここで、HeガスとN2ガスとの流量比が、好ましくは10:90〜80:20、より好ましくは20:80〜70:30となるように両ガスを供給するすると好適である。
【0037】
このようにしてガス供給口9から各シャワーヘッド部40の内空間へ導入された各ガスは、ブロッカープレート43により分散されて十分に混合され、複数の貫通孔を通してブロッカープレート43とフェイスプレート45との間の空間へ流出する。この混合ガスは、フェイスプレート45の複数の貫通孔を通してシャワーヘッド部40の下方に流出し、サセプタ5上に載置されたシリコンウェハW上に供給される。
【0038】
一方、これらのガスを各チャンバ4内へ供給すると共に、サセプタ5のヒーター51に電力を供給し、サセプタ5を介してシリコンウェハWが所定温度となるように加熱する。この場合、シリコンウェハWの温度(基板温度、成膜温度)を、好ましくは350℃以上、より好ましくは400〜500℃、特に好ましくは450〜500℃の範囲内の温度とする(基体加熱工程)。これにより、シリコンウェハW上に達した原料ガスを反応させる。
【0039】
シリコンウェハWの直上方では、種々の素反応(熱化学反応)が生じて複雑に関与し、反応場の状態に応じた平衡及び律速条件に応じた化学種(支配因子)が生成され、これらの化学種の反応によって種々の中間生成物が形成され、最終的にシリコンウェハW上にBPSG膜が堆積形成される。上述したように、この第1プロセスの圧力条件は、比較的高い準大気圧条件であり、より圧力条件が低い後述する第2プロセスに比して成膜速度が比較的小さい。
【0040】
本発明者の知見によれば、成膜圧力を高めた場合に成膜速度が低下するこのような現象は、有機シラン類ガスを用いたSACVD法において、且つ、成膜圧力を準大気圧条件の上限値に近づける程顕著な傾向にある。また、成膜速度は低下するものの、BPSG膜等の膜特性が向上される傾向にある。
【0041】
このメカニズムの詳細については、未解明な部分があるが、BPSG膜の形成が行われている最表面に原料ガス起因の化学種から生成されるコポリマー等の高分子体が形成され、本第1プロセスのように圧力が比較的高い条件において、その反応速度論的な生成確率、或いは分子量の増大が引き起こされるのではないかと推定される。その結果、例えば、見かけ上供給律速の状態が生起され、これにより、成膜速度が低下することが一因と考えられる。ただし、作用はこれに限定されない。
【0042】
なお、第1プロセスで成膜させるBPSG膜の膜厚は、特に制限はないものの、後述する第2プロセスで成膜されるBPSG膜の下地層として十分な程度に厚く、且つ、上述の如く成膜速度が十分に高められない点を考慮すれば、極力薄い方が好ましい。また、ゲート間隔等にも依存するが、第1プロセスでは、一例として数百〜数千Å(数十〜数百nm)程度の厚さを有するBPSG膜を形成させると好適である。次いで、成膜速度に応じて、上記の厚さのBPSG膜が形成される間成膜を実施した後、以下に示す第2プロセスへ移行する。
【0043】
〔第2プロセス〕
第1プロセスに引き続き、各チャンバ4内の圧力値、及び各ガスの供給流量を変化させた状態で、第1プロセスで形成したBPSG膜上に更にBPSG膜を形成させる。このとき、ガス供給流量の切替えは、可能な限り短時間に行うことが好ましい。このための手段としては、配管10にバイパスラインを設けたいわゆるダイバータを用いると好適である。具体的には、第1プロセスの実施中、叉は第1プロセスの終了前に、第2プロセスにおける所定のバイパスライン側に第2プロセスでの所望のガス流量で各ガスを流しておき、第1プロセスの終了時に、バイパスラインを流通している各ガスを配管10へ流入させる。これは、バルブ制御(弁制御)等によって実施可能である。また、チャンバ4内の圧力切り換えは、排気系70により実施できる。
【0044】
この第2プロセスでは、各チャンバ4内の圧力(第2の圧力)を第1プロセスに比して小さくする。例えば、好ましくは2.6〜80kPa(20〜600Torr)、より好ましくは6.7〜53kPa(50〜400Torr)、特に好ましくは13〜40kPa(100〜300Torr)となるように調整する(第2ステップ)。また、シリコンウェハWの温度は、第1プロセスにおけるのと同等の温度範囲内の温度に保持する(基体加熱工程)。
【0045】
またさらに、このときの各ガスの供給流量は、シリコンウェハWの外径、シリコンウェハW上に形成されたゲート間隔(ギャップ幅)、成膜すべきBPSG膜の膜厚等によって異なるものの、例えば、以下に示す流量範囲とすることができる。
〈第2プロセスにおけるガス供給流量〉
・TEOS:800〜2400mg/min(mgm)
・TEB:120〜350mg/min(mgm)
・TEPO:60〜180mg/min(mgm)
・O3:4000〜20000ml/min(sccm)
・He+N2:2000〜20000ml/min(sccm)
【0046】
この第2プロセスにおいても、第1プロセスと同様に、HeガスとN2ガスとの流量比を好ましくは10:90〜80:20、より好ましくは20:80〜70:30となるように両ガスの供給流量を調節することが望ましい。このようにしてガス供給口9から各シャワーヘッド部40の内空間へ導入された各ガスは、フェイスプレート45からシャワーヘッド部40の下方に流出し、サセプタ5上に載置されたシリコンウェハW上に供給される。
【0047】
シリコンウェハW上では、第1プロセスと同様に、熱化学反応が生起され、第1プロセスで形成されたBPSG膜上に更にBPSGが堆積する。先述したように、第2プロセスでは成膜圧力を第1プロセスに比して小さくし、これにより成膜速度が増大される。また、シリコンウェハW上に設けられているゲート上には第1プロセスで生成されたBPSG膜が積層されているので、ゲート間のギャップは一層狭隘なものとなっているが、第1プロセスで形成させたBPSG膜が濡れ性を改善できる下地膜として機能するので、段差被覆性及びギャップ埋め込み性が高められる。したがって、成膜速度が向上されつつ、ボイド等の発生が十分に防止される。
【0048】
第2プロセスで成膜させるBPSG膜の膜厚は、特に制限はなく、第1プロセスで成膜されたBPSG膜との合計厚さが所望の必要な膜厚となるような時間、成膜を実施する。一例として、第2プロセスでは、数百〜数万Å(数十〜数千nm)程度の厚さを有するBPSG膜を形成させると好適である。そして、成膜速度に応じて、このような厚さのBPSG膜が形成される間成膜を実施した後、各ガスの供給を停止してBPSG膜の成膜を終了する。
【0049】
その後、必要に応じて各チャンバ4内に残存するガスをパージした後、BPSG膜が形成されたシリコンウェハWに対して熱処理、例えばリフローを実施する。この熱処理によって、BPSG膜の平坦化が行われ、その後に更に配線層としての金属薄膜を形成せしめる。これらの熱処理や金属薄膜形成処理は、BPSG膜が形成された各シリコンウェハWを別のツインチャンバ3内のチャンバ4内に移載して実施すると好適である。また、必要に応じてクリーニング系8を運転し、BPSG膜の成膜が行われた各チャンバ4内を、NF3ガスを用いたリモートプラズマクリーニングによって穏和な条件で清浄化する。
【0050】
このように構成されたCVD装置1及びそれを用いた本発明の膜形成方法によれば、TEOSガス等の有機系シラン類ガスとO3ガスとを原料ガス(反応ガス)とするSACVD法による膜形成に際し、Heガスよりも格段に安価なN2ガスとHeガスとの混合ガスをキャリアガスとして用いるので、キャリアガスとしてHeガスのみを用いていた従来に比して、高価なHeガスの使用量を低減できる。よって、キャリアガスの材料コストを低減できる。
【0051】
特に、準大気圧条件でも比較的高い圧力で成膜を実施した場合には、先述の如く成膜速度が低下する傾向にあるので、キャリアガスの使用量は増大してしまい、高価なHeガスの材料コストが一層増大するのみならず、そのための設備費や余剰部材の増加、ひいてはCOOが増大される。これに対し、本発明によれば、キャリアガスの一部にN2ガスを用いるので、キャリアガスの使用量の増大に起因する経済性の悪化を軽減できる。また、これにより、設備費及び部材費の増大、及び、それらに伴う必要経費の増大を十分に抑止できる。したがって、COOを十分に低く抑えることができる。
【0052】
ところで、N2ガスは、一般に不活性なガスとして有用されているものの、Heのような希ガスに比べれば全く反応性がないわけではなく、当然分子量も異なり、特に熱CVDのような活性種を生起させて化学反応によってシリコンウェハW上に成膜を行う際に、原料ガスとして用いた場合の挙動、化学量論的叉は反応速度論的な影響、更には成膜されたBPSG膜等の膜特性へ与える影響等の詳細については、これまでのところ明らかになっていなかった。
【0053】
これに対し、本発明者の研究によれば、前述したN2ガスとHeガスとの混合ガスを用いたBPSG膜の成膜に際し、従来のHeガスのみをキャリアガスとして用いたのと略同等の段差被覆性及びギャップ埋め込み性が達成されることが確認された。また、同様の成膜処理を数千枚の基体(ウェハ)に対して実施したところ、後述する実施例で詳述するように、膜厚の均一性及びドーパント(ホウ素、リン)の均一性に優れており、しかも十分な再現性が得られることが確認された。
【0054】
しかしながら、BPSG膜が形成されたシリコンウェハWについてリフロー工程を実施したところ、ゲートが設けられた段差部分の平坦性(或いはリフローカバレッジ)に関し、Heガスのみを用いた場合と、N2ガスを混合した場合とで若干の差異が認められた。
【0055】
これらに鑑みると、N2ガスを含むキャリアガスを用いた本発明によれば、十分に優れたBPSG膜の成膜を実施でき、この点において十分な成膜特性を発現できるものの、BPSG膜の生成機構が、Heのみを用いた従来と厳密には異なることが推認される。また、本発明者の更なる研究によれば、N2ガスを用いたときとHeガスを用いた場合とでは、BPSGの生成に際して形成される反応中間体としての高分子体(ポリマー)構造が異なる可能性がある。この差異の詳細は未だ明らかになっていないが、このような反応機構の微差が、膜特性に不都合な影響を与えない程度に膜質を変化させる一因と推定される。ただし、作用、メカニズムについては、これらに限定されるものではない。
【0056】
また、二段階の成膜プロセス、つまり比較的高圧の条件下で第1プロセスを実施し、膜質により優れたBPSG膜を形成した後、第1プロセスよりも高圧条件の第2プロセスを引き続き実施してより高い成膜速度で同種のBPSG膜を形成するので、膜特性に優れたBPSG膜を高い成膜効率で形成することが可能となる。さらに、第1プロセスで形成させたBPSG膜が、第2プロセスで生成するBPSGの濡れ性改善膜となり、ゲート間のギャップ埋め込み性を一層向上させることができる。
【0057】
またさらに、第1プロセス及び第2プロセスにおいて、HeガスとN2ガスとの流量比を好ましくは10:90〜80:20、より好ましくは20:80〜70:30とするので、BPSG膜に対して熱工程を実施した後の平坦性をより高めることができるとともに、経済性及びCOOを十分に改善できる利点がある。すなわち、この流量比が10:90未満であると、リフロー時の印加温度に依るものの、BPSG膜の平坦化が必ずしも十分な程度に達成され難いことがある。一方、この流量比が80:20を超えると、HeガスのN2ガスによる置換量が十分ではなく、経済性を有意に改善させ難い傾向にある。
【0058】
なお、上述した本発明の実施形態においては、第1のガスとしては、TEOSガスに限られず、例えば、エチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキシシラン等のエトキシシラン類といった他の有機系シラン類を用いてもよい。また、TEBガス、TEPOガスといった第4のガスを用いなくてもよい。さらに、膜形成装置としては、CVD装置1のようなツインチャンバ3を有するものに限られず、モノチャンバから成るCVDチャンバ、或いはそのCVDチャンバメインフレームに備えるシステムとしても構わない。さらにまた、成膜プロセスを二段階で実施しなくてもよく、単一のプロセスつまり成膜圧力を二段階に変化させないプロセスでBPSG膜等を形成させてもよく、或いは、三段階以上の多段階プロセスを実施しても構わない。
【0059】
【実施例】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
〈実施例1〉
図1に示すCVD装置1と同様の構成を有する膜形成装置(Applied Materials 社製;Producer(登録商標)をベースとした装置)を準備した。この装置を使用し、キャリアガスとしてHeガスとN2ガスとの混合ガス(流量比50:50)を用いた先述したのと同様な二段階の成膜プロセスにより、シリコンウェハ上にBPSG膜を形成させた。このシリコンウェハは、シリコン基層上に形成されたSiO2層上に複数のゲート(ギャップ間隔:0.035μm、アルペクト比:7.7)が設けられたものであり、0.13μmの設計ルールに準拠したDRAMに相当するものである。
【0061】
実施例1における成膜条件を表1に示す。なお、表中の「スペーシング」とは、シャワーヘッド部のフェイスプレート下面とシリコンウェハウェハ上面との間隔を示す。また、実施例1でBPSG膜を形成したシリコンウェハの断面をSEM観察したところ、十分なギャップ埋め込み性を達成できることが確認された。
また、ボイドの発生も認められなかった。
【0062】
〈実施例2〉
シリコンウェハとして、シリコン基層上に形成された約100nm厚のSiO2層上に厚さ約500nmのポリシリコンから成るゲートが設けられたものを用いたこと、及び、成膜を単一プロセスで実施したこと以外は実施例1と同様にしてBPSG膜を形成した。成膜条件を表1に併せて示す。
【0063】
〈実施例3〉
HeガスとN2ガスとの流量比を33:67としたこと以外は、実施例2と同様にしてシリコンウェハ上にBPSG膜を形成した。成膜条件を表1に併せて示す。
【0064】
〈実施例4〉
キャリアガスとして、HeガスとN2ガスとの混合ガスの代りにN2ガスのみを使用したこと以外は、実施例2と同様にしてシリコンウェハ上にBPSG膜を形成した。成膜条件を表1に併せて示す。
【0065】
〈比較例1〉
キャリアガスとして、HeガスとN2ガスとの混合ガスの代りにHeガスのみを使用したこと以外は、実施例2と同様にしてシリコンウェハ上にBPSG膜を形成した。成膜条件を表1に併せて示す。
【0066】
【表1】
Figure 0005175414
【0067】
〈リフロー試験〉
実施例2〜4及び比較例1でBPSG膜を形成したシリコンウェハを、N2雰囲気において温度850℃で20分間のリフローを実施した。その後、各ウェハの断面SEM観察を行い、リフロー実施後の各BPSG膜のリフローカバレッジを測定した。
【0068】
図3は、リフローカバレッジの指標θを示す模式図である。図3において、シリコン基層100に形成されたSiO2層101上にポリシリコン層102が設けられたものが基体としてのシリコンウェハであり、リフローによってBPSG膜103の平坦化が図られる。ここで、リフロー後のBPSG膜の傾斜稜線における直線部の仮想延長線Saとシリコン基層表面と平行な直線Sbとの交差鋭角θ(°)をリフローカバレッジの指標とした。
【0069】
図4(A)〜(D)は、それぞれ実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例1でBPSG膜を形成したシリコンウェハの断面を示すSEM写真に指標θの測定結果等を重ねて表示したものである。その結果、リフローカバレッジの指標θは、比較例1が28.8°、実施例2が32.0°、実施例3が36.18°、実施例4が37.87°であった。いずれの指標θも過度に大きくなく、リフローカバレッジに優れることが判明した。また、これらの中では、Heのみを用いた比較例1のθが一番小さく、N2ガスの割合が増える程θが大きくなる傾向が確認された。
【0070】
〈実施例5及び膜性状測定試験〉
実施例1と同様の条件により、実施例1で用いたものと同じシリコンウェハ2714枚に対してBPSG膜の成膜(いわゆるマラソン試験)を実施した。成膜後、それらのシリコンウェハのBPSG膜の性状として、膜厚測定、並びに、膜中のドーパントであるホウ素(B)及びリン(P)の濃度を測定した。
【0071】
膜厚測定は、Tencor社製の Prometrix UV-1250 を使用し、周辺部3mm排除及び49点円形測定条件、並びに、周辺部5mm排除及び9点円形測定条件にて、第1プロセス及び第2プロセスでそれぞれ形成した各膜並びに膜全体について実施した。得られた測定結果から膜厚の平均値、ウェハ内の膜厚均一性(Within wafer stack uniformity)、及び、ウェハ間の膜厚再現性(均一性:Wafer-to-wafer stack uniformity)を以下の方法により算出した。また、膜厚値と成膜時間とから成膜速度の算出も行った。
【0072】
(1)膜厚平均値
周辺部3mm排除及び49点円形測定条件による全測定値の平均値を算出した。
【0073】
(2)ウェハ内の膜厚均一性
周辺部5mm排除及び9点円形測定条件の測定結果から、まず、膜厚範囲=(膜厚最大値−膜厚最小値)を各ウェハについて算出し、次に、これらの膜厚範囲の平均値を算出し、次いで、この膜厚範囲の平均値を上記(1)で得た膜厚平均値×2で除し百分率で表した値を、ウェハ内の膜厚均一性(WIW-%)とした。
【0074】
(3)ウェハ間の膜厚再現性
周辺部5mm排除及び9点円形測定条件の測定結果から、まず、各ウェハの膜厚平均値を算出し、次いで、それらの膜厚範囲=(膜厚最大値−膜厚最小値)を算出し、次に、この膜厚範囲を上記(1)で得た膜厚平均値×2で除し百分率で表した値を、ウェハ間の膜厚再現性(WTW-%)とした。
【0075】
また、ドーパント(B,P)濃度は、Nicolet社製の FT-IR装置を使用し、周辺部10mm排除及び5点円形測定条件にて、第1プロセス及び第2プロセスでそれぞれ形成した各膜に対して実施した。得られた測定結果からドーパント濃度の平均値、ウェハ内のドーパント濃度均一性(Within wafer stack uniformity)、及び、ウェハ間のドーパント濃度再現性(均一性:Wafer-to-wafer stack uniformity)を以下の方法により算出した。
【0076】
(4)ドーパント濃度平均値
ホウ素及びリンのそれぞれについて、全測定値の平均値を算出した。
【0077】
(5)ウェハ内のドーパント濃度均一性
まず、ホウ素及びリンの濃度範囲=(濃度最大値−濃度最小値)を各ウェハについて算出し、次に、これらの濃度範囲の平均値を算出し、次いで、この濃度範囲の平均値を上記(4)で得た濃度平均値×2で除し百分率で表した値を、ウェハ内のホウ素及びリン濃度均一性(WIW-%)とした。
【0078】
(6)ウェハ間のドーパント濃度再現性
まず、各ウェハのホウ素及びリン濃度の平均値を算出し、次いで、それらの濃度範囲=(濃度最大値−濃度最小値)を算出し、次に、この濃度範囲を上記(4)で得た濃度平均値×2で除し百分率で表した値を、ウェハ間のホウ素及びリン濃度再現性(WTW-%)とした。
【0079】
それぞれの結果をまとめて表2に示す。また、デバイス製造におけるBPSG膜への要求値の一例を併せて表2に示す。この結果より、本発明によれば、数千枚に及ぶ成膜において、極めて優れた処理安定性を達成でき、膜厚及びドーパント濃度について十分な均一性及び再現性を実現できることが判明した。
【0080】
【表2】
Figure 0005175414
【0081】
〈経済性評価〉
実施例1の第2プロセスのみを用いてBPSG膜を成膜したケース1、及び、キャリアガスとしてHeガスのみを用いたこと以外はケース1と同様にBPSG膜を成膜したケース2を実施し、これらのケースにおける原料ガスのコストを実算した。なお、各ガスの実勢価格は日本国における平均的な数値を使用した。その結果、本発明による膜形成方法を用いたケース1の原料ガスコストは、従来の方法を用いたケース2の原料ガスコストの約35%であった。これより、本発明によれば、従来に比して経済性を格段に改善できることが確認された。
【0082】
〈COO評価〉
上記ケース1及び2によるBPSG膜の成膜を実製造ラインに適用した場合のCOOを推算した。ここで、COOの算出にあたっては、下記式(1);
【0083】
【数1】
Figure 0005175414
で表される定義式を用いた。式中、Ecは“装置コスト”(Equipment cost)を示し、Swcは“再使用・廃棄コスト”(Scrap and waste cost)を示し、Ocは“運用コスト”(Operating cost)を示し、Etpは装置のスループットを示し、Rqは“良品割合(歩留まり)”(Rate of quality )を示し、Aは“装置の利用時間”(Available time)を示す。
【0084】
その結果、本発明による膜形成方法を用いたケース1のCOOは、従来の方法を用いたケース2のCOOの約40%であった。これより、本発明によれば、従来に比して、原料コスト等の経済性の改善のみならず、COOをも十分に低減できることが確認された。
【0085】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明による膜形成方法及びその装置によれば、SACVD法によるBPSG膜等の膜形成に際して、形成された膜の特性を良好に維持しつつ、材料コストの軽減を図ることができると共に、これによりCOOの増大を十分に抑制或いは低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による膜形成装置の好適な一実施形態を模式的に示す水平断面図である。
【図2】図1に示すCVD装置1の要部を示す断面図(一部構成図)である。
【図3】リフローカバレッジの指標θを示す模式図である。
【図4】図4(A)〜(D)は、それぞれ実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例1でBPSG膜を形成したシリコンウェハの断面を示すSEM写真に指標θの測定結果等を重ねて表示したものである。
【符号の説明】
1…CVD装置(膜形成装置)、4…チャンバ、5…サセプタ、23…ウェハ搬送ロボット、30…ガス供給部、31…ガス供給源(第1のガス供給源)、32…ガス発生源(第2のガス供給源)、33,34…ガス供給源(第4のガス供給源)、35,36…ガス供給源(第3のガス供給源)、40…シャワーヘッド部、51…ヒーター(基体加熱部)、70…排気系(圧力制御部)、W…シリコンウェハ(基体)。

Claims (4)

  1. 化学的気相堆積法により2.6〜94kPaの準大気圧条件下で基体上にケイ素原子を含む膜を形成する膜形成方法であって、前記基体上に、有機系シラン類を含む第1のガスと、オゾン(O)を含む第2のガスと、窒素(N)ガスを含む第3のガスとを供給するガス供給工程と、前記基体を所定の温度に加熱する基体加熱工程と、を備え
    前記基体の周囲の圧力を、2.6〜94kPaの範囲内の第1の圧力に保持した状態で、前記第1〜第3のガスを該基体上に供給する第1ステップと、
    前記基体の周囲の圧力を、前記第1の圧力より小さい第2の圧力に保持した状態で、前記第1〜第3のガスを該基体上に供給する第2ステップと、を有し、
    前記第3のガスとして、ヘリウム(He)ガス及び窒素(N )ガスを含むガスを用い、且つ、該ヘリウム(He)ガスと該窒素(N )ガスとの流量比が、10:90〜80:20となるように、該第3のガスを前記基体上に供給することを特徴とする膜形成方法。
  2. 前記ガス供給工程において、有機系リン化合物叉は有機系ホウ素化合物を含む第4のガスを前記基体上に供給する、ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
  3. 化学的気相堆積法により2.6〜94kPaの準大気圧条件下で基体上にケイ素原子を含む膜が形成される膜形成装置であって、前記基体が収容されるチャンバと、前記チャンバに接続されており、有機系シラン類を含む第1のガスを有する第1のガス供給源と、オゾンを含む第2のガスを有する第2のガス供給源と、窒素ガスを含む第3のガスを有する第3のガス供給源と、を有するガス供給部と、前記基体を所定の温度に加熱する基体加熱部とを備え、前記ガス供給部は、
    前記基体の周囲の圧力を、2.6〜94kPaの範囲内の第1の圧力に保持した状態で、前記第1〜第3のガスを該基体上に供給し、所定の時間経過後、前記基体の周囲の圧力を、前記第1の圧力より小さい第2の圧力に保持した状態で、前記第1〜第3のガスを該基体上に供給し、
    前記第3のガスとして、ヘリウム(He)ガス及び窒素(N )ガスを含むガスを、該ヘリウム(He)ガスと該窒素(N )ガスとの流量比が10:90〜80:20となるように、該第3のガスを前記基体上に供給することを特徴とする膜形成装置。
  4. 前記ガス供給部が、有機系リン化合物叉は有機系ホウ素化合物を含む第4のガスを有する第4のガス供給源を更に有するものである、ことを特徴とする請求項3に記載の膜形成装置
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