JP5170047B2 - ハイブリッド駆動装置用ダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、複数の動力源(例えばエンジンと電気モータ)を有するハイブリッド駆動装置のダンパに関するものである。
従来のハイブリッド駆動装置用ダンパとして、特開平9−226392号公報に開示される技術がある。上記公報には、エンジンと電動モータを動力源として備えているハイブリッド駆動装置において、エンジンの出力軸にダンパを設けて、エンジンと電動モータによる変動トルクを抑制する技術が開示されている。
特開平9−226392号公報
ここで、エンジンや電気モータ等の動力源は、一般的に重量及び径方向寸法を必要とするために慣性が大きく、動力源が1つしかない場合に比べて、ダンパで抑制しなければならない変動トルクが大きい。したがって、複数の動力源を用いて駆動される、所謂ハイブリッド駆動装置では動力源の慣性による大きな変動トルクを抑制するためのダンパが必要とされる。
しかしながら上記公報に開示されるハイブリッド駆動装置用のダンパは、ゴム等の弾性部材のみによって電動モータとエンジンとによる変動トルクを抑制しているので、弾性部材のみで大きな変動トルクを抑制できるように回転負荷に対する弾性部材の抑制容量を大きく構成する必要がある。更に、弾性部材による変動トルクの抑制ができなくなってからは、2つの動力源が直接変動トルクを受けることになるので、各部材の強度を大きく設定する必要がある。
したがって、弾性部材が大型化するとともに、ダンパを介して連結される動力源の出力に係る部材も大型化してしまう。そのため、装置全体が大型化してしまい、装置の重量も大きくなって燃費の悪化にも繋がり、好ましくない。
そこで本発明は、上記問題点を解決すべく、寸法及び重量を大きくすることなく、複数の動力源による大きな変動トルクへの対応が可能なハイブリッド駆動装置用ダンパを提供することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために請求項1の発明は、エンジン及び電動モータによって生じる変動トルクを抑制しながら伝達するダンパであって、電動モータに連結される第2回転部材に連結される慣性体を備えるようにした。
請求項1によると、慣性体を第2回転部材側に設けたことによって、エンジンと電動モータとによる変動トルクを効果的に抑制することができ、好適である。
尚、本発明におけるハイブリッド駆動とは、2つ以上の動力源を備えてによって駆動されることを意味する。
本発明によると、慣性体を第2回転部材側に設けたことによって、エンジンと電動モータとによる変動トルクを効果的に抑制することができ、好適である。
本発明のハイブリッド駆動装置を示す概略図である。 本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド駆動装置用ダンパの一部切欠き平面図である。 図2のA−A断面図である。 本発明の第2の実施の形態におけるハイブリッド駆動装置用ダンパの一部切欠き平面図である。 図4のB−B断面図である。 本発明の第3の実施の形態におけるハイブリッド駆動装置用ダンパの断面図である。 本発明の第4の実施の形態におけるハイブリッド駆動装置用ダンパの断面図である。 図1と異なる形式のハイブリッド駆動装置を示す概略図である。
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本実施の形態におけるハイブリッド駆動装置の概略図であり、自動車の駆動装置として用いたものとして説明する。
ハイブリッド駆動装置は、エンジン10と、電動モータ20と、エンジン10と電動モータ20との間に配設され両者間の変動トルクを抑制するハイブリッド駆動装置用ダンパ30と、電動モータ20とダンパ30との間に配設される遊星歯車機構40と、図示しない駆動輪に動力を伝達する減速機構50と、遊星歯車機構40のリングギヤ41側と減速機構50とを連結するベルト60と、遊星歯車機構40に連結する発電モータ70と、インバータ80を介して発電モータ70及び電動モータ20と電気的に接続するバッテリー90とを備える。
エンジン10の出力はダンパ30を介して遊星歯車機構40のキャリア42に連結されており、発電モータ70は遊星歯車機構40のサンギヤ43に連結されており、エンジン10の駆動によって発生した電気エネルギーをバッテリー90に充電するものである。また、電動モータ20の出力はリングギヤ41に連結されている。
上記構成のハイブリッド駆動装置の作動について簡単に説明する。エンジン10のみが駆動しているときには、エンジン10の出力がダンパ30を介して遊星歯車機構40のキャリヤ42に出力され、キャリア42全体がエンジン10の出力軸11を中心として回転する。これによってリングギヤ41が回転し、ベルト60を介して減速機構50に動力が伝達され、図示しない駆動輪を駆動させる。このとき、サンギヤ43も回転させられて発電モータ70が発電作用し、バッテリー90が充電される。次に、エンジン10が停止して電動モータ20のみが駆動すると、リングギヤ41が回転してベルト60を介して減速機構50に動力が伝達される。このとき、キャリヤ42自体はその位置を変えずに自転するだけであるので、エンジン10側には電動モータ20の動力が伝達されない。更に、エンジン10と電動モータ20の両方をそれぞれ駆動させて減速機構50に動力を伝達することも可能である。このような動力源の切替え(電動モータ20の駆動・非駆動の切替え)は、車速やアクセル開度等の各種信号によって図示しない制御装置により切替えられる。
本発明の主旨であるダンパ30について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態におけるダンパ30の一部切欠き平面図、図3は図2のA−A断面図である。
ダンパ30は、エンジン10の出力軸11に連結して出力軸11とともに回転駆動する第1回転部材31と、遊星歯車機構40を介して電動モータ20と連結するとともに第1回転部材31と同軸上に相対回転可能に配設されキャリヤ42に連結するキャリヤ軸43Aと連結する第2回転部材32と、第1回転部材31と第2回転部材32とのそれぞれに対して所定の角度範囲内で相対回転可能に配設される中間部材33と、第2回転部材32及び中間部材33の窓32A、33D内に配設され円周方向に弾縮することで第1回転部材31と第2回転部材32との間の変動トルクを抑制するトーション部材34と、第1回転部材31と第2回転部材32との間の変動トルクが所定値に達すると第1回転部材31から第2回転部材32への動力の伝達を遮断するリミッタ機構35とを備える。
中間部材33は、第1中間板33Aと第2中間板33Bとをリベット38にて固定して構成され、内周側には第2回転部材32との間にヒステリシスを発生するためのヒステリシス機構39を配している。4つの窓32A、33D内のトーション部材34は34Aと34Bとの2種類があり、それぞれ異なる変動トルクを抑制する。リミッタ機構35は、トーション部材34の外周側で第1回転部材31の内周に保持されており、第2中間板33Bに連結する板材33Cの両面に形成される摩擦材35Aと、摩擦材35Aを図3左側に付勢する付勢部材である皿バネ35Bと、皿バネ35Bと摩擦材35Aの間に挟持され、第1回転部材31と一体回転可能且つ軸方向変位可能に配設されるプレート35Cとから構成される。第2回転部材32はキャリヤ軸42Aとスプライン結合しており、摩擦材35Aの摩耗に追従して軸方向に変位するよう構成される。摩擦材35Aと接触する箇所には、摩擦係数安定のためにパーカーライジング処理が施されており、長期の使用に際しても安定した摩擦係数を維持している。
このように構成されるダンパ30の作用について説明する。エンジン10のみが駆動した場合、第1回転部材31がエンジン10の駆動に伴って回転する。変動トルクが所定値より小さい範囲内においては、リミッタ機構35を介して中間部材33に回転トルクが伝達され、中間部材33が回転する。中間部材33の回転トルクはトーション部材34を介して第2回転部材32に伝達され、変動トルクに応じてトーション部材34が弾縮しながら第2回転部材32が回転する。このように、ダンパ30を介してキャリヤ軸42Aにエンジン10の駆動が伝達される。
上記の状態からエンジン10の駆動トルクが大きくなり、第1回転部材31と第2回転部材32との間の変動トルクが所定値に達すると(変動トルクがプレート35Cと第1回転部材31との間での摩擦材35Aの回転方向の保持トルクに達するときに相当)、摩擦材35Aが滑り出し、中間部材33と第2回転部材32との間では所定値以上の変動トルクを伝達しなくなる。尚、第1の実施の形態では、変動トルクの所定値(摩擦材35Aが滑り出すトルク)を、トーション部材34によって抑制可能な変動トルクの2.0〜3.0の範囲に設定している。
本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は第2の実施の形態におけるダンパの一部切欠き平面図、図5は図4のB−B断面図である。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明したダンパ30に対して、リミッタ機構をトーション部材の内周側に配設したことが最大の相違点であるが、トーション部材の数が第1の実施の形態と異なるのは単に設計的な変更であって、第2の実施の形態の特徴とは関係がない。第1の実施の形態と共通の構成については説明を省略する。また、ハイブリッド駆動装置全体の構成も図1で示したものと同様であるので、説明を省略する。
ダンパ130は、第1回転部材131に連結する2枚の板材131Aと、第1回転部材131と第2回転部材132とのそれぞれに対して所定の角度範囲内で相対回転可能に配設される中間部材133と、板材131Aと中間部材133との間の変動トルクを抑制するトーション部材134と、第2回転部材132と中間部材133との間での変動トルクが所定値に達すると、中間部材133から第2回転部材132への動力の伝達を遮断するリミッタ機構135とを備える。
リミッタ機構135は、トーション部材134の内周側で第2回転部材132に保持されており、中間部材133の両面に形成される摩擦材135Aと、摩擦材135Aを図5左側に付勢する付勢部材である皿バネ135Bと、皿バネ135Bと摩擦材135Aの間に挟持され、第2回転部材132と一体回転可能且つ軸方向変位可能に配設されるプレート135Cとから構成される。
ダンパ130の作用について説明する。エンジン10のみが駆動した場合、第1回転部材131及び板材131Aがエンジン10の駆動に伴って回転する。板材131Aの回転トルクはトーション部材134を介して中間部材133に伝達される。変動トルクが所定値より小さい範囲内においては、リミッタ機構135を介して第2回転部材132に回転トルクが伝達され、第2回転部材132が回転する。このように、ダンパ30を介してキャリヤ軸42にエンジン10の駆動が伝達される。
上記の状態からエンジン10の駆動トルクが大きくなり、第1回転部材131と第2回転部材132との間の変動トルクが所定値に達すると、摩擦材135Aが滑り出し、中間部材133と第2回転部材132との間では所定値以上の変動トルクを伝達しなくなる。
第2の実施の形態では、リミッタ機構135をトーション部材134の内周側に形成しているので、第1の実施の形態のダンパ30に比べて径方向寸法を小さくすることが可能である。また、リミッタ機構135を先に組付けて、熱の影響を受け易いトーション部材134や板材131Aを後から組付けることができる。
図6は本発明の第3の実施の形態におけるダンパの断面図である。第3の実施の形態では、第1の実施の形態で説明したダンパ30に慣性体36を付加したことが異なるだけであり、それ以外の構成は第1の実施の形態と同一であるので説明を省略する。
慣性体36は金属製の円板であり、第2回転部材32の内周にボルト37で固定されている。慣性体36を第2回転部材32側に設けたことによって、エンジン10と電動モータ20とによる変動トルクを効果的に抑制することができ、好適である。
図7は本発明の第4の実施の形態におけるダンパの断面図である。第4の実施の形態では、第3の実施の形態に対して慣性体の付加構造が異なるだけであり、それ以外の構成は第3の実施の形態と同一であるので説明を省略する。
慣性体136の内周はキャリヤ軸42Aとスプライン結合されており、キャリヤ軸42Aに対して相対回転不能且つ軸方向に移動可能である。慣性体136と第2回転部材32との間及び慣性体136とキャリヤ軸42Aの軸方向隙間には、慣性体136の軸方向のガタを詰めるためのゴムあるいは樹脂製の弾性体37が設けられている。
以上説明したように、本発明によると、リミッタ機構によって変動トルクを抑制する(所定値以上の変動トルクを遮断する)ようにしているので、大きな変動トルクを許容するための構成(各部材の高強度化、大型化)をとる必要がなくなる。したがって、複数の動力源を備えることによって大きな変動トルクが発生しても、装置全体を大型化することなく対応することができ、小型化、低燃費化、更には低振動化を達成することが可能になる。
本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定される意図はなく、例えば、図8に示すような構造のハイブリッド駆動装置にも適用することができる。図8のハイブリッド駆動装置は、エンジン210の出力軸211と電動モータ220の出力軸221とをスプライン結合し、必要に応じて電磁クラッチにて電動モータ220を図10矢印方向に変位させて電動モータ220をダンパ230と連結し、エンジン210のみの駆動から電動モータ220とエンジン210の両方による駆動に切換え、ベルト260を介して減速機構250に動力を伝達するものである。このように、本発明の主旨に沿った形態のハイブリッド駆動装置用ダンパであればどのような形態であってもよい。
10、210・・・エンジン
20、220・・・電動モータ
30、130、230・・・ハイブリッド装置用ダンパ
31、131・・・第1回転部材
32、132・・・第2回転部材
34、134・・・トーション部材
35、135・・・リミッタ機構
35A、135A・・・摩擦材
35B、135B・・・皿バネ(付勢部材)
35C、135C・・・プレート
36・・・慣性体
40・・・遊星歯車機構
131A・・・板材

Claims (12)

  1. 駆動輪を駆動するエンジン及び電動モータを備えた車両に配設され、前記エンジン及び前記電動モータの内の少なくとも一つによって生じる変動トルクを抑制しながら伝達するハイブリッド駆動装置用ダンパであって、
    前記ハイブリッド駆動装置用ダンパは、前記エンジンの出力軸とともに回転駆動する第1回転部材と、
    前記電動モータにキャリア軸を介して連結される第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材との間の変動トルクを抑制するトーション部材と、
    前記第2回転部材に連結される慣性体と、を備え、
    前記慣性体は前記キャリア軸に対して軸方向に移動可能で且つ相対回転不能に直接係合され、
    前記軸方向における前記慣性体と前記第2回転部材との間及び前記軸方向における前記慣性体と前記キャリア軸の間には、弾性体が設けられていることを特徴とする、ハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  2. 前記慣性体は、前記第2回転部材と前記電動モータの間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  3. 前記慣性体は金属製の円板であり、前記第2回転部材の内周側に固定されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  4. 前記慣性体の内周は前記キャリア軸とスプライン結合されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  5. 前記第2回転部材は、遊星歯車機構を介して前記電動モータに連結されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  6. 前記第2回転部材は、前記遊星歯車機構の前記キャリア軸と連結することを特徴とする、請求項5に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  7. 前記エンジンと前記電動モータとの間の変動トルクが所定値に達すると、前記エンジンから前記電動モータへの動力の伝達あるいは前記電動モータから前記エンジンへの動力の伝達を抑制するリミッタ機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項6に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  8. 前記リミッタ機構は、前記トーション部材より径方向内周側に配設されることを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  9. 前記リミッタ機構は、前記第1回転部材と前記第2回転部材との隙間に配される摩擦材と、前記第1回転部材と前記摩擦材との間に配されて前記摩擦材を前記第2回転部材側へ付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  10. 前記第1回転部材と前記第2回転部材との回転方向隙間には板材が配設され、該板材と前記第1回転部材との間に前記トーション部材が配設され、前記板材と前記第2回転部材との間に前記リミッタ機構が配設されることを特徴とする、請求項7から請求項9のいずれか一に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  11. 前記摩擦材あるいは前記摩擦材と摩擦接触する部材には、摩擦係数安定用の処理が施されることを特徴とする、請求項9に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
  12. 前記第1回転部材と前記第2回転部材は同軸上で相対回転可能に配されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか一に記載のハイブリッド駆動装置用ダンパ。
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