JP5169905B2 - 導電性組成物及びそれを用いた太陽電池セルの製造方法並びに該太陽電池セルを用いて形成する太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の導電性組成物を製造する方法であって、α−テルピネオール及びブチルカルビトールアセテートを混合した溶剤とエチルセルロース樹脂と分散剤とを混合することにより上記ビヒクルを調製し、上記銀粉末と上記ガラス粉末とをビヒクルに混合した後、この混合物を混練する導電性組成物の製造方法である。
本発明の第6の観点は、第4又は第5の観点に基づく発明であって、ガラス粉末がTiO 2 、SiO 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 及びNiOからなる群より選ばれた1種又は2種以上を微量成分として含み、微量成分のガラス粉末中における含有量が0mol%より多く、かつ5mol%以下であることを特徴とする。
Zi:陽イオンの価数,酸素イオンは2
Ri:陽イオンのイオン半径(Å),酸素イオンは1.40Å
このAiの逆数Bi(1/Ai)を単成分酸化物MiOの酸素供与能力とする。
このBiをBCaO=1、BSiO2=0と規格化すると、各単成分酸化物のBi−指標が与えられる。この各成分のBi−指標を陽イオン分率により多成分系へ拡張すると、任意の組成のガラス酸化物の融体のB−指標(=塩基度)が算出できる。B=Σni・Bi
ni:陽イオン分率
このようにして規定された塩基度は上記のように酸素供与能力をあらわし、値が大きいほど酸素を供与し易く、他の金属酸化物との酸素の授受が起こり易い。」
上記記載から明らかなように、「塩基度」とはガラス融体中への溶解の程度を表すものということができ、上記式により得られるガラス粉末の塩基度が0.6以上であれば、焼成により太陽電池セル10における窒化ケイ素層11を確実に貫通させることができ、得られた電極の密着性を確保することができる。一方、ガラス粉末の塩基度が0.8以下であれば、焼成により得られた電極がn型半導体層12を越えて直接p型半導体基板と導通するような自体を回避して、得られた電極とn型半導体層12の十分な導電性を得ることができる。なお、この塩基度は0.7以上0.8未満であることが更に好ましい。また、ガラス粉末のガラスの転移点は300℃〜450℃であって、更に300℃〜400℃であることが好ましい。なお、ガラス転移点Tgは、次のように測定した。示差熱天秤(株式会社マックサイエンス社製 TG−DTA2000S)を用いて、この示差熱天秤に、試料となるガラス粉末と基準物質とをセットし、測定条件として昇温速度10℃/minにて室温から900℃まで昇温させた。この時、試料であるガラス粉末と基準物質の温度差を温度に対してプロットした曲線(DTA曲線)を得た。このようにして得られたDTA曲線より、基線に沿う接線と第1の変曲点から第2の変曲点までの曲線に沿う接線との交点をガラス転移点Tgとした。
導電性ペーストを下記のように作製した。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットのガラス転移点が315℃、塩基度が0.7の平均粒径0.5μmのPbO−B2O3であること以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が315℃、塩基度が0.7のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を実施例2とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットのガラス転移点が300℃、塩基度が0.8の平均粒径0.5μmのPbO−B2O3であること以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が300℃、塩基度が0.8のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を実施例3とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットとしてガラス転移点が425℃、塩基度が0.6、平均粒径0.5μmのPbO−SiO2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が425℃、塩基度が0.6のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を参考例1とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットとしてガラス転移点が400℃、塩基度が0.7、平均粒径0.5μmのPbO−SiO2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が400℃、塩基度が0.7のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を参考例2とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットとしてガラス転移点が375℃、塩基度が0.8、平均粒径0.5μmのPbO−SiO2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が375℃、塩基度が0.8のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を参考例3とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットのガラス転移点が400℃、塩基度が0.4の平均粒径0.5μmのPbO−B2O3であること以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が400℃、塩基度が0.4のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を比較例1とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットのガラス転移点が275℃、塩基度が0.9の平均粒径0.5μmのPbO−B2O3であること以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が275℃、塩基度が0.9のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を比較例2とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットとしてガラス転移点が490℃、塩基度が0.4、平均粒径0.5μmのPbO−SiO2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が490℃、塩基度が0.4のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を比較例3とした。
導電性ペースト中の鉛系ガラスフリットとしてガラス転移点が350℃、塩基度が0.9、平均粒径0.5μmのPbO−SiO2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストの調製を行い、その後実施例1と同様の条件及び手順により電極付き基板を作成した。このようにしてガラス転移点が350℃、塩基度が0.9のガラス粉末を含むペーストを用いた電極付き基板を比較例4とした。
実施例1〜3、比較例1及び比較例2における電極付き基板のそれぞれの電極直下の窒化珪素の膜厚を測定した。この測定は、それぞれの基板の断面を研磨し、透過型電子顕微鏡(TEM)により行った。
式(1) = (100×M1×dSiO2)/(b×d1×MSiO2)・・・(2)。
よって、式(3)より、焼成後に増加したSiO2層の厚さ:ΔDは、
ΔD=Dfired/{(100×M1×dSiO2)/(b×d1×MSiO2)+1}・・・(4)
となる。
ΔDSi=ΔD×dSiO2/dSi・・・(5)
となる。
参考例1〜3、比較例3及び比較例4における電極付き基板のそれぞれの電極直下の窒化珪素の膜厚を測定した。この測定は、それぞれの基板の断面を研磨し、透過型電子顕微鏡(TEM)により行った。
式(6) = (100×M3×dSiO2)/(b×d3×MSiO2)・・・(7)。
よって、式(8)より、焼成後に増加したSiO2層の厚さ:ΔDは、
ΔD=Dfired/{(100×M3×dSiO2)/(b×d3×MSiO2)+1}・・・(9)
となる。
ΔDSi=ΔD×dSiO2/dSi・・・(10)
となる。
11 窒化ケイ素層
12 n型半導体層
13 電極
14 p型半導体基板
Claims (7)
- 銀粉末とPbOを含有するガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、窒化ケイ素層を貫通して前記窒化ケイ素層の下に形成されたn型半導体層と導通する電極を形成するための導電性組成物であって、
前記銀粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、
前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、
前記ガラス粉末の塩基度が0.6以上0.8以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃であり、
前記ガラス粉末がPbO−B 2 O 3 の2元系ガラスである
ことを特徴とする導電性組成物。 - 前記ガラス粉末がTiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2及びNiOからなる群より選ばれた1種又は2種以上を微量成分として含み、前記微量成分の前記ガラス粉末中における含有量が0mol%より多く、かつ5mol%以下である請求項1記載の導電性組成物。
- 請求項1又は2記載の導電性組成物を製造する方法であって、
α−テルピネオール及びブチルカルビトールアセテートを混合した溶剤とエチルセルロース樹脂と分散剤とを混合することにより前記ビヒクルを調製し、前記銀粉末と前記ガラス粉末とを前記ビヒクルに混合した後、この混合物を混練する導電性組成物の製造方法。 - p型半導体基板に酸又はアルカリによるエッチング処理を施して、前記p型半導体基板のスライスダメージを除去する工程と、
前記p型半導体基板にテクスチャエッチング処理を施して、前記p型半導体基板の上面にテクスチャ構造を形成する工程と、
前記p型半導体基板の上面にn型ドーパントを熱拡散させることにより、前記p型半導体基板の上面にn型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層上に窒化ケイ素層を形成する工程と、
前記窒化ケイ素層上に導電性組成物を直線状又は櫛歯状に印刷し乾燥する工程と、
前記p型半導体基板の下面に、Al以外の金属を含有する金属ペースト及びAlペーストを印刷し乾燥する工程と、
前記印刷した導電性組成物、金属ペースト及びAlペーストを有するp型半導体基板を焼成することにより、前記窒化ケイ素層を貫通して前記n型半導体層と導通する電極を形成するとともに、p+層、Al−Si合金層、リード線保持体及びアルミニウム裏面電極を形成する工程とを含み、
前記導電性組成物が銀粉末とPbOを含有するガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、前記銀粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.6以上0.8以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃であり、前記ガラス粉末がPbO−B 2 O 3 の2元系ガラスであることを特徴とする太陽電池セルの製造方法。 - p型半導体基板と、前記p型半導体基板の上面に形成されたn型半導体層と、前記n型半導体層の上に形成された窒化ケイ素層と、導電性組成物の焼き付けにより形成され前記窒化ケイ素層を貫通して前記n型半導体層と導通する直線状又は櫛歯状の電極とを形成する太陽電池セルの製造方法であって、
前記導電性組成物が銀粉末とPbOを含有するガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、前記銀粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.6以上0.8以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃であり、前記ガラス粉末がPbO−B 2 O 3 の2元系ガラスであることを特徴とする太陽電池セルの製造方法。 - 前記ガラス粉末がTiO 2 、SiO 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 及びNiOからなる群より選ばれた1種又は2種以上を微量成分として含み、前記微量成分の前記ガラス粉末中における含有量が0mol%より多く、かつ5mol%以下である請求項4又は5記載の太陽電池セルの製造方法。
- 請求項4ないし6いずれか1項に記載の方法により太陽電池セルを製造する工程を含む太陽電池モジュールの製造方法。
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