JP5168808B2 - 電力変換器の制御方法及び制御装置並びにモータの制御装置及びシステム - Google Patents

電力変換器の制御方法及び制御装置並びにモータの制御装置及びシステム Download PDF

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Description

本発明は電力変換器の制御に関し、特に二種の整流回路を切り換えるスイッチの切換えに関する。
電力変換器は、入力された電圧を整流するコンバータと、整流された電圧をある電圧に変換するインバータとを備える。そして、インバータから出力された電圧をモータに供給することで、モータを駆動することができる。
コンバータは、倍電圧整流回路と、全波整流回路とを有し、これらのいずれか一方がスイッチによって切換え可能に選択される。つまり、選択された一方がインバータに接続される。
かかる制御は、例えば後掲の特許文献1に開示されている。特許文献1では、当該制御により、低速時のモータ効率の向上を図っている。
特許文献1の電力変換器は、モータの回転速度が所定値よりも小さい場合に全波整流回路を、所定値よりも大きい場合に倍電圧整流回路を、それぞれ選択している。
特開昭61−112575号公報
しかし、回転速度にのみ従って全波整流回路と倍電圧整流回路との切換えを行う場合には、次のような問題がある。つまり、負荷が大きくなると全波整流回路の選択時の最大回転速度は小さくなる。このため、切換えの基準となる回転速度の所定値は、想定される最大負荷時での最大回転速度以下に設定しなければならない。よって、全波整流回路の選択時において低負荷の場合には、回転速度が最大回転速度に至っていない場合であっても、全波整流回路から倍電圧整流回路への切換えが実行され、以って効率を高めることが困難であった。
また、回転速度が最大回転速度に至る前に、全波整流回路から倍電圧整流回路へとスイッチが切り換えられるので、スイッチの切換え回数が増加していた。スイッチの切換え回数が増加すると、スイッチの磨耗しやすくなり、以ってスイッチの寿命が短くなる可能性があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、スイッチの寿命を延ばすことが目的とされる。その他の目的として、効率を向上することが挙げられる。
この発明の請求項1にかかる電力変換器の制御方法及び請求項2にかかる電力変換器の制御方法は、交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧(Va)に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)とを備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、前記電圧が増大して所定値に至る迄は、前記弱め磁束制御を実行せずに前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、前記電圧が前記所定値に至った後は、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して弱め磁束制御をさせ、その後前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行う。
そして前記弱め磁束制御を実行した後、前記電流位相(β)を小さくしてから前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、前記弱め磁束制御の実行時に得られる前記モータ(13)及びインバータ(12)の効率(η)が低下して、前記倍電圧整流回路の選択時に得られる前記効率(η0)とほぼ等しくなった後で、前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させる。
そして、前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行い、前記弱め磁束制御の実行時の前記効率は、前記電流位相にのみ、または前記電流位相と前記モータの回転速度(ω)とに基づいて求められる。
そして、前記弱め磁束制御を実行した後、前記電流位相(β)を小さくしてから前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、請求項1又は2記載の電力変換器の制御方法であって、前記モータ(13)の回転速度を所定値まで低下させる制御に並行して、または当該制御を行った後で、前記電流位相(β)を小さくする。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、請求項記載の電力変換器の制御方法であって、前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させた後も前記回転速度を前記所定値のまま維持し、その後前記回転速度を上昇させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法及び請求項6にかかる電力変換器の制御方法は、交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と、を備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、前記モータ及び前記インバータの効率(η)が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時(η1)の方が小さい間は、前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させ、前記効率が更に低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時の方が大きくなった後に、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して前記弱め磁束制御を実行する。
この発明の請求項5にかかる電力変換器の制御方法は、前記効率が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時と前記全波整流回路の選択時とでほぼ等しくなった時またはそれ以降に、前記モータの回転速度を所定値まで低下させてから、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、その後、前記回転速度を前記所定値のまま所定の期間だけ維持してから、低下させる直前の前記回転速度まで上昇させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行い、前記弱め磁束制御の実行時の前記効率は、前記電流位相にのみ、または前記電流位相と前記モータの回転速度(ω)とに基づいて求められる。
そして、前記効率が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時と前記全波整流回路の選択時とでほぼ等しくなった時またはそれ以降に、前記モータの回転速度を所定値まで低下させてから、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、その後、前記回転速度を前記所定値のまま所定の期間だけ維持してから、低下させる直前の前記回転速度まで上昇させる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の電力変換器の制御方法であって、前記モータ(13)はロータコアを有するPM(Permanent Magnet)モータであって、前記ロータコアは逆突極性を有する。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法は、請求項記載の電力変換器の制御方法であって、前記ロータコアについてq軸インダクタンスがd軸インダクタンスより大きい。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御装置は、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の電力変換器の制御方法を実行する。
この発明の請求項1にかかるモータの制御装置は、請求項に記載の制御装置(2)と、電力変換器(1)とを備え、前記電力変換器は、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能であって、交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)とを有する。
この発明の請求項1にかかるシステムは、請求項1に記載のモータの制御装置と、前記制御装置で制御される前記モータ(13)とを備える。
この発明の請求項1又は請求項2にかかる電力変換器の制御方法によれば、電圧が所定値に達した場合であっても、全波整流回路を選択したまま弱め磁束制御を行うので、全波整流回路の選択時に制御できるモータの回転速度の上限値を大きくすることができる。よって、スイッチの切換えの回数が低減でき、以ってスイッチの寿命が延びる。しかも、弱め磁束制御を行った後、倍電圧整流回路に切り換えるので、モータに供給する電圧を高めることができる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、弱め磁束制御を精度良く実行することができる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、効率を高めることができる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、電流位相に基づいて効率を求めることで、効率の精度が良好である。また、電流位相と回転速度とに基づいて効率を求めることで、効率の精度がさらに高まる。しかも、求められた効率に基づいてスイッチの切換えを行うことで、モータの効率が高まる。
この発明の請求項1又は請求項2にかかる電力変換器の制御方法によれば、スイッチの切換え時の制御を安定して行うことができる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、回転速度を所定値まで低下させることで逆起電力を小さくすることができる。よって、電流位相を小さくできる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、スイッチの切換え直後の制御を安定して行うことができる。
この発明の請求項5または請求項6にかかる電力変換器の制御方法によれば、倍電圧整流回路で制御した場合よりも、全波整流回路の制御と弱め磁束制御とを並行して行った方が、効率を高めることができる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、電流位相に基づいて効率を求めることで、効率の精度が良好である。また、電流位相と回転速度とに基づいて効率を高めることで、効率の精度がさらに高まる。しかも、求められた効率に基づいてスイッチの切換えを行うことで、モータの効率が高まる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御方法又は請求項6にかかる電力変換器の制御方法によれば、倍電圧整流回路から全波整流回路への接続の切換え時及びその直後において、制御を安定して行うことができる。
この発明の請求項または請求項にかかる電力変換器の制御方法によれば、モータ及びインバータの効率が高まる。
この発明の請求項にかかる電力変換器の制御装置、請求項1にかかるモータの制御装置、もしくは請求項1にかかるシステムによれば、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の制御方法を実行できる。
図1は、本発明にかかるシステムを概念的に示す。当該システムは、電力変換装置及びモータ13を備える。電力変換装置は、電力変換器1及び制御装置2を備える。モータ13には、電力変換器1の出力が供給される。なお、図1では、電力変換器1に交流電圧Vcを供給する電源も示されている。
電力変換器1は、入力端子11a,11b、コンバータ11、インバータ12及びスイッチSを備え、モータ13に対して弱め磁束制御が実行可能である。
入力端子11a,11bは、その間に交流電圧Vcが印加され、交流電圧Vcをコンバータ11に供給する。
コンバータ11は、全波整流回路と倍電圧整流回路とを有し、入力端子11a,11bとインバータ12との間に接続される。全波整流回路は交流電圧Vcを全波整流し、倍電圧整流回路は交流電圧Vcを倍電圧整流する。
スイッチSは、全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれを入力端子11a,11bとインバータ12との間に接続するかを選択することができる。スイッチSには、例えばラッチリレーを採用することが望ましい。なぜなら、スイッチSで消費される電力が小さくなるからである。また、比較的寿命の短いラッチリレーであっても良い。
コンバータ11及びスイッチSの具体的な構成について以下に説明する。
コンバータ11は、ブリッジダイオード111とコンデンサC1,C2とを有する。
ブリッジダイオード111はダイオードD1〜D4を有する。ダイオードD1のカソード及びダイオードD2のアノードは各々、入力端子11aに接続される。ダイオードD3については、カソードが入力端子11bに、アノードがダイオードD1のアノードに、それぞれ接続される。ダイオードD4については、アノードが入力端子11bに、カソードがダイオードD2のカソードに、それぞれ接続される。
コンデンサC1,C2は、ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードとの間で直列に接続される。
スイッチSは、コンデンサC1,C2が相互に接続される位置r1と、入力端子11bとの間に接続される。
そして、スイッチSをオンに制御することで、位置r1と入力端子11bとの間が短絡するので、コンバータ11は全波整流回路として機能する。他方、スイッチSをオフに制御することで、位置r1と入力端子11bとの間が開放されるので、コンバータ11は倍電圧整流回路として機能する。つまり、スイッチSの切換えによって倍電圧整流回路への接続と全波整流回路への接続とを相互に切り換えることができる。なお、スイッチSの制御は、後述するように制御装置2によって行われる。
インバータ12には、コンバータ11の出力が供給される。インバータ12は、当該出力を交流電圧に変換し、当該交流電圧をモータ13に供給する。図1では、インバータ12がコンバータ11の出力を3相交流電圧に変換し、これをモータ13に供給する場合が示されている。
制御装置2は、スイッチ切換部21及び電流位相制御部22を有する。スイッチ切換部21は、スイッチSのオン/オフを制御する。
電流位相制御部22は、電力変換器1に対してモータ13に弱め磁束制御を実行させる。具体的には、モータ13に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相βを、0°〜90°の間で変化させる。かかる制御によれば、弱め磁束制御を精度良く実行することができる。
以下では、制御装置2による電力変換器の制御について説明する。
第1の実施の形態.
図2には、(a)電流位相β、(b)モータ13の回転速度ω、(c)インバータ12に入力する直流電圧Vd、(d)モータ13及びインバータ12の効率η、(e)スイッチSの切換え及び(f)インバータ12から出力される電圧Vaがそれぞれ示されている。
回転速度ωが小さいある時刻t0で(同図(b))、スイッチ切換部21によってスイッチSがオンに制御されている(同図(e))。つまり、コンバータ11において全波整流回路が選択されている(同図(c))。
そして、時刻t0から回転速度ωを上昇させる制御が実行される。このとき、電流位相制御部22によって、電流位相βは0°に制御される(同図(a))。つまり、電力変換器1は、モータ13に対して弱め磁束制御を実行しない。
回転速度ωが上昇し、時刻t1で、インバータ12から出力される電圧Vaが、全波整流回路の選択時における電圧Vaの上限値Va0に至っている(同図(f))。このときの回転速度が、図2(b)では符号ω1で表されている。
電圧Vaが上限値Va0に至った後は、スイッチ切換部21によってスイッチSがオンに制御されたまま(同図(e))、電流位相制御部22によって電流位相βが高められる(同図(a))。つまり、電力変換器1は、コンバータ11において全波整流回路を選択したまま、モータ13に対して弱め磁束制御を実行する。弱め磁束制御を実行することで、電圧Vaを上限値Va0に維持したまま回転速度ωを回転速度ω1から更に上昇させることができる(同図(f)、(b))。ただし、効率ηは、電流位相βの増大に伴い、減少する(同図(d))。図2(b)では、回転速度ωを回転速度ω2まで上昇させた場合が示されている。
その後時刻t3で、スイッチ切換部21によってスイッチSがオンからオフに切り換えられる(同図(e))。つまり、コンバータ11において倍電圧整流回路が選択される(同図(c))。
本実施の形態にかかる制御によれば、電圧Vaが上限値Va0に達した場合であっても、全波整流回路を選択したまま弱め磁束制御を行うので、全波整流回路の選択時に制御できるモータ13の回転速度ωの上限値を回転速度ω1まで大きくすることができる。そうすると、回転速度ω1を超えてモータ13を駆動する場合であっても、回転速度ω2までであればスイッチSを切り換えなくて良い。よって、スイッチSの切換え回数が低減でき、以ってスイッチSの寿命が延びる。しかも、弱め磁束制御を行った後、倍電圧整流回路に切り換えるので、モータ13に供給できる電圧Vaを高めることができる。
全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合には、回転速度ωが上昇すると電流位相βが増加するため効率ηが低下する。他方、倍電圧整流回路を選択した場合には、回転速度ωが低下すると電圧利用率が低下するので、効率ηが低下する。よって、効率ηを高めるという観点からは、全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合の効率ηと、倍電圧整流回路を選択した場合の効率ηとがほぼ等しくなる回転速度ω2(効率η0)で、全波整流回路から倍電圧整流回路へとスイッチSを切り換えることが望ましい。
全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合の効率ηは、例えば電流位相βと回転速度ωに基づいて求めることができる。電流位相βのみを用いて効率ηを求めても良い。
本実施の形態では、スイッチSを切り換える時刻t3の前に、弱め磁束制御を実行して回転速度ω2に達した時刻t2で、電流位相βが0°に制御されている。つまり、電力変換器1は、モータ13に対して実行していた弱め磁束制御を停止している。かかる制御によれば、時刻t3でスイッチSを切り換えた時に、倍電圧整流回路での制御を安定して行うことができる。なお、倍電圧整流回路での制御を安定して行うことができれば、電流位相βを0°まで低下させなくても良い。
また、時刻t2では、弱め磁束制御の停止に並行して、回転速度ωが回転速度ω3まで低下されている。かかる制御によれば、回転速度ωを低下することで逆起電力を小さくすることができる。よって、電流位相βを小さくすることができる。また回転速度ωを低下することに代えて、負荷を小さくすることで、逆起電力を小さくしても良い。本実施の形態では、時刻t2で弱め磁束制御の停止と回転速度ωの低下とを並行して行っているが、例えば回転速度ωを低下させてから、電流位相βを低下させても良い。
スイッチSを切り換えた後(時刻t3後)の時刻t4で、回転速度ωを回転速度ω2まで上昇させる。そして、本実施の形態では、時刻t3と時刻t4との間では回転速度ωが回転速度ω3のまま維持されている。かかる制御によれば、スイッチSの切換え直後の制御を安定して行うことができる。
第2の実施の形態.
図3には、(a)電流位相β、(b)モータ13の回転速度ω、(c)インバータ12に入力する直流電圧Vd、(d)モータ13及びインバータ12の効率η及び(e)スイッチSの切換えがそれぞれ示されている。
回転速度ωが大きいある時刻t5で(同図(b))、スイッチ切換部21によってスイッチSがオフに制御されている(同図(e))。つまり、コンバータ11において倍電圧整流回路が選択されている(同図(c))。そして、時刻t5から回転速度ωを低下させる制御が実行される。
その後、回転速度ωが低下して、インバータ12の出力電圧が同じ場合に倍電圧整流回路を選択した場合の効率ηと、全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合の効率ηとがほぼ等しくなる回転速度ω4(効率η1)で、倍電圧整流回路から全波整流回路へとスイッチSを切り換える(時刻t7)。なお、全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合の効率ηは、例えば電流位相βと回転速度ωに基づいて求めることができる。電流位相βのみを用いて効率ηを求めても良い。
スイッチSを切り換えた後は、スイッチ切換部21によってスイッチSがオンに制御されたまま(同図(e))、電流位相制御部22によって電流位相βが高められる(同図(a))。つまり、電力変換器1は、コンバータ11において全波整流回路を選択したまま、モータ13に対して弱め磁束制御を実行する。
その後、弱め磁束制御を実行しなくても全波整流回路のみで駆動できる回転速度ω1まで回転速度ωが低下すれば(時刻t9)、全波整流回路のみでモータ13を駆動する。つまり、全波整流回路を選択したまま(同図(c))、それまで実行していた弱め磁束制御を停止する(同図(a))。
本実施の形態にかかる制御によれば、全波整流回路のみでの制御を行うまで(時刻t9まで)倍電圧整流回路で制御する場合よりも、全波整流回路の制御と弱め磁束制御とを並行して行ってから全波整流回路のみでの制御を行った方が、効率ηを高めることができる。
本実施の形態では、インバータ12の出力電圧が同じ場合に倍電圧整流回路を選択した場合の効率ηと、全波整流回路を選択しつつ弱め磁束制御を実行した場合の効率ηとがほぼ等しくなった時刻t6で、回転速度ωを回転速度ω5まで低下させてから、時刻t7でスイッチSの切換えを行っている。そして、その後、回転速度ωを回転速度ω5のまま時刻t8まで維持してから、回転速度ωを回転速度ω4まで上昇させている。かかる制御によれば、スイッチSの切換え時及びその直後において、制御を安定して行うことができる。
実施の形態1及び2にかかる制御はいずれも、モータ13がロータコアを有するPM(Permanent Magnet)モータである場合に適用することが望ましい。特に、当該ロータコアが逆突極性を有する場合、例えばq軸インダクタンスがd軸インダクタンスより大きい場合に特に望ましく、モータ13及びインバータ12の効率を高めることができる。なお、逆突極性を有するPMモータの場合において、例えば最大トルク制御などを行う場合には、定常電流位相を0°でない所定値とすることが望ましい。
本発明にかかるシステムを概念的に示す図である。 第1の実施の形態で説明される、電力変換器の制御を示す図である。 第2の実施の形態で説明される、電力変換器の制御を示す図である。
符号の説明
1 電力変換器
2 制御装置
11 コンバータ
11a,11b 入力端子
12 インバータ
13 モータ
S スイッチ
Va 電圧
β 電流位相
η,η0,η1 効率
ω 回転速度

Claims (11)

  1. 交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、
    前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、
    前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、
    前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧(Va)に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、
    前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と
    を備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、
    前記電圧が増大して所定値に至る迄は、前記弱め磁束制御を実行せずに前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、
    前記電圧が前記所定値に至った後は、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して弱め磁束制御をさせ、その後前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させ
    前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行い、
    前記弱め磁束制御を実行した後、前記電流位相(β)を小さくしてから前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させる、電力変換器の制御方法。
  2. 交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、
    前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、
    前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、
    前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧(Va)に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、
    前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と
    を備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、
    前記電圧が増大して所定値に至る迄は、前記弱め磁束制御を実行せずに前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、
    前記電圧が前記所定値に至った後は、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して弱め磁束制御をさせ、その後前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させ、
    前記弱め磁束制御の実行時に得られる前記モータ(13)及びインバータ(12)の効率(η)が低下して、前記倍電圧整流回路の選択時に得られる前記効率(η0)とほぼ等しくなった後で、前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させ、
    前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行い、
    前記弱め磁束制御の実行時の前記効率は、前記電流位相にのみ、または前記電流位相と前記モータの回転速度(ω)とに基づいて求められ、
    前記弱め磁束制御を実行した後、前記電流位相(β)を小さくしてから前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させる、電力変換器の制御方法。
  3. 前記モータ(13)の回転速度を所定値まで低下させる制御に並行して、または当該制御を行った後で、前記電流位相(β)を小さくする、請求項1又は請求項2に記載の電力変換器の制御方法。
  4. 前記スイッチ(S)に前記倍電圧整流回路を選択させた後も前記回転速度を前記所定値のまま維持し、その後前記回転速度を上昇させる、請求項3記載の電力変換器の制御方法。
  5. 交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、
    前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、
    前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、
    前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、
    前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と、
    を備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、
    前記モータ及び前記インバータの効率(η)が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時(η1)の方が小さい間は、前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させ、
    前記効率が更に低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時の方が大きくなった後に、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して前記弱め磁束制御を実行し、
    前記効率が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時と前記全波整流回路の選択時とでほぼ等しくなった時またはそれ以降に、前記モータの回転速度を所定値まで低下させてから、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、
    その後、前記回転速度を前記所定値のまま所定の期間だけ維持してから、前記回転速度を上昇させる、電力変換器の制御方法。
  6. 交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、
    前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、
    前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、
    前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、
    前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と、
    を備え、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能な電力変換器(1)を、制御する方法であって、
    前記モータ及び前記インバータの効率(η)が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時(η1)の方が小さい間は、前記スイッチに前記倍電圧整流回路を選択させ、
    前記効率が更に低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時よりも前記全波整流回路の選択時の方が大きくなった後に、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させつつ前記電力変換器に前記モータに対して前記弱め磁束制御を実行し、
    前記モータ(13)に流れる電流のq軸からの位相のずれである電流位相(β)を制御して前記弱め磁束制御を行い、
    前記弱め磁束制御の実行時の前記効率は、前記電流位相にのみ、または前記電流位相と前記モータの回転速度(ω)とに基づいて求められ、
    前記効率が低下して、前記電圧が同じ場合の前記効率が前記倍電圧整流回路の選択時と前記全波整流回路の選択時とでほぼ等しくなった時またはそれ以降に、前記モータの回転速度を所定値まで低下させてから、前記スイッチに前記全波整流回路を選択させ、
    その後、前記回転速度を前記所定値のまま所定の期間だけ維持してから、前記回転速度を上昇させる、電力変換器の制御方法。
  7. 前記モータ(13)はロータコアを有するPM(Permanent Magnet)モータであって、
    前記ロータコアは逆突極性を有する、請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の電力変換器の制御方法。
  8. 前記ロータコアについてq軸インダクタンスがd軸インダクタンスより大きい、請求項7記載の電力変換器の制御方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の電力変換器の制御方法を実行する、電力変換器の制御装置。
  10. 請求項9に記載の制御装置(2)と、
    電力変換器(1)と
    を備え、
    前記電力変換器は、前記モータに対して弱め磁束制御が実行可能であって、
    交流電圧が供給される一対の入力端子(11a,11b)と、
    前記交流電圧を全波整流する全波整流回路(11)と、
    前記交流電圧を倍電圧整流する倍電圧整流回路(11)と、
    前記全波整流回路及び倍電圧整流回路のいずれか一方からの出力をある電圧に変換し、前記電圧をモータ(13)に供給するインバータ(12)と、
    前記入力端子と前記インバータとの間で前記全波整流回路及び前記倍電圧整流回路のいずれを接続するかを選択可能なスイッチ(S)と
    を有する、モータの制御装置。
  11. 請求項10に記載のモータの制御装置と、
    前記制御装置で制御される前記モータ(13)と
    を備える、システム。
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