JP5168513B2 - 遺伝子発現情報を用いた植物の形質を判定もしくは予測する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遺伝子発現情報を用いた植物の形質を判定もしくは予測する方法に関する。本発明はまた、遺伝子発現情報を用いて、ユーカリの諸形質を早期判定もしくは予測するためのバイオマーカー情報の抽出方法に関する。
人類の生存や営みに植物の存在は必須であるが、その中でも樹幹・根・葉・枝等の木質バイオマスは、製紙、建築、飼料、燃料等の多岐にわたる産業分野で利用され、植物がもたらす人類への恩恵の中でも非常に重要な位置を占める。世界の木質バイオマス消費量は毎年増加傾向にあり、用途別にみると、薪炭用材の消費が過半数を占め、開発途上地域では今でも増加傾向を示している。製材、製紙用の木材チップなどの産業用材も、先進地域の消費量は若干の減少に転じたものの、開発途上国地域における消費量は増加している。先進地域では文明の発達とともに、森林の農地への転用や資材としての利用等により森林を大きく減少させてきたが、最近植林活動によって森林面積はわずかながら増加している。しかし、開発途上地域では、かつては先進国の商業伐採により、近年は人口増加にともなって、生活燃料や農地の需要が拡大し、世界全体における森林面積が急激に減少しつづけている。こうしたことから、二酸化炭素固定化能の低下による地球温暖化などの問題が挙げられるようにもなってきた。近年、これらの問題を解決しつつ、産業的に製材、製紙用木材チップの安定供給などを目指した植林事業が世界各地で盛んに行われている。
製紙(パルプ生産)をターゲットとした植林事業で用いられている樹種としては、ユーカリ、マツ、ポプラ、アカシア等が挙げられる。事業においては、植林木の生産性(成長量)を上げることと材質を向上させることが最重要目標であるため、育種目標もそれらの形質の向上を目指して進められている。成長量や材質の優れた個体(優良木)を選抜し、それらのクローン挿し木苗を大量増殖後、林地に植裁することで、製紙原料となる良い生産性や材質を持った均質な林分を作出している。
植林事業において、優良木の選抜とその材質データを得るには、大変長い時間と労力だけでなく熟練者の経験も要する。ユーカリを例にすると、成長量の差が出てくるのは植裁後約5年目以降であるので、成長性で選抜を行う場合は少なくとも植裁して5年を経てやっと選抜対象となり選抜の作業が始まる。また材質は、伐採(植裁後7〜10年目)後に解析が始まるため、成長性による選抜後さらに2年〜5年以上待たなければ、データを得ることができない。このように、成長性や材質に優れた真の優良木を選抜するためには、少なくとも約10年という長い年月を要する。また、優良木を用いて交配育種を行う場合は、さらに数十年という年月を要する。
前述の優良木選抜において、成長性について言えば5年生未満の樹齢で判定することは困難であり、少なくとも5年生以上であることが望ましく、材質については、伐採(植裁後7〜10年目)の後に行う分析結果を得ないと判定できないという状況にある。もし5年生未満の個体について、優良木であるか否かの判定や材質の判定が可能となれば、その後の育種・施業の効率化やコスト低減等のメリットが期待できる。従って、植裁から5年未満の植林木から、早期に優良木を選抜する方法や、それらの材質等の諸形質を早期に判定または将来予測する方法の必要性がある。
近年、植物の優良系統選抜においてDNA断片を指標にした分子マーカーが用いられてきている(特許文献1、2)。これは、生育中の植物集団から、成長性や収量等で良い形質を持つ個体を選抜し、その個体に特徴的なDNA断片をマーカーとして同定し、以降の選抜育種に利用するものであり、一定の成功を収めている。しかしながら、このようなDNAマーカーは、特定の家系を基に作成されたものであるため、家系が違えば選抜に利用できない場合がある。また、優良系統と認定されていても、選抜時とは異なる環境下では、逆に不良な形質を示す場合もある。植林の現場でも同様であり、DNAマーカーで選抜された優良系統が、林地によっては不良である事例が大変多く(適地適木)、大きな問題ともなっている。
この問題は、既存のDNAマーカーの概念が「遺伝的能力の識別」、言い換えれば血統の良し悪しを見ているだけであることに起因する。そもそも優良な形質というものは、遺伝的能力(血統)の良し悪しだけに由来するのではなく、その土地土地での遺伝的能力の発揮状態(パフォーマンス)に由来するものである。つまり、その土地で優良な形質を示すための理想的な遺伝的能力の発揮状態(遺伝子発現状態)があり、それに近い状態にある系統が優良形質を発現し、優良系統として認められるわけである。このことは、遺伝的能力を識別検査するという従来の概念に基づいたマーカーではなく、遺伝的能力の発揮状態を検査するという新規概念に基づくマーカーが必要であるということを意味する。このようなマーカーであれば、土壌や降水量・気候等の環境によって大きく変動する植物の形質を、早期に判定・予測することが可能となり、優良系統の選抜育種がより効率的になると考えられる。しかしながら、これまでにそのようなマーカーは開発されていなかった。従って、十分早期に形質等の有効な判定及び将来予測を可能にするための新規概念に基づくマーカー開発の必要性がある。
ところで、最近臨床診断や新薬発見および開発に欠かせない製品としてバイオマーカーが脚光を浴びつつある(特許文献3、4、5)。バイオマーカーとは、RNA、DNA、タンパク質等の生体由来の物質で、生体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標(マーカー)となるものを指す。バイオマーカーとしては、病気等の現状を把握するために用いられる現状診断(判定)ツールとしての役割と、病気等の予防や病状の推移を予測するための予測診断(推定)ツールとしての役割がある。このようなマーカーを用いれば、植物の遺伝的能力の発揮状態を検査することが可能になると考えられる。つまり、その土地で優良な形質を示す理想的な遺伝的能力の発揮状態(遺伝子発現状態)にあるのか否かを、バイオマーカーを指標に判定することができるわけである。これにより、優良系統の早期選抜や形質の早期判定が可能になる。したがって、植物においても十分早期に形質等の有効な判定及び将来予測を可能にするためのバイオマーカー情報の必要性がある。
なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に記す。
特開2002−034562 特表2002−540762 特表2001−511680 特表2006−506069 特開2006−308411
既存のDNAマーカーを用いた優良木の選抜方法は、限定された条件下(土壌、降水量等)での優良な形質を発現する潜在能力の有無のみを判定する。しかし、このような方法では、その優良形質の潜在能力が発揮できているか否かの判定や、将来発揮できるのか否かの予測はできない。植林地に生育中の樹木のうち、どれが優良木であるのか、どの優良木が潜在能力を発揮(優良形質発現)できているのかを予測・判定する方法が特に必要である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、遺伝子発現情報を用いて、優良木の早期選抜や、生長性・材質等を早期判定もしくは予測するための方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、優良木の早期選抜や、成長性・材質等を早期判定もしくは予測するためのバイオマーカー開発のため、ゲノム科学的な手法により優良木木部の発現情報を網羅的に収集し比較することを考えた。植物の樹幹は、形成層を境に、樹皮と木部に区別される。木部では樹木の主たる構成要素である木繊維の形成が盛んである。従って、木部側での遺伝子発現は木繊維形成部位や成長状態を同定するための指標になる。一方、発芽後1〜2週間程度の実生下胚軸は形成層を持たないため、多年にわたって肥大成長している樹幹(茎)とは、組織形態や構成組織が大きく違う。そのため、樹幹のような二次壁肥厚した木繊維細胞を持たない。従って、様々な植林木の木部を、実生下胚軸と相対比較することで、各植林木木部の遺伝子発現状態の特徴が把握できると考えられる。従って本願では、実生下胚軸と比較して様々な植林木木部に特徴的な遺伝子発現状態を同定することを考えた。
次に、本発明者らは、成長優良木の早期選抜や、成長性の早期判定もしくは予測するためのバイオマーカー開発のため、ゲノム科学的な手法により成長優良木木部の発現情報を網羅的に収集し比較することを考えた。成長優良木とは、植林木の中からある一定の成長パラメーターを満たす植林木として選抜された系統であり、次世代の植林や育種に利用されている。各成長優良木間で遺伝子発現状態を比較し何らかのアルゴリズムで情報処理することにより、成長優良木木部に共通の遺伝子発現情報が把握できると考えられる。この成長優良木間に共通な遺伝子発現情報は、植林木の成長状態の良し悪しを判定するための指標になる。従って本願では、成長優良木木部と実生下胚軸とを比較して得られた遺伝子発現情報と、成長が悪い植林木木部と実生下胚軸とを比較して得られた遺伝子発現情報を相対比較することで、成長優良木に共通な遺伝子発現情報の抽出とその過程に有効な情報処理アルゴリズムを同定し、成長優良木の早期選抜や、生長性・材質等を早期判定もしくは予測するための指標とすることを考えた。
次に、本発明者らは、植林木の材質の早期判定・材質優良木の選抜もしくは材質予測するためのバイオマーカー開発のため、ゲノム科学的な手法により材質優良木木部の発現情報を網羅的に収集し比較することを考えた。材質優良木とは、植林木の中からある一定の材質パラメーターを満たす植林木として選抜された系統である。各材質優良木間で遺伝子発現状態を比較し何らかのアルゴリズムで情報処理することにより、材質優良木木部に共通の遺伝子発現情報が把握できると考えられる。この材質優良木間に共通な遺伝子発現情報は、植林木の材質の良し悪しを判定するための指標になる。従って本願では、材質優良木木部と実生下胚軸とを比較して得られた遺伝子発現情報と、材質が悪い植林木木部と実生下胚軸とを比較して得られた遺伝子発現情報を相対比較することで、材質優良木に共通な遺伝子発現情報の抽出とその過程に有効な情報処理アルゴリズムを同定し、材質優良木の早期選抜や、植林木材質の早期判定もしくは予測するための指標とすることを考えた。
本発明者らは、植林木の成長性や材質の早期判定マーカーの開発のため、パルプの原料として、また植林木として一般的に用いられており代表的であるユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus) 植林木の中から、伐期(10年目)までの成長性や材質のデータを持つクローン系統の2.5年生木を使用した。この成長性や材質のデータを持つクローン系統の2.5年生グロブルス木部の遺伝発現状態は、植林現場での成長性による選抜作業を行う5年目より早期であるため、成長性の早期判定マーカー開発の為の遺伝子発現情報を得る点で好ましい。また、植林現場での材質による選抜作業を行う10年目より早期であるため、材質の早期判定マーカー開発の為の遺伝子発現情報を得る点で好ましい。このような理由で、本発明者らは植林木の成長性や材質の早期判定マーカーの開発のため、伐期(10年目)までの成長性や材質のデータを持つクローン系統の2.5年生グロブルスを使用した。
本発明者らは、本研究の遂行に当たり、ユーカリにおける解析リソースの整備を行った。具体的には各種遺伝子ライブラリー、樹幹部、葉部、根部の各組織毎にESTデータベースを作製した。作製したユーカリESTデータベースを用いて、マイクロアレイ解析によるユーカリ成長優良木の木部において、ユーカリ実生下胚軸と比較して発現が変動する遺伝子群の抽出を行った。次に、成長優良木間で遺伝子発現情報を比較解析し、成長性の判定や予測のためのバイオマーカー情報の抽出とその過程に有効な情報処理アルゴリズムの同定を行った。その結果、成長優良木の判定もしくは将来予測バイオマーカーとなる242個の遺伝子群を特定した。また、パルプ収量指数が優れたユーカリ材質優良木の木部において、ユーカリ実生下胚軸と比較して発現が変動する遺伝子群の抽出を行った。そしてパルプ収量指数が優れた材質優良木間で遺伝子発現情報を比較解析し、材質(パルプ収量指数)の判定や予測のためのバイオマーカー情報の抽出とその過程に有効な情報処理アルゴリズムの同定を行った。その結果、成長優良木のパルプ収量指数判定もしくは将来予測バイオマーカーとなる311個の遺伝子群を特定した。さらに、繊維長が優れたユーカリ材質優良木の木部において、ユーカリ実生下胚軸と比較して発現が変動する遺伝子群の抽出を行った。そして、繊維長が優れた材質優良木間で遺伝子発現情報を比較解析し、材質(繊維長)の判定や予測のためのバイオマーカー情報の抽出とその過程に有効な情報処理アルゴリズムの同定を行った。その結果、成長優良木の繊維長判定もしくは将来予測バイオマーカーとなる326個の遺伝子群を特定した。
これらのバイオマーカー遺伝子群はのべ832個であり、それぞれのバイオマーカーは、
(a)「胸高直径、繊維長の判定に使用可能なバイオマーカー」、
(b)「胸高直径の判定に使用可能なバイオマーカー」、
(c)「胸高直径、パルプ収量指数の判定に使用可能なバイオマーカー」、
(d)「パルプ収量指数の判定に使用可能なバイオマーカー」、
(e)「パルプ収量指数、繊維長の判定に使用可能なバイオマーカー」、
(f)「繊維長の判定に使用可能なバイオマーカー」
の6グループに大別された。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔22〕を提供するものである。
〔1〕以下(1)から(6)の工程を含む方法であって、工程(6)の判別結果に従い、被検植林木が優良な形質を示す植林木であるか否かを判定する方法;
(1)優良な形質を示す植林木であるか否かを判別出来ない時期に、複数の植林木の同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各植林木の木部において発現している遺伝子群の発現情報を取得する工程、
(3)工程(1)の植林木が優良な形質を示す植林木のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植林木のクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)の植林木が優良な形質を示す植林木のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植林木のクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する工程、
(4)被検植林木において、工程(1)と同一の時期に、工程(1)の植林木と同一部位より木部を採取する工程、
(5)工程(4)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する工程、及び
(6)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(5)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、被検植林木が優良な形質を示す植林木のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植林木のクラスに属するかを判別する工程、
〔2〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な形質を示す植林木の選抜方法;
(a)複数の被検植林木について、優良な形質を示す植林木であるか否かを〔1〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良な形質を示す植林木であると判定された植林木を選抜する工程、
〔3〕優良な形質を示す植林木が優良な成長を示す植林木である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法、
〔4〕優良な形質を示す植林木が優良な材質を示す植林木である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法、
〔5〕優良な形質を示す植林木が優良な成長及び優良な材質を示す植林木である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法、
〔6〕優良な成長を示す植林木が優良な胸高直径を示す植林木、優良な樹高を示す植林木、及び優良な容積を示す植林木からなる群より選択される少なくとも1つの植林木である、〔3〕又は〔5〕に記載の方法、
〔7〕優良な材質を示す植林木が優良なパルプ収量指数を示す植林木、優良な繊維長を示す植林木、優良な引張り強さを示す植林木、優良な容積重を示す植林木からなる群より選択される少なくとも1つの植林木である、〔4〕又は〔5〕に記載の方法、
〔8〕優良な材質を示す植林木が優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示す植林木である、〔4〕又は〔5〕に記載の方法、
〔9〕優良な成長及び優良な材質を示す植林木が優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示す植林木である、〔5〕に記載の方法、
〔10〕優良な成長及び優良な材質を示す植林木が優良な胸高直径及び優良な繊維長を示す植林木である、〔5〕に記載の方法、
〔11〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1〜52のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:1〜242のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔12〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを〔11〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良な胸高直径を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程、
〔13〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:65、243〜307のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔14〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良なパルプ収量指数を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを〔13〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良なパルプ収量指数を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程、
〔15〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔16〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを〔15〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程、
〔17〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔18〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを〔17〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程、
〔19〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔20〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを〔19〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程、
〔21〕以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
(1)優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程、
〔22〕下記(a)及び(b)の工程を含む、優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
(a)複数の被検ユーカリについて、優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを〔21〕に記載の方法によって判定する工程、及び
(b)工程(a)において優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
植物の遺伝子発現情報から、任意の形質のバイオマーカー遺伝子セットを選抜するデータ処理スキームを示す図である。 バイオマーカー遺伝子セットの判別能力(判別率)を評価するデータ処理スキームを示す図である。 バイオマーカー遺伝子セットを基に、被検サンプル植物の遺伝子発現情報から形質を判別するデータ処理スキームを示す図である。 22個体の胸高直径優良木と4個体の胸高直径不良木(コントロール)の胸高直径優劣を、高判別能胸高直径優良木判定用バイオマーカー(242遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を示す図である。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は成長優良木クラスを表し、白い四角はコントロール木クラスを表している。参照データセット側のクラス分類は、実際の胸高直径データに基づいている。判定結果側のクラス分類は、本発明の方法で判定した結果である。判定結果は、各個体の実データのクラス分類と合致している。 被検サンプルの胸高直径を、高判別能胸高直径優良木判定用バイオマーカー(242遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を表す図である。図4に示した26個体に、未知の被検サンプルと仮定した27個体目(L4336)と28個体目(B6405)の2個体の胸高直径優良木を加え、高判別能胸高直径優良木判定用バイオマーカー(242遺伝子)により胸高直径の優劣を判定した。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は胸高直径優良クラスを表し、白い四角は胸高直径不良クラスを表している。参照データセット側の斜線は被検サンプルを表している。本発明の方法で判定した結果、2個体の被検サンプルは、実データの通り胸高直径優良木と判定された。 16個体の優良木の材質(パルプ収量指数; PYI)を、高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー(311遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を示す図である。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は高PYIクラスを表し、白い四角は低PYIクラスを表している。参照データセット側のクラス分類は、実際の材質(PYI)データに基づいている。判定結果側のクラス分類は、本発明の方法で判定した結果である。判定結果は、各個体の実データのクラス分類と合致している。 被検サンプルの材質(PYI)を、高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー(311遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を表す図である。図6に示した16個体に、17個体目(H1172)をパルプ収量指数が未知であると仮定した被検サンプルとして加え、高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー(311遺伝子)により判定した。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は高PYIクラスを表し、白い四角は低PYIクラスを表している。参照データセット側の斜線は被検サンプルを表している。本発明の方法で判定した結果、被検サンプルH1172は、実データの通り低PYIクラスと判定された。 16個体の優良木の材質(繊維長)を、高判別能繊維長判定用バイオマーカー(326遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を示す図である。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は長繊維クラスを表し、白い四角は短繊維クラスを表している。参照データセット側のクラス分類は、実際の繊維長データに基づいている。判定結果側のクラス分類は、本発明の方法で判定した結果である。判定結果は、各個体の実データのクラス分類と合致している。 被検サンプルの材質(繊維長)を、高判別能繊維長判定用バイオマーカー(326遺伝子)の発現情報に基づき、ベイジアンアルゴリズムにより判定した結果を表す図である。図8に示した16個体に、17個体目(H1163)を繊維長が未知であると仮定した被検サンプルとして加え、高判別能繊維長判定用バイオマーカー(326遺伝子)により判定した。参照データセット側と判定結果側それぞれの黒い四角は長繊維クラスを表し、白い四角は短繊維クラスを表している。参照データセット側の斜線は被検サンプルを表している。本発明の方法で判定した結果、1被検サンプルH1163は、実データの通り短繊維クラスと判定された。 各バイオマーカー遺伝子セットの関係を、胸高直径、パルプ収量指数、繊維長の形質で分類したベン図である。実施例4、6、8で示した高判別能バイオマーカー遺伝子の総数は832個であり、それぞれのバイオマーカーはベン図にある(a)〜(f)に大別される。具体的には、(a)成長性(胸高直径)の判定に使用可能であるがパルプ収量指数と繊維長の判定には使用不可なバイオマーカー(222遺伝子)、(b)成長性(胸高直径)とパルプ収量指数の判定に使用可能であるが繊維長の判定には使用不可なバイオマーカー(8遺伝子)、(c)パルプ収量指数の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)と繊維長の判定には使用不可なバイオマーカー(276遺伝子)、(d)パルプ収量指数と繊維長の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)の判定には使用不可なバイオマーカー(27遺伝子)、(e)成長性(胸高直径)と繊維長の判定に使用可能であるがパルプ収量指数の判定には使用不可なバイオマーカー(12遺伝子)、(f)繊維長の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)とパルプ収量指数の判定には使用不可なバイオマーカー(287遺伝子)を示している。
〔発明の実施の形態〕
本発明は、遺伝子発現情報を用いた植物の形質を判定もしくは予測する方法に関する。より具体的には本発明は以下(1)から(6)の工程を含む方法であって、工程(6)で取得された判別結果に従い、被検植物が優良な形質を示す植物であるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数の植物の同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各植物の木部において発現している遺伝子群の発現情報を取得する工程、
(3)工程(1)の植物が優良な形質を示す植物のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植物のクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)の植物が優良な形質を示す植物のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植物のクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する工程、
(4)被検植物において、工程(1)と同一の時期に、工程(1)の植物と同一部位より木部を採取する工程、
(5)工程(4)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する工程、及び
(6)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(5)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、被検植物が優良な形質を示す植物のクラスに属するか又は優良な形質を示さない植物のクラスに属するかを判別する工程。
本発明の方法において形質の判定の対象となる植物としては、特に限定されるものではないが、植林木が挙げられる。本発明の植林木としては、特に限定されるものではないが、ユーカリ、マツ、ポプラ、アカシア、スギ、トウヒ、チーク、ラワン、リンゴ、モモなどが挙げられる。特に好ましい例としてはユーカリが挙げられる。
即ち本発明は以下(1)から(6)の工程を含む方法であって、工程(6)で取得された判別結果に従い、被検ユーカリが優良な形質を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報を取得する工程、
(3)工程(1)のユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)のユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する工程、
(4)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(5)工程(4)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する工程、及び
(6)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(5)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明において「優良な形質を示す」には「優良な成長を示す」及び/又は「優良な材質を示す」が含まれる。即ち本発明は、
(a)被検ユーカリが優良な成長を示すユーカリであるか否かを判別する方法、及び
(b)被検ユーカリが優良な材質を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
を提供する。本発明においては、優良な成長を示すユーカリ個体を「成長優良木」、優良な材質を示すユーカリ個体を「材質優良木」と称する。
本発明における「優良な成長を示す」には、「優良な胸高直径を示す」、「優良な樹高を示す」、及び「優良な容積を示す」から選択される少なくとも1つ以上が含まれる。また「優良な材質を示す」には、「優良なパルプ収量指数を示す」、「優良な繊維長を示す」、「優良な引張り強さを示す」、及び「優良な容積重を示す」から選択される少なくとも1つ以上が含まれる。即ち本発明は、
(c)被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(d)被検ユーカリが優良な樹高を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(e)被検ユーカリが優良な容積を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(f)被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(g)被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(h)被検ユーカリが優良な引張り強さを示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(i)被検ユーカリが優良な容積重を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
を提供する。
形質が優良であるか否かの判定は、相対的な基準によって行うことが出来る。即ち、あるユーカリ集団をある基準に基づいて分類した時に、優良な形質を示す個体群の平均値と優良な個体を示さない個体群の平均値の間に統計的な有意差が存在すれば、該基準を優良であるか否かの判定基準とすることが出来る。
また形質が優良であるか否かの判定は、以下の基準によって行うことが出来る。即ち、「優良な胸高直径を示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、その周辺に植裁されている25個体の胸高直径(樹幹の胸高部;地上1.5mの直径)の平均値+1.2σ以上、1.3σ以上、又は1.5σ以上の胸高直径を有するか否かによって判定することが出来る。また「優良な樹高を示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、その周辺に植裁されている25個体の樹高の平均値+1.2σ以上、又は1.3σ以上の樹高を有するか否かによって判定することが出来る。また「優良な容積を示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、その周辺に植裁されている25個体の容積の平均値の1.5倍以上、又は1.75倍以上の樹高を有するか否かによって判定することが出来る。
一方「優良なパルプ収量指数を示す」については、植栽後5年目の時点において、230以上、240以上、又は250以上のパルプ収量指数(PYI; Pulp Yield Index = 容積重×パルプ収率)を示すか否かによって判定することが出来る。また「優良な繊維長を示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、0.8mm以上、0.85mm以上、又は0.9mm以上の繊維長を示すか否かによって判定することが出来る。また「優良な引張り強さを示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、6km以上、7km以上、又は8km以上の引張り強さ(裂断長)を示すか否かによって判定することが出来る。また「優良な容積重を示す」については、植栽後5年目以降伐期までの間のいずれかの時点において、500kg/m3以上の容積重を示すか否かによって判定することが出来る。
また本発明の方法では、2以上の形質に着目し、被検ユーカリが該2以上の形質のいずれについても優良な形質を示すユーカリであるか否かの判定も行うことが出来る。即ち本発明は、例えば、
(j)被検ユーカリが優良な成長及び優良な材質を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(k)被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(l)被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
(m)被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別する方法、
を提供する。
さらに本発明は、
(n)被検ユーカリが上記「優良な胸高直径を示す」、「優良な樹高を示す」「優良な容積を示す」「優良なパルプ収量指数を示す」「優良な繊維長を示す」「優良な引張り強さを示す」「優良な容積重を示す」から選択される任意の2以上の形質のいずれについても優良な形質を示すユーカリであるか否かを判定する方法
を提供するものである。
上記(j)から(n)の方法を実施する場合、ユーカリが有用な形質を示すか否かの判定は、被検ユーカリが2以上の形質のいずれについても優良な形質の基準を満たすか否かによって行うことが出来る。優良な形質の基準を満たすか否かの判断は、上述の基準に従って行うことが出来る。
(1)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程
本発明の方法では、まず、優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する。
本発明の方法において、優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期とは、ユーカリが、上記の形質が優良であるとされる基準を満たさない時期であって、将来の形質を予測することが出来ない時期を意味する。形質がユーカリの成長である場合には、形質が優良であるか否かを判別できない時期として、植栽から5年未満の時期、好ましくは植栽から2〜3年の時期が挙げられる。また、形質がユーカリの材質である場合、形質が優良であるか否かを判別できない時期としては、例えば植栽後10年未満の時期、好ましくは7年未満の時期、特に好ましくは植栽から2〜3年の時期が挙げられる。
本発明において植栽する苗は、実生の苗を植栽する場合、発芽後約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。またクローン(挿し木)苗を植栽する場合、採穂母樹から穂(茎頂から第2〜4節間程度)を採取して土に挿し、約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。本発明においては、木部は、例えばユーカリ樹幹の基部、胸高部、茎頂部などから採取することが可能であるが、これらに限定されるものではない。木部は、樹皮を除くことによって露出させることが出来る。
本発明の方法の1つの態様においては、優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に複数のユーカリの同一部位より木部を採取した後、木部が採取された各ユーカリの栽培を継続する。そして、栽培が継続された各ユーカリが優良な形質を示すか否かを判定する。即ち本発明の方法は、
(a)木部が採取された各ユーカリの栽培を継続する工程、及び
(b)工程(a)で栽培が継続された各ユーカリが優良な形質を示すか否かを判定する工程、
を含んでもよい。
ユーカリの形質の判定が可能になる時点としては、胸高直径の形質を判定する場合には植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点、樹高の形質を判定する場合には植栽後3年目以降(望ましくは5年目以降)の時点、容積の形質を判定する場合には植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点が挙げられる。またパルプ収量指数の形質を判定する場合には植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点、繊維長の形質を判定する場合には植栽後植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点、引張り強さの形質を判定する場合には植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点、容積重の形質を判定する場合には植栽後5年目以降(望ましくは7年目以降)の時点が挙げられる。2以上の形質に着目して本発明の方法を実施する場合には、該2以上の形質の判定が可能になる時点のうち遅いほうの時点まで栽培を継続する。なお、材質が優良であるか否かを判定するためには、上記の時点においてユーカリを伐採し、分析する必要がある。
また本発明の別の態様においては、上記「(1)ユーカリの形質が発現しない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程」において木部が採取された複数のユーカリとして、既に形質が優良であるか否かが知られているユーカリの傍芽(coppice:コピス)やクローンを使用することも可能である。ユーカリの傍芽(coppice:コピス)及びクローンは常法(R. G. Florence, Ecology and Silvisulture of Eucalypt Forests, CSIRO Publishing 1996)に従って作製することが出来る。
なお後述するように、本発明においては、木部における遺伝子群の発現情報を取得する際に、木部における遺伝子群の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態とを相対比較することも出来る。従って本発明においては、ユーカリの木部に加え、木部以外の部位を採取することもできる。ユーカリの木部以外の部位は、木部と比較して遺伝子群の発現差がある部位である限り何ら制限されないが、例えば実生下胚軸、葉、根、樹皮、植物全体などが挙げられる。
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報を取得する工程
本発明の方法では、次いで、上記(1)にて採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報を取得する。遺伝子群の発現情報としては、mRNAの発現情報又はタンパク質の発現情報が挙げられる。mRNAの抽出は例えば当業者に周知の方法や市販のキットを使用して行うことが出来る。また、実施例に記載の方法によって行うことが出来る。本発明においては、ユーカリ由来のmRNAからcRNA調製してもよい。ユーカリ由来のmRNAから調製されたcRNAは、ユーカリ木部で発現しているmRNAから調製されたcRNAであることが好ましい。ユーカリ由来のmRNAからcRNAの調製は、常法(mRNA調整はPaux et al., Plant Molecular Biology 55: 263-280, 2004、cRNA調整はアジレント社製Agilent Low RNA Input Fluorescent Linear Amplification Kit Protocol; http://www.chem.agilent.com/temp/rad7284E/00056998.pdf)により、ユーカリ木部からmRNAを調製し、逆転写反応を行い、DNAの塩基配列を基に作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより行うことが可能である。
mRNAの発現情報は、DNAアレイをはじめとして、ノーザンブロット、ドットブロット、スロットブロット、ATAC-PCR法、Taq Man PCR法、リアルタイムPCR法、逆転写PCR法、SAGE等様々な方法を使用して取得することが出来る。
DNAアレイを使用してmRNAの発現プロファイルを取得する場合、DNA断片の固定(アレイ)方法としては、Affymetrix社開発によるオリゴヌクレオチドを基本としたアレイが例示できる。オリゴヌクレオチドのアレイにおいて、オリゴヌクレオチドは通常in situで合成される。例えば、photolithographicの技術(Affymetrix社)、および化学物質を固定させるためのインクジェット(Rosetta Inpharmatics社)技術等によるオリゴヌクレオチドのインサイチュ合成法が既に知られており、いずれの技術も本発明の基板の作製に利用することができる。なお本発明においては、ユーカリESTのcDNA配列をもとにオリゴDNA(60-mer)の配列を選定し、アレイ基盤上でインサイチュ合成されたカスタムメイドのアレイを使用した。
本発明においては、上記Affymetrix社タイプのDNAマイクロアレイの他に、いわゆるスタンフォード型のDNAマイクロアレイを使用することも可能である。スタンフォード型のDNAマイクロアレイでは、予め調製されたDNA断片を数10μ〜数100μの大きさで、スライドガラス上の決まった位置に定量的に、スポッターを用いて打ち付けることによって作成される。スポット方法にはピン先端の固相への機械的な接触によるピン方式、インクジェットプリンタの原理を利用したインクジェット方式、スポッター内に加熱によって泡を生じさせ、その圧力を利用してサンプルを噴出させるバブルジェット(登録商標)方式、毛細管によるキャピラリー方式などがある。
本発明の方法において、木部に特徴的な遺伝子の発現状態を精度よく測定するために、木部における遺伝子の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態とを相対比較することも出来る。その場合、ユーカリの木部以外の部位からも、mRNAを調製することが必要である。ユーカリの木部以外の部位からmRNAの調製は、木部からmRNAを調製する方法と同様の方法によって行うことが出来る。
いわゆるスタンフォード型のDNAマイクロアレイを使用して相対比較を行う場合、木部及びユーカリの木部以外の部位からmRNAを抽出する。mRNAから逆転写によってcRNAを合成し、木部由来のcRNA及びユーカリの木部以外の部位由来のcRNAを互いに異なる蛍光色素で標識することによってターゲットを調製する。使用する蛍光色素としては、例えばCy3(緑)、Cy5(赤)が挙げられるが、これに限定されるものではない。この二つの試料を基板上で競合的にプローブとハイブリダイゼーションさせ、スキャナー装置等で検出することにより、木部における遺伝子の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態とを相対比較することが出来る。
DNAマイクロアレイにおいて、ハイブリダイゼーションの条件および方法等は、当業者によく知られている。例えば、ハイブリダイゼーションバッファーは、5×SSC、0.5% SDS、4×Denhardt’s solutionなどでよい。ハイブリダイゼーションは、35〜60℃、好ましくは42〜50℃、さらに好ましくは45℃で、2時間以上、好ましくは一晩以上行うとよい。ハイブリダイゼーション条件は、標識分子の量または検出感度等を含む種々の要因に応じて、当業者が適宜設定することができる。ハイブリダイゼーション後、アレイを洗浄して、標識分子を読み取り、共焦点レーザースキャナー装置にてシグナルを可視化し、定量化する。
定量化された全プローブについて、標識分子由来の蛍光強度をテキスト形式の数値データとして得る。この数値データからバックグラウンドの蛍光強度を差し引き、さらに常法(J. Quackenbush, The Chipping Forecast II, Nature Genetics supplement; pp496-501, 2002)より発現レベルを正規化し、各プローブのCy3とCy5の蛍光強度値の比(発現比)とP-Valueを算出し、標準化数値データを得る。
Affymetrix社製のマイクロアレイを使用する場合には、発現比(木部における発現/ユーカリの木部以外の部位における発現)ではなく蛍光強度(=発現量)の数値を使用する。またAffymetrix社製のマイクロアレイを使用する場合にも、木部における遺伝子の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態とを相対比較してもよい。相対比較を行う場合、木部における発現とユーカリの木部以外の部位における発現を個々にAffymetrix社製マイクロアレイで検出し、木部/ユーカリの木部以外の部位の発現比に変換することも可能である。
このようにして選択される標準化数値データ(以下「標準化遺伝子発現プロファイル」と称する)は、バックグラウンドの影響を受けておらず、かつ、遺伝子発現の変動幅がマイクロアレイ実験間での遺伝子発現変動幅を超えている遺伝子の発現情報を有しており、以降の統計解析の信頼性を確保することができるものである。
なおタンパク質の発現情報の取得は当業者に周知の方法、例えばプロテインチップを使用して行うことが出来る。
(3)工程(1)のユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)のユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する工程
本工程では、ユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群(バイオマーカー遺伝子セット又は高判別能バイオマーカー遺伝子セット)等の同定を行う。
バイオマーカー遺伝子セットの同定
まず、バイオマーカー遺伝子セットの同定に関して説明する。バイオマーカー遺伝子セットの同定は下記ステップ1−1から1−5の工程によって行うことが出来る(図1)。
ステップ1−1:
上記標準化遺伝子発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値およびP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる標準化データマトリックスを用意する。
ステップ1−2:
クラス名(形質が優良である、形質が優良ではない)を入力し、入力したクラスに基づき、上記データマトリクス中の発現情報を2グループ(2クラス)に分類し、参照データセットとして設定する。
ステップ1−3:
P<=0.01の発現データを持つプローブ番号を選択する。
ステップ1−4:
ステップ1−3で選択されたプローブ番号ごとの発現データについて、2グループ(2クラス)間でのt検定を行う。ステップ1−3で選択されたプローブ番号ごとの発現データについて、ステップ1−2で分けられた2グループ(2クラス)間でのt検定を行い、|t|>=1のプローブ番号を選択する。
ステップ1−5:
|t|値の大きいプローブから降順にリストを作成し、ユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、即ち、判別能力を有する遺伝子群(バイオマーカー遺伝子セット)を同定する。
バイオマーカー遺伝子セットの判別能力評価(判別率の算定)
次に、上記にて同定されたバイオマーカー遺伝子セットの判別能力の評価を行う。以下、バイオマーカー遺伝子セットの判別能力(判別率)評価の概略について説明する(図2)。
ステップ1−1’:
ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値およびP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる判別用標準化データマトリックスを用意する。
ステップ2−1:
ステップ1−1’の判別用標準化データマトリックス中から、1サンプルのデータを抜き取る。
ステップ2−2:
クラス名(形質が優良である、形質が優良ではない)を入力し、入力したクラスに基づき、1サンプルのデータを抜いたデータマトリクス中のサンプル群を2グループ(2クラス)に分ける。
ステップ2−3:
ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現データについて、P<=0.01のプローブ番号とプローブ番号に対応する発現データを選択する。
ベイジアンアルゴリズムやSVM以外のアルゴリズム(例えば後述のK-NNなど)で判別を行う場合は、ステップ2−6へ進む。
ステップ2−4:
ステップ2−3で選択されたプローブ番号の発現データについて、ステップ2−2で分けられた2グループ(2クラス)間でのt検定を行い、|t|>=1のプローブ番号と発現データを選択する。
ステップ2−5:
ステップ2−1において抜き取った1個体について、ステップ2−4において選択されたプローブ番号の発現データを選択する。
ステップ2−6:
判別処理アルゴリズムによりグループを判別し、正答か誤答かの結果を得る。判別処理に用いるアルゴリズムとしては、例えばベイジアンアルゴリズム(Richard O. Duda et al., Pattern Classification, 2nd ed., New York: John Wiley & Sons, 2001)、K-NN; K-Nearest Neighborアルゴリズム(Cover, T.M. and Hart, P.E., Nearest neighbor pattern classification. IEEE Tr. Information Theory, 1967, IT-13: 21-27)、SVM; Support Vector Machineアルゴリズム(Lee, Y., Lin, Y., and Wahba, G.. Multicategory support vector machines: theory and applications to the classification of microarray data and satellite radiance data. Journal of American Statistical Association, 2004, 99: 67-81.)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ステップ2−7:
全てのサンプルのデータを、テスト用サンプル個体として一度抜き取り、ステップ2−2からステップ2−6までの解析を繰り返す。
ステップ2−8:
各判別処理アルゴリズムの判別能力(判別率:正答サンプル数/総サンプル数)を評価する。このステップにおいて、バイオマーカー遺伝子セットを用いた場合に高判別率である判別処理アルゴリズムが同定される。
高判別能バイオマーカー遺伝子セット及び判別処理アルゴリズムの同定
図1のステップ1−5において、ステップ1−4までの処理において順位付けされたバイオマーカー遺伝子リストの上位から一定数順番に抜き出し、図2に示す遺伝子セットの判別率(正答サンプル数/総サンプル数)を計算することによって、少量に絞った当該バイオマーカーセットの判別能力評価を行うことも出来る。通常、50%以上、好ましくは70% 以上、より好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の判別率(判別能力)を有する遺伝子セットを、高判別能遺伝子セットとして決定する。例えば|t|値の順位が1位から|t|>=1.5以上までの遺伝子を抜き出し判別用標準化データマトリクスとし、ステップ2−1から2−8を実施することで、該当する順位までの遺伝子セットの判別率が算定できる。算定結果が、例えば90%を超える判別率であれば、それらを高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、同定することが出来る。このセットを用いることでより精度の高い判別を実施することが出来る。また高判別能バイオマーカー遺伝子セットを用いた場合に高判別率である判別処理アルゴリズムが同定される。
(4)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より、被検ユーカリの木部を採取する工程
本発明の方法では、次いで、上記「(1)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程」に記載の優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期と同一の時期に、被検ユーカリにおいて、上記(1)に記載の部位と同一部位より木部を採取する。植栽する苗は、実生の苗を植栽する場合、発芽後約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。クローン(挿し木)苗を植栽する場合、採穂母樹から穂(茎頂から第2〜4節間程度)を採取して土に挿し、約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。また木部は、例えばユーカリ樹幹の基部、胸高部、茎頂部から採取することが可能であるが、これらに限定されるものではない。木部は、樹皮を除くことによって露出させることが出来る。
本工程の被検ユーカリは、苗の時点において、上記(1)において植栽された苗と同一の状態であったものであることが好ましい。また本工程において木部を採取される部位は、工程(1)において木部が採取された部位と同一であることが好ましい。さらに、木部の採取は上記(1)と同一の季節、同一の時間帯に行うことが好ましい。また被検ユーカリが植栽された地域も、上記(1)において採取が行われたユーカリと同一であることが好ましい。
木部における遺伝子の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態とを相対比較する場合には、ユーカリの木部以外の部位を採取する。
(5)工程(4)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する工程
本発明の方法では、上記工程(4)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する。発現情報の取得は、上記(2)に記載の方法によって行うことが出来る。また木部における遺伝子の発現状態とユーカリの木部以外の部位における遺伝子の発現状態との相対比較を行う場合には、ユーカリの木部以外の部位からも発現情報を取得する。
本発明の方法においては、工程(2)においてmRNAの発現情報を取得した場合には、工程(5)においてもmRNAの発現情報を取得することが好ましい。また、工程(2)においてタンパク質の発現情報を取得した場合には、工程(5)においてもタンパク質の発現情報を取得することが好ましい。工程(5)におけるmRNA又はタンパク質の発現情報の取得は、上記(2)にて使用した方法と同一の方法によって行うことが好ましい。
本工程において発現プロファイルを作成する際に使用するDNAアレイ上の遺伝子は、上記工程(3)において優良な形質を示すか否かを判別できる遺伝子群として同定された遺伝子とすることが可能である。また、上記(2)で発現取得する際に使用したDNAアレイ上の遺伝子とすることも可能である。なお後者の場合には、得られた遺伝子の発現情報から上記工程(3)において優良な形質を示すか否かを判別できる遺伝子群として同定された遺伝子の発現情報を選択して使用することが必要である。
(6)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(5)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程
以下、被検サンプルの形質判別の概略について説明する。
バイオマーカー遺伝子セット又は高判別能バイオマーカー遺伝子セットを用いた未知の被検サンプルの判別(図3)
ステップ3−0:
ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる判別用標準化データマトリックスを用意する。
または、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる判別用標準化データマトリックスを用意する。
ステップ3−1:
被検サンプルについて、ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる標準化データマトリクスを用意する。
または、被検サンプルについて、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる標準化データマトリクスを用意する。ステップ3−1において、発現プロファイルを得る方法としては、例えばマイクロアレイ解析、RT-PCR解析、ノーザン解析等の発現解析方法が挙げられる。
本発明においては、判別用標準化データマトリクスと被検サンプルの標準化データマトリクスの組み合わせは特に制限されないが、判別用標準化データマトリクスとしてバイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用する場合には、被検サンプルの標準化データマトリクスはバイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものであることが好ましい。また、判別用標準化データマトリクスとして高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用する場合には、被検サンプルの標準化データマトリクスは高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものであることが好ましい。
なお本発明において、判別用標準化データマトリクスとしてバイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用し、被検サンプルの標準化データマトリクスとして高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用する場合、又は、判別用データマトリクスとして高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用し、被検サンプルの標準化データマトリクスとしてバイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するものを使用する場合には、「バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を有するデータマトリクスから高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当する情報を選択する工程」が必要である。
ステップ3−2:
調べようとする形質に基づき、判別用標準化データマトリックス中のサンプル群を2グループ(2クラス)に分ける。
ステップ3−3:
ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現データについて、P<=0.01のプローブ番号と発現データを選択する。または、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現データについて、P<=0.01のプローブ番号と発現データを選択する。
ベイジアンアルゴリズム及びSupport Vector Machineアルゴリズム以外のアルゴリズム(例えばK-NNアルゴリズム)で判別を行う場合は、ステップ3−6へ進む。
ステップ3−4:
ステップ3−3において決定されたプローブ番号の発現データについて、ステップ3−2で分けられた2グループ(2クラス)間でのt検定を行い、|t|>=1のプローブ番号を選択する。
ステップ3−5:
ステップ3−1において得た被検サンプル個体について、ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットの内、ステップ3−4において選択されたプローブ番号の発現データを選択する。または、ステップ3−1において得た被検サンプル個体について、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットの内、ステップ3−4において選択されたプローブ番号の発現データを選択する。
ステップ3−6:
判別処理アルゴリズムによりグループを判別する。
ステップ3−6において使用するアルゴリズムは、バイオマーカー遺伝子セットあるいは高判別能バイオマーカー遺伝子セットの判別能力評価において使用されたものである限り何ら制限されない。判別処理に用いるアルゴリズムとしては、通常ステップ2−8で評価された判別率の高いものを用いることが望ましい。
なお、ステップ3−0において、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる判別用標準化データマトリックスを使用し、かつ、ステップ3−1において、ステップ1−5において決定されたバイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる標準化データマトリクスを使用した場合には、ステップ3−2からステップ3−4を省略しても構わない。この場合、ステップ3−5では、ステップ3−1において得た被検サンプル個体について、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットのプローブ番号の発現データを選択する。
また、ステップ3−0において、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる判別用標準化データマトリックスを使用し、かつ、ステップ3−1において、ステップ2−8において決定された高判別能バイオマーカー遺伝子セットに相当するプローブ番号の発現プロファイルを構成する数値情報(発現比もしくは蛍光値及びP値)が掲載されたデータマトリックスであって、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号のリストからなる標準化データマトリクスを使用した場合には、ステップ3−2からステップ3−5を省略しても構わない。
このように、形質未知の被検サンプルにおいて、調べたい形質の判別用に決定されたバイオマーカー遺伝子セットに含まれる遺伝子の発現を検出し(ステップ3−1)、得られた発現情報をステップ3−2から3−6に準じて処理することにより、その形質についての優良・不良を判別もしくは推定することができる(図3)。本発明においては、工程(6)において被検ユーカリが優良な形質を示すユーカリのクラスに属すると判別された場合、被検ユーカリは将来、60%から100%の精度で優良な形質を示すと判定される。一方、工程(6)において被検ユーカリが優良な形質を示さないユーカリのクラスに属すると判別された場合、被検ユーカリは将来、60%から100%の精度で優良な形質を示さないと判定される。
また本発明は、配列番号:1〜52のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:1〜242のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1〜52のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:1〜242のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:1〜52のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表8から12に記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:1〜52のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
さらに別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:1〜242のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表8から12に記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:1〜242のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
また本発明は、配列番号:65、243〜307のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:65、243〜307のいずれかに記載の塩基配列、または配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:65、243〜307のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表17から20に記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:65、243〜307のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
さらに別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表17から20に記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
また本発明は、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表25から28に記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
また本発明は、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表8から12、17から20、25から28のいずれかに記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
また本発明は、配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表8から12、17から20、25から28のいずれかに記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
また本発明は、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子からなる遺伝子群を高判別能バイオマーカー遺伝子セットとして、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
1つの態様として、以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。
(1)優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
(3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
(4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明においては、必須な作業ではないが、確認作業のために、上記工程(2)の後に、上述のステップ2−1から2−8を行い、工程(1)のユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別することもできるし、また、その判別に使用できるアルゴリズム(例えば、判別率の高いアルゴリズム)を同定することもできる。同定されたアルゴリズムは、上記工程(5)に使用できる。
また上記工程(5)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
別の態様として、以下(1)から(3)の工程を含む方法であって、工程(3)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法を提供する。工程(3)においては、上述のステップ3−0から3−6を行う(ただし、ステップ3−2から3−4、またはステップ3−2から3−5を省略することもできる)。
(1)被検ユーカリにおいて、植裁から2.5年後に胸高部より木部を採取する工程、
(2)工程(1)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
(3)下記(i)から(iii)を用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程;
(i)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、
(ii)表8から12、17から20、25から28のいずれかに記載の発現情報であって、それぞれの参照ユーカリにおける配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236のいずれかに記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報、
(iii)判別処理アルゴリズム。
上記発明において、優良な胸高直径、優良なパルプ収量指数、及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かの判断基準、また、これらの形質を判別出来ない時期の説明は上述の通りである。また上記発明において、遺伝子の発現情報の取得方法も上述の通りである。なお、遺伝子の発現情報を取得する場合、まず目的遺伝子群を含む遺伝子群の発現情報を取得し、次いで、その発現情報から目的遺伝子群の発現情報を取得することができる。例えば、DNAアレイを使用して発現情報を取得する場合には、DNAアレイ上に、少なくとも目的遺伝子群を検出可能なオリゴヌクレオチドが固定されていればよい。目的遺伝子群及びそれ以外の遺伝子群を検出可能なオリゴヌクレオチドが固定されたDNAアレイを使用する場合は、一旦取得した遺伝子群の発現情報から目的遺伝子群の発現情報を取得することができる。
上記発明における参照ユーカリとは、実施例で参照群として使用した個体を意味する。
また、上記発明おける判別処理アルゴリズムとしては、被検ユーカリのクラス判別ができるものであれば特に制限はないが、例えば、ベイジアンアルゴリズム、K-Nearest Neighborアルゴリズム、及びSupport Vector Machineアルゴリズムが挙げられる。
また本発明は、優良な形質を示すユーカリの選抜方法を提供する。本発明の選抜方法においては、まず、複数の被検ユーカリについて、優良な形質を示すユーカリであるか否かを、本明細書に記載の方法によって判定する。次いで、上記にて優良な形質を示すユーカリであると判定された被検ユーカリを選抜する。このようにして選抜されたユーカリを植林することによって、優良な形質を示すユーカリ個体を効率的に取得することが出来る。
また本発明は、下記(1)から(7)の工程を含む方法であって、工程(7)の判別結果に従い、ユーカリの傍芽又はクローンが被検地域において優良な形質を示すか否かを判定する方法を提供する。すなわち、本発明は、下記(1)から(7)の工程を含む方法であって、工程(7)においてユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質のクラスに属すると判別された場合、ユーカリの傍芽又はクローンが被検地域において優良な形質を示すと判定され、工程(7)においてユーカリの傍芽又はクローンが優良ではない形質のクラスに属すると判別された場合、ユーカリの傍芽又はクローンが被検地域において優良な形質を示さないと判定される方法を提供する。
(1)ユーカリの複数の傍芽又はクローンを複数の異なる地域に植栽する工程、
(2)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、工程(1)の複数のユーカリの傍芽又はクローンの同一部位より木部を採取する工程、
(3)工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する工程、
(4)被検地域において、工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンを植栽する工程、
(5)工程(2)と同一の時期に、工程(4)のユーカリの傍芽又はクローンから工程(2)のユーカリクローンと同一部位より木部を採取する工程、
(6)工程(5)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する工程、
(7)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(6)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、ユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
本発明の方法においてはまず、(1)ユーカリの複数の傍芽又はクローンを複数の異なる地域に植栽する。本発明において植栽するユーカリの傍芽又はクローンは、採穂母樹から穂(茎頂から第2〜4節間程度)を採取して土に挿し、約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。本発明においてはユーカリの傍芽又はクローンを2以上の地域に植栽する。植栽する2以上の地域は何ら限定されず、例えば自然環境の全く異なる複数の地域に植栽することが出来る。また、自然環境が類似した複数の地域に植栽することが出来る。さらには、複数のユーカリの傍芽又はクローンの一部を自然環境が類似した複数の地域に植栽し、残りのユーカリの傍芽又はクローンをこれらの地域とは自然環境が全く異なる地域に植栽することも可能である。
本発明の方法においては次いで、(2)優良な形質を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、工程(1)の複数のユーカリの傍芽又はクローンの同一部位より木部を採取する。木部は、例えばユーカリ樹幹の基部、胸高部、茎頂部などから採取することが可能であるが、これらに限定されるものではない。そして(3)工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できる遺伝子群、該遺伝子群の発現情報、及び、工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別するために使用できるアルゴリズムを同定する。これらの工程の具体的な説明は上述の通りである。
本発明の方法においては次いで、(4)被検地域において、工程(1)のユーカリの傍芽又はクローンを植栽する。本発明においては被検地域の数や自然環境は何ら制限されないが、工程(1)の地域とは異なる地域であることが好ましい。植栽するユーカリの傍芽又はクローンは、採穂母樹から穂(茎頂から第2〜4節間程度)を採取して土に挿し、約60日を経て、約30cmの大きさになったものが例示できるが、これに制限されない。
本発明の方法においては次いで、(5)工程(2)と同一の時期に、工程(4)のユーカリの傍芽又はクローンから工程(2)のユーカリの傍芽又はクローンと同一部位より木部を採取する。木部は、例えばユーカリ樹幹の基部、胸高部、茎頂部などから採取することが可能であるが、これらに限定されるものではない。そして、(6)工程(5)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報を取得する。そして、(7)工程(3)で同定された遺伝子群の発現情報、工程(6)で取得された遺伝子群の発現情報、及び工程(3)で同定されたアルゴリズムを用いて、ユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な形質を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する。これらの工程の具体的な説明は上述の通りである。
本発明の方法においては、工程(7)においてユーカリの傍芽又はクローンが優良な形質のクラスに属すると判別された場合、ユーカリの傍芽又はクローンは、被検地域において、60%から100%の精度で優良な形質を示すと判定される。即ち、被検地域がそのユーカリの傍芽又はクローンの植栽に適している地域であると判定される。一方、工程(7)においてユーカリの傍芽又はクローンが優良ではない形質のクラスに属すると判別された場合、ユーカリの傍芽又はクローンは、被検地域において、60%から100%の精度で優良な形質を示さないと判定される。即ち、被検地域がそのユーカリの傍芽又はクローンの植栽に適した地域ではないと判定される。このように本発明は、被検地域がユーカリの傍芽又はクローンの植栽に適した地域であるか否かを判定する方法を提供する。ユーカリの傍芽又はクローンの作製は、常法(R. G. Florence, Ecology and Silvisulture of Eucalypt Forests, CSIRO Publishing 1996)によって行うことが出来る。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実験手法に関しては、特に記載のない限り、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、農村文化社(1989年))や、「Molecular Cloning(Sambrookら(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)」などの実験書に従った。
(実施例1)ユーカリESTデータベースとマイクロアレイの作製
大量の遺伝子情報を得るため、ユーカリ各組織のESTデータベースとマイクロアレイを作製した。以下にその実施例を示す。
(1)ユーカリからのRNA抽出
抽出の対象となるユーカリ組織については、幹の木部(形成層〜木繊維形成領域)を用いた。サンプル組織は、ナイフやコルク(コア)ボーラー等を用いて樹皮を除いた後、露出している木部を取得した。RNA抽出の基本的な方法は、日尾野らの方法(特開平8−080191)に記載の方法であるが、市販のRNA抽出キット(キアゲン社RNeasy Plant Mini kit)等を用いても行える。下記には、ユーカリ木部を材料に用いたRNAの抽出方法を詳細に説明する。
木部組織5gを小片にし、液体窒素中で磨砕した。これを50ml遠心チューブ(NUNC社製)に移し、ガラスビーズを10g加えた後、ホモジナイザーで5分間摩砕した。これにジチオスレイトール(1mg/ml)を含むメタノール溶液を用いて上清に着色が認められなくなるまで(3回程度)摩砕試料の溶媒抽出を繰り返した。抽出終了後、試料を凍結乾燥させた。この凍結乾燥試料を25mlのpH9 100mM CHES 緩衝液(使用直前に20ミリグラムのジチオスレイトール、10mMバナジルリボヌクレオシド化合物溶液を添加)と混合し65℃で30分間保温した。保温終了後の試料溶液中に、5M塩化ナトリウム溶液及び10%CTAB溶液を添加した。この際、添加後の試料溶液中における塩化ナトリウム濃度は1.4M、CTAB濃度は1%(w/v)となるようにした。試料溶液をよく混合した後65℃で10分間保温した後、等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(=24:1)溶液を添加し、緩やかに、かつ充分に混合した。混合後、遠心操作により上清を回収した。上清に対し、55%容のイソプロパノールを添加し、1時間氷冷した。遠心操作により沈殿を得、これを水に溶解させた後、フェノール抽出を行った。フェノール抽出後の上清に10%容の3M酢酸ナトリウム溶液および60%容のイソプロパノールを添加し、よく混合した後、遠心操作により沈殿を回収した。沈殿を滅菌水にて溶解した後、終濃度3Mとなるように12M 塩化リチウム溶液を添加し、よく混合した後、1時間氷冷した。遠心操作によりRNA沈殿を回収し、洗浄、乾燥を経て、最終的に水100μLに溶解させ、total RNA約300μgを得た。total RNA画分からPolyATtract mRNA Isolation SystemIII &IVキット(Cat.# Z5300& Z5310 プロメガ社製 USA)を用いて約2μgのmRNAを得た。
(2)cDNAライブラリーの構築
(1)で示した方法により得られた各種組織、状況由来のユーカリmRNAを、クロンテック社のSmart cDNA library construction kitを用いてcDNAを合成し、最終的にファージミドライブラリーとした。こうして作成されたゲノムDNAライブラリーは、各々が1×10pfu以上の独立のクローンからなるものであった。尚、ライブラリーの増幅は作製した一部に対して行い、クローンの解析には増幅をかけずに供した。
(3)cDNAクローンの塩基配列解読とデータベース構築
各組織由来のユーカリファージミドcDNAライブラリーより、クローンをランダムに選抜し、プラスミドを精製後、アマシャム社のダイターミネーターシークエンスキットによる酵素反応を経て、同社の大規模高速シーケンサーを用いて、塩基配列データの取得を行った。
データ解析は、プラスミド由来の既知配列を削除した後、解析ソフトウェアにより、クラスタリング操作により相同配列の抽出を行った。その後、遺伝子情報データベースの1つである米国・GenBankの全データベースとの比較検索により、おおよその機能予測(アノテーション)をおこなった。
(4)ユーカリ樹幹特異的オリゴマイクロアレイの作製
上述のユーカリESTデータベースより、ユーカリオリゴマイクロアレイの作製を行った。なお、実際の作製は、アジレントテクノロジー社(日本国内代理店は、横河アナリティカルシステムズ)に委託した。詳細については下記ホームページに記述されている。 http://www.chem.agilent.com/cag/country/JP/products/PCol494.htm 。
このようにして作製したユーカリオリゴマイクロアレイを用いることで、ユーカリ木部で発現を認める遺伝子7537種の発現情報を得ることが出来る。この数は、ユーカリ樹幹部で発現を認める遺伝子の大部分を網羅している。
(実施例2)ユーカリ植林木サンプルの採取
遺伝子発現情報解析のサンプルとしては、オーストラリア・西オーストラリア州・アルバニー市(パースの南方約500kmの都市)近辺の合計6ヶ所の植林地に生育中の2.5年生ユーカリプタス・グロブルス(Eucalyptus globulus)植林木の木部を用いた。これらの植林木は、植裁後8年目の成長データや植裁後10年目(伐採時)の材質データを持っているため、将来優良な形質を表す各個体の、若い時期(早期)の遺伝子発現プロファイルを得る材料として適している。木部の採集方法は、実施例1に示した方法に従った。採集地域の自然環境は、年平均気温が約17℃、年降水量が550〜900mmである。また、土壌環境も含め総合的には、8年生植林木(優良木を含まない)の成長パラメーターが、胸高直径:13〜17cm、樹高:13〜17m、容積:0.06〜0.15m3である環境を持つ地域である。本実施例では、前述の西オーストラリア州アルバニー地域の植林地で生育しているユーカリを用いさらに詳しく説明するが、本発明のバイオマーカー情報抽出方法は、アルバニー地域に限定されるものではなく、他の植林地で生育している植林木を用いても実施できる。また、本発明のバイオマーカーの利用は、アルバニー地域と同様の気温、降水量、成長性を示す他の植林地で生育している植林木を用いても実施できる。
本実施例では、以下のパラメーターを満たす個体については、それぞれ(1) 胸高直径優良木、(2)材質優良木として説明する。両パラメーターとも満たす個体については、単に優良木として説明する。
(1) 候補個体の胸高直径(樹幹の胸高部;地上1.5mの直径)が、その周辺に植裁されている25個体の胸高直径の平均値+1.5σ以上である場合
(2) パルプ収量指数(PYI; Pulp Yield Index = 容積重×精選パルプ収率)が250以上である場合
前述の定義を満たした優良木の中でも、下記パラメーター値のいずれかを満たす個体は、特に優れた形質を持つ優良系統であるとして説明する。
(1) 樹高が周辺木(25個体)の平均値+1.5σ以上
(2) 容積が周辺木(25個体)の平均値の2倍以上
(3) パルプ収量指数が300以上
(4) 繊維長が0.9mm以上
表1は、本実施例で用いた胸高直径優良木22個体と胸高直径不良木4個体(コントロール1〜4)の植裁後8年目の成長パラメーターと、各植林地での年平均降水量を示している。表2、3は、本実施例で用いた材質優良木16個体の植裁後8年目の成長パラメーターと植裁後10年目(伐採時)の材質パラメーターと、各植林地での年平均降水量を示しており、表2ではパルプ収量指数を基準に、表3では繊維長を基準に、材質を優良、不良に分類して示している。10年目伐採時の傍芽を植栽したサンプル個体の2.5年生植物体からRNAを抽出し、マイクロアレイ実験により遺伝子発現プロファイルを得た。各サンプル個体の2.5年生植物体は、表1〜3の成長データや材質データが得られた植林地・位置と全く同一の植林地・位置で生育しているので、将来表に示す形質を表す各個体の、若い時期(早期)の遺伝子発現プロファイルを得る材料として適している。
成長性としては胸高直径、樹高、容積等がある。本実施例においては、胸高直径についてさらに詳しく説明するが、本発明は胸高直径に限定されるものではない。本実施例4に示す方法に従い、検査したい成長性の項目で母集団を再分類し解析することで、それら項目の判定・予測を行うバイオマーカー情報の抽出が出来る。
材質としては、パルプ収量指数、繊維長、繊維粗度、引張り強さ等がある。本実施例においては、パルプ収量指数と繊維長についてさらに詳しく説明するが、本発明はパルプ収量指数と繊維長に限定されるものではない。本実施例6、8に示す方法に従い、検査したい材質の項目で母集団を再分類し解析することで、それら項目の判定・予測を行うバイオマーカー情報の抽出が出来る。
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(実施例3)マイクロアレイ発現解析
本実施例で示すマイクロアレイ実験には、アルバニー地域で生育中の植林木の対照試料として、無菌播種し25℃で発芽後2週間目のユーカリ属グロブルス種の実生下胚軸を用いた。実生下胚軸では、木部(木繊維)分化がほとんど生じていないため、これを対照試料とすることで、木部分化に関係する遺伝子群の発現情報をより明瞭に得ることができる。
本発明者らは、実施例1に示したRNA抽出方法に従って、実施例2で採取したユーカリ属グロブルス種の2.5年生植物体の木部と実生下胚軸を材料に全RNAを抽出した。各サンプルから得られた全RNAから、アジレント社製のLow RNA Input Linear Amplification kit PLUS two colorsにより、2種の蛍光色素(cy3.cy5)により標識したcRNAを合成した。対照となるグロブルス実生下胚軸の全RNAからも、同様に2種の蛍光色素(cy3.cy5)により標識したcRNAを合成し、それを各サンプル由来のプローブとして、マイクロアレイ基板上のオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションを行った。マイクロアレイ実験でのハイブリダイゼーションは、各サンプルとも「Cy5標識サンプル木部由来cRNAとCy3標識サンプル下胚軸由来cRNA」、「Cy5標識サンプル下胚軸由来cRNAとCy3標識サンプル木部由来cRNA」の2種類の組み合わせ(反復実験)で行った。標識を含むハイブリダイゼーションの方法はアジレントテクノロジーより提示の解析プロトコルに従った。スキャンして得られた画像から蛍光強度を算出し、ロゼッタバイオソフトウェア社製の解析ソフトウェア(Resolver Ver. 6.0)にて解析し、反復実験全てを統合し、各ユーカリ植林木サンプルの木部での遺伝子発現プロファイルを得た。より具体的には、「Cy5標識サンプル木部由来cRNAとCy3標識サンプル下胚軸由来cRNA」のハイブリダイゼーション及び「Cy5標識サンプル下胚軸由来cRNAとCy3標識サンプル木部由来cRNA」のハイブリダイゼーションによって得られた得られた各遺伝子の発現比(木部/下胚軸)を1つに統合し、各ユーカリ植林木サンプルの木部での遺伝子発現プロファイルを得た。
より具体的には、各遺伝子の木部平均蛍光強度/下胚軸平均蛍光強度の計算式によって発現比を得た。さらに、各遺伝子のサンプル木部平均蛍光強度と下胚軸平均蛍光強度とそれぞれの誤差から、各遺伝子の発現プロファイルがP値を求めた。このようにして、植林木サンプル木部における7537遺伝子の発現プロファイルを得て、データベース(標準化データマトリクス)として以降の解析に用いた。
(実施例4)ユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットの決定と評価
本実施例で用いたユーカリ植林木の胸高直径は表1に示した通りである。実験に用いたサンプルは、ヒルマン(Hilman)、P・レイトン(P. Leighton)、ポウルトニー(Poultney)、レイトン(Leighton)の4林地から、参照群として胸高直径優良木22個体とコントロールとなる胸高直径不良木4個体(コントロール1〜4)の計26個体である。これらユーカリ植林木の胸高直径優良クラスと胸高直径不良クラスを、それぞれのクラスの参照遺伝子発現データセットとし、ユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットの情報を抽出した。
バイオマーカー遺伝子セットの情報抽出は、マイクロアレイ実験結果(遺伝子発現情報)を、図1に示すスキームによりデータ処理して行った。具体的には、実施例3に示すように各胸高直径優良木と胸高直径不良木(コントロール)から7537遺伝子の発現プロファイルをマイクロアレイにより収集し(標準化データマトリクス)、解析ソフト(Rosetta Biosoftware社; Resolver Ver. 6.0)を用いて図1に示すステップ1−1から1−5のデータ処理を行い、|t|>=1.0である999種類の遺伝子からなる胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットを決定した。
次に、このユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットの判別能力評価を、図2に示すステップ1−1’、2−1から2−8のデータ処理にて行った。
|t|>=1.0である999遺伝子の発現データを、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、胸高直径優良クラスもしくは不良クラスの判別率(正答数/総サンプル数)は、ベイジアンでは92.3%、K-NNとSVMでは88.5%であった(表4)。
|t|>=1.5である242遺伝子の発現データを、前述の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンでは100%、K-NNとSVMでは92.3%であった(表4、図4)。
|t|>=2.0である52遺伝子の発現データを、3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンでは100%、K-NNでは92.3%、SVMでは96.2%であった(表4)。
以上の結果から、3種のどのアルゴリズムを用いても90%以上の高判別率で、胸高直径優良木の判定もしくは将来予測を行うことができる高判別能ユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットとして、|t|>=1.5である242遺伝子(配列番号:1〜242)が決定された(表5及び表6)。また|t|>=2.0である52遺伝子(配列番号:1〜52)が決定された(表5)。これら242遺伝子について、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号(配列番号で示す)からなるユーカリ胸高直径優良木判定のための判別用標準化データマトリクスを表8〜12に示した。表中の数値は、各配列番号によって示されるマイクロアレイ上の各プローブ番号の発現比「木部における発現(蛍光値)/下胚軸における発現(蛍光値)」(P<=0.01)を表している。
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(実施例5)ユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットを用いた未知被検サンプルの判別
実施例4で決定された高判別能ユーカリ胸高直径優良木判定用バイオマーカー遺伝子セットの有効性を検証するため、被検サンプルについて胸高直径の優劣判定を行った。
具体的には、実施例4に示した26個体に、27個体目(L4336)と28個体目(B6405)を将来の胸高直径が未知であると仮定した被検サンプルとして加え、図3に示すステップ3−0、3−1から3−6のデータ処理スキームに則って行った。この被検サンプル個体は、表2中の胸高直径データが示すように胸高直径優良木であるので、正しく判定がなされれば胸高直径優良クラスに分類されるはずである。
図3ステップ3−0に従い、最初に参照データセット側として表8〜12に示す判別用標準化データマトリクスを用意した。次に、マイクロアレイ実験によりL4336 とB6405における7537遺伝子の発現プロファイルを得た後、高判別能胸高直径優良木判定用バイオマーカー(242遺伝子)の発現プロファイルを抽出し、被検サンプルの標準化データマトリクスを用意した(ステップ3−1)。参照データセット側のサンプルは表1に示すクラス名を、被検サンプルのクラス名は未知(Data to classify)と入力し(ステップ3−2)、図3ステップ3−3から3−6に示すデータ処理スキームに則り、発現プロファイルをデータ処理した。その結果、L4336とB6405の被検サンプルは、胸高直径優良クラスに分類された(図5)。この判定結果は、2個体の胸高直径データに合致することから、本発明の胸高直径優良木判定用バイオマーカーの有効性が示された。
従って、参照データセットとして表8〜12に示す判別用標準化データマトリクスを用いる、もしくは形質が判明しているサンプルから高判別能胸高直径優良木判定用バイオマーカー(242遺伝子)の発現プロファイルを取得しておけば、任意の被検植林木サンプルから得られたバイオマーカーの発現情報を、図3のスキームに則って比較解析することで、胸高直径の判定や将来予測が可能となり、十分早期に胸高直径優良木が選抜できる。
(実施例6)ユーカリパルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットの決定と評価
本実施例で用いたユーカリ植林木のパルプ収量指数を表2に示す。実験には、レイトン(Leighton)、タグウェル(Tugwell)、ブラック(Black)の3林地から、参照群となる材質データを持つ胸高直径優良木16個体を用いた。これらユーカリ胸高直径優良木を、材質の1つ「パルプ収量指数」を基準に、材質優良な高パルプ収量指数「高PYI」クラスと低パルプ収量指数「低PYI」クラスの2クラスに分類し、それぞれを各クラスの参照遺伝子発現データセットとし、パルプ収量指数を基準としたユーカリパルプ収量指数判定用バイオマーカー情報を抽出した。
バイオマーカーとなる遺伝子セットの情報抽出は、マイクロアレイ実験結果(遺伝子発現情報)を、図1に示すスキームによりデータ処理して行った。具体的には、実施例3に示すように各高PYI木と低PYI木から7537遺伝子の発現プロファイルをマイクロアレイにより収集し(標準化データマトリクス)、解析ソフト(Rosetta Biosoftware社; Resolver Ver. 6.0)を用いて図1に示すステップ1−1から1−5のデータ処理を行い、|t|>=1.0である1249種類の遺伝子からなるパルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットの決定した。
次に、このパルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットの判別能力評価を、図2に示すステップ1−1’、2−1から2−8のデータ処理にて行った。
|t|>=1.0である1249遺伝子の発現データを、実施例4に記載の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、高PYIクラスもしくは低PYIクラスの判別率(正答数/総サンプル数)は、ベイジアンとK-NNでは100%、SVMでは56.3%であった(表13)。
|t|>=1.5である311遺伝子の発現データを、前述の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンとK-NNでは100%、SVMでは93.8%であった(表13、図6)。
|t|>=2.0である66遺伝子の発現データを、3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンとK-NNでは100%、SVMでは93.8%であった(表13)。
以上の結果から、3種のどのアルゴリズムを用いても90%以上の高判別率で、パルプ収量指数の判定もしくは将来予測を行うことができる高判別能ユーカリパルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットとして、|t|>=1.5である311遺伝子(配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545)が決定された(表14〜表16)。また|t|>=2.0である66遺伝子(配列番号:65、243〜307)が決定された(表14〜表16)。
これら311遺伝子について、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号(配列番号で示す)からなるユーカリパルプ収量指数判定のための判別用標準化データマトリクスを表17〜20に示した。表中の数値は、各配列番号によって示されるマイクロアレイ上の各プローブ番号の発現比「木部における発現(蛍光値)/下胚軸における発現(蛍光値)」(P<=0.01)を表している。
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(実施例7)ユーカリパルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットを用いた未知被検サンプルの判別
実施例6で決定された高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー遺伝子セットの有効性を検証するため、被検サンプルについてパルプ収量指数判定を行った。
具体的には、実施例6に示した16個体に、17個体目(H1172)をパルプ収量指数が未知であると仮定した被検サンプルとして加え、図3に示すステップ3−0、3−1〜3−6のデータ処理スキームに則って行った。この被検サンプル個体は、表1中に示しているように胸高直径優良木であるが、パルプ収量指数は243.5であったので、正しく判定がなされれば低PYIクラスに分類されるはずである。
図3ステップ3−0に従い、最初に参照データセット側として表17〜20に示す判別用標準化データマトリクスを用意した。次に、マイクロアレイ実験により被検サンプルH1172における7537遺伝子の発現プロファイルを得た後、高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー(311遺伝子)の発現プロファイルを抽出し、被検サンプルの標準化データマトリクスを用意した(ステップ3−1)。参照データセット側のサンプルは表1に示すクラス名を、被検サンプルのクラス名は未知(Data to classify)と入力し、図3に示すデータ処理スキームに則り、発現プロファイルをデータ処理した。その結果、被検サンプルH1172は、低PYIクラスに分類された(図7)。この判定結果は、H1172のパルプ収量指数データ(243.5で低PYI)に合致することから、本発明の高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカーの有効性が示された。
従って、参照データセットとして表17〜20に示す判別用標準化データマトリクスを用いる、もしくは形質が判明しているサンプルから、高判別能パルプ収量指数判定用バイオマーカー(311遺伝子)の発現プロファイルを取得しておけば、任意の被検植林木サンプルから得られたバイオマーカーの発現情報を、図3のスキームに則って比較解析することで、パルプ収量指数の判定や将来予測が可能となり、十分早期に優良木の材質による評価や選抜ができる。
(実施例8)ユーカリ優良木繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットの決定と評価
本実施例で用いたユーカリ植林木の繊維長は表3に示した通りである。実験には、レイトン(Leighton)、タグウェル(Tugwell)、ブラック(Black)の3林地から、参照群となる繊維長データを持つ胸高直径優良木16個体を用いた。これらユーカリ胸高直径優良木を、材質の1つ「繊維長」を基準に、長繊維クラスと短繊維クラスの2クラスに分類し、それぞれを各クラスの参照遺伝子発現データセットとし、ユーカリ繊維長判定用バイオマーカー情報を抽出した。
バイオマーカーとなる遺伝子セットの情報抽出は、マイクロアレイ実験結果(遺伝子発現情報)を、図1に示すスキームによりデータ処理して行った。具体的には、実施例3に示すように各長繊維木と短繊維木から7537遺伝子の発現プロファイルをマイクロアレイにより収集し(標準化データマトリクス)、解析ソフト(Rosetta Biosoftware社; Resolver Ver. 6.0)を用いて図1に示すステップ1−1〜1−5のデータ処理を行い、|t|>=1.0である2059種類の遺伝子からなるユーカリ繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットを決定した。
次に、この繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットの判別能力評価を、図2に示すステップ1−1’、2−1〜2−8のデータ処理にて行った。
|t|>=1.0である2059遺伝子の発現データを、実施例4に記載の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、長繊維クラスもしくは短繊維クラスの判別率(正答数/総サンプル数)は、ベイジアンでは93.8%、K-NNでは87.5%、SVMでは68.8%であった(表21)。
|t|>=1.5である942遺伝子の発現データを、前述の3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンでは100%、K-NNでは93.8%、SVMでは81.3%であった(表21)。
|t|>=2.0である326遺伝子の発現データを、3種のアルゴリズムにて判別した。その結果、判別率はベイジアンでは100%、K-NNでは93.8%、SVMでは93.8%であった(表21、図8)。
以上の結果から、3種のどのアルゴリズムを用いても90%以上の高判別率で、繊維長の長短の判定もしくは将来予測を行うことができる高判別能ユーカリ繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットとして、|t|>=2.0である326遺伝子(配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832)が決定された(表22〜24)。これら326遺伝子について、サンプル個体番号のリストとマイクロアレイ上のプローブ番号(配列番号で示す)からなるユーカリ繊維長判定のための判別用標準化データマトリクスを表25〜28に示した。表中の数値は、各配列番号によって示されるマイクロアレイ上の各プローブ番号の発現比「木部における発現(蛍光値)/下胚軸における発現(蛍光値)」(P<=0.01)を表している。
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(実施例9)ユーカリ材質優良木繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットを用いた未知被検サンプルの判別
実施例8で決定された高判別能ユーカリ繊維長判定用バイオマーカー遺伝子セットの有効性を検証するため、被検サンプルについて繊維長判定を行った。
具体的には、実施例8に示した16個体に、17個体目(H1163)を繊維長が未知であると仮定した被検サンプルとして加え、図3に示すステップ3−0、3−1〜3−6のデータ処理スキームに則って行った。この被検サンプル個体は、表1中に示しているように胸高直径優良木であるが、繊維長は0.78mmであるので、正しく判定がなされれば短繊維長クラスに分類されるはずである。
図3ステップ3−0に従い、最初に参照データセット側として表25〜28に示す判別用標準化データマトリクスを用意した。次に、マイクロアレイ実験により被検サンプルH1163における7537遺伝子の発現プロファイルを得た後、高判別能繊維長判定用バイオマーカー(326遺伝子)の発現プロファイルを抽出し、被検サンプルの標準化データマトリクスを用意した(ステップ3−1)。参照データセット側のサンプルは表1に示すクラス名を、被検サンプルH1163のクラス名は未知(Data to classify)と入力し、図3に示すデータ処理スキームに則り、発現プロファイルをデータ処理した。その結果、被検サンプルH1163は、短繊維長クラスに分類された(図9)。この判定結果は、H1163の繊維長データ(0.78mmで短繊維)に合致することから、本発明の高判別能繊維長判定用バイオマーカーの有効性が示された。
従って、参照データセットとして表25〜28に示す判別用標準化データマトリクスを用いる、もしくは形質が判明しているサンプルから、高判別能繊維長判定用バイオマーカー(326遺伝子)の発現プロファイルを取得すれば、任意の被検植林木サンプルから得られたバイオマーカーの発現情報を、図3のスキームに則って比較解析することで、繊維長の判定や将来予測が可能となり、十分早期に優良木の繊維長材質による評価や選抜ができる。
(実施例10)ユーカリ優良木判定用バイオマーカー情報の分類と利用
実施例4、6、8で示したバイオマーカー遺伝子の総数は832個であり、それぞれのバイオマーカーは図10に示す以下の(a)〜(f)に大別される。
(a)成長性(胸高直径)の判定に使用可能であるがパルプ収量指数と繊維長の判定には使用不可能なバイオマーカー(配列番号:2〜33、35〜38、40〜52、54〜63、65〜98、100〜106、108〜120、122〜126、128〜144、146〜159、161〜167、169〜174、176、177、179〜201、203〜208、210、211、213、214、216〜235、237〜242)
(b)成長性(胸高直径)とパルプ収量指数の判定に使用可能であるが繊維長の判定には使用不可能なバイオマーカー(配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175)
(c)パルプ収量指数の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)と繊維長の判定には使用不可能なバイオマーカー(配列番号:243〜545)
(d)パルプ収量指数と繊維長の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)の判定には使用不可なバイオマーカー(配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236)
(e)成長性(胸高直径)と繊維長の判定に使用可能であるがパルプ収量指数の判定には使用不可能なバイオマーカー(配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533)
(f)繊維長の判定に使用可能であるが成長性(胸高直径)とパルプ収量指数の判定には使用不可能なバイオマーカー(配列番号:546〜832)
実施例4、6、8で示した各形質の高判別率バイオマーカー遺伝子セットとその判別用標準化データマトリクスを全て用いることが、被検サンプルの形質判定において信頼度の高い結果をもたらすが、上記に大別された遺伝子群から例えば表5、6、14〜16、22〜24に示す|t|値順位の上位の遺伝子を少数をピックアップし、マイクロアレイやそれ以外の発現解析方法(例えばノーザン解析法やRT−PCR法等)で発現情報を取得し、表7〜12、17〜20、25〜28に示す標準化データマトリクスを参照し図3で示したスキームに則りデータ処理することでも、植林木の成長性、パルプ収量指数、繊維長について、優良もしくは不良クラスの判定および将来予測が可能となる。
本発明によって、遺伝子発現情報を用いた植物の形質を判定もしくは予測する方法が提供された。従来、植林事業において優良木の選抜とその材質データを得るためには、大変長い時間と労力に加え、熟練者の経験が必要であった。しかし本発明の方法を用いることによって、植物の形質が優良であるか否かを判定できない時期に、植物の形質を判定することが可能になった。本発明によって、植物の育種・施業の効率化やコスト低減等のメリットが期待できる。

Claims (12)

  1. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1〜52に記載の塩基配列、または配列番号:1〜242に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  2. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径を示すユーカリであるか否かを請求項に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良な胸高直径を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
  3. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:65、243〜307に記載の塩基配列、または配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175、243〜545に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  4. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良なパルプ収量指数を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを請求項に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良なパルプ収量指数を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
  5. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236、254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533、546〜832に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  6. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを請求項に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
  7. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:34、65、107、121、127、145、160、175に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  8. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであるか否かを請求項に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良な胸高直径及び優良なパルプ収量指数を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
  9. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:254、257、279、283、303、315、326、347、350、358、366、371、384、393、394、397、404、449、457、458、477、482、489、494、496、516、533に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良な胸高直径及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  10. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを請求項に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良な胸高直径及び優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
  11. 以下(1)から(5)の工程を含む方法であって、工程(5)の判別結果に従い、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判定する方法;
    (1)優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを判別出来ない時期に、複数のユーカリの同一部位より木部を採取する工程、
    (2)工程(1)で採取された各ユーカリの木部において発現している遺伝子群の発現情報のうち、配列番号:1、39、53、64、99、168、178、202、209、212、215、236に記載の塩基配列のそれぞれに対して相補的な配列を有する各遺伝子の発現情報を取得する工程、
    (3)被検ユーカリにおいて、工程(1)と同一の時期に、工程(1)のユーカリと同一部位より木部を採取する工程、
    (4)工程(3)で採取された木部において発現している遺伝子群のうち、工程(2)の各遺伝子の発現情報を取得する工程、及び
    (5)工程(2)で取得された各遺伝子の発現情報、工程(4)で取得された各遺伝子の発現情報、並びに、ベイジアン(Bayesian)、K-NN(K-Nearest Neighbors)、SVM(Support Vector Machine)からなる群より選択される判別処理アルゴリズムを用いて、被検ユーカリが優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリのクラスに属するか又は優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示さないユーカリのクラスに属するかを判別する工程。
  12. 下記(a)及び(b)の工程を含む、優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリの選抜方法;
    (a)複数の被検ユーカリについて、優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであるか否かを請求項11に記載の方法によって判定する工程、及び
    (b)工程(a)において優良なパルプ収量指数及び優良な繊維長を示すユーカリであると判定されたユーカリを選抜する工程。
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