JP5168045B2 - 高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
鋼材の600℃における高温強度の強化機構として、(1)フェライト結晶粒径の微細化、(2)硬化相による分散強化、(3)微細析出物による析出強化、(4)合金元素による固溶強化、の4種類の機構がよく知られている。
a)Nbの窒化物の析出を抑制するため、Tiが過剰に添加されており、厚鋼材では粗大なTi析出物が生じ、母材や溶接熱影響部の靱性が確保できない、
b)脱酸のためにAlが過剰に添加されており、厚鋼材では島状マルテンサイトによる靱性の低下が問題になる、
c)B(ホウ素)を含有することがあり、溶接熱影響部の高温延性の低下、即ち再熱脆化への対策がなされていない、
等の問題点を有している。
x)図1(b)に示すように、Moが結晶粒界に偏析する、
y)Moの添加量が所定の量以上に達すると、Moの粒界偏析が飽和する、
z)粒界に偏析したMoは、フェライト変態を抑制し、ベイナイト変態を促進させる
こと、即ち、Moは、Bと同様、鋼の焼き入れ性を向上させ、強度を高める効果を奏し、固溶量を確保するためには、所定量以上の添加が必要であることを見出した。
(3)質量%で、Zr:0.03%以下、Hf:0.010%以下の一方又は双方を更に含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。
(4)質量%で、Cr:1.5%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。
(5)質量%で、Mg:0.005%以下、REM:0.01%以下、Ca:0.005%以下の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。
(6)質量%で、Mo:0.15%以上0.50%以下を含有することを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。
(8)(7)記載の圧延後、フランジを外側からスプレー冷却し、フランジの、800℃から500℃までの温度範囲の平均冷却速度を0.1〜10℃/sとして冷却することを特徴とする高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材の製造方法。
Cは、構造用鋼材として必要な強度を得るために、0.001%以上の添加が必要である。好ましくは、0.005%以上含有させる。しかし、含有量が0.020%を超えると、Moが炭化物であるMo2Cとして析出し、固溶強化に寄与する固溶Moの量が減少する。したがって、固溶Moのドラッグ効果による強化効果を得るためには、C量の上限を0.020%に制限する必要がある。なお、C量の上限は、0.020%未満とすることが好ましい。更に、固溶Moのドラッグ効果による強化効果を確実に得るためには、上限を0.015%以下とすることが好ましく、粗大な炭化物の生成を防止して、母材及び溶接熱影響部の靭性や耐再熱脆特性を向上させるためには上限を0.012%以下とすることが更に好ましい。
C−Mo/15.47≦0.005
を満たすことが必要である。上式は、高温強度に及ぼすCの含有量とMoの含有量との関係について検討し、実験によって得られた経験式である。なお、C、Moは、それぞれC、Moの含有量であり、単位は質量%である。より高い高温強度を確保するためには、C−Mo/15.47をMoがやや過剰となるマイナス値とすることが好ましい。下限は特に規定しないが、Cの下限値とMoの上限値から求められる、C−Mo/15.47の下限値は、−0.038である。
一方、TiによるMo2C抑制効果が十分に得て、高温強度を確保するためには、Ti/Nを2以上にすることが必要であり、3以上とすることが好ましい。
なお、本発明の鋼の金属組織はマッシブフェライト組織、ベイナイト組織、ポリゴナルフェライト組織以外に、少量のマルテンサイト組織、残留オーステナイト組織、パーライト組織が生じていることがある。即ち、これら一般的に混入し得る組織の存在を排除する
ものではない。
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
であり、式中のC、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Vはそれぞれの元素の含有量[質量%]である。
上記成分を有する鋼を溶製し、鋳造して鋼片とする。生産性の観点から、連続鋳造が好ましい。得られた鋼片は、熱間圧延によって鋼板又は形鋼に成形され、冷却される。なお、本発明が対象とする鋼材は、圧延された鋼板、H形鋼、I形鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚山形鋼等の形鋼が含まれる。この内、耐火性及び耐再熱脆化特性が要求される建材には、特にH形鋼が好適である。
なお、この箇所の特性を求めたのは各々の部位がH形鋼断面の代表的な部位であり、H形鋼の平均的な機械特性及び断面内のばらつきを示すことができると判断したためである。
また、HAZの再熱脆化は、実際に溶接を行ってHAZ部の特性を評価せず、溶接と同等の熱サイクルをサンプルに加える再現試験で評価した。具体的には、H形鋼のフランジ1/4F部から直径10mmの丸棒の試験片を採取し、昇温速度10℃/sで1400℃に加熱して1s保持し、800℃から500℃までの冷却速度を15℃/sとして冷却し、昇温速度を1℃/sとして600℃に加熱し、600s保持した後、0.5MPa/sの増加速度で引張応力を加え、破断部の絞り、即ち、再現HAZ再熱脆化絞りで評価した。
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 中間圧延機
5 仕上圧延機
6 フランジ水冷装置
7 H形鋼断面
8 フランジ
9 ウェブ
Claims (8)
- 質量%で、
C:0.001%以上0.020%未満、
Si:0.05%以上0.50%以下、
Mn:0.8%以上2.0%以下、
Mo:0.15%以上0.60%以下、
Ti:0.005%以上0.040%未満、
N:0.0001%以上0.0050%未満、
Al:0.005%以上0.030%以下
を含有し、
P:0.03%以下、
S:0.02%以下
に制限し、C、Mo、Ti、Nの含有量が、
C−Mo/15.47≦0.005、
2≦Ti/N≦12
を満足し、残部がFe及び不可避不純物からなり、一体成形されたフランジとウェブからなるH形の断面形状を有し、前記フランジの板厚が12mm以上であり、前記ウェブの板厚が7mm以上であることを特徴とする高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 質量%で、
V:0.10%以下、
Nb:0.03%未満
の一方又は双方を更に含有することを特徴とする請求項1記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 質量%で、
Zr:0.03%以下、
Hf:0.010%以下
の一方又は双方を更に含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 質量%で、
Cr:1.5%以下、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下
の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 質量%で、
Mg:0.005%以下、
REM:0.01%以下、
Ca:0.005%以下
の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 質量%で、
Mo:0.15%以上0.50%以下
を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の成分を有する鋼片を1100〜1350℃に加熱し、ユニバーサル圧延設備列によって、1000℃以下での累積圧下率を30%以上として熱間圧延することにより、フランジとウェブからなるH形の断面形状を有し、前記フランジの板厚が12mm以上であり、前記ウェブの板厚が7mm以上である鋼材とすることを特徴とする高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材の製造方法。
- 請求項7記載の圧延後、フランジを外側からスプレー冷却し、フランジの、800℃から500℃までの温度範囲の平均冷却速度を0.1〜10℃/sとして冷却することを特徴とする高温強度、靭性及び耐再熱脆化特性に優れた耐火鋼材の製造方法。
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