JP5165927B2 - 要求される塗料の量を決定するための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗装ロボットの塗装作業のための、要求される塗料の量を決定するための方法に係る。
塗装ロボットの塗装作業のための要求される塗料の量を決定するための方法、並びに、塗装ロボットを運転するための当該方法の使用が規定される。
塗装ロボットを運転するときに、特定の塗装作業のために要求される塗料の量を、人手により設定することが、広く知られている。この設定は、一般的に、塗料の消費量の大雑把な見積もりに基づいていて、従って、塗装作業の全体に渡ってロボットに塗料が供給されることを確保するために、高い安全係数が織り込まれる必要がある。
本発明の実現すべき一つの目的は、塗装ロボットの塗装作業のための、要求される塗料の量を決定するための方法を規定することにあり、その方法によれば、低い安全係数を用いて作業を行うことが可能になる。
本発明の方法の一つの実施形態によれば、塗装ロボットの計画された動作シーケンスが、塗装ロボットの塗装パラメータとともに、要求される塗料の量のための統合値(integration value)を決定するために使用される。
本発明の一つの実施形態によれば、前記統合値のための修正係数(correction factor)が決定される。
更なる方法のステップにおいて、前記統合値及び前記修正係数から、スタート値(start value)が、適応システム(adaptive system)のスタートのベースとして、構成されることが可能である。
ここに記載された方法は、特に好ましくも、産業的な塗装のプラクティスに適用されることが可能である。そこでは、形状の多様性及び塗装されるパーツの複雑さが、着実に増大しており、それと同時に、塗料の色の多様性も拡大している。
本発明の方法は、特に、自動塗装ロボットのための使用に適している。幾何学的形状に対するオプションの幅広い多様性と、顧客固有の塗料(それらは、ときには、一年の間に数回しか塗装されない)の数の多さの両方は、塗装されるパーツのための高い個別的な因子が存在し、且つ、多くの数の同一の塗装作業が、非常に稀にしか実施されないことを意味している。
ここに記載された方法は、特に好ましくは、塗装ロボットの塗料の色が切り替えられなければならない場合に、使用されることが可能である。その理由は、特に、二つの塗料の色の間の切り替えが、塗料の損失を不可避的に伴うからである。ここに記載された方法の助けにより、可能な限り正確な値として以前に計算された塗料の量を、塗装作業で使用することにより、塗料の損失を減らすことが可能になる。
要求される塗料の量の先行する計算のために、特に統合オペレーション(integration operation)が考慮されることが可能であり、その中において、ロボットの運動の予め規定されたプログラムをベースにして、塗料の量の計算が、前もって実施される。統合オペレーションにより、合計の塗料消費の理論値が、このケースにおいて、それぞれの所望の塗料の吐出量及び塗装ロボットの運動または移動の時間から決定される。
例えば、一定の吐出速度で、即ち時間当たり一定の塗料の吐出量で、これは、塗装ロボットの移動時間で容易に乗ぜられることが可能である。他のケースにおいて、時間に依存する吐出速度が、塗装ロボットの運動を介して、積分されることが可能である。
好ましくは、この統合オペレーションの中で、ロボットの所望の動作値(motional values)のみが考慮に入れられる。特に、ロボットの曲線または方向転換ポイントでの所望の動作値からの変動は考慮されない。これらの変動は、ロボットが有限の加速能力のみしか有していないと言う事実から生ずる。
塗装の長さ、従ってそれから決定される消費値もまた、それ故に、誤差を含んでいる。しかしながら、計算(これは、ロボットの所望の動作値のみに基づいている)が非常に単純に定式化され、且つ僅かな計算の労力及び所要時間で実行されることが可能であるという事実のために、その誤差が埋め合わされる。
統合プロセス(integration process)において、そして理論的な塗料の消費量の決定において、ロボットの運動学を無視することを、少なくとも部分的に、補償するため、ここに記載された方法によれば、修正係数が決定され、その修正係数から、統合値ともに、適応システムのためのスタート値が決定される。
適応システムとして、例えば、少なくとも一つの人工的なニューラル・ネットワークに基づくシステムが、考慮されることが可能である。このシステムは、学習フェーズの助けにより、要求される塗料の量のためのスタート値から、正確に計算された要求される塗料の量を決定することができる。塗装される同一の幾何学的形状及び同一の色が与えられると、この種の適応システムは、塗装作業のそれぞれの数の中で、それぞれ実際に要求される塗料の量を決定し、この値を、同一の形及び色の次の部分の要求される塗料の量のためのスタートのベースとして使用する。
この方法のために、幾何学的形状と特定の塗料の色のそれぞれの組み合わせに対する正確に計算された塗料の消費量を決定するために、幾つかの塗装作業を実際に実施することが必要である。適応システムのためのスタート値が、より正確に決定されればされる程、適応システムの学習フェーズの中で失われる塗料の量が少なくなる。その理由は、実際の塗装ランの数が、それによって減少させることができるからである。
ここに記載された方法の助けにより、可能な限り正確に、要求される塗料の量のためのスタート値が、一つの且つ同一の塗装作業ために実際の塗装ランが実施される必要無く、前もって計算され、そして、適応システムの学習フェーズの間での塗料の損失が最小限に抑えられることが可能である。ここに記載された方法を使用しない場合には、適応システムのための最初のスタート値として、非常に高い安全プレミアムを有する見積り値が、使用されなければならず、そのことは、学習オペレーションのための実際の塗装ランの回数のみならず、塗料の損失をも増大させることになるであろう。
本発明方法の一つの実施形態によれば、スタート値の構成に先立って、どちらが、現在の塗装作業を先行する塗装作業に関連付けるかについての決定が行われる。差別化が、ここで、以下の二つのケースの間で行われる:
(i) 現在の塗装作業は、単に、いずれかの先行する塗装作業の変形である;
(ii) 現在の塗装作業は、新しい塗装作業であって、いずれかの先行する塗装作業の変形を構成しない。
本発明の方法のこの実施形態によれば、差別化は、それ故に、その塗装作業が、単に、いずれかの先行する塗装作業の変形を構成するか、あるいはそうでないかの程度に基づいて行われる。ここで、次の事実に対して考慮が払われなければならない:即ち、実際に使用される塗装ラインにおいて、これに対して責任のあるオペレータが、頻繁に塗装作業のためのパラメータの変更を行い、彼らは塗装作業の前のバージョンに対して塗装作業を変更するが、その変更は、それにも関わらず、僅かに修正された変形しかもたらさない。
パラメータの変更は、塗装の過程で欠陥が発生したときに、特に必要になることがある。そのような欠陥は、例えば、自動車のドア下枠領域での僅かなアンダー・コーティングなどであり、その原因は、例えば、塗料負荷の変動、季節的な気候の変化、または新しい塗料の色の導入などに起因すると考えられる。
製造の間、製造ラインにおいては、時間的な制約のために、欠陥の原因をより詳細に調べる機会がないために、そのような欠陥は、通常、できる限り速やかに、例えば、固有の欠陥に応じて塗料の供給量を増大させることにより、治癒される。しかしながら、このことは、不都合なことに、全体としての消費量の増大をもたらす。
ケース(ii)において、人手で決定される値が、修正係数として使用されることが可能である。ここで、適切な修正係数は、人手により、例えばプラントのオペレータにより、経験的なデータに基づきおよび/または制御に基づくやり方で、決定されおよび/または登録される。ここでは、比較的高い修正係数が、最初に規定されることが可能であり、そして次に、反復的に、次回の塗料の量のチェックが行われ、そして必要な場合には、所望の塗料の量が実現されるまで修正係数が調整され、そして修正係数の最適値が決定される。
もし、状況(i)が相応しい場合には、先行する塗装作業の知識が、修正係数を決定するために、好ましくも使用されることが可能である。このことは、必ずしも直前の塗装作業に対して関係付けられる必要はなく、先行する塗装作業が考慮されても良い。プリカーサ(precursor)塗装作業と現在の塗装作業が、可能な限り互いに異なっていないこと、そして、単に僅かなパラメータの変更によって互いに入れ替えられること可能であることが、全く重要である。
一旦、プリカーサ塗装作業が決定されると、プリカーサ塗装作業についての情報が、修正係数を決定するために使用されることが可能になる。特に、修正係数を決定するため、プリカーサ塗装作業の実際に要求された塗料の量が使用されることが可能である。好ましくは、本発明の方法の適用の過程の中で、全ての塗装作業で実際に要求される塗料の量が、適切なデータベースの中に貯えられ、それによって、それらが、修正係数の計算のために、いつでも参照されることが可能になる。
更に、先行する塗装作業での実際に要求された塗料の量に加えて、統合ステップ(integration step)の中で計算された先行する塗装作業のための塗料の量も、修正係数を決定するために、使用されても良い。原則として、ここでは、同一の統合方法(integration method)が使用され、それは、現在の塗装作業のために使用されるものと同様である。
その決定に続いて先行する塗装作業の統合値が計算されるか、あるいは、その計算された値が関連するデータベースの中に既に存在しているか、のいずれかである。
好ましくは、先行する塗装作業での実際に要求された塗料の量と、統合ステップの中で得られた計算された塗料の量は、商を形成するために使用され、その商は、現在の塗装プログラムのために計算された統合値に乗ぜられる。
このようにして、単純な統合により計算された塗料の量と、実際に要求された塗料の量との間の変動に関する、同様な塗装作業から得られた経験が、新しい塗装作業のために要求されるであろう塗料の量を決定するために使用されることが可能である。
一般的に、実際に要求される塗料の量は、統合ステップの中で計算される塗料の量から変化するであろう。それによって、修正値として、1よりも大きいかあるいは小さい値が得られることになる。
これに加えて、本発明の方法の更なる実施形態においては、不確定性に対して特別の考慮が行われることも可能になる。その不確定性は、統合ステップにおける、運動学の無視に起因している。例えば、不確定因子は、次の事実により補償されることが可能である:それは、このために、運動学を十分考慮して先行する計算からもたらされる経験値、あいは試行からたらされる経験値が、適用されることが可能である、と言うことである。
運動学の不確定因子は、特に、次の事実から発生する:それは、ロボットが、所望の速度をいつでも保つことができず、動作方向の変化、方向転換、加速、及び減速の際に、一般的に、要求された速度と比べて遅く動くことである。それ故に、ロボットは、平均して遅めに移動および/または運動を行い、そのことは、一定の塗料噴射速度では、塗料の消費量の増大をもたらす。
それぞれ要求される塗料の量、または所望の消費量からのその変動は、次に、ロボットの運動に依存する−もし、例えば、モーターの内側が塗装される場合、ロボットは、非常に頻繁にその方向を変えなければならず、そのために、例えば、外部塗装のケース(その場合には、実質的に矩形の経路がたどられる)と比較して、所望の値からより大きく逸脱するであろう。この修正係数は、それ故に、ロボット・プログラムに関係する値である。
ここに記載された方法は、何よりも、塗料の電位の分離を可能にする塗装システムにおいて、有効に使用されることが可能である。水性塗料が使用されるときに、電位の分離が要求され、その場合には、塗料は、コーティング効率を増大させるために高電圧電位にセットされる。このことは、塗装の間に形成される塗料のミストからの塗料粒子が、塗装される接地された対象物の上に堆積され、それによって、コーティング効率が増大されると言う効果を有している。
本発明の方法の使用は、満たされた塗料カートリッジを含む塗装ロボットを運転するために、特に考慮されても良い。この種のカートリッジを使用するソリューションにおいては、塗装に先立って、ロボットのアトマイザーに、最大の、予め定められた固定体積の塗料を含む塗料タンクが供給される。この体積は、ここに記載された方法により、計算されることが可能である。カートリッジの充填は、塗料が無い状態で、別個のシステムにより行われる。
交互に使用される複数のカートリッジ、あるいは、それぞれの次回の塗装作業のために非常に迅速な充填作業によって準備される単一のカートリッジの、いずれの場合もあり得る。そのような装置の優位性は、一方においては、電位の分離が、充填ステイションからのカートリッジ・ホルダーの機械的な分離により確実に実現されると言う事実に有り、そして、もう一方では、使用可能な塗料の数が増大されることが可能であると言う事実に有る。
他の実施形態において、ここに記載された方法を、ストッパーにより分離された塗料配管を含む塗装ロボットを運転するために使用することが可能である。このいわゆるピグ(pig)を用いるソリューションにおいて、特定の体積の塗料が、塗装プラントの塗料混合チャンバーから、ロボットに伸びる塗料配管の中に送り込まれる。この体積は、少なくともそれぞれの塗装作業で要求される塗料が、塗料カラムとして配管の中に含まれるように、選択される。
塗料カラムの末端は、いわゆるピグにより、即ち管と正確に同一の内径を有する一種の栓により、構成される。一つの塗料の色のための塗料カラムに続いて、次の塗料の色(ピグにより再び分離さている)が、配管の中に所望の量で、既に満たされることが可能である。既存のピグは、特に、電気絶縁の役割を担うことも可能であり、従って、電位の分離を可能にする。
塗料の量を決定するための方法が、以下において、図面を参照して詳細に説明される。
特定の塗装作業に対応する現在のロボット・プログラム“R”に対して、統合プロセスにより、統合値“I”が決定される。その統合プロセスは、動作シーケンスと、ロボット・プログラムの塗装パラメータの両方を考慮に入れるが、その中で、運動学については考慮されない。
更に、現在のロボット・プログラム“R”が完全に新しいロボット・プログラムであるか、あるいは、それが、プリカーサ・ロボット・プログラム“Rpre”の変形を構成するかについての決定が、行われる。問題のロボット・プログラムが新しい場合には、マニュアル設定の修正係数“C”が決定され、この修正係数は、統合ファクター(integration factor)に乗ぜられたときに、適応システムのためのスタート値“S”を構成する。
現在のロボット・プログラム“R”が、変形されたロボット・プログラムを構成する場合には、現在のロボット・プログラム“R”に最も近いプリカーサ・ロボット・プログラム“Rpre”が決定される。最も単純化されたケースにおいて、プリカーサ・ロボット・プログラムは、直前のプログラムとして決定される。
一旦、プリカーサ・ロボット・プログラム、即ちそれ故に現在のロボット・プログラム“R”の予備バージョン、が得られたときには、統合値“Ipre”が、計算から決定される。それは、現在のロボット・プログラム“R”のために、対応して実施されるものと同様である。即ち、その計算は、動作シーケンス及び塗装パラメータを十分に考慮して行われるが、運動学は考慮されない。統合値“Ipre”は、要求に応じて計算されることが可能であり、あるいは、それはデータベースの中に既に存在している。
同様に、予備バージョンのための実際の塗料の消費量“apre”が、例えばデータベースから、決定される。現在のロボット・プログラム“R”の新しい学習フェーズのためのスタート値“S”は、そのとき、次の式から得られる:
S = I x apre/Ipre
本発明の方法の実施形態の例を示す図
符号の説明
C…修正係数、R…ロボット・プログラム、Rpre…プリカーサ・ロボット・プログラム、I…統合値、Ipre…プリカーサ統合値、S…スタート値、apre…予備バージョンに対する実際の消費量。

Claims (9)

  1. 塗装ロボットの塗装作業のための、要求される塗料の量を決定するための方法であって、
    (a) 統合オペレーションの中で、塗装ロボットの動作シーケンス及び塗装パラメータから、塗料の量のための統合値(I)が決定され;
    (b) 塗装ロボットの運動学を考慮に入れた修正係数(C)が決定され;
    (c) 前記統合値(I)及び前記修正係数(C)から、適応システムのスタートのための基礎としてスタート値が構成され;
    (d) スタート値が、適応システムへ送られ、この適応システムは、少なくとも一つの人工的なニューラル・ネットワークに基づくシステムとして形成されていて、要求される塗料の量を決定すること
    を特徴とする方法
  2. 下記特徴を有する請求項1に記載の方法:
    前記スタート値の構成に先立って、どちらが、塗装作業を先行する塗装作業に関連付けるかについての決定がなされ、ここで、塗装作業は下記の内のいずれかである:
    (i) いずれかの先行する塗装作業の単なる変形;
    (ii) 新しい塗装作業。
  3. 下記特徴を有する請求項2に記載の方法:
    (i)の場合において、前記修正係数(C)が、前記先行する塗装作業での実際に要求された塗料の量から決定される。
  4. 下記特徴を有する請求項3に記載の方法:
    前記修正係数(C)が、前記先行する塗装作業での、実際に要求された塗料の量及び統合オペレーションの中で計算された塗料の量から決定される。
  5. 下記特徴を有する請求項2に記載の方法:
    (ii)の場合において、前記修正係数(C)が人手で決定される。
  6. 下記特徴を有する請求項4に記載の方法:
    前記修正係数(C)が、前記二つの塗料の量の商として構成される。
  7. 下記特徴を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の方法:
    ステップ(b)の中で、塗装ロボットの所望の動作値が、運動学を考慮することなく、作業のベースとして採用される。
  8. 満たされた塗料カートリッジを備えた塗装ロボットを運転するための、請求項1から7のいずれか1項に記載された方法の使用。
  9. ストッパーで分離された塗料配管を備えた塗装ロボットを運転するための、請求項1から7のいずれか1項に記載された方法の使用。
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