本発明は、添付の図面を参照して説明される。図面では、類似の参照番号は、同一または機能的に類似の要素を示す。さらに、符号の一番左の数字は、その符号が最初に表れる図面を特定することができる。
特定の構造および構成が説明されるが、これは説明の目的だけのためになされていることを理解されたい。当業者であれば、他の構造および構成を本発明の精神および範囲から逸脱することなく用いることができることが分かるであろう。この発明が様々な他のアプリケーションに採用されてもよいことは当業者にとって明らかである。
本明細書は、ビームポインティング誤差、ビーム位置決め誤差、ビームサイズ誤差、ビームダイバージェンス誤差のうち1つ以上における変動の制御を含む、または光ビームのダイバージェンスを測定することを含む本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示された実施形態は、開示された実施形態は、単に本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限られない。本発明は、この文書に添付された特許請求の範囲によって定義される。
本明細書において「一実施形態」、「実施形態の一実施例」とは、説明した実施形態が特定のフィーチャ、構造、または特徴を含んでいてもよいことを表すが、すべての実施形態がその特定のフィーチャ、構造、または特徴を必ずしも含んでいるわけではない。さらにまた、上記のフレーズは必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定のフィーチャ、構造、または特徴を一実施形態に関して説明するとき、明示的に説明しようがしまいが、他の実施形態に関してそのような特定のフィーチャ、構造、または特徴を作用させることは、当業者の知識の範囲内であるとして理解すべきである。
本発明の実施形態は、少なくとも一部分において、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施形態は、また、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行されるコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたインストラクションとして実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、機械により読み取り可能な形式の情報を記憶または伝送するメカニズムを含んでもよい(例えば、コンピュータデバイス)。例えば、コンピュータ読み取り可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気ディスク記憶媒体;光記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションは、特定の動作を実行できるものとして、ここで説明されてもよい。しかしながら、このような説明は、単に便宜上のためだけであり、このような動作は、実際は、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションなどを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
本発明の実施形態は、全反射(TIR)を用いたビームポインティングセンサおよび/またはビームダイバージェンスセンサを提供する。これらは、全反射の高い角感度を用いてビームポインティング変動および/またはビームダイバージェンスを以前のセンサ設計よりも高精度で測定する。この方法の感度は、入射角の関数としての急峻な透過カットオフ(transmission cut-off)を考慮して設計されている光学コーティングを付加してさらに改良され得る。表面プラズモン共鳴(SPR)が従来よりフィルムの厚みおよびフィルムの屈折率変化をモニタするために用いられているが、ビームのポインティング/位置の変化を測定する超高感度の方法としては用いられていない。表面プラズモン共鳴(SPR)−全反射(TIR)を用いたビームポインティングセンサおよび/またはビームダイバージェンスセンサは、全反射および表面プラズモン共鳴の高い角感度を用いて、入射照明の干渉法によるアライメントと比較して以前のセンサ設計よりも高精度で、ビームポインティングの変動および/またはビームダイバージェンスを測定する。この方法の感度は、入射角の関数としての分極相転移(polarization phase transition)の付加でさらに改良され得る。
図1A−図1Dを参照して、本発明の一実施形態に係る光ビーム15の光ビームポインティングおよび/または角度および/またはビームダイバージェンス測定のために、プリズム10(1−4)などの光学素子または透過型光学素子の実施例を概略的に説明する。特に、図1Aは、光透過性材料のプリズム10内における反射および透過の光学的効果を示す。図1Bは、光透過性材料のプリズム10内におけるTIRの光学的効果を示す。図1Cは、光学コーティングにより改良されたTIRの光学的効果を示す。図1Dは、TIRの光学的効果と併せたSPRの光学的効果を示す。
プリズム10(1−4)は、光ビーム15のポインティングまたは角度および/またはビームダイバージェンスを検出するために、ガラスなどの光透過性材料から成ってもよい。光ビーム15のビーム角「a」またはポインティング方向または入射角を検出するために、プリズム10(1)は、少なくとも1つの物理的または光学的特性をサポートしてもよい。図示されるように、図1Aのビーム角「a」のビームは、矢印15aにより示される内部反射と、矢印15bにより示される屈折を示す可能性がある。しかしながら、図1Bに示されるように、プリズム10(2)は、ビーム角「a」の光ビーム15に対して、矢印15cにより示されるように全反射(TIR)をサポートする可能性がある。さらなる実施例においては、本明細書で説明されるプリズム10(2)などの光学素子は、理論上のTIR未満の最大反射率を提供する。このTIRを有するプリズム10(2)は、光ビーム15のビーム角「a」またはポインティング方向または入射角の測定に用いられてもよい。
TIRによって利用可能とされた所与の角感度を増大させるために、プリズム10(3)の表面20の一部は、図1Cに示すように、コーティング層25でコーティングされていてもよい。コーティング層25は、2つのビーム角a、a’の間のビーム角の変動、すなわち、入射照明の干渉法によるアライメントに対する、対応する光ビーム15のポインティング方向または入射角、の測定を可能とする材料から成っていてもよい。プリズム10(3)の斜辺の表面上にコーティング層25を形成可能な材料の例は、金属および誘電体を含む。よく使用される金属層は、アルミニウム、銀、および金を含む。誘電体層は、ガラスまたはしばしば石英ガラス(FS)から製造される。
本発明の一実施形態において、プリズム10(4)は、図1Dに示されるように、プリズム10(4)の表面プラズモン共鳴(SPR)をサポートするコーティングスタック25(1)が設けられてもよい。一実施形態において、プリズム10(4)は、照明器50の光学トレイン(optical train)30に設けられてもよい。各共鳴が吸収振幅ノッチ(absorption amplitude notch)および関連するフェイズノッチ(phase notch)を含んだくし状の共鳴を有する信号を生成するために、コーティングスタック25(1)は、その上に薄い金属層25aおよび誘電体層25bを備えてもよい。別の実施形態において、コーティングスタック25(1)は、厚い誘電体層で覆われた薄い金属層を備えてもよい。
作動中、光がプリズム10(4)に入射し、かなりの急角度でプリズム10(4)の斜辺に当たると、TIRが発生する。角度「a’」などのこの急角度は、一般に、臨界角と呼ばれる。臨界角は、材料に入射する光の角度であり、例えば、プリズム10(4)が形成される材料の屈折率に関係している。光が臨界角よりも小さい角度でプリズム10(4)に当たる場合、図1Aのプリズム10(1)に示されるように、光は透過するだけである。もちろん、光は、材料の種類に基づいて屈折または曲げられるかもしれないが、基本的にはプリズム10(1)を透過する。臨界角または臨界角よりも大きい任意の角で当たると、図1Bのプリズム10(2)により示されるように、光は全反射する。言い換えると、プリズム10(2)の斜辺の両面が理想的な鏡面として機能するので、大きな光の損失が無い理想的に100%の反射が生じる。
図1Bを参照して、光ビーム15のポインティングまたは角度またはビームダイバージェンスを検出するための方法が提供される。この方法は、光ビーム15のビーム角「a’」またはポインティング方向または入射角のうち少なくとも1つを検出するために、光学トレイン内に表面20を有するプリズム10(2)などの透過型光学素子を設けるステップを備え、プリズム10(2)は、光ビーム15のビーム角「a’」またはポインティング方向または入射角を測定するために、全反射(TIR)をサポートする。
図1Cを参照して、全反射(TIR)に基づいた所与の角感度を増大させるために、プリズム10(3)などの透過型光学素子の表面20の一部が、光ビーム15のビーム角「a’」またはポインティング方向または入射角の変動を測定するためにコーティングされてもよい。
図1Dを参照して、くし状の共鳴部分を有する信号を生成するために、プリズム10(4)等の透過型光学素子における表面プラズモン共鳴(SPR)をサポートするコーティングスタック25(1)が設けられてもよい。このくし状部分において、各共鳴は、吸収振幅ノッチおよび関連するフェイズノッチを含む。吸収振幅ノッチは均一な角度に分離されている可能性があるが、個々の吸収振幅ノッチは各ノッチにわたって非対称な吸収応答を示す。コーティングスタック25(1)は、光ビーム15の方向を変化させる少なくとも1つの物理的および/または光学的特性を有してもよい。
図1Eを参照すると、本発明の一実施形態に係る、電子光学検出器(electronic optical detector)102と、SPRスタック25(1)を有する光学プリズム10aと、を備えるビームポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサ100が説明されている。検出器102の一例は、フォトダイオードである。SPRポインティング測定の例において、干渉法によるアライメント110を用いた入射照明105は、光学プリズム10aに衝突する可能性がある。例えば、干渉法によるアライメント110を用いた入射照明105は、光学プリズム10aのSPRスタック25(1)に45°で衝突する。電子光学検出器102は、90%〜10%の光で光信号の強度を検出してもよい。SPRスタック25(1)は、アルミニウム(AL)などによる23nmの金属層、および二酸化シリコン(SiO2)などの1mmの厚みの誘電体層を備えてもよい。
光ビーム15の光ビームポインティングを測定するためのビームポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサ100は、表面が光学トレイン内に配置されているプリズム10aを備えてもよい。プリズム10aは、光ビーム、例えば入射照明105、に対して全反射(TIR)を可能とする透過性材料から成っていてもよい。検出器102は、入射照明105のビームポインティング、ビーム位置、またはダイバージェンスのうち少なくとも1つの変動を電気的に検出してもよい。
図1Eの一実施形態に示されるように、プリズム10aの表面の一部は、入射照明105のビーム角、ビームポインティング方向、またはダイバージェンスのうち少なくとも1つを測定するために、プリズム10aが入射照明105を受光するコーティングを含む。このコーティングは、入射照明105の方向を変化させる少なくとも1つの物理的または光学的な特性を有してもよい。このコーティングは、透過と反射の間の全反射(TIR)の遷移(transition)が発生する率を改善する可能性がある。このコーティングは、SPRスタック25(1)aなどの多層スタックを備えてもよい。このような多層スタックは、吸収光学材料と透過光学材料の二層スタックを含んでもよい。二層スタックは薄い吸収金属層とそれに続く厚い誘電体層を備えてもよいが、薄い吸収金属層と厚い誘電体層の二層スタックは、導波路を可能とする。この場合、導波路などの二層スタックは、表面プラズモン共鳴(SPR)を可能とする。厚い誘電体層は、真空蒸着またはスパッタされた実質的に平行平面板であってもよい。あるいはまた、この平面板は、光学的に制御されていてもよい。
図1Fを参照すると、本発明の一実施形態に係る、電子光学検出器102と、厚みに段のあるスタック形状のSPR誘電体層115を有するSPRスタック25(1)を備えた光学プリズム10aと、を備えるビームポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサ100aが説明されている。入射照明105は、入射照明の様々な公称角および範囲を検出するために、段付きSPRスタックの厚みの異なる部分を横切ってスキャンされてもよい。このように、コーティングまたはSPRスタック25(1)aは、段付きウェッジ形状の誘電体層を含み、段付きウェッジは、誘電体層の厚みが異なる第1部分および第2部分を含む。
図1Gを参照すると、本発明の一実施形態に係る、電子光学検出器102と、くさび形SPR誘電体層120を有するSPRスタック25(1)aを備えた光学プリズム10aと、を備えるビームポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサ100bが説明されている。一実施形態において、例えば、厚い誘電体層がくさび形プレートであってもよい。厚みの異なるくさび領域をスキャンすることにより、可変角度範囲センサとして機能する単一センサが可能となる。このように、コーティングまたはSPRスタック25(1)aは、くさび形プレートの形状の誘電体層を含む。ビームポインティングまたはダイバージェンスセンサ100bなどのチューナブルレンジのポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサを提供するために、くさび型プレート上の所望の照明領域にわたっって入射光ビーム15がスキャンされてもよい。
図2は、本発明の一実施形態に係る、S偏光方向R(s)の反射率(%)を示す第1プロット200aをP偏光方向R(p)の反射率(%)を示す第2プロット200bとともに示す。すなわち、図2は、入射する光学放射の所与の波長に対する入射角の関数として、TIRの反射率のプロットを示している。約0〜40ミリラジアン(mrads)の角度範囲にわたって透過光と全反射光の間の遷移(transition)が発生しているのが見て取れる。例えば、石英ガラス/空気界面における、矢印210により示された臨界点外の角度でのTIRへの移行が図示されている。0〜10mradsの第1入射角範囲205(1)において、光は反射されていない。しかし、10〜40mradsの第2角度範囲205(2)において、光は反射するように遷移する。最終的に、40〜60mradsの第3角度範囲205(3)において、光は、矢印210により示された臨界点外の角度で全反射し始める。すなわち、理想的に100%の光が第3角度範囲205(3)において反射されている。
ビームポインティングおよび/またはダイバージェンスモニタとして臨界点210外の角度でTIRを用いるために、10°〜40°の第2角度範囲205(2)において、プリズム10(2)または10(3)に向けられた光または光ビーム15のポインティングおよび/または入射角が変化する。プリズム10(2)または10(3)が光に対して移動していてもよいし、または光がプリズム10(2)または10(3)に対して移動していてもよい。すなわち、ビームポインティングは、角度並びにSおよび/またはP偏光の関数として変化することができる。しかし、光ビーム15のビームポインティング角「a」が10°から40°に向かって変化している場合(すなわち、ビーム角「a」が90°のとき光ビーム15はプリズム10(2)の斜辺の表面20に対して垂直である)、第2プロット200bが示すように、特定のビームポインティング角に対して所定の対応する反射率を提供する可能性がある。例えば、10度のビームポインティング角において5%の反射が存在するが、30度のビームポインティング角において10%の反射が存在し、または40度において100%の反射が存在する。
ビーム角のゲージ(gauge)として、ポインティング全反射ビームとなり得る反射ビームにおける反射光ビームの量または%を使用および/または測定することにより、本発明の一実施形態に係るビームポインティングセンサを形成可能である。例えば、ビームポインティングセンサは、0mradsから40度または±40度のビームポインティング角および/または入射角の範囲において、所望の範囲においてこの角度を測定することにより、動作してもよい。
複数の入射角に対して反射ビーム光の量または%を測定することにより、実施形態に係るビームダイバージェンスセンサを形成できる。例えば、ビームダイバージェンスセンサは、0mradsから40度または±40度の入射角範囲において動作可能である。
図1Dに示すように、プリズム10(4)が本発明の一実施形態に係るSPRアシストされたTIRを提供してもよい。プリズム10(4)の斜辺面に、薄い金属層25aが蒸着またはコーティングされてもよく、この層の上に誘電体層25bなどの比較的厚い層がコーティングまたは蒸着されてもよい。プリズム10(4)に対して適切な屈折率を有する所望の光学的な透過性材料を選択することにより、例えばガラスを用いることにより、光が層25aおよび25bに衝突するときに正常に全反射するようにスタック25(1)の共鳴を選択できる。光の一部は、金属層25aにより吸収される可能性があり、層の平面に沿って導波路のように内部に進み、角共鳴、言い換えればSPRを生成する。
図3は、本発明の一実施形態に係る、入射する光学放射の所与の波長に対する入射角の関数として、非コーティングの反射率のプロット400aおよびTIRと、強化光学コーティングの反射率のプロット400bを概略的に示す。強化光学コーティングプロット400bは、TIR遷移の角度応答を狭めていることが分かる。このTIRへの移行は、勾配を高めるためのコーティングの有無にかかわらず、石英ガラス/空気界面で見られる。
図4は、本発明の一実施形態に係る、入射する光学放射の所与の波長に対する入射角の関数として、TIR−SPRの反射率のプロットを示す。照明の入射角の関数としてのSPRのプロットが、光が全反射から全吸収へと遷移する比較的タイト又は非常に小さい角度範囲の共鳴とともに示されている。図4に示すように、角度の関数である周期現象として、くし形ノッチ(a comb of notches)共鳴が発生する。R(s)曲線200aおよびR(p)曲線200bとして示されている異なるR偏光およびS偏光の2つのプロットは、180°オフセットされている。S偏光R(s)に関する第1くし状部400aおよびP偏光R(p)に関する第2くし状部400bは、ビームポインティング角の軸において間隔をあけて交互になっている。SPRのプロットは、SPR効果により生成されたくし形ノッチの吸収共鳴を示している。SPRは、角度選択性の範囲をμradのレジーム(regime)に狭めることが分かる。
図1Eに示されたセンサは、光ビーム15のポインティングおよび/または入射角を検出するために電子検出器102を用いている。SPRスタック25(1)aは、角共鳴が吸収振幅ノッチと関連する位相ノッチとを含むくし形の共鳴を有する信号を生成する。吸収振幅ノッチは、均等な角度に分離されているが、個々の吸収振幅ノッチは、各ノッチにわたって非対称の吸収応答を示す。
図5は、本発明の一実施形態に係る、1つのSPR共鳴ノッチおよび反射によるその関連した位相シフトを示す。吸収の非対称が共鳴ノッチの正側および負側の関数として見られる。表面プラズモン共鳴(SPR)をサポートするコーティングスタック25(1)はさらに特定の厚みの誘電体を含んでもよい。コーティングスタック25(1)の誘電体の厚みを調整することにより、吸収ノッチの角位置(absorption notch angular location)または角ノッチ幅(angular notch width)のうち少なくとも1つが公称のビーム入射角およびビーム入射角範囲の選択のために最適化されてもよい。コーティングスタック25(1)の吸収性材料の厚みを調整することにより、ビームのポインティングおよび/またはダイバージェンス測定の信号対雑音比(SNR)を高めるためにSPRの吸収振幅ノッチ深さ(absorption amplitude notch depth)が最適化されてもよい。このようにして、電子検出器102は、信号の非対称性を用いて、正または負の角度誤差を測定する。
図6は、本発明の一実施形態に係る、SPR誘電体フィルム厚、吸収ノッチ角の公称位置、およびSPR吸収ノッチの角度幅の間の関係を示す。
図7は、本発明の一実施形態に係る、SPR吸収ノッチの深さを最適化するためのSPR吸収層厚の調整を示す。
図8は、本発明の一実施形態に係る、入射照明の範囲を1つのSPR吸収ノッチに限定することを示す。図8はさらに、角度範囲限定デバイスを生成するために、入射放射線の範囲を2つの隣接するSPR吸収ノッチに限定することを示している。すなわち、コーティングスタック25(1)の吸収性材料厚を調整することは、入射照明角の範囲をくし形共鳴の1つの吸収振幅ノッチに限定することを必要とする。角度範囲リミッタとして機能するために、入射照明角の範囲は、入射照明角の範囲をくし形共鳴の少なくとも2つの隣接する吸収振幅ノッチの区間に設定することにより、限定されてもよい。
図9Aは、本発明の一実施形態に係る、−15〜+15ミリラジアンの範囲のビームポインティングおよび/または入射角に対する反射強度パーセント(%)のSおよびP偏光の共鳴ノッチP−pol900aおよびS−pol900bのプロットを示す。SPRのプロットは、照明の偏光方向の関数として示されている。共鳴のくし状部は、偏光方向の関数として角度配置(angularly located)されてもよいが、SおよびP偏光吸収のくし状部は、互いに対して180度位相がずれていてもよい。直交偏光方向は、180度位相がずれていることが分かる。
図9Bは、本発明の一実施形態に係る、SPR共鳴ノッチが180度位相がずれた反射位相のSおよびP反射位相P−pol905aおよびS−pol905bのプロットを示す。SおよびP反射位相P−pol905aおよびS−pol905bのプロットは、−15〜+15ミリラジアンの範囲のビームポインティングおよび/または入射角の関数として、0〜6ラジアンの範囲内に示されている。
図10Aは、本発明の一実施形態に係る、SPR吸収共鳴ノッチが照明偏光方向の関数として同相であるSPRのプロットを示す。直交するSおよびP偏光方向が同相であることが分かる。この構成は、同じ公称入射照明角を用いることにより、直交偏光方向の正確な検出を可能とする。
図10Bは、本発明の一実施形態に係るSPR光位相のプロットを示す。ここでは、SPR位相のプロットは、照明の偏光方向の関数として同相である。直交するSおよびP偏光方向が同相であることが分かる。この構成は、同じ公称入射照明角を用いることにより、直交偏光方向の同時検出を可能とする。
図11は、本発明の一実施形態に係る、狭い照明軸角の分離(separation of narrow optical illuminatin angle)を強化するために、カスケードの光学スタック1100をさらに設ける光学的な実施形態を示している。カスケードスタックの実施形態は、光ビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサの公称のキャプチャレンジよりも実質的に大きい角度範囲または開口数(NA)で、入射光ビーム1115を増強検出(enhanced detection)することを可能とする。ここで、カスケードの光学スタック1100は、狭い軸角の分離(separation of narrow optical angle)を強化するためにコーティングスタック25(1)内に設けられてもよい。従って、バイレイヤスタック(bi-layer stack)の多数のコーティングが、入射検出のビーム角を高めるためにつなげられてもよい。バイレイヤスタックのカスケードされたコーティングは、コーティングされたTIR面に続いてSPR面を提供するよう構成されてもよく、これは検出される入射光ビームの角度幅を制限する。
図12は、本発明の一実施形態に係る、図11のくさび形構成1200を示す。くさび形構成1200は、ビームポインティングおよび/またはダイバージェンスセンサのキャプチャレンジよりも実質的に大きい角度範囲または開口数(NA)で、1つ以上の光ビームを増強検出するために、狭い軸角の分離を用いてもよい。
図13は、本発明の一実施形態に係る、測定される光ビーム15を伝搬する光学システムの照明瞳1300の強度分布の操作による狭い照明角の分離を示す。図13はさらに、測定される光学システムの照明瞳1300の強度分布の操作を示している。瞳強度の領域が分離しており、分離した瞳の小区分であるので、この瞳の強度分布の操作は、空間範囲において極性がある。この例において、瞳は、分離しており、且つ直交SおよびP偏光の分離した瞳の小区分である狭い強度ポール(narrow poles of intensity)に限定されている。すなわち、分離した瞳の小区分は、直交偏光方向(orthogonal polarization orientation)を有している。
図14は、本発明の一実施形態に係る、結合XおよびYプリズム1400を概略的に示している。カスケードされたSPR面は、XおよびY方向の公称ビーム角をそれぞれ続けて吸収する。この結合XおよびYプリズム1400は、別々のSおよびP偏光を用いて、ビームポインティングおよび/またはダイバージェンスのX方向とY方向とを識別する。すなわち、センサは、ビームポインティングおよび/またはダイバージェンスのX方向とY方向とを識別するために、SおよびP偏光を分離する結合XおよびYプリズム1400を含んでもよい。このようなセンサにおいて、偏光光学素子がX偏光方向とY偏光方向とを識別するために用いられてもよい。
図15Aは、本発明の一実施形態に係る、光ビームのポインティングおよび/またはダイバージェンス測定用のビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ100aなどの装置を用いる方法のブロック図を概略的に示している。ブロック1500において、入射放射線がビームポインティングセンサ100aに提供される。ブロック1505において、全反射(TIR)がSPRスタック25(1)aを用いて提供される。ブロック1510に示されるように、SPRスタック25(1)aのコーティングを用いて、コーティング強化反射(coating enhanced reflection)が提供される。最終的に、ブロック1515において、電子光学検出器102がビームポインティングセンサ100aの電子検出を提供する。
図15Bは、本発明の一実施形態に係るリソグラフィツール1550を概略的に示している。ビームポインティングセンサ100aなどの装置は、リソグラフィツール1550等のリソグラフィ結像システムにおいて光ビームを光学的にモニタする。リソグラフィツール1550は、光源1555と、照明光学系1560と、感光性材料1570を処理および/または露光するための投影光学系1565とを備えてもよい。
リソグラフィツール1550は、光ビームのビームポインティング、ビーム位置、またはビームダイバージェンスのうち少なくとも1つの変動を測定するために、ビームポインティングセンサ100aをさらに備えてもよい。ビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ100aは、光ビームのビームポインティングまたはビーム位置のうち少なくとも1つの変動測定において相対的に高い角感度を可能とする全反射(TIR)を提供するよう構成された光学プリズム10aなどの光学部品を含んでもよい。ビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ100aは、光ビームの変動および/またはビームダイバージェンスを電気的に検出するために、光学プリズム10aなどの光学部品に関連して構成された電子光学検出器102などの第1検出器をさらに含んでもよい。
ビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ100aは、光ビームの入射角の関数として急峻な透過率のカットオフを可能とする光学コーティングを含んでもよい。光学プリズム10aなどの光学部品は、全反射(TIR)を提供し、且つバンドパスモニタを形成する光学コーティングを有してもよい。
図16は、本発明の一実施形態に係る、追加的な選択ステップを備えた図15Aの方法のブロック図を概略的に示している。ブロック1600においてTIRが提供され、ブロック1605においてSPRが得られる。ブロック1610に示されるように、光ビームは、電気的に検出される。ブロック1615においてスキャンが実行され、ブロック1620において任意の信号処理が完了される。
図17は、本発明の一実施形態に係る、偏光およびカスケードSPRセンサを含んだブロック図を概略的に示している。ブロック1700において、偏光照明瞳が提供される。ブロック1705において、入射放射線が方向付けられる。ブロック1710において、コーティング強化反射が得られる。同様に、ブロック1715において全反射が得られる。ブロック1720においてSPR1が提供され、ブロック1725においてSPR2が提供される。ブロック1730においてスキャンが行われる。ブロック1735において電子検出が実行され、ブロック1740において任意の信号処理が完了される。
図18は、本発明の一実施形態に係る空間分布型のポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ1800を概略的に示している。電子光学検出器102は、フォトダイオードアレイ1805を含んでおり、従ってプリズム10bのプリズム表面1810にわたって様々な空間的に分布したセンサ応答を検出する。図18はさらに、SPRアセンブリとフォトダイオードアレイ1805などの検出器を備える電子光学検出器102との間に光学偏光素子1815を追加することを示している。この電子検出器のアレイは、光ビーム15のポインティングまたは入射角と反射強度の両方を検出してもよい。フォトダイオードアレイ1805は、プリズム10bの表面1810にわたって様々な空間的に分布したセンサ応答を検出してもよい。
図18はさらに、空間的に分布したSPRスタック表面パターンを有するプリズム表面1810を示している。パターン形成領域1820の異なる小区分が独特の機能性を備えて形成されてもよい。この場合には、結合した機能性を備えた空間分布型ビームポインティングセンサおよび/またはダイバージェンスセンサ1800は、パターン形成領域1820表面の個々の小区分に問い合わせを行うことによりアドレス指定されてもよい。一例として、隣接する小区分は、だんだんと大きくまたは小さくなる公称ビーム入射角を検出するよう工夫されてもよい。特に、バイレイヤスタックは、コーティングの小区分が位置の関数として独立して機能するよう少なくとも横方向に定義またはパターン形成されたバイレイヤスタックとして構成されてもよい。このようにして、選択可能な入射ビーム角の範囲が解析される。
図19Aは、本発明の一実施形態に係る干渉法による第1センサ1900の実施形態を概略的に示している。第1センサ1900は、入射照明1910を2つの経路に分割する非偏光ビームスプリッタ1905と、該経路の一方にある透過型光学素子1902上のSPR−TIRスタック1915と、ビームスプリッタの再結合部分と、強度検出器1920と、差動位相検出センサ1925とを備える。すなわち、差動ビーム(differential beam)を電気的に検出するために、第2検出器は透過型光学素子1902および第1検出器などの光学部品に応じて配置されてもよい。第1センサ1900においては、例えば、相対的に高い角感度をさらに強化するために、コンバイナは干渉法により光ビームを差動ビームと結合してもよい。
図19Bは、本発明の一実施形態に係る、偏光方向(polarization orientation)を識別する第2センサ1950の実施形態を概略的に示している。第2センサ1950は、入射照明1910を2つの経路に分割するビームスプリッタ1905aと、一方の経路にある透過型光学素子1902上のP偏光SPRスタック1915aと、他方の経路にあるS偏光SPRスタック1915bと、ビームスプリッタの再結合部分と、強度検出器1920とを備える。この場合、第2センサ1950は、入射光ビーム1910からS偏光照明とP偏光照明とを分離するために、透過型光学素子1902上に一対のコーティングスタックを備える。第2センサ1950は、同じ公称入射角においてSおよびP偏光の同時検出を可能とするために、互いに同相の別々のSおよびP偏光を形成する。一実施形態において、バイレイヤスタックのカスケードコーティングが、光ビーム15から入射照明1910のS偏光とP偏光とを分離するよう構成されてもよい。分離したSおよびP偏光は、互いに同相で取得されてもよい。これにより、同じ公称入射角においてSおよびP偏光の同時検出が可能となる。
図20は、本発明の一実施形態に係る、電気光学的なアドレス可能なSPRセンサ2000の実施形態を概略的に示している。SPRセンサ2000は、電気光学的な表面プラズモン共鳴(SPR)スタック25(1)bを含む電気光学的なアドレス可能素子2020を備える。電気光学SPRスタック25(1)は、誘電体層またはセグメント化され且つアドレス可能な空間的な電気光学コーティングを提供するために、パターン形成された電気光学コーティングの少なくとも1つを備えてもよい。
本発明の一実施形態に係るSPRセンサ2000はさらに、フォトダイオードアレイ1805を含む電子光学検出器102を備える。従って、端子2110aおよび2010bにおける電圧Vの電気入力に応じて、プリズム10bのプリズム表面2020にわたって様々な空間的に分布したセンサ応答を検出する。図20はさらに、SPRアセンブリと電子光学検出器102との間に光学偏光素子1815等の回転可能な偏光子の追加を示している。
図21は、本発明の一実施形態に係る、セグメント化された電気光学的なアドレス可能なSPRセンサ2100を概略的に示している。図21はさらに、空間的に分布したSPRスタックの表面パターンを有するプリズム1810を示している。パターン形成領域1820の異なる小区分が独特の機能性を備えて形成されてもよい。SPRセンサ2100はさらに、本発明の一実施形態に係るフォトダイオードアレイ1805を含む電子光学検出器102を備える。従って、端子2105(1−m)および2110における電圧Vの電気入力に応じて、プリズム10bのプリズム表面1810にわたって様々な空間的に分布したセンサ応答を検出する。
図22は、本発明の一実施形態に係るSPRセンサに基づいたスラブ導波路2200を概略的に示している。スラブ導波路2200は、一連のチャネル2205(1−n)を提供することができ、各々のチャネルがSPRセンサとして機能する。
図23は、本発明の一実施形態に係る、円筒形状のSPRセンサとして用いられる円筒形センサ要素2300を概略的に示している。円筒形センサ要素2300は、光ファイバ製造プロセスを用いて形成された光学パイプ、光ファイバ、または光導波路のうち少なくとも1つを含んでもよい。円筒形状のSPRセンサは、理想的には、長方形状のセンサと同じように機能する。円筒形状のSPRインタフェースにおけるTIRは、照明を、複数の連続する跳ね返りによりファイバまたは光パイプ2305を通して、その放出面まで運ぶ。
本発明の一実施形態によれば、センサ100aなどの上述のセンサのうちいずれか1つは、光ビームのビームポインティングおよび/またはビーム位置のうち少なくとも1つを直接測定するために、光マスクレス照明器内に配置されてもよい。上述したように、センサ100aは、SPRスタック25(1)aなどのフィルムスタックを備えてもよい。これは、フィルムスタックのフィルム材料または厚みのうち少なくとも1つに基づいて所望の表面プラズモン共鳴(SPR)を提供する。フィルム材料は、少なくともガラス−薄い金属−誘電体のスタックを含んでもよいし、または、フィルムスタックの厚みは、フィルムスタックが入射ビーム角および偏光に対して比較的敏感になるようにしてもよい。フィルムスタックは、光ビームの入射角の関数として偏光位相の遷移(polarization phase transition)を提供してもよい。光学プリズム10aなどの光学部品に所望の表面プラズモン共鳴(SPR)を与えるフィルムスタックは、帯域通過モニタまたは帯域制限モニタのうち少なくとも1つにおいて全反射(TIR)状態を提供するよう構成されてもよい。
本発明の一実施形態によれば、リソグラフィ結像システムにおける光ビームの光学的なモニタ方法が提供される。この方法は、光ビームのビームポインティングまたはビーム位置のうち少なくとも1つの変動を測定するために、相対的に高い角感度を可能とする全反射(TIR)を提供するよう光学部品を構成するステップを備えてもよい。この方法は、光ビームの変動を電気的に検出するステップをさらに備えてもよい。全反射(TIR)を提供するよう光学部品を構成するステップは、光ビームの入射角の関数として急峻な透過率のカットオフを可能とするために、光学プリズム10aなどの光学部品を光学的にコーティングするステップをさらに備えてもよい。
光学プリズム10aなどの光学部品を光学的にコーティングすることにより、全反射(TIR)に基づいて所与の角感度を増大させる光学コーティングを有する光学部品を用いて帯域通過モニタが形成されてもよい。比較的高い角感度をさらに強化するために、差動ビームが電気的に検出されてもよいし、干渉法により光ビームと結合されてもよい。フィルム材料またはフィルムスタック厚のうち少なくとも1つに基づいて所望の表面プラズモン共鳴(SPR)を可能とするために、SPRスタック25(1)aなどのフィルムスタックが設けられてもよい。
図24は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、照明光学系IL、パターニング用デバイスPD、基板テーブルWT、及び投影光学系PSを備える。照明光学系(照明器)ILは、放射ビームB(例えばUV放射)を調整するよう構成されている。実施例において、本明細書において説明される光学部品はビームBの特性を測定できる。光学部品は、例えばプリズム10(2)などであるが、これに限定されない。
パターニング用デバイスPD(例えばレチクル、マスク、または個別制御可能素子アレイ)はビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影光学系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメータに従って正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
基板テーブルWTは、基板(例えばレジストが塗布された基板)Wを支持するよう構成されており、あるパラメータに従って基板を正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
投影光学系(例えば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wの(例えば1つ又は複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている。
照明光学系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
本明細書において「パターニング用デバイス」または「コントラストデバイス」なる用語は、例えば基板の目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。これらのデバイスは静的なパターニング用デバイス(例えばマスクやレチクル)であってもよいし、動的なパターニング用デバイス(例えばプログラム可能な素子の配列)であってもよい。簡単のために本説明のほとんどは動的パターニング用デバイスの観点でなされているが、本発明の範囲を逸脱することなく静的パターニング用デバイスを用いることも可能であるものと理解されたい。
放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを例えば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。
通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイス例えば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(例えばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニング用デバイスの例としては、例えば、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。
電子的手段(例えばコンピュータ)によりパターンをプログラム可能であるパターニング用デバイスは、例えば複数のプログラム可能な素子を含むパターニング用デバイス(例えば1つ前の文章に挙げたものではレチクルを除くすべてのものが該当する)であり、本明細書では総称して「コントラストデバイス」と呼ぶこととする。一実施例において、パターニング用デバイスは少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100000個、少なくとも1000000個、または少なくとも10000000個のプログラム可能な素子を備えてもよい。
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理は例えば、反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。
なお代替例として、フィルタにより回折光を取り除いて基板に非回折光を到達させるようにしてもよい。
同様にして回折光学MEMS(微小電気機械システム)デバイスを用いることもできる。一例としては、回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する回折格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。
プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜しうる。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。
パターニング用デバイスPDの他の例はプログラム可能なLCDアレイである。
リソグラフィ装置は1つ以上のコントラストデバイスを備えてもよい。例えば、リソグラフィ装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれの素子が互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明光学系(または照明光学系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影光学系(または投影光学系の一部)を共有していてもよい。
一実施例において、図24に示される実施形態のように、基板Wは実質的に円形状である。基板Wは、その周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。一実施例において、基板は例えば長方形などの多角形形状である。基板が実質的に円形の場合、基板の直径は、少なくとも25mmである。一実施形態において、基板の直径は最大500mmである。
基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mm、例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmである。一実施形態において、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。一実施例において、基板の1辺の長さは最大でも1000cmである。
基板が例えば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cm、例えば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmである。
基板が例えば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、または例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmである。一実施例において、基板の少なくとも1辺の長さは最大でも1000cmである。
一実施例において、基板の少なくとも1辺の長さは、長くても1000cm、長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。
一実施例においては、基板Wはウエハであり、例えば半導体ウエハである。一実施例において、ウエハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。一実施例ではウエハはIII−V族化合物半導体ウエハである。一実施例では、ウエハはシリコンウエハである。一実施例では、基板はセラミック基板である。一実施例では、基板はガラス基板である。一実施例では、基板はプラスチック基板である。一実施例では、基板は(ヒトの裸眼で)透明である。一実施例では、基板は有色である。一実施例では、基板は無色である。
この基板の厚さは、例えば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。一実施例において、基板の厚さは、少なくとも50μm、例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施例において、基板の厚さは、厚くても5000μm、例えば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。
基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、計測装置、及び/または検査装置により処理されてもよい。一実施例ではレジスト層が基板に設けられる。
本明細書に使用されている「投影系」という用語は、例えば使用する露光放射に適した、もしくは液浸液の使用または真空の使用などの他の要因に適した、屈折光学系、反射光学系、カタディオプトリック光学系、磁気光学系、電磁気光学系および静電気光学系、またはそれらの任意の組合せを含む任意の種類の投影系が包含されているものとして広義に解釈されたい。本明細書における「投影レンズ」という用語の使用はすべて、より一般的な「投影系(投影システム)」という用語の同義語とみなすことができる。
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、例えば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、例えばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどの合焦用素子のアレイを含んでもよい。合焦用素子のアレイ(例えばMLA)は少なくとも10個、例えば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100000個、または少なくとも1000000個の合焦用素子を備えてもよい。一実施例において、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数と合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数とは等しいか、あるいは、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数が合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数よりも多い。一実施例において、合焦用素子のアレイにおける1つ以上(例えばたいていは各アレイにつき1000以上)の合焦用素子は、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上、例えば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上、の個別制御可能素子に光学的に連関していてもよい。一実施例において、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向に(例えばアクチュエータを用いて)移動可能であってもよい。例えば1つ以上のアクチュエータを用いてもよい。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなく例えば焦点合わせをすることが可能となる。
図24及び図25に示されるように本装置は反射型(例えば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(例えば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
リソグラフィ装置は、2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、例えばパターニング用デバイスと投影系との間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
再度図24を参照すると、照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。一実施例においては、放射源により、少なくとも5nm、例えば少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。一実施例においては、放射源SOにより供される放射は、長くても450nm、例えば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。一実施例において、この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含む。一実施例において、この放射は、365nm周辺または355nm周辺の波長を含む。一実施例において、この放射は、例えば365、405、および436nmを包含する広帯域の波長を含む。355nmのレーザ光源が用いられてもよい。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。照明器IL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。例えば各分割ビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのに例えば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含するが、これに限定されないものとする。
放射ビームBは、パターニング用デバイスPD(例えば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニング用デバイスにより変調される。放射ビームはパターニング用デバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTは正確に移動され、例えば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。また、個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、例えば走査中にビームBの経路に対してパターニング用デバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。
一実施例においては、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により基板テーブルWTの移動を実現する。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図24には明示されていない。一実施例では、この装置は、少なくとも基板テーブルWTを移動させるためのショートストロークモジュールがない。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能な更なる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。例えば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
図24に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニング用デバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニング用デバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニング用デバイスに入射させるようにすることもできる。一実施例では、放射ビームは、0度から90度の間の角度でパターニング用デバイスに入射する。または例えば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図24には90度の例が示されている)。パターニング用デバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと伝達する。しかしながら放射ビームBをパターニング用デバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニング用デバイスが用いられる場合には図24に示される構成は必要とはされない。
図示の装置はいくつかのモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、ビームBが基板W上を走査し露光しているときに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
5.ピクセルグリッド結像モードでは、基板Wに形成されるパターンはスポット状の露光を連続的に行うことにより実現される。このモードは図25のリソグラフィ装置を使用して実現することができる。このスポット状の露光はスポット発生器により形成され、スポット発生器はパターニング用デバイスPDに適切に方向付けられて配置されている。スポット状の露光はそれぞれ実質的に同形状である。基板W上には露光スポットにより最終的に実質的に格子が描かれる。一実施例では、このスポットの寸法は最終的に基板上に描かれる格子のピッチよりも大きいが、毎回の露光時に露光スポットが形成する格子の大きさよりもかなり小さい。転写されるスポットの強度を変化させることによりパターンが形成される。露光照射の合間に各スポットの強度分布が変更される。
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
リソグラフィでは基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与の線量閾値を超える照射量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の照射量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。例えば、エッチング工程においては上記の閾値を超える照射量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の照射量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニング用デバイス内の個別制御可能素子は、パターン図形内部となる基板上の区域での露光中の照射量が線量閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、線量閾値以下の放射を受ける。
実際には、パターン図形端部での照射量は所与の最大線量からゼロへと急激に変化するわけではない。この照射量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、照射量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射された線量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域での線量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、強度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の強度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(すなわち最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィーシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。一実施形態においては、少なくとも3種類の放射強度、例えば少なくとも4種類の放射強度、少なくとも8種類の放射強度、少なくとも16種類の放射強度、少なくとも32種類の放射強度、少なくとも64種類の放射強度、少なくとも128種類の放射強度、または少なくとも256種類の放射強度が基板に投影されてもよい。
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。例えば、照射された線量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。例えば、第1の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1の線量閾値以上で第2の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2の線量閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での線量のプロファイルが2以上の望ましい線量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施形態において、この線量プロファイルは少なくとも2つの所望の線量レベル、少なくとも3つの所望の線量レベル、少なくとも4つの所望の線量レベル、少なくとも6つの所望の線量レベル、または少なくとも8つの所望の線量レベルを有する。
線量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。例えば、基板上の各点が受ける照射量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して用いることにより代替的にまたは追加的に各点が受ける照射量を制御することが可能となる。
基板上に所要のパターンを形成するために、パターニング用デバイスの各個別制御可能素子を露光処理の間の各段階において必要な状態に設定する必要がある。従って、必要な状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達されなければならない。一実施例において、リソグラフィ装置は、制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるべきパターンは、GDSIIのようなベクトル定義フォーマットでリソグラフィ装置に与えられる。設計情報を各個別制御可能素子のための制御信号に変換するために、制御部は一つ以上のデータ操作装置を含む。それぞれのデータ操作装置はパターンをあらわすデータストリームに対して処理を行うように構成される。データ操作装置は、「データパス」と総称される。
データパスのデータ操作装置は、次にあげる機能、すなわちベクトル・ベースの設計情報をビットマップのパターン・データに変換する機能、ビットマップのパターン・データを要求される放射光量マップ(すなわち基板を横断する必要な放射光量プロファイル)に変換する機能、必要な放射光量マップを各個別制御可能素子に必要な放射強度に変換する機能、および各個別制御可能素子に必要な放射強度を対応する制御信号に変換する機能、の一つ以上を遂行するように構成される。
図25は、本発明に係るOML装置の構成を示す図である。図24に示される構成要素に対応するものには同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについての様々な構成例などを含む上述の様々な実施形態は、同様に適用可能である。
図25は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置の構成を示す図である。この実施形態は、例えば、フラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図24に示される構成要素に対応するものには同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについての様々な構成例などを含む上述の様々な実施形態は、同様に適用可能である。
図25に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(例えばフィールドレンズ)により合焦させられる。
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なるレンズを通過する。この変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれ、パターニング用デバイスPDの1つ以上の個別制御可能素子に対応している。各レンズは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイには8つのレンズ14が示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニング用デバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
基板W上のパターンは、投影系PSのレンズアレイMLAにより基板W上にスポットSの配列を投影することにより、本発明の一実施形態に係る図25のシステムを用いて生成されてもよい。基板Wは、基板W上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影された各スポットは、基板上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSEの露光により形成される露光スポット列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。上述のようにこのような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
例えば、照射スポットSの配列が基板Wに対して角度θをなして配置されていてもよい(基板Wの端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポット15の配列により基板の全領域がカバーされることになる。一実施例において、角度θは大きくても20°、10°、例えば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。一実施例において、角度θは小さくても0.001°である。
単一パルスツールである図24−図25に示されるようなOMLシステムにおいて、各パルスツールは、理想的には、照明系内に進む光ビームに対してポインティング誤差がゼロおよび位置誤差がゼロであることが望まれる。単一パルスの典型的なレーザビームそれ自身が数ミリメータ(mm)または数ミリラジアン(mrad)だけずれる可能性がある。これが単一パルスの印刷を困難にする。
様々な実施例において、この単一の光ビームは、パターニング用デバイスに直接送られてもよいし、または(例えば図1および図2に示されるような)ビームスプリッタまたはその他の適切なビーム伝送手段を介して、二者択一的にパターニング用デバイスに導かれてもよい。
一実施例において、ビームのFナンバーは、光路長の変動がパターニング用デバイスPDに入射するビームにかなりの影響(例えばテレセントリック性、像面湾曲など)を及ぼさないよう十分に大きく選択される。
本明細書の上述の説明は、光、光源および光ビームについて言及している。ここで言及した光とは、可視波長を有する光に限定されず、上述のようなリソグラフィに適した紫外光または赤外光を含むその他の波長を含んでもよいことを理解されたい。
特定のデバイス(例えば、集積回路またはフラットパネルディスプレイ)の製造におけるリソグラフィ装置の利用について本文で特定して言及がなされるかもしれないが、本明細書で述べるリソグラフィ装置は、他のアプリケーションを有してもよいことを理解すべきである。アプリケーションは、集積回路、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導および検出パターン(guidance and detection pattern)、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、マイクロ電気機械デバイス(MEMS)等の製造を含むが、これらに限定されない。また、例えばフラットパネルディスプレイにおいて、本装置は、例えば薄膜トランジスタ層および/またはカラーフィルタ層などの様々な層の形成に役立つよう用いられてもよい。
ここでは特に光学的なリソグラフィを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光学的なリソグラフィに限られるものではない。インプリントリソグラフィでは、パターニング用デバイスのトポグラフィが基板に生成されるパターンを決める。パターニング用デバイスのトポグラフィが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニング用デバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含しており、紫外線(UV)放射(例えば、365、355、248、193、157または126nmの波長を有する)、極紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、さらにイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含む。
「レンズ」という用語は、文脈が許せば、屈折光学素子、反射光学素子、磁気光学素子、電磁気光学素子、および静電気光学素子を含む様々な種類の光学素子のうち任意の1つまたはこれらの組み合わせを参照してもよい。
図26は、内部反射を有する光学素子からの反射率2610対光学素子の表面に蒸着されたSPRフィルムスタックへの入射ビームの入射角2620のグラフ2600である。2つのプロットが図示されている。第1プロット2630は、実質的にダイバージェンスを有さない参照ビームに関する反射率対入射角を示す。ここでは、参照ビームは、193nmの波長を有するコリメートビームである。第1プロット2630は、入射角が実質的に最大SPRを生じさせるときに最小反射率2635を有する。図26の例において、参照ビームからの第1プロット2630は、10%の最小反射率を有する。コリメートビームは、反射率2610対入射角2620の他の測定が比較される参照データセットを設定するための参照ビームとして用いられてもよい。参照データセットは、コリメートビームから決定される必要はない。しかしながら、非コリメートビームの使用した場合、材料欠陥、製造誤差、材料厚の違い、および屈折率変動などの光学素子における欠陥が明らかにならないであろう。従って、コリメートビームからの参照データセットは、最も正確な参照データセットを提供するであろう。
第2プロット2640は、発散ビーム(divergent beam)に関する反射率2610対入射角2620を示す。発散ビームは、SPRの影響により、コリメートビームよりも大きい最小反射率2645を生じる。発散ビームの最小反射率2645は、参照ビームの場合とは異なる関連する入射角2620で生じる。発散ビームの発散角は、第1および第2プロット2630、2640から計算できる。例えば、発散角は、発散ビームの最小反射率2645に関連する入射角2620と、参照ビームの最小反射率2635に関連する入射角2620との差から計算できる。
図27は、本発明の実施形態に係る反射率2610対入射角2620のプロット2700である。この図において、6つのプロット2710A〜Fが、入射ビームの発散半角が大きくなるにつれて最小反射率も高くなることを説明するために図示されている。さらに、図27は、発散半角が大きくなると、最小反射率がより高い入射角2620で生じることを示している。6つのプロット2710A〜Fのそれぞれは、図28のベースを形成する各最小反射率を有する。
図28は、本発明の実施形態に係る、発散角2820の変化の関数としての最小反射率のシフト2810のグラフ2800である。グラフ2800は、図27から決定された6つのデータ点2830A〜Fを示す。6つのデータ点2830A〜Fは、各発散ビームの最小反射率に関連する入射角2620と、この例においてはコリメート参照ビームのゼロ度の入射角との間のそれぞれの差分に対応している。発散角2820は、グラフ2800および発散ビームの最小反射率に関連する入射角2620と参照ビームの最小反射率に関連する入射角2620との間の差分から決定される。この例において、グラフ2800に示されたデータは、65μmの誘電体厚を有するSPRプリズムを用いて得られた。
図29は、本発明の実施形態に係る、さらなる特徴を示すプロット2900である。2つのプロットが図示されている。第1プロット2910は、実質的に非発散の参照ビーム、この場合コリメートビーム、に関する反射率2610対入射角2620を示す。第2プロット2920は、発散ビームの反射率2610対入射角2620を示す。図29に示されるように、ビームダイバージェンス(ビーム広がり)が大きくなると、プロット2900に示されるノッチ幅も大きくなる。ノッチは、SPRに帰因する入射角2620の範囲にわたっての反射率2610の減少により生じる。従って、ノッチ幅は、入射角2620にわたって発散ビームの反射率2610を測定することにより決定されたデータセットから計算することができる。発散ビームの発散角は、発散ビームからのノッチ幅を参照ビームからのノッチ幅と比較することにより決定することができる。2つのノッチ幅の間の差分は、発散ビームの発散角と相互に関連がある。
また、図29は、発散角が大きくなると、ノッチの深さ(D)対幅(W)のアスペクト比(D/W)が小さくなる。一例において、幅(W)は、最小反射率2930に対応する第1入射角と最大反射率2940に対応する第2入射角との間の入射角2620の差分を計算することにより決定される。深さ(D)は、最大反射率2940と最小反射率2930との間の反射の差分を計算することにより決定される。参照D/Wアスペクト比は、参照ビームの反射率2610対入射角2620を測定することにより収集されたデータから計算される。この例において、参照ビームはコリメートビームであり、従ってDcol/Wcolの表記は参照ビームのために用いられている。発散ビームに関するアスペクト比Ddiv/Wdivもまた計算されている。そして、正規化されたノッチアスペクト比3010は、[(Ddiv/Wdiv)/(Dcol/Wcol)]×100を計算することにより決定される。従って、コリメートビームの正規化されたD/Wアスペクト比3010は、100である。発散入射ビームの発散角3020は、正規化されたノッチのD/Wアスペクト比3010の減少から決定できる。正規化されたノッチのD/Wアスペクト比3010の減少は、図30に示されるように、発散ビームの発散角3020に相互に関連する。
図30は、本発明の実施形態に係る、65μmの誘電体厚を有するSPRプリズムにおける、発散角3020の関数としての正規化されたノッチのアスペクト比3010の変化のグラフ3000である。正規化されたノッチのD/Wアスペクト比3010は、発散角3020の関数として減少し、y=7.0982x4−55.744x3+158.1x2−198.27x+100.72などの、4次の式のプロットに適合することができる。この式3030のプロットも図30に図示されており、R=0.999を生じている。発散ビームの発散角3020は、グラフ3000および正規化されたノッチのアスペクト比3010から決定される。
図31は、本発明の実施形態に係る、光ビームのダイバージェンス測定のための装置を用いた方法のフローチャートである。
ステップ3105において、第1データセットを決定するために、内部反射および表面プラズモン共鳴を有する光学素子への第1放射ビームの第1の複数の入射角それぞれに対して、第1の複数の反射率が測定される。第1放射ビームは、第1放射ビームとして実質的に35度と実質的に48度の間の光学素子の斜辺への入射角を有してもよい。
ステップ3110において、第2データセットを決定するために、光学素子への第2放射ビームの第2の複数の入射角のそれぞれに対して、第2の複数の反射率が測定される。光学素子は、偏光プリズムであってもよい。第1放射ビームは、第2放射ビームとして用いられてもよい。第1の複数の入射角は、第2の複数の入射角として用いられてもよい。一例において、第1放射ビームは、コリメート放射ビームである。
一例において、第1および第2放射ビームは、実質的に193nm、実質的に436nm、実質的に405nm、実質的に365nm、実質的に355nm、実質的に248nm、実質的に193nm、実質的に157nm、および実質的に126nmの波長であってもよい。第1および第2放射ビームの少なくとも一方は、偏光していてもよい。
ステップ3115において、第1および第2放射ビームの間の発散角を決定するために、第1データセットが第2データセットと比較される。ステップ3115の例において、第1データセットから第1ノッチ幅が計算され、第2データセットから第2ノッチ幅が計算される。発散角は、第1ノッチ幅と第2ノッチ幅の差分から計算される。
ステップ3115のさらなる例において、対応する第1入射角を有する第1最小反射率が第1データセットから計算される。対応する第2入射角を有する第2最小反射率が第2データセットから計算される。発散角が第1入射角と第2入射角との差分から計算される。
ステップ3115のさらなる例において、第1データセットから第1のノッチ幅対深さのアスペクト比、および第2データセットから第2のノッチ幅対深さのアスペクト比が計算される。第1のノッチ幅対深さのアスペクト比と、第2のノッチ幅対深さのアスペクト比との間の差分から発散角が計算される。
本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は、上記とは別の方法で実行されうることを理解されたい。例えば、本発明は、上述の方法を記載したコンピュータ読取可能な指示の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムを内部に格納したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形態をとることができる。
結語
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の精神と範囲に反することなく、形態および詳細において種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。従って、本発明の範囲と精神は、上記で述べた例示に限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
「課題を解決する手段」及び「要約書」の項ではなく「発明の詳細な説明」の項が請求項を解釈するのに使用されるように意図されていることを理解されたい。「課題を解決する手段」及び「要約書」の欄は、本発明者が考えた本発明の実施例の1つ以上を示すものであるが、すべてを説明するものではない。よって、本発明及び添付の請求項をいかなる形にも限定するものではない。