JP5162996B2 - 車両用ドア駆動制御装置 - Google Patents
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Description
ここで、ドアを駆動する同期モータの制御に、位置検出器にて検出された位置信号を用いている場合、ドアの開閉動作中に位置検出器が故障すると、ドアが自動的に閉まらなくなるので、車掌が手動でドアを閉めることが行われている。このため、ドアの開閉動作中に位置検出器が故障すると、車掌が手動でドアを閉めるまで列車が発車できなくなり、列車の運行に遅延が生じる。
ここで、モータを駆動すると、速度に比例する誘起電圧がモータにかかるため、特許文献1に開示されたf/V駆動では、速度指令値に応じた誘起電圧分の電圧指令値と、ドアの駆動に必要な推力分の電圧指令値とを加えた値が電力変換器に与えられる。
図6において、鉄道車両には、乗降客の乗降時に開閉するドア1、ドア1を駆動するリニアモータ2、ドア1とリニアモータ2とを連結する連結部3、ドア1の位置を検出する位置検出部5、乗務員が車両の運転操作を行う運転台30、ドア1の駆動制御を行うドア駆動制御装置10が設けられている。なお、リニアモータ2としては、同期モータを用いることができる。
そして、運転指令演算器11は、運転台30から出力される開指令や閉指令などの信号と位置検出部5から出力される位置検出値P7などに基づいて、速度指令値P1を算出することができる。
速度制御器13は、運転指令演算器11から出力される速度指令値P1および速度演算器12から出力される速度検出値P5に基づいてドア1の開閉速度のフィードバック制御を行うことで、電流指令値P2を算出することができる。
3相2相変換器14は、位置検出部5から出力される位置検出値P7に基づいて、モータU相電流P4aおよびモータW相電流P4bをd(磁束成分)軸電流検出値およびq(トルク成分)軸電流検出値に変換することができる。
2相3相変換器16は、位置検出部5から出力される位置検出値P7に基づいて、電流制御器15から出力されるd軸電圧指令値P3aおよびq軸電圧指令値P3bをU相電圧指令値、V相電圧指令値およびW相電圧指令値に変換することができる。
位置検出異常判断器18は、位置検出部5から出力される位置検出値P7に基づいて、ドア1の位置の異常を判断することができる。
制御切替判断器19は、位置検出異常判断器18にてドア1の位置が異常と判断された場合、ドア1の通常駆動を異常時駆動に切り替えるための異常時駆動指令を運転指令演算器11に出力することができる。
積分器21は、異常時における速度指令値(V/f)を積分することにより、位置指令値P6を算出することができる。
そして、2相3相変換器16は、位置検出部5から出力される位置検出値P7に基づいて、電流制御器15から出力されるd軸電圧指令値P3aおよびq軸電圧指令値P3bをU相電圧指令値、V相電圧指令値およびW相電圧指令値に変換し、電力変換器17に出力する。そして、電力変換器17は、2相3相変換器16から出力されるU相電圧指令値、V相電圧指令値およびW相電圧指令値に基づいて、リニアモータ2を駆動制御することにより、車両に設置された全てのドア1を一斉に開動作させたり、閉動作させたりすることができる。
そして、乗務員が運転台30を操作することにより、開指令または閉指令が運転指令演算器11に出力される。そして、運転指令演算器11は、異常時駆動指令を制御切替判断器19から受け取った上で、開指令または閉指令を運転台30から受け取ると、開指令または閉指令に基づいて異常時における速度指令値(V/f)を算出し、f/V演算器20および積分器21に速度指令値P1として出力する。
なお、電圧指令値は、d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値から以下の式で求めることができる。
電圧指令値=√((d軸電圧指令値)2+(q軸電圧指令値)2)
図7において、ドア1の位置の異常が検出された場合、速度指令値(V/f)に応じた誘起電圧補償分の電圧指令値(V/f)と、ドアの駆動に必要な推力分の電圧指令値(V/f)とを加えた値が、電圧指令値として電力変換器17に与えられる。
ここで、ドア1を駆動する場合、走行時には走行抵抗よりも大きな推力が必要になり、施錠時には施錠部位にあるバネの力よりも大きな推力が必要になる。一般には、施錠時に必要な推力の方が走行時に必要な推力よりも大きいため、ドアの駆動に必要な推力は施錠時に必要な推力である。このため、施錠時に必要な推力に対して余裕を持った一定の推力がドア1に常時出力される。
一方、誘起電圧補償分を加えても推力の上限値を超えないように、ドア1に出力される一定の推力を低くすると、ドア1の艤装状態が悪いと、ドア1が閉まらなくなる恐れがあった。
そこで、本発明の目的は、ドアの位置検出を行うことなく、車両用ドアを安全かつ確実に閉動作させることが可能な車両用ドア駆動制御装置を提供することである。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用ドア駆動制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、車両用ドア駆動制御装置10aには、図6のf/V演算器20の代わりに同期引込電圧指令演算器23が設けられ、図6の車両用ドア駆動制御装置10ではV/f駆動されるのに対して、車両用ドア駆動制御装置10aでは同期引込方式にて駆動されるように構成されている。
そして、乗務員が運転台30を操作することにより、開指令または閉指令が運転指令演算器11に出力される。そして、運転指令演算器11は、異常時駆動指令を制御切替判断器19から受け取った上で、開指令または閉指令を運転台30から受け取ると、開指令または閉指令に基づいて異常時における速度指令値(同期引込)を算出し、同期引込電圧指令演算器23および積分器21に速度指令値P1として出力する。
これにより、誘起電圧補償分を考慮することなく、d軸電圧指令値(同期引込)およびq軸電圧指令値(同期引込)を算出することができる。このため、乗客や荷物などがドア1に挟まれ、ドア1の実際の走行速度が低下し、誘起電圧が低下した場合においても、誘起電圧補償分を推力として上乗せさせることなく、予め設定された推力でドア1を駆動することができ、ドア1に挟まれた乗客や荷物などに規定値以上の推力がかかるのを防止して、乗客の安全性を確保することができる。
図2において、電圧指令値(同期引込)は、運転指令演算器11から出力される速度指令値(同期引込)に寄らずに設定することができ、誘起電圧補償分を推力として上乗せさせることなく、予め設定された推力でドア1を駆動することができる。
図3において、車両用ドア駆動制御装置10bには、図1の車両用ドア駆動制御装置10aの構成に加え、傾き調整器24、25が追加されている。
ここで、傾き調整器24には、運転指令演算器11から出力される速度指令値(同期引込)が入力され、傾き調整器24は、ドア1が始動された後に設定値まで速度指令値(同期引込)を徐々に増加させることができる。また、傾き調整器25には、予め設定された電圧指令値(同期引込)が入力され、傾き調整器25は、ドア1が始動された後に設定値まで電圧指令値(同期引込)を徐々に増加させることができる。
図4において、傾き調整器24、25は、速度指令値(同期引込)および電圧指令値(同期引込)がそれぞれ入力信号として入力されると、入力信号の変化に対して速度指令値(同期引込)および電圧指令値(同期引込)を設定値に達するまで一定の傾きで変化させ、出力信号として出力することができる。
そして、図3において、制御切替判断器19は、ドア1の位置が異常であると位置検出異常判断器18にて判断された場合、切替器22のスイッチS3、S4、S5をオンするとともに、異常時駆動指令を運転指令演算器11に出力する。
そして、傾き調整器24は、運転指令演算器11から出力された速度指令値(同期引込)を設定値まで徐々に増加させながら同期引込電圧指令演算器23に入力するとともに、傾き調整器25は、予め設定された電圧指令値(同期引込)を設定値まで徐々に増加させながら同期引込電圧指令演算器23に入力する。
図5において、車両用ドア駆動制御装置10cには、図1の車両用ドア駆動制御装置10aの構成に加え、推力演算器26および正常時推力演算器27が追加されている。
ここで、推力演算器26には、q軸電流検出値が3相2相変換器14から入力され、推力演算器26は、q軸電流検出値に所定の推力定数を掛けて推力検出値を算出することができる。また、正常時推力演算器27には、推力検出値が推力演算器26から入力されるとともに、速度演算器12にて算出された速度検出値P5が入力され、正常時推力演算器27は、推力検出値と速度検出値P5とに基づいて正常時のドア1の駆動に必要な推力を推定し、その推力に対する電圧指令値(同期引込)を算出することができる。
そして、2相3相変換器16は、位置検出部5から出力される位置検出値P7に基づいて、電流制御器15から出力されるd軸電圧指令値P3aおよびq軸電圧指令値P3bをU相電圧指令値、V相電圧指令値およびW相電圧指令値に変換し、電力変換器17に出力する。そして、電力変換器17は、2相3相変換器16から出力されるU相電圧指令値、V相電圧指令値およびW相電圧指令値に基づいて、リニアモータ2を駆動制御することにより、車両に設置された全てのドア1を一斉に開動作させたり、閉動作させたりすることができる。
一方、制御切替判断器19は、ドア1の位置が異常であると位置検出異常判断器18にて判断された場合、切替器22のスイッチS3、S4、S5をオンするとともに、異常時駆動指令を運転指令演算器11に出力する。
なお、車両用ドア駆動制御装置10cでは、速度検出値P5が閾値以下になった場合、障害物がドア1に挟まった戸挟み状態として、規定の推力で障害物が押し付けられるようにされている。このため、正常時のドア1の駆動に必要な推力は、戸挟み状態以外すなわち速度検出値P5が閾値を越える状態における推力検出値の最大値に設定することができる。
2 リニアモータ
3 連結部
4a、4b 出力電流検出部
5 位置検出部
10、10a、10b、10c ドア駆動制御装置
11 運転指令演算器
12 速度演算器
13 速度制御器
14 3相2相変換器
15 電流制御器
16 2相3相変換器
17 電力変換器
18 位置検出異常判断器
19 制御切替判断器
21 積分器
22 切替器
23 同期引込電圧指令演算器
24、25 傾き調整器
26 推力演算器
27 正常時推力演算器
30 運転台
S1〜S6 スイッチ
Claims (1)
- 車両用ドアを開閉する同期モータを駆動する電力変換器と、
前記電力変換器から出力される電流を検出する電流検出部と、
前記車両用ドアの位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部にて検出された位置検出値に基づいて速度検出値を算出する速度演算器と、
前記車両用ドアの速度を指定する速度指令値を出力する運転指令演算器と、
前記運転指令演算器から出力された速度指令値および前記速度演算器にて算出された速度検出値に基づいて、電流指令値を算出する速度制御器と、
前記速度制御器から出力された電流指令値、前記位置検出部にて検出された位置検出値および前記電流検出部にて検出された電流に基づいて、第1の電圧指令値を算出する電流制御器と、
前記電流検出部にて検出された電流に所定の推力定数を掛けて推力検出値を算出する推力演算器と、
前記速度演算器にて算出された速度検出値および前記推力演算器で算出された推力検出値に基づいて、前記車両用ドアの正常時の駆動に必要な推力を算出する正常時推力演算器と、
前記正常時推力演算器にて算出された推力に対応する第2の電圧指令値を算出する電圧指令演算器と、
前記位置検出部にて検出された位置検出値に基づいて、前記車両用ドアの位置の異常を判断する位置検出異常判断器と、
前記位置検出異常判断器にて前記車両用ドアの位置が正常であると判断された場合、前記第1の電圧指令値が前記電力変換器に与えられ、前記位置検出異常判断器にて前記車両用ドアの位置が異常であると判断された場合、前記第2の電圧指令値が前記電力変換器に与えられるように信号経路を切り替える切替器とを備えることを特徴とする車両用ドア駆動制御装置。
Priority Applications (1)
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