JP2003274698A - 車両駆動用誘導電動機の制御装置 - Google Patents

車両駆動用誘導電動機の制御装置

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JP2003274698A
JP2003274698A JP2002067351A JP2002067351A JP2003274698A JP 2003274698 A JP2003274698 A JP 2003274698A JP 2002067351 A JP2002067351 A JP 2002067351A JP 2002067351 A JP2002067351 A JP 2002067351A JP 2003274698 A JP2003274698 A JP 2003274698A
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Takeshi Ogawa
岳 小川
Toshiaki Okuyama
俊昭 奥山
Seiji Ishida
誠司 石田
Tetsuo Kojima
徹郎 児島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両駆動用モータの速度センサレス制御にお
いて、低速域における速度推定誤差を低減する。 【解決手段】 主幹制御器から与えられる加減速度指令
α*に基づいて誘導電動機の励磁電流指令id*とトルク電
流指令iq*を生成する電流指令演算手段103と、加減速度
指令又はこの加減速度指令に相関する物理量に基づいて
誘導電動機の速度の推定値を演算する速度推定手段102
と、励磁電流指令とトルク電流指令と速度推定値に基づ
いて誘導電動機の電圧指令と周波数指令とを生成するイ
ンバータ制御手段とを備え、このインバータ制御手段
は、誘導電動機のq軸磁束又はd軸誘起電圧を推定し、こ
の推定値を制御系から定まる定常値に一致させるように
トルク電流指令を補正するトルク電流補償手段120を備
えてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電動機の制御
装置に係り、特に、鉄道車両又は電気車等の駆動機とし
て用いられる誘導電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気車等の車両駆動用の誘導電動機(以
下、単にモータと称する。)は、一般に、インバータ装
置により可変速駆動される。近年では、制御の高応答性
を実現するために、ベクトル制御の適用が進んでいる。
インバータ制御において、必要となるモータ速度は速度
センサにより検出するのが一般的である。しかし、最近
では、ベクトル制御系で生成される制御指令などに基づ
いてモータ速度を推定することが行なわれている。この
ような制御を、速度センサレスベクトル制御又は単に速
度センサレス制御と称している。例えば、モータ速度は
モータの誘起電圧に比例することから、モータの誘起電
圧を演算等により求め、これに基づいて速度を推定する
方法が知られている。しかし、この方法によると、低速
度域においては、誘起電圧も小さくなるため、誘起電圧
の演算精度が低下して推定速度に誤差が含まれてしまう
ことになる。特に、車両駆動用モータの制御の場合、停
止時や徐行運転時の速度の推定精度が悪いと、加速度が
急変して乗り心地が悪くなることがある。
【0003】そこで、従来、低速度域においては、運転
者のノッチ操作に対応する加減速度指令(トルク指令と
等価)に基づいて加速トルク又は減速トルクの指令値を
演算し、その演算値と予めモータ軸に換算した車両の慣
性モーメントの設定値に基づいてモータの速度を推定す
ることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、トルク指令
と慣性モーメント設定値とからモータの速度を推定する
方法は、車両の質量が一定で、かつモータトルクと車両
の加減速度とが一対一で関係する場合に成り立つ方法で
ある。
【0005】したがって、車両の重量が変化して実際の
慣性モーメントがその設定値からずれると、モータ速度
の推定値に誤差が生ずることになる。また、走行路に勾
配がある場合には、その勾配によって車両が加減速され
るため、モータの発生トルクと車両に作用する加減速ト
ルクが等しいという仮定が成り立たなくなる。
【0006】例えば、鉄道車両の場合、減速過程で平坦
な線路から下り勾配の線路に差し掛かったとき、車両を
進行方向に加速しようとする加速トルク(勾配抵抗)が
発生する。この場合、車両に実際に作用する減速トルク
は、モータが発生する減速トルクから勾配抵抗による加
速トルク相当分を差し引いた値になる。その結果、車両
速度の減速度が低下するから、加減速度指令に基づいて
推定した速度よりも高くなり、実速度と速度推定値とに
差が生じる。同様に、乗客の乗降により車両重量が変化
すると、慣性モーメントが変化するから速度推定誤差が
生ずる。
【0007】また、一般に、車両が停止する際、インバ
ータの回生制動だけでなく、空気ブレーキ等の機械的ブ
レーキを自動的に作動させて停止させる。この場合、ブ
レーキの作動タイミングを、車両が停止するタイミング
に合わせる必要がある。しかし、速度の推定値に誤差が
あると、ブレーキの作動タイミングが車両停止のタイミ
ングからずれてしまい、走行中にブレーキが作動して急
激な減速トルクが作用し、乗り心地が悪化するという問
題がある。
【0008】本発明は、車両駆動用モータの速度センサ
レス制御において、低速域における速度推定誤差を低減
することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、次に述べる手
段により、上記課題を解決するものである。
【0010】まず、本発明は、主幹制御器から与えられ
る加減速度指令に基づいて誘導電動機の励磁電流指令と
トルク電流指令を生成する電流指令演算手段と、前記加
減速度指令又は該加減速度指令に相関する物理量に基づ
いて前記誘導電動機の速度の推定値を演算する速度推定
手段と、前記励磁電流指令と前記トルク電流指令と前記
速度推定値に基づいて前記誘導電動機の電圧指令と周波
数指令とを生成するインバータ制御手段とを備えてなる
車両駆動用誘導電動機の制御装置を対象とする。なお、
加速度指令に相関する物理量は、誘導電動機のトルク電
流と励磁電流の検出値から求めまるトルク推定値又は主
幹制御器のノッチ指令である。
【0011】そして、上記課題を解決するため、前記イ
ンバータ制御手段は、前記誘導電動機のq軸磁束又はd軸
誘起電圧を推定し、該q軸磁束又はd軸誘起電圧の推定値
を制御系から定まる定常値に一致させるように前記トル
ク電流指令を補正するトルク電流補償手段を備えてなる
ことを特徴とする。
【0012】すなわち、誘導電動機の実際の速度(実速
度)に対して速度推定値に誤差があると、速度推定値に
応じて制御されるすべり周波数指令が実際のすべり周波
数(以下、実すべり周波数という。)に一致しなくなる。
その結果、ベクトル制御系から定まる定常値(例えば、
ゼロ)に制御されているq軸磁束φqあるいはd軸誘導起
電力edの値が、速度推定値の誤差に応じた値を持つよう
になる。
【0013】そこで、q軸磁束φqあるいはd軸誘導起電
力edを推定し、この推定値を前記定常値に一致させるよ
うにトルク電流指令を補正制御するトルク電流補償手段
を設け、トルクを増減して実速度を増減することによ
り、実速度を加減速度指令に基づいた速度推定値に一致
させることができる。これによれば、車両の運転士が操
作する主幹操作器のノッチ指令に応じた加減速度で制御
されるから、運転士には違和感がない。
【0014】また、トルク電流指令を補正制御すること
に代えて、q軸磁束φqあるいはd軸誘導起電力edの推定
値を前記定常値に一致させるように、加減速度指令又は
周波数指令を補正制御することができる。この場合は、
速度推定値を増減補正して、実速度に一致させるのであ
る。
【0015】さらに、前記トルク電流補償手段と前記加
減速度補償手段の両方を備え、これらを駆動対象車両の
運転条件に応じて切り換える切り換え手段を設けること
が好ましい。
【0016】これによれば、トルクを増減して実速度を
速度推定値に一致させ方法と、速度推定値を増減補正し
て実速度に一致させる方法とを適宜切り換えて、車両の
運転条件に合わせることができる。
【0017】例えば、車両の運転条件として、誘導電動
機の電流が予め定められた限流値以下の場合はトルク電
流補償手段に切り換え、前記誘導電動機の電流が前記限
流値を超える場合は前記加減速度補償手段に切り換える
条件がある。この場合は、インバータ又は誘導電動機の
電流耐量の範囲内はトルクを増減し、電流耐量の範囲を
超えた場合は速度推定値を増減補正することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を参照して説明する。 (第1実施形態)図1に、本発明の車両駆動用誘導電動
機の制御装置の第1実施形態の主要部であるインバータ
制御器のブロック構成図を示し、図2に、鉄道車両駆動
装置の全体構成図を示す。図2に示すように、架線1か
らパンタグラフ2を介して受電された直流は、受電フィ
ルタ3を介してインバータ4に入力される。受電フィルタ
3は、フィルタリアクトル3aとフィルタコンデンサ3bを
備えており、インバータ4からのリプル電流を平滑化す
る。インバータ4は、PWM制御器13から送られるゲー
トパルス信号Gpに従ってスイッチング駆動され、可変電
圧、可変周波数の交流電圧を発生してモータ(誘導電動
機)5に供給する。モータ5は、インバータ4から供給さ
れた交流電圧によりトルクを発生し、図示していないギ
アを介して車輪6を駆動する。主幹制御器11は、運転士
のノッチ操作をノッチ指令α*に変換してインバータ制
御器12に送る。インバータ制御器12は、ノッチ指令α*
と、交流電流検出器8により検出したインバータ出力電
流iu、ivとモータ定数に基づいて電圧指令vu*、vv*、vw
*を生成してPWM制御器13に送る。PWM制御器13
は、電圧指令vu*、vv*、vw*からゲートパルス信号Gpを
生成してインバータ4に送る。これにより、モータ5はノ
ッチ指令α*に応じた加減速トルクにより駆動される。
【0019】インバータ制御器12は、図1に示す構成と
なっている。図1に示すように、主幹制御器11から出力
されるノッチ指令α*は、電流指令演算器103と速度推定
器102に入力される。ここで、ノッチ指令α*は、モータ
5に対するトルク指令に相当し、言い換えれば車両の加
速度又は減速度の指令に相当する。電流指令演算器103
は、ノッチ指令α*に対応したモータトルクを発生させ
るため、モータトルクに対応する励磁電流指令id*とト
ルク電流指令iq*を演算して、電圧指令演算器104に出力
する。電圧指令演算器104は、入力される励磁電流指令i
d*とトルク電流指令iq*とから、数1と数2の式に基づい
てd軸電圧指令vd0*とq軸電圧指令vq0*を演算し、それ
ぞれ加算器105、106を介して電圧指令変換器107に出力
する。電圧指令変換器107は、入力されるd軸電圧指令v
d*とq軸電圧指令vq*を3相の電圧指令vu*、vv*、vw*に
変換してPWM制御器13に送る。
【0020】
【数1】
【0021】
【数2】 また、電流指令演算器103から出力される励磁電流指令i
d*とトルク電流指令iq*は、それぞれ加算器108,109を介
してd軸電流制御器110とq軸電流制御器111に入力され
ている。
【0022】一方、電流演算器112は、交流電流検出器8
により検出した3相交流のU相電流iuとV相電流ivを、d
q軸系の励磁電流idとトルク電流iqに変換し、それぞれ
加算器108,109に入力している。加算器108,109は、励磁
電流指令id*と励磁電流idの偏差と、トルク電流指令iq*
とトルク電流iqの偏差をそれぞれ求め、それらの偏差を
対応するd軸電流制御器110とq軸電流制御器111に入力
する。d軸電流制御器110とq軸電流制御器111は、それ
らの偏差を低減するように電圧補償値Δvd*、Δvq*を生
成する。これらの電圧補償値Δvd*、Δvq*は、加算器10
5,106においてd軸電圧指令vd0*とq軸電圧指令vq0*に
加算され、d軸電圧指令vd*とq軸電圧指令vq*として電
圧指令変換器107に入力される。その結果、検出された
励磁電流idとトルク電流iqが、励磁電流指令id*とトル
ク電流指令iq*にそれぞれ一致するように制御される。
【0023】次に、速度センサレス制御系について説明
する。速度センサレス制御系は、モータ速度に比例する
誘起電圧を演算し、速度推定値として用いる。しかし、
低速度域においては誘起電圧が減少するから、推定精度
が低下して誤差が生ずる。
【0024】そこで、本実施形態では、低速度域の場合
は、速度推定器102においてノッチ指令α*から加減速ト
ルク指令τm*を演算し、演算した加減速トルク指令τm*
とモータ軸に換算した車両の慣性モーメントとからモー
タの推定速度ω’mを演算する。また、すべり演算器113
において、励磁電流指令id*とトルク電流指令iq*とか
ら、すべり周波数指令ωs*を演算する。このすべり周波
数指令ωs*は、加算器114によりモータの推定速度ω’m
に加算され、インバータ周波数指令ω1*が生成される。
このインバータ周波数指令ω1*は、積分器115において
積分され、位相指令θ*に変換される。この位相指令θ*
は、電圧指令変換器107と電流演算器112とに入力され、
それぞれ3相-dq軸変換の位相として用いられる。
【0025】ここで、低速域における速度推定誤差に起
因する乗り心地の悪化を改善する本実施形態の特徴部に
ついて説明する。図1において、破線で囲んだトルク補
償手段120が本実施形態の特徴部である。速度推定器102
で生成される速度推定値ω’mが実速度ωm対して誤差を
有すると、速度推定値ω’mに応じて制御されるすべり
周波数指令ω1*が、実際のすべり周波数(以下、実すべ
り周波数という。)に一致しなくなる。その結果、ベク
トル制御では本来ゼロに制御されているq軸磁束φqの値
が、速度推定値ω’mの誤差に応じてゼロ以外の値を持
つようになる。そこで、本実施形態では、q軸磁束φqを
検出し、その値がゼロになるようにq軸電流を補正する
ことにより、速度推定値ω’mの誤差を低減するように
している。
【0026】具体的には、磁束推定器121においてq軸
推定磁束φ’qを求める。磁束推定器121は、電圧指令変
換器107に入力されるd軸電圧指令vd*とq軸電圧指令vq
*、電流演算器112から出力される励磁電流idとトルク電
流iq、及び速度推定器102から出力される速度推定値
ω’mを取り込む。そして、予め設定されているモータ
定数を用いて、数3および数4に示した式に基づいてq軸
推定磁束φ’q を推定する。なお、速度推定誤差に起因
する磁束の変化は緩やかなので、数3および数4では過渡
項を省略している。
【0027】
【数3】
【0028】
【数4】 ここで、数式中の記号は次のとおりである。
【0029】R2: モータの二次抵抗 L2: モータの二次側自己インダクタンス M: モータの相互インダクタンス T2: モータの二次時定数(=L2/R2) Rσ: モータの一次換算抵抗 lσ: モータの一次換算漏れインダクタンス 推定されたq軸推定磁束φ’qは、電流補償器122に入力
され、数5に示す式に基づいて、q軸推定磁束φ’qに応
じたトルク電流の補償値Δiq*が生成される。
【0030】
【数5】 電流補償器122により生成された補償値Δiq*は、加算器
123において電流指令演算器103から出力されるトルク電
流指令iq*に加算される。これによって、速度推定誤差
に起因するq軸推定磁束φ’qがゼロになるように制御
され、その結果速度推定値ω’mの誤差を低減すること
ができる。
【0031】ここで、本実施形態の効果を図3を用いて
説明する。同図は、鉄道車両が減速過程で平坦な線路か
ら下り勾配の線路に差し掛かった場合におけるモータ速
度とモータトルク(減速トルク)との関係を示す図であ
る。
【0032】図3に示すように、減速過程のt1において
平坦な線路から下り勾配の線路に車両が差し掛かると、
車両を進行方向に加速しようとする加速トルク(勾配抵
抗)が加わる。この加速トルクによって実際の速度ωm
は、t1以後、点線126に示すように減速度が低下する。
一方、速度推定器102により推定される速度推定値ω’m
は、ノッチ指令α*と車両の慣性モーメントの設定値が
一定であるから、t1以後、実線127に示すように、t1
前と同じ減速度で低下する。したがって、速度推定値
ω’mは実速度ωmに対して誤差を有することになる。
【0033】この点、本実施形態によれば、t1におい
て平坦な線路から下り勾配の線路に差し掛かっても、ト
ルク電流指令iq*が増加されるから、これに応じて減速
トルク指令τm*が実線128に示すように増加される。つ
まり、勾配抵抗分の加速トルクを打ち消すように、減速
トルクが補償される。その結果、実線127に示すよう
に、速度推定値ω’mと実速度ωmを一致させることがで
きる。
【0034】特に、車両が停止する際に、インバータの
回生制動だけでなく、機械的ブレーキを自動的に作動さ
せて停止させる場合、ブレーキの作動タイミングがずれ
ると、車両の速度が十分に減速される前にブレーキが作
動することになり、急激な減速トルクが作用して、乗り
心地が悪化するが、本実施形態によれば、ブレーキの作
動タイミングを車両の停止の際の設定速度に一致させる
ことができる。そのため、急激な加速度の変化を防止し
て、乗り心地の悪化を改善できる。
【0035】速度推定誤差の要因について、図3を用い
て、線路の勾配の変化を例に説明したが、本実施形態は
これに限らず、例えば乗客の乗降による車両質量の変化
により、慣性モーメントが変化する速度推定誤差に対し
ても効果がある。つまり、勾配や荷重の変化に応じてモ
ータトルクが増減制御されるから、指令通りの加減速度
が得られる。
【0036】また、現在の一般的な運転制御では、ノッ
チ指令に応じて一定の加減速トルクを発生するよう設計
されているので、減速中に運転士がノッチを操作しない
とすると、上り勾配に差し掛かれば減速度は上昇し、下
り勾配に差し掛かれば減速度は低下する。この点、本実
施形態によれば、勾配や荷重の変化の影響を受けず、加
減速度は常にノッチ指令値に一致する。すなわち、勾配
や荷重の変化に応じてノッチ指令に一致させるようにモ
ータトルクが増減されるから、速度を管理することがで
きる。したがって、車両の停止時のブレーキ操作のタイ
ミング改善に限らず、ATOによる自動運転や、速度を制
御したい用途に適用すると有効である。 (第2実施形態)図4に、本発明の第2実施形態の車両駆
動用誘導電動機の制御装置の主要部であるインバータ制
御器のブロック構成図を示す。図1の実施形態では、q
軸推定磁束φ’qでq軸電流指令iq*を補正し、トルクを
補償することにより速度推定誤差を低減するようにし
た。これに対し、本実施形態は、q軸推定磁束φ’qに
よりノッチ指令α*を補正して、速度推定値ω’mを直接
的に補正することにより、速度推定誤差を低減するよう
にしている。図において、図1の実施形態と同一機能構
成を有する要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0037】すなわち、本実施形態の特徴部は、破線で
囲んだ加減速度補償手段130にある。加減速度補償手段1
30は、磁束推定器121と加減速度補償器131と加算器132
とを有して構成される。磁束推定器121は図1と同一であ
り、q軸推定磁束φ’qを推定して加減速度補償器131に
出力する。加減速度補償器131は、数6の式に基づいて、
q軸推定磁束φ’qに応じた加減速度の補償値Δα*を生
成する。生成された加減速度の補償値Δα*により、加
算器132においてノッチ指令α*が減算補正される。
【0038】
【数6】 すなわち、前述したように、速度推定値ω’mが実際の
速度からずれる理由は、勾配に差し掛かったり、車両の
重量が変化して、モータ5に負荷である車両側から加減
速トルクが作用するためである。この負荷の加減速トル
クによりモータ5のq軸磁束がゼロから外れるため、そ
のq軸推定磁束φ’qをゼロにするように、加減速度指
令に相当するノッチ指令α*を補正する。これにより、
速度推定器102は補正されたノッチ指令α*に基づいて速
度推定値ω’mを演算して、速度推定値ω’mが実際の速
度に一致するように補正される。
【0039】ここで、図5を参照して本実施形態の効果
を説明する。同図は、図3と同様に、一定の減速度で減
速されている過程のt1において、平坦な線路から下り
勾配の線路に差し掛かった場合の動作である。この場
合、t1以降において、車両を進行方向に加速しようと
する加速トルクが生じ、この加速トルクによってモータ
の実速度ωmは実線135で示すように減速度が低下する。
これに対し、速度推定器102により推定する速度推定値
ω’mは、ノッチ指令α*と車両の慣性モーメントが変ら
ないから、ノッチ指令α*に応じた一定の減速トルク指
令τm*により、点線136で示すようにt1前と同じ減速度
で低下する。そのため、速度推定値ω’mは実速度ωmに
対して誤差を有することになる。
【0040】この点、本実施形態によれば、q軸推定磁
束φ’qをゼロにするようにノッチ指令α*が補正され、
これに基づいて速度推定値ω’mが求められるから、図5
の実線135に示すように、速度推定値ω’mが実際の速度
に一致することになる。その結果、図3で説明したよう
に、例えば、車両が停止する際のブレーキの作動タイミ
ングがずれることがなくなり、急激な減速トルクの作用
を防止して、乗り心地を改善できる。また、勾配や荷重
の変化に応じて加減速度指令が増減され、図5の実線137
に示すように、モータは一定のトルクを発生することに
なる。
【0041】なお、ノッチ指令を補正する代りに、周波
数指令ω1*を補正するようにしても同様の効果を得るこ
とができる。
【0042】ところで、本実施形態によれば、線路の勾
配や重量の変化に応じて、速度が変化することになる。
この現象は、一般的な車両の運転制御における運転士の
操作感と一致する。したがって、本実施の形態は、運転
士の操作感を変更したくない場合に適している。 (第3実施の形態)図6に、本発明の第3実施形態の車両
駆動用誘導電動機の制御装置の主要部であるインバータ
制御器のブロック構成図を示す。本実施の形態は、図6
に点線で示したブロックの速度推定補償手段140を特徴
とし、第1実施形態のトルク補償手段120と、第2実施形
態の加減速度補償手段130の両方を備え、運転条件に応
じてそれらを切り換えて用いるようにしたものである。
図において、図1又は第2実施形態と同一機能構成を有
する要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】速度推定誤差補償手段140において、磁束
推定器121から出力されるq軸推定磁束φ’qは切換器16
1によって、電流補償器122又は加速度補償器131のいず
れか一方に入力される。切換器413は、切り換え判定器1
62の指令により切替えられる。切り換え判定器162は、
入力される切り換え信号Fp*に従って切換器413を切り換
えるようになっている。切り換え信号Fp*は、運転条件
に応じて生成される信号であり、例えば、線路の勾配情
報を参照し、勾配が設定値より緩やかで所定の加減速度
を維持できる区間では、電流補償器122に切り換えて図1
の実施形態による制御を用いる。一方、勾配が設定値よ
り急で所定の加減速度を維持できない区間では、加減速
度補償器131に切り換えて図4の実施形態による制御を用
いる。
【0044】すなわち、図1の実施形態では、勾配の変
化時に、トルク電流を増やしてモータトルクを増加さ
せ、これによりノッチ指令に対応した加減速度を維持す
るようにして、速度推定誤差を低減している。しかし、
トルク電流を許容される最大値まで増やしても、加減速
度を維持するのに必要なトルクを発生できない場合があ
る。そこで、本実施形態では、加減速度を維持するのに
必要なトルクを発生できない急勾配の区間では、図4の
実施形態による制御に切り換える。
【0045】これによって、図1の電流補償制御により
速度推定誤差の補償を行なっている時に、加減速度を維
持するのに必要なトルクを発生できない場合であって
も、図4の加減速度補償に切り換えて加減速度を補償す
ることにより、速度推定誤差を低減できる。 (他の実施形態)図6の実施形態では、切り換え判定器1
62に入力される切り換え信号により図1と図4の制御を切
り換えるようにしたが、これに代えて切り換え判定器16
2にトルク電流の判定機能を設けてもよい。つまり、励
磁電流idとトルク電流iqのベクトル和であるi1を数7の
式により演算し、i1が制限値未満の間は電流補償器122
によりトルク電流補償を行い、制限値に達したら、トル
ク電流の補償値Δiq*は保存したままで、加減速度補償
器131に切り換えるようにすることができる。
【0046】
【数7】 この場合、走行区間によらずインバータやモータの電流
耐量の範囲で、加減速度を最大限維持する運転が可能に
なる。その結果、図7に示すような走行パターンが得ら
れる。つまり、減速中のt1において走行路が下り勾配に
変化したとき、トルク電流補償が働き減速トルクが増加
される(同図(b))。これにより、モータ速度ωmの
減速度が一定に保持される(同図(a))。このとき、
モータ電流i1も増加され、t2においてi1の限流値に
達すると、モータ電流i1は一定値に制限されるととも
に、切り換え判定器162が動作して減速度補償に切り換
えられる(同図(c))。その結果、減速トルクが一定
に保持されるとともに(同図(b))、モータの実速度
ωmの減速度が減少されるが、速度推定値は実速度に一
致されている(同図(a))。
【0047】以上説明した各実施形態においては、q軸
磁束φqに基づいて速度推定誤差の補償を行う例を説明
した。しかし、本発明は、q軸磁束φqの代わりにd軸誘
起起電力edに基づいて補償するようにしても同一の効果
が得られる。また、d軸磁束φd又はq軸誘起起電力eqに
基づいて、同様の補償を行なうことも可能である。
【0048】また、本発明は、減速時だけでなく加速時
にも有効である。さらに、図2に示すような直流電気車
だけでなく、架線から供給される交流電力を一旦直流に
整流した後、インバータを介して誘導電動機を駆動する
交流電気車にも適用できる。また、鉄道車両だけでなく
誘導電動機を駆動機とする電気自動車等の電気車にも適
用できる。
【0049】さらに、各実施形態の制御装置は、便宜的
にディスクリートの回路構成で示したが、マイクロコン
ピュータなどで構成することができるのはいうまでもな
い。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、車
両駆動用モータの速度センサレス制御において、低速域
における速度推定誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両駆動用誘導電動機の制御装置
の第1実施形態の主要部であるインバータ制御器の構成
図である。
【図2】本発明に係る車両駆動装置の全体構成図を示
す。
【図3】第1実施形態の動作を説明する図である。
【図4】本発明に係る車両駆動用誘導電動機の制御装置
の第2実施形態の主要部であるインバータ制御器の構成
図である。
【図5】第2実施形態の動作を説明する図である。
【図6】本発明に係る車両駆動用誘導電動機の制御装置
の第3実施形態の主要部であるインバータ制御器の構成
図である。
【図7】第3実施形態の変形例の動作を説明する図であ
る。
【符号の説明】
102 速度推定器 103 電流演算器 104 電圧指令演算器 107 電圧指令変換器 110 d軸電流制御器 111 q軸電流制御器 112 電流演算器 113 すべり演算器 115 積分器 120 トルク電流補償手段 121 磁束推定器 122 電流補償器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 誠司 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 児島 徹郎 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所交通システム事業部水戸交通 システム本部内 Fターム(参考) 5H115 PA01 PA08 PC02 PG01 PI03 PI29 PU09 PV09 QE02 QN09 QN28 RB10 RB22 RB26 SE03 SE10 SF02 TO02 TO04 TO07 TO12 TO16 UI02 5H576 AA01 BB06 BB09 CC01 DD02 DD04 EE01 EE09 EE11 FF07 GG04 GG07 HB01 JJ04 JJ05 JJ06 JJ22 JJ25 LL12 LL14 LL25 LL30 LL32 LL38 LL60

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主幹制御器から与えられる加減速度指令
    に基づいて誘導電動機の励磁電流指令とトルク電流指令
    を生成する電流指令演算手段と、前記加減速度指令又は
    該加減速度指令に相関する物理量に基づいて前記誘導電
    動機の速度の推定値を演算する速度推定手段と、前記励
    磁電流指令と前記トルク電流指令と前記速度推定値に基
    づいて前記誘導電動機の電圧指令と周波数指令とを生成
    するインバータ制御手段とを備えてなり、 前記インバータ制御手段は、前記誘導電動機のq軸磁束
    又はd軸誘起電圧を推定し、該q軸磁束又はd軸誘起電圧
    の推定値を制御系から定まる定常値に一致させるように
    前記トルク電流指令を補正するトルク電流補償手段を備
    えてなる車両駆動用誘導電動機の制御装置。
  2. 【請求項2】 主幹制御器から与えられる加減速度指令
    に基づいて誘導電動機の励磁電流指令とトルク電流指令
    を生成する電流指令演算手段と、前記加減速度指令又は
    該加減速度指令に相関する物理量に基づいて前記誘導電
    動機の速度の推定値を演算する速度推定手段と、前記励
    磁電流指令と前記トルク電流指令と前記速度推定値に基
    づいて前記誘導電動機の電圧指令と周波数指令とを生成
    するインバータ制御手段とを備えてなり、 前記インバータ制御手段は、前記誘導電動機のq軸磁束
    又はd軸誘起電圧を推定し、該q軸磁束又はd軸誘起電圧
    の推定値を制御系から定まる定常値に一致させるように
    前記加減速度指令又は前記周波数指令を補正する加減速
    度補償手段を備えてなる車両駆動用誘導電動機の制御装
    置。
  3. 【請求項3】 主幹制御器から与えられる加減速度指令
    に基づいて誘導電動機の励磁電流指令とトルク電流指令
    を生成する電流指令演算手段と、前記加減速度指令又は
    該加速度指令に相関する物理量に基づいて前記誘導電動
    機の速度の推定値を演算する速度推定手段と、前記励磁
    電流指令と前記トルク電流指令と前記速度推定値に基づ
    いて前記誘導電動機の電圧指令と周波数指令とを生成す
    るインバータ制御手段とを備えてなり、 前記インバータ制御手段は、前記誘導電動機のq軸磁束
    又はd軸誘起電圧を推定し、該q軸磁束又はd軸誘起電圧
    の推定値を制御系から定まる定常値に一致させるように
    前記トルク電流指令を補正するトルク電流補償手段と、
    前記誘導電動機のq軸磁束又はd軸誘起電圧の推定値を制
    御系から定まる定常値に一致させるように前記加減速度
    指令又は前記周波数指令を補正する加減速度補償手段
    と、駆動対象車両の運転条件に応じて前記トルク電流補
    償手段と前記加減速度補償手段を切り換える切り換え手
    段とを備えてなる車両駆動用誘導電動機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記運転条件は、前記誘導電動機の電流
    が予め定められた限流値以下の場合は前記トルク電流補
    償手段に切り換え、前記誘導電動機の電流が前記限流値
    を超える場合は前記加減速度補償手段に切り換える条件
    であることを特徴とする請求項3に記載の車両駆動用誘
    導電動機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記加速度指令に相関する物理量は、前
    記誘導電動機のトルク電流と励磁電流の検出値から求め
    まるトルク推定値又は前記主幹制御器のノッチ指令であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    車両駆動用誘導電動機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007089269A (ja) * 2005-09-20 2007-04-05 Toshiba Corp 電気車制御装置
CN106602951A (zh) * 2016-12-07 2017-04-26 华南理工大学 一种空调压缩机转速波动抑制方法

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