JP5162268B2 - ハニカム構造体成形用口金 - Google Patents

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Description

本発明はハニカム構造体成形用口金に関し、更に詳しくは、異なる二種類の部材を接合してなり、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができるハニカム構造体成形用口金に関する。
内燃機関、ボイラー等の排ガス中の微粒子、特にディーゼル微粒子の捕集フィルターや排ガス浄化用の触媒担持体等に、セラミック質のハニカム構造体が用いられている。
セラミック質のハニカム構造体は、通常、成形原料を導入する裏孔と、この裏孔に連通する格子状等のスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を用いて押出成形する方法により製造されている。ハニカム構造体成形用口金は、通常、一方の面に、ハニカム構造体の隔壁厚さに対応する幅のスリットが格子状等に設けられており、他方の面に、スリットと連通する裏孔が開口して設けられている。
裏孔は、通常、格子状等のスリットが交差する位置に対応して設けられ、裏孔と格子状等のスリットは連通している。従って、裏孔から導入されたセラミック原料等の成形原料は、比較的内径の大きな裏孔から、幅の狭いスリットへと移行して、このスリットの開口部から押し出される。
このようなハニカム構造体成形用口金として、ステンレス合金や超硬合金等の一種類の合金から構成されるハニカム構造体成形用口金が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、スリットを形成するための部材と、裏孔を形成するための部材のように、異なる二種類の部材を接合した板状部材から構成されるハニカム構造体成形用口金も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
異なる二種類の部材を接合した板状部材から構成されるハニカム構造体成形用口金の製造方法として、異なる二種類の部材を接合するのに液層拡散接合を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この製造方法によれば、工具等の破損を有効に防止し、高度な成形性を実現することが可能なハニカム構造体成形用口金を製造することができる。
特開2000−326318号公報 特開2003−285308号公報 特開2007−181976号公報
しかしながら、異なる二種類の部材を接合するために液層拡散接合を用いる場合、部材の接合面以外の部分をろう材が侵食することがあり、侵食された領域の部材の強度が低下する場合があった。このため、製造したハニカム構造体成形用口金は、強度が不足して繰り返し使用することができない場合があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、異なる二種類の部材を接合してなり、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができるハニカム構造体成形用口金を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、第一の板状部材に形成された裏孔の内壁面に所定のコーティング膜を形成することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すハニカム構造体成形用口金が提供される。
[1]厚さ方向に貫通する裏孔が形成された、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属からなる第一の板状部材と、液層拡散で前記第一の板状部材を侵食する性質を有する、銅又は銅を含む合金からなるろう材により前記第一の板状部材に接合され、前記第一の板状部材に形成された前記裏孔と連通するスリットが形成された第二の板状部材と、を備え、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材の接合面の、前記裏孔一つあたりの面積が、50mm 以下であり、前記裏孔の内壁面に、その厚さが0.01〜1000μmである、セラミックスからなるコーティング膜が形成されたハニカム構造体成形用口金。
]前記第二の板状部材が、炭化タングステン基超硬合金からなるものである前記[1]に記載のハニカム構造体成形用口金。
本発明のハニカム構造体成形用口金は、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体成形用口金
本発明のハニカム構造体成形用口金について図を用いて説明する。図1は、本発明のハニカム構造体成形用口金の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示すハニカム構造体成形用口金を平面Aで切断した断面を示す断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態のハニカム構造体成形用口金1は、厚さ方向に貫通する裏孔5が形成された第一の板状部材2と、液層拡散で第一の板状部材2を侵食する性質を有するろう材により第一の板状部材2に接合され、第一の板状部材2に形成された裏孔5と連通するスリット7が形成された第二の板状部材3と、を備え、裏孔5の内壁面に、コーティング膜6が形成されたものである。
本発明のハニカム構造体成形用口金は、裏孔の内壁面にコーティング膜が形成されているため、液層拡散で第一の板状部材の接合面以外の領域がろう材に侵食されることはなく、第一の板状部材と第二の板状部材の接合面の、裏孔一つあたりの面積(以下、「接合面積」ともいう)が50mm以下であっても、第一の板状部材は高い強度を有している。そのため、本発明のハニカム構造体成形用口金は、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができる。
本発明のハニカム構造体成形用口金の第一の板状部材と第二の板状部材の厚さについては特に制限されるものではないが、それぞれを接合した際に、第一の板状部材と第二の板状部材との接合面における残留応力(以下、「残留応力」ともいう)を有効に減少させることと、スリットと裏孔との一般的な形状を考慮することを踏まえて適宜決定することができる。例えば、一般的なハニカム構造体成形用口金の場合には、第二の板状部材の厚さ(2)に対する、第一の板状部材の厚さ(1)の比((1)/(2))は、0.1〜200であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。
また、本発明のハニカム構造体成形用口金の接合面積は、50mm以下であり、10mm以下であることが好ましい。接合面積が50mm超であると、第一の板状部材に形成された裏孔の内壁面に、コーティング膜を形成する必要が無い場合がある。なお、接合面積の下限は特に限定されるものではなく、通常、0.1mm以上である。
ここで、本明細書にいう「接合面積」について図を用いて説明する。図3は、ハニカム構造体成形用口金を成形原料導入方向から見た部分平面図である。接合面積は、図3において斜線が引かれている二つの領域8の面積の和をいう。より具体的には、第二の板状部材3に形成されている格子状のスリット7により区画されている二つの領域8で、第二の板状部材3と第一の板状部材2が接合している面積の和をいう。なお、裏孔5は、通常、第二の板状部材3に形成されたスリット7の交点に対応する位置に一つおきに形成されているものである。
本発明のハニカム構造体成形用口金は、例えば、図4に示すような、多孔質の隔壁11を備え、この隔壁11によって流体の流路となる複数のセル12が区画形成された、高度な成形性を有するハニカム構造体10を繰り返し成形することができる。なお、図4に示すハニカム構造体10は、内燃機関、ボイラー、化学反応機器及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒担持体や、排気ガス中の微粒子捕集フィルター等に好適に用いることができる。
図1〜図3に示すスリット7は、図4に示すハニカム構造体10の隔壁11の部分を成形するためのものであり、この隔壁11の形状に対応して、図1に示すように格子状に形成されている。なお、図1及び図2に示すハニカム構造体成形用口金1は、第一の板状部材2と第二の板状部材3をろう材により接合したものであり、ろう材は、第一の板状部材2の接合面の組織内部を一部侵食している。
(1−1)第一の板状部材
第一の板状部材は、厚さ方向に貫通する裏孔が形成されており、ろう材により侵食される材質からなるものであり、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属からなるものである。このような金属としては、例えば、鉄(Fe)を主成分とし、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む合金がある。なお、炭素(C)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の添加剤を含む合金であっても良い。具体的には、SUS630(C;0.07以下,Si;1.00以下,Mn;1.00以下,P;0.040以下,S;0.030以下,Ni;3.00〜5.00,Cr;15.50〜17.50,Cu;3.00〜5.00,Nb+Ta;0.15〜0.45,Fe;残部(単位は全て質量%))のようなステンレス合金が挙げられる。このようなステンレス合金は、裏孔を形成するための加工が比較的に容易であるとともに、安価である。
裏孔は、第二の板状部材に形成されるスリットの交点に対応する位置に一つおきに形成されることが好ましい。このような位置に裏孔が形成されることにより、ハニカム構造体成形用口金を用いて押出成形を行う際に、裏孔に導入した成形原料をスリット全体に均一に広げることができ、ハニカム構造体の高い成形性を実現することができる。
裏孔の開口径の大きさは、製造するハニカム構造体成形用口金の大きさや、押出成形するハニカム構造体の形状等によって適宜決定することができる。例えば、裏孔の開口径の大きさは、0.1〜10mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることが更に好ましい。このような裏孔を形成する方法については、特に制限されるものではない。例えば、電解加工(ECM加工)、放電加工(EDM加工)、レーザ加工、ドリル等の機械加工等による従来公知の方法を好適に用いることができる。
また、裏孔を形成する際には、厚さ方向において均一な内径の裏孔を形成しても良いし、例えば、第二の板状部材前駆体と接合させる側の裏孔の内径を縮小させて、スリットと連通する部位に緩衝部を設けても良い。このような緩衝部を裏孔に設けることにより、ハニカム構造体成形用口金を用いて押出成形を行う際に、裏孔から導入した成形原料を支障なく滑らかに移動させることができ、高度な成形性を実現するとともに、高精度のハニカム構造体を成形することができる。
裏孔の内壁面には、その厚さが0.01〜1000μmであるコーティング膜が形成されている。コーティング膜としては、ろう材の第一の板状部材への侵食を抑制することができるものであり、具体的には、セラミックスからなる膜である。なお、セラミックスの具体例としては、炭化チタンや炭窒化チタン等のチタン類、炭化珪素、アルミナ等を挙げることができる。
コーティング膜の膜厚は、0.01〜1000μmであり、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。コーティング膜の膜厚が0.01μm未満であると、ろう材がコーティング膜を通過して第一の板状部材の接合面以外を侵食する場合がある。一方、コーティング膜の膜厚が1000μm超であると、コーティング膜が剥離する場合がある。
(1−2)第二の板状部材
第二の板状部材は、液層拡散で第一の板状部材を侵食する性質を有するろう材により第一の板状部材に接合され、第一の板状部材に形成された裏孔と連通するスリットが形成されたものである。この第二の板状部材は、炭化タングステン基超硬合金からなるものであることが好ましい。第二の板状部材が炭化タングステン基超硬合金からなるものであることで、耐摩耗性に優れ、スリットの摩耗を有効に防止することができる。
炭化タングステン基超硬合金は、少なくとも炭化タングステン(WC)を含む合金であり、炭化タングステンを、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)からなる群より選択される少なくとも一つの金属を結合材として使用した合金であることが好ましい。炭化タングステンを上記群より選択される少なくとも一つの金属を結合材として使用した合金は、耐摩耗性や機械的強度に特に優れている。具体的には、コバルト(Co)を結合材として使用した炭化タングステン基超硬合金として、WC−Co0.1〜50質量%等を挙げることができる。
第二の板状部材に形成されるスリットの幅は特に制限されるものではないが、本発明のハニカム構造体成形用口金を用いて成形するハニカム構造体の隔壁の厚さを考慮して、5〜5000μmであることが好ましく、10〜500μmであることが更に好ましい。また、隣接するスリット相互の間隔も特に制限されるものではないが、本発明のハニカム構造体成形用口金を用いて成形するハニカム構造体のセルの大きさを考慮して、10〜10000μmであることが好ましく、500〜5000μmであることが更に好ましい。
ろう材は、液層拡散で第一の板状部材を侵食する性質を有する。そのため、液層拡散接合を行うと第一の板状部材の接合面の組織内部にろう材が侵食し、第一の板状部材と第二の板状部材とを接合させた後には、ろう材が単独の層として存在しなくなる。これにより、ハニカム構造体成形用口金の機械的強度の低下を有効に防止することができる。また、第一の板状部材と第二の板状部材との接合面にろう材が単独の層として存在しないため、ろう材からの腐食や摩耗を有効に防止することができる。
ろう材としては、銅(Cu)又は銅を含む合金からなるものである。銅(Cu)又は銅を含む合金は、第一の板状部材としてステンレス合金を用いた場合、ステンレス合金に対する侵食性が高いため、特に好適に用いることができる。
また、ろう材は、例えば、パラジウム(Pd)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、リン(P)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)等の添加剤を更に含むものであっても良い。このような添加剤を更に含むものは、融点を制御したり、接合信頼性を向上させたりすることができる。
第一の板状部材と第二の板状部材とをろう材により接合する際には、第一の板状部材と第二の板状部材との接合面を全て覆うように、かつ、均一な厚さのろう材を配設することが好ましい。ろう材の厚さは、0.001〜1mmであることが好ましく、0.001〜0.01mmであることが更に好ましい。このようにしてろう材を配設することにより、優れた接合強度を付与することができる。
(2)ハニカム構造体成形用口金の製造方法
ハニカム構造体成形用口金の製造方法は、厚さ方向に貫通する裏孔が形成された第一の板状部材の、裏孔の内壁面にコーティング膜を形成する工程(1)と、第一の板状部材、液層拡散で第一の板状部材を侵食する性質を有するろう材、及び第二の板状部材前駆体をこの順で積層し、液層拡散接合して第一の板状部材と第二の板状部材前駆体を接合した口金前駆体を得る工程(2)と、得られた口金前駆体の一部を構成する第二の板状部材前駆体に、第一の板状部材に形成された裏孔と連通するスリットを形成して第二の板状部材を形成する工程(3)と、を含むものである。
(2−1)工程(1)
工程(1)では、厚さ方向に貫通する裏孔が形成された第一の板状部材の、裏孔の内壁面にコーティング膜を形成する。
裏孔の内壁面にコーティング膜を形成する方法としては、特に限定されるものではない。金属にコーティング膜を形成するための従来公知の方法を用いることができる。例えば、コーティング膜としてセラミックスからなる膜を形成する場合には、溶射、PVD法、CVD法、スパッタ法等を用いて形成することができる。また、ニッケル、クロム、金、銀、銅、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種からなる金属膜を形成する場合には、電界めっき法、無電界めっき法を用いて形成することができる。これらの中でも、CVD法又はめっき法を用いてコーティング膜を形成することが好ましい。なお、形成したコーティング膜を研磨しても良い。
(2−2)工程(2)
工程(2)は、第一の板状部材、液層拡散で第一の板状部材を侵食する性質を有するろう材、及び第二の板状部材前駆体をこの順で積層し、液層拡散接合して第一の板状部材と第二の板状部材前駆体を接合した口金前駆体を得る工程である。
より具体的には、第一の板状部材、液層拡散で第一の板状部材を侵食する性質を有するろう材、及び第二の板状部材前駆体をこの順で積層し、ろう材が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力をろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、第一の板状部材と第二の板状部材前駆体を接合した口金前駆体を得る工程である。これにより、第一の板状部材の裏孔内に侵入したろう材を気化させ、裏孔内から取り除くことができる。なお、本明細書にいう「ろう材の蒸気圧」とは、加熱雰囲気の温度におけるろう材の蒸気圧のことをいう。例えば、銅からなるろう材を用いて、1150℃で加熱する場合には、ろう材の蒸気圧は約0.133Pa(1150℃における銅の蒸気圧)である。なお、加熱雰囲気の圧力がろう材の蒸気圧よりも高いと、裏孔内に侵入したろう材の気化がほとんど起こらず、裏孔内にろう材が残留してしまう場合がある。
加熱温度は、ろう材が融解する温度以上であれば特に制限されることはないが、例えば、ろう材が融解する温度より、50〜500℃程度高い温度であることが好ましい。このような温度で加熱することによって、ろう材を効率的に気化させることができる。
また、第一の板状部材として、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属からなるものを用いた場合には、第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度より高い温度で加熱することがより好ましい。より具体的には、第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度より、50〜500℃程度高い温度である。加熱温度がオーステナイト変態を起こす温度より500℃を超えて高い温度であると、必要以上に温度が高くなりコスト高に、また金属劣化を引き起こす場合がある。例えば、第一の板状部材として、ステンレス合金からなるものを用いた場合には、加熱温度は、900〜1200℃であることが好ましく、1000〜1150℃であることが更に好ましい。
このように、第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度より高い温度で加熱することにより、第一の板状部材を構成する金属の相変態を利用して、残留応力を低減することができる。
更に、第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度より高い温度で加熱した場合には、得られた口金前駆体を、マルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温することが更に好ましい。このように第一の板状部材を構成する金属組織を相変態させることによって、残留応力をより低減することができる。
残留応力を低減すると、口金前駆体の一部を構成する第二の板状部材前駆体に形成するスリットの幅や形状の変形を軽減することができ、高精度のスリットを形成することができる。また、スリットの形成時における第二の板状部材の破損や、スリットを形成する際に使用する砥石等の工具の破損を有効に軽減することができる。
ここで、第一の板状部材に相変態を起こさせることにより残留応力をより低減することができる理由は、第一の板状部材に相変態を起こさせることにより、第一の板状部材の寸法が変化することにある。
第一の板状部材の寸法変化の割合は、冷却中の降温速度にも依存する。そのため、第一の板状部材の寸法変化と第二の板状部材前駆体の寸法変化とが近づくように降温速度を調節することが特に好ましい。これにより、残留応力をスリット加工時に問題が起きない程度に更に低減することができる。
口金前駆体を降温する際の降温速度については、第一の板状部材及び第二の板状部材前駆体を構成する成分や、これらの板状部材の形状等によって適宜決定することができる。例えば、第一の板状部材としてステンレス合金からなるものを用いた場合には、降温速度は、0.1〜100℃/minとすることが好ましく、1〜10℃/minとすることが更に好ましい。
降温を終了する温度については、少なくとも一つの相変態を開始する温度であれば良いが、その温度より更に低い温度、例えば、室温等まで降温しても良い。なお、加熱して接合された口金前駆体を所定の温度まで降温する際に、口金前駆体の積層方向に押圧して、口金前駆体に生じる歪みを矯正しても良い。
また、口金前駆体をマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温した後に、オーステナイト変態を起こす温度以下の温度領域にて、0.1〜100℃/minの速度で昇温又は降温する再熱処理を更に行うことが最も好ましい。こうすることで、残留応力を特に低減することができる。これにより、更に高精度のスリットを形成することができる。
ハニカム構造体成形用口金の製造方法において、残留応力はゼロ又は極力ゼロに近いことが最も好ましい。そのため、上記した方法によって口金前駆体に再熱処理を行い、残留応力を低減させる。残留応力として、具体的には、1000MPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることが更に好ましく、100MPa以下であることが特に好ましい。
第一の板状部材の寸法変化の割合は、冷却中の降温速度だけに依存するものではなく、例えば、第一の板状部材を構成する金属の成分にも影響を受ける。このため、第一の板状部材を構成する金属の成分を調整することにより、第一の板状部材の寸法変化を制御することもできる。第一の板状部材を構成する金属の成分を調整する方法としては、第一の板状部材を構成する金属に、所定の元素を添加する方法がある。
なお、本明細書にいう「残留応力」とは、接合面に残留する引張応力や圧縮応力のことをいい、例えば、X線応力測定装置等を使用して測定することができる。具体的な測定方法としては、先ず、特性X線を口金前駆体の表面に照射し、その反射回折線を測定する。次に、口金前駆体の表面の応力を、その表面に平行な成分から構成された二次元応力とし、得られた反射回折線の測定結果をもとに、弾性力学における諸公式を用いることにより算出することができる。
反射回折線を測定する方法としては、フィルム法や計数管法等を好適例として挙げることができる。このような方法としては、例えば、日本材料学会(編)、「X線応力測定方法」、養賢社、1981年、に記載されている。また、残留応力は、X線応力測定装置を用いなくても、例えば、口金前駆体に溝を加工し、その際の反りの変化量を測定することによっても測定可能である。
加熱は、裏孔内に侵入した不要なろう材を気化させて除去するのに十分な時間行うことが好ましい。
(2−3)工程(3)
工程(3)は、得られた口金前駆体の一部を構成する第二の板状部材前駆体に、第一の板状部材に形成された裏孔と連通するスリットを形成して第二の板状部材を形成する工程である。工程(1)〜工程(3)を行うことにより、本発明のハニカム構造体成形用口金を製造することができる。
スリットを形成する方法については特に制限されるものではないが、例えば、ダイヤモンド砥石による研削加工や放電加工(EDM加工)等の従来公知の方法を好適に用いることができる。なお、図1において、スリットの形状は四角形の格子状であるが、本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第二の板状部材前駆体に形成するスリットの形状は四角形の格子状に限定されることはなく、その他の多角形の格子状であっても良い。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法を以下に示す。
[コーティング膜の膜厚(μm)]:形成したコーティング膜の断面を研磨した後、商品名「電界放出型走査電子顕微鏡S−4700」及び「EDXシステム」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。なお、測定したコーティング膜の膜厚は約10μmであった。
[接合面積(mm/個)]:第二の板状部材と接合する前の第一の板状から、商品名「測長顕微鏡」(ニコン社製)を用いて測定した。なお、測定した接合面積は0.36mm/個であった。また、接合後、接合断面を研磨し、商品名「測長顕微鏡」(ニコン社製)を用いて測定することにより、接合の前後で接合面積に変化が無いことを確認し、侵食が起きていないことを確認した。
(実施例1)
その面の大きさが80mm×80mmで、厚さが15mmであるSUS630(C;0.07以下,Si;1.00以下,Mn;1.00以下,P;0.040以下,S;0.030以下,Ni;3.00〜5.00,Cr;15.50〜17.50,Cu;3.00〜5.00,Nb+Ta;0.15〜0.45,Fe;残部(単位は全て%))からなる板状部材に、後の工程で第二の板状部材前駆体に形成する格子状のスリットの交点に相当する位置に、電解加工(ECM加工)によって開口径約1mmの裏孔を形成して第一の板状部材を得た。
次に、形成した裏孔の内壁面にCVD法を用いて炭窒化チタンからなる膜厚0.01mmのコーティング膜を形成した。
裏孔の内壁面にコーティング膜を形成した第一の板状部材、その面の大きさが80mm×80mmで、厚さが0.010mmである銅からなるろう材、及びその面の大きさが80mm×80mmで、厚さ2.5mmであるWC−Co16%の炭化タングステン基超硬合金からなる第二の板状部材前駆体を、この順で積層し、液層拡散接合して第一の板状部材と第二の板状部材前駆体を接合した口金前駆体を得た。具体的な接合条件としては、温度を1120℃とし、圧力を0.133Pa以下とした。
得られた口金前駆体を常温まで降温した後、口金前駆体の一部を構成する第二の板状部材前駆体に、第一の板状部材の裏孔と連通するスリットをダイヤモンド砥石によって四角形の格子状に形成してハニカム構造体成形用口金を製造した。なお、形成したスリットの幅は約100μm、深さは約2.5mmとし、隣接するスリット相互の間隔は約1000μmとした。製造したハニカム構造体成形用口金の接合面積は0.36mmであった。
本実施例により製造されたハニカム構造体成形用口金では、ろう材は第一の板状部材の接合面以外の部分を侵食していなかった。このため、製造したハニカム構造体成形用口金は、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができる。
(比較例1)
実施例1と同様の材料を用い、裏孔の内壁面にコーティング膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にてハニカム構造体成形用口金を製造した。製造したハニカム構造体成形用口金の接合面積は0.25mmであった。
本比較例により製造されたハニカム構造体成形用口金では、第一の板状部材の裏孔の内壁面の一部をろう材が侵食していた。このため、製造したハニカム構造体成形用口金は、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができない場合がある。
本発明のハニカム構造体成形用口金は、内燃機関、ボイラー、化学反応機器及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒担持体や、排気ガス中の微粒子捕集フィルター等に好適に用いることができる、高度な成形性を有するハニカム構造体を繰り返し製造することができる。
本発明のハニカム構造体成形用口金の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1に示すハニカム構造体成形用口金を平面Aで切断した断面図である。 ハニカム構造体成形用口金を成形原料導入方向から見た部分平面図である。 本発明の構造体成形用口金を用いて製造したハニカム構造体の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1:ハニカム構造体成形用口金、2:第一の板状部材、3:第二の板状部材、5:裏孔、6:コーティング膜、7:スリット、8:接合面積、10:ハニカム構造体、11:隔壁、12:セル

Claims (2)

  1. 厚さ方向に貫通する裏孔が形成された、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属からなる第一の板状部材と、
    液層拡散で前記第一の板状部材を侵食する性質を有する、銅又は銅を含む合金からなるろう材により前記第一の板状部材に接合され、前記第一の板状部材に形成された前記裏孔と連通するスリットが形成された第二の板状部材と、を備え、
    前記第一の板状部材と前記第二の板状部材の接合面の、前記裏孔一つあたりの面積が、50mm 以下であり、
    前記裏孔の内壁面に、その厚さが0.01〜1000μmである、セラミックスからなるコーティング膜が形成されたハニカム構造体成形用口金。
  2. 前記第二の板状部材が、炭化タングステン基超硬合金からなるものである請求項1に記載のハニカム構造体成形用口金。
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