JP5185501B2 - ハニカム構造体成形用口金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハニカム構造体成形用口金の製造方法に関する。更に詳しくは、口金基体を加工するための工具等の破損を有効に防止し、高度な成形性を実現することが可能なハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法に関する。
セラミック質のハニカム構造体の製造方法としては、従来から、成形原料(坏土)を導入する裏孔と、この裏孔に連通する格子状等のスリットとが形成された口金基体を備えたハニカム構造体成形用口金を用いて押出成形する方法が広く行われている。この口金は、通常、口金基体の一方の面に、ハニカム構造体の隔壁厚さに対応する幅のスリットが格子状等に設けられており、その反対側の面(他方の面)に、スリットと連通する裏孔が大きな面積で開口して設けられている。そして、この裏孔は、通常、格子状等のスリットが交差する位置に対応して設けられ、両者は、口金基体内部で連通している。従って、裏孔から導入されたセラミック原料等の成形原料は、比較的内径の大きな裏孔から、幅の狭いスリットへと移行して、このスリットの開口部からハニカム構造の成形体(ハニカム成形体)として押出される。
このようなハニカム構造体成形用口金を構成する口金基体としては、例えば、ステンレス合金や超硬合金等の一種類の合金から構成された板状の部材や、例えば、スリットを形成するための部材と裏孔を形成するための部材とのように、異なる二種類の板状の部材を接合して形成された板状の部材が用いられている(例えば、特許文献1及び2)。
従来のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、このような口金基体に、上記したスリットと裏孔とを機械加工して形成している。
特開2000−326318号公報 特開2003−285308号公報
しかしながら、従来のハニカム構造体成形用口金の製造方法において、異なる二種類の板状部材を接合させて口金基体を得る際に、それらの板状部材の間にろう材を配して二種類の板状部材を接合させることがあるが、例えば、一方の板状部材に予め裏孔を形成し、この板状部材と他の板状部材と接合させる場合は、予め形成した裏孔内にろう材が侵入し、侵入したろう材が裏孔内に残留してしまう。このため、スリットの加工時において、裏孔内のろう材が抵抗となり、スリット加工用の砥石等の工具が破損してしまうことや、形成したスリットに歪みが生じてしまうという問題があった。また、このように裏孔内にろう材が残留すると、ハニカム構造体を成形する際に、裏孔からスリットへと連通する流路が、ろう材によって塞がれてしまうことや狭められてしまうことがあり、成形品の品質に悪影響を与えるという問題もあった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、口金基体を加工するための工具等の破損を有効に防止し、高度な成形性を実現することが可能なハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法を提供する。
本発明は、以下のハニカム構造体成形用口金の製造方法を提供するものである。
[1] 成形原料を導入するための裏孔と、前記成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法であって、第一の板状部材に厚さ方向に貫通する前記裏孔を形成し、前記第一の板状部材と、第二の板状部材とを、その間にろう材を配して積層し、積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記ろう材が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧し、前記加熱及び減圧の状態を、少なくとも前記第一の板状部材の前記裏孔から前記裏孔内に存在する余剰のろう材が気化する時間保持し、前記裏孔内から前記余剰のろう材を気化させて除去することによって、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された口金基体を得、得られた前記口金基体の一部を構成する前記第二の板状部材に、前記第一の板状部材の前記裏孔と連通する前記スリットを形成して前記ハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法(以下、「第一の発明」ということがある)。
[2] 成形原料を導入するための裏孔と、前記成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法であって、第一の板状部材の一方の表面に、前記スリットの形状に対応した格子状の溝部を形成し、前記第一の板状部材の前記一方の表面にろう材を配して、前記第一の板状部材と第二の板状部材とを積層し、積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記ろう材が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧し、前記加熱及び減圧の状態を、少なくとも前記第一の板状部材の前記溝部から前記溝部内に存在する余剰のろう材が気化する時間保持し、前記溝部内から前記余剰のろう材を気化させて除去することによって、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された口金基体を得、前記口金基体の一部を構成する前記第二の板状部材に、前記第一の板状部材の前記溝部と連通する前記スリットを形成するとともに、前記口金基体の一部を構成する前記第一の板状部材に、前記第一の板状部材の他方の表面から前記溝部へと連通する前記裏孔を形成して前記ハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
[3] 前記第一の板状部材として、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属又は合金から構成されたものを用いる前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
] 積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された前記口金基体を得る前記[3]に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
] 得られた前記口金基体を、前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温して、前記第一の板状部材を構成する金属組織又は合金組織を相変態させて、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材との接合面における残留応力を1000MPa以下とする前記[3]又は[4]に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
] 接合された前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、0.1〜100℃/minの降温速度にて、前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温する前記[3]〜[]のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
] 前記口金基体を前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温した後、前記オーステナイト変態を起こす温度以下の温度領域にて、0.1〜100℃/minの速度で昇温又は降温する再熱処理を更に行い、前記接合面における前記残留応力を500MPa以下にする前記[3]〜[]のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
[8] 前記第二の板状部材として、炭化タングステン基超硬合金から構成されたものを用いる前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
[9] 前記ろう材として、銅、銀、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む金属又は合金のろう材を用いる前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法は、口金基体を加工するための工具等の破損を有効に防止し、高度な成形性を実現することが可能なハニカム構造体成形用口金を簡便に製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1は、本発明(第一の発明及び第二の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態によって製造されたハニカム構造体成形用口金を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示すハニカム構造体成形用口金を平面Aで切断した断面を示す断面図である。また、図3〜図6は、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法における各工程を説明する説明図である。なお、図3〜図6は、図2と同様の断面を示している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法によって製造されたハニカム構造体成形用口金1は、成形原料を導入するための裏孔6と、成形原料を格子状に形成するためのスリット5とが形成されたものであり、裏孔6に導入した成形原料をスリット5から押出してハニカム構造体を成形するための口金である。
まず、第一の発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法は、図3に示すように、第一の板状部材23に、第一の板状部材23の厚さ方向に貫通する裏孔6を形成し、図4に示すように、第一の板状部材23と、第二の板状部材24とを、その間にろう材27を配して積層し、図5に示すように、積層した第一の板状部材23と第二の板状部材24とを、上記ろう材27が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力をろう材27の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、第一の板状部材23と第二の板状部材24とが接合された口金基体22を得、図6に示すように、口金基体22の一部を構成する第二の板状部材24に、第一の板状部材23の裏孔6と連通するスリット5を形成してハニカム構造体成形用口金1を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法である。
本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法によって製造されるハニカム構造体成形用口金1は、例えば、図7に示すように、多孔質の隔壁13を備え、この隔壁13によって流体の流路となる複数のセル14が区画形成されたハニカム構造体12を成形するためのものである。なお、図7に示すハニカム構造体12は、内燃機関、ボイラー、化学反応機器及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体や、排気ガス中の微粒子捕集フィルター等に好適に用いることができる。
図1及び図2に示す口金基体22のスリット5は、図7に示すハニカム構造体12の隔壁13の部分を成形するためのものであり、この隔壁13の形状に対応して、図1に示すように格子状に形成されている。なお、図1及び図2に示すハニカム構造体成形用口金1は、第一の板状部材23と第二の板状部材24との間にろう材27を配して積層されたものであり、ろう材27は、第一の板状部材23の組織内部に浸透している。
従来のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを、ろう材(例えば、銅)の融解する温度以上に加熱して接合させる際には、加熱雰囲気の圧力を制御せずに行っているが、例えば、大気圧雰囲気にて加熱を行うと、図8に示すように、第一の板状部材23に形成した裏孔6内にろう材27の一部が侵入し、裏孔6内に残留してしまう。裏孔6内にろう材27が残留すると、第二の板状部材24を貫通するようにスリット5(図6参照)を形成する際に、このろう材27が抵抗となり、形成したスリット5(図6参照)に歪みを生じさせたり、スリット5(図6参照)を形成するための砥石等の工具を破損させることがある。また、裏孔6内にろう材27が残留すると、ハニカム構造体成形用口金1の裏孔6からスリット5まで連通する流路が塞がってしまったり、狭まったりするため、成形品の品質に悪影響を与えるという問題もあった。
本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、図5〜図6に示すように、ろう材(銅)の融解し、且つ加熱雰囲気の圧力をろう材27の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧することより、接合時に裏孔6内に侵入するろう材27を気化して取り除くことができる。このため、口金基体22の一部を構成する第二の板状部材24にスリット5を形成する際に、裏孔6内に侵入したろう材27が抵抗になることがなく、歪み等のないスリット5を正確且つ簡便に形成することができる。また、より高品質な製品を得ることができるようになる。
以下、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法について各工程毎に更に具体的に説明する。
まず、図3に示すように、第一の板状部材23に厚さ方向に貫通する裏孔6を形成する。第一の板状部材23を構成する材料としては、ハニカム構造体成形用口金の材料として一般的に用いられている金属又は合金を挙げることができるが、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第一の板状部材23として、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属又は合金から構成されたものを用い、この第一の板状部材23に、第一の板状部材23の厚さ方向に貫通する裏孔6を形成することが好ましい。
第一の板状部材23を構成する金属又は合金は、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属を含む金属又は合金を挙げることができる。なお、このような第一の板状部材23を構成する金属又は合金は、炭素(C)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の添加剤を含んだものであることが更に好ましい。
例えば、第一の板状部材23を構成する合金としては、ステンレス合金、より具体的には、SUS630(C;0.07以下,Si;1.00以下,Mn;1.00以下,P;0.040以下,S;0.030以下,Ni;3.00〜5.00,Cr;15.50〜17.50,Cu;3.00〜5.00,Nb+Ta;0.15〜0.45,Fe;残部(単位は質量%))を好適例として挙げることができる。このようなステンレス合金は、裏孔6の形成するための加工が比較的に容易であるとともに、安価な材料である。
また、第一の板状部材23に裏孔6を形成する際には、図1及び図2に示すように、ハニカム構造体成形用口金1のスリット5における交点の部分と連通するような位置に形成することが好ましい。このような位置に裏孔6を形成することにより、ハニカム構造体成形用口金1を用いて押出成形を行う際に、裏孔6に導入した成形原料をスリット5全体に均一に広げることができ、高い成形性を実現することができる。
裏孔6の開口径の大きさは、製造するハニカム構造体成形用口金1の大きさや、押出成形するハニカム構造体12(図7参照)の形状等によって適宜決定することができるが、例えば、裏孔6の開口径の大きさは、10〜0.1mmであることが好ましく、3〜0.5mmであることが更に好ましい。このような裏孔6を形成する方法については特に制限はないが、例えば、電解加工(ECM加工)、放電加工(EDM加工)、レーザ加工、ドリル等の機械加工等による従来公知の方法を好適に用いることができる。
また、第一の板状部材23に裏孔6を形成する際には、図3に示すように、第一の板状部材23の厚さ方向において、均一な内径の裏孔6を形成してもよいし、例えば、図9に示すように、第二の板状部材24と接合させる側の裏孔6の内径を縮小させて、スリット5(図1参照)と連通する部位に緩衝部7(バッファ)を設けてもよい。このように、裏孔6に緩衝部7を設けることにより、ハニカム構造体成形用口金1(図1参照)を用い押出成形を行う際に、裏孔6から導入した成形原料を支障なく滑らかに移動させることができ、高度な成形性を実現するとともに、高精度にハニカム構造体を成形することができる。ここで、図9は、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法における、第一の板状部材に裏孔を形成する工程の他の例を示す説明図である。
また、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、図示は省略するが、第一の板状部材に裏孔を形成する前又は裏孔を形成した後に、第一の板状部材の一方の表面に、スリットの形状に対応した格子状の溝部を形成してもよい。この格子状の溝部は、上記した緩衝部7(図9参照)として機能するため、得られたハニカム構造体成形用口金は、裏孔から導入した成形原料を支障なく滑らかに移動させることができ、高度な成形性を実現するとともに、高精度にハニカム構造体を成形することができる。
また、このような格子状の溝部を形成しておくことにより、口金基体の一部を構成する第二の板状部材に研削加工等によりスリットを形成する場合に、この格子状の溝部まで連通した時点でスリットの形成を停止することができ、第一の板状部材を余分に加工する必要がない。このため、加工に用いる砥石等の劣化を有効に防止することができる。さらに、このように裏孔と溝部とを予め形成することにより、熱膨張係数の差による熱応力が小さくなるので、第一の板状部材と第二の板状部材とを接合させた際に、接合面における剥れを少なくすることができる。
このような格子状の溝部を形成する方法としては、例えば、ダイヤモンド砥石による研削加工や放電加工(EDM加工)等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
また、図3に示すように第一の板状部材23に裏孔6を形成した後に、この第一の板状部材23にCVD等のコーティングを行ってもよい。このように構成することによって、第一の板状部材23の耐摩耗性を向上させることができる。
次に、図4に示すように、第一の板状部材23と、第二の板状部材24とを、その間にろう材27を配して積層する。ここで使用する第二の板状部材24は、図1及び図2に示すように、口金基体22におけるスリット5が形成される部位を構成する部材である。第二の板状部材23を構成する材料については、特に制限はなく、ろう材27を介して第一の板状部材23と接合させることが可能な金属又は合金からなる板状部材を用いることができる。
上記したように第一の板状部材の一方の表面に格子状の溝部を形成した場合には、この格子状の溝部を形成した第一の板状部材23の一方の表面にろう材27を配して、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを積層する。
なお、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法に用いられる第一の板状部材23及び第二の板状部材24の厚さについては特に制限はないが、それぞれを接合した際に、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力を有効に減少させることが可能であるとともに、スリット5と裏孔6との一般的な形状を考慮して適宜決定することができる。例えば、一般的なハニカム構造体成形用口金1を製造する場合には、第二の板状部材24の厚さに対する、第一の板状部材23の厚さの割合が、0.1〜200であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。
第一の板状部材23と第二の板状部材24との間に配されるろう材27は、異なる二種の金属や合金を接合する際に用いられている従来公知のろう材を用いることができる。なお、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法に用いられるろう材27としては、第一の板状部材23を構成する金属又は合金に浸透し得る材料から構成されたものであることが好ましい。このような材料から構成されたろう材27を用いることにより、第一の板状部材23の組織内部にろう材27が浸透し、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを接合させた後には、口金基体22にろう材27が単独の層として存在しなくなる。これにより、口金基体22の機械的強度の低下を有効に防止することができる。また、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28にろう材27が存在しないため、ろう材27からの腐食や磨耗を有効に防止することができる。
このようなろう材27としては、具体的には、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、及びアルミニウム(Al)からなる群より選択される少なくとも一つを含む金属又は合金のろう材を挙げることができる。なお、銅(Cu)又は銅(Cu)を含んだ合金は、第一の板状部材23として好適に用いることができるステンレス合金に対しての浸透性が高いため、特に好適に用いることができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法に使用するろう材27は、例えば、パラジウム(Pd)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、コバルト(Co)、リン(P)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)等の添加剤を更に含んだものであることが好ましい。このような添加剤を更に含んだものは、融点をコントロールしたり、接合信頼性を向上させることができる。
第一の板状部材23と第二の板状部材24との間にろう材27を配する際には、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28を全て覆うように、且つ均一な厚さのろう材27を配することが好ましい。ろう材27の厚さとしては、例えば、1〜0.001mmであることが好ましく、0.01〜0.001mmであることが更に好ましい。このように構成することによって、優れた接合強度を付与することができる。
また、特に限定されることはないが、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第二の板状部材24として、耐摩耗性に優れた炭化タングステン基超硬合金から構成されたものを用いることが好ましい。これにより、スリット5の磨耗が有効に防止されたハニカム構造体成形用口金1(図1参照)を製造することができる。
上記した炭化タングステン基超硬合金は、少なくとも炭化タングステンを含む合金であり、炭化タングステンを、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、及びクロム(Cr)からなる群より選択される少なくとも一つの金属で焼結した合金であることが好ましい。上記群より選択される少なくとも一つの金属を結合材として使用した炭化タングステン基超硬合金は、耐摩耗性や機械的強度に特に優れている。具体的なものとしては、例えば、コバルト(Co)を結合材として使用した炭化タングステン基超硬合金、WC−Co0.1〜50質量%等を挙げることができる。
次に、図5に示すように、積層した第一の板状部材23と第二の板状部材24とを、ろう材27が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力をろう材27の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、第一の板状部材23と第二の板状部材24とが接合された口金基体22を得る。これにより、第一の板状部材23の裏孔6内に侵入したろう材27を気化させ、裏孔6内から取り除くことができる。
なお、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを加熱する際の具体的な温度としては、特に限定されることはないが、例えば、ろう材27が融解する温度より、50〜500℃程度高い温度であることが好ましい。このように構成することによって、ろう材27を効率的に気化させることができる。また、加熱を行う際には、裏孔6内の侵入した余剰のろう材27を気化させて十分に除去することができる時間行うことが好ましい。
ここでいう「ろう材の蒸気圧」とは、加熱雰囲気の温度におけるろう材27の蒸気圧のことであり、例えば、銅から構成されたろう材27を用いて、1150℃に加熱する場合には、ろう材27の蒸気圧は約0.133Pa(1150℃における銅の蒸気圧)である。なお、加熱雰囲気の圧力がろう材27の蒸気圧よりも高いと、図8に示すような裏孔6内に侵入したろう材27の気化がほとんど起こらず、裏孔6内にろう材27が残留してしまう。
なお、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法における第一の板状部材23と第二の板状部材24とを加熱する温度については、上記したように、ろう材27が融解する温度以上であれば問題はないが、例えば、第一の板状部材23として、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属又は合金から構成されたものを用いた場合には、第一の板状部材23がオーステナイト変態を起こす温度より高い温度で加熱することが好ましい。
このような温度で加熱することにより、第一の板状部材23を構成する金属又は合金の相変態を利用して、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面における残留応力を低減することができる。なお、具体的な加熱温度としては、第一の板状部材23がオーステナイト変態を起こす温度より、50〜500℃程度高い温度であることが好ましい。加熱時の温度がオーステナイト変態を起こす温度より500℃を超えて高い温度であると、必要以上に温度が高くなりコスト高に、また材料劣化を導くことがある。
例えば、第一の板状部材23として鉄合金から構成された板状部材を用いた場合には、上述した加熱温度は、900〜1200℃であることが好ましく、1000〜1150℃であることが更に好ましい。
また、このようにして第一の板状部材23がオーステナイト変態を起こす温度より高い温度で加熱した場合には、得られた口金基体22を、上記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温して、第一の板状部材23を構成する金属組織又は合金組織を相変態させて、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力を1000MPa以下とすることが好ましい。
このように構成することによって、口金基体22に形成したスリット5(図6参照)の幅や形状の変形を軽減することができ、精度の高いスリット5(図6参照)が形成されたハニカム構造体成形用口金1(図6参照)を製造することができる。
また、このように第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力を小さくすることにより、スリット5の形成時における第二の板状部材24の破損や、スリット5を形成する際に使用する砥石等の工具の破損を有効に軽減することができる。第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力が1000MPaを超えている場合には、口金基体22に形成したスリット5の幅や形状が変形したり、第二の板状部材24や砥石等の工具が破損してしまうことがある。
第一の板状部材23に相変態を起こさせることにより残留応力を低減させることができる理由については、第一の板状部材23の相変態により、その第一の板状部材23の寸法を変化させることにある。第一の板状部材23の寸法変化の割合は、冷却中の降温速度にも依存するため、第一の板状部材23の寸法変化と第二の板状部材24の寸法変化とが近づくように降温速度を調節することにより、第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力を、スリット5(図6参照)加工時に問題が起きない程度に小さくすることができる。
第一の板状部材23の寸法変化の割合は、上記した冷却中の降温速度だけに依存するものではなく、例えば、第一の板状部材23を構成する金属又は合金の成分にも影響を受ける。このため、第一の板状部材23を構成する金属又は合金の成分を調整することにより、第一の板状部材23の寸法変化を制御することもできる。第一の板状部材23を構成する合金の成分を調整する方法としては、第一の板状部材23を構成する金属又は合金に、所定の元素を添加する方法を挙げることができる。
口金基体22を降温する際の降温速度については、第一の板状部材23及び第二の板状部材24を構成する成分や、これら板状部材の形状等によって適宜決定することができる。なお、例えば、第一の板状部材23として鉄合金から構成された板状部材を用いた場合には、上述した降温速度は、0.1〜100℃/minとすることが好ましく、1〜10℃/minとすることが好ましい。
また、降温を終了する温度については、少なくとも一つの相変態を開始する温度であればよいが、その温度より更に低い温度、例えば、室温等まで降温してもよい。
第一の板状部材23と第二の板状部材24との接合面28における残留応力(以下、単に「接合面28における残留応力」ということがある)とは、接合面28に残留する引張応力や圧縮応力のことであり、例えば、X線応力測定装置等を使用して測定することができる。具体的な測定方法としては、例えば、まず、特性X線を被検査対象(口金基体22)の表面に照射し、その反射回折線を測定する。次に、被検査対象(口金基体22)の表面の応力を、その表面に平行な成分から構成された二次元応力とし、得られた反射回折線の測定結果をもとに、弾性力学における諸公式を用いることにより、上記した残留応力を算出することができる。
なお、反射回折線を測定する方法としては、フィルム法や計数管法等を好適例として挙げることができる。このような方法としては、例えば、日本材料学会(編)、「X線応力測定方法」、養賢社、1981年、に記載されている。また、接合面28における残留応力は、X線応力測定装置を用いずとも、例えば、口金基体22に溝を加工し、その際の反りの変化量を測定することによっても測定可能である。
また、加熱して接合された口金基体22を所定の温度まで降温する際には、口金基体22の積層方向に押圧して、口金基体22に生じる歪みを矯正してもかまわない。
また、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、口金基体22を上記した少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温した後には、オーステナイト変態を起こす温度以下の温度領域にて、0.1〜100℃/minの速度で昇温又は降温する再熱処理を更に行い、接合面28における残留応力を500MPa以下にすることが好ましい。これにより、接合面28における残留応力を更に小さくすることができ、スリット5(図1参照)を高精度に形成することが可能となる。
本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、接合面28における残留応力はゼロ又は極力ゼロに近いことが好ましいため、上記した方法によって口金基体22に再熱処理を行い、接合面28に残留する応力をより小さくすることが好ましい。接合面28における残留応力は、この再熱処理によって100MPa以下にすることが特に好ましい。
次に、図6に示すように、口金基体22の一部を構成する第二の板状部材24に、第一の板状部材23の裏孔6と連通するスリット5を形成してハニカム構造体成形用口金1を製造する。
スリット5を形成する方法については特に制限はないが、例えば、ダイヤモンド砥石による研削加工や放電加工(EDM加工)等の従来公知の方法を好適に用いることができる。また、図1に示すハニカム構造体成形用口金1は、スリット5の形状が四角形の格子状のものであるが、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第二の板状部材24に形成するスリット5の形状は四角形の格子状に限定されることはなく、その他の多角形の格子状であってもよい。
また、第二の板状部材に形成するスリット5の幅については、得られるハニカム構造体成形用口金1によって押出成形するハニカム構造体12(図3参照)の形状によって適宜決定することができる。なお、例えば、一般的なハニカム構造体を押出成形するためのハニカム構造体成形用口金1を製造するためには、スリット5の幅は、5000〜5μmであることが好ましく、500〜10μmであることが更に好ましい。
また、上記したように第一の板状部材の一方の表面に格子状の溝部を形成した場合には、スリット5が格子状の溝部と連通した時点でスリット5の形成を終了する。これにより、格子状の溝部を介してスリット5と裏孔6とが連通する。
以上のようにして、図1及び図2に示すような、成形原料を導入するための裏孔6と、成形原料を格子状に形成するためのスリット5とが形成されたハニカム構造体成形用口金1を製造することができる。
次に、第二の発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態について具体的に説明する。本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法は、成形原料を導入するための裏孔と、成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法であって、図10に示すように、第一の板状部材23の一方の表面に、スリット5(図1参照)の形状に対応した格子状の溝部37を形成し、図11に示すように、第一の板状部材23の一方の表面にろう材27を配して、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを積層し、図12に示すように、積層した第一の板状部材23と第二の板状部材24とを、ろう材27が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力をろう材27の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、第一の板状部材23と第二の板状部材24とが接合された口金基体22を得、図13に示すように、口金基体22の一部を構成する第二の板状部材24に、第一の板状部材23の溝部37と連通するスリット5を形成するとともに、口金基体22の一部を構成する第一の板状部材23に、第一の板状部材23の他方の表面から溝部37へと連通する裏孔6を形成してハニカム構造体成形用口金1を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法である。
この第二の発明の実施の形態においては、第一の板状部材23に予め裏孔6を形成するのではなく、第一の板状部材23の一方の表面にスリット5の形状に対応した格子状の溝部37を形成し、この第一の板状部材23と第二の部材24とを積層した後、所定の条件で加熱して接合させて口金基体22を得、得られた口金基体22にスリット5と裏孔6とを形成するものである。
本実施の形態においては、第一の発明の実施の形態と同様の加熱条件にて第一の板状部材23と第二の板状部材24とを加熱することにより、溝部37内に侵入した余剰のろう材27を気化させて除去することができ、第一の発明の実施の形態を同等の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、第一の板状部材23の一方の表面に形成した格子状の溝部37が、第一の発明の実施の形態にて説明した緩衝部7(図9参照)として機能するため、得られたハニカム構造体成形用口金1は、裏孔6から導入した成形原料を支障なく滑らかに移動させることができ、高度な成形性を実現するとともに、高精度にハニカム構造体を成形することができる。
さらに、口金基体22の一部を構成する第二の板状部材24に研削加工等によりスリット5を形成する場合に、第一の板状部材23に形成した格子状の溝部37まで連通した時点でスリット5の形成を停止することができ、第一の板状部材23を余分に加工する必要がない。このため、加工に用いる砥石等の劣化を有効に防止することができる。
第一の板状部材23の一方の表面に、スリット5の形状に対応した格子状の溝部37を形成する方法としては、例えば、ダイヤモンド砥石による研削加工や放電加工(EDM加工)等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
なお、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、溝部37を第一の板状部材23の周縁まで連続するような格子状に形成することにより、第一の板状部材23と第二の板状部材24とを積層して加熱した際に、この周縁の溝部37から、余剰のろう材27を気化させて除去することができるようにする。これにより、加熱終了後に溝部37内からろう材27を有効に除去することができ、スリット5(図13参照)の形成を良好に行うことができる。
なお、本実施の形態のハニカム構造体成形用口金の製造方法に使用する第一の板状部材23、第二の板状部材24、及びろう材27については、第一の発明の実施の形態と同様に構成されたものを好適に用いることができる。また、第一の板状部材23を加熱する際の加熱条件、また、この加熱状態から降温する際の降温条件、及びスリット5や裏孔6の形成方法についても、第一の発明の実施の形態と同様の方法によって行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
成形原料を導入するための裏孔と、成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成され、裏孔に導入した成形原料をスリットから押出してハニカム構造体を成形するハニカム構造体成形用口金を製造した。
実施例1においては、SUS630(C;0.07以下,Si;1.00以下,Mn;1.00以下,P;0.040以下,S;0.030以下,Ni;3.00〜5.00,Cr;15.50〜17.50,Cu;3.00〜5.00,Nb+Ta;0.15〜0.45,Fe;残部(単位は質量%))から構成された第一の板状部材と、WC−16質量%Coの炭化タングステン基超硬合金から構成された第二の板状部材と、銅から構成されたろう材と、を用いてハニカム構造体成形用口金の製造を行った。
第一の板状部材は、その面の大きさが80mm×80mmの正方形で、厚さが15mmであり、第二の板状部材は、その面の大きさが80mm×80mmの正方形で、厚さ2.5mmであり、ろう材は、その面の大きさが80mm×80mmの正方形で、厚さが0.010mmである。
まず、第一の板状部材に、後の工程で形成する格子状のスリットの交点に相当する位置に、開口径約1mmの裏孔を電解加工(ECM加工)によって形成した。
次に、第一の板状部材と第二の板状部材とを、その間にろう材を配して積層し、ろう材(銅)が融解し、且つこのろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで加熱減圧して、第一の板状部材と第二の板状部材とを接合させて口金基体を得た。具体的な加熱条件は、加熱温度1120℃とし、圧力0.133Pa以下とした。
得られた口金基体を常温まで降温した後、第二の板状部材に、第一の板状部材の裏孔と連通するスリットを形成してハニカム構造体成形用口金を得た。スリットは、ダイヤモンド砥石によって四角形の格子状に形成した。スリットの幅は約100μm、深さは約2.5mmとし、隣接するスリット相互の間隔は約1000μmとした。
本実施例のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、裏孔内に侵入したろう材が加熱時に気化して除去されていた。このため、第二の板状部材にスリットを形成する際に、ろう材が抵抗になることがなく、歪みのないスリットを正確且つ簡便に形成することができた。また、得られたハニカム構造体成形用口金は、裏孔内にろう材が残留しておらず、且つスリットの幅が均一に形成されていることから、高品質なハニカム構造体を形成することができた。なお、第一の板状部材の裏孔内に侵入したろう材の除去についての確認は、超音波探傷検査によって行った。
(実施例2)
実施例1と同様の材料を用い、第一の板状部材の一方の表面に、スリットの形状に対応した格子状の溝部を形成し、第一の板状部材の一方の表面にろう材を配して、第一の板状部材と第二の板状部材とを積層して加熱して口金基体を得、得られた口金基体の一部を構成する第二の板状部材に、第一の板状部材の溝部と連通するスリットを形成するとともに、口金基体の一部を構成する第一の板状部材に、第一の板状部材の他方の表面から溝部へと連通する裏孔を形成してハニカム構造体成形用口金を製造した。
本実施例のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、実施例1と同様に、格子状の溝部内に侵入したろう材が加熱時に除去されているため、歪みのないスリットを正確且つ簡便に形成することができた。また、得られたハニカム構造体成形用口金は、格子状の溝部内にろう材が残留しておらず、且つスリットの幅が均一に形成されていることから、高品質なハニカム構造体を形成することができた。
さらに、得られたハニカム構造体成形用口金は、格子状の溝部が緩衝部となるため、裏孔から導入した成形原料を支障なく滑らかに移動させることができ、高度な成形性を実現するとともに、高精度にハニカム構造体を成形することができた。
(比較例1)
実施例1と同様の材料を用い、加熱雰囲気の圧力をろう材の蒸気圧よりも高い圧力にして加熱して接合させて口金基体を得た以外は、実施例1と同様の方法にてハニカム構造体成形用口金を製造した。
本比較例のハニカム構造体成形用口金の製造方法においては、加熱終了後に、第一の板状部材の裏孔内にろう材が残留していたため、スリットの加工時における抵抗が大きく、均一の幅のスリットを形成することができなかった。また、得られたハニカム構造体成形用口金は、裏孔からスリットへと連通する流路がろう材によって塞がれている箇所があり、成形品に欠陥等を生じさせることがあった。
本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法は、口金基体を加工するための工具等の破損を有効に防止し、高度な成形性を実現することが可能なハニカム構造体成形用口金を製造することができる。本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法によって得られるハニカム構造体成形用口金は、内燃機関、ボイラー、化学反応機器及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体や、排気ガス中の微粒子捕集フィルター等に好適に用いることが可能なハニカム構造体を成形するために用いることができる。
本発明のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態によって製造されたハニカム構造体成形用口金を模式的に示す斜視図である。 図1に示すハニカム構造体成形用口金を平面Aで切断した断面を示す断面図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材に裏孔を形成する工程の一例を示す説明図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材と第二の板状部材とを、その間にろう材を配して積層する工程の一例を示す説明図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材と第二の板状部材と接合させて口金基体を得る工程の一例を示す説明図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第二の板状部材に、第一の板状部材の裏孔と連通するスリットを形成する工程の一例を示す説明図である。 図1に示すハニカム構造体成形用口金によって押出成形されたハニカム構造体を示す斜視図である。 第一の板状部材に形成した裏孔内にろう材の一部が残留した口金基体を示す説明図である。 第一の板状部材に裏孔を形成する工程の他の例を示す説明図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材に格子状の溝部を形成する工程の一例を示す説明図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材と第二の板状部材とを、その間にろう材を配して積層する工程の一例を示す説明図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、第一の板状部材と第二の板状部材と接合させて口金基体を得る工程の一例を示す説明図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体成形用口金の製造方法の一の実施の形態における、スリットと裏孔とを形成する工程の一例を示す説明図である。
符号の説明
1:ハニカム構造体成形用口金、5:スリット、6:裏孔、7:緩衝部、12:ハニカム構造体、13:隔壁、14:セル、21:ハニカム構造体成形用口金、22:口金基体、23:第一の板状部材、24:第二の板状部材、27:ろう材、28:接合面(第一の板状部材と第二の板状部材との接合面)、37:溝部。

Claims (9)

  1. 成形原料を導入するための裏孔と、前記成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法であって、
    第一の板状部材に厚さ方向に貫通する前記裏孔を形成し、
    前記第一の板状部材と、第二の板状部材とを、その間にろう材を配して積層し、
    積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記ろう材が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧し、前記加熱及び減圧の状態を、少なくとも前記第一の板状部材の前記裏孔から前記裏孔内に存在する余剰のろう材が気化する時間保持し、前記裏孔内から前記余剰のろう材を気化させて除去することによって、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された口金基体を得、
    得られた前記口金基体の一部を構成する前記第二の板状部材に、前記第一の板状部材の前記裏孔と連通する前記スリットを形成して前記ハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  2. 成形原料を導入するための裏孔と、前記成形原料を格子状に形成するためのスリットとが形成されたハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法であって、
    第一の板状部材の一方の表面に、前記スリットの形状に対応した格子状の溝部を形成し、
    前記第一の板状部材の前記一方の表面にろう材を配して、前記第一の板状部材と第二の板状部材とを積層し、
    積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記ろう材が融解する温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧し、前記加熱及び減圧の状態を、少なくとも前記第一の板状部材の前記溝部から前記溝部内に存在する余剰のろう材が気化する時間保持し、前記溝部内から前記余剰のろう材を気化させて除去することによって、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された口金基体を得、
    前記口金基体の一部を構成する前記第二の板状部材に、前記第一の板状部材の前記溝部と連通する前記スリットを形成するとともに、前記口金基体の一部を構成する前記第一の板状部材に、前記第一の板状部材の他方の表面から前記溝部へと連通する前記裏孔を形成して前記ハニカム構造体成形用口金を製造するハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  3. 前記第一の板状部材として、オーステナイト相の冷却によってマルテンサイト変態、ベイナイト変態、及びパーライト変態からなる群より選択される少なくとも一つの相変態を起こし得る金属又は合金から構成されたものを用いる請求項1又は2に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  4. 積層した前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、前記第一の板状部材がオーステナイト変態を起こす温度以上に加熱するとともに、加熱雰囲気の圧力を前記ろう材の蒸気圧よりも低い圧力まで減圧して、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とが接合された前記口金基体を得る請求項3に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  5. 得られた前記口金基体を、前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温して、前記第一の板状部材を構成する金属組織又は合金組織を相変態させて、前記第一の板状部材と前記第二の板状部材との接合面における残留応力を1000MPa以下とする請求項3又は4に記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  6. 接合された前記第一の板状部材と前記第二の板状部材とを、0.1〜100℃/minの降温速度にて、前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温する請求項3〜5のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  7. 前記口金基体を前記少なくとも一つの相変態が開始される温度まで降温した後、前記オーステナイト変態を起こす温度以下の温度領域にて、0.1〜100℃/minの速度で昇温又は降温する再熱処理を更に行い、
    前記接合面における前記残留応力を500MPa以下にする請求項3〜6のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  8. 前記第二の板状部材として、炭化タングステン基超硬合金から構成されたものを用いる請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
  9. 前記ろう材として、銅、銀、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む金属又は合金のろう材を用いる請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体成形用口金の製造方法。
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