JP5157684B2 - 過共晶Al−Si系合金の鋳造方法及び鋳塊 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、初晶Si微細化剤としてP、Caを含有させ、PとCaとの質量比P/Caを調整したAl−Si系合金(Siの含有量は13〜21質量%)の溶湯をホットトップDC(Direct Chill)鋳造し、初晶Siを微細化する技術が開示されている。
また、特許文献1の図11には、Siの含有量が23質量%、Pの含有量が60〜80ppm、Caの含有量が50〜80ppmの場合は、初晶Siは微細化されるものの粒径は30μm程度であることが説明されている。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、初晶Siを微細化することができ且つ初晶Siを均一に分布させることのできる過共晶Al−Si系合金の鋳造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、初晶Siが微細化され且つ均一に分布している過共晶Al−Si系合金の鋳塊を提供することを併せて課題とする。
ここで固液共存状態とは、溶湯の温度が低下して液相線温度に到達した際に、初晶Siの晶出が始まるが、その初晶Siの固体と液相とが共存している状態を意味する。この固液共存状態で初晶Siは成長し、更に溶湯の温度が低下すると共晶温度に達し、共晶反応が起きると同時に初晶Siの成長も停止する。
このような鋳造方法によれば、微細な初晶Siが均一に分布した過共晶Al−Si系合金を得ることができる。
さらに、初晶Si微細化補助剤の添加により、溶湯にMg,Sr,及びBaの少なくとも1種を含有させてもよい。初晶Si微細化補助剤を添加した場合は、Mg,Sr,及びBaの含有量をそれぞれ0.5質量%以下とすることが好ましい。そうすれば、より微細な初晶Siが均一に分布した過共晶Al−Si系合金を得ることができる。
このような構成の過共晶Al−Si系合金の鋳塊は、優れた機械的性質や耐摩耗性を有している。特に、Si含有量が21質量%超過27質量%以下である高Si量の過共晶Al−Si系合金の場合も、前述のような構成であれば、優れた機械的性質や耐摩耗性を備えている。
合金元素が常法により溶解され、必要に応じて脱滓、脱ガス処理が施されたAl−Si系合金の溶湯1が、図示しない保持炉に貯留されている。Siの含有量は、過共晶Al−Si系合金を形成する量(約13質量%以上)であるならば特に限定されるものではないが、21質量%超過27質量%以下が好ましい。また、Al−Si系合金は、AlとSiの2元系合金でもよいし、Al,Siの他にCu,Mg,Ni,Cr,Mn,Zn,Fe,Zr,Ti等の他の合金元素を1種以上含む合金でもよい。
このような過共晶Al−Si系合金の鋳塊Bは、優れた機械的性質や耐摩耗性を有しているので、押出加工や切削加工することが容易であり、また、ピストン、クランクケース、ブレーキドラム、シリンダーライナー、半導体製造用搬送装置、工作機械部品等の部材として好適に使用することができる。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。表1に示すような組成のAl−Si系合金の溶湯を準備した。なお、残部はAl及び不可避の微量不純物である。また、表1中の数値の単位である%及びppmは、いずれも質量基準である。さらに、表1中の「−印」は微量不純物レベルの量であることを示す。
図1に示すように、金属線に固定した熱電対20を断熱湯溜部内に挿入し、鋳塊の鋳造と共に下降するように設定することにより、鋳塊の表面から7mm内方の位置の温度を測定した。そして、冷却曲線を作図して、凝固開始点から共晶温度に達するまでの時間を算出して、液相線温度から共晶温度に至るまでの時間とした。表面から7mm内方の位置を測定位置としたのは、庇部の下方又はその近傍に位置しており、庇部の効果を把握できる位置であるからである。
鋳塊の表面から7mm内方の位置の鋳造組織を金属顕微鏡で観察し、観察写真をカールツァイス社製KS400画像解析装置で解析した。画像解析の条件として、測定面積を0.98mm2 とするとともに、円相当径5μm以下のものは共晶Siと判断して解析から除外した。
そして、重なり合う初晶Siを分離して測定するため、縮退処理を1回、膨張処理を1回それぞれ行い、さらに重なり合う初晶Siの重なり合う部分を手動で切り離し、個々の面積から初晶Siの円相当径を計算し、平均値と標準偏差とを求めた。
前記のようにして測定した粒径が5μmを超える初晶Siが2個以下と判断された部分を、楕円形で近似した。そして、該楕円の短径が200μm以上のものの面積の合計値を測定面積で除した値(初晶Siのない面積の占有率) を偏析率とした。
<測定結果の判定方法について>
偏析率が0%で、且つ、初晶Siの円相当径の平均値が30μm以下のものを合格とし、各表においては○印を表示した。そして、そうでないものを不合格とし、×印を表示した。
表3に、Siの含有量が27質量%であるAl−Si系合金の溶湯から直径57mmの鋳塊を鋳造した場合の各種鋳造条件及び測定結果を示す。
表4に、Siの含有量が24質量%であるAl−Si系合金の溶湯から直径97mmの鋳塊を鋳造した場合の各種鋳造条件及び測定結果を示す。
表5に、Siの含有量が17質量%であるAl−Si系合金の溶湯から直径97mmの鋳塊を鋳造した場合の各種鋳造条件及び測定結果を示す。
試料No.25は、初晶Si微細化剤としてPのみを含有させCaは含有していない例であるが、庇部の幅を短くし且つ凝固時間を3秒以内と短くすれば、初晶Siの平均粒径が30μm以下と微細になり、偏析率が0%と均一分散することが判る。また、試料No.21(Siの含有量は24質量%)及び試料No.28も、初晶Si微細化剤としてPのみを含有させCaは含有していない例であるが、凝固時間が3秒超過と長いため、初晶Siの平均粒径が30μmを超え粗大化していることが判る。
表6に、Siの含有量が22質量%であるAl−Si系合金の溶湯から直径130mmの鋳塊を鋳造した場合の各種鋳造条件及び測定結果を示す。
なお、比較例として、庇部が無い場合の例を示す。すなわち、庇部の幅が0mmであることを除いて試料No.29と同様に鋳造を行った。庇部の幅を完全に0mmとすることはホットトップDC鋳造装置の製造上困難であり、どうしてもホットトップ部の溶湯吐出口内に急冷鋳型の端面の少なくとも一部が露出することとなるので、該部分と鋳塊との摩擦により鋳塊に肌荒れが生じ、鋳造の続行が不可能であった。また、鋳造できた部分も肌荒れがあり、偏析率が50%であった。
2 ホットトップ部
3 断熱湯溜部
4 急冷鋳型
6 溶湯吐出口
7 溶湯導入口
8 庇部
B 鋳塊
d 庇部の幅
Claims (4)
- 初晶Si微細化剤を含有するAl−Si系合金の溶湯を、ホットトップ部から急冷鋳型へ送って冷却凝固し、過共晶Al−Si系合金の鋳塊を製造するホットトップDC鋳造法において、
前記ホットトップ部の溶湯吐出口と前記急冷鋳型の溶湯導入口とを連続させ、前記溶湯吐出口よりも前記溶湯導入口の方を大きくすることにより、前記急冷鋳型と接する前記ホットトップ部の端面を前記溶湯導入口内に露出させ、この露出した端面により形成される庇部の幅を1mm以上10mm以下とするとともに、
前記初晶Si微細化剤の添加により前記溶湯にPを20ppm以上130ppm以下含有させ、前記急冷鋳型で冷却される前記溶湯における液相線温度から共晶温度に至るまでの凝固時間を3秒以内とすることを特徴とする過共晶Al−Si系合金の鋳造方法。 - 初晶Si微細化剤を含有するAl−Si系合金の溶湯を、ホットトップ部から急冷鋳型へ送って冷却凝固し、過共晶Al−Si系合金の鋳塊を製造するホットトップDC鋳造法において、
前記ホットトップ部の溶湯吐出口と前記急冷鋳型の溶湯導入口とを連続させ、前記溶湯吐出口よりも前記溶湯導入口の方を大きくすることにより、前記急冷鋳型と接する前記ホットトップ部の端面を前記溶湯導入口内に露出させ、この露出した端面により形成される庇部の幅を1mm以上10mm以下とするとともに、
前記初晶Si微細化剤の添加により、PとCaとの質量比P/Caが0.6以上6以下となるように、前記溶湯にPを20ppm以上130ppm以下、Caを6ppm以上130ppm以下含有させ、前記急冷鋳型で冷却される前記溶湯における液相線温度から共晶温度に至るまでの凝固時間を10秒以内とすることを特徴とする過共晶Al−Si系合金の鋳造方法。 - 初晶Si微細化補助剤の添加により前記溶湯にMg,Sr,及びBaの少なくとも1種を含有させ、その含有量をそれぞれ0.5質量%以下とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の過共晶Al−Si系合金の鋳造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の過共晶Al−Si系合金の鋳造方法により製造された鋳塊であって、表面から7mm内方の位置における初晶Siの偏析状態が偏析率0%であることを特徴とする過共晶Al−Si系合金の鋳塊。
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