JP5157249B2 - 継手部の漏洩検知システム - Google Patents
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(1)内部に流体が流れる状態にある配管の継手部からの前記流体の漏洩を検知するシステムであって、
前記継手部に設けられ、空気又は不活性ガスからなる気体が流通するシール部と、
前記シール部に接続され、該シール部に前記気体を供給する導入管と、
前記シール部に接続され、該シール部内の気体を排出する排出管と、
前記排出管に接続され、該排出管から採取した気体を分析する分析手段と、
前記分析手段による分析結果を通知する通知手段と
を有し、且つ
前記シール部は、同心円状に2重に配置されたOリングと、外周側の前記Oリングと内周側の前記Oリングとの間に形成され前記導入管及び前記排出管と接続されたガス流通部とを備え、前記導入管から前記ガス流通部に供給される空気又は不活性ガスからなる気体の圧力が、前記配管内部の圧力よりも低く調整された状態にあることを特徴とする、継手部の漏洩検知システム。
(3)複数箇所の前記継手部の前記排出管にバルブを配し、該バルブの開閉により、前記排出管から採取した気体を順次分析することを特徴とする(1)記載の継手部の漏洩検知システム。
(5)前記継手部は、前記各配管の端部に形成され配管本体から径方向に向かって延びるフランジと、対向して接合される前記フランジの一方側に形成され前記Oリングが個々に収容される2個のOリング溝と、前記2個のOリング溝の間に形成され前記ガス流通部を形成するガス流通溝と、前記フランジ内に形成され前記ガス流通溝と連通する導入孔と、前記フランジ内に形成され前記ガス流通溝と連通する排出孔とを有してなることを特徴とする(1)記載の継手部の漏洩検知システム。
(6)前記継手部が、化学プラント装置の継手部であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の継手部の漏洩検知システム。
本発明の漏洩検知システムにおけるシール部は、内部に流体が流通する配管の継手部に設けられている。前記シール部の構造としては、該継手部の管周に亘って同心円状にOリングを2重(外周側Oリングと内周側Oリング)に配し、これら外周Oリングと内周Oリングの間に同じく同心円状に溝(ガス流通溝又はガス流通部)が設けられたものである。また、前記溝(ガス流通部)以外にOリングの脱着が容易になるように、継手部に溝又はガイドを有することができる。
なお、継手部の前記ガス流通部の溝以外に、Oリングの脱着が容易になるよう継手部に溝又はガイドを設置することが望ましい。
前記シール部には、該シール部に空気又は不活性ガスからなる気体を供給する導入管が接続されている。導入管の他方は、コンプレッサー等のガス供給装置と接続されており、これによりシール部に気体を供給することができる。また、ガス流通部へ供給する気体は脱湿するのが好ましいことから、ガス供給装置とシール部との間に気体を脱湿又は除湿するための装置(脱湿機等)を設けることもできる。前記導入管はシール部内では導入孔としてガス流通部につながり、該導入孔を通して気体がガス流通部に供給される。
前記シール部には、該シール部内の気体と継手部から漏れ出る配管内の流体とを含むガスを排出する排出管が接続されている。排出管の他方は、該排出管から採取したガス(継手部から漏れ出る配管内の流体を含む気体)を分析する分析手段と接続されている。前記排出管はシール部内では排出孔としてガス流通部からつながり、該排出孔を通して継手部から漏れ出る配管内の流体を含む気体がシール部から排出され、排出管を通して前記分析手段へ供給される。
継手部から漏れ出る配管内の流体は、ガス流通部を流れる気体とともに排出管を通して採取され、分析手段へ供給される。分析手段としては、公知のガス検知手段を用いたガス分析装置(検知装置)であればよく、特に限定されない。
前記分析手段による分析結果は、通知手段によって管理者等の必要なところへ通知される。例えば、前記分析手段において検知した検出データは、検知信号によって集中管理棟の監視コンピュータ等で受信される。
本発明の継手部を有する配管は、内部に流体が流れるものであれば目的や形状等は特に制限されるものではなく、化学プラント装置の配管のみならず、バルブ、タンク、回転機械等のいずれであってもよい。本発明の継手部は、化学プラント装置、金属熱処理装置、電気めっき装置、アルミニウム精錬プラント装置、リン酸肥料製造プラント、ガラス製造プラント等の配管に適用することができるが、好ましくは化学プラント装置の配管継手部に好適に用いられる。特に好ましくは、ポリカーボネート樹脂製造プラント装置に用いることができる。
本実施例1では、流体として漏洩による危険性が高いとされる塩化カルボニル(ホスゲン)を流通する配管1,2の継手部についての実施例を説明する。図1は実施例1に係る塩化カルボニルを流通する配管1,2の継手部の断面図で、図2は実施例1に係る当該継手部の接合面(フランジ)3,4を表す。図3は実施例1に係る継手部1箇所に対して検知装置1台を配した漏洩検知システムを示したものである。
フランジ22側の接合面4は、溝のない平坦面となっている。図1に示すように、フランジ21,22をボルト25及びナット26にて締結すると、Oリング用溝23,24内のOリング5,6は、対向する接合面4に押接される。これにより、配管1,2の内部空間がOリング5,6によってシールされると共に、Oリング5,6間にはシール部が形成される。
なお、塩化カルボニルを流通する前には、配管1,2内に脱湿された圧縮空気を2kg/cm2Gの圧力まで張り込み、気密試験を実施して配管1,2からの空気の漏れがないことを確認する。
本実施例2は、複数の継手部に対して検知装置を1台配した漏洩検知システムに関するものであり、大規模化学プラントのように多数の継手部が存在する場合のものである。図4に、実施例2に係る複数の継手部に対して検知装置を1台配した漏洩検知システムを示す。
集中管理者は、仕切弁(バルブ)a2,b2,c2,d2が定期的に順次開閉を繰り返すよう予め組み込まれたプログラムを使用して、漏洩箇所の特定化を行うと共に、早急にプラント停止などの対策を実施することができる。
配管1,2の継手部に流通する塩化カルボニルを漏洩による危険性が高いとされる塩素ガスに変更し、ガス分析装置11に塩素検知装置を用いた以外は実施例1と同様にした。
漏洩による危険性が高いとされる塩化カルボニルを流通する配管15,16の継手部についての比較例を以下に記述する。図5は比較例に係る塩化カルボニルを流通する配管15,16の継手部の断面図で、図6は比較例に係る該継手部の接合面(フランジ)17,18を表す。配管15,16の接合面17,18の接合間には、4弗化エチレン樹脂製のガスケット19が設けられる。
継手部接合面の内周側Oリング6の材質をインコネルから塩化カルボニルに対して浸透性を有するニトリルゴムに変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果、配管1,2に塩化カルボニルを流通開始のあとにガス分析装置11が塩化カルボニルを検知した。塩化カルボニルの流通を停止して配管内を安全化した後、内周側Oリング6を新品のニトリルゴムに交換して、再度塩化カルボニルの流通を再開したが、しばらくして再びガス分析装置11が塩化カルボニルを検知したため、塩化カルボニルの流通を停止した。ニトリルゴムは塩化カルボニルに対して浸透性を有するため、内周側Oリングに適していないことが示された。
継手部接合面の外周側Oリング5の材質を弗素ゴムからインコネルに変更した以外は実施例1と同様に行った。その結果、塩化カルボニルを流通する前の配管1,2に脱湿された圧縮空気を2kg/cm2Gの圧力まで張り込み気密試験を実施したが、気密性を確保できなかったため塩化カルボニルの流通を断念した。
例えば仕切弁(バルブ)a2,b2,c2,d2が定期的に開閉を繰り返すように設定したプログラムは、漏洩の検知前から使用することもできるし、当該仕切弁の開閉プログラムは如何なる組み合わせも可能であり、何ら制約を受けるものではない。また、図4に示した漏洩監視システムを並列に複数設置し、各検知装置からの信号を集中管理棟のコンピュータに送ることで集中管理者に知らせることもできる。
3,4 接合面
5 外周側Oリング
6 内周側Oリング
7 溝(ガス流通部)
8 導入管
9 排出管
8’ 導入孔
9’ 排出孔
10 コンプレッサー
11 ガス分析装置
12 危険性が高いとされる流体(ホスゲン等)
13 監視コンピュータ
14 脱湿機
15,16 配管
17,18 接合面
19 ガスケット
20 配管本体
21,22 フランジ
23,24 Oリング用溝
25 ボルト
26 ナット
a,b,c,d 継手部
a1,b1,c1,d1 排出管
a2,b2,c2,d2 仕切弁(バルブ)
e 検知装置
Claims (6)
- 内部に流体が流れる状態にある配管の継手部からの前記流体の漏洩を検知するシステムであって、
前記継手部に設けられ、空気又は不活性ガスからなる気体が流通するシール部と、
前記シール部に接続され、該シール部に前記気体を供給する導入管と、
前記シール部に接続され、該シール部内の気体を排出する排出管と、
前記排出管に接続され、該排出管から採取した気体を分析する分析手段と、
前記分析手段による分析結果を通知する通知手段と
を有し、且つ
前記シール部は、同心円状に2重に配置されたOリングと、外周側の前記Oリングと内周側の前記Oリングとの間に形成され前記導入管及び前記排出管と接続されたガス流通部とを備え、前記導入管から前記ガス流通部に供給される空気又は不活性ガスからなる気体の圧力が、前記配管内部の圧力よりも低く調整された状態にあることを特徴とする、継手部の漏洩検知システム。 - 前記流体が、気体の化学物質である、請求項1記載の継手部の漏洩検知システム。
- 複数箇所の前記継手部の前記排出管にバルブを配し、該バルブの開閉により、前記排出管から採取した気体を順次分析することを特徴とする請求項1記載の継手部の漏洩検知システム。
- 前記内周側のOリングは、前記配管内を流通する前記流体に対して浸透性を有しない材質からなることを特徴とする請求項1記載の継手部の漏洩検知システム。
- 前記継手部は、前記各配管の端部に形成され配管本体から径方向に向かって延びるフランジと、対向して接合される前記フランジの一方側に形成され前記Oリングが個々に収容される2個のOリング溝と、前記2個のOリング溝の間に形成され前記ガス流通部を形成するガス流通溝と、前記フランジ内に形成され前記ガス流通溝と連通する導入孔と、前記フランジ内に形成され前記ガス流通溝と連通する排出孔とを有してなることを特徴とする請求項1記載の継手部の漏洩検知システム。
- 前記継手部が、化学プラント装置の継手部であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の継手部の漏洩検知システム。
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