JP5156999B2 - 液晶光学レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、簡単な構造を有し、低電圧により焦点距離を変えることが可能な大形且つ薄型のレンズを再現性良く実現し得る液晶光学レンズに関する。
液体のような流動性を持ち、電気光学的特性に異方性を示す液晶は、電圧印加により実効的な屈折率を概異常光に対する値から常光に対する値まで連続的に可変できるという特徴を持っており、この特徴を利用することで、焦点可変レンズが提案されている(後で示す特許文献1)。この焦点可変レンズは、透明電極付きのガラス基板が湾曲し、液晶層自身がレンズ形となる構造であり、電極間に電圧を印加することで液晶分子の配向制御を行い、実効的な屈折率を変化させるレンズである。
次に、ネマティック液晶セルにおいて、電界の方向に液晶分子が配向する性質を利用したものがある。これは、円形の孔形パターンを有する電極を用いて、軸対称的な不均一電界による液晶分子配向効果を利用することで、空間的な放物面状の屈折率分布特性を有する液晶レンズを得る方法として報告されている(特許文献2、特許文献3)。
また、特許文献4では、液晶中に網目状の高分子ネットワークを作ることで、特性の改善がなされている。このような液晶を用いたレンズでは、多数の微小なマイクロレンズと呼ばれるレンズを平板状に2次元的に配列したマイクロレンズアレイとすることが比較的容易にできる。
特許文献2、3で提案されている液晶マイクロレンズ構造で、液晶層の厚みを一定とした状態で電極の開口部分の直径を大きくしてレンズの開口径を大きくすると、軸対称の不均一電界が開口部の中心付近まで生じないために、レンズ特性が得られないという問題があった。この有効開口径を大きくする方法として、電極の開口部に透明な高抵抗の膜を付けて、高抵抗膜面の電位分布を利用して中心部まで電界が生じるようにした構造の液晶レンズが提案されている(特許文献5、非特許文献1)。
また特許文献2、3及び4で提案されている液晶マイクロレンズに類似した構造で、開口部を有する電極を液晶層に接触させずに、液晶層からある一定の距離を置くように配置することで、電極の開口部分の直径を大きくしても、軸対称の不均一電界が開口部の中心付近まで生じるようにすることが可能となる。この原理に基づき、液晶層と円形の孔形パターン電極との間に絶縁層を挿入することで、液晶層から前記円形の孔形電極との距離を保持する方法が提案されており(特許文献6、非特許文献2、3)、液晶マイクロレンズにおいて最良の特性が得られる円形孔形パターンの直径と液晶層の厚みの比が2対1から3対1程度とする必要があるという条件が緩和され、直径が大きな液晶レンズを構成できることが示されている。
一方、液晶層と円形の孔形パターン電極との間に絶縁層を挿入した液晶レンズにおいて、円形孔形パターン電極の外部に透明な第3の電極を配置して2電圧で駆動することで良好な特性を維持した状態で凹レンズ特性から凸レンズ特性まで広範囲に焦点距離を可変できる液晶レンズが報告されている(特許文献7)。
これらの液晶を用いた光学デバイスは、通常の受動型の光学デバイスとは異なり、電極間に電圧を印加して媒質である液晶の実効的な屈折率を可変制御することで、特性や光学系の収差を調節できるレンズが実現される。
上記した、円形孔形パターン電極により生じる軸対称の不均一電界により液晶分子の空間配向分布特性を利用した液晶マイクロレンズでは、開口部の直径をミリメートル程度よりも大きいレンズを得ることができないという構造上の問題があった。特許文献5で提案されているように、開口部に液晶層に配向膜を介して接するように高抵抗膜を設けるという方法では、液晶分子の配向分布に基づく放物面状の屈折率分布が得られるように電位分布を最適な状態に設定することが極めて困難であり、良好なレンズ特性を得ることが困難であるという問題があった。
さらに、特許文献6及び7で提案されている液晶層と円形孔形パターン電極の間に距離を設定するために絶縁層を設けた構造では、液晶層と電極との間に配置した絶縁層のために駆動電圧が高くなるという問題があり、特に開口部が大きいレンズを得るためには絶縁層の厚みがさらに厚くなって高電圧が必要とされるため口径が大きいレンズを得ることが困難であるという問題があり、絶縁層の厚みのために液晶レンズ全体の厚みを薄くすることができないという問題があった。
この問題を解決するために、透明絶縁層の中に透明高抵抗層として高抵抗の液体層を設けて電位分布を中継することで透明高抵抗層の実効的な厚みを薄くして、その結果として駆動電圧を低下する方法が非特許文献4に報告されている。
しかし、透明絶縁層の中に透明高抵抗層を挿入した場合には、円形孔形パターン電極と透明高抵抗層とが絶縁層を介して誘電的に結合することで透明高抵抗層の電位が決まるため、周辺部の影響を受けやすく、再現性や動作が不安定となることが多いという問題があった。さらに不均一電界による分子配向効果が液晶層の一部に限定されるため、液晶層における実効的な屈折率の可変範囲すなわち焦点の可変範囲を広くできないという問題があった。
特開昭54−151854号公報 特開平11−109303号公報 特開平11−109304号公報 特開平10−239676号公報 特開2003−29001号公報 特開2004−4616号公報 特開2005−115266号公報
F. Naumov, M. Yu. Loktev, I. R. Guralnik, and G. Vdovin, Liquid crystal adaptive lenses with modal control, Opt. Lett., Vol. 23, pp 992-994, (1998) 葉茂、佐藤進(M.Ye and S.Sato),「任意寸法の液晶レンズの光学的特性(Optical properties of liquid crystal lens of any size)」第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、2002年3月、28p-X-10, P.1277 葉茂、佐藤進(M.Ye and S.Sato),「任意寸法の液晶レンズの光学的特性(Optical properties of liquid crystal lens of any size)」,Japanese Journal of Applied Physics, 2002年5月、Vol. 41, No.5, P.L571-L573 葉茂, 王濱, 佐藤進:液晶レンズの低電圧駆動法の研究,2007年日本液晶学会討論会講演予稿集、2007年9月、2pC01
そこでこの発明の目的は、上記問題を解決し、低電圧で安定に駆動でき、良好な光学的特性を保持した状態で口径が大きな液晶光学レンズを提供することにある。またこの発明は、液晶層を効率よく利用し、大形のレンズでありながら再現性がよく低電圧で焦点距離を大きく変えることが可能な液晶光学レンズを提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決するために、透明な第1の電極を有する第1の基板、第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された液晶分子を一方向に配向させる液晶層を備え、前記第2の電極と前記液晶層との間に、前記第2の電極と前記液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層とを配置する。前記透明絶縁層の中に透明な高抵抗層を配置し、前記第1と前記第2の電極との間に前記液晶分子の屈折率分布を制御する一方の電圧を加えられるように構成する。そして孔を有する導電層を、前記透明な高抵抗層に一体にし、かつこの一体となった層を前記液晶層及び前記第2の電極に対して間隔をおいて配置しており、前記導電層にも前記液晶分子の屈折率分布を制御する他方の電圧が供給されるように構成し、前記一方の電圧と前記他方の電圧の値を調整してレンズとして動作させるようにしている
上記の手段により、まず簡単な構造であって、低電圧により安定に再現性良く駆動することができる大形で且つ薄型のレンズを実現し得る。また、大形のレンズでありながら低電圧で焦点距離を変えることができる。そして従来の如くレンズを機械的に前後移動させるような動作を伴うことなく、低電圧により焦点距離を電気的制御により大幅に可変することができる。
図1(A)は、本発明に係る液晶光学レンズの一実施の形態を示す構成説明図であり、図1(B)は図1(A)の電極22の平面図である。 図2(A)は、本発明に係る液晶光学レンズの一実施の形態を示す構成説明図であり、図2(B)は図2(A)の電極22の平面図である。
以下この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、その基本構成を述べる。
図1(A)はこの発明の一実施の形態によるデバイスの基本構成を示している。図1(B)は、図1(A)の孔22−1を有する第2の電極22及び前記孔22−1内に間隔を置いて配置された第3の電極23を平面的に見た図である。第3の電極23はスリット50により第2の電極22から電気的に絶縁されており、外部から電圧を加えられるように電極取り出し部23−1が付けられている。また、前記第2の電極22が有する孔22−1と同一の中心に位置し前記第2の電極22の孔22−1より大きい寸法の孔115−1を有する導電層115と、その孔115−1を破線で示している。第1の基板111は、透明な第1の電極21を有する。一方22は、先に述べた孔22−1を有する第2の電極である。第1の基板111と前記第2の電極22との間には、第1の電極21と対向するように収容され、液晶分子を一方向に配向させる液晶層31が存在する。
ここで、第2の電極22と液晶層31との間に、配向膜部分とは異なり、第2の電極22と液晶層31との間の距離を設定する透明絶縁層112が配置されている。そして、前記第1と前記第2の電極21、22との間に電圧V1を加えて液晶分子の配向制御を行なうことができる。したがつて、電圧V1のオンオフによりレンズ機能のオンオフを得ることができる。
特にこのデバイスでは、透明絶縁層112の中に透明な高抵抗層114を配置している。このため孔22−1を有する第2の電極22(円形パターン電極)と液晶層31との間に高抵抗層114を仲介して誘電結合が生じ、このような透明高抵抗層を有しない液晶レンズに比べて、この発明のデバイスでは動作電圧を10ボルト程度の低電圧まで低下することが可能となる。
上記した構成はレンズの口径を大形化する基本的な思想である。次に、上記のレンズ機能に加えて、焦点距離可変機能を有するデバイスについて説明する。
すなわち、図1に示すように、このデバイスは、透明な第1の電極21を有する第1の基板111、孔22−1を有する第2の電極22、及び前記第1の電極21と前記第2の電極22との間に、前記第1の電極21と対向するように収容された、液晶分子を一方向に配向させる液晶層31を備える。そして、前記第2の電極22と前記液晶層31との間に、配向膜部分とは異なり、前記第2の電極22と前記液晶層31との間の距離を設定する透明絶縁層112とが配置される。
ここで第1と第2の電極21、22の間に電圧V1を加えて液晶分子の配向制御を行なうことができ、前記第2の電極22に対して電気的に絶縁された透明な第3の電極23が配置され、この第3の電極23に第1の電圧V1とは独立した第2の電圧V2を加えられるように構成される。そして、第1の電圧V1に基づく第1段階の光学特性、前記第2の電圧V2に基づく第2段階の光学的特性を得られる液晶光学レンズが構成される。
この液晶光学レンズによると、凸レンズ、凹レンズとしての機能を得られ、さらに、前記透明絶縁層112の中に透明な高抵抗層114を配置し、大形のレンズを得られるようにしている。
図1において、111は第1の基板(厚みが300μmの透明ガラス)であり、内面側に、第1の電極21としてインジウム・錫系の酸化物透明導電材料 (ITO材)が形成されている。前記第2の電極22及びこの第2の電極22に対して電気的に絶縁された透明な第3の電極23はいずれもITO材から形成され、第2の電極22が有する孔22−1の直径は6mmとした。
ここで、第1の電極21と第2の電極間22間には、第1の電極21と対向するように収容され、液晶分子を一方向に配向させる液晶層31(例えば厚み75μm)が封入されている。液晶材料としてはネマティック液晶E44 (メルク社製)を使用した。なお図示していないが75μmの厚みの液晶層31を得るためのスペーサが存在する。
さらに、第2の電極22と液晶層31との間に配置される透明絶縁層112は、具体的には、透明なガラス板113(例えば300μmの厚み)、 116(例えば300μmの厚み)と、このガラス板113、116により挟まれた透明な高抵抗層114(例えば1μmの厚み)と孔115−1を有する導電層115(例えばアルミニウム0.2μmの厚み)で構成されている。この部分の構成は、この液晶デバイスの特徴的な構成である。また、それぞれのガラス板の厚みを変えることで、電圧V1やV2の最適な電圧値が異なってくる。
この透明絶縁層112は、新しい構成であるため導電層115を有しない場合においても使用されるが、その呼び名としてこの名称に限定されるものではなく、透明高抵抗層を有した透明絶縁体、あるいは電界中継層を有した透明絶縁体、あるいは誘電結合機能を有する透明絶縁体、などの呼び名が可能である。導電層を有する場合においても、便宜上この名称を使用している。
透明高抵抗層114としては厚みが約1μmの樹脂系の導電膜を使用した。本実施例で使用した樹脂系の導電膜の面積抵抗は50MΩ/m〜200MΩ/m程度であった。他の無機系薄膜、たとえば抵抗値を最適な値に設定したシリコンを添加したITOや酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、又はこれらの材料の混合系などの透明な薄膜を使うこともできる。抵抗層114に無機系の薄膜を使用すると構造がより簡単になり、安定で寿命も長くなるという利点がある。
なお、液晶層を挟む基板の面には、配向膜としてポリイミドがコーティングされている。また一方向にラビング処理されている。
導電層115としては真空蒸着により作製したアルミニウム薄膜を用いた。前記導電層115には第2の電極22が有する孔22−1と同一の中心に中心が位置し前記第2の電極22の孔22−1より大きい寸法の孔115−1(たとえば直径が9mm)が形成されている。
ここで上記の液晶光学レンズを液晶レンズとして機能させる場合を説明する。まず第1の電極21と第2の電極22との間に第1の電圧V1を加える。第1の電圧V1を加える場合、第2電圧V2は、当初は0ボルトとしておいて、第1の電圧V1を最適な値に設定する。
この電圧V1は、第1の電圧供給部から供給される。ここで凸レンズとして最良、あるいはレンズパワーがほぼ最大となる光学特性(この時の特性を、第1段譜の光学特性と称することにする)が得られる電圧値が設定される。次に、第1の電圧V1とは、独立して、第1の電極21と第3の電極23間に第2の電圧V2が加えられる。この第2の電圧V2は、第2の電圧供給部から供給される。この第2の電圧V2を可変することにより、レンズの光学的特性(第2段階の光学特性と称する)を制御することができる。なお電圧V1とV2は周波数及び位相が等しく設定されている。
上記の説明では液晶レンズが凸レンズとして機能する場合の例を説明した。しかしこの発明では、液晶レンズを凹レンズとして簡単に機能させることが可能である。この場合は、第1の電極21と第3の電極23との間に第3の電圧供給部から一定の交流電圧V2’を与える。そして、第1の電極21と第2の電極22との間に、第4の電圧供給部から電圧V1'を与える。ここで電圧V1'は、可変制御することができる。その他の構成は、上述した実施の形態と同じである。
さらにこのデバイスは、スイッチを有してもよい。そして、スイッチにより第1及び第2の電圧供給部を選択した第1の状態と、第3及び第4の電圧供給部を選択した第2の状態とに切り替えることが可能とされている。第1の状態では、液晶レンズが凸レンズとして機能し、第2の状態では液晶レンズが凹レンズとして機能する。
本発明によると、第2段階の光学特性は、非常に焦点距離が近い状態から無限に近い(あるいは無限)の状態まで、つまり焦点距離をメートルの単位で表した場合の逆数で与えられるレンズのパワー(単位はジオプトリ:1/m)が可変される。電圧V2'を高い値に設定し、電圧V1'の値を可変することで焦点距離が負の値すなわち凹レンズの状態となり、同様にレンズのパワーを負の値で種々可変される。このために、焦点距離の可変範囲が広くなり、実用的であり各種の周途が可能となる。
絶縁層112の中に挿入する高抵抗層114の面積抵抗値を57MΩ/mとして直径が6mmの液晶光学レンズを作製した。液晶光学レンズが凸レンズとして動作する第1の状態として、固定の電圧(例えば30kHz)V1=30Vが第1の電極21と第2の電極22の間に加えられ、第3の電極23に与えられる電圧V2が10V,15V,20V,25Vと可変されたとき、レンズパワーをジオプトリ(D)で示すと、それぞれのV2の値に対応してレンズパワーが1.6D,1.3D,0.9D,0.4Dと変化した。つまり、光の屈折率の勾配が小さくなり焦点距離が長くなるので、焦点距離の逆数であるレンズパワーが小さくなる。
液晶光学レンズが凹レンズとして動作する第2の状態として、固定の電圧V2'=20Vが第1の電極21と第3の電極23の間に加えられ、第2の電極22に与えられる電圧V1'が10V,13V,17Vと可変されたとき、それぞれのV1’の値に対応してレンズパワーが−0.8D,−0.5D,−0.2Dと変化した。つまり、光の屈折率の勾配が小さくなるので凹レンズとしての焦点距離が長くなり、焦点距離の逆数であるレンズパワーの絶対値が小さくなった。
電圧を可変することで、レンズのパワーが負から正まで可変されるが、本発明の一実施形態は、上記の構成に限定されるものではない。図1(A)、図1(B)に示した構成において、円形パターンの直径すなわち液晶光学レンズの直径を6mmとした場合では、透明高抵抗層112を用いないときには液晶層と円形パターン電極とを隔てる絶縁層の厚みは約2mm程度必要となり、駆動電圧が100ボルト以上の高電圧となるため、特別な電源が必要とされる。
しかし本発明によると、絶縁層112の中に高抵抗層114を挿入することで、円形パターン電極と液晶層31との間に高抵抗層114を仲介して誘電結合が生じるため、数ボルトから30ボルト程度の低電圧により直径が6mmの液晶レンズを駆動することが可能となる。さらに、高抵抗層114に円形の孔115−1を有する導電層115を設けているため、誘電結合が素子の形状や外部からの影響を受けずに安定した特性を得ることができた。また、再現性良く素子を作製することができた。
本実施例では、絶縁層112の厚みがそれぞれ300μm厚のガラス板113、116による2枚のガラス板の厚みの和である600μmとなっていたが、より薄いガラス板を用いることで、さらに低電圧で駆動することができる。
さらに、円形パターンすなわち光学デバイスの直径や絶縁層112の中に挿入する高抵抗層114の抵抗値、また高抵抗層114の上下に配置するガラス基板の厚みなどの値は駆動電圧とも関連するため、適宜変更設定することができる。
図1では、液晶層を1層のみとしているが、液晶層を複数層に分割することで、実効的な厚みを減少させ、応答特性の改善を行うことや、液晶分子の配向方向が互いに直交するように配置することで、偏光成分に依存しない自然光対応の液晶光学レンズを構成することもできる。
他の実施の形態として、導電層115を第4の電極として使用して外部から第3の電圧を加えて液晶の屈折率分布を制御することもできる。この導電層115の口径を第2の電極22の孔の直径よりも大きくすることで、実効的なレンズの口径を拡大することもできる。
さらに、他の実施の形態を図2(A)び(B)に示す。図2(A)はこの実施の形態を示す基本構成であり、図2(B)は電極22と23及び液晶層側に設けた第4の電極の関係を示す平面図である。この実施の形態における電極の構成は、特許文献2,3で提案されている液晶マイクロレンズにおける電極構造及び特許文献6,7で提案されている絶縁層を介して孔を有する電極を設けた構造による各々の特長を利用して、レンズパワーを維持したままで利用可能な口径の拡大を図り、併せて薄型化及び低電圧化を行うものである。
この実施の形態では、図1の構成における透明高抵抗層114に配置した導電層115を液晶層31側に移動することで第4の電極115’として用いる構造としたものである。すなわち、図1に示した液晶光学レンズの構成と同様に、第2の電極22に対して絶縁された第3の電極23が配置され、この第3の電極に前記第1の電圧V1とは独立した第2の電圧V2を加えられるように構成され、さらに液晶層31に面し前記第2の電極22が有する孔22−1と同一の中心に中心が位置し前記第2の電極22の孔22−1より大きい寸法の孔115’−1を有する第4の電極115’が配置され、この第4の電極115’に前記第1の電圧V1及び第2の電圧V2とは独立した第3の電圧V3を加えることで液晶光学レンズの特性を制御することができる。ここで、第4の電極115’の孔115’−1の直径を第2の電極22に設けた孔22−1の直径と同じ大きさにすると、第4の電極115’による静電的な遮蔽効果が働いて液晶層31に加わる電界が弱くなるため、所定の特性を得ることができない。したがって、第4の電極115’に設ける孔115’−1の大きさを第2の電極22の孔22−1よりも大きく設定する必要がある。さらに前記第4の電極115’に設ける孔115’−1の直径は、第2の電極22の孔22−1の直径の他に絶縁層の厚みにも関連して適宜設定することができる。
第2の電極22に設けた孔22−1の直径を6mmとし、第4の電極115’の孔115’−1の直径を8mmとした液晶光学レンズを構成した。他の寸法等は図1に示した実施例の値と同じにしている。この電極構造の液晶光学レンズにより液晶レンズとしてのパワーは同程度で有効口径を約8mmまで拡大することが可能となり、その結果として液晶層の利用効率を従来の構造(約40%)に比べて70%以上に改善することが可能となった。
さらにまた、透明高抵抗層の抵抗値を絶縁層と同程度の値とすること、すなわち透明高抵抗層を無くした液晶光学レンズとして動作させることもできる。この場合には高抵抗層による誘電結合効果が働かないため低電圧駆動を行うことができないが、絶縁層112を構成する2枚のガラス板113,116の厚みと導電層すなわち第4の電極に設けた孔の直径を適宜調整し、前記第4の電極に加える第3の電圧を制御することで、第2の電極に設けた孔よりも大きな大口径のレンズを構成することができ、各電極に加える電圧を調整することで複雑な屈折率分布を有する光学デバイスを構成することも可能である。
なお図2に示した構成で、透明高抵抗層114に図1の構成と同様に孔115−1を有する導電層115を付与することもできる。この場合には、安定で再現性がよい液晶光学レンズを構成することができる。
また、高抵抗層の抵抗値を適宜設定することで、絶縁層112を構成する2枚のガラス板113,116のどちらか、又は両方の厚みを数μm以下の非常に薄い薄膜状とすることもでき、113として配向膜として用いるポリイミド膜のみとすることもできるので、液晶光学レンズの実効厚みをさらに薄くした薄型光学デバイスを構成することも可能である。
本実施例では、透明絶縁層112内に配置される高抵抗層114は1層としているが、1層のみならず、複数層が設けられてもよい。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、液晶レンズを1つ示したが、複数が配列される構成であってもよい。また複眼のような2次元的な配列であってもよい。
本発明の光学素子は、オートフォーカス用のレンズや、拡大レンズ、ズームレンズ、ロボットにおいて視覚機能として用いられる撮像部のレンズなど、種々の用途が可能である。
111・・・第1の基板、112・・・絶縁層、113・・・ガラス板、114・・・高抵抗層、115・・・導電層、116・・・ガラス板、21・・・第1の電極、22・・・第2の電極、23・・・第3の電極、115’・・・第4の電極、31・・・液晶層、50・・・スリット。

Claims (3)

  1. 透明な第1の電極を有する第1の基板、第2の電極、及び前記第1の基板と前記第2の電極との間に、前記第1の電極と対向するように収容された液晶分子を一方向に配向させる液晶層を備え、
    前記第2の電極と前記液晶層との間に、前記第2の電極と前記液晶層との間の距離を設定する透明絶縁層とを配置し、
    前記透明絶縁層の中に透明な高抵抗層を配置し、
    前記第1と前記第2の電極との間に前記液晶分子の屈折率分布を制御する一方の電圧を加えられるように構成した液晶光学デバイスであり、
    孔を有する導電層を、前記透明な高抵抗層に一体にし、かつこの一体となった層を前記液晶層及び前記第2の電極に対して間隔をおいて配置しており、前記導電層にも前記液晶分子の屈折率分布を制御する他方の電圧が供給されるように構成し、
    前記一方の電圧と前記他方の電圧の値を調整してレンズとして動作させる手段とを有した液晶光学レンズ。
  2. 前記第2の電極は孔を有し、前記導電層の孔は、前記第2の電極が有する孔と同一の中心に位置し前記第2の電極の孔と等しいか又はより大きい寸法の孔であり、前記第2の電極の孔内には、前記第2の電極に対して絶縁した第3の電極が配置されている請求項1記載の液晶光学レンズ。
  3. 前記液晶層が2層であり、液晶分子の配向方向が互いに直交するように配置することで、光りの透過が偏光成分に依存しないように構成している請求項1記載の液晶光学レンズ。
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