JP5156218B2 - 燃焼力作動型打ち込み機 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１前段に記載されているような燃焼力作動型打ち込み機（鋲打機）に関する。

このような打ち込み機は燃焼室を有し、その内部において、一定量の燃焼ガスまたは他の気化可能な燃料を酸化剤、例えば外気と一緒に燃焼させる。

ピストンガイドの内部で摺動可能に案内される打ち込みピストンは、燃焼エネルギーによって駆動し、固定素子を目標物に打ち込む。打ち込み過程の実行後、打ち込みピストンは燃焼室に近いその初期位置に再度復帰する。打ち込みピストンを熱によって復帰案内させるタイプの前記燃焼力作動型打ち込み機の場合、打ち込みピストンがその初期位置に復帰するまで、燃焼室が係止される必要がある。このような係止装置は、機械的に構成されるとともに、打ち込み機のトリガに結合される。

米国特許第５９０９８３６号明細書（特許文献１）から、類似するタイプの前記燃焼力作動型打ち込み機が公知であり、この打ち込み機は、燃焼室と、内部で摺動可能に案内される打ち込みピストンを備える燃焼室に固定されたピストンガイドとを有する。燃焼室は、軸線方向の一方が打ち込みピストンに区切られ、他方がシリンダヘッドに区切られる。軸線方向に摺動可能なスリーブが燃焼室の側壁を構成するとともに、換気手段としても機能し、この換気手段は、シリンダヘッドと一緒に作動し、燃焼室の通気開口によって開放または閉鎖されうる。さらに、スリーブは押し付けガイドに連結され、打ち込み機が対象物に押し付けられた際に、これとともに軸線方向に移動する。打ち込み機に設けられたトリガまたは引き金を作動させることによって、スイッチが入り、電気的な火花が発生し、この火花が、燃焼室内部の期待混合物、例えば空気‐燃焼気体混合物を点火させ、従って燃焼過程を開始させる。この後、打ち込みピストンは、押圧され、固定素子を対象物に打ち込む。打ち込みピストンのその初期位置への復帰案内は、燃焼室の内部で打ち込み過程の後に生じる低圧状態によって行う。この場合、燃焼室は、打ち込みピストンが完全に復帰するまで閉鎖されたままでなければならず、さらに、燃焼室を閉鎖するスリーブまたは換気手段は、引き金またはトリガが引かれた際、スイッチがまだ点火を実行する前に係止される。特許文献１によると、燃焼室がトリガの起動後早すぎる時期に開放されることのないようにトリガ移動の遅延装置を設け、この遅延装置にスリーブまたは換気手段の係止解除を制御させる。
米国特許第５９０９８３６号明細書

このような打ち込み機には、打ち込み機を下地に押し付け、換気手段を引き金によって係止させ、打ち込み機を作動させることなく再度打ち込み機を下地から引き上げ、さらに引き金を再度引くことが理論的に可能であるという欠点がある。

従って、本発明の課題は前記のような打ち込み機であって、引き上げた状態で、燃焼室が閉鎖または封鎖されたまま打ち込み機を作動させることが不可能な打ち込み機を開発することにある。

本発明の課題は、請求項１に記載の特徴を有する打ち込み機によって解決される。すなわち、電子的な制御ユニットと、この制御ユニットに接続された少なくとも１個の初期化スイッチとを設け、この制御ユニットに、電子的なデバイス機能、例えば点火を制御させる。この場合、初期化スイッチは係止の前に作動する。制御ユニットは、初期化スイッチの切り替わりから制御ユニットに接続された作動スイッチの切り替わりまでの時間が、所定の割当時間よりも長くない場合のみ燃焼室の内部における点火を許容する。これによって、打ち込み機が下地に押し付けられ、トリガの部分的な作動によって係止された場合に、打ち込み機が作動可能になることを防止することができる。割当時間によって規定される点火の実行のための時間窓は、トリガを通常のように引くことによって、入口／出口装置を係止させるとともに、直接的または間接的にトリガを介して起動する作動スイッチによって点火を実行させることは可能であるが、トリガを部分的に作動させたまま新たに下地から引き上げた後で、時差的に実行させるのは不可能な長さに選択する。

制御ユニットに、初期化スイッチの切り替わりから作動スイッチの切り替わりまでの時間を割当時間と比較する時間比較手段を含めると好適である。初期化スイッチおよび作動スイッチの切り替わり相互間の時間監視は、非常に簡単に実現できる。時間比較手段は例えばコンデンサ回路として構成することができ、この場合割当時間をコンデンサの放電時間によって予め定めることができる。時間比較手段は、マイクロプロセッサの内部で実行されるプログラムとして構成することもでき、この場合、割当時間はメモリに設定するとともに、測定された時間との比較のために読み込みさせる。

初期化スイッチをトリガの状態に応じて切り替わるトリガスイッチとして構成すると好適である。さらに、トリガスイッチは直接トリガによって作動させる必要はなく、トリガによって間接的に、例えばさらなる機械的または電子的な素子の中間配線を介して起動させることもできる。このような対策によって、ユーザがトリガを完全に引ききるまでに要した経過時間を割当時間と直接比較することができるので、非常に高い信頼性を得ることができる。この場合、割当時間は、約３００ミリ秒から約１０００ミリ秒の間の領域に含まれると好適である。

あるいは、初期化スイッチを、ピンガイドの領域において摺動可能に案内される押し付けガイドによって切り替わるプッシュスイッチとして構成することができる。この場合、打ち込み機を下地または加工品に押し付けるための時間も含めて計算しなければならないので、割当時間をやや長く見積もるほうがよい。

本発明の技術的に簡単に実施可能な構成では、トリガにスイッチ素子をもうけ、このスイッチ素子にトリガスイッチのための第１切り替えアームと、作動スイッチのための第２切り替えアームと、係止装置の遮断素子とを含める。

本発明のさらなる利点と作用を従属請求項、以下の説明および図面に示す。図面に、本発明の好適な実施例を示す。

図１〜５は、本発明による手動ガイド式の燃焼力作動型打ち込み機１０を示し、この打ち込み機は、気化可能な液体または気体の燃料によって作動し、この燃料は、例えば図示しない燃料タンクに貯蔵される。

打ち込み機１０はハウジング１１を有し、この内部に打ち込み機構が配置され、打ち込み機１０を下地Ｕまたは対象物に押し付け、打ち込み機１０のハンドグリップ３６にあるトリガ３０を作動させた場合に、固定素子、例えば釘やボルトなどがこの機構により下地Ｕに打ち込まれる。このトリガ３０により、図示しない点火装置を作動させることができ、この点火装置により、燃焼室１３に含まれる空気‐燃料混合物を点火させる。さらに、トリガ３０は、スイッチ素子３１、例えばシーソースイッチを介して、トリガスイッチ２１として形成された起動スイッチおよび作動スイッチ２２に作用し、これらは、他方で図に描写しないケーブルを介して制御ユニットと接続する。この場合、スイッチ素子３１は、例えば軸受３５に回動可能に支持される。電気エネルギー源、例えば１個以上の電池も同様に設けられるが、図には示されていない。

打ち込み機構には、主に、燃焼室スリーブ１２の内部で拡縮可能な燃焼室１３と、内部で打ち込みピストン１６が摺動案内されるピストンガイド１７と、固定素子を案内するピンガイド１８とが含まれ、この固定素子は、一回の打ち込みにおいて、打ち込みピストン１６の前方に移動する打ち込み方向側の端部によって、下地の内部に打ち込まれる。この場合、燃焼室スリーブ１２、ピストンガイド１７およびピンガイド１８は、好適には同軸状に配置する。ピストンガイド１７のピンガイド１８に対向する側の端部には排気開口２６があり、打ち込みピストン１６がその燃焼室１３とは逆側の終了位置にある場合に、排気ガスの一部が、この排気開口２６を通ってピストンガイド１７の外部に流れ出ることができる。

この実施例では、燃焼室スリーブ１２はピストンガイド１７に対して摺動可能に支持されるとともに、少なくとも１個の図示されないばね素子によって、ピンガイド１８または燃焼室１３の圧縮位置の方向に弾性的に押圧される。押し付けロッド２５は、一方の端部が燃焼室スリーブ１２の把持し、他方の端部が押し付けガイド２８に固定される。この押し付けガイドはピンガイド１８に摺動可能に配置されるとともに、図１に示す打ち込み機の開始態勢において、ピンガイド１８よりも前方よりも突き出ている。押し付けガイド２８によって、押し付けスイッチ２３として構成されたさらに別の起動スイッチが作動する。この起動スイッチは、打ち込み機１０のピンガイド１８の領域に配置されるとともに、図示されないケーブルを介して制御ユニット２０と接続する。燃焼室スリーブ１２は、そのピストンガイド１７とは逆側の端部に燃焼室後壁１４を有する。燃焼室スリーブ１２は、本実施例では燃焼室後壁１４と一体として作動する。しかし、燃焼室スリーブ１２は燃焼室後壁１４に対して移動可能にすることもでき、この場合燃焼室後壁１４は好適にはハウジングに固定する。

空気の燃焼室１３内部への供給は、燃焼室後壁１４における入口／出口装置４０の少なくとも１個の第１開口１５を介して行う。燃焼室１３からの排気ガスの排出は、入口／出口装置４０の少なくとも１個の第２開口１９によって行い、この第２開口を、燃焼室スリーブ１２とピストンガイド１７の燃焼室側の端部との間に設ける。燃焼室１３を掃気する第１開口１５から第２開口１９に至る気流を発生させるため、打ち込み機１０にさらなる手段、例えば図示しない換気装置を設けることができる。入口／出口装置４０には、この実施例では換気手段としても機能する燃焼室スリーブ１２が含まれ、この燃焼室スリーブによって、以下で詳細に説明するように開口１５、１９の開放および閉鎖が制御される。

図１は、休止または初期姿勢における打ち込み機を示し、この姿勢では、燃焼室１３が最小の大きさに縮小されているとともに、打ち込みピストン１６のピストンヘッドがピストンガイド１７の燃焼室１３に対向する側の端部に存在する。プッシュスイッチ２３、トリガ３０のトリガスイッチ２１および作動スイッチ２２は、作動していない。入口／出口装置４０はその第１姿勢にあり、この姿勢では開口１５、１９が開放されている。

打ち込み機１０が下地Ｕに押し付けられると（図２参照）、押し付けガイドが矢印５０の方向に移動する。この移動は、押し付けロッド２５を介して燃焼室後壁１４を有する燃焼室スリーブ１２に伝動され、従ってこの燃焼室後壁１４がピストンガイド１７から離間し、このとき燃焼室１３が図２に示すように拡大する。第１開口１５がハウジング１１の封止素子２９によって燃焼室１３の拡大姿勢において閉鎖されるまで、空気が、入口／出口装置４０の開口１５を通って燃焼室１３の内部に流入する。燃焼室スリーブ１２とピストンガイド１７との間の第２開口１９は、燃焼室１３のこの拡大姿勢において、例えばＯリングとして構成された、燃焼室スリーブ１２の封止体２７によって閉鎖される。プッシュスイッチ２３は、押し付けスリーブ２８とすれ違うとともに、これによって作動する。このとき、プッシュスイッチ２３は、時点t0においてスイッチ信号を制御ユニット２０に発信する。この場合、スイッチ信号は、例えば電流回路の接続によって発生させることができる。その後、制御ユニット２０にスイッチが入る。さらに、燃焼室１３が拡大する過程において、燃料が、図示しない燃料供給管を介して燃料タンクから燃焼室１３の内部に供給され、この場合、この工程は電子的または機械的に制御することができる。

図３に示す姿勢において、トリガ３０は矢印５１の方向に少し押圧されている。このとき、第１トリガスイッチ２１が第２アーム３３によって作動するとともに、時点t1においてスイッチ信号を制御ユニット２０に送信し、これによって制御ユニットの点火回路の準備が完了する。

トリガが図４に示すように矢印５２の方向にした移動した後、全体として符号３７の付された係止装置に含まれるスイッチ素子３１の遮断素子３４が、時点t2において、燃焼室スリーブ１２に接する遮断位置５４に移動する。この結果、入口／出口装置４０は、燃焼室１３が密閉されたその第２姿勢において係止される。

図５に示す姿勢において、トリガ３０はさらに矢印５３の方向に押圧されているとともに、完全作動の状態にある。その際、作動スイッチ２２が第１アーム３２によって作動する。このとき、スイッチ素子３１の遮断素子３４は、依然として燃焼室スリーブ１２に対向する遮断位置５４に留まる。制御ユニット２０は、その際、時点t3において、点火装置に点火２４を実行させるためのスイッチ信号を受信する。

しかし、プッシュスイッチ２３および作動スイッチ２２またはトリガスイッチ２１および作動スイッチ２２から到達したスイッチ信号によって以下の条件、すなわち、
t3−t0≦tmax1またはt3−t1≦tmax2
が満たされた場合のみ点火２４が制御ユニット２０によって許容され、打ち込み過程が実行される。ここにおいて、tmax1およびtmax2は割当時間として制御ユニット２０に設定または記憶された値であり、この予定時間は、制御ユニット２０が一度点火２４を実行するまでに、時点t3とt0との間またはt3とt1との間で経過してもよい時間を意味する。第１割当時間tmax1および第２割当時間tmax2をt3とt0との間およびt3とt1との間の時間間隔と比較するために、制御ユニット２０は時間比較手段１２０を含む。すなわち、時間比較手段１２０が、条件t3−t0≦tmax1またはt3−t1≦tmax2の満たされていないことを確認すると、制御ユニット２０は点火を実行しない。これによって、ユーザが換気手段として構成された燃焼室スリーブが係止された後に打ち込み機１０を引き上げても、依然として打ち込み機１０を作動させることができるという事態が生じるのを防止することができる。

打ち込み機に初期化スイッチを１個のみ設けることができ、この場合、打ち込み機では１個の割当時間に関する比較のみを行う。

時間比較手段１２０は、例えばコンデンサ回路によって形成することができ、この場合、割当時間は、回路のコンデンサの放電または蓄電時間によって規定または設定される。

時間比較手段１２０は、マイクロプロセッサの内部で実行されるプログラムとして構成することもでき、この場合、割当時間はメモリに設定されるとともに、測定された時間との比較のために読み込まれる。

本発明の打ち込み機の初期姿勢における縦断面図である。 図１の打ち込み機の押し付け姿勢における縦断面図である。 第１作動態勢にあるトリガを含む押し付け姿勢にある図１の打ち込み機の縦断面図である。 第２作動態勢にあるトリガを含む押し付け姿勢にある図１の打ち込み機の縦断面図である。 完全作動態勢にあるトリガを含む押し付け姿勢にある図１の打ち込み機の縦断面図である。

符号の説明

１０ 打ち込み機
１１ ハウジング
１２ 燃焼室スリーブ
１３ 燃焼室
１４ 燃焼室後壁
１５ 第１開口
１６ 打ち込みピストン
１７ ピストンガイド
１８ ピンガイド
１９ 第２開口
２０ 制御ユニット
２１ トリガスイッチ
２２ 作動スイッチ
２３ プッシュスイッチ
２４ 点火
２５ 押し付けロッド
２６ 排気開口
２７ 封止体
２８ 押し付けガイド／スリーブ
２９ 封止素子
３０ トリガ
３１ スイッチ素子
３２ 第１切り替えアーム
３３ 第２切り替えアーム
３４ 遮断素子
３５ 軸受
３６ ハンドグリップ
３７ 係止装置
４０ 入口／出口装置
５０、５１、５２、５３ 矢印
５４ 遮断位置
１２０ 時間比較手段
Ｕ 下地

Claims (6)

1. 釘、ボルトまたはピンといった固定素子を下地に打ち込む燃焼力作動型打ち込み機であって、
   気体混合物を燃焼させるための燃焼室（１３）と、
   第１姿勢において前記燃焼室（１３）を開放し、第２姿勢において前記燃焼室（１３）を閉鎖する入口／出口装置（４０）であって、この入口／出口装置（４０）を第１姿勢から第２姿勢に可逆的に移行させる換気手段を有する入口／出口装置（４０）と、
   トリガ（３０）によって起動される係止装置（３７）であって、前記入口／出口装置（４０）の第２姿勢において前記換気手段を係止する係止装置（３７）と、
   前記トリガ（３０）の状態に応じて切り替わる作動スイッチ（２２）であって、前記燃焼室（１３）の内部において点火を実行する作動スイッチ（２２）とを有する打ち込み機において、
   電子的な制御ユニット（２０）と、このユニットに接続された少なくとも１個の初期化スイッチとが設けられており、
   前記制御ユニット（２０）が、前記初期化スイッチの切り替わりから前記制御ユニット（２０）に接続された前記作動スイッチ（２２）の切り替わりまでの時間が、所定の割当時間以下の場合のみ燃焼室（１３）の内部における点火を許容することを特徴とする打ち込み機。
2. 前記初期化スイッチと前記作動スイッチ（２２）との双方は、前記トリガ（３０）によって作動されることを特徴とする請求項１に記載の打ち込み機。
3. 前記制御ユニットが、前記初期化スイッチの切り替わりから前記作動スイッチ（２２）の切り替わりまでの時間を前記割当時間と比較する時間比較手段（１２０）を含むことを特徴とする請求項１または２に記載の打ち込み機。
4. 前記初期化スイッチが、前記トリガ（３０）の状態に応じて切り替わるトリガスイッチ（２１）として構成されていることを特徴とする請求項１〜３のうちのいずれか一項に記載の打ち込み機。
5. 前記初期化スイッチが、ピンガイド（１８）の領域において摺動可能に案内される押し付けガイド（２８）によって切り替わるプッシュスイッチ（２３）として構成されていることを特徴とする請求項１に記載の打ち込み機。
6. 前記トリガ（３０）がスイッチ素子（３１）を有し、このスイッチ素子が前記トリガスイッチ（２１）のための第１切り替えアーム（３２）と、前記作動スイッチ（２２）のための第２切り替えアーム（３３）と、前記係止装置（３７）の遮断素子（３４）とを含むことを特徴とする請求項１〜５のうちいずれか一項に記載の打ち込み機。

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