JP5154806B2 - 流体装置 - Google Patents

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本発明は、弾性体ならびにソレノイドによって付勢される制御弁、およびそれを備えた流体装置に関するものである。
従来、供給電流に応答してフラッパーと呼ばれる軸を可動させるトルクモータを備え、該軸の可動によりスプール両端の圧力バランスを制御することでスプール位置を移動させ、油圧機械的フィードバック制御を行う電気油圧サーボバルブ(Electro Hydraulic Servo Valve)が知られている。(例えば、特許文献1、2参照)
また、前記サーボバルブを用いてアクチュエータのピストンロッドを伸縮させる流体装置が知られている。(例えば、特許文献3参照)
米国特許公報 4,624,284 米国特許公報 3,023,782 米国特許公報 4,513,782
しかしながら、従来の電気油圧式サーボバルブにおいては、前記スプールを駆動させるために、機械的可動部であるトルクモータおよびフラッパーと、スプール両端の圧力バランス制御を行うための油圧回路が必要である。従って、部品点数が多く、それらを組み立て調整する時間も多大なものとなり、製品コストが高くなるという問題があった。
本発明は、航空機の飛行制御において、電気信号が消失した場合であっても、翼面を確実に水平方向に保持するという安全性を犠牲にすること無く、安価に製造することができる制御弁を提供することを目的とする。
本発明の流体装置は、シリンダ内に収納されたピストンロッドの両側に一方および他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給および排出によりピストンロッドを移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータへ供給する作動流体を給排制御する制御弁を有し、前記制御弁が、スリーブと、スプールと、前記スプールの一端側を付勢する弾性体と、前記スプールの他端側を付勢するソレノイドと、前記スプールの位置を検出する差動トランスとを有し、前記差動トランスからの電気信号と、制御部より出力された入力信号により前記ソレノイドを駆動する演算回路とを備えた流体装置において、前記演算回路より出力された電気信号によりソレノイドを励磁し、前記弾性体を付勢しスプールを他端側または一端側に移動させることによって、前記アクチュエータのピストンロッドを伸縮させる構成としている。
この構成により、本発明の制御弁は従来の電気油圧サーボ弁に比べ部品点数が少なくて構成されるため、安価に製造することができる。
本発明の流体装置は、前記制御弁が、操舵電気信号入力により制御され、前記ピストンロッドを航空機用翼面に接続する構成としている。
この構成により、上述したように部品点数の少ない制御弁を用いるため、安価で信頼性の高い流体装置とすることができる。
本発明の流体装置は、前記ピストンロッドを航空機用翼面であるスポイラーに接続する構成としている。
この構成により、航空機の飛行制御において、故障によって電気信号が消失した場合でも前記ピストンロッドを最も収納した位置(翼面を水平方向)で保持し、安全性を確保させた流体装置とすることができる。
本発明によれば、信頼性の高い制御弁を安価に製造することができるとともに、特に航空機の飛行制御において、安全性を確保させた流体装置を提供することができる。
以下、本発明に関わる流体装置の一実施の形態について、図1〜図2を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る流体装置10は、アクチュエータ20内に収納されたピストンロッド30の両側に一方および他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給および排出によりピストンロッド30を移動させるアクチュエータ20と、アクチュエータ20へ供給する作動流体を給排制御する制御弁40を有し、制御弁40がスリーブ50と、スプール60の一端側を付勢する弾性体70と、スプール60の他端側を付勢するソレノイド80と、スプール60の位置を検出する差動トランス90(第1差動トランス)とを有し、差動トランス91(第2差動トランス)からの電気信号と、図外の制御部より出力された指令信号を受信し位置制御を行うための演算処理を行う第1の演算部101と、ソレノイド80を駆動する第2の演算部102と、飛行制御用の翼面110と、を備えている。
次に、図1に示すように、流体装置10の動作について、ソレノイド80に演算部102からの出力電流が0の場合の動作について説明する。
他端側のソレノイド80(例えば比例ソレノイド)に電流が流れない場合には、弾性体70(例えばスプリング)によって付勢されたスプールが一端側より他端側へ移動する。この時に、制御弁40のPSポートに供給された作動流体はピストンロッド30を収納する方向に流れ、制御弁40のP(2)ポートより排出される。同時に、ピストンロッド30に接続された翼面110は略水平方向に維持される。
これにより、ソレノイド80に供給する電流が故障等によって消失した場合でも、ピストンロッド30を最も収納した位置で保持することができる。
さらに上述したように、この構成により、航空機の飛行制御において、故障によって電気信号が消失した場合でも、ピストンロッド30を最も収納した位置(翼面を略水平方向)で保持し、安全性を確保させた流体装置10とすることができる。
次に、図2に示すように、流体装置10の動作について、ソレノイド80に演算部102からの出力電流が印加された場合の動作について説明する。
図外の制御部より翼面を動作させる指令信号(所定の舵角信号に相当する電圧)が演算部102へ入力されると、演算回路102を介して出力された電気信号(アンプによって変換された電流)によってソレノイド80を励磁し、弾性体70に抗してスプールを一端側に移動させる。この時に、制御弁40のPSポートに供給された作動流体はピストンロッド30を伸長する方向に流れ、制御弁40のP(1)ポートより排出される。同時に、ピストンロッド30に接続された翼面110は略垂直方向に可動する。
ここで、スプール60の変位量は差動トランス90で検出され、演算部102内で前記指令信号と比較し、所定の舵面角速度となるようソレノイド80を制御する。
次に、同様にアクチュエータ20内のピストンロッド30に接続された差動トランス91によって、翼面の舵角に相当するピストンロッド30の変位量を検出し、演算部101内で前記指令信号と比較し、所定の舵角となるよう、ソレノイド80を制御する演算部102への信号を出力する。
詳細には、第1の演算部101を介して、第2の演算部102に入力された所定の翼面の角速度に相当する電圧と、差動トランス90で検出されたスプール60の変位によって生じたフィードバック電圧を等しくし、ソレノイド80を励磁する電流値を、スプール60と対向する弾性体70の反力と釣り合う電流値となるように設定させてスプール60を演算部102への入力電圧に比例した変位にて停止する。これにより、制御弁の流量制御を行いアクチュエータの速度制御および翼面110の角速度を制御することができる。(インナーループ制御)
また、第1の演算部101において入力した所定の舵角信号に相当する電圧と差動トランス91で検出されたピストンロッド30の変位によって生じたフィードバック電圧とを減算し(あるいは加算し)、その電圧値に差動トランス90で検出されたスプール60の変位によって生じたフィードバック電圧を第2の演算部102において減算し(あるいは加算し)ソレノイド80を励磁する電流値がスプール60と対向する弾性体70の反力と釣り合う電流値となるように演算処理を行い、スプール60を制御弁の油圧中立にて停止する。これにより、制御弁の流量制御によりアクチュエータの速度制御を行うインナーループを介して、所定の翼面110の角度を制御することができる。(アウターループ制御)
さらに、第2の演算部102はスプール60の中立点にオフセット値を与えられるように設定することができる。このオフセット値の付与によって翼面110を上下に制御することができ、本発明の流体装置を航空機の飛行制御翼面のエルロンやエレベータにも使用することができる。
以上、上述したように、信頼性の高い制御弁を安価に製造することができるという効果を有し、特に航空機の飛行制御において、安全性を確保させた流体装置を提供することができ有用である。
本発明の一実施の形態に係る流体装置において、ソレノイドを励磁していないときの状態を示す。 本発明の一実施の形態に係る流体装置において、ソレノイドを励磁したときの状態を示す。
符号の説明
10 流体装置
20 アクチュエータ
30 ピストンロッド
40 制御弁
50 スリーブ
60 スプール
70 弾性体
80 ソレノイド
90,91 差動トランス
101 第1の演算部
102 第2の演算部
110 飛行制御用の翼面
120 流体ポンプ
121 タンク

Claims (1)

  1. シリンダ内に収納されたピストンロッドの両側に一方および他方の流体室を形成し、両流体室への作動流体の供給および排出により航空機用の翼面であるスポイラーに接続されるピストンロッドを移動させるアクチュエータと、前記アクチュエータへ供給する作動流体を給排制御する制御弁とを有する流体装置において、
    前記制御弁は、スリーブと、スプールと、前記スプールの一端側を付勢する弾性体と、前記スプールの他端側を付勢するソレノイドと、前記スプールの変位量を検出する第1差動トランスとを有し、
    前記アクチュエータは、前記ピストンロッドの変位量を検出する第2差動トランスを有し、
    前記第2差動トランスからの電気信号と、制御部より出力された指令信号とを受信し位置制御を行うための演算処理を行う第1の演算部と、
    前記第1の演算部からの信号と、前記第1差動トランスからの電気信号とを受信し、前記ソレノイドを駆動する第2の演算部とを備え、
    前記第2の演算部より出力された操舵電気信号によりソレノイドを励磁して前記スプールを移動させることによって、前記アクチュエータのピストンロッドを伸縮させ
    前記操舵電気信号が消失した場合には、前記弾性体によって付勢された前記スプールが一端側より他端側へ移動し、前記翼面が略水平方向に維持されることを特徴とする流体装置。
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