JP5153694B2 - 破壊強度測定装置の較正装置 - Google Patents

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本発明は、物品の破壊強度測定装置の較正装置、特に卵殻の強度測定装置の較正装置に関するものである。
一般に、卵は、損傷しやすいので、卵を流通に置く場合も卵殻強度が一定の値を上回っていることが望ましい。そのため、生産者が卵を納入する際、卵の卵殻強度を検査することが多い。
また、親鶏の鶏舎における飼育環境の良否が卵殻強度に影響することがあるので、卵殻強度を測定することにより鶏舎の飼育環境の良否を判定することも可能である。たとえば、同じ日齢の親鶏が収容されている鶏舎Aと鶏舎Bから搬出されるロットの卵を比較し、鶏舎Aのロットの卵の方が所定値以下の卵殻強度の割合が高い場合、鶏舎Aの飼育環境に何らかの問題があることが推測され、鶏舎Aの飼育環境改善のための対策を講じることができる。
従来、このような卵殻強度を測定する方法としては、一般に、測定対象卵を、その長軸が鉛直方向となるように荷重計を備えた載置台に載せ、上方から鉛直方向の押圧力を作用させる押圧部を下降させ、当該測定対象卵の卵殻が弾性限界を超えて亀裂が入る瞬間の荷重を測定する方法が公知である。
また、特開H10−62325号公報で開示された卵殻強度計や本出願人が特開2008−309739号公報で開示した卵殻強度測定装置も公知である。
ところで、卵殻強度の測定においては、その測定精度を維持するため、定期的に荷重計の較正を行う必要があるが、その較正方法としては、分銅等の既知の重りを利用することが一般的である。
その他、硬度計用較正装置としては、特開H08−159942号公報で開示された硬度計用較正装置が公知である(特許文献1)。
特開H08−159942号公報
前述した方法のうち、前記分銅等の既知の重りを利用する較正方法においては、測定装置内部の荷重計自体をチェックすることは可能である。しかし、そもそも、破壊強度測定装置は、物品の破壊に至る過程の最大荷重を測定するものであり、その荷重は加圧とともに徐々に増加し、破壊点で急激に減少するので、前記分銅等の既知の重りを利用する較正方法では、前記の急激な荷重変化の測定をチェックする較正方法としては必ずしも適切ではない。
また、前記分銅等の既知の重りを利用する方法は、構成上、荷重受け部に分銅を載置できない特開H10−62325号公報に開示された卵殻強度計や特開2008−309739号公報に開示された卵殻強度測定装置においては用いることができない。
さらに、特許文献1に記載された硬度計用較正装置では、受圧面31に加えられた圧力が圧力伝達機構4により節度機構2に伝達され、伝達された圧力が所定圧力に達したならば、ボールプランジャ6のボール64とボール受け8との係合が解除されてボール受け8がボール64と離反する構成となっている。そのため、この装置では、度重なる係合解除の過程でボール受け8が摩耗するおそれがあり、かかる装置を較正装置として用いることにも問題がある。
本発明は、前記問題点を解決することを課題としてなされたものであり、その目的とするところは、破壊強度測定装置の較正にあたって、簡易な構成で、安価に、しかも耐久性の高い較正装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を、外部からの圧力に対して磁力により反圧力を作用させる反圧力部と、前記圧力を前記反圧力部に伝達し、前記圧力が所定の値に達したときに、反発力により前記反圧力を略瞬時に減少させる圧力伝達部を備えたことを特徴とする卵の破壊強度測定装置の較正装置により達成する。
前記圧力伝達部は、前記反発力を生じる弾性体を含んでいてもよい
前記圧力伝達部は、前記反発力を生じる永久磁石を含んでいてもよい。
さらに、本発明では、破壊強度測定装置の較正後、前記反圧力部の磁力により初期の状態に回復することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明では、破壊強度測定装置の較正にあたって、簡易な構成で、安価に、しかも耐久性の高い較正装置を提供することができる。
本発明に係る較正装置本体の一実施例を示す断面図である。 図1に示す較正装置本体のケースを除いた内部構造を示す側面図である。 本発明に係る較正装置本体の別の構成を示す断面図である。 本発明に係る較正装置本体のさらに別の構成を示す断面図である。 図2に示す内部構造がケースに収められた状態を示す側面図である。 図5に示す較正装置の受圧部にX方向から圧力を加えた状態を示す側面図である。 図6に示す較正装置の受圧部にX方向からさらに圧力を加えた状態を示す側面図である。 本発明の較正装置により破壊強度測定装置の較正を行っている状態を示す側面図である。 本発明に係る較正装置本体の別の実施例を示す断面図である。 鶏卵の卵殻強度測定を行っている状態を示す参考図である。
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。
図1ないし図10に示すように、較正装置1は、鶏卵等の物品に圧力を加え、当該物品
が圧力により破壊される直前の強度を測定する破壊強度測定装置の較正に用いられる。
図1および図2に示すように、較正装置1は、円筒形のケース10の内部に受圧部2と圧力伝達部12と反圧力部13を備える。
受圧部2は、外部からの圧力を受ける面とは反対側に棒状部分Sを有している。棒状部分Sには、圧力伝達部12と反圧力部13と衝撃緩衝部材6が回動可能に取り付けられ、棒状部分Sの先端にはナット9が係合されている。
圧力伝達部12は、受圧部2に加えられた圧力で圧縮され反発力が蓄勢される弾性体3と、当該反発力を反圧力部13に伝える反発力伝達部材4により構成されている。
反圧力部13は、ブッシュ11により円筒形のケース10内に固定される磁性体7と、磁性体7との間に引力を生じさせる永久磁石5と、磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を調整する引力調整部材8により構成されている。反圧力部13を構成する磁性体7と永久磁石5の替わりに、2つの永久磁石を違う極が向かい合うように配置して永久磁石同士の間に引力を生じさせるようにしてもよい。
衝撃緩衝部材6は、永久磁石5がナット9と直接接触しないようにして永久磁石5の破損を防止する。衝撃緩衝部材6の材質は合成樹脂を例として用いているが、金属などであってもよい。
外部から受圧部2に圧力が加えられると、圧力伝達部12の弾性体3は圧縮され、当該圧力を反発力として弾性体3に蓄勢する。弾性体3に蓄勢された当該反発力は反発力伝達部材4を介して反圧力部13の永久磁石5に伝えられる。
永久磁石5に伝えられる反発力は磁性体7から永久磁石5を離反させる方向に作用するが、当該反発力が磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えない範囲にあるときは磁性体7と永久磁石5は離反されない。このとき、反圧力部13は、当該反発力と同等の反圧力を生じる。
圧力伝達部12を構成する弾性体3に蓄勢された反発力が磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えると、当該反発力により磁性体7から永久磁石5が略瞬時に離反される。このとき、反圧力部13の生じる反圧力は急激に減少する。
圧力伝達部12を構成する弾性体3は、コイルバネを例として用いているが、コイルバネの他に弾性ゴムや空気バネなどを用いて反発力を蓄勢し、反発力伝達部材4を介して反圧力部13の永久磁石5に伝えるようにしてもよい。
また、図3に示すように、弾性体3の替わりに永久磁石5aと永久磁石5bを同じ極が向かい合うように配置して永久磁石同士の反発力を蓄勢し、反発力伝達部材4を介して反圧力部13の永久磁石5に伝えるようにしてもよい。
さらに、図4に示すように、永久磁石5cと永久磁石5を同じ極が向かい合うように配置して永久磁石同士の反発力を蓄勢し、当該反発力が反圧力部13の永久磁石5に直接作用するようにしてもよい。
永久磁石5、5a、5b、5cは、ネオジム磁石を例として用いているが、ネオジム磁石の他にフェライト磁石などを用いてもよい。
次に、破壊強度測定装置の較正時における較正装置1の動作を図5ないし図8を用いて説明する。
図5は、受圧部2に対して、外部より圧力が加えられていない初期の状態の較正装置1の内部構造を示す側面図である。L1は反発力が蓄勢されていない弾性体3の長さを示す。
図6は、受圧部2に対してX方向から圧力が加えられている較正装置1の内部構造を示す側面図である。L2はX方向からの圧力により圧縮され反発力が蓄勢されている弾性体3の長さを示す。
このとき、弾性体3に蓄勢された反発力は磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えない範囲にあり、磁性体7と永久磁石5は離反されていないので、反圧力部13は弾性体3に蓄勢された反発力と同等の反圧力を生じる。
G1は、受圧部2が外部からの圧力によって押し込まれたことによりナット9と衝撃緩衝部材6との間に生じた間隔を示す。
図7は、受圧部2に対してさらにX方向から圧力が加えられ、弾性体3に蓄勢された反発力が、磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えた直後の較正装置1の内部構造を示す側面図である。L3は磁性体7と永久磁石5を離反した直後の弾性体3の長さを示す。
このとき、当該反発力により磁性体7から永久磁石5が略瞬時に離反されており、反圧力部13が生じる反圧力は急激に減少している。
G2は、弾性体3に蓄勢された反発力によって磁性体7から永久磁石5をX方向に離反したことにより磁性体7と永久磁石5との間に生じた間隔を示す。
磁性体7と永久磁石5が離反した後、受圧部2に加えられている圧力を取り除くことにより磁性体7と永久磁石5の間に働く引力で較正装置1は自動的に図5に示す初期の状態に回復する。
図8は、破壊強度測定装置の較正を行っている状態を示す図である。較正装置1は、測定台15の上に略水平に載置される。荷重受け部17は、破壊強度測定装置に固定されている。加圧アーム16は、測定が開始されるとX方向に移動して荷重受け部17との間で較正装置1を加圧する。
加圧アーム16の圧力が所定の値を超えると反圧力が急激に減少するため、鶏卵などの物品に圧力が加えられ、当該物品の弾性限界を超えて亀裂が入る瞬間の状態を再現できる。
ここで、所定の値とは、磁性体7から永久磁石5をX方向に離反させるために必要な圧力を指す。所定の値は永久磁石5の種類や引力調整部材8の厚みを変えることで調整するとこができ、その値は破壊強度測定装置の較正を行うときの基準値となる。
破壊強度測定装置で較正装置1の破壊強度を測定し、破壊強度測定装置に表示される値が当該基準値からの許容範囲内であれば、破壊強度測定装置は正常に作動しているとみなすことができる。
測定台15には測定対象物品を略水平に固定するための窪みが設けられている。較正装置1のケース10には当該窪みに対して較正装置1を略水平に保つための段差14が設けられている。
また、段差14の替わりにケース10の形状を測定対象物品と同じ形状にすることにより、較正装置1を略水平に保つこともできる。例えば、測定対象物品が鶏卵であればケース10を鶏卵の形状にすればよい。
以下、本発明の別の実施例について、図面を参照して説明する。
図9に示すように、実施例2に係る較正装置1は、円筒形のケース10の内部に圧力伝達部12と反圧力部13を備える。
圧力伝達部12は、X方向から加えられた圧力で圧縮され反発力が蓄勢される。
反圧力部13は、円筒形のケース10内に固定されている磁性体7と、磁性体7との間に引力を生じさせる永久磁石5より構成されている。反圧力部13を構成する磁性体7と永久磁石5の替わりに、2つの永久磁石を違う極が向かい合うように配置して永久磁石同士の間に引力を生じさせるようにしてもよい。
外部から圧力伝達部12に圧力が加えられると、圧力伝達部12は圧縮され、当該圧力を反発力として蓄勢する。当該反発力は反圧力部13の永久磁石5に伝えられる。
永久磁石5に伝えられる反発力は磁性体7から永久磁石5を離反させる方向に作用するが、当該反発力が磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えない範囲にあるときは磁性体7と永久磁石5は離反されない。このとき、反圧力部13は、当該反発力と同等の反圧力を生じる。
圧力伝達部12に蓄勢された反発力が磁性体7と永久磁石5の間に生じる引力を超えると、当該反発力により磁性体7から永久磁石5が略瞬時に離反される。このとき、反圧力部13の生じる反圧力は急激に減少する。
圧力伝達部12は、弾性ゴムを例として用いているが、弾性ゴムの他にコイルバネや空気バネなどを用いて反発力を蓄勢し、当該反発力を反圧力部13の永久磁石5に伝えるようにしてもよい。
また、永久磁石5と同じ極が向かい合うように別の永久磁石を配置して永久磁石同士の反発力を蓄勢し、当該反発力が反圧力部13の永久磁石5に直接作用するようにしてもよい。
図10は、破壊強度測定装置が鶏卵Eの卵殻強度測定を行っている状態を示す図である。鶏卵Eは、測定台15の上に略水平に載置される。荷重受け部17は、破壊強度測定装置に固定されている。加圧アーム16は、測定が開始されるとX方向に移動して荷重受け部17との間で鶏卵Eを加圧する。
加圧アーム16の圧力が鶏卵Eの弾性限界を超えると卵殻に亀裂が入り、反圧力が急激に減少するため、反圧力が減少する直前の加圧アーム16の圧力を鶏卵Eの卵殻強度とすることができる。
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
1 較正装置
2 受圧部
3 弾性体
4 反発力伝達部材
5 永久磁石
6 衝撃緩衝部材
7 磁性体
8 引力調整部材
9 ナット
10 ケース
11 ブッシュ
12 圧力伝達部
13 反圧力部
14 段差

Claims (4)

  1. 外部からの圧力に対して磁力により反圧力を作用させる反圧力部と、
    前記圧力を前記反圧力部に伝達し、前記圧力が所定の値に達したときに、反発力により前記反圧力を略瞬時に減少させる圧力伝達部を備えたことを特徴とする卵の破壊強度測定装置の較正装置。
  2. 前記圧力伝達部は、前記反発力を生じる弾性体を含む、請求項1に記載の卵の破壊強度測定装置の較正装置。
  3. 前記圧力伝達部は、前記反発力を生じる永久磁石を含む、請求項1に記載の卵の破壊強度測定装置の較正装置。
  4. 破壊強度測定装置の較正後、前記反圧力部の磁力により初期の状態に回復することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の卵の破壊強度測定装置の較正装置。
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