第1の発明は、お湯を給湯端末へ供給する給湯管路と、前記給湯管路を流れる温水の流量を検出する流量検出手段と、前記給湯管路を流れる温水の流量を調整する流量調整手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路を流れる温水の流量を、前記流量調整手段の流路面積を変更することで周期的に変動させるとともに、前記初期流量に基づいて、前記流量調整手段の流路面積の変更速度を変更する
ことを特徴とする給湯機である。
これによって、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、また、その節水流量となるように流量を大小に体感的に快適な一定周期で変動させることができるので、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行える。
第2の発明は、お湯を給湯端末へ供給する給湯管路と、前記給湯管路を流れる温水の流量を検出する流量検出手段と、前記給湯管路を流れる温水の流量を調整する流量調整手段と、制御手段とを備え、前記給湯管路を流れる温水の流量が、前記流量検出手段で検出した初期流量に対して所定の節水率から算出される節水流量となるように、前記給湯管路を流れる温水の流量を前記流量調整手段で周期的に変動させるとともに、前記給湯管路を流れる温水の流量の増減を逆転させる時に、前記温水の流量変動を停止させる時間を設けることを特徴とする給湯機である。
これによって、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、また、その節水流量となるように流量を大小に体感的に快適な一定周期で変動させることができるので、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行える。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記給湯管路を流れる温水の流量を、前記節水流量を中心値として変動させるとき、多い側の流量は前記初期流量以上にすることを特徴とするもので、流量変動の中で初期の流量以上の流量を感じることができ、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなくより同等に近い感覚で節水運転を行うことができる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれかの発明において、浴室への人の入室を検知する人検知手段を備え、前記人検知手段が浴室への人の入室を検知した時のみ、前記流量変動を行うことを特徴とするもので、人検知センサで人が入室しているのを検出している時のみ流量変動を行うことにより、特に大流量で使われる浴室でのシャワー使用時にのみ節水運転を行い、台所等で流量変動が気になるところでは節水運転を行わない等、自動に切り替えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における風呂追い焚き機能の付いた貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本実施の形態の貯湯式給湯機は、タンクユニット1とヒートポンプユニット2を備えており、タンクユニット1内に配設している貯湯タンク3内に貯える高温水を、ヒートポンプユニット2にて生成している。
なお、本実施の形態では加熱手段としてヒートポンプを用いているが、これに限定されることなく、例えば、タンク内に電気ヒーターを内設して加熱する形態であってもよい。また、実線矢印は流体の流れる方向を示している。
次に、ヒートポンプユニット2の構成について説明する。
ヒートポンプユニット2は、水冷媒熱交換器24、圧縮機25、蒸発器26、膨張弁27を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用して
いるため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器24を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
また、ヒートポンプユニット2において、圧縮機25で冷媒が圧縮され、圧縮機25から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器24で放熱し、膨張弁27で減圧されたあと、蒸発器26で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機25に吸入される。
なお、圧縮機の能力制御および膨張弁27の開度制御は、圧縮機25の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。また、貯湯タンク3内の湯水は、水ポンプ28が作動することで、水冷媒熱交換器24に流入し、冷媒と熱交換を行い、再び貯湯タンク3に戻り、積層状態で貯湯タンク3の上部に高温の湯が貯えられる。
次に、タンクユニット1の構成について説明する。タンクユニット1には前述した通り貯湯タンク3を有しており、貯湯タンク3の底部には給水源から低温水を供給するための給水配管31が接続されており、常時給水圧がタンク内に掛かっている状態となっている。また、貯湯タンク3の上方部には貯湯タンク内の高温水を出湯するための出湯管32が接続されており、給湯端末や浴槽へ高温水を供給可能に構成している。
次に、給湯端末へ湯が供給される給湯回路について説明する。
本実施の形態における給湯回路は、給水配管31から分岐した端末給水配管33と、出湯管32とを電動式混合弁4にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁4の下流側に設けた温度センサ41で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコンで設定した温度となるように、電動式混合弁4の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、流量センサ等の流量検出手段43と流量調整弁等の流量調整手段44とを備えた給湯管路40を流れて、給湯端末42やシャワー45へ供給される。
次に、浴槽5への湯張り回路および追い焚き回路について説明する。
本実施の形態では、浴槽5内の湯水と、貯湯タンク3内の高温水とが追い焚き熱交換器6にて熱交換し、浴槽内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を有している。そのため、追い焚き熱交換器6の高温側回路は、貯湯タンク3内の高温水が供給されるように構成されており、熱交換した後の温水を貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。また、追い焚き熱交換器6の低温側回路は、浴槽5内の湯水が供給されるように構成されており、熱交換した後の浴槽水を、再度浴槽5へ戻すように構成されている。
高温側回路においては、追い焚きポンプ7および追い焚き熱交換器6の下流側に高温側出口温度検出手段である温度センサ71が配設されており、追い焚きポンプ7が駆動することによって貯湯タンク3内の高温水が、追い焚き熱交換器6へ搬送される。
そして、浴槽5のアダプタ51とタンクユニット1とは、接続部60a〜60dにおいて、戻り接続管61および往き接続管62で接続される。また、戻り接続管61および往
き接続管62の接続口から追い焚き熱交換器6までは、それぞれ戻り配管63および往き配管64で接続されており、浴槽5、戻り接続管61、戻り配管63、追い焚き熱交換器6、往き配管64、往き接続管62が順次接続されて追い焚き回路が構成されている。
また、貯湯タンク3から浴槽5への湯水の供給を行う湯張り回路は、出湯管32から分岐した風呂給湯管34と、給水配管31から分岐した風呂給水配管35とを電動式混合弁8にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁8の下流側に設けた温度センサ81で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコンで設定した温度となるように、電動式混合弁8の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、浴槽5へ供給される。
また湯張り回路には、流量センサ82が設けられており、浴槽5へ供給される湯水の量が計測される。さらに、二方向の電磁弁83が設けられており、湯張り開始時には、電磁弁83が開くと同時に、浴槽5への湯水の供給が開始される。そして電磁弁83が開いた後には、戻り配管63および往き配管64の二方向から浴槽5へと湯張りが行われる。また、汚水の逆流を防ぐための逆止手段84が設けられている。
また、戻り配管63には、浴槽5内の湯水を循環させるための搬送手段である風呂ポンプ65、浴槽5内の水位を検出する水位センサ66、浴槽5内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段である温度センサ67が設けられており、風呂ポンプ65が駆動することにより、浴槽5内の湯水が戻り配管63に吸い込まれ、追い焚き熱交換器6を経て、往き配管64へ流れ込み、再度浴槽5へ戻される。
また、風呂ポンプ65と追い焚き熱交換器6の間には、浴槽5内に湯水があるかどうかを検出する湯水検出手段であるフロースイッチ68が設けられており、オンすることで水の流れを検知可能に構成されている。つまり、フロースイッチ68がオンしたときには浴槽5内には湯水があると判断し、フロースイッチ68がオフの時には浴槽5内には湯水がないと判断される。
また、浴室には貯湯式給湯機の操作を行うことができる操作手段であり、浴槽5内の湯水の保温温度を設定する温度設定手段であるリモコン9が設置され、リモコン9を操作して、湯水の温度設定や風呂への湯張り、また設置工事後の試運転操作等を行う。リモコン9には情報を表示する表示部91および操作を行う操作部92を有している。
なお、図1には図示していないが、本実施の形態の貯湯式給湯機には、リモコン9からの指示を受け取り、各制御機器に命令する制御手段94も有している。そして制御手段94はマイコンおよびその電子制御部品で構成され、タンクユニット1を構成する機器に命令を送っている。
さらに、本発明のリモコン9には、人検知手段93が設けられており、人が浴室に入室したことを検知することができるようになっている。なお人検知手段93には、赤外線センサや、浴室内の照度を検出する照度センサ、また入室者の振動やドアの開閉を検出する衝撃(振動)センサなど様々なセンサを用いることができ、種類が特定されるものではない。
以上のように構成された貯湯式給湯機において、給湯使用時の節水運転について説明する。
使用者が給湯端末42やシャワー45を使用して機器が給湯を開始すると、給湯管路40の流量検出手段43が流量を検出する。使用者が使用流量を調節して流量検出手段43
の検出流量が安定したら、その流量を初期流量として制御手段94に学習する。
その初期流量に対し、制御手段94であらかじめ設定された所定の節水率(5%〜10%)にするための流量を演算し、流量調整手段44でその流量を中心に流量を所定の周期で変動させる。
これにより、台所使用やシャワー使用といった出湯先や使用目的に関係なく、機器単独で使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量(時間平均値)に制御することができ、その節水流量を中心に使用流量を大小に所定の周期で変動させることにより、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して節水している流量や流量の変動を不快に感じることなく(同等の感覚で)節水運転を行うことができる。
さらに貯湯式給湯機においては、タンクに貯めたお湯の使用量を減らすことができ、お湯を作るためのエネルギーの節約もできるとともに、タンクのお湯の湯切れの発生を抑えることができる。
また、使用者が節水運転をするかどうかは、常に節水運転をする、流量検出手段43の検出流量が所定の閾値以上の場合のみとする、リモコン9によりモード設定するというように使用条件にあった方法を選択することができる。
流量検出手段43の検出流量に所定の閾値を設けることにより、元々低流量で節水効果も小さい領域での使用においては、それ以上流量が減っては使用目的に合わなくなる使用域での節水運転を自動で中止することができ、使用者の使い勝手を優先することができる。
リモコン9でモード設定する場合には、操作部92に専用SWを設けたり、設定メニューから選択したりすることができ、使用者が自分の使用目的に対応して節水運転をするかどうかを選択することができるようになる。
また、節水率は一定の値を制御手段94にもたせたり、初期流量の学習値によって切り換えたり、リモコン9で設定したりすることもできる。また、節水運転中はリモコン9の表示部91にシャワーがゆれている表示を行い、節水運転を行っていることがわかるようにしたり、節水運転のモード表示をさせたりすることもできる。
また、台所での洗い物等の給湯使用では流量変動していると違和感があるため、浴室でのシャワー使用時にのみ節水運転を実施するよう、リモコン9の人検知手段93による人の検知と連動させて、節水運転による流量変動を行うようにすることができる。人の検知をしていない時は、節水流量への制御だけを行うという方法もできる。
図2は、節水運転時の給湯使用のフローチャートである。時間T1で使用者が給湯を開始し使用流量を調整し、時間T2で流量をRaに調整が終わり、機器の検出流量が安定する。流量が安定している状態を所定時間△T継続すると、その流量を初期流量Raとして学習し、Raに対して所定の節水率になる節水流量Rsを計算する。
所定の節水率をZ%とすると、Rs=Ra×(1−Z/100)となる。そして、△T経過後の時間T3より、その算出した節水流量Rsを中心に、所定の流量変動幅の振幅±dで変動の1周期が所定の時間Tsになるように流量を変動させる。
この場合、流量変動周期は1/TsHzとなる。流量変動周期は、短いと流量変動の上限・下限は感じにくく流量が減っているのはわかりにくいが、流量のゆれがせわしなくシ
ャワーを浴びていて落ち着きがなく体感的に快適性がなくなる。
逆に流量変動周期が長くなると、流量変動の上限・下限を感じやすくなり下限の低い流量の物足りなさを感じやすくなり流量的な体感が初期流量に対して劣っていると感じるようになる。このため流量変動周期は、体感試験の結果より流量変動幅に対して0.5〜3Hzの間で最適になるように1周期の時間Tsを設定する。
このように、節水流量Rsを中心に流量を変動させて制御することにより、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行うことができる。
例えば、初期流量Ra:10L/分、所定の節水率を10%、流量変動幅を±0.5L/分、1周期を0.5秒として節水運転を行うと、節水流量Rsは9L/分となり、流量変動の上限9.5L/分、下限8.5L/分の流量変動を周期1Hzで行うことになる。
図3〜図5は、使用条件(使用流量)が変わっても、流量変動の周期を所定の周期にするためのメカニズムを示したものである。グラフは、給湯管路40の流路面積を100%として、流量調整手段44で、その流路面積を変化させた場合の、流量調整手段44の流路面積割合と給湯流量の関係を示している。
グラフに示すように、使用条件(使用流量)によって、流量調整手段44の流路面積の変化に対する流量変化量が変わるため、同じ流路面積の変化量でも流量変動量は一定にならない。
流量調整手段44の流路面積の変化は、流量調整手段44に設けられ、前記流路面積を変化させる駆動装置の駆動量と比例する構成で、駆動装置は一般的によく使われるステッピングモータを使用して、流路面積10%変化させるのに、10パルス駆動させるものとして、基準制御位置から流量変動幅を2d変動させる場合で説明する。
図3は、流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置を一定の駆動速度で駆動した場合の動作である。使用条件Aに合せて周期が所定の周期が1/TsHzになるように流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置を駆動させると、流路面積を10%変化させる時間はTs/4で、駆動速度は40パルス/Tsとなる。この駆動速度で、使用条件Bでの流量変動を行うと、1周期の流路面積変化は30%となるため、1周期の時間は3Ts/4で、流量変動周期は1/TsHzにならない。使用条件Cの流量では1周期の流路面積の変化は20%となるため、1周期の時間はTs/2で流量変動周期は2/TsHzと2倍の周期になってしまう。
このように流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置の駆動速度を一定にすると、使用条件(使用流量、初期流量)が変化する中で、所定の流量変動幅を一定周期で動かすことができず、使用条件によって周期が変わってしまう。そのため、流量変動周期が短くなって、流量のゆれがせわしなくシャワーを浴びていて落ち着きがなく体感的に快適性がなくなったり、逆に流量変動周期が長くなり、流量変動の上限・下限を感じやすくなり下限の低い流量の物足りなさを感じやすくなり、流量的な体感が初期流量に対して劣っていると感じてしまったりする。
図4は、使用条件に合わせて、流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置の駆動速度を、それぞれが略同一周期となるように変更した場合である。使用条件A(使用流量小)の場合、周期を1/Tsにするには駆動速度は40パルス/Tsとなる。使用条件B(使用流量中)の場合、1周期の流路面積変化が30%で駆動パルスが30パルスであるので、駆動速度を30パルス/Tsとする。使用条件C(使用流量大)の場合は1周期
の流路面積変化が20%で駆動パルスが20パルスであるので、駆動速度を20パルス/Tsとして流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置を駆動させる。
このように、使用者が設定した初期流量に対する所定の節水率と所定の流量変動幅を実現するための、流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置の駆動量に対応して、前記駆動装置の駆動速度を変動させる(流量調整手段44の流路面積の変更速度を変える)ことにより、使用者が設定した使用したい流量(初期流量)に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、その節水流量となるように使用流量を大小に、体感的に快適な一定周期で変動させることにより、使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行える。
図5は、流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置の駆動方向を反転させる時(給湯管路40を流れる温水の流量の増減を逆転させる時)の停止時間を調整することで、使用条件(使用流量、初期流量)が変わっても流量変動の周期を所定の周期にするメカニズムを示したものである
例えば、よく使われる駆動装置であるステッピングモータは、駆動トルクや、共振周波数等で駆動速度をある範囲でしか変更できなかったり、制御系の制約により駆動速度が決まってしまうといったことがあり、駆動速度を簡単に変えることが出来ない場合があり、それに対応できる。駆動速度を使用下限の使用条件Aに対応して40パルス/Tsとする。この場合は初期の40%位置から下限位置まで駆動して反転して直ぐに初期位置まで戻るよう駆動する。
使用条件Bの場合は、駆動速度が40パルス/Tsに対して、1周期の駆動量は30パルスで、3Ts/4で動いてしまうため、所定の周期の1/Tsにするための1周期の時間Tsに対してTs/4短くなる。この分を下限位置から初期位置に向けて駆動方向を反転する時と、初期位置から下限位置に向けて駆動方向を反転する時で均等に停止させる。
これにより、1/Tsの周期で所定の流量変動幅2dで変動させることができる。同様に使用条件Cの場合は、駆動速度が40パルス/Tsに対して、1周期の駆動量は20パルスで、Ts/2で動いてしまうため、1周期の時間Tsに対してTs/2短くなる。この分を下限位置から初期位置に向けて駆動方向を反転する時にTs/4、初期位置から下限位置に向けて駆動方向を反転する時にTs/4停止させることで、流量変動の1周期の時間をTsにでき、1/Tsの所定の周期で所定の流量変動幅2dで変動させることができる。
このように各使用条件(使用流量、初期流量)に対する所定の節水率と流量変動幅を実現するための、流量調整手段44の流路面積を変化させる駆動装置の駆動方向を反転させる時(給湯管路40を流れる温水の流量の増減を逆転させる時)の停止時間を調整することにより、使用者が設定した使用したい流量に対して、所定の節水率になる節水流量に制御することができ、その節水流量となるように流量を大小に、体感的に快適な一定周期で変動させることにより、使用者が設定した初期の流量に対して不快に感じることなく節水運転を行える。
図6は、流量変動の上限流量を初期流量に設定した場合の節水運転時の給湯使用のフローチャートである。この場合、初期流量Raの学習により、所定の節水率Z%とするための節水流量Rsを算出するとともに、上限流量が初期流量Raであるので、流量変動幅の振幅をd=Ra×Z/100で算出できる。
これにより、流量変動の下限流量も計算することができる。これにより、流量変動の振幅を所定の固定値で持たせる場合には、流量が少ない場合には振幅の割合が大きく変動を
感じすぎたり、流量が多い場合には変動が感じられず、節水による流量低下を強く感じてしまったりということがあるが、このように初期流量に対して流量変動幅を決めることができれば、使用流量に対応した割合での流量変動の振幅を与えることができ、節水運転を不快に感じることなくできる。
また、流量変動の上限を必ず初期流量以上にすることができ、体感的に使用者が設定した初期の流量に対して不満に感じることなく、より同等に近い感覚で節水運転を行うことができる。
なお、初期流量が大きくなるとそれに対応して流量変動幅も大きくなることになるが、シャワー等の体感で流量変動の振幅があまりに大きくなると体感的に気になることもある。そのため、流量変動幅に上限を持たせて、初期流量がある流量以上になり計算上の流量変動幅が流量変動幅の上限値を超える場合は、設定した流量変動の上限振幅で流量変動を行うといった制御を入れることもできる。
図7は、リモコン操作により初期流量に対する節水率、流量変動の変動幅および変動周期を切り換えた場合の節水運転時の給湯使用のフローチャートである。リモコン操作で節水「大」モードと節水「小」モードを切り替えるものとする。
節水「大」モードの節水率を節水「小」モードの節水率Z%の倍とし、逆に1周期の時間は節水「大」モードのTs秒に対して節水「小」モードは2Ts秒としている。また流量変動の振幅は上限流量が初期流量になるように設定している。
節水「大」モードは節水率を大きくしそれに対応して流量変動の振幅も大きく取るが、流量の上限・下限を感じにくくするため周期を短くしている。節水「小」モードでは節水率を小さくして流量変動幅も小さく取るとともに、周期を長く取り流量変動をマイルドにしている。
使用者により、流量振幅の大きさや変動周期により使用時の快適性が異なるが、このように節水運転のモードを切り替えることにより、使用者が、使用目的、使用感と節水効果を考え自分に合った節水運転を行うことができる。またモード切替ではなく、リモコンの操作で、節水率や周期を変更できるようにすることも考えられる。
図8は、初期流量と節水運転の、節水率、流量変動の振幅の切り替えによる、各流量の変化の例である。節水「大」モードの節水率を10%、周期を2Hz、流量変動の上限振幅を±1L/分、節水「小」モードの節水率を5%、周期を1Hz、流量変動の上限振幅を±0.5L/分としている。また流量変動の振幅は節水「大」「小」どちらのモードも、上限流量が初期流量になるように設定している。
また、一般的に台所の食器洗いの適正流量は約5L/分、シャワーの適正流量は10L/分前後であるので、シャワー使用時の節水運転を想定して節水運転を行う閾値流量を6L/分とし、台所使用等の6L/分未満の低流量では流量変動運転を行わないようにしている。
節水「大」モードの10%節水の場合、流量が10L/分の時流量変動の振幅が1L/分となり流量変動の上限振幅となる。このため節水「大」の10%節水時は、初期流量10L/分以上は、振幅±1L/分、節水率は10%より小さくなり、初期流量10L/分未満では、振幅は初期流量の±10%、節水率は10%で運転する。
同様に節水「小」モードの5%節水の場合も、流量が10L/分の時に流量変動の振幅
が0.5L/分と流量変動の上限振幅となる。このため節水「小」の5%節水時は、初期流量10L/分以上は、振幅±0.5L/分、節水率は5%より小さくなり初期流量10L/分未満では、振幅は初期流量の±5%、節水率は5%で運転する。
このように、節水率や流量変動の振幅の切り替え、閾値、振幅の上限流量等を規定することにより、使用目的に合わせて節水運転を自動で選択するとともに、使用者が節水率と自分の体感に適した節水運転モードを選択することができ、使用感に不快を感じることなく節水運転を行うことができる。
図9は、浴室のリモコン9に設けた人検知手段93の人検出による節水運転の切り替えのフローチャートである。入浴していない、浴室に人が不在の状態では人検知手段93の検出はoffである。この状態で、台所で閾値流量以上のお湯を使用されても節水運転は行わないようにする。
時間Tnで入浴のために人が浴室に入ると、人検知手段93の検出がonになる。この状態でも、閾値流量以下の少量給湯使用時は節水運転を行わないようにしている。Tsでシャワー使用を開始され、水量センサの検出流量が、閾値流量以上の流量Raで安定すると、その流量を初期流量として学習し、節水運転を行うようにしている。
このように、浴室内の人の検出に対応して節水運転を行うことにより、特に大流量で使われる浴室でのシャワー使用時にのみ節水運転を行い、台所等で流量変動が気になる使用状態では節水運転を行わないことを自動で切り替えることができ、使用者に使用目的に対応して不快感を与えることなく節水運転を行うことができる。