JP5151643B2 - 澱粉製造排水の処理設備及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、澱粉製造排水の処理設備及び方法に関する。
下記特許文献1には、澱粉工場における澱粉製造排水の嫌気性処理方法が開示されている。澱粉工場における澱粉製造排水は、原料である馬鈴薯を磨砕しデカンタ(横型連続式遠心分離機)で澱粉を搾り取った後の汁液(一次デカンタ汁液)が主なものであり、高蛋白含有の排水である。上記嫌気性処理方法は、一次デカンタ汁液を加熱処理して蛋白を凝固分離する脱蛋白処理を行った後にメタン発酵処理(嫌気性処理)するものである。このような嫌気性処理方法によれば、メタン発酵原水の窒素濃度を従来よりも低下させることができるので、メタン生成菌の活性を低下させることなく、効率の良い澱粉製造排水処理を実現させることができる。
特許第3846131号公報
ところで、上記従来技術は、一次デカンタ汁液の処理としては有効であるが、二次デカンタ汁液の処理を考慮したものではなく、改善の余地がある。すなわち、澱粉工場では、澱粉の精製度を向上させるために、一次デカンタ汁液を分離して得られた澱粉に水を加えて再度遠心分離にかけることが行われるが、このような2回目の遠心分離によって発生する二次デカンタ汁液は、一次デカンタ汁液程ではないが高蛋白含有の排水である。
このような二次デカンタ汁液を上記従来技術に基づいて脱蛋白処理した一次デカンタ汁液と共にメタン発酵処理した場合、メタン発酵処理が安定しないことが確認された。また、二次デカンタ汁液を分離した後の澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水についても、メタン発酵処理が不安定になることが確認された。精製度の良い澱粉を製造する澱粉工場では、二次デカンタ汁液の発生は不可避であり、また二次デカンタ汁液が発生しない場合であっても低濃度蛋白排水の発生は不可避であり、よって一次デカンタ汁液だけではなく二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水をも含めた排水処理の安定化は、解決しなければならない重要な技術課題である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を安定してメタン発酵処理することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、澱粉製造排水の処理設備に係る第1の解決手段として、澱粉工場で発生する澱粉製造排水を処理する処理設備であって、澱粉製造排水である二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を所定の保持温度かつ保持時間だけ保持する溜置槽と、該溜置槽から排出される溜置済排水を発酵原液としてメタン発酵させる嫌気性処理槽と、該嫌気性処理槽の処理液を好気性処理する好気性処理槽とを備える、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理設備に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、澱粉製造排水の1つである一次デカンタ汁液に含まれる蛋白を凝固・析出させる蛋白析出槽と、該蛋白析出槽の処理液から凝固した蛋白を除去する固液分離手段とをさらに備え、溜置槽は、固液分離手段の分離液である脱蛋白一次デカンタ汁液を二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に混合する、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理設備に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、保持温度及び保持時間は、二次デカンタ汁液に含まれる酵素の活性が低下するための条件として設定される、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理設備に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、溜置槽では、二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水と脱蛋白一次デカンタ汁液とが保持温度となる割合で混合される、という手段を採用する。
また、本発明では、澱粉製造排水の処理方法に係る第1の解決手段として、澱粉工場で発生する澱粉製造排水を処理する方法であって、澱粉製造排水である二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を所定の保持温度かつ保持時間だけ保持する溜置工程と、該溜置工程から排出される溜置済排水を発酵原液としてメタン発酵させる嫌気性処理工程と、該嫌気性処理工程の処理液を好気性処理する好気性処理工程とを備える、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、澱粉製造排水の1つである一次デカンタ汁液に含まれる蛋白を凝固・析出させる蛋白析出工程と、該蛋白析出工程の処理液から凝固した蛋白を除去する固液分離工程とをさらに備え、溜置工程は、固液分離工程の分離液である脱蛋白一次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に混合する、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、保持温度及び保持時間は、二次デカンタ汁液に含まれる酵素の活性が低下するための条件として設定される、という手段を採用する。
澱粉製造排水の処理方法に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、溜置工程では、二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水と脱蛋白一次デカンタ汁液とが保持温度となる割合で混合される、という手段を採用する。
本発明によれば、澱粉製造排水である二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を所定温度で所定時間だけ保持した溜置済排水を発酵原液としてメタン発酵させるので、従来のようにメタン発酵が不安定となることがなく、安定したメタン発酵を実現することができる。したがって、本発明によれば、澱粉製造排水の安定処理を実現することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る澱粉製造排水の処理設備(澱粉製造排水処理設備)の機能構成を示すブロック図である。この図に示すように、本澱粉製造排水処理設備Aは、馬鈴薯を原料として澱粉を製造する澱粉工場内に設けられ、該澱粉工場内で発生する澱粉製造排水を処理する設備であって、蛋白析出槽1、固液分離器2、溜置槽3、嫌気性処理槽4、好気性処理槽5及びボイラ6を備えている。
ここで、本実施形態における澱粉製造排水は、一次デカンタ汁液X1、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3である。一次デカンタ汁液X1は、原料である馬鈴薯を磨砕してデカンタ(横型連続式遠心分離機)で澱粉を搾り取った後の汁液であり、高蛋白かつ有機成分を含んだ常温の液体である。二次デカンタ汁液X2は、上記デカンタから得られた澱粉に一次デカンタ汁液X1と略同量の水を加えて再度デカンタで澱粉を搾り取った後の汁液であり、一次デカンタ汁液X1よりも低いものの高蛋白かつ有機成分を含んだ常温の液体である。低濃度蛋白排水X3は、上記二次デカンタ汁液X2と分離された澱粉を精製する工程(澱粉精製工程)で発生する低濃度の蛋白質が溶け込んだ常温排水である。
蛋白析出槽1は、ボイラ6から供給される水蒸気を用いて一次デカンタ汁液X1を加熱(熱処理)することにより、当該一次デカンタ汁液X1に溶け込んでいる蛋白を凝固・析出させる。固液分離器2は、上記蛋白析出槽1の処理液から凝固した蛋白を除去し、分離液である脱蛋白一次デカンタ汁液X4を溜置槽3に供給する。この脱蛋白一次デカンタ汁液X4は、上記蛋白析出槽1で熱処理された一次デカンタ汁液X1から得られるものであり、80°C程度の温度を有する。
溜置槽3は、二次デカンタ汁液X2(常温)、低濃度蛋白排水X3(常温)及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4(約80°C)を所定の保持温度(例えば45°C)となる割合で混合した混合液を所定の保持時間(4H)だけ保持する所定容量の容器であり、当該保持後の溜置済排液X5を嫌気性処理槽4に供給する。この溜置槽3には、保持時間(4H)に亘って保持温度(例えば45°C)を維持するために補助熱源としての水蒸気がボイラ6から供給されている。上記保持温度及び保持時間は、詳細については後述するが、二次デカンタ汁液X2あるいは/及び低濃度蛋白排水X3に含まれる酵素の活性が低下するための条件として設定されたものである。
なお、上述したように二次デカンタ汁液X2(常温)、低濃度蛋白排水X3(常温)及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4(約80°C)の混合割合によって保持温度(例えば45°C)を実現する場合には、この混合割合によって二次デカンタ汁液X2、低濃度蛋白排水X3及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4の処理割合が規定されることになる。このような不都合を回避するために、二次デカンタ汁液X2、低濃度蛋白排水X3及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4を任意の割合で混合し、保持温度(例えば45°C)を水蒸気の供給量にって規定するようにしても良い。
また、図1では、1つの溜置槽3が記載されているが、溜置槽3の個数は複数あっても良い。溜置槽3を複数設ける場合には、各溜置槽3をバッチ運転することにより、略連続的に溜置済排液X5を嫌気性処理槽4に供給する。
嫌気性処理槽4は、上記溜置槽3から供給される溜置済排液X5を発酵原液とし、該溜置済排液X5に周知のメタン発酵菌を作用させることによりメタン発酵させるものである。好気性処理槽5は、上記嫌気性処理槽4の発酵処理液を空気を吹き込んだ状態で好気性処理し、その処理液を澱粉工場外の河川等に排出する。ボイラ6は、嫌気性処理槽4から得られるメタンガスを燃料として水蒸気を発生させるものであり、当該水蒸気を上記蛋白析出槽1及び溜置槽3に供給する。
次に、このように構成された本澱粉製造排水処理設備Aにおける澱粉製造排水の処理方法について詳しく説明する。
本澱粉製造排水処理設備Aでは、澱粉工場内で発生する各種の澱粉製造排水のうち、一次デカンタ汁液X1は、蛋白析出槽1及び固液分離器2を経由することにより脱蛋白一次デカンタ汁液X4として溜置槽3に供給されて所定の保持温度(例えば45°C)かつ保持時間(4H)に亘って保持される。この一方、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3は、蛋白析出槽1及び固液分離器2を経由することなく溜置槽3に直接供給されて上記脱蛋白一次デカンタ汁液X4と混同された状態で保持温度(例えば45°C)かつ保持時間(4H)に亘って保持される。そして、溜置槽3で保持条件で保持された混合液は、嫌気性処理槽4によってメタン発酵処理された後に好気性処理槽5で好気性処理されて無害化されて澱粉工場外に排出される。
このような一例の処理工程の中で、本澱粉製造排水の処理方法が最も特徴とするところは、二次デカンタ汁液X2、低濃度蛋白排水X3及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4を溜置槽3で所定の保持温度(例えば45°C)かつ所定の保持時間(4H)に亘って保持する点にある。このような保持温度及び保持時間からなる保持条件に基づく溜置済排液X5を嫌気性処理槽4でメタン発酵させることにより、メタン発酵菌の失活を防止し、安定したメタン発酵処理を実現することができる。
図2及び図3は、溜置槽3における保持効果を確認するための実験結果を示すグラフである。図2及び図3における「RUN1」は、二次デカンタ汁液X2、嫌気性処理槽4のメタン発酵処理水、希釈水(工水)及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4を各々同一量だけ混合した第1実験液に関する実験結果である。なお、第1実験液では、溶解性の蛋白質の影響のみを検討するためにメタン発酵原水に含まれる浮遊物質を事前に除去した。
また、「RUN2」は、二次デカンタ汁液X2を45°Cかつ4H(時間)だけ保持した後の溜置済排液、嫌気性処理槽4のメタン発酵処理水、希釈水(工水)及び酸性度を調整しない脱蛋白一次デカンタ汁液X4(=pH4.1)を各々同一量だけ混合した第2実験液に関する実験結果である。なお、この第2実験液では、溶解性の蛋白質の影響のみを検討するためにメタン発酵原水に含まれる浮遊物質を事前に除去した。
また、「RUN3」は、二次デカンタ汁液X2を45°Cかつ4H(時間)だけ保持した後の溜置済排液、嫌気性処理槽4のメタン発酵処理水、希釈水(工水)、また蛋白の凝固を抑制するために酸性度をpH4.1からpH6に調製した脱蛋白一次デカンタ汁液を各々同一量だけ混合した第3実験液に関する実験結果である。なお、この第3実験液では、溶解性の蛋白質の影響のみを検討するためにメタン発酵原水に含まれる浮遊物質を事前に除去した。
また、「RUN4」は、二次デカンタ汁液X2を45°Cかつ4H(時間)だけ保持した後の溜置済排液、嫌気性処理槽4のメタン発酵処理水、希釈水(工水)及び脱蛋白一次デカンタ汁液X4(pH4)を各々同一量だけ混合した第4実験液に関する実験結果である。なお、この第4実験液では、二次デカンタ汁液X2を上記条件で溜置した際に生成する固形物の影響を検討するためにメタン発酵原水に含まれる浮遊物質を事前に除去していない。
図2(a)は、上記RUN1及びRUN3に関する二クロム酸カリウムによるCODCr(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)容積負荷(COD容積負荷)及びガス発生量の時間変化を示すグラフである。図2(b)は、RUN1及びRUN3に関する原水SCOD、処理水SCOD及びSCODCr除去率の時間変化を示すグラフである。図2(c)は、RUN1及びRUN3に関する処理水VFA(有機酸濃度)の時間変化を示すグラフである。図2(d)は、RUN1及びRUN3に関するリアクタ温度(反応温度)の時間変化を示すグラフである。
図3(a)は、上記RUN2及びRUN4に関する二クロム酸カリウムによるCODCr容積負荷(COD容積負荷)及びガス発生量の時間変化を示すグラフである。図3(b)は、RUN2及びRUN4に関する原水SCOD、処理水SCOD及びSCODCr除去率の時間変化を示すグラフである。図3(c)は、RUN2及びRUN4に関する処理水VFA(有機酸濃度)の時間変化を示すグラフである。図3(d)は、RUN2及びRUN4に関するリアクタ温度(反応温度)の時間変化を示すグラフである。
これら図2及び図3に示す実験結果のうち、特に図2(c)と図3(c)の実験結果を見ると、RUN1では処理水VFAが高い値を示すが、RUN2〜4では処理水VFAが低い値に維持されることが分かる。この事実は、二次デカンタ汁液X2を45°Cかつ4H(時間)だけ保持するという保持条件がメタン発酵を安定化させるための最小限の必要条件であることを示している。
さらに、図4は、上記保持条件を変更した場合における浮遊物質の量(SS値)の実験結果を示す表である。図4(a)は、RUN2について保持温度を35°C,45°C,55°C,65°Cに、かつ保持時間を1H,4H,10Hにそれぞれ設定した場合のSS値を示し、図4(b)は、RUN3について保持温度を35°C,45°C,55°C,65°Cに、かつ保持時間を1H,4H,10Hにそれぞれ設定した場合のSS値を示している。
図4(a)は、保持温度が上昇する程、また保持時間が長くなる程にSS値が大きくなることを示し、図4(b)は、保持温度、また保持時間に係りなくSS値が比較的安定していることを示している。図4(a)は、45°Cかつ4H(時間)という保持条件を越える保持温度及び保持時間は、SS値が上記保持条件のSS値(214mg/L)を超える値となっているので、上記保持条件よりもメタン発酵を安定化させるものと考えられるが、澱粉製造排水の処理効率の観点から保持温度及び保持時間を増加させることは好ましくないので、45°Cかつ4H(時間)という保持条件は実用的に有用な条件である。
次に、このような実験結果については、以下のような論理的説明が考えられる。
すなわち、メタン発酵の阻害要因としてL-dopaやDopa-キノンが知られているが、これらL-dopaやDopa-キノンは、チロシンにチロシナーゼ(酵素)が作用してチロシンを酸化することによって生成される。上記チロシンは、天然アミノ酸として知られるものであり、澱粉工場の原料である馬鈴薯に含まれている。また、チロシナーゼも馬鈴薯に含まれている酵素の1つである。
上記脱蛋白一次デカンタ汁液X4は、一次デカンタ汁液X1を加熱することによって蛋白質成分を分離除去したものであり、よってチロシン及びチロシナーゼの含有量は極めて少ないと思われる。したがって、従来技術では、上記脱蛋白一次デカンタ汁液X4に相当するデカンタ汁液を安定してメタン発酵処理することが可能であった。しかしながら、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3は熱処理されていないので、チロシナーゼについては、脱蛋白一次デカンタ汁液X4よりも多く含んでおり、またチロシンは脱蛋白一次デカンタ汁液X4と同等かあるいはそれ以上を含んでいる。
このようにチロシン及びチロシナーゼを比較的多く含む二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3を上記保持条件で溜置槽3に保持することにより、チロシナーゼが失活するかあるいは/及びチロシナーゼが熱変性してチロシナーゼの酵素としての活性が低下すると推測される。幾つかの公知文献には、チロシナーゼは38°Cを越える温度領域において活性が低下することが報告されている。したがって、上記保持条件は、定性的には、二次デカンタ汁液に含まれる(チロシナーゼ)酵素の活性が低下するための条件として設定されべきものと考えることができる。
このような本実施形態によれば、二次デカンタ汁液に含まれる(チロシナーゼ)酵素の活性が低下するための保持条件、例えば45°Cかつ4H(時間)という保持条件で二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3を溜置槽3に保持して得られる溜置済排液X5を嫌気性処理槽4でメタン発酵処理するので、安定したメタン発酵処理を実現することが可能であり、結果として澱粉製造排水の安定処理を実現することが可能である。
また、本実施形態によれば、常温の二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3に約80°Cの脱蛋白一次デカンタ汁液X4を混合することにより上記保持温度を実現するので、澱粉製造排水の処理におけるエネルギ効率が良い。例えば、常温の二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3を加熱処理してチロシナーゼの活性を低下させる場合には、別途熱源が必要であり、澱粉製造排水の処理におけるエネルギ効率が悪い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態における45°Cかつ4H(時間)という保持条件は、あくまで一例であり、二次デカンタ汁液に含まれる(チロシナーゼ)酵素の活性が低下するための保持条件であれば他の保持温度あるいは/及び保持時間であっても良い。
上述したように、チロシナーゼは38°Cを越える温度領域において活性が低下することが報告されているので、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3を少なくとも38°Cの温度で任意の時間保持することにより、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3内のチロシナーゼは活性が低下し、L-dopaやDopa-キノンの生成が抑制されてメタン発酵が安定する傾向となる。
(2)上記実施形態では、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3に脱蛋白一次デカンタ汁液X4を混合させた混合液を上記保持条件で溜置槽3に保持するようにしたが、二次デカンタ汁液X2及び低濃度蛋白排水X3のみを溜置槽3に保持するようにしても良い。また、例えば二次デカンタ汁液X2が発生しない澱粉工場においては、低濃度蛋白排水X3のみを、あるいは脱蛋白一次デカンタ汁液X4と低濃度蛋白排水X3との混合液を上記保持条件で溜置槽3に保持するようにしても良い。
本発明の一実施形態に係わる澱粉製造排水の処理設備の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係わる澱粉製造排水の処理方法の効果を確認するための実験結果を示す第1のグラフである。 本発明の一実施形態に係わる澱粉製造排水の処理方法の効果を確認するための実験結果を示す第2のグラフである。 本発明の一実施形態に係わる澱粉製造排水の処理方法において、保持条件を変更した場合における浮遊物質の量(SS値)の実験結果を示す表である。
符号の説明
1…蛋白析出槽、2…固液分離器、3…溜置槽、4…嫌気性処理槽、5…好気性処理槽、6…ボイラ、X1…一次デカンタ汁液、X2…二次デカンタ汁液、X3…低濃度蛋白排水、X4…脱蛋白一次デカンタ汁液、X5…溜置済排液

Claims (6)

  1. 一次デカンタ汁液、二次デカンタ汁液及び低濃度蛋白排水が澱粉製造排水として発生する澱粉工場の前記澱粉製造排水を処理する処理設備であって、
    前記澱粉製造排水である二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を当該二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に含まれる酵素の活性が低下するための条件として設定された保持温度かつ保持時間だけ保持する溜置槽と、
    該溜置槽から排出される溜置済排水を発酵原液としてメタン発酵させる嫌気性処理槽と、
    該嫌気性処理槽の発酵処理液を好気性処理する好気性処理槽と
    を備えることを特徴とする澱粉製造排水の処理設備。
  2. 前記澱粉製造排水の1つである一次デカンタ汁液に含まれる蛋白を凝固・析出させる蛋白析出槽と、
    該蛋白析出槽の処理液から凝固した蛋白を除去する固液分離手段とをさらに備え、
    前記溜置槽は、前記固液分離手段の分離液である脱蛋白一次デカンタ汁液を二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に混合して保持する
    ことを特徴とする請求項1記載の澱粉製造排水の処理設備。
  3. 前記溜置槽では、二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水と脱蛋白一次デカンタ汁液とが保持温度となる割合で混合されることを特徴とする請求項2記載の澱粉製造排水の処理設備。
  4. 一次デカンタ汁液、二次デカンタ汁液及び低濃度蛋白排水が澱粉製造排水として発生する澱粉工場の前記澱粉製造排水を処理する方法であって、
    前記澱粉製造排水である二次デカンタ汁液あるいは/及び澱粉の精製工程で発生する低濃度蛋白排水を当該二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に含まれる酵素の活性が低下するための条件として設定された保持温度かつ保持時間だけ保持する溜置工程と、
    該溜置工程から排出される溜置済排水を発酵原液としてメタン発酵させる嫌気性処理工程と、
    該嫌気性処理工程の処理液を好気性処理する好気性処理工程と
    を備えることを特徴とする澱粉製造排水の処理方法。
  5. 前記澱粉製造排水の1つである一次デカンタ汁液に含まれる蛋白を凝固・析出させる蛋白析出工程と、
    該蛋白析出工程の処理液から凝固した蛋白を除去する固液分離工程とをさらに備え、
    前記溜置工程は、前記固液分離工程の分離液である脱蛋白一次デカンタ汁液を二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水に混合する
    ことを特徴とする請求項4記載の澱粉製造排水の処理方法。
  6. 溜置工程では、二次デカンタ汁液あるいは/及び低濃度蛋白排水と脱蛋白一次デカンタ汁液とが保持温度となる割合で混合されることを特徴とする請求項5記載の澱粉製造排水の処理方法。
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