JP5150405B2 - 多層プラスチック燃料タンクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ガソリン等のハイドロカーボンやアルコール等を収容する多層プラスチック燃料タンクに関し、詳しくは自動二輪車の燃料タンクや、耕耘機、芝刈り機、発電機、草刈り機、運搬機、高圧洗浄機等に使用される燃料タンクに関する。
プラスチック製の燃料タンクは、軽量化や低コスト化の要請から自動車や自動二輪車に多く適用されている。
樹脂系材料は、材料によっては、燃料タンクに収容されたガソリン等のハイドロカーボンやアルコール等が透過するおそれがある。そこで従来から、構造強度やコストを維持しつつ、前記物質の透過を防止するために、多くの多層プラスチック燃料タンクの技術が開発されている。
例えば、ブロー成形によって、高密度ポリエチレン層、接着材層、ポリアミド層、接着材層および高密度ポリエチレン層の3種5層からなる燃料タンクによって、ガソリンの透過量を低減する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
また、2層構造で、一の層は機械的強度の高い高密度ポリエチレン層などの樹脂、他の層は機械的強度が高い母材にガソリン等のハイドロカーボンに対する透過阻止率が高いポリアミド系の樹脂を分散させた多層樹脂構造体に関する技術が公開されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−345824号公報 特開2005−246673号公報
しかしながら、前記した3種5層からなる燃料タンクは、接着性が悪いポリアミド層を中間層に含むとともに、二つの接着層の接着工程が含まれるため、生産性の向上を図ることが難しく、また積層構造に対する信頼性も低下するおそれがある。
次に前記した2層構造における他の層のガソリン等のハイドロカーボンの透過阻止は、バリア体であるポリアミド系の樹脂の配置に依存している。すなわち、このポリアミド系樹脂は、高い透過阻止機能を有しており、強化層の厚み方向に進んだガソリン等のハイドロカーボンは、バリア体に到達すると、バリア体を迂回するため、浸入経路が実際の厚みと比較して長大となる。このように母材の厚さがあたかも実際の厚さより大幅に厚くなったような状況となる(例えば、特許文献2参照)。
かかる構成は、透過抑制に極めて高い貢献を示すが、実際にバリア材を適正に分散させる具体的な方法に対する示唆が開示されていない。一般に、従来技術(例えば、特許文献2 明細書段落[0024])で開示されているブロー成型では、ポリアミドシートが一様に平面方向に配設されないおそれがある。例えば、成型時に延伸される部分においては、ポリアミドシートが厚さ方向に立ったような状態となることが想定され、平面的に隙間無く配設すること、換言すれば、この2層構造の積層体を平面視したとき、バリア体が全面を被うように、厚み方向に重畳させて分散させることを具体的に実践することは困難であった。
この現象は、ブロー成形におけるスウェル・ドローダウンの影響が大きい。スウェルとは、パリソン(ブロー成形によって成形された容器やパイプ)の直径と肉厚が増大する現象である。ドローダウンとは、パリソンの自重により、パリソンが引き伸ばされる現象のことである。実際の成形においてはこの2つの現象が混在してパリソンが形成されるためパリソンの形状が不均一になり成形品肉厚分布に大きく影響している。そして、前記したようにポリアミドシートが平面視で隙間無く配設されることも困難となるおそれがある。
かかる課題を鑑み、本発明は、ガソリン等のハイドロカーボンやアルコール等の透過阻止の信頼性を高めるとともに、構造的、強度的にも安定した多層プラスチック燃料タンクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、高密度ポリエチレンからなる第1シートと、高密度ポリエチレンおよびバリア体からなる第2シートと、高密度ポリエチレンからなる第3シートとを少なくとも備える多層プラスチック燃料タンクの製造方法であって、溶融押出法により、前記第1シートと前記第2シートと前記第3シートとをこの順で積層するとともに、この際、前記バリア体をなす板状の複数のポリアミドシートを前記高密度ポリエチレン内で重ね合わせることで、前記複数のポリアミドシートを平面視で前記第2シートの全面を被うように前記第2シートの厚み方向に重畳して配設し、積層した前記第1シートと前記第2シートと前記第3シートとを、真空成型法により、複数のパーツに成形し、成形された前記複数のパーツの縁部を、当該縁部を互いに当接させるように加熱および加圧することで溶着することを特徴としている。
かかる構成によって、溶融押出法で形成され、中間層に積層された第2シートを第1シート側もしくは第3シート側から見ると(平面視すると)、仮に各シートに使用される高密度ポリエチレンが透明であるとした場合、積層された複合シート全面をポリアミドシートが被っており、見かけ上複数のポリアミドシートが隙間無く配設されたシートになる。
すなわち、実際は複数の小さなポリアミドシートが複合シートの厚さ方向(側面)に重畳しているが、平面視では隙間なく配設されている。ポリアミドを透過することができないハイドロカーボンは、ポリアミドシートを回り込むため、通過のための距離が長くなり、ハイドロカーボンの透過抑制作用が高くなる。
さらに、第2シートの母材に高密度ポリエチレンを適用することによって、すべてのシートが同材料となるため、接着材層を設けることなく、真空成型法によって多層構造体を形成することができる。
ポリアミドを含んだ高密度ポリエチレンは、ポリアミドの含有量が増加するとともに、引張や衝撃等の特性が脆くなる傾向がある。しかし、前記構成によれば、3層構造として両外側面を高密度ポリエチレンの層とすることにより、厚さ方向に対称な配列となり、強度特性や弾性係数などが安定した構造体とすることができる。
また、本発明は、前記した構成に加えて、前記第1シートと前記第2シートとの間または/および前記第2シートと前記第3シートとの間には、さらに再生材層が介在されるようにしてもよい。ここで、前記再生材層は、前記第1シートと前記第2シートが裁断等の加工がされたときに生ずる破片等であることが好ましい。
再生材層は、シート裁断などの端切れ等であり、本来廃棄されていたものである。この再生材層を利用することにより、材料の無駄を減らすことができる。さらには、同じ材料の細かいバリ等の破片を再生材層とすることにより、各層はすべて高密度ポリエチレンが母材となることから、特許文献1に記載された通常の接着層とは異なり、溶着によって積層間が強く結びつけられ、信頼性の高い積層構造となる。そして、第1シートと第2シートおよび第2シートと第3シート間に強度部材となる高密度ポリエチレンを任意に付加することができるので、シート全体としての強度を容易に調整することが可能となり、安定した構造強度を提供することができる。
前記第2シートは、微細な無機充填材をさらに加えて、前記溶融押出法により、前記高密度ポリエチレンに重ね合わされて形成することが好ましく、前記無機充填材は、層状珪酸塩が好適である。
ナノオーダー(100nm以下)の微細な無機充填材、いわゆるナノコンポジットを第2シートに混合することにより、ハイドロカーボン等の透過防止性をさらに高めることができる。無機充填材としての層状珪酸塩は、母材である高密度ポリエチレンの追従性、流動性を向上させ、ポリアミドシートが一様に配設されやすくする。
前記溶融押出法は、Tダイ押出法が好適であり、前記真空成型法は、プラグアシスト法が好適である。
Tダイ押出法は、シートの幅や厚みを調整することが容易であり、生産性の向上に貢献する。そして、プラグアシスト法は、シート状に形成された各シートを、積層された複合シート内の状態を維持したまま、最終形状に成型できるため、所望の形状を有するタンクを供給することができる。このため、ポリアミドシートの方向性が変わることもなく、透過防止機能を損なうおそれが少なくなる。
本発明は、ガソリン等のハイドロカーボンやアルコール等の透過阻止の信頼性を高めるとともに、構造的、強度的にも安定した多層プラスチック燃料タンクを提供することができる。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本実施形態の積層構造を表す側断面図であり、図2はこの積層構造を面と直交する方向から見た平面図である。なお、図1および図2において、平面方向をXおよびY、厚さ方向をZとして説明する。
図1に示すように、本実施形態は、Z方向に積層された高密度ポリエチレン11からなる第1シート10と、高密度ポリエチレン21およびポリアミドシート(バリア体)22からなる第2シート20と、高密度ポリエチレン31からなる第3シート30と、から構成されている。ポリアミドシート22を含む第2シート20の母材にも高密度ポリエチレンが使われているため、すべてのシートに共通して高密度ポリエチレンが使用されている。このため、特に接着層を設けることなく、各シートは後記する真空成型法によって溶着される。
母材となる高密度ポリエチレンは、アルコールや水に対する好適なバリア材となるとともに、比強度が優れることから軽量化を図ることができ、またコストも低い。ただし、ガソリン等のハイドロカーボンが材料を透過し、しみ出すという問題があり、高密度ポリエチレンの層だけの燃料タンクでは、例えばカリフォルニア大気資源委員会(CARB California Air Resources Board)のSORE(Small Off−Road Engines)タンクに対する蒸散エミッション(透過エミッション)試験を実施したところ、80cc以上225cc未満のエンジンの燃料タンクに対する燃料透過基準である1.5g/m/day未満(2012年に適用予定)を満たすものではなかった。
なお、燃焼透過基準にはアメリカ合衆国の環境政策全般を担当する行政組織であるアメリカ合衆国環境保護庁(EPA)における自動二輪車と汎用のエンジンの燃料タンクに対する燃料透過基準もあるが、前記したCARBによる透過基準の方が厳しいものとなるため、本実施形態の評価ではCARBの透過基準を適用している。
第2シート20は、母材となる高密度ポリエチレン21の中に複数の薄板状のポリアミドシート22が面方向に配設されている。ポリアミドシート22は、図1に示すように、Z方向の実線矢印HCを遮蔽するように、第2シート20の厚さ(Z)方向に重畳して配設されている。この状態を平面視(X,Y方向)すると、図2に示すように、複数のポリアミドシート22が隙間無く配設されていることが分かる。なお、図2では、高密度ポリエチレンが透明であると仮定した場合について模式的に示している。かかる構成により、ポリアミドを透過することができないハイドロカーボン(例えば、図1の実線矢印HC)は、図1の破線矢印hcのようにポリアミドシート22を回り込むため、通過のための距離が長くなり、ハイドロカーボンの透過を抑制する。
本実施形態の第2シート20の一実施例によれば、第1シートに相当する1mmの高密度ポリエチレンの層と1mmの第2シートを溶着した積層を有するタンク供試体に対して、前記したCARBに基づく透過試験を実施したところ、試験結果は、約1〜1.2g/m/dayであり、1.5g/m/day未満の基準を満足するものであった。従って、さらに第3シートに相当する高密度ポリエチレンの層を溶着した本実施形態の場合であっても、透過を抑制する機能が基準を満足するものとなることは言うまでもない。一方、比較例として実施した厚さ3mmの高密度ポリエチレンのみの層を有するタンク供試体では、透過量は約5g/m/dayとなり、基準を満たさないものであった。
このように、本実施形態にかかる第2シート20のハイドロカーボン等の透過を抑制する機能は、優れたものとなる。
次に第2シート20の形成について説明する。前記第2シートは、前記バリア体として薄板状の多数のポリアミドシートを、溶融押出法により、前記高密度ポリエチレン内に重ね合わされて形成される。
溶融押出法は、熱可塑性樹脂をフィルム化する一般的な方法である。溶融押出法は、合成樹脂の射出成型法と同様に、熱可塑性樹脂をシリンダ内で加熱し、その後スクリューで加圧する。溶融状態となった樹脂は、押出用の金型から吐出され、最終的に冷却されて所望の形状に成型される。
溶融押出法には、インフレーション法、Tダイ押出法、共押出法などがあり、本実施形態では、Tダイ押出法による共押出を採用している。かかる成型方法によって、複数の素材を一度に押し出して重ね合わせることができる。そして、加熱、加圧および異なる素材同士を重ね合わせる位置、重ね合わせるときの素材の厚さ等の条件を調整することによって、成型時の異なる素材の位置関係を設定することが可能となる。
本実施形態における第2シート20は、Tダイ押出法による共押出によって、図1および図2に示したように、多数のポリアミドシート22が、平面視で第2シート20の全面を被うように、第2シート20の厚み方向(Z方向)に重畳して配設されたシートに成型されている。
かかる成型法を適用することによって、本実施形態は、前記したブロー成形による問題であるスウェル・ドローダウンの影響をなくしている。また、外観不良や強度不足の原因となる2つの樹脂の流れの合流部分に発生する線状の模様であるウェルドラインの発生を防止し、ポリアミドシート22を適正に配設することができる。樹脂の不完全な融合によるウェルドラインの発生防止は、後記する真空成型法によって溶着されたピンチ部の強度不足発生を防止することができる。
次に第1シート10,第2シート20および第3シート30の積層と成型について説明する。第1シート10と、第2シート20と、第3シート30は、この順で積層され、真空成型法により形成される。それぞれのシート10,20,30の母材はすべて熱可塑性樹脂である高密度ポリエチレンであり、真空成型法による加熱、真空引きによる吸着によって、各層は溶着され、あえて接着層を設ける必要はない。
ポリアミドシート22が混入された高密度ポリエチレン21である第2シート20は、高密度ポリエチレン11,31のみの第1シート10、第3シート30と比べ、引張や衝撃等の特性が脆くなる傾向にある。これは含有されるポリアミドの影響によるものである。従って、透過防止効果を高めるためにポリアミドの量を増やせば、引張や衝撃等の特性が脆くなり、さらには高密度ポリエチレンなどの他層との溶着部分の強度も低下するおそれがある。
さらに、第2シート20を外表面の露出した部分に使用すると(例えば、特許文献2参照)、複雑な形状が必要な部分や、タンクの取り付け部や、成型時の突き合わせ部(ピンチ)などで、強度不足や接着力の不足に起因して、剥離、亀裂、破断等の不具合を発生するおそれがある。
しかし、本実施形態の構成によれば、第2シート20を高密度ポリエチレンの第1シート10と第3シート30とでサンドイッチする形態としており、第2シート20が外表面に露出しないため、ポリアミドシート22の露出もない。積層の強度に関して述べれば、両外層の高密度ポリエチレン11,31に負荷を受け持たせることができるため、構造設計が容易となる。また、ブロー成型におけるスウェル・ドローダウンがないこと、ウェルドラインが発生しないことから、接合面での剥離や表面の亀裂、破断等の不具合の発生の可能性は少なくなる。
さらには、シート状に形成された各シートを真空成型法によって、最終形状に成型するため、積層された複合シート内の状態を維持したまま、所望の形状を有するタンクを供給することができる。このため、ポリアミドシートの方向性が変わることなく一様に配設され、透過防止機能を損なうおそれが少なくなる。
その他、前記したように、基本的な効果として、高密度ポリエチレンはアルコールや水の透過を防止することができる。
真空成型法は、シート状の熱可塑性樹脂を加熱軟化させ、金型に明けられた穴から空気を吸い出し、前記シート状の樹脂を吸着して成型するものであり、安価な設備で大型の成型品を形成することが可能となる。真空成型法には、ストレート法、ドレーブ法、プラグアシスト法などがあり、本実施形態では、プラグアシスト法を適用している。
プラグアシスト法は、凸状のプラグに固定されたシートを加熱軟化させ、プラグでメス型に押し当てた後に、真空引きを行い、メス型の内面にシートを吸着させる。
本実施形態では、プラグアシスト法によって、燃料タンクを構成する複数のパーツを形成し、パーツ同士を当接もしくは突き合わせを行った後、加熱・加圧することで、溶着を行っている。その後、冷却することで燃料タンクが完成する。
図3は、本実施形態の真空成型法による成型工程図の一例である。以下、図3に従って、簡単に成型工程を説明する。最初に、第1シート、第2シートおよび第3シートは積層され、金型とプラグとの間に投入され、加熱される(S01 シート投入、加熱)。金型とプラグは、上下から積層された各シートを押圧し、真空引きを行い、メス型の金型の内面にシートを吸着させる(S02 プラグアシスト成型)。ここで、燃料タンクの部品の一次成型が完了する(S03 一次成型完了)。なお、図3では、燃料タンクが二つのパーツ(部分)を結合して成形するものとしており、縁部を有した二つの開口した容器状の部品が一次成型されている。
次に、燃料タンクの内部に配設される部品が、一方の部品の凹部に備えられる(S04 部品インサート)。そして、縁部が当接するように二つの部品を上下から押圧し、加熱した後、冷却することによって、縁部が溶着される(S05 溶着、冷却)。最後に、成型された燃料タンクは、プラグと金型とから離型され、成型は完了する(S06 離型、成型完了)。
かかる方法で形成された燃料タンクは、外表面にポリアミドシートが露出することはなく、また、最外層は高密度ポリエチレン同士が溶着されることになるので、ピンチ部の強度が低下することもなく、構造的な信頼性を高めることができる。また、すべてをシート材料として、プラグアシスト法を適用することによって、量産化、低コスト化を図れ、生産性が向上するとともに、品質も安定する。
本実施形態の一実施例について、構造強度的な確認として落下試験を行った。比較例として、第2シートと同じポリアミドシートが混入された高密度ポリエチレンをブロー成形で形成した同型の燃料タンクを供試した。
比較例は、破損、漏れが観測され、ピンチ(突き合わせ)部に破損が生じ、漏れが観測された。これは、前記したブロー成型におけるスウェル・ドローダウン、ウェルドライン発生の影響が大きいと推定される。
実施例については、一つの供試体に対して2度の落下試験を行っても、破損や液漏れは観測されなかった。
以上から、本実施形態は、この落下試験の試験形態においては、比較例と比較して十分な構造強度を有することが確認できた。このことは、本実施形態のように3層構造であっても、各層が確実に溶着されており、さらに外側2層が強度メンバーとなるため、構造的に安定し、荷重が負荷されたときの変形も複雑とはならないためと推定される。
特にこの構造の強化傾向は、比較例において破損が生じたピンチ部において顕著であり、ポリアミドシートが含まれない最外層同士がプラグアシスト法によって溶着されているピンチ部(図1を参照すれば、一の積層構造体の第1シート10と他の積層構造体の第1シート10との結合部、および、一の積層構造体の第3シート30と他の積層構造体の第3シート30との結合部、であるピンチ部が相当する)の耐衝撃性を向上させている。加えて、同材料で、比強度も高く、かつ溶着性が高い材料を溶着させているため、安定した生産、成形工程を提供することができる。また、参考例と比べて、本実施形態は、コストの低減を図ることができる。
[第2実施形態]
次に図を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、図1と同様な方向から見た積層構造を表す側断面図である。
第2実施形態は、第1実施形態と異なり、第1シート10と第2シート20との間に第1再生材層15が配設され、第2シート20と第3シート30との間に第2再生材層25が配設されている。なお、その他の構成や成型法については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
再生材とは、前記したように、シート裁断などの端切れ等であり、本来廃棄されていたものである。この再生材層を利用することにより、材料の無駄を減らすことができる。
本実施形態では、第1シート10や第3シート30の端材である細かいバリ等の破片を適用している。かかる構成により、各層はすべて高密度ポリエチレンが母材となることから、通常の接着層とは異なり、溶着によって積層間が強く結びつけられ、信頼性の高い積層構造となる。
ここで、前記したように再生材は端材であり、ひとつ一つの小片、細片が集まって構成されている。したがって、再生材層15,25に適用される小片に注目すると、他のシートと比べ、体積あたりの表面積が大きくなり、真空成型法による成型時に熱が伝わりやすく溶融しやすい。このように再生材層15,25の溶融の進み方が早いため接着材層を設けるのと同様な作用効果を得られる。
そして、第1シートと第2シート間および第2シートと第3シート間に強度部材である高密度ポリエチレンを任意に付加することができるので、シート全体としての強度を容易に調整することが可能となり、安定した構造強度を提供することができる。
[第3実施形態]
次に図を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図5は、図1と同様な方向から見た積層構造を表す側断面図である。
第3実施形態は、第1実施形態とほぼ類似した積層構造を有しているが、第2シート120に微細な無機充填材である層状珪酸塩40が混入されていることが異なっている。なお、その他の構成や成型法については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第2シート120は、ポリアミドシート22とともに微細な無機充填材である層状珪酸塩40が加えられ、溶融押出法により、高密度ポリエチレン21に重ね合わされて形成される
図4では、層状珪酸塩40をかなり大きな黒丸で表記しているが、実際はナノオーダー(通常100nm以下)の大きさの微粒子である。
熱可塑性樹脂組成物には、物性改良あるいは経済上のメリットから充填材を配合することが好ましい。層状珪酸塩40の他にも好適な充填材があり、例えば、クレー、シリカ、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の麟片状無機充填材があり、その他にも、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、カーボンブラック、粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等を配合することが可能となる。
さらに、ナノコンポジットとして微細な無機充填材を混合することにより、ハイドロカーボン等の透過防止性を高めることができる。
無機充填材として層状珪酸塩を適用することは、母材である高密度ポリエチレンの形成時の追従性、流動性を向上させ、ポリアミドシートが一様に配設されやすくすることにも貢献している。
以上、本発明について好適な実施形態を説明した。本発明は、図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。例えば、各シートの厚さは、燃料タンク容器としての構造的な負荷に応じて、適宜設定される。また、溶融押出法や真空成型法の工程の諸条件は、使用する生産機械の機能や、上述のシート厚さ等から、適宜設定される。
本発明の第1実施形態の積層構造を表す側断面図である。 本発明の第1実施形態の積層構造を面と直交する方向から見た平面図である。 本発明の第1実施形態の真空成型法による成型工程図の一例である。 本発明の第2実施形態の積層構造を表す側断面図である。 本発明の第3実施形態の積層構造を表す側断面図である。
符号の説明
10 第1シート
11,21,31 高密度ポリエチレン
15,25 再生材層
20,120 第2シート
22 ポリアミドシート
30 第3シート
40 層状珪酸塩

Claims (6)

  1. 高密度ポリエチレンからなる第1シートと、高密度ポリエチレンおよびバリア体からなる第2シートと、高密度ポリエチレンからなる第3シートとを少なくとも備える多層プラスチック燃料タンクの製造方法であって、
    Tダイ押出法により前記第2シートを形成し、この際、前記バリア体をなす板状の複数のポリアミドシートを前記高密度ポリエチレン内で重ね合わせることで、前記複数のポリアミドシートを平面視で前記第2シートの全面を被うように前記第2シートの厚み方向に重畳して配設し、
    前記第1シートと前記第2シートと前記第3シートとをこの順で積層するとともに加熱し、真空成型法により成型して複数のパーツを形成し、
    最外層の高密度ポリエチレン同士を溶着させるように、前記複数のパーツの縁部を互いに当接させて加熱および加圧し、前記複数のパーツを一体化させることを特徴とする多層プラスチック燃料タンクの製造方法。
  2. 前記第1シートと前記第2シートとの間または/および前記第2シートと前記第3シートとの間、さらに再生材層介在させることを特徴とする請求項1に記載の多層プラスチック燃料タンクの製造方法
  3. 前記再生材層の素材として、前記第1シートと前記第2シート加工たときに生ずる破片を用いることを特徴とする請求項2に記載の多層プラスチック燃料タンクの製造方法
  4. 前記第2シートを前記Tダイ押出法により形成する際には、無機充填材をさらに加当該無機充填材を前記高密度ポリエチレンに重ね合わせることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の多層プラスチック燃料タンクの製造方法
  5. 前記無機充填材として層状珪酸塩を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の多層プラスチック燃料タンクの製造方法
  6. 前記真空成型法は、プラグアシスト法であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の多層プラスチック燃料タンクの製造方法
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